JP2011074427A - 掘削用中空鋼ロッド - Google Patents

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Yutaka Kurebayashi
豊 紅林
Noritaka Takahata
紀孝 高畑
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Abstract

【課題】製造コストが安価でステム部が曲げに対して高強度,高靭性を有する掘削用中空鋼ロッドを提供する。
【解決手段】掘削用中空鋼ロッド10を、質量%でC :0.35〜0.60%,Si:0.35〜0.70%,Mn:0.40〜1.00%,Ni:0.10〜1.00%,Cr:0.80〜2.00%,Mo:0.40%〜3.00%,V :0.10〜0.30%で、下記式1を満たし
7.5≦(1.5C+1.2Si+2.1Mn+1.7Ni+1.0Cr+5.5Mo)<20・・・式1
(但し各式中の各元素記号は対応する元素の含有質量%を表す)
残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、全長に亘る焼入れ焼戻し処理によりステム部の硬さが35≦HRC≦45で、且つ該ステム部の組織がベイナイトを主体とした組織のものとする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、先端にビット(刃具)を取り付けてビットで岩盤等を削岩し掘削を行う用途に用いられる掘削用中空鋼ロッドに関し、特に低廉な中空鋼ロッドに関する。
この掘削用中空鋼ロッドは岩盤等を削岩し掘削する際に用いられるもので、全長に亘り軸方向に貫通の孔を有しており、先端側にはねじ部が設けられて、そのねじ部においてビットが取り付けられる。
図1はこの種掘削用中空鋼ロッドの一例を示している。
図において10は掘削用中空鋼ロッド(全長数メートル)で、一端側にビット取付用のねじ部12を、他端側にシャンク部14を、またそれらの間にステム部16を備えている。この例においてステム部16は断面6角形状をなしている。
図中18はこの掘削用中空鋼ロッド10を軸方向に貫通した孔を示している。
掘削用中空鋼ロッドには、主として採石用に用いられる縦掘用のものと、主としてトンネル掘削用に用いられる横掘用のものとがあるが(因みに図1に示す例は横掘用に用いられるものの例である)、特に横掘用に用いられる中空鋼ロッドは過酷な条件で使用される。
図2は掘削用中空鋼ロッド10を横掘用に用いた場合の具体的な一例を示したもので、図示のように掘削用中空鋼ロッド10は、シャンク部14において掘削機20に取り付けられ、掘削機20からの軸方向の繰返し衝撃力及び回転力をビット22に伝える。
ビット22はこの軸方向の繰返し衝撃力及び回転力により岩盤を削孔し掘削して行く。
その際掘削用中空鋼ロッド10は、シャンク部14側の端から送られた水を孔18を通してビット12側に圧送し、ビット22に設けられた噴出口から噴出させる。
岩盤の破砕片はその噴出水によって、中空鋼ロッド10の側面と削孔された孔との隙間を通って外部に排出される。
横掘用に用いられる掘削用中空鋼ロッド10は、図3に示すように自重によって撓みを生じ、その撓んだ状態で掘削機20からの回転力が加えられる。
このため掘削用中空鋼ロッド10は、自身の軸線P周りに回転運動(自転運動)しながら、且つ水平な軸線P周りに回動運動(公転運動)し、そうした運動を生じながら掘削機20からの軸方向の繰返し衝撃力及び回転力をビット22に伝える。
このため掘削用中空鋼ロッド10はステム部16に大きな繰返しの曲げ応力が加わり、またビット22との結合部であるねじ部12には、ビット22がねじ部12に対して激しく相対動きを生じることによって、ねじ部12を摩耗させる強い力が繰返し働く。
従って掘削用中空鋼ロッド10はステム部16に高い耐曲げ特性(曲げに対する高強度及び高靭性)が求められ、またねじ部12には高硬度及び耐摩耗性が求められる。
