JP6420655B2 - 布帛、及び該布帛の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、油性汚れ等の除去性及び洗濯再汚染の防止性の、繰り返し洗濯に対する耐久性に優れる布帛および該布帛の製造方法に関する。
従来、油性汚れが付着しやすい合成繊維布帛、例えば疎水性であるポリエステル繊維布帛等に、油性汚れが付き難くなる性能(Soil guard(SG)性))や汚れ除去性(洗濯によって該汚れが取れやすくなる性能;(Soil Release(SR)性)を付与するため、種々の方法がおこなわれている。
例えば、合成繊維からなる布帛表面に、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体からなる被膜層を形成させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1記載の布帛は、該共重合体を含む被膜層を布帛表面に形成させることにより、合成繊維は撥油性に優れ油性汚れが付き難くなり、汚れ除去性が向上する。
また、繊維構造物の表面に、フッ素樹脂繊維処理剤が親水性樹脂加工剤の被膜層を介して結合している繊維構造物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。該繊維構造物によれば、油汚れが付きにくく、かつ落ち易い性能を同時に付与し得ることが記載されている。
特開平9−296372号公報 特開昭62−141177号公報
しかしながら、特許文献1記載の布帛は、撥油性に優れ油性汚れが付き難くなり、汚れ除去性が向上するものの、該汚れ除去性は未だ十分ではない。また、繰り返し洗濯に対する耐久性に劣ったり、洗濯時液中に排出された油性汚れが繊維に付着し、布帛に黒ずみや黄ばみが発生したり、洗濯再汚染が起こりやすいという問題があった。
また、特許文献2記載の繊維構造物も、油汚れが付きにくく、かつ落ち易い性能を同時に付与し得るものの未だ十分ではない。さらには、該繊維構造物は、親水性樹脂加工剤の被膜層を形成する工程と、フッ素樹脂系繊維処理剤を付与する工程との、2段階の工程が必要であるため、生産性に劣るという問題がある。また、親水性樹脂加工剤の被膜層形成手段として低温プラズマ処理を施す手段が開示されているが、低温プラズマ処理装置を有しない染色加工場においては実施が困難であるという問題もあった。加えて、繊維の最外層がフッ素系繊維処理剤でおおわれていることから、親水性部よりも疎水性部が大半を占め汚れの除去性には劣るため、口紅やファンデーションなどの通常の油よりも粘着性が強い化粧品汚れが、落ちにくいことが場合があった。
本発明は、上記従来技術の問題を解決し、低温プラズマ処理装置等特別な装置を用いることなく、油性汚れ等の除去性が優れるばかりでなく、洗濯再汚染の防止性に優れ、かつ、油性汚れ等の除去性及び洗濯再汚染の防止性、の繰り返し洗濯に対する耐久性にも優れる、布帛および該布帛の製造方法の提供を課題とする。
本発明者は、SG性を損なうことなく、洗濯時の汚れ除去性(SR性)や繰り返し洗濯に対する耐久性等を向上させることについて、鋭意検討をおこなったところ、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、トリアジン系化合物及び/またはイソシアネート系化合物架橋剤と、セルロース系化合物により形成される被膜層を備えることで、得られる合成繊維布帛は、1段階の処理においても、油性汚れ等の除去性が優れるばかりでなく、洗濯再汚染の防止性にも優れることを見出した。加えて、驚くべきことに、得られる合成繊維布帛は、繰り返し洗濯をおこなったときの、該油性汚れ等の除去性、該洗濯再汚染の防止性の耐久性が格別に優れることを見出した。本発明者は、さらに検討を重ね、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)合成繊維からなる布帛であって、親水性基を有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、トリアジン系化合物及び/またはイソシアネート系化合物である架橋剤と、セルロース系化合物と、により形成される被膜層を備えることを特徴とする布帛。
(2)前記セルロース系化合物が、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースからなる群より選ばれた1種以上の化合物である、(1)に記載の布帛。
(3)前記合成繊維の少なくとも一部が親水性樹脂によって被覆されている、(1)または(2)に記載の布帛。
(4)前記布帛が、ポリエステル繊維の混用率が100%であり、かつ、前記架橋剤がトリアジン系化合物である、(1)〜(3)のいずれかに記載の布帛。
(5)前記布帛がポリエステル繊維とセルロース系繊維とを含み、かつ、前記架橋剤がイソシアネート系化合物である、(1)〜(3)のいずれかに記載の布帛。
