JP6427228B2 - 無線電力供給システム、給電装置、及び、受電装置 - Google Patents

無線電力供給システム、給電装置、及び、受電装置 Download PDF

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Description

本発明は、比較的磁界強度が小さな磁界空間を形成可能な、無線電力供給システム、給電装置、及び、受電装置に関する。
近年、ノート型PC、タブレット型PC、デジタルカメラ、携帯電話など人が携帯しながら使用できる電子機器が急速に普及してきている。そして、これらの電子機器の多くには充電池が搭載されており、定期的な充電が必要とされる。この電子機器の充電池への充電作業を簡易にするために、給電装置と電子機器に搭載された受電装置との間で無線による電力伝送を利用した給電技術(磁界を変化させて電力伝送を行う無線電力伝送技術)により、充電池を充電する機器が増えつつある。
例えば、無線電力伝送技術としては、コイル間の電磁誘導を利用して電力伝送を行う技術や(例えば、特許文献1参照)、給電装置及び受電装置が備える共振器(コイル)間の共振現象を利用して磁場を結合させることにより電力伝送を行う技術が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。
一方で、上記ノート型PC、タブレット型PC、デジタルカメラ、携帯電話など人が携帯しながら使用できる電子機器は、携帯性を向上させるために、更なる小型化(コンパクト化)が求められている。
そこで、無線電力伝送技術を採用しつつ、コンパクト化された電子機器とするために、上記のような無線電力伝送技術で使用するコイルの内周側(内部)に、例えば、整流器、充電池などの充電関連電子部品を収納することが考えられる。
しかしながら、上記の無線電力伝送技術では、無線電力伝送技術で使用するコイル周辺に磁界が発生する。その結果、コイルの内周側(内部)に収納された整流器、充電池などの充電関連電子部品などに、磁界に起因する渦電流が発生して発熱し、整流器、充電池などの充電関連電子部品に悪影響を及ぼす問題がある。
上記磁界による問題を解決するために、例えば、特許文献3には、充電池(二次電池)を備えた受電装置のスパイラルコイルと整流器との間に磁性箔体を配置して磁束の影響を低減させる受電装置が開示されている。
特許第4624768号公報 特開2010−239769号公報 国際公開2007/080820号
もっとも、特許文献3の図3に示された電子機器1の内部に二次電池13が収納されているが、回路基板15自体は受電コイル11の外側に配置されており、十分にコンパクト化されているとは言えない。また、受電コイル11の内部に収納された二次電池13に対しては、二次電池13と受電コイル11との間に配置された磁性箔体16によって、受電コイル11による磁束の影響が低減されるが、特許文献3の図16を参照すると、給電装置30側には、磁性箔体16が採用されていないことから、電力伝送時に、受電コイル11の内部に収納された二次電池13は、給電装置30側の給電コイル31による磁束の影響を受けるので、二次電池13に対する十分な磁束の遮蔽効果が得られないと考えられる。
そこで、本発明の目的は、給電モジュールにおけるコイルと受電モジュールにおけるコイルとの間で磁界を変化させて電力伝送を行う際に、コイル周辺で発生する磁界を遮断して、コイルの周辺の所望位置に意図的に磁界強度の小さな磁界空間を形成する方法を提供することにある。
上記課題を解決するための発明の一つは、給電モジュールにおけるコイルと受電モジュールにおけるコイルとを対向配置し、これらコイルの対向面を除いた少なくとも一部の面を覆うように磁性部材を配置し、前記給電モジュールにおけるコイルと前記受電モジュールにおけるコイルとの間で磁界を変化させて電力伝送を行うことで、所望位置に当該所望位置以外の磁界強度よりも小さな磁界強度を有する磁界空間を形成することを特徴とする磁界空間の形成方法である。
上記方法によれば、磁性部材が、給電モジュールにおけるコイルと受電モジュールにおけるコイルとが対向する面を除いた少なくとも一部の面を覆うことにより、給電モジュールにおけるコイルと受電モジュールにおけるコイルとの間で磁界を変化させて電力伝送を行う際に、給電モジュールにおけるコイル及び受電モジュールにおけるコイルの周辺で発生する磁界を磁性部材により遮断して、給電モジュールにおけるコイル及び受電モジュールにおけるコイルの周辺の所望位置に当該所望位置以外の磁界強度よりも小さな磁界強度を有する磁界空間を形成することができる。
このように給電モジュールにおけるコイル及び受電モジュールにおけるコイルの周辺の所望位置に当該所望位置以外の磁界強度よりも小さな磁界強度を有する磁界空間を形成することができるので、例えば、受電モジュールにおけるコイルで受電した交流電力を整流する整流器や、整流した直流電力を蓄える充電池や、電子機器などを、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間に収納した場合、磁界に起因する渦電流の発生が抑制されているので、整流器や充電池や電子機器などが発熱するのを防止することができる。
そして、整流器や充電池や電子機器などを、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間に収納することにより、整流器や充電池や電子機器などの発熱を防止しつつ、コンパクト化が可能となる。
また、上記課題を解決するための発明の一つは、上記磁界空間の形成方法において、前記磁性部材が、給電モジュールにおけるコイル及び/又は受電モジュールにおけるコイルの内周面を覆うように配置されていることを特徴としている。
上記方法によれば、給電モジュールにおけるコイル及び/又は受電モジュールにおけるコイルの内周側で発生する磁界を遮断して、給電モジュールにおけるコイル及び/又は受電モジュールにおけるコイルの内周側に比較的小さな磁界強度を有する磁界空間を形成することができる。
また、上記課題を解決するための発明の一つは、上記磁界空間の形成方法において、前記磁性部材が、給電モジュールにおけるコイル及び/又は受電モジュールにおけるコイルの外周面を覆うように配置されていることを特徴としている。
上記方法によれば、給電モジュールにおけるコイル及び/又は受電モジュールにおけるコイルの外周側で発生する磁界を遮断して、給電モジュールにおけるコイル及び/又は受電モジュールにおけるコイルの外周側に比較的小さな磁界強度を有する磁界空間を形成することができる。
また、上記課題を解決するための発明の一つは、上記磁界空間の形成方法において、前記磁性部材が、給電モジュールにおけるコイル及び受電モジュールにおけるコイルの対向面とは反対側の面を覆うように配置されていることを特徴としている。
上記方法によれば、給電モジュールにおけるコイル及び受電モジュールにおけるコイルの対向面とは反対側の面付近で発生する磁界を遮断して、給電モジュールにおけるコイル及び受電モジュールにおけるコイルの対向面とは反対側の面付近に比較的小さな磁界強度を有する磁界空間を形成することができる。
また、上記課題を解決するための発明の一つは、上記磁界空間の形成方法において、前記給電モジュールにおけるコイルから前記受電モジュールにおけるコイルに共振現象により前記電力伝送を行うことを特徴としている。
上記方法によれば、コイル間の共振現象を利用した電力伝送を行うことにより、給電モジュールにおけるコイル及び受電モジュールにおけるコイルの周辺の所望位置に当該所望位置以外の磁界強度よりも小さな磁界強度を有する磁界空間を形成することができる。
また、上記課題を解決するための発明の一つは、上記磁界空間の形成方法において、前記給電モジュールにおけるコイルは、給電コイル及び給電共振器であり、前記受電モジュールにおけるコイルは、受電コイル及び受電共振器であり、前記給電コイルに給電された電力を前記給電共振器に対して電磁誘導により給電し、前記給電共振器に給電された電力を前記給電共振器と前記受電共振器とを共振させることによって磁界エネルギーとして前記給電共振器から前記受電共振器に伝送し、前記受電共振器に伝送された電力を電磁誘導により前記受電コイルに給電することにより前記電力伝送を行うことを特徴としている。
上記方法によれば、給電コイル及び給電共振器と、受電コイル及び受電共振器とを使用した磁界共鳴方式による電力伝送を行うことにより、給電共振器及び受電共振器の周辺の所望位置に当該所望位置以外の磁界強度よりも小さな磁界強度を有する磁界空間を形成することができる。
給電モジュールにおけるコイルと受電モジュールにおけるコイルとの間で磁界を変化させて電力伝送を行う際に、コイル周辺で発生する磁界を遮断して、コイルの周辺の所望位置に意図的に磁界強度の小さな磁界空間を形成する方法を提供することができる。
磁界空間の形成方法の概略説明図である。 比較例に係る無線電力供給システムの構成図である。 比較例に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 比較例に係る磁界強度分布図である。 実施例1に係る無線電力供給システムの構成図である。 実施例1に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 実施例1に係る磁界強度分布図である。 実施例2に係る無線電力供給システムの構成図である。 実施例2に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 実施例2に係る磁界強度分布図である。 実施例3に係る無線電力供給システムの構成図である。 実施例3に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 実施例3に係る磁界強度分布図である。 実施例4に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 実施例4に係る磁界強度分布図である。 実施例5に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 実施例5に係る磁界強度分布図である。 第二比較例に係る無線電力供給システムの構成図である。 第二比較例に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 第二比較例に係る磁界強度分布図である。 第二実施例に係る無線電力供給システムの構成図である。 第二実施例に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 第二実施例に係る磁界強度分布図である。 第三比較例に係る無線電力供給システムの構成図である。 第三比較例に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 第三比較例に係る磁界強度分布図である。 第三実施例に係る無線電力供給システムの構成図である。 第三実施例に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 第三実施例に係る磁界強度分布図である。 第四比較例に係る無線電力供給システムの構成図である。 第四比較例に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 第四実施例に係る無線電力供給システムの構成図である。 第四実施例に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフと磁界強度分布図である。 第四実施例2に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 第五比較例に係る無線電力供給システムの構成図である。 第五比較例に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 第五比較例に係る磁界強度分布図である。 第五実施例に係る無線電力供給システムの構成図である。 第五実施例に係る伝送特性S21の測定結果を示したグラフである。 第五実施例に係る磁界強度分布図である。 第六実施例に係る無線電力供給システムの構成図、伝送特性S21の測定結果を示したグラフ、及び、磁界強度分布図である。 実施形態2に係る無線電力供給システムの説明図である。
以下に本発明に係る磁界空間の形成方法を実施例及び実施形態に基づいて説明する。
(概要)
本発明に係る磁界空間の形成方法は、例えば、図1に示すような無線電力供給システム200によって実現される。無線電力供給システム200は、給電コイル21及び給電共振器22を備える給電モジュール202と、受電コイル31及び受電共振器32を備える受電モジュール203を主な構成要素とし、給電共振器22及び受電共振器32には、ソレノイド型のコイルが使用されており、給電共振器22及び受電共振器32は、この給電共振器22のコイル面と受電共振器32のコイル面同士が対向するように配置されている。また、給電共振器22のコイル内周面側には、給電共振器22のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材23が配置されている。同様に、受電共振器32のコイル内周面側にも、受電共振器32のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材33が配置されている。また、給電モジュール202の給電コイル21と後述するネットワークアナライザ110の出力端子111は配線により接続され、任意の周波数で交流電力を出力端子111から給電コイル21に出力可能としている。また、受電モジュール203の受電コイル31とネットワークアナライザ110の入力端子112は配線により接続され、受電コイル31から入力端子112に入力された電力を測定可能としている。そして、給電モジュール202の給電共振器22から受電モジュール203の受電共振器32に共振現象を利用して磁界を変化させて電力伝送を行うことで、給電共振器22及び受電共振器32の周辺で発生する磁界を磁性部材23・33により遮断して、給電共振器22及び受電共振器32のコイル内周面側(所望位置)に、当該コイル内周面側以外の磁界強度よりも磁界強度が小さな磁界空間Zを形成する。
ここで、給電共振器22及び受電共振器32とは、例えば、コイルを使用した共振器で、スパイラル型やソレノイド型やループ型などのコイルが挙げられる。また、共振現象とは、2つ以上のコイルが共振周波数において同調することをいう。また、コイルとコイルとを対向配置するとは、コイルの径方向断面をコイル面として、コイル面同士が直交しないように向かい合わせに配置することをいう。所望位置とは、詳細は後述するが、給電モジュール202におけるコイル(給電共振器22)又は受電モジュール203におけるコイル(受電共振器32)の内周側又は外周側の空間をいう。
(第一の実施例)
次に、上記の無線電力供給システム200のように、給電モジュール202における給電共振器22と受電モジュール203における受電共振器32とを対向配置し、これらの対向面を除いた少なくとも一部の面を覆うように磁性部材を配置した上記無線電力供給システムによって形成される磁界空間Zについて、比較例及び実施例1〜3の磁界強度などを測定することにより第一の実施例として説明する。なお、磁界空間Zの磁界強度等を測定するに際して、比較例及び実施例1〜3に合わせて変更した無線電力供給システム100・200・300・400を用いて測定する(図2、図5、図8、図11参照)。
具体的には、比較例として、図2に示す給電モジュール102及び受電モジュール103に磁性部材を備えていない無線電力供給システム100によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器32のコイル内周側に金属片を挿入したときと金属片を挿入していないときの磁界強度の変化及び後述する伝送特性『S21』の変化を測定する。
また、実施例1として、図5に示す給電モジュール202及び受電モジュール203において、給電共振器22及び受電共振器32のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材23・33を備えた無線電力供給システム200によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器32のコイル内周側に金属片を挿入したときと金属片を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化を測定する。
また、実施例2として、図8に示す給電モジュール302及び受電モジュール303において、給電共振器22及び受電共振器32のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材23・33と、給電共振器22及び受電共振器32のコイル外周面全体を覆う円筒状の磁性部材24・34とを備えた無線電力供給システム300によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器32のコイル内周側に金属片を挿入したときと金属片を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化を測定する。
また、実施例3として、図11に示す給電モジュール402及び受電モジュール403において、給電共振器22及び受電共振器32のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材23・33と、給電共振器22及び受電共振器32のコイル外周面全体を覆う円筒状の磁性部材24・34と、給電共振器22及び受電共振器32のコイル対向面とは反対側の側面を覆うリング形状の磁性部材25・35とを備えた無線電力供給システム400によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器32のコイル内周側に金属片を挿入したときと金属片を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化を測定する。
(比較例に係る無線電力供給システム100の構成)
比較例で用いる無線電力供給システム100は、図2に示すように、給電コイル21及び給電共振器22を備える給電モジュール102と、受電コイル31及び受電共振器32を備える受電モジュール103とを備えている。そして、給電コイル21にはネットワークアナライザ110(アジレント・テクノロジー株式会社製)の出力端子111を接続している。また、受電コイル31には、ネットワークアナライザ110の入力端子112を接続している。このように構成された無線電力供給システム100において、給電モジュール102に電力が供給されると、給電共振器22から受電共振器32に共振現象により電力を磁界エネルギーとして供給される。
ネットワークアナライザ110は、任意の周波数で交流電力を出力端子111から給電コイル21に出力可能としている。また、ネットワークアナライザ110は、受電コイル31から入力端子112に入力された電力を測定可能としている。更に、ネットワークアナライザ110は、詳細は後述するが、図3に示す伝送特性『S21』を測定可能としている。