ステム部16の曲げに対する強度及び靭性の何れもが十分でないと、中空鋼ロッド10がステム部の真中辺りで負荷に耐えられずに折れてしまう。
即ち単に強度が強い(硬さが硬い)だけであると中空鋼ロッド10が脆く折れてしまい、また靭性があっても強度が不足する場合には同じく中空鋼ロッド10が折れてしまう。
更にねじ部12の耐摩耗性が不足するとねじ部12が摩耗してしまう。
従来において、この中空鋼ロッドにはJIS SNCM相当材(縦掘用のものはJIS SCM相当材)に浸炭処理を施した上で焼入れ焼戻し処理したものが用いられてきた(下記特許文献1に開示)。
このような浸炭及び焼入れ処理を施すことで表層部を硬くする一方、内部は靭性を保ち、以て中空鋼ロッドに対し優れた耐曲げ特性を付与することができ、また表層に耐摩耗性を付与することができる。
しかしながら上記の浸炭処理は、処理のための所要時間が長く、しかも大掛りな設備を必要とし、処理のためのコストが高くなってしまう。
また高価なNiを多く含有した材料を用いているために材料コストも高く、全体として中空鋼ロッドの製造コストが高いものとなっていた。
尚本発明に対する先行技術として、下記特許文献2には「質量%で、C:0.05〜0.4%、Si:0.01〜0.8%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Ti:0.005〜0.5%、B:0.0005〜0.005%を含有する鋼を、900℃以上1250℃以下に加熱後、Ar3点以上で累積圧下率50%以上の圧延を行い、直ちにAr3点以上の温度からMs点以下の温度までを冷却速度20℃/s以上で加速冷却し、一旦加速冷却を中断して鋼材表面を(Ms点−100)〜(Ms点+200)℃の温度域まで復熱させた後、再び冷却速度20℃/s以上で200℃以下まで加速冷却することを特徴とする表面ブリネル硬度が300以上の高靭性耐摩耗鋼材の製造方法」が開示されている。
この特許文献2の鋼材はパワーショベル,ブルドーザ等の土木用途等に用いられるものであり、表層組織が焼入れによるマルテンサイト組織で、これを中空鋼ロッドに適用したとしても十分な耐曲げ特性を得ることができない。
この特許文献2のものは、Crを選択成分として含有したものであるが、実施例中のものはCrが0.3%で本発明のそれとは異なっている。
特開2000−256746号公報 特開2003−247019号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、製造コストが安価でステム部に対し曲げに対して高強度と高靭性とを付与することのできる掘削用中空鋼ロッドを提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1は、ステム部と該ステムに対して軸方向一端側に位置するビット取付用のねじ部とを有する掘削用中空鋼ロッドであって、質量%でC :0.35〜0.60%,Si:0.35〜0.70%,Mn:0.40〜1.00%,Ni:0.10〜1.00%,Cr:0.80〜2.00%,Mo:0.40%〜3.00%,V :0.10〜0.30%で、下記式1を満たし
7.5≦(1.5C+1.2Si+2.1Mn+1.7Ni+1.0Cr+5.5Mo)<20・・・式1
(但し各式中の各元素記号は対応する元素の含有質量%を表す)
残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、全長に亘る焼入れ焼戻し処理により前記ステム部の硬さが35≦HRC≦45で、且つ該ステム部の組織が表層から内部に至るまで全体的にベイナイト組織若しくは60面積%以上のベイナイトを含んだベイナイトとマルテンサイトの組織であることを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、質量%でAl:0.030〜0.050%,Ti:0.03〜0.05%,B :0.0005〜0.0020%を更に含有していることを特徴とする。