(6)前記セルロース繊維系繊維の混用率が10〜70質量%である、(5)に記載の布帛。
(7)前記布帛全体の質量に対する、前記親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体の付与率X(質量%)、前記架橋剤の付与率X(質量%)、及び前記セルロース系化合物の付与率X(質量%)が、それぞれ下記式(i)〜(iii)を満足する、(1)〜(6)のいずれかに記載の布帛。
Figure 0006420655

Figure 0006420655

Figure 0006420655

(8)下記(I)〜(III)を満足する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の布帛。
(I)家庭洗濯30回後における口紅除去性能が3.5級以上
(II)家庭洗濯30回後における再汚染防止性が3.5級以上
(III)家庭洗濯10回後におけるJIS L1919 C法(親油性汚染物質2)による汚れの落ちやすさが3.5級以上
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の布帛の製造方法であって、
布帛に、前記親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、前記架橋剤と、前記セルロース系化合物とを含む液を付着させる工程と、
前記付着させる工程より後に前記布帛を温度150〜200℃で熱処理する熱処理工程とを含む、布帛の製造方法。
(10)前記付着させる工程より前に、前記布帛を親水性樹脂で被覆する工程を含む、(9)に記載の布帛の製造方法。
本発明の布帛によれば、低温プラズマ処理装置等特別な装置を用いずに、また1段階の処理においても、口紅汚れも含む油性汚れの除去性及び洗濯再汚染防止性、の繰り返し洗濯に対する耐久性に優れる。従って、該布帛は、繰り返し洗濯が必要な衣料、例えば、女性用オフィスブラウスや、エプロン等に好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の布帛は、合成繊維からなり、布帛表面に親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、トリアジン系化合物及び/またはイソシアネート系化合物である架橋剤と、セルロース系化合物により形成される被膜層を備える。
本発明の布帛を形成する合成繊維としては、例えば、アセテートなどの半合成繊維や、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ乳酸から得られる繊維等のポリエステル繊維が挙げられる。中でも、ポリエステル繊維が好ましい。
また、本発明の布帛は、上記合成繊維以外の他の繊維、例えば、セルロース系繊維、獣毛繊維、絹等を混用したものとしてもよい。混用する他の繊維としては、使用する用途の観点からセルロース系繊維が好ましい。セルロース系繊維としては、例えば、綿、麻などの天然セルロース繊維、キュプラアンモニウムレーヨン、ビスコース法レーヨンなどの再生セルロース繊維、アセテート繊維、リヨセルに代表される精製セルロース系繊維等が挙げられる。
本発明の布帛において、合成繊維と他の繊維との混用率は特に制限されないが、合成繊維をポリエステル繊維とし、他の繊維をセルロース系繊維として混用した場合のポリエステル繊維の混用率は、使用する用途における機能性(洗濯による縮み、皺の発生等)の観点から、例えば、30〜90質量%が挙げられ、50〜80質量%が好ましく挙げられる。
合成繊維と他の繊維を混用する方法としては、特に制限されず、例えば、交撚、混紡、混繊、交織または交編とすることが挙げられる。また、布帛の形態についても特に制限されず、例えば、織物、編み物、あるいは不織布などがあげられる。オフィスブラウスやエプロン用の衣料とする場合は、布帛の形態は織物や編み物とすることが好ましい。
合成繊維及び他の繊維の形態は、長繊維、短繊維のいずれであってもよい。また、それらの断面形状も特に限定されず、いずれの断面形状であってもよい。さらに、合成繊維及び他の繊維には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、二酸化チタン、二酸化ケイ素、顔料、その他の無機微粒子などが含まれていてもよい。
本発明の布帛の被覆層は、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体を一成分とする。