給電コイル21は、ネットワークアナライザ110から得られた電力を電磁誘導によって給電共振器22に供給する役割を果たす。この給電コイル21は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にして、コイル径100mmφに設定している。
受電コイル31は、給電共振器22から受電共振器32に磁界エネルギーとして伝送された電力を電磁誘導によってネットワークアナライザ110の入力端子112に出力する役割を果たす。この受電コイル31は、給電コイル21同様に、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にして、コイル径100mmφに設定している。
給電共振器22及び受電共振器32は、それぞれLC共振回路であり、磁界共鳴状態を創出する役割を果たす。なお、本実施例では、LC共振回路のコンデンサ成分については素子によって実現しているが、コイルの両端を開放し、浮遊容量によって実現してもよい。このLC共振回路では、インダクタンスをL、コンデンサ容量をCとすると、
(式1)によって定まるfが共振周波数となる。
f=1/(2π√(LC))・・・(式1)
また、給電共振器22及び受電共振器32は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を3回巻にした、コイル径100mmφのソレノイド型のコイルである。また、給電共振器22及び受電共振器32は、共振周波数を13.0MHzとしている。また、給電共振器22と受電共振器32とは、給電共振器22のコイル面と受電共振器32のコイル面同士が平行に対向するように配置されている。
上記のように、給電共振器22の共振周波数と受電共振器32の共振周波数とを同一値とした場合(共振)、給電共振器22と受電共振器32との間に磁界共鳴状態を創出することができる。給電共振器22及び受電共振器32が共振した状態で磁界共鳴状態が創出されると、給電共振器22から受電共振器32に電力を磁界エネルギーとして伝送することができる。
また、給電コイル21と給電共振器22との間の距離Aを15mmに設定し、受電コイル31と受電共振器32との間の距離Bを15mmに設定し、給電共振器22と受電共振器32との間の距離Cを30mmに設定している(図2参照)。
なお、比較例及び実施例1〜3では、磁界強度及び伝送特性『S21』を測定するに際して、受電共振器32のコイル内周側に挿入する金属片には、厚み20mmで、直径が76mmφの円形のアルミ製のアルミ片60を使用する。また、実施例4及び実施例5では、厚み20mmで、直径が58mmφの円形のアルミ製のアルミ片60を使用する。
(比較例の測定結果)
比較例に係る無線電力供給システム100によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び後述する伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。なお、磁界空間Zにおける磁界強度の測定に関しては、電磁界解析を用いて解析し、磁界強度を色調で表示させることによって測定する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、比較例に係る無線電力供給システム100において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム100に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。この際、図3のグラフに示すように、横軸を出力端子111から出力される交流電力の周波数とし、縦軸を伝送特性『S21』として測定する。
ここで、伝送特性『S21』とは、出力端子111から信号を入力したときの入力端子112を通過する信号を表しており、デシベル表示され、数値が大きいほど送電効率が高いことを表す。また、送電効率とは、ネットワークアナライザ110に無線電力供給システム101を接続した状態で、出力端子111から給電モジュールに供給される電力に対する入力端子112に出力される電力の比率のことをいう。即ち、伝送特性『S21』が高いほど、送電効率が高くなることを意味する。
測定の結果、図3に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形141は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。分離したピークのうち、高周波側の周波数をfH、低周波側の周波数をfLとして表す。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール102に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)、給電共振器22及び受電共振器32が同位相で共振状態となり、給電共振器22に流れる電流の向きと受電共振器32に流れる電流の向きとが同じ向きになる。この同相共振モードにおける磁界強度分布を図4(A)に示す。この図4(A)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の外周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z151を確認することができる。ここで、給電モジュールにおけるコイル(給電共振器22)に流れる電流の向きと受電モジュールにおけるコイル(受電共振器32)に流れる電流の向きとが同じ向きとなる共振状態を同相共振モードと呼ぶことにする。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール102に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)、給電共振器22及び受電共振器32が逆位相で共振状態となり、給電共振器22に流れる電流の向きと受電共振器32に流れる電流の向きとが逆向きになる。この逆相共振モードにおける磁界強度分布を図4(B)に示す。この図4(B)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z153を確認することができる。ここで、給電モジュールにおけるコイル(給電共振器22)に流れる電流の向きと受電モジュールにおけるコイル(受電共振器32)に流れる電流の向きとが逆向きとなる共振状態を逆相共振モードと呼ぶことにする。
次に、比較例に係る無線電力供給システム100において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム100に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形142として図3に記す。この測定波形142において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』が、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形141に比べて、著しく低下することが分かる。同様に、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』も、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形141に比べて、著しく低下することが分かる。
また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図4(C)に示す。また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図4(D)に示す。このように、比較例に係る無線電力供給システム100において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、アルミ片60の影響を直接受けていることが分かる。換言すれば、アルミ片60は、無線電力供給システム100において発生する磁界の影響を直接受けていることが分かる。
(実施例1に係る無線電力供給システム200の構成)
次に、実施例1で用いる無線電力供給システム200は、図5に示すように、給電コイル21、給電共振器22及び給電共振器22のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材23を備える給電モジュール202と、受電コイル31、受電共振器32及び受電共振器32のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材33を備える受電モジュール203とを備えている。そして、比較例同様に、給電コイル21にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル31には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
磁性部材23・33は、磁性粉末が分散された樹脂により形成されている。この磁性部材23・33で使用する樹脂は、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもよく、特に限定されるものではない。例えば、熱硬化性樹脂であれば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、シアノエステル樹脂、マレイミド樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂であれば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられる。なお、本実施例では、エポキシ樹脂を主成分とした樹脂を用いている。
また、樹脂中に分散する磁性粉末には、軟磁性粉末を使用している。軟磁性粉末としては、特に限定されるものではないが、純Fe、Fe−Si、Fe−Al−Si(センダスト)、Fe−Ni(パーマロイ)、ソフトフェライト、Fe基アモルファス、Co基アモルファス、Fe−Co(パーメンジュール)などを用いることができる。
上記磁性部材23・33は、厚み1mm、外径80mmφ、内径78mmの円筒形状をしており、その透磁率を100としている。なお、その他の構成は、比較例に係る無線電力供給システム100と同様である。
(実施例1の測定結果)
実施例1に係る無線電力供給システム200によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、実施例1に係る無線電力供給システム200において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム200に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図6に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形241は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール202に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)の磁界強度分布を図7(A)に示す。この図7(A)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の外周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z251を確認することができる。また、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が若干低減された磁界強度を有する磁界空間Z252を確認することができる。このように、同相共振モードにおいて、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z252を形成することができる。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール202に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図7(B)に示す。この図7(B)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z253を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z253を形成することができる。また、逆相共振モードで形成した磁界空間Z253は、同相共振モードで形成した磁界空間Z252よりも広く形成することができる。
次に、実施例1に係る無線電力供給システム200において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム200に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形242として図6に記す。この測定波形242において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形241に比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形241に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図6のポイントP参照)。
また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図7(C)に示す。また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図7(D)に示す。このように、実施例1に係る無線電力供給システム200において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、比較例に比べて、アルミ片60の影響をあまり受けていないことが分かる。即ち、給電モジュール202と受電モジュール203との間で電力伝送を行う際に、給電共振器22及び受電共振器32の周辺で発生する磁界を磁性部材23・33により遮断して、給電共振器22及び受電共振器32のコイル内周側に、比較例に係る磁界空間Z153よりも大きな磁界空間Z253を形成することができる。また、アルミ片60に対しては、無線電力供給システム200において発生する磁界の影響が低減されていると言える。
(実施例2に係る無線電力供給システム300の構成)
次に、実施例2で用いる無線電力供給システム300は、図8に示すように、給電コイル21、給電共振器22、給電共振器22のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材23及び給電共振器22のコイル外周面全体を覆う円筒状の磁性部材24を備える給電モジュール302と、受電コイル31、受電共振器32、受電共振器32のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材33及び受電共振器32のコイル外周面全体を覆う円筒状の磁性部材34を備える受電モジュール303とを備えている。そして、実施例1同様に、給電コイル21にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル31には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
磁性部材24・34は、実施例1の磁性部材23・33と同様に、磁性粉末が分散された樹脂により形成されている。この磁性部材24・34は、厚み1mm、外径120mmφ、内径118mmφの円筒形状をしており、その透磁率を100としている。なお、その他の構成は、実施例1に係る無線電力供給システム200と同様である。
(実施例2の測定結果)
実施例2に係る無線電力供給システム300によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、実施例2に係る無線電力供給システム300において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム300に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図9に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形341は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール302に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)の磁界強度分布を図10(A)に示す。この図10(A)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が若干低減された磁界強度を有する磁界空間Z352を確認することができる。このように、同相共振モードにおいて、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z352を形成することができる。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール302に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図10(B)に示す。この図10(B)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z353を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z353を形成することができる。また、逆相共振モードで形成した磁界空間Z353は、同相共振モードで形成した磁界空間Z352よりも広く形成することができる。
次に、実施例2に係る無線電力供給システム300において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム300に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形342として図9に記す。この測定波形342において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形341に比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形341に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図9のポイントP参照)。