請求項3のものは、請求項1,2のいずれかにおいて、質量%でNb:≦1.00%を更に含有していることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように本発明は、鋼の組成をNiの含有量を少なくした上記所定の組成となした上、掘削用中空鋼ロッドを全長に亘る焼入れ焼戻し処理(本発明における焼入れ焼戻し処理は浸炭処理を行わないで行う処理を意味する)によって、ステム部の硬さを35≦HRC≦45となし、且つ各成分元素を上記の式1を満たすように成分調整して、掘削用中空鋼ロッドの組織をベイナイト主体の組織となしたものである。
ここで式1の値(厳密には括弧内の値)はベイナイト組織の形成し易さを表しており、また式1中の各元素の係数はベイナイト形成への寄与率を表している。
上述したように掘削用中空鋼ロッドは耐曲げ特性(曲げに対する強度及び靭性)が重要な特性であり、そこで本発明では掘削用中空鋼ロッドを、従来の浸炭焼入れに代えて全長に亘る焼入れを施し、また鋼成分をベイナイト形成し易い成分とすることによって組織をベイナイトを主体とした組織としたものである。
尚このベイナイト組織は、上記鋼の成分に加えて冷却速度を調整することにより実現することができる。このとき冷却速度が速過ぎるとマルテンサイト組織となって硬くなり過ぎてしまい、靭性不足となる。一方冷却速度が遅すぎるとフェライト+パーライト組織となって軟らかくなり過ぎてしまい、所要の硬さ即ち強度が得られない。
しかるに組織をベイナイトを主体とする組織とすることで強度と靭性とを併せて付与することができる。
但し掘削用中空鋼ロッドでは耐曲げ特性の他に耐摩耗性が必要である。
そこで本発明ではベイナイト生成元素としてのCrを0.80%以上と積極的に添加することで、ベイナイト形成を助長するのに加えて、単に組織をベイナイト組織としただけでは不足してくる耐摩耗性をCrの多量添加によって高め、所要の耐摩耗性を確保している。
かかる本発明によれば、製造コストを安価に抑えながら耐曲げ特性に優れた掘削用中空鋼ロッドを提供することができる。
尚、掘削用中空鋼ロッドにおけるねじ部は特に高い耐摩耗性の要求される部分であり、従って本発明ではねじ部については焼入れ焼戻し処理後における部分的な高周波焼入れ,焼戻し処理によって表層をマルテンサイト組織とし、同部分を部分的に高硬度となしておくことができる。
本発明では、上記成分に加えて質量%で、Al:0.030〜0.050%,Ti:0.03〜0.05%,B:0.0005〜0.0020を更に含有させておくことができる(請求項2)。
このようにすることで焼入れ性をより一層高めることができる。
また請求項3に従って、更にNb:≦1.00%を含有させておくことができ、これにより結晶粒を微細化し得て靭性をより一層高めることができる。
次に本発明における化学成分の限定理由を以下に詳述する。
C :0.35〜0.60%
Cは硬さ確保のために0.35%以上含有させる必要がある。但し0.60%を超えて多く含有させると靭性が低下してしまうので、その含有量の範囲を0.35〜0.60%の範囲とする。
Si:0.35〜0.70%
Siは脱酸剤としての働きを有する外、軟化抵抗を高める働きをなす。その働きのために本発明ではSiを0.35%以上含有させる。
但しその含有量が0.70%を超えて多くなると熱間加工性を劣化させるため、上限を0.70%とする。
Mn:0.40〜1.00%
Mnは焼入性を高める働きを有する。またMnは組織をベイナイト化し易い元素でもある。そのために本発明ではMnを0.40%以上含有させる。但し1.00%を超えて多量に含有させると熱間加工性を劣化させるため、その上限を1.00%とする。
Ni:0.10〜1.00%
Niは焼入性と靭性を向上させる働きを有する。またNiは組織をベイナイト化し易くする元素でもある。そこで本発明ではその働きのためにNiを0.10%以上含有させる。但しNiは高価な元素であり、1.00%を超えて多く含有させるとコストアップを招く。そこで本発明ではNiの含有量の上限を1.00%とする。
Cr:0.80〜2.00%