上記親水性基とは、特に限定されないが、エチレンオキサイド、水酸基、カルボキシル基、スルフォン酸基等が好ましく挙げられる。特に、エチレン系不飽和物、例えばアクリレート、メタアクリレート、酢酸ビニル、塩化ビニル等を変性し、これらの変性物に対して、親水性基、例えばエチレンオキサイド、水酸基、カルボキシル基、スルフォン酸基等を導入した親水性セグメントとして、フルオロアルキルアクリレートと共重合することが好ましい。親水性セグメントの中でも、撥油性、油性汚れの除去性及び洗濯再汚染防止性に一層優れる観点から、硫化水素とポリエチレングリコールジメタクリレートとが反応して得られる親水性セグメントとすることが一層好ましい。
また、フルオロアルキルアクリレートとしては、特に限定されないが、撥油性、油性汚れの除去性、及び、洗濯再汚染防止性に一層優れる観点から、パーフルオロアルキル基を含むフルオロアルキルアクリレートが好ましい。さらに、フルオロアルキルアクリレートとしては、生体に対する安全性や環境負荷に配慮する上で、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、炭素数8以上のパーフルオロアルカン酸、炭素数8以上のパーフルオロアルケン酸、および分解によりこれらに変化する前駆体を含有しないパーフルオロヘキサン酸系が好ましい。
親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体としては、硫化水素とポリエチレングリコールジメタクリレートとが反応して得られる親水性セグメントと、フッ素化された疎水性セグメントとしてのフルオロアルキルアクリレートとが共重合されてなる共重合体が一層好ましく、下記一般式(1)で示されるものがより一層好ましい。
Figure 0006420655
上記一般式(1)中、nは2〜10の整数であることが好ましく、aは1〜10の整数であることが好ましく、また、bは1〜10の整数であることが好ましい。Rは低級アルキル基を示し、なかでも炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。Rfはパーフルオロアルキル基を示し、なかでも、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基が好ましい。
本発明において、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体は市販品を好適に使用することができ、具体的には、明成化学社製、商品名「アサヒガード AG−E100」や、大原パラジウム社製、商品名「パラガードSRF6000」などが挙げられる。
本発明の布帛の被膜層は、トリアジン系化合物及び/またはイソシアネート系化合物である架橋剤を一成分とする。
トリアジン系化合物とは、トリアジン環を含有する化合物であり、下記一般式(2)で示される化合物が好ましい。
Figure 0006420655
上記一般式(2)で示される化合物の中で、特にトリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が一層好ましい。
イソシアネート系化合物とは、分子中にイソシアネート基を含有する化合物であり、分子中にイソシアネート基を2個以上含有する多官能性イソシアネート系化合物が好ましい。多官能イソシアネート化合物としては、分子中に2個以上のイソシアネート官能基を含む有機化合物であれば特に限定されるものではなく、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニールメタンジイソシアネート、水素添加ジフェニールメタンジイソシアネート、トリフェニールトリイソシアネート、キシレジンイソシアネート、ジクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。また、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、フリセリントリレンジイソシアネートアダクトなどにブロッキング化合物(イソシアネートアダクトとともに70〜200℃に加熱することで、イソシアネート基を再生させる化合物)である、フェノール、マロン酸ジエチルエステル、メチルエチルケトオキシム、重亜硫酸ソーダ、ε−カプロラクタムなどを反応させた多官能ブロックイソシアネートウレタン樹脂を挙げることができる。中でも、洗濯耐久性の観点から、これらのうち、トリイソシアネート化合物、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリスビュレット変性体等のヘキサメチレンジイソシアネートの変性物が一層好ましい。
本発明の布帛を構成する繊維としてポリエステル繊維のみからなるものとした場合(すなわち、ポリエステル繊維の混用率が100%の場合)、油性汚れ除去性、及び、油性汚れ除去性、の繰り返し洗濯に対する耐久性により一層優れるという観点から、被膜層を形成する架橋剤はトリアジン系化合物とすることが好ましい。また、本発明の布帛を構成する繊維としてポリエステル繊維とセルロース系繊維を混用する場合、撥油性、油性汚れ除去性、及び洗濯再汚染防止性、の繰り返し洗濯に対する耐久性、ソフトな風合いにより一層優れるという観点から、被膜層を形成する架橋剤は、イソシアネート系化合物とすることが好ましい。