また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図10(C)に示す。また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図10(D)に示す。このように、実施例2に係る無線電力供給システム300において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、比較例に比べて、アルミ片60の影響をあまり受けていないことが分かる。即ち、給電モジュール302と受電モジュール303との間で電力伝送を行う際に、給電共振器22及び受電共振器32の周辺で発生する磁界を磁性部材23・33及び磁性部材24・34により遮断して、給電共振器22及び受電共振器32のコイル内周側に、比較例に係る磁界空間Z153よりも大きな磁界空間Z353を形成することができる。また、アルミ片60に対しては、無線電力供給システム300において発生する磁界の影響が低減されていると言える。
また、実施例2に係る無線電力供給システム300が形成する磁界空間Z353は、実施例1に係る無線電力供給システム200が形成する磁界空間Z253に比べて、広くなっていることが分かる。これは、実施例2に係る無線電力供給システム300では、給電共振器22及び受電共振器32のコイル外周面全体を覆う円筒状の磁性部材24・34が設けられていることから、給電共振器22及び受電共振器32の外周側に発生する磁界を遮断しているためである。
(実施例3に係る無線電力供給システム400の構成)
次に、実施例3で用いる無線電力供給システム400は、図11に示すように、給電コイル21、給電共振器22、給電コイル21と給電共振器22のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材23、給電コイル21と給電共振器22のコイル外周面全体を覆う円筒状の磁性部材24及び給電共振器22のコイル対向面とは反対側の側面を覆うリング形状の磁性部材25を備える給電モジュール402と、受電コイル31、受電共振器32、受電コイル31と受電共振器32のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材33、受電コイル31と受電共振器32のコイル外周面全体を覆う円筒状の磁性部材34及び受電共振器32のコイル対向面とは反対側の側面を覆うリング形状の磁性部材35を備える受電モジュール403とを備えている。そして、実施例2同様に、給電コイル21にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル31には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
磁性部材25・35は、実施例1の磁性部材23・33と同様に、磁性粉末が分散された樹脂により形成されている。この磁性部材25・35は、厚み1mm、外径120mm、内径80mmのOリング形状をしており、その透磁率を100としている。なお、その他の構成は、実施例2に係る無線電力供給システム300と同様である。
(実施例3の測定結果)
実施例3に係る無線電力供給システム400によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、実施例3に係る無線電力供給システム400において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム400に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図12に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形441は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール402に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)の磁界強度分布を図13(A)に示す。この図13(A)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が若干低減された磁界強度を有する磁界空間Z452を確認することができる。このように、同相共振モードにおいて、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z452を形成することができる。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール402に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図13(B)に示す。この図13(B)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z453を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z453を形成することができる。また、逆相共振モードで形成した磁界空間Z453は、同相共振モードで形成した磁界空間Z452よりも広く形成することができる。
次に、実施例3に係る無線電力供給システム400において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム400に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形442として図12に記す。この測定波形442において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形441に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる。また、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』も、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形441に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図12のポイントP参照)。
また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図13(C)に示す。また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図13(D)に示す。このように、実施例3に係る無線電力供給システム400において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、比較例に比べて、アルミ片60の影響をあまり受けていないことが分かる。即ち、給電モジュール402と受電モジュール403との間で電力伝送を行う際に、給電共振器22及び受電共振器32の周辺で発生する磁界を磁性部材23・33、磁性部材24・34及び磁性部材25・35により遮断して、給電共振器22及び受電共振器32のコイル内周側に、比較例に係る磁界空間Z153よりも大きな磁界空間Z453を形成することができる。また、アルミ片60に対しては、無線電力供給システム400において発生する磁界の影響が低減されていると言える。
また、実施例3に係る無線電力供給システム400が形成する磁界空間Z453は、実施例2に係る無線電力供給システム300が形成する磁界空間Z353に比べて、広くなっていることが分かる。これは、実施例3に係る無線電力供給システム400では、給電共振器22及び受電共振器32の側面を覆う磁性部材25・35が設けられていることから、給電共振器22及び受電共振器32の側面に発生する磁界を遮断しているためである。
(磁性部材の厚みの変化にともなう磁界空間Zの変化)
次に、磁性部材23・33の厚みを増やした場合の磁界空間Zの変化について、実施例4・実施例5における磁界強度及び伝送特性『S21』を測定することにより説明する。
(実施例4に係る無線電力供給システム500の構成)
具体的に、実施例4における無線電力供給システム500は、実施例1に係る無線電力供給システム200における磁性部材23・33の厚みを1mmから10mmに増加させた磁性部材123・133を使用しており(図15参照)、その他の構成は実施例1と同じである。そして、この無線電力供給システム500によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化を測定する。
(実施例4の測定結果)
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、実施例4に係る無線電力供給システム500において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム500に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図14に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形541は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール502に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)の磁界強度分布を図15(A)に示す。この図15(A)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が低減された磁界強度を有する磁界空間Z552を確認することができる。しかも、実施例4に係る無線電力供給システム500では、同相共振モードにおいて、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、実施例1に係る無線電力供給システム200が形成する磁界空間Z252に比べてより広い磁界空間Z552を形成することができる。これは、実施例4に係る無線電力供給システム500では、給電共振器22及び受電共振器32の内周面を覆う磁性部材123・133が、実施例1に比べて厚くなっていることから、給電共振器22及び受電共振器32の内周面側に発生する磁界をより確実に遮断しているためである。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール502に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図15(B)に示す。この図15(B)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z553を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、実施例1に係る無線電力供給システム200が形成する磁界空間Z253に比べてより広い磁界空間Z553を形成することができる。これは、実施例4に係る無線電力供給システム500では、給電共振器22及び受電共振器32の内周面を覆う磁性部材123・133が、実施例1に比べて厚くなっていることから、給電共振器22及び受電共振器32の内周面側に発生する磁界をより確実に遮断しているためである。また、逆相共振モードで形成した磁界空間Z553は、同相共振モードで形成した磁界空間Z552よりも広く形成することができる。
次に、実施例4に係る無線電力供給システム500において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム500に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形542として図14に記す。この測定波形542において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形541に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図14のポイントP1参照)。また、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』も、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形541に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図14のポイントP2参照)。
また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図15(C)に示す。また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図15(D)に示す。このように、実施例4に係る無線電力供給システム500において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、実施例1に比べて、アルミ片60の影響をほぼ受けていないことが分かる。即ち、給電共振器22及び受電共振器32の内周面を覆う磁性部材123・133の厚みを増やせば、給電モジュール502と受電モジュール503との間で電力伝送を行う際に、給電共振器22及び受電共振器32のコイル内周側に、比較的大きな磁界空間Z552・Z553を形成することができる。
(実施例5に係る無線電力供給システム600の構成)
具体的に、実施例5における無線電力供給システム600は、実施例2に係る無線電力供給システム300における磁性部材23・33の厚みを1mmから10mmに増加させた磁性部材123・133を使用しており(図17参照)、その他の構成は実施例2と同じである。そして、この無線電力供給システム600によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化を測定する。
(実施例5の測定結果)
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、実施例5に係る無線電力供給システム600において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム600に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図16に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形641は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール602に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)の磁界強度分布を図17(A)に示す。この図17(A)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が低減された磁界強度を有する磁界空間Z652を確認することができる。しかも、実施例5に係る無線電力供給システム600では、同相共振モードにおいて、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、実施例2に係る無線電力供給システム300が形成する磁界空間Z352に比べてより広い磁界空間Z652を形成することができる。これは、実施例5に係る無線電力供給システム600では、給電共振器22及び受電共振器32の内周面を覆う磁性部材123・133が、実施例2に比べて厚くなっていることから、給電共振器22及び受電共振器32の内周面側に発生する磁界をより確実に遮断しているためである。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール602に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図17(B)に示す。この図17(B)の磁界強度分布から、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z653を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に、実施例2に係る無線電力供給システム300が形成する磁界空間Z353に比べてより広い磁界空間Z653を形成することができる。これは、実施例5に係る無線電力供給システム600では、給電共振器22及び受電共振器32の内周面を覆う磁性部材123・133が、実施例2に比べて厚くなっていることから、給電共振器22及び受電共振器32の内周面側に発生する磁界をより確実に遮断しているためである。また、逆相共振モードで形成した磁界空間Z653は、同相共振モードで形成した磁界空間Z652よりも広く形成することができる。
次に、実施例5に係る無線電力供給システム600において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム600に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形642として図16に記す。この測定波形642において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形641に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図16のポイントP1参照)。また、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』も、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形641に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図16のポイントP2参照)。
また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図17(C)に示す。また、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図17(D)に示す。このように、実施例5に係る無線電力供給システム600において、受電共振器32のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、実施例2に比べて、アルミ片60の影響をほぼ受けていないことが分かる。即ち、給電共振器22及び受電共振器32の内周面を覆う磁性部材123・133の厚みを増やせば、給電モジュール602と受電モジュール603との間で電力伝送を行う際に、給電共振器22及び受電共振器32のコイル内周側に、比較的大きな磁界空間Z652・Z653を形成することができる。
(第二の実施例)
上記の無線電力供給システム100、200、300、400では、給電モジュールにおける給電コイル及び給電共振器、受電モジュールにおける受電コイル及び受電共振器に、円形及びソレノイド型の円筒状のコイルを使用した場合について説明したが、第二の実施例では、給電モジュールにおける給電コイル及び給電共振器、受電モジュールにおける受電コイル及び受電共振器に、四角形状及び四角柱型の筒状のコイルを使用した場合の無線電力供給システムについて説明する。具体的には、給電モジュールにおける給電共振器と受電モジュールにおける受電共振器とを対向配置し、給電共振器及び受電共振器のコイル内周面側にコイル内周面全体を覆う四角柱型の筒状の磁性部材を配置した無線電力供給システムによって形成される磁界空間Zについて、磁界強度などを測定することにより第二の実施例として説明する。