Crは焼入性を向上させ、また鋼の組織をベイナイト化し易くする。更に炭化物を形成して耐摩耗性を高める働きをなす。そこで本発明ではCrを0.80%以上多量に含有させる。
但しCrの含有量が2.00%を超えて多量になると炭化物が網状化して、却って耐摩耗性及び靭性が劣化する。そこで本発明ではCrの含有量の上限を2.00%とする。
Mo:0.40〜3.00%
Moは焼入性を高め、また軟化抵抗を向上させる働きを有する。更にMoは組織をベイナイト化し易い元素でもある。そこで本発明ではMoを0.40%以上含有させる。但し含有量が3.00%を超えて多量になると熱間加工性を劣化させ、またコストアップを招くため、上限を3.00%とする。
V :0.10〜0.30%
Vは軟化抵抗を高める働きがあり、本発明では0.10%以上含有させる。但し0.30%を超えて多量に含有させると熱間加工性が劣化するため、上限を0.30%とする。
B :0.0005〜0.0020%
Bは少量の添加で効果的に焼入性を向上させることができる。本発明ではその目的のためにBを0.0005%以上含有させる。但し0.0020%を超えて多量に含有させると熱間加工性が劣化し、またコストアップを招くため、上限を0.0020%とする。
Al:0.030〜0.050%
AlはBに優先してNと結合し、BがBNとなって焼入性の効果を失うのを防止する働きを有する。即ちAlはBの焼入性向上効果を確保する働きを有する。そのために本発明では0.030%以上含有させる。但し0.050%を超えて含有させると熱間加工性が劣化するため、上限を0.050%とする。
Ti:0.03〜0.05%
TiもまたNと優先的に結合してBとNとの結合によるBN生成を抑制し、B添加による焼入性向上の効果を確保する働きを有する。そのために本発明では0.03%以上含有させる。
但し0.05%を超えて多量に含有させるとコストアップを招くため、上限を0.05%とする。
Nb:≦1.00%
Nbは結晶粒粗大化防止の働きを有する。本発明ではその働きのため必要に応じ1.00%以下の量で含有させることができる。但し1.00%を超えて多くなるとコストアップを招いてしまう。
尚、本発明では不可避的不純物成分としてP,S,Cu,O,N等を含有していても良い。この場合、Oについては0.0015%以下に、またNについては0.01%以下に、Pについては0.015%以下に、Sについては0.015%以下に規制するのが望ましい。
但しP,Sを過剰に低く規制すると却ってコストが高くなってしまうため、P,Sについてはそれぞれ0.005%を含有量の下限として設定しておくことができる。
Cuは熱間加工性を劣化させるため、含有量は少ない方が良い。本発明ではCuの含有量の上限を0.30%としておくことができる。
7.5≦(1.5C+1.2Si+2.1Mn+1.7Ni+1.0Cr+5.5Mo)<20・・・式1
この式1の値はベイナイト形成し易さを表す指標となるものであり、式1の値が7.5未満であると十分にベイナイト形成できなくなる。
式1の各成分は何れも硬さを高くする働きを有する成分であり、その値が20以上であると材料の硬さが硬くなり過ぎて十分な靭性が得られなくなってしまう。
そこで本発明では式1の値を7.5以上20未満に規制する。
掘削用中空鋼ロッドの一例を示した図である。 掘削用中空鋼ロッドを用いて横掘りを行う際の説明図である。 掘削用中空鋼ロッドの固有の問題点を説明する説明図である。
次に本発明の実施例を以下に説明する。
表1,表2に示す化学組成の鋼8t溶解し、1.3tの鋼塊を鋳造した。次にこれを1200℃に加熱して125mm角に分解圧延し、中心にφ49mmの孔を開けた後、1200℃に加熱して製品圧延を行い、900℃で圧延終了した。
その後これを35±5℃/hrの冷却速度で衝風冷却して焼入れを行い、その後180℃×2hrに保持後炉冷して焼戻しを行った。
尚、比較例Qについては圧延終了後に常温まで水冷(冷却速度100℃/hr)し、その後180℃×2hrに保持後炉冷して焼戻しを行った。
また比較例Rについては圧延終了後にそのまま炉冷(冷却速度20℃/hr)を行った。