本発明の布帛の被膜層は、セルロース系化合物を一成分とする。
セルロース系化合物としては、セルロース骨格を有する化合物であれば特に限定されないが、親水性基が側鎖に共重合したセルロース系化合物が好ましい。親水性基が側鎖に共重合したセルロース系化合物としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースからなる群より選ばれた1種以上の化合物等が挙げられる。中でも、イオン性や親水性付与能力の観点から、ヒドロキシエチルセルロースがより一層好ましい。
本発明の布帛は、従来の布帛とは異なり、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、トリアジン系化合物及び/またはイソシアネート系化合物である架橋剤と、セルロース系化合物と、を原料として1段階の処理にて形成される被膜層を備える布帛であるため、油性汚れ除去性、洗濯再汚染防止性、の繰り返し洗濯に対する耐久性にいっそう優れたものとなる。本発明の布帛が、従来の布帛とは異なり、撥水性(SG性)を損なうことなく、洗濯時の汚れ除去性(SR性)や繰り返し洗濯に対する耐久性等に優れる作用機序は明らかではないが、例えば次のように推測することができる。
親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体は、親水性セグメントと疎水性セグメントを有する。一般に、該共重合体は、空気中においてはポリマー中の疎水性セグメントが表面に偏析することで撥油性等を発現する一方、水中においては親水性セグメントと疎水性セグメントが反転して親水性セグメントが表面に偏析し油性汚れの除去性能を示す、所謂フリップフロップ(反転)現象を示す。しかし、例えば、特許文献1で開示された、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と架橋剤からなる被膜においては、上記親水性セグメントと疎水性セグメントの反転が拘束され、SR性の低下につながっていると考えられる。一方、本発明においては、該被膜層に一成分としてセルロース系化合物を加え且つ特定の架橋剤を用いることにより、該架橋構造にセルロース化合物が多く取り込まれ架橋構造の反転を阻害が抑制されるものと考えられる。さらに、該被膜層にセルロース系化合物を含有することで親水性が向上すること等により洗濯時の汚れ除去性(SR性)が向上し、加えて繰り返し洗濯に対する耐久性を与えることができるものと推測される。
本発明の布帛において、前記布帛全体の質量に対する、前記親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体の付与率X(質量%)、前記架橋剤の付与率X(質量%)、及び前記セルロース系化合物の付与率X(質量%)は、繰り返し洗濯に対する耐久性に優れた撥油性、汚れ除去性、及び洗濯再汚染防止性と、ソフトな風合いを両立させる観点から、それぞれ下記式(i)〜(iii)を満足することが好ましい。さらに、前記セルロース系化合物の付与率X(質量%)は、0.1〜1.5(質量%)がより好ましく、0.3〜1.2(質量%)がいっそう好ましく、0.5〜1.0(質量%)が特に好ましい。
Figure 0006420655
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布帛表面に形成される被膜層の付与率X(質量%)としては、繰り返し洗濯に対する耐久性に優れた撥油性、汚れ除去性、及び洗濯再汚染防止性と、ソフトな風合いを両立させる観点から、布帛全体の質量に対し、0.5〜6.0質量%が好ましく、1.0〜3.0質量%がより好ましい。この場合、X(質量%)、X(質量%)、X(質量%)の比(X:X:X)としては、X(質量%)が10に対し、X(質量%)が1〜3、X(質量%)が1〜3、とすることがより一層好ましい。
ただし、布帛表面に形成される被膜層の付与率X(質量%)は下記式(iv)に従い、また、X(質量%)、X(質量%)、及びX(質量%)は、下記式(v)〜(vii)に従い算出するものとする。
Figure 0006420655
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本発明の布帛は、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体とトリアジン系化合物及び/またはイソシアネート系化合物である架橋剤とセルロース系化合物とにより形成される被膜層を備えることのほか、合成繊維の少なくとも一部が親水性樹脂によって被覆されているものとすることができる。これにより、洗濯再汚染防止性及び洗濯再汚染防止性の繰り返し洗濯に対する耐久性がより一層優れたものとなりやすくなる。