測定実験としては、第一の実施例同様に、第二の実施例に対する比較例(以後単に第二比較例)として、図18に示す給電モジュール1102及び受電モジュール1103に磁性部材を備えていない無線電力供給システム1100によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1132のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』の変化及び磁界強度の変化を測定する。
また、第二の実施例における実施例(以後単に第二実施例)として、図21に示す給電モジュール1202及び受電モジュール1203において、給電共振器1222及び受電共振器1232のコイル内周面全体を覆う四角柱型の筒状の磁性部材1223・1233を備えた無線電力供給システム1200によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1232のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』の変化及び磁界強度の変化を測定する。
(第二比較例に係る無線電力供給システム1100の構成)
第二比較例で用いる無線電力供給システム1100は、図18に示すように、四角形状をした給電コイル1121と、四角柱型の筒状コイル構造をした給電共振器1122とを備える給電モジュール1102、及び、四角形状をした受電コイル1131と、四角柱型の筒状コイル構造をした受電共振器1132とを備える受電モジュール1103とを備えている。そして、第一の実施例同様に、給電コイル1121にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル1131には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
給電コイル1121は、ネットワークアナライザ110から得られた電力を電磁誘導によって給電共振器1122に供給する役割を果たす。この給電コイル1121は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にして、一辺が100mmの正方形状にしている。
受電コイル1131は、給電共振器1122から受電共振器1132に磁界エネルギーとして伝送された電力を電磁誘導によってネットワークアナライザ110の入力端子112に出力する役割を果たす。この受電コイル1131は、給電コイル1121同様に、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にして、一辺が100mmの正方形状にしている。
給電共振器1122及び受電共振器1132は、それぞれLC共振回路であり、磁界共鳴状態を創出する役割を果たす。給電共振器1122及び受電共振器1132は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を3回巻にした、一辺が100mmの四角柱型の筒状コイル構造をしている。
また、給電コイル1121と給電共振器1122との間の距離は15mmに設定し、給電共振器1122と受電共振器1132との間の距離は30mmに設定し、受電共振器1132と受電コイル1131との間の距離は15mmに設定している。また、給電共振器1122及び受電共振器1132は、共振周波数を14.2MHzとしている。また、給電共振器1122と受電共振器1132とは、給電共振器1122のコイル面と受電共振器1132のコイル面同士が平行に対向するように配置されている。
なお、磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化を測定するに際して、受電共振器1132のコイル内周側に挿入する金属片には、厚み20mmで、一辺が76mmの直方体形状のアルミ製のアルミ片60を使用する。
(第二比較例の測定結果)
第二比較例に係る無線電力供給システム1100によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1132のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、無線電力供給システム1100において、受電共振器1132のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1100に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図19に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形1141は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール1102に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)、給電共振器1122及び受電共振器1132が同位相で共振状態となり、給電共振器1122に流れる電流の向きと受電共振器1132に流れる電流の向きとが同じ向きになる。この同相共振モードにおける磁界強度分布を図20(A)に示す。この図20(A)の磁界強度分布から、給電共振器1122及び受電共振器1132の外周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1151を確認することができる。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール1102に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)、給電共振器1122及び受電共振器1132が逆位相で共振状態となり、給電共振器1122に流れる電流の向きと受電共振器1132に流れる電流の向きとが逆向きになる。この逆相共振モードにおける磁界強度分布を図20(B)に示す。この図20(B)の磁界強度分布から、給電共振器1122及び受電共振器1132の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1153を確認することができる。
次に、無線電力供給システム1100において、受電共振器1132のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1100に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器1132のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1142として図19に記す。この測定波形1142において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』が、受電共振器1132のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1141に比べて、著しく低下することが分かる。同様に、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』も、受電共振器1132のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1141に比べて、著しく低下することが分かる。
また、受電共振器1132のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図20(C)に示す。また、受電共振器1132のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図20(D)に示す。このように、無線電力供給システム1100において、受電共振器1132のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、アルミ片60の影響を直接受けていることが分かる。換言すれば、アルミ片60は、無線電力供給システム1100において発生する磁界の影響を直接受けていることが分かる。
(第二実施例に係る無線電力供給システム1200の構成)
第二実施例で用いる無線電力供給システム1200は、図21に示すように、四角形状をした給電コイル1221と、四角柱型の筒状コイル構造をした給電共振器1222と、給電共振器1222のコイル内周面全体を覆う四角柱型の筒形状をした磁性部材1223とを備える給電モジュール1202、及び、四角形状をした受電コイル1231と、四角柱型の筒状コイル構造をした受電共振器1232と、受電共振器1232のコイル内周面全体を覆う四角柱型の筒形状をした磁性部材1233とを備える受電モジュール1203、を備えている。そして、第二比較例同様に、給電コイル1221にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル1231には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
磁性部材1223・1233は、磁性粉末が分散された樹脂により形成されている。この磁性部材1223・1233は、厚み1mm、一辺の外辺が82mm、内辺が80mm、高さが30mmの四角柱型の筒形状をしており、その透磁率を100としている。なお、給電コイル1221や給電共振器1222や受電コイル1231や受電共振器1232などのその他の構成は、第二比較例に係る無線電力供給システム1100と同様である。
(第二実施例の測定結果)
第二実施例に係る無線電力供給システム1200によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1232のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、無線電力供給システム1200において、受電共振器1232のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1200に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図22に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形1241は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール1202に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)の磁界強度分布を図23(A)に示す。この図23(A)の磁界強度分布から、給電共振器1222及び受電共振器1232の外周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1251を確認することができる。また、給電共振器1222及び受電共振器1232の内周側に、磁界による影響が若干低減された磁界強度を有する磁界空間Z1252を確認することができる。このように、同相共振モードにおいて、給電共振器1222及び受電共振器1232の内周側に、第二比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z1252を形成することができる。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール1202に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図23(B)に示す。この図23(B)の磁界強度分布から、給電共振器1222及び受電共振器1232の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1253を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、給電共振器1222及び受電共振器1232の内周側に、第二比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z1253を形成することができる。また、逆相共振モードで形成した磁界空間Z1253は、同相共振モードで形成した磁界空間Z1252よりも広く形成することができる。
次に、無線電力供給システム1200において、受電共振器1232のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1200に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器1232のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1242として図22に記す。この測定波形1242において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1232のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1241に比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1232のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1241に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図22のポイントP参照)。
また、受電共振器1232のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図23(C)に示す。また、受電共振器1232のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図23(D)に示す。このように、第二実施例に係る無線電力供給システム1200において、受電共振器1232のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、第二比較例に比べて、アルミ片60の影響をあまり受けていないことが分かる。即ち、給電モジュールにおける給電コイル及び給電共振器、受電モジュールにおける受電コイル及び受電共振器に、四角形状及び四角柱型の筒状のコイルを使用し、更に、給電共振器及び受電共振器の内周面に沿った四角柱型の筒形状をした磁性部材を使用した場合の無線電力供給システム1200においても、給電モジュール1202と受電モジュール1203との間で電力伝送を行う際に、給電共振器1222及び受電共振器1232の周辺で発生する磁界を磁性部材1223・1233により遮断して、給電共振器1222及び受電共振器1232のコイル内周側に、第二比較例に係る磁界空間Z1153よりも大きな磁界空間Z1253を形成することができる。また、アルミ片60に対しては、無線電力供給システム1200において発生する磁界の影響が低減されていると言える。
(第三の実施例)
第一の実施例における無線電力供給システム100、200、300、400では、給電モジュールにおける給電コイル及び給電共振器、受電モジュールにおける受電コイル及び受電共振器に、円形及びソレノイド型の円筒状のコイルを使用した場合、また、第二の実施例における無線電力供給システム1200では、給電モジュールにおける給電コイル及び給電共振器、受電モジュールにおける受電コイル及び受電共振器に、四角形状及び四角柱型の筒状のコイルを使用した場合について説明したが、第三の実施例では、給電モジュールにおける給電コイル及び給電共振器、受電モジュールにおける受電コイル及び受電共振器に、図24に示すように三日月形状及び三日月型の筒状のコイルを使用した場合の無線電力供給システムについて説明する。具体的には、給電モジュールにおける給電共振器と受電モジュールにおける受電共振器とを対向配置し、給電共振器及び受電共振器のコイル内周面側にコイル内周面全体を覆う三日月型の筒状の磁性部材を配置した無線電力供給システムによって形成される磁界空間Zについて、磁界強度などを測定することにより第三の実施例として説明する。
測定実験としては、第一の実施例同様に、第三の実施例に対する比較例(以後単に第三比較例)として、図24に示す給電モジュール1302及び受電モジュール1303に磁性部材を備えていない無線電力供給システム1300によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1332のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』の変化及び磁界強度の変化を測定する。
また、第三の実施例における実施例(以後単に第三実施例)として、図27に示す給電モジュール1402及び受電モジュール1403において、給電共振器1422及び受電共振器1432のコイル内周面全体を覆う三日月型の筒状の磁性部材1423・1433を備えた無線電力供給システム1400によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1432のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』の変化及び磁界強度の変化を測定する。
(第三比較例に係る無線電力供給システム1300の構成)
第三比較例で用いる無線電力供給システム1300は、図24に示すように、三日月形状をした給電コイル1321と、三日月型の筒状コイル構造をした給電共振器1322とを備える給電モジュール1302、及び、三日月形状をした受電コイル1331と、三日月型の筒状コイル構造をした受電共振器1332とを備える受電モジュール1303とを備えている。そして、第一の実施例同様に、給電コイル1321にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル1331には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
給電コイル1321は、ネットワークアナライザ110から得られた電力を電磁誘導によって給電共振器1322に供給する役割を果たす。この給電コイル1321は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にして、図24に示すように、給電コイル1321のコイルの外円の直径を60mmとし、内円の直径が30mmとなる三日月形状にしている。
受電コイル1331は、給電共振器1322から受電共振器1332に磁界エネルギーとして伝送された電力を電磁誘導によってネットワークアナライザ110の入力端子112に出力する役割を果たす。この受電コイル1331は、給電コイル1321同様に、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にして、受電コイル1331のコイルの外円の直径を60mmとし、内円の直径が30mmとなる三日月形状にしている。