そしてこれら工程を経て図1に示した掘削用中空鋼ロッドとして
呼び寸法:32HH
長さ:3.7m
ねじ部径:32mm,ねじ部長さ:71mm
ステム部径:32mm
シャンク部ねじ径:38mm,シャンク部長さ:80mm
のものを製造した。
尚本発明では、焼入れによって組織がベイナイトとなるように冷却方法として衝風冷却の方法を用い、また冷却速度については35〜45℃/hrの冷却速度とすることが望ましい。
尚、表中の熱処理の欄のHF+Tとあるのは、ねじ部に対して部分的な高周波焼入れ及び焼戻しを行ったことを表している。
ここで高周波焼入れについては以下の条件、即ち電流:600A,電圧500V,周波数:300kHz,試料回転数:200rpm,加熱時間:25s,加熱温度:900℃,冷却:水冷の条件で行った。
また焼戻しについては200℃×4hr,雰囲気:大気,冷却:空冷の条件で行った。
尚、実施例1と同じ鋼種を用いた比較例Q,Rについては、上記とは別にずぶ焼入れ、炉冷をそれぞれ行って内部組織を調べ、また表3,表4の各特性の測定を行った。
上記に従って製造した表1,表2の組成の掘削用中空鋼ロッドについて以下の特性を測定した。
<表層硬さ(深さ〜0.3mm)>
ここで表層硬さはねじ部の表層硬さを意味している。
この表層硬さはJIS Z 2244ビッカース硬さ試験方法に準拠し、測定した。
<中心硬さ>
この中心硬さはステム部の硬さを意味している。
この中心硬さはJIS Z 2245ロックウェル硬さ試験方法に準拠し、測定した。
<200℃焼戻し硬さ(深さ〜0.3mm)>
この焼戻し硬さもまた、ねじ部の焼戻し硬さを意味している。
<破断荷重,撓み,積>
3点曲げ試験(標点距離380mm)を行って破断荷重を求めた。詳しくは380mm離れた軸方向両端側の部位を支持した状態で、中央部位にポンチにて曲げ力を加え、試験片が破断したときの荷重を求めた。また破断時の試験片の変形量(ポンチの移動量)を測定してこれを撓みとした。
更に破断荷重と撓みを掛け合せた数値を表中の積とした。この積が大きいほど曲げに対して強度及び靭性が高いことを意味する。
Figure 2011074427
Figure 2011074427
Figure 2011074427
Figure 2011074427
表1〜表4の結果において、比較例Aのものは、C含有量,Si含有量が本発明の下限値よりも低く、またNi含有量が本発明の上限値よりも高く、Mo含有量が本発明の下限値よりも低い。また熱処理が浸炭処理を伴った焼入れ及び焼戻し処理であり、製造コスト,材料コストは高いものとなる。また内部組織はマルテンサイトである。
比較例Bのものは、同じくC含有量,Si含有量が本発明の下限値よりも低く、Cr含有量が本発明の上限値よりも多い。またVを含有していない。
その内部組織はフェライト+パーライト組織であり、中心硬さ(中心硬さはねじ部の表層硬さに対して中心硬さを表し、この中心硬さはステム部の表層硬さに等しい)が低い。またねじ部に対して高周波焼入れを施しているにも拘らず表層硬さ,焼戻し硬さが低く、耐摩耗性が低い。
比較例Cのものは、C含有量が本発明の下限値よりも低く、結果として中心硬さが低く、また表層硬さ及び焼戻し硬さも低く、耐摩耗性が不十分である。
比較例Dのものは、逆にC含有量が本発明の上限値よりも高く、結果として中心硬さが高すぎ、また表層硬さも高すぎるものとなっている。
比較例Eのものは、Si含有量が本発明の下限値よりも低く、結果として焼戻し軟化抵抗が低くなって、焼戻し硬さが低く、また破断荷重の値も低い。
比較例Fのものは、Mnの含有量が本発明の下限値よりも低く、また式1の値も本発明の下限値よりも低く、組織がフェライト+パーライト+ベイナイトとなっている。
結果として中心硬さつまりステム部の硬さが低い。
比較例Gのものは、Mn含有量が本発明の上限値よりも高く、表層硬さが目標に対して高い。表層硬さが高くなりすぎると圧延時に割れが発生する。
比較例Hのものは、Ni含有量が本発明の下限値よりも低く、また式1の値も本発明の下限値よりも低い。