本発明において、親水性樹脂とは、セルロース系化合物以外の親水性に優れた樹脂のことをいい、中でも、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体が好ましい。ポリエステルポリエーテルブロック共重合としては市販のものを使用することができ、例えば、大原パラジウム化学(株)社製の、商品名「パラソルブPET2」や高松油脂(株)社製の、商品名「SR1000」などを使用することができる。親水性樹脂の付与率としては、洗濯再汚染防止性及び洗濯再汚染防止性の繰り返し洗濯に対する耐久性を一層優れたものとする観点から、得られる布帛全体の質量に対し、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜3質量%がより好ましい。
本発明の布帛は、布帛表面に特定の被膜層を備えていることから、口紅による汚れも含む油性汚れの除去性及び洗濯再汚染防止性、の繰り返し洗濯に対する耐久性に優れる。本発明の布帛が備える、油性汚れ除去性、中でも、口紅による汚れの除去性及び該除去性の繰り返し洗濯に対する耐久性としては、具体的に下記(I)を満足することが好ましい。本発明の布帛が備える、洗濯再汚染防止性及び洗濯再汚染防止性の繰り返し洗濯に対する耐久性としては、具体的に下記(II)を満足することが好ましい。本発明の布帛が備える、油性汚れの除去性及び該除去性の繰り返し洗濯に対する耐久性としては、具体的に下記(III)を満足することが好ましい。さらに、本発明の布帛は、下記(I)〜(III)を同時に満足することがより一層好ましい。
(I)家庭洗濯30回後における口紅除去性が3.5級以上
(II)家庭洗濯30回後における再汚染防止性が3.5級以上
(III)家庭洗濯10回後におけるJIS L1919 C法(親油性汚染物質2)による汚れの落ちやすさが3.5級以上
上記(I)において、初期における口紅除去性は4.5級以上がより一層好ましく、家庭洗濯30回後における口紅除去性は4.0級以上がより一層好ましい。また、上記(II)において、初期における再汚染防止性は4.5級以上がより一層好ましく、家庭洗濯30回後における再汚染防止性は4.0級以上がより一層好ましい。また、上記(III)において、初期におけるJIS L1919 C法(親油性汚染物質2)による汚れの落ちやすさは4.5級以上が好ましく、家庭洗濯10回後におけるJIS L1919 C法(親油性汚染物質2)による汚れの落ちやすさは4.0級以上がより一層好ましい。
本発明において、上記初期における口紅除去性は次のように評価されるものである。まず、本発明の布帛を10cm×10cmにカットする。次に、直径1.5cmの円が描かれたPPフィルム(コクヨ(株)社製商品番号フ−780−A4)の表面上に直径1.5cmの円を描き、円内を均一に塗りつぶすように口紅(カネボウ化粧品社製商品名メディア クリーミィラスティングリップA DR−03)0.03gを塗布する。そして、口紅を塗布した該フィルム表面に、カットした本発明の布帛を直径25mm高さ35mmの円柱状の天然ゴムブロックで上から10kg重の圧力で10秒間押し当てる。その後、JIS L 0217の103法にしたがって洗濯を1回行い、吊干し乾燥させた後の汚れの程度をJIS L 0805に準拠する汚染用グレースケールにて判定し、初期の口紅除去性とする。
本発明において、上記家庭洗濯30回後における口紅除去性は次のように評価されるものである。まず、本発明の布帛を10cm×10cmにカットし、JIS L 0217の103法にしたがって洗濯を30回繰り返す。そして、上記初期における口紅除去性の評価と同様にして口紅を塗布したフィルム表面に、上記繰り返し洗濯をおこなった本発明の布帛を直径25mm高さ35mmの円柱状の(ゴムブロックの形状、重量等を追記してください。代わりに商品名でもOKです)の天然ゴムブロックで上から10kg重の圧力で10秒間押し当てる。その後、JIS L 0217の103法にしたがって洗濯を30回行い、吊干し乾燥させた後の汚れの程度をJIS L 0805に準拠する汚染用グレースケールにて判定し、家庭洗濯30回後の口紅除去性とする。
本発明において、上記初期における再汚染防止性は次のように評価されるものである。まず、本発明の布帛を10cm×10cmにカットする。次に、B重油(JIS K 2205に記載された第2種の重油)と、界面活性剤(松本油脂(株)社製商品名アクチノールR100)とを、B重油の濃度が0.3g/L、界面活性剤の濃度が0.3g/Lとなるように、温度80℃の湯に加え、乳化手段としてガラス棒にて撹拌混合乳化し、試験液とする。得られた試験液の量を上記カットした本発明の布帛に対する浴比(布帛:試験液)が1:100となるように調整し、調整した試験液にカットした本発明の布帛を投入し、80℃で10分間攪拌する。次いで、60℃の湯を用いて流水湯洗いし常温の水で流水洗いを行い、脱水、吊り干し乾燥した後、JIS L0805に準拠する汚染用グレースケールを使用して残留汚染レベルを判定し、初期の再汚染防止性とする。