給電共振器1322及び受電共振器1332は、それぞれLC共振回路であり、磁界共鳴状態を創出する役割を果たす。給電共振器1322及び受電共振器1332は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を3回巻にして(線間は0.1mmとしている)、コイルの外円の直径を60mmとし、内円の直径が30mmとなる三日月型の筒状コイル構造をしている。
また、給電コイル1321と給電共振器1322との間の距離は10mmに設定し、給電共振器1322と受電共振器1332との間の距離は8mmに設定し、受電共振器1332と受電コイル1331との間の距離は10mmに設定している。また、給電共振器1322及び受電共振器1332は、共振周波数を15.5MHzとしている。また、給電共振器1322と受電共振器1332とは、給電共振器1322のコイル面と受電共振器1332のコイル面同士が平行に対向するように配置されている。
なお、磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化を測定するに際して、受電共振器1332のコイル内周側に挿入する金属片には、厚み5mmの直方体形状のアルミ製のアルミ片60を受電共振器1332のコイル内周形状(三日月形状)に沿う形状にしたものを使用する。
(第三比較例の測定結果)
第三比較例に係る無線電力供給システム1300によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1332のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、無線電力供給システム1300において、受電共振器1332のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1300に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図25に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形1341は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール1302に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)、給電共振器1322及び受電共振器1332が同位相で共振状態となり、給電共振器1322に流れる電流の向きと受電共振器1332に流れる電流の向きとが同じ向きになる。この同相共振モードにおける磁界強度分布を図26(A)に示す。この図26(A)の磁界強度分布から、給電共振器1322及び受電共振器1332の外周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1351を確認することができる。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール1302に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)、給電共振器1322及び受電共振器1332が逆位相で共振状態となり、給電共振器1322に流れる電流の向きと受電共振器1332に流れる電流の向きとが逆向きになる。この逆相共振モードにおける磁界強度分布を図26(B)に示す。この図26(B)の磁界強度分布から、給電共振器1322及び受電共振器1332の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1353を確認することができる。
次に、無線電力供給システム1300において、受電共振器1332のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1300に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器1332のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1342として図25に記す。この測定波形1342において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』が、受電共振器1332のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1341に比べて、著しく低下することが分かる。同様に、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』も、受電共振器1332のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1341に比べて、著しく低下することが分かる。
また、受電共振器1332のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図26(C)に示す。また、受電共振器1332のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図26(D)に示す。このように、無線電力供給システム1300において、受電共振器1332のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、アルミ片60の影響を直接受けていることが分かる。換言すれば、アルミ片60は、無線電力供給システム1300において発生する磁界の影響を直接受けていることが分かる。
(第三実施例に係る無線電力供給システム1400の構成)
第三実施例で用いる無線電力供給システム1400は、図27に示すように、三日月形状をした給電コイル1421と、三日月型の筒状コイル構造をした給電共振器1422と、給電共振器1422のコイル内周面全体を覆う三日月型の筒状の磁性部材1423とを備える給電モジュール1402、及び、三日月形状をした受電コイル1431と、三日月型の筒状コイル構造をした受電共振器1432と、受電共振器1432のコイル内周面全体を覆う三日月型の筒状の磁性部材1433とを備える受電モジュール1403、を備えている。そして、第三比較例同様に、給電コイル1421にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル1431には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
磁性部材1423・1433は、磁性粉末が分散された樹脂により形成されている。この磁性部材1423・1433は、給電共振器1422及び受電共振器1432の内周面に沿った、厚み1mmの三日月型の筒形状をしており、その透磁率を100としている。なお、給電コイル1421や給電共振器1422や受電コイル1431や受電共振器1432などのその他の構成は、第三比較例に係る無線電力供給システム1300と同様である。
(第三実施例の測定結果)
第三実施例に係る無線電力供給システム1400によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1432のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、無線電力供給システム1400において、受電共振器1432のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1400に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図28に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形1441は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール1402に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)の磁界強度分布を図29(A)に示す。この図29(A)の磁界強度分布から、給電共振器1422及び受電共振器1432の外周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z11451を確認することができる。また、給電共振器1422及び受電共振器1432の内周側に、磁界による影響が若干低減された磁界強度を有する磁界空間Z1452を確認することができる。このように、同相共振モードにおいて、給電共振器1422及び受電共振器1432の内周側に、第三比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z1452を形成することができる。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール1402に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図29(B)に示す。この図29(B)の磁界強度分布から、給電共振器1422及び受電共振器1432の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1453を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、給電共振器1422及び受電共振器1432の内周側に、第三比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z1453を形成することができる。また、逆相共振モードで形成した磁界空間Z1453は、同相共振モードで形成した磁界空間Z1452よりも広く形成することができる。
次に、無線電力供給システム1400において、受電共振器1432のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1400に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器1432のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1442として図28に記す。この測定波形1442において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1432のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1441に比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1432のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1441に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図28のポイントP参照)。
また、受電共振器1432のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図29(C)に示す。また、受電共振器1432のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図29(D)に示す。このように、第三実施例に係る無線電力供給システム1400において、受電共振器1432のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、第三比較例に比べて、アルミ片60の影響をあまり受けていないことが分かる。即ち、給電モジュールにおける給電コイル及び給電共振器と受電モジュールにおける受電コイル及び受電共振器に、三日月形状及び三日月型の筒状のコイルを使用し、更に、給電共振器及び受電共振器の内周面に沿った三日月型の筒形状をした磁性部材を使用した場合の無線電力供給システム1400においても、給電モジュール1402と受電モジュール1403との間で電力伝送を行う際に、給電共振器1422及び受電共振器1432の周辺で発生する磁界を磁性部材1423・1433により遮断して、給電共振器1422及び受電共振器1432のコイル内周側に、第三比較例に係る磁界空間Z1353よりも大きな磁界空間Z1453を形成することができる。また、アルミ片60に対しては、無線電力供給システム1400において発生する磁界の影響が低減されていると言える。
(第四の実施例)
第一の実施例における無線電力供給システム100、200、300、400では、給電モジュールにおける給電コイル及び給電共振器、受電モジュールにおける受電コイル及び受電共振器に、コイル径を100mmφに設定した同径のものを使用した場合について説明したが、第四の実施例では、給電モジュールにおける給電コイル及び給電共振器、受電モジュールにおける受電コイル及び受電共振器に、図30に示すように、コイル径が異なるものを使用した場合の無線電力供給システムについて説明する。具体的には、受電モジュールにおける受電コイル及び受電共振器のコイル径が、給電モジュールにおける給電コイル及び給電共振器のコイル径よりも小さくしたものを使用する。そして、給電モジュールにおける給電共振器と受電モジュールにおける受電共振器とを対向配置し、給電共振器及び受電共振器のコイル内周面側にコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材を配置した無線電力供給システムによって形成される磁界空間Zについて、磁界強度などを測定することにより第四の実施例として説明する。
測定実験としては、第一の実施例同様に、第四の実施例に対する比較例(以後単に第四比較例)として、図30に示す給電モジュール1502及び受電モジュール1503に磁性部材を備えていない無線電力供給システム1500によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1532のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』の変化を測定する。
また、第四の実施例における実施例(以後単に第四実施例)として、図32に示す給電モジュール1602及び受電モジュール1603において、給電共振器1622及び受電共振器1632のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材1623・1633を備えた無線電力供給システム1600によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』の変化及びアルミ片60を挿入していないときの磁界強度を測定する。なお、第四実施例では、給電共振器1622のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材1623の径を変えた3つのモデル(モデルA1、モデルA2、モデルA3:詳細は後述する)を使用して測定する。
(第四比較例に係る無線電力供給システム1500の構成)
第四比較例で用いる無線電力供給システム1500は、図30に示すように、円形状をした給電コイル1521と、円筒形状をした給電共振器1522とを備える給電モジュール1502、及び、円形状をした受電コイル1531と、円筒形状をした受電共振器1532とを備える受電モジュール1503とを備えている。そして、第一の実施例同様に、給電コイル1521にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル1531には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
給電コイル1521は、ネットワークアナライザ110から得られた電力を電磁誘導によって給電共振器1522に供給する役割を果たす。この給電コイル1521は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にして、内径が54mmφの円形状にしている。
受電コイル1531は、給電共振器1522から受電共振器1532に磁界エネルギーとして伝送された電力を電磁誘導によってネットワークアナライザ110の入力端子112に出力する役割を果たす。この受電コイル1531は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にして、内径が36mmφの円形状にしている。
給電共振器1522及び受電共振器1532は、それぞれLC共振回路であり、磁界共鳴状態を創出する役割を果たす。給電共振器1522は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を4回巻にした、コイルの内径54mmφのソレノイド型のコイルで、共振周波数を17.2MHzとしている。一方、受電共振器1532は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を6回巻にした、コイルの内径36mmφのソレノイド型のコイルで、共振周波数を17.2MHzとしている。
また、給電コイル1521と給電共振器1522との間の距離は5mmに設定し、給電共振器1522と受電共振器1532との間の距離は18mmに設定し、受電共振器1532と受電コイル1531との間の距離は5mmに設定している。また、給電共振器1522と受電共振器1532とは、給電共振器1522のコイル面と受電共振器1532のコイル面同士が平行に対向するように配置されている。
なお、磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化を測定するに際して、受電共振器1532のコイル内周側に挿入する金属片には、直径27mmφ厚み10mmの円柱形状のアルミ製のアルミ片60を使用する。
(第四比較例の測定結果)
第四比較例に係る無線電力供給システム1500によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1532のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、無線電力供給システム1500において、受電共振器1532のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1500に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図31に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形1541は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