内部組織はフェライト+パーライト+ベイナイトで、特性的に見ると破断荷重が低く、破断荷重と撓みの積の値も低い。
比較例Iのものは、Cr含有量が本発明の下限値よりも低く、また式1の値も本発明の下限値よりも低い。結果として組織にフェライト+パーライトが含まれている。
そして特性的には焼戻し軟化抵抗が低く、焼戻し硬さが低い値となっている。
比較例Jのものは、逆にCr含有量が本発明の上限値よりも高く、中心硬さ即ちステム部の硬さが本発明の上限値よりも高い値であり、破断荷重と撓みの積の値も低い値となっている。
比較例Kのものは、Mo含有量が本発明の下限値よりも低く、また式1の数値も本発明の下限値よりも低い。その内部組織はフェライト+パーライトを含んだ組織となっている。
また特性的には、中心硬さ即ちステム部の硬さが低く、焼戻し硬さも低い。
比較例Lのものは、Mo含有量が本発明の上限値よりも高く、また式1の数値も高いものとなっている。その内部組織はベイナイト+マルテンサイト組織で、特性的には中心硬さが著しく高く、積の値が目標値に対して低い。
比較例Mのものは、V含有量が本発明の下限値よりも低く、焼戻し硬さが低い。
比較例Nのものは、V含有量が逆に本発明の上限値よりも高い。V含有量がこのように高含有量であると、焼戻し軟化抵抗の向上に対して添加量が多い程には効果がなく、一方で熱間加工性が劣化してしまう。
比較例Oのものは、式1の数値が本発明の下限値よりも低く、フェライト+パーライトを含んだ組織となっている。更に表層硬さも目標値に対して低い。
比較例Pのものは、式1の数値が本発明の上限値よりも高く、組織がマルテンサイトである。そのため耐曲げ特性における撓みが小さく、積の値も低い値である。
比較例Qのものは、熱処理をずぶ焼入れとしたもので、組織がマルテンサイトであり、耐曲げ特性における撓みの値が小さく、積の値も小さい。
また比較例Rのものは、焼入れの際の冷却が炉冷で組織がフェライト+パーライト組織であり、結果として中心硬さが低く、表層硬さ,焼戻し硬さも低い。
これに対して実施例のものは何れも良好な特性を示している。
以上本発明の実施例を詳述したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
10 掘削用空中鋼ロッド
12 ねじ部
16 ステム部
22 ビット

Claims (3)

  1. ステム部と該ステムに対して軸方向一端側に位置するビット取付用のねじ部とを有する掘削用中空鋼ロッドであって、
    質量%で
    C :0.35〜0.60%
    Si:0.35〜0.70%
    Mn:0.40〜1.00%
    Ni:0.10〜1.00%
    Cr:0.80〜2.00%
    Mo:0.40%〜3.00%
    V :0.10〜0.30%
    で、下記式1を満たし
    7.5≦(1.5C+1.2Si+2.1Mn+1.7Ni+1.0Cr+5.5Mo)<20・・・式1
    (但し各式中の各元素記号は対応する元素の含有質量%を表す)
    残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、
    全長に亘る焼入れ焼戻し処理により前記ステム部の硬さが35≦HRC≦45で、且つ該ステム部の組織が表層から内部に至るまで全体的にベイナイト組織若しくは60面積%以上のベイナイトを含んだベイナイトとマルテンサイトの組織であることを特徴とする掘削用中空鋼ロッド。
  2. 請求項1において、質量%で
    Al:0.030〜0.050%
    Ti:0.03〜0.05%
    B :0.0005〜0.0020%
    を更に含有していることを特徴とする掘削用中空鋼ロッド。
  3. 請求項1,2のいずれかにおいて、質量%で
    Nb:≦1.00%
    を更に含有していることを特徴とする掘削用中空鋼ロッド。
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