本発明において、上記家庭洗濯30回後における再汚染防止性は次のように評価されるものである。まず、本発明の布帛を10cm×10cmにカットし、JIS L 0217の103法にしたがって洗濯を30回繰り返す。そして、上記初期における再汚染防止性と同様にして調整した試験液に上記繰り返し洗濯をおこなった本発明の布帛を投入し、80℃で10分間攪拌する。次いで、60℃の湯を用いて流水湯洗いし常温の水で流水洗いを行い、脱水、吊り干し乾燥した後、JIS L0805に準拠する汚染用グレースケールを使用して残留汚染レベルを判定し、家庭洗濯30回後における再汚染防止性とする。
本発明において、上記初期におけるJIS L 1919 C法(親油性汚染物質2)による汚れの落ちやすさは、JIS L 1919 C法に準拠し、JIS L 1919 C法で規定する親油性汚染物質2を用いて評価する。また、上記家庭洗濯10回後におけるJIS L 1919 C法(親油性汚染物質2)による汚れの落ちやすさは、JIS L 1919 C法に準拠し、JIS L 0217の103法にしたがって洗濯を10回繰り返した布帛を用い、JIS L 1919 C法で規定する親油性汚染物質2を用いて評価する。
本発明の布帛が上記(I)〜(III)を満足するようにする手段としては、例えば、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、架橋剤と、セルロース系化合物とにより形成される被膜層を含むことのほか、該被覆層の付与率、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体、架橋剤及びセルロース系化合物の比率を調整し、後述する製造方法によって上記被覆層を形成することが好ましく挙げられる。
また、本発明の布帛が備える、撥油性及び撥油性の繰り返し洗濯に対する耐久性としては、家庭洗濯30回後における撥油性が3.5級以上であることが好ましく、4級以上であることがより好ましい。
初期における撥油性の評価方法は、得られた布帛を10cm×10cmにカットし、AATCC−TM118−1998に準じて試験を行うものであり、表1に示した試験溶液を、試料布上の2カ所に直径が約4mmになるように数滴垂らし、30秒後に2滴ともに浸透しない試験液の最高の等級を、初期における撥油性とする。
また、家庭洗濯30回後における撥油性は次のように評価するものである。すなわち、得られた布帛を10cm×10cmにカットし、JIS L 0217の103法にしたがって洗濯を30回繰り返す。そして、繰り返し洗濯をおこなった該布帛を、AATCC−TM118−1998に準じ、表1に示した試験溶液を、試料布上の2カ所に直径が約4mmになるように数滴垂らし、30秒後に2滴ともに浸透しない試験液の最高の等級を、家庭洗濯30回後における撥油性とする。
Figure 0006420655
次に、本発明の布帛の製造方法について、一例を挙げて説明する。
本発明における布帛は、合成繊維または、合成繊維と他の繊維とを用い、公知の方法で布帛、例えば織物、編物等とする。得られた布帛には、精練、プレセット、染色等の処理をおこなうことができる。
(付着工程)
本発明の製造方法においては、上記のようにして得られた布帛を、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、前記架橋剤と、前記セルロース系化合物とを含む液を付着させる工程を含むことが好ましい。該工程としては、例えば、上記液を用いてパディング処理するパディング処理工程や、上記液を塗布する工程などが挙げられ、簡便性の観点から、パディング処理工程が好ましい。パディング処理工程においては、絞り処理にてマングル等を用いることができ、また絞り率としては、前記被膜層の付与率を0.5〜6.0質量%となるようにより調整しやすくする観点から、例えば、50〜90%とすることが好ましい。パディング処理における含浸、絞りの後の熱処理工程の条件としては、該被覆層をより強固なものとし、繊維との密着性をより向上させやすくする観点から、テンターを用い、乾燥温度は130〜200℃、150〜200℃が好ましく、170〜190℃がより好ましい。乾燥時間は、30秒〜2分間とすることが好ましい。
上記パディング処理工程において、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体100質量部に対する、架橋剤の比率B(質量部)、セルロース系化合物の比率C(質量部)は、それぞれ下記式を満足することが好ましい。
5≦B(質量部)≦100
5≦C(質量部)≦100
また、下記式を満足することがより好ましい。
10≦B(質量部)≦50
