JP6426442B2 - チゼル用鋼およびチゼル - Google Patents
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Description
炭素は、鋼の硬度に大きな影響を及ぼす元素である。炭素含有量が0.39質量%未満では、十分な耐摩耗性の確保に必要な高温での硬度を得ることが難しくなる。一方、炭素含有量が0.41質量%を超えると靱性が低下し、十分な耐割損性の確保に必要な高温での衝撃値を得ることが難しくなる。そのため、炭素含有量は上記範囲とすることが必要である。
珪素は、鋼の焼入性の向上、鋼のマトリックスの強化、焼戻軟化抵抗性の向上等の効果に加えて、製鋼プロセスにおいては脱酸効果を有する元素である。珪素含有量が0.20質量%未満では、上記効果が十分に得られない。一方、珪素含有量が0.50質量%を超えると、高温焼戻後の衝撃値が低下する傾向がある。そのため、珪素含有量は上記範囲とすることが必要である。珪素は著しく焼入性を向上させる元素であり、過剰に添加すると焼割れが生じるおそれがある。焼割れの回避を容易にする観点から、珪素含有量は0.49質量%以下とすることが好ましい。一方、高温焼戻後の硬度の確保を容易にする観点から、珪素含有量は0.26質量%以上とすることが好ましい。
マンガンは、鋼の焼入性の向上に有効であるとともに、製鋼プロセスにおいては脱酸効果を有する元素である。焼入処理においてチゼルの表面から芯部まで硬化可能とする観点から、マンガン含有量は0.60質量%以上とする必要がある。一方、マンガン含有量が1.10質量%を超えると、マンガンの粒界偏析が顕著となるおそれがあるため、マンガン含有量は1.10質量%以下とする必要がある。鋼の十分な焼入性を確保する観点から、マンガン含有量は0.80質量%以上とすることが好ましい。
硫黄は、鋼の被削性を向上させる元素である。また、硫黄は、製鋼プロセスにおいて意図的に添加しなくても混入する元素でもある。硫黄含有量を0.003質量%未満とすると、鋼の製造コストが上昇する。一方、本発明者らの検討によれば、本発明のチゼル用鋼の成分組成において、硫黄含有量は高温焼戻後の衝撃値、すなわち耐割損性に大きく影響する。硫黄含有量が0.008質量%を超えると、高温焼戻後の衝撃値を80J/cm2以上とすることが困難となる。そのため、被削性のある程度の低下を許容して、硫黄含有量を0.008質量%以下とする必要がある。硫黄含有量を0.005質量%以下とすることにより、高温焼戻後の衝撃値を一層向上させることができる。
モリブデンは、焼入性を向上させ、焼戻軟化抵抗性を高める。また、モリブデンは、高温焼戻脆性を改善する機能も有している。モリブデン含有量が0.40質量%未満では、これらの効果が十分に発揮されない。一方、モリブデン含有量が0.60質量%を超えると、上記効果が飽和する。そのため、モリブデン含有量は上記範囲とする必要がある。モリブデン含有量を0.50質量%以下とすることにより、鋼の製造コストを低減することができる。
クロムは、鋼の焼入性を向上させる。焼入処理においてチゼルの表面から芯部まで硬化可能とする観点から、クロム含有量は0.90質量%以上とする必要がある。一方、クロムを過剰に添加すると焼割れが生じるおそれがある。焼割れの発生を回避する観点から、クロム含有量は1.20質量%以下とする必要がある。
ニオブは、鋼の強度および靱性の向上、ならびに結晶粒微細化に対して有効である。特に、ニオブはクロム、モリブデンとの複合添加によって著しく鋼の結晶粒を細粒化するので、靱性改善に極めて有効な元素である。この効果を確保するためには、ニオブ含有量は0.01質量%以上必要である。一方、ニオブ含有量が0.05質量%を超えると、粗大な共晶NbCの晶出や、多量のNbC形成に起因してマトリックス中の炭素量低下を招くため、強度低下や靭性低下という問題が生じる。また、ニオブ含有量が0.05質量%を超えると、鋼の製造コストも高くなる。そのため、添加量は上記範囲とすることが適切である。
チタンは、鋼の靱性を改善する目的で必要に応じて添加することができる。チタン含有量が0.01質量%未満では、靱性改善の効果が小さい。一方、チタン含有量が0.04質量%を超えると、かえって鋼の靱性が劣化する。そのため、チタンを添加する場合、添加量は上記範囲とすることが適切である。
硼素は、鋼の焼入性を顕著に向上させる元素である。硼素を添加することにより、焼入性向上を目的として添加される他の元素の添加量を低減し、鋼の製造コストを低減することができる。また、硼素は、旧オーステナイト結晶粒界にリンおよび硫黄よりも偏析する傾向が強く、特に硫黄を粒界から排出して粒界強度を改善する。硼素含有量が0.001質量%以下では、このような効果が十分に発揮されない。一方、硼素含有量が0.005質量%を超えると、添加された硼素と窒素とが結合してBNが形成され、鋼の靭性を劣化させる。そのため、硼素を添加する場合、添加量は上記範囲とすることが適切である。
Claims (11)
- チゼルを構成する材料として用いられるべきチゼル用鋼であって、
0.39質量%以上0.41質量%以下の炭素と、0.20質量%以上0.50質量%以下の珪素と、0.60質量%以上1.10質量%以下のマンガンと、0.003質量%以上0.008質量%以下の硫黄と、0.90質量%以上1.20質量%以下のクロムと、0.40質量%以上0.60質量%以下のモリブデンと、0.01質量%以上0.05質量%以下のニオブとを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる、チゼル用鋼。 - 炭素の含有量の5倍と、珪素の含有量の3倍と、モリブデンの含有量との和から、マンガンの含有量の2倍と、硫黄の含有量の10倍とを減じた値であるα値が1.7以上1.9以下である、請求項1に記載のチゼル用鋼。
- 0.01質量%以上0.04質量%以下のチタンをさらに含有する、請求項1または2に記載のチゼル用鋼。
- 0.001質量%以上0.005質量%以下の硼素をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のチゼル用鋼。
- リンの含有量が0.015質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のチゼル用鋼。
- 0.39質量%以上0.41質量%以下の炭素と、0.20質量%以上0.50質量%以下の珪素と、0.60質量%以上1.10質量%以下のマンガンと、0.003質量%以上0.008質量%以下の硫黄と、0.90質量%以上1.20質量%以下のクロムと、0.40質量%以上0.60質量%以下のモリブデンと、0.01質量%以上0.05質量%以下のニオブとを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼から構成される、チゼル。
- 前記鋼の、炭素の含有量の5倍と、珪素の含有量の3倍と、モリブデンの含有量との和から、マンガンの含有量の2倍と、硫黄の含有量の10倍とを減じた値であるα値が1.7以上1.9以下である、請求項6に記載のチゼル。
- 前記鋼は、0.01質量%以上0.04質量%以下のチタンをさらに含有する、請求項6または7に記載のチゼル。
- 前記鋼は、0.001質量%以上0.005質量%以下の硼素をさらに含有する、請求項6〜8のいずれか1項に記載のチゼル。
- 前記鋼のリンの含有量が0.015質量%以下である、請求項6〜9のいずれか1項に記載のチゼル。
- 600℃に加熱された後における室温での表面の硬度が32HRC以上であり、前記表面を含む領域の衝撃値が80J/cm2以上である、請求項6〜10のいずれか1項に記載のチゼル。
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