次に、無線電力供給システム1500において、受電共振器1532のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1500に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器1532のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1542として図31に記す。この測定波形1542において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』、及び、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』が、受電共振器1532のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1541に比べて、著しく低下することが分かる。
(第四実施例に係る無線電力供給システム1600の構成)
第四実施例で用いる無線電力供給システム1600は、図32に示すように、円形状をした給電コイル1621と、円筒形状をした給電共振器1622と、給電共振器1622のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材1623とを備える給電モジュール1602、及び、円形状をした受電コイル1631と、円筒形状をした受電共振器1632と、受電共振器1632のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材1633とを備える受電モジュール1603とを備えている。そして、第四比較例同様に、給電コイル1621にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル1631には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
磁性部材1623・1633は、磁性粉末が分散された樹脂により形成されている。そして、モデルA1では、図32に示すように、磁性部材1623の内径は、46mmφで、厚みは1mmの円筒形状をしており、その透磁率を100としている。モデルA2では、図32に示すように、磁性部材1623の内径は、37mmφで、厚みは1mmの円筒形状をしており、その透磁率を100としている。モデルA3では、図32に示すように、磁性部材1623の内径は、28mmφで、厚みは1mmの円筒形状をしており、その透磁率を100としている。なお、モデルA1、モデルA2、モデルA3における磁性部材1633の内径は、共通の28mmφで、厚みは1mmの円筒形状をしており、その透磁率を100としている。また、給電コイル1621や給電共振器1622や受電コイル1631や受電共振器1632などのその他の構成は、第四比較例に係る無線電力供給システム1500と同様である。
(第四実施例の測定結果)
第四実施例に係る無線電力供給システム1600によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、無線電力供給システム1600において、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1600に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図33に示すように、モデルA1では、測定された伝送特性『S21』の測定波形1641A1は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、モデルA1において、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール1602に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図33のモデルA1に示す。この磁界強度分布から、給電共振器1622及び受電共振器1632の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間ZA1を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、給電共振器1622及び受電共振器1632の内周側に、小さな磁界強度を有する磁界空間ZA1を形成することができる。
また、モデルA2でも、測定された伝送特性『S21』の測定波形1641A2は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、モデルA2において、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール1602に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図33のモデルA2に示す。この磁界強度分布から、モデルA1同様に、給電共振器1622及び受電共振器1632の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間ZA2を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、モデルA1に比べて磁性部材1623の内径を小さくしたモデルA2でも、給電共振器1622及び受電共振器1632の内周側に、モデルA1同様の磁界強度を有する磁界空間ZA2を形成することができる。
また、モデルA3でも、測定された伝送特性『S21』の測定波形1641A3は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、モデルA3において、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール1602に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図33のモデルA3に示す。この磁界強度分布から、モデルA1・モデルA2同様に、給電共振器1622及び受電共振器1632の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間ZA3を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、モデルA1・モデルA2に比べて磁性部材1623の内径を小さくしたモデルA3でも、給電共振器1622及び受電共振器1632の内周側に、モデルA1・モデルA2同様の磁界強度を有する磁界空間ZA3を形成することができる。
次に、無線電力供給システム1600において、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1600に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
モデルA1の測定結果を、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1642A1として図33に記す。この測定波形1642A1において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A1に比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A1に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図33のモデルA1のポイントP参照)。
次に、モデルA2の測定結果を、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1642A2として図33に記す。この測定波形1642A2において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A2に比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A2に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図33のモデルA2のポイントP参照)。
次に、モデルA3の測定結果を、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1642A3として図33に記す。この測定波形1642A3において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A3に比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A3に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図33のモデルA3のポイントP参照)。
上記測定結果によれば、給電共振器1622のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材1623の径を変えた3つのモデル(モデルA1、モデルA2、モデルA3)において、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A3に比べてそれぞれ、ほぼ同じ値を維持していることが分かる。即ち、磁性部材1623の内径を小さくした場合でも、給電共振器1622及び受電共振器1632の内周側に、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間を形成することができる。
次に、上記第四実施例の無線電力供給システム1600では、磁性部材1623・1633の厚みを1mmにしたものを使用していたが、次の第四実施例2では、磁性部材1623・1633の厚みを2mmに増やした場合の無線電力供給システム1600によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』の変化を測定する。なお、第四実施例のモデルA1の磁性部材1623・1633の厚みを1mmから2mmに変更したものをモデルA1−2として説明する。同様に、第四実施例のモデルA2の磁性部材1623・1633の厚みを1mmから2mmに変更したものをモデルA2−2とし、第四実施例のモデルA3の磁性部材1623・1633の厚みを1mmから2mmに変更したものをモデルA3−2として説明する。その他の構成は、第四実施例の無線電力供給システム1600と同様である。
測定の結果、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないとき、図34に示すように、モデルA1−2では、測定された伝送特性『S21』の測定波形1641A1−2は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
一方、モデルA1−2において、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定結果を、測定波形1642A1−2として図34に記す。この測定波形1642A1−2において、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A1−2に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図34のモデルA1−2のポイントP1参照)。また、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』も、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A1−2に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図34のモデルA1−2のポイントP2参照)。
また、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないとき、モデルA2−2でも、測定された伝送特性『S21』の測定波形1641A2−2は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
一方、モデルA2−2において、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定結果を、測定波形1642A2−2として図34に記す。この測定波形1642A2−2において、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A2−2に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図34のモデルA2−2のポイントP1参照)。また、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』も、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A2−2に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図34のモデルA2−2のポイントP2参照)。
また、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないとき、モデルA3−2でも、測定された伝送特性『S21』の測定波形1641A3−2は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
一方、モデルA3−2において、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定結果を、測定波形1642A3−2として図34に記す。この測定波形1642A3−2において、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A3−2に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図34のモデルA3−2のポイントP1参照)。また、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』も、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1641A3−2に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図34のモデルA3−2のポイントP2参照)。
上記測定結果によれば、給電共振器1622のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材1623の厚みを増やした3つのモデル(モデルA1−2、モデルA2−2、モデルA3−2)において、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入したとき、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』だけでなく、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』も、受電共振器1632のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる。
(第五の実施例)
上記の無線電力供給システム200等では、給電コイル21と給電共振器22との間の距離Aを15mmに設定し、受電コイル31と受電共振器32との間の距離Bを15mmに設定し、給電共振器22と受電共振器32との間の距離Cを30mmに設定した場合について説明したが(図2参照)、第五の実施例では、給電コイルと給電共振器との間の距離A、及び、受電コイルと受電共振器との間の距離Bを0mmに設定した場合、即ち、給電共振器の内周側に給電コイルを配置し、受電共振器の内周側に受電コイルを配置した場合の無線電力供給システムについて説明する。具体的には、給電共振器の内周側に給電コイルを配置し、更に、給電コイルの内周側に円筒状の磁性部材を配置した給電モジュール、及び、受電共振器の内周側に受電コイルを配置し、更に、受電コイルの内周側に円筒状の磁性部材を配置した受電モジュールを備えた無線電力供給システムによって形成される磁界空間Zについて、磁界強度などを測定することにより第五の実施例として説明する。
測定実験としては、第一の実施例同様に、第五の実施例に対する比較例(以後単に第五比較例)として、図35に示す給電モジュール1702及び受電モジュール1703に磁性部材を備えていない無線電力供給システム1700によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1732のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』の変化及び磁界強度の変化を測定する。
また、第五の実施例における実施例(以後単に第五実施例)として、図38に示す給電モジュール1802及び受電モジュール1803において、給電共振器1822及び受電共振器1832のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材1823・1833を備えた無線電力供給システム1800によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1832のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』の変化及び磁界強度の変化を測定する。
(第五比較例に係る無線電力供給システム1700の構成)
第五比較例で用いる無線電力供給システム1700は、図35に示すように、給電共振器1722の内周側に給電コイル1721を配置した給電モジュール1702、及び、受電共振器1732の内周側に受電コイル1731を配置した受電モジュール1703とを備えている。そして、第一の実施例同様に、給電コイル1721にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル1731には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
給電コイル1721は、ネットワークアナライザ110から得られた電力を電磁誘導によって給電共振器1722に供給する役割を果たす。この給電コイル1721は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にして、内径が70mmφの円形状にしている。
受電コイル1731は、給電共振器1722から受電共振器1732に磁界エネルギーとして伝送された電力を電磁誘導によってネットワークアナライザ110の入力端子112に出力する役割を果たす。この受電コイル1731は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にして、内径が70mmφの円形状にしている。
給電共振器1722及び受電共振器1732は、それぞれLC共振回路であり、磁界共鳴状態を創出する役割を果たす。給電共振器1722及び受電共振器1732は、線径1mmφの銅線材(絶縁被膜付)を3回巻にした、コイルの内径100mmφのソレノイド型のコイルで、共振周波数を12.9MHzとしている。
また、給電共振器1722と受電共振器1732との間の距離は30mmに設定している。