10≦C(質量部)≦40
本発明の製造方法において、上記熱処理工程の後に、布帛を湯洗い、乾燥する工程を含むことが好ましい。これにより、未反応のセルロース系化合物がより一層除去されやすくなり、得られる布帛はより一層ソフトな風合いになりやすくなる。湯洗いの条件としては、例えば、温度60〜100℃の浴中で10分間程度洗うことが挙げられる。また、生産性の観点からは、オープンソーパーを用いて連続で洗ってもよい。
上記乾燥の条件としては、布帛が乾くのであれば特に制限されないが、例えばテンターを用い、温度130〜190℃、時間30〜120秒の条件でおこなうことが挙げられる。
本発明の布帛の製造方法において、前記パディング工程より前に、前記布帛を親水性樹脂で被覆する工程を含むことができる。これにより、本発明の布帛は、洗濯再汚染防止性及び洗濯再汚染防止性の繰り返し洗濯に対する耐久性がより一層優れたものとなりやすくなる。
親水性樹脂で被覆する工程としては、例えば、親水性樹脂を含む浴中に布帛を投入し、温度100〜135℃で15〜60分間処理し、繊維に親水性樹脂を吸尽させる方法(浴中吸尽処理法)、または、布帛を染色した後、親水性樹脂を含む浴中に浸漬し取り出した後、マングルで絞り、温度160〜190℃、時間0.5〜3分間の条件で乾燥を行う方法が挙げられ、これらの処理は、単独または併用しておこなうことができる。洗濯再汚染防止性、洗濯再汚染防止性の繰り返し洗濯に対する耐久性、染色堅牢度をより一層優れたものとする観点からは、浴中吸尽処理法が好ましい。工程の簡略化の観点からは、浴中吸尽処理法において、浴中に染料も含有させ、染料と親水性樹脂とを同時に吸尽させることが好ましい。
浴中吸尽処理法において、浴中に染料も含有させ、染料と親水性樹脂とを同時に吸尽させる場合、親水性樹脂と染料を含有させる浴の温度条件としては、100〜120℃とすることがより好ましい。これにより、親水性樹脂の加水分解がより一層抑制しやすくなり、染料が凝集することに起因する染色ムラの発生をより一層抑制しやすくなるとともに、洗濯再汚染防止性の繰り返し洗濯に対する耐久性がより一層優れたものとなりやすくなる。
本発明の製造方法においては、上記布帛を、前記親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、前記架橋剤と、前記セルロース系化合物とを含む液を付着させる工程と、前記付着させる工程より後に布帛を温度130〜200℃で熱処理する熱処理工程とを含むことにより、布帛表面に本発明の繊維処理剤によって形成される被膜層をより強固なものとしやすくなり、繊維との密着性をより向上させやすくすることができ、得られる布帛は繰り返し洗濯に対する耐久性に優れた、撥油性、油性汚れ除去性、及び、洗濯再汚染防止性をより一層向上させることができる。
以下、実施例および比較例によって、本発明を具体的に説明する。なお、実施例、比較例における評価方法は下記の通りである。
1.初期及び家庭洗濯30回後における撥油性
前述の方法に従い、評価した。3級以上であるものを合格とした。
2.初期及び家庭洗濯30回後における口紅除去性
前述の方法に従い、評価した。3級以上であるものを合格とした。
3.初期及び家庭洗濯30回後における再汚染防止性
前述の方法に従い、評価した。3級以上であるものを合格とした。
4.初期及び家庭洗濯10回後におけるJIS L1919 C法(親油性汚染物質2)による汚れの落ちやすさ
前述の方法に従い、評価した。3級以上であるものを合格とした。
5.布帛の風合い
得られた布帛の風合い(柔軟性)について、5人のモニターによる官能評価を行った。各々の試料で風合いが良好なもの(柔らかい)を5点満点として1〜5点の5段階で評価し5人の平均値を算出し、評価した。なお、ポリエステル繊維の混用率が100%の実施例(実施例1〜4、比較例1〜3、6)は実施例3の布帛を基準布帛とし、ポリエステル繊維と綿を混用した実施例(実施例5〜8、比較例4、5、7)は実施例7の布帛を基準布帛とした。
5点・・・基準布帛と比較して、ソフトな風合いであった。
4点・・・基準布帛と比較して、ややソフトな風合いであった。
3点・・・基準布帛と比較して、遜色ない風合いであった。
2点・・・基準布帛と比較して、やや硬い風合いであった。
1点・・・基準布帛と比較して、硬い風合いであった。
6.遊離ホルムアルデヒドの評価
JIS L−1096 アセチルアセトン法にて評価した。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレートからなる仮撚加工単糸(167dtex/48f)を経糸に、ポリエチレンテレフタレートからなる仮撚加工双糸((334dtex/96f)を緯糸に用いて綾織物(経糸密度128本/2.54cm、緯糸密度58本/2.54cm)を得、通常の方法で精練リラックス・プレセットをおこなった。