なお、磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化を測定するに際して、受電共振器1732のコイル内周側に挿入する金属片には、直径58mmφ厚み20mmの円柱形状のアルミ製のアルミ片60を使用する。
(第五比較例の測定結果)
第五比較例に係る無線電力供給システム1700によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1732のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、無線電力供給システム1700において、受電共振器1732のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1700に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図36に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形1741は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール1702に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)、給電共振器1722及び受電共振器1732が同位相で共振状態となり、給電共振器1722に流れる電流の向きと受電共振器1732に流れる電流の向きとが同じ向きになる。この同相共振モードにおける磁界強度分布を図37(A)に示す。この図37(A)の磁界強度分布から、給電共振器1722及び受電共振器1732の外周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1751を確認することができる。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール1702に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)、給電共振器1722及び受電共振器1732が逆位相で共振状態となり、給電共振器1722に流れる電流の向きと受電共振器1732に流れる電流の向きとが逆向きになる。この逆相共振モードにおける磁界強度分布を図37(B)に示す。この図37(B)の磁界強度分布から、給電共振器1722及び受電共振器1732の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1753を確認することができる。
次に、無線電力供給システム1700において、受電共振器1732のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1700に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器1732のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1742として図36に記す。この測定波形1742において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』が、受電共振器1732のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1741に比べて、著しく低下することが分かる。同様に、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』も、受電共振器1732のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1741に比べて、著しく低下することが分かる。
また、受電共振器1732のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図37(C)に示す。また、受電共振器1732のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図37(D)に示す。このように、無線電力供給システム1700において、受電共振器1732のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、アルミ片60の影響を直接受けていることが分かる。換言すれば、アルミ片60は、無線電力供給システム1700において発生する磁界の影響を直接受けていることが分かる。
(第五実施例に係る無線電力供給システム1800の構成)
第五実施例で用いる無線電力供給システム1800は、図38に示すように、給電共振器1822の内周側に給電コイル1821を配置し、更に、給電コイル1821の内周側に円筒状の磁性部材1823を配置した給電モジュール1802、及び、受電共振器1832の内周側に受電コイル1831を配置し、更に、受電コイル1831の内周側に円筒状の磁性部材1833を配置した受電モジュール1803を備えている。そして、第五比較例同様に、給電コイル1821にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル1831には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
磁性部材1823・1833は、磁性粉末が分散された樹脂により形成されている。この磁性部材1823・1833は、内径が60mmφで、高さが30mmで、厚みが1mmの円筒形状をしており、その透磁率を100としている。なお、給電コイル1821や給電共振器1822や受電コイル1831や受電共振器1832などのその他の構成は、第五比較例に係る無線電力供給システム1700と同様である。
(第五実施例の測定結果)
第五実施例に係る無線電力供給システム1800によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1832のコイル内周側(より詳しくは、磁性部材1833の内周側)にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、無線電力供給システム1800において、受電共振器1832のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1800に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図39に示すように、測定された伝送特性『S21』の測定波形1841は、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
そして、この低周波側のピーク付近の周波数fLに、給電モジュール1802に供給する交流電力の周波数を設定した場合(同相共振モード)の磁界強度分布を図40(A)に示す。この図40(A)の磁界強度分布から、給電共振器1822及び受電共振器1832の外周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1851を確認することができる。また、給電共振器1822及び受電共振器1832の内周側に、磁界による影響が若干低減された磁界強度を有する磁界空間Z1852を確認することができる。このように、同相共振モードにおいて、給電共振器1822及び受電共振器1832の内周側に、第五比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z1852を形成することができる。
一方、高周波側のピーク付近の周波数fHに、給電モジュール1802に供給する交流電力の周波数を設定した場合(逆相共振モード)の磁界強度分布を図40(B)に示す。この図40(B)の磁界強度分布から、給電共振器1822及び受電共振器1832の内周側に、磁界による影響が低減されて、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z1853を確認することができる。このように、逆相共振モードにおいて、給電共振器1822及び受電共振器1832の内周側に、第五比較例に比べて小さな磁界強度を有する磁界空間Z1853を形成することができる。また、逆相共振モードで形成した磁界空間Z1853は、同相共振モードで形成した磁界空間Z1852よりも広く形成することができる。
次に、無線電力供給システム1800において、受電共振器1832のコイル内周側(より詳しくは、磁性部材1833の内周側)にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1800に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果を、受電共振器1832のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1842として図39に記す。この測定波形1842において、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1832のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1841に比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1832のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1841に比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図39のポイントP参照)。
また、受電共振器1832のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの同相共振モードにおける磁界強度分布を図40(C)に示す。また、受電共振器1832のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの逆相共振モードにおける磁界強度分布を図40(D)に示す。このように、第五実施例に係る無線電力供給システム1800において、受電共振器1832のコイル内周側にアルミ片60を挿入した場合の磁界強度分布は、第五比較例に比べて、アルミ片60の影響をあまり受けていないことが分かる。即ち、給電共振器の内周側に給電コイルを配置し、更に、給電コイルの内周側に円筒状の磁性部材を配置した給電モジュール、及び、受電共振器の内周側に受電コイルを配置し、更に、受電コイルの内周側に円筒状の磁性部材を配置した受電モジュールを備えた無線電力供給システム1800においても、給電モジュール1802と受電モジュール1803との間で電力伝送を行う際に、給電共振器1822及び受電共振器1832の周辺で発生する磁界を磁性部材1823・1833により遮断して、給電共振器1822及び受電共振器1832のコイル内周側に、第五比較例に係る磁界空間Z1753よりも大きな磁界空間Z1853を形成することができる。また、アルミ片60に対しては、無線電力供給システム1800において発生する磁界の影響が低減されていると言える。
この無線電力供給システム1800で使用した給電モジュール1802は、給電コイル1821が給電共振器1822の内周側に配置されており、更に、磁性部材1823が給電コイル1821の内周側に配置されているため、給電モジュール1802の中央断面に対して対称形状をしている。このため、給電モジュール1802の両側のどちらに受電モジュール1803を置いたとしても(距離などの他の条件が同一である場合)、給電モジュール1802が備える給電共振器1822と、受電モジュール1803が備える受電共振器1832との間で、同条件で磁界共鳴状態を創出し、無線電力伝送が可能となる。これは、当該無線電力供給システム1800を構成する上で、給電モジュール1802等の配置(設計)に自由度は与えることになる。また、給電モジュール1802の両側にそれぞれ受電モジュール1803を配置した構成にすれば、1つの給電モジュール1802から2つの受電モジュール1803に対して無線電力伝送が可能となる。また、無線電力供給システム1800で使用した給電モジュール1802では、給電コイル1821が給電共振器1822の外周側に配置された構成にしてもよく、この場合、磁性部材1823が給電共振器1822の内周側に配置されることになる。同様に、受電モジュール1803では、受電コイル1831が受電共振器1832の外周側に配置された構成にしてもよく、この場合、磁性部材1833が受電共振器1832の内周側に配置されることになる。
(第六の実施例)
第一の実施例の実施例3に係る無線電力供給システム400では、図13に示すように、給電モジュール402の給電共振器22と受電モジュール403における受電共振器32とを対向配置し、給電共振器22のコイル中心軸と受電共振器32のコイル中心軸とが一致するように配置した場合について説明した(図11〜13参照)。第六の実施例では、図41(A)〜(C)に示すように、給電共振器1922のコイル中心軸1927と受電共振器1932のコイル中心軸1937とが位置ズレするように(中心軸同士が一致しない)配置した場合の無線電力供給システム1900について説明する。なお、無線電力供給システム1900は、第一の実施例の実施例3に係る無線電力供給システム400と同じ構成であり、給電共振器1922のコイル中心軸1927と受電共振器1932のコイル中心軸1937とが位置ズレするように配置した点で異なる。
具体的には、第六実施例で用いる無線電力供給システム1900は、図41の断面図に示すように、給電コイル1921、給電共振器1922、給電コイル1921と給電共振器1922のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材1923、給電コイル1921と給電共振器1922のコイル外周面全体を覆う円筒状の磁性部材1924及び給電共振器1922のコイル対向面とは反対側の側面を覆うリング形状の磁性部材1925を備える給電モジュール1902と、受電コイル1931、受電共振器1932、受電コイル1931と受電共振器1932のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材1933、受電コイル1931と受電共振器1932のコイル外周面全体を覆う円筒状の磁性部材1934及び受電共振器1932のコイル対向面とは反対側の側面を覆うリング形状の磁性部材1935を備える受電モジュール1903とを備えている。そして、給電コイル1921にはネットワークアナライザ110の出力端子111が接続され、受電コイル1931には、ネットワークアナライザ110の入力端子112が接続されている。
そして、無線電力供給システム1900によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1932のコイル内周側(より詳細には、磁性部材1933の内周側)にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』の変化及びアルミ片60を挿入したときの磁界強度を測定する。なお、この第六実施例では、給電共振器1922のコイル中心軸1927と受電共振器1932のコイル中心軸1937との位置ズレが、5mmに設定したモデルAと、10mmに設定したモデルBと、20mmに設定したモデルCの3つのモデルを使用して測定する。
(第六実施例の測定結果)
第六実施例に係る無線電力供給システム1900によって形成される磁界空間Zについて、受電共振器1932のコイル内周側(より詳細には、磁性部材1933の内周側)にアルミ片60を挿入したときとアルミ片60を挿入していないときの磁界強度の変化及び伝送特性『S21』の変化の測定結果について説明する。
まず、ネットワークアナライザ110を使用して、無線電力供給システム1900において、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1900に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
測定の結果、図41に示すように、モデルA(位置ズレ5mm)では、測定された伝送特性『S21』の測定波形1941Aは、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
次に、モデルAの無線電力供給システム1900において、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1900に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
モデルAの測定結果を、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1942Aとして図41に記す。この測定波形1942Aにおいて、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1941Aに比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1941Aに比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図41のモデルAのポイントP参照)。
また、図41に示すように、モデルBの無線電力供給システム1900において、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときに測定された伝送特性『S21』の測定波形1941Bは、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
次に、モデルBの無線電力供給システム1900において、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1900に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
モデルBの測定結果を、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1942Bとして図41に記す。この測定波形1942Bにおいて、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1941Bに比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1941Bに比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図41のモデルBのポイントP参照)。
また、図41に示すように、モデルCの無線電力供給システム1900において、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入していないときに測定された伝送特性『S21』の測定波形1941Cは、低周波側と高周波側とにピークが分離する。
次に、モデルCの無線電力供給システム1900において、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』を、無線電力供給システム1900に供給する交流電力の周波数を変えながら測定する。
モデルCの測定結果を、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入したときの伝送特性『S21』の測定波形1942Cとして図41に記す。この測定波形1942Cにおいて、低周波側のピーク付近の周波数fLにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1941Cに比べて、若干低下するものの、伝送特性の値は高い値を維持していることが分かる。一方、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1941Cに比べて、ほぼ同じ値を維持していることが分かる(図41のモデルCのポイントP参照)。
上記測定結果によれば、給電共振器1922のコイル中心軸1927と受電共振器1932のコイル中心軸1937との位置ズレが、5mmに設定したモデルAと、10mmに設定したモデルBと、20mmに設定したモデルCの3つのモデルにおいて、高周波側のピーク付近の周波数fHにおける伝送特性『S21』は、受電共振器1932のコイル内周側にアルミ片60を挿入しないときの伝送特性『S21』の測定波形1941A・1941B・1941Cに比べてそれぞれ、ほぼ同じ値を維持していることが分かる。即ち、給電共振器1922のコイル中心軸1927と受電共振器1932のコイル中心軸1937とが位置ズレするように配置した場合でも、給電共振器1922及び受電共振器1932の内周側に、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間を形成することができる。
(実施形態1)
次に、上記実施例で説明した磁界空間Zの形成方法の活用例を実施形態1として簡単に説明する。
例えば、上記無線電力供給システム200において、給電コイル21及び給電共振器22を備える給電モジュール202と、受電コイル31及び受電共振器32を備える受電モジュール203を主な構成要素とし、給電共振器22及び受電共振器32には、ソレノイド型のコイルが使用されており、給電共振器22及び受電共振器32は、この給電共振器22のコイル面と受電共振器32のコイル面同士が対向するように配置されている。また、給電共振器22のコイル内周面側には、給電共振器22のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材23が配置されている。同様に、受電共振器32のコイル内周面側にも、受電共振器32のコイル内周面全体を覆う円筒状の磁性部材33が配置されている。そして、この実施形態では、給電モジュール202の給電コイル21に、ネットワークアナライザ110の出力端子111の代わりに、給電モジュール202に供給する電力の周波数を調整する発振回路を介した交流電源を接続し、受電モジュール203の受電コイル31に、ネットワークアナライザ110の入力端子112の代わりに、受電された交流電力を整流化する整流/安定化回路及び過充電を防止する充電回路を介した充電池を接続する。
そして、給電モジュール202側の給電共振器22の内周側(磁性部材23の内周側)、即ち、磁界空間Z253が形成される場所に、発振回路を収納し、受電モジュール203側の受電共振器32の内周側(磁性部材33の内周側)、即ち磁界空間Z253が形成される場所に、整流/安定化回路を収納する。なお、充電回路及び充電池を受電モジュール203の受電共振器32の内周側に収納してもよい。
上記のように構成された無線電力供給システム200では、交流電源から発振回路を介して給電コイル21に供給された交流電力が、給電コイル21と給電共振器22との間の電磁誘導、給電共振器22と受電共振器32との間の共振(磁界共鳴状態)を利用した無線伝送、受電共振器32と受電コイル31との間の電磁誘導を経て、整流/安定化回路及び充電回路を介して充電池に供給される。そして、このように給電共振器22から受電共振器32に共振を利用した電力供給が行われる際に、給電共振器22及び受電共振器32の周辺で発生する磁界を磁性部材23・33により遮断して、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に配置された発振回路や整流/安定化回路に対する磁界の影響が低減された、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z253を形成することができる。
また、上記実施形態では、給電共振器22及び受電共振器32の内周側に形成される磁界空間Z253内若しくは磁界空間Z253付近に、磁界の影響を低減させたい発振回路及び整流/安定化回路を収納しているため、発振回路及び整流/安定化回路に対して、磁界に起因する渦電流の発生を低減・防止して、発熱による悪影響を抑制することができる。
そして、発振回路及び整流/安定化回路などを、比較的小さな磁界強度を有する磁界空間Z253に収納することにより、発振回路及び整流/安定化回路などの発熱を防止しつつ、コンパクト化が可能となる。
また、上記実施形態では、給電共振器22及び受電共振器32の間や内周側や外周側、即ち、図7に示すように、磁界空間Z251や磁界空間Z252や磁界空間Z253が形成される場所に、金属異物が存在しても、金属異物によって磁界が影響されずに、効率的かつ安全に給電モジュール202から受電モジュール203に共振現象を利用した電力供給をすることができる。
なお、上記実施例及び実施形態では、磁性部材23・33、磁性部材24・34、磁性部材25・35を給電モジュール202及び受電モジュール203の両方に設けた構成としているが、給電モジュール202又は受電モジュール203の一方にだけ配置した構成としてもよい。
(実施形態2)
また、例えば、図42に示すように、無線電力供給システム2000は、給電コイル2021、給電共振器2022及び磁性部材2023を備えた給電モジュール2002が複数配置された送電シート2006と、受電モジュール2003内に収納された充電池2063及び受電された交流電力を整流化する整流/安定化回路や過充電を防止する充電回路などで構成された回路基盤2062を有するスマートフォン2001から構成される。
スマートフォン2001は、充電池2063及び受電された交流電力を整流化する整流/安定化回路や過充電を防止する充電回路などで構成された回路基盤2062を収納した筐体本体2070、及び、筐体本体2070外周部に着脱可能に取り付けられた受電装置2060から構成されている。そして、受電装置2060は、筐体本体2070の外周部に着脱可能な枠体2061を備え、枠体2061の内部に受電モジュール2003を収納している。受電モジュール2003は、筐体本体2070の外周部に沿うように四角柱型の筒状コイル構造をした受電共振器2032の内周側に、四角形状をした受電コイル2031を配置し、更に、受電コイル2031の内周側に四角柱型の筒形状をした磁性部材2033を配置した構造をしている。なお、受電装置2060が筐体本体2070の外周部に取り付けられたことにより、受電モジュール2003は充電池2063に電力を供給可能に接続されるものとする。また、給電モジュール2002も、受電モジュール2003と同じ構造をしている。
そして、受電モジュール2003は、送電シート2006に組み込まれた複数の給電モジュール2002と対になり、交流電源から発振回路を介して給電コイル2021に供給された交流電力が、給電コイル2021と給電共振器2022との間の電磁誘導、給電共振器2022と受電共振器2032との間の共振(磁界共鳴状態)を利用した無線伝送、受電共振器2032と受電コイル2031との間の電磁誘導を経て、整流/安定化回路及び充電回路などの回路基盤2062を介して充電池2063に供給される。
上記のように給電共振器2022から受電共振器2032に共振を利用した電力供給が行われる際に、給電共振器2022及び受電共振器2032の周辺で発生する磁界を磁性部材2023・2033により遮断して、給電共振器2022及び受電共振器2032の内周側、即ち、筐体本体2070内部に収納されている回路基盤2062及び充電池2063に対する磁界の影響が低減された磁界空間を形成することができる。
これによれば、筐体本体2070内部に形成された磁界空間内に、磁界の影響を低減させたい回路基盤2062及び充電池2063を収納しているため、回路基盤2062及び充電池2063に対して、磁界に起因する渦電流の発生を低減・防止して、発熱による悪影響を抑制することができる。
また、回路基盤2062及び充電池2063を、受電共振器2032の内周側に収納することができるので、スマートフォン2001のコンパクト化が可能となる。
また、上記受電モジュール2003では、受電共振器2032を筐体本体2070の外周部に沿うように四角柱型の筒状コイル構造にし、受電コイル2031を四角形状にし、更に、磁性部材2033も四角柱型の筒形状にすることにより、筐体本体2070の外周部の形状に適合するように変形させている(第二の実施例参照)。このように、受電コイル2031、受電共振器2032及び磁性部材2033は、本受電モジュール2003を盛り込む機器に合わせた形状に変えることができる。例えば、イヤホン型音楽プレイヤー、補聴器、集音器などのように、耳に取り付けて使用する機器では、耳の形に合わせて三日月型の筐体が使用されるが、そのような三日月型の筐体に合わせて、受電コイル、受電共振器及び磁性部材を加工して取り付けることも可能である(第三の実施例参照)。
また、スマートフォン2001で使用した受電モジュール2003は、受電コイル2031が受電共振器2032の内周側に配置されており、更に、磁性部材2033が受電コイル2031の内周側に配置されているため、受電モジュール2003の中央断面に対して対称形状をしている(第五の実施例参照)。このため、スマートフォン2001を送電シート2006の上に置く際に、スマートフォン2001の表面及び裏面のどちらの面を下にしたとしても、給電モジュール2002が備える給電共振器2022と、受電モジュール2003が備える受電共振器2032との間で、同条件で磁界共鳴状態を創出し、無線電力伝送が可能となり、スマートフォン2001の充電池2063を充電する際の利便性を高めることができる。
なお、上記スマートフォン2001が備える受電モジュール2003における受電コイル2031及び受電共振器2032のコイル径と、送電シート2006が備える給電モジュール2002における給電コイル2021及び給電共振器2022のコイル径は、同じ大きさでなくてもよく、受電モジュール2003における受電コイル2031及び受電共振器2032のコイル径が、給電モジュール2002における給電コイル2021及び給電共振器2022のコイル径よりも大きくても小さくてもよい(第四の実施例参照)。
また、スマートフォン2001を送電シート2006の上に置き充電する際に、送電シート2006が備える給電共振器2022のコイル中心軸と、スマートフォン2001が備える受電共振器2032のコイル中心軸とが一致しなくてもよい(位置ズレしてもよい:第六の実施例参照)。
上記実施形態2では、無線電力供給システムを説明するにあたりスマートフォン2001を例示して説明したが、充電池を備えた機器であれば、タブレット型PC、デジタルカメラ、携帯電話、イヤホン型音楽プレイヤー、補聴器、集音器などにも使用することができる。また、本発明は、上記充電池を備えた機器以外であっても、例えば、照明機器やロボットなどへ電池を介さずに直接給電する機器に適用することも可能である。
以上の詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明したが、本発明は、以上の詳細な説明に記載する実施形態・実施例に限定されず、その他の実施形態・実施例にも適用することができ、その適用範囲は可能な限り広く解釈されるべきである。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされるべきである。また、本発明の目的及び本発明の効果を充分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌することが望まれる。
21 給電コイル
22 給電共振器
23 磁性部材
31 受電コイル
32 受電共振器
33 磁性部材
110 ネットワークアナライザ
111 出力端子
112 入力端子
200 無線電力供給システム
202 給電モジュール
203 受電モジュール
Z 磁界空間

Claims (12)

  1. コイル形状の給電共振器を有した給電モジュールと、
    前記給電共振器から共振現象により電力が供給される、コイル形状の受電共振器を有した受電モジュールと、
    前記給電共振器と前記受電共振器とを対向配置させ、前記給電共振器と前記受電共振器の対向面を除いた少なくとも一部の面を覆う磁性部材と、
    を備え、
    前記給電共振器と前記受電共振器との間で磁界を変化させて、前記給電共振器から前記受電共振器に共振現象による電力伝送を行うに際して、伝送特性『S21』の測定波形を、前記給電共振器及び前記受電共振器の共振周波数に対して低周波側と高周波側とにピークを分離させ、
    前記低周波側のピーク付近の周波数に、前記給電モジュールに供給する交流電力の周波数を設定し、前記給電共振器に流れる電流の向きと前記受電共振器に流れる電流の向きとが同じ向きになる同相共振モードでの前記共振現象によって、前記給電共振器及び前記受電共振器の外周側及び内周側に、周りの磁界強度よりも小さい磁界空間を形成、又は、前記高周波側のピーク付近の周波数に、前記給電モジュールに供給する交流電力の周波数を設定し、前記給電共振器に流れる電流の向きと前記受電共振器に流れる電流の向きとが逆向きになる逆相共振モードでの前記共振現象によって、前記給電共振器及び前記受電共振器の内周側に、周りの磁界強度よりも小さい磁界空間を形成し、
    形成した前記磁界空間に、電子部品、充電池、及び、金属物の少なくとも1つの部材が配置されていることを特徴とする、無線電力供給システム。
  2. 前記磁性部材は、前記給電共振器及び/又は前記受電共振器の内周面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の無線電力供給システム。
  3. 前記磁性部材は、前記給電共振器及び/又は前記受電共振器の外周面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線電力供給システム。
  4. 前記磁性部材は、前記給電共振器及び前記受電共振器の対向面とは反対側の面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無線電力供給システム。
  5. 受電モジュールが有する受電共振器に対して共振現象による磁界の変化により電力伝送を行う給電装置であって、
    コイル形状の給電共振器を有する給電モジュールと、
    前記給電共振器と前記受電共振器とを対向配置させた際に、前記給電共振器と前記受電共振器の対向面を除いた少なくとも一部の面を覆う磁性部材と、
    を備え、
    前記給電共振器と前記受電共振器との間で磁界を変化させて、前記給電共振器から前記受電共振器に共振現象による電力伝送を行うに際して、伝送特性『S21』の測定波形を、前記給電共振器及び前記受電共振器の共振周波数に対して低周波側と高周波側とにピークを分離させ、
    前記低周波側のピーク付近の周波数に、前記給電モジュールに供給する交流電力の周波数を設定し、前記給電共振器に流れる電流の向きと前記受電共振器に流れる電流の向きとが同じ向きになる同相共振モードでの前記共振現象によって、前記給電共振器及び前記受電共振器の外周側及び内周側に、周りの磁界強度よりも小さい磁界空間を形成、又は、前記高周波側のピーク付近の周波数に、前記給電モジュールに供給する交流電力の周波数を設定し、前記給電共振器に流れる電流の向きと前記受電共振器に流れる電流の向きとが逆向きになる逆相共振モードでの前記共振現象によって、前記給電共振器及び前記受電共振器の内周側に、周りの磁界強度よりも小さい磁界空間を形成し、
    形成した前記磁界空間に、電子部品、充電池、及び、金属物の少なくとも1つの部材が配置されていることを特徴とする、給電装置。
  6. 前記磁性部材は、前記給電共振器の内周面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の給電装置。
  7. 前記磁性部材は、前記給電共振器の外周面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の給電装置。
  8. 前記磁性部材は、前記給電共振器及び前記受電共振器の対向面とは反対側の面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の給電装置。
  9. 給電モジュールが有する給電共振器から共振現象による磁界の変化により電力伝送される受電装置であって、
    コイル形状の受電共振器を有する受電モジュールと、
    前記給電共振器と前記受電共振器とを対向配置させた際に、前記給電共振器と前記受電共振器の対向面を除いた少なくとも一部の面を覆う磁性部材と、
    を備え、
    前記給電共振器と前記受電共振器との間で磁界を変化させて、前記給電共振器から前記受電共振器に共振現象による電力伝送を行うに際して、伝送特性『S21』の測定波形を、前記給電共振器及び前記受電共振器の共振周波数に対して低周波側と高周波側とにピークを分離させ、
    前記低周波側のピーク付近の周波数に、前記給電モジュールに供給する交流電力の周波数を設定し、前記給電共振器に流れる電流の向きと前記受電共振器に流れる電流の向きとが同じ向きになる同相共振モードでの前記共振現象によって、前記給電共振器及び前記受電共振器の外周側及び内周側に、周りの磁界強度よりも小さい磁界空間を形成、又は、前記高周波側のピーク付近の周波数に、前記給電モジュールに供給する交流電力の周波数を設定し、前記給電共振器に流れる電流の向きと前記受電共振器に流れる電流の向きとが逆向きになる逆相共振モードでの前記共振現象によって、前記給電共振器及び前記受電共振器の内周側に、周りの磁界強度よりも小さい磁界空間を形成し、
    形成した前記磁界空間に、電子部品、充電池、及び、金属物の少なくとも1つの部材が配置されていることを特徴とする、受電装置。
  10. 前記磁性部材は、前記受電共振器の内周面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項9に記載の受電装置。
  11. 前記磁性部材は、前記受電共振器の外周面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の受電装置。
  12. 前記磁性部材は、前記給電共振器及び前記受電共振器の対向面とは反対側の面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の受電装置。
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