上記精練リラックス・プレセットをおこなった綾織物を、下記処方1とした浴に投入した後、マングルで絞り(絞り率:80質量%)、130℃で60秒間の予備乾燥をおこなった。そして、予備乾燥をおこなった綾織物に対して170℃、60秒間の条件で熱処理をおこない、60℃で10分間湯洗い、130℃で2分乾燥し、本発明の布帛を得た。
<処方1>
親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体(大原パラジウム株式会社製、商品名「パラガードSRF6000」 固形分20%):75g/L
ヒドロキシエチルセルロース(ダイセルファインケム株式会社製 商品名「SP400」):10g/L
トリアジン系化合物(トリメチロールメラミン 固形分80%):3g/L
有機アミン系触媒:3g/L
(実施例2)
ポリエチレンテレフタレートからなる仮撚加工単糸(167dtex/48f)を経糸に、ポリエチレンテレフタレートからなる仮撚加工双糸((334dtex/96f)を緯糸に用いて綾織物(経糸密度128本/2.54cm、緯糸密度58本/2.54cm)を得、通常の方法で精練リラックス・プレセットをおこなった。
上記精練リラックス・プレセットをおこなった綾織物を、下記処方2とした浴に投入し(浴比1:20)、120℃、30分間の条件で浴中吸尽処理をおこなった。
<処方2>
親水性樹脂(大原パラヂウム化学株式会社社製、商品名「パラソルブPET2」 固形分12%):4%owf
その後、脱水・乾燥させ、前記処方1からなる浴に含浸した後、マングルで絞り(絞り率:80質量%)、130℃、60秒間の条件で予備乾燥をおこなった。そして、この綾織物に対して170℃、60秒間の条件で熱処理をおこない、60℃で10分間湯洗いし、130℃で2分間乾燥し、本発明の布帛を得た。
(実施例3)
上記処方1を下記処方3に変更した以外は実施例1と同様に行い、本発明の布帛を得た。
<処方3>
親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体(大原パラジウム化学株式会社製、商品名「パラガードSRF6000」):75g/L
ヒドロキシエチルセルロース(ダイセルファインケム株式会社製 商品名「SP400」):10g/L
イソシアネート系架橋剤(日華化学株式会社製、商品名「NKアシストV」 固形分40%):10g/L
(実施例4)
上記処方1を上記処方3に変更した以外は実施例2と同様に行い、本発明の布帛を得た。
(実施例5)
経糸、緯糸共にポリエステル65%、綿35%の34番手の混紡糸を用いたツイル織物(経糸密度132本/2.54cm、緯糸密度63本/2.54cm)を用い、通常の方法で精練、漂白、シルケット、プレセットを行った。
上記精練、漂白、シルケット、プレセットをおこなったツイル織物を、上記処方1とした浴に投入した後、マングルで絞り(絞り率:80質量%)、130℃で60秒間の予備乾燥をおこなった。そして、予備乾燥をおこなった綾織物に対して170℃、60秒間の条件で熱処理をおこない、60℃で10分間湯洗い、130℃で2分乾燥し、本発明の布帛を得た。
(実施例6)
経糸、緯糸共にポリエステル65%、綿35%の34番手の混紡糸を用いたツイル織物(経糸密度132本/2.54cm、緯糸密度63本/2.54cm)を用い、通常の方法で精練、漂白、シルケット、プレセットを行った。
上記精練、漂白、シルケット、プレセットをおこなったツイル織物を、上記処方2とした浴に投入し(浴比1:20)、120℃、30分間の条件で浴中吸尽処理をおこなった。
その後、脱水・乾燥させ、前記処方1からなる浴に含浸した後、マングルで絞り(絞り率:80質量%)、130℃、60秒間の条件で予備乾燥をおこなった。そして、この綾織物に対して170℃、60秒間の条件で熱処理をおこない、60℃で10分間湯洗いし、130℃で2分間乾燥し、本発明の布帛を得た。
(実施例7)
上記処方1を上記処方3に変更した以外は実施例5と同様に行い、本発明の布帛を得た。
(実施例8)
上記処方1を上記処方3に変更した以外は実施例6と同様に行い、本発明の布帛を得た。
(比較例1)
上記処方1においてトリメチロールメラミン、有機アミン系触媒を省いた以外は実施例1と同様に行い、比較例1の布帛を得た。
(比較例2)
上記処方1に代えて下記処方4とした以外は実施例1と同様に行い、比較例2の布帛を得た。
<処方4>
親水性基を含有しないフルオロアルキルアクリレート共重合体(日華化学株式会社製、商品名「NKガードS09」 固形分20%):75g/L
トリアジン系化合物(トリメチロールメラミン):3g/L
有機アミン系触媒:3g/L
(比較例3)
上記処方3に代えて下記処方5とした以外は実施例3と同様に行い、比較例3の布帛を得た。
<処方5>
親水性基を含有しないフルオロアルキルアクリレート共重合体(日華化学株式会社製、商品名「NKガードS09」):75g/L
イソシアネート系架橋剤(日華化学株式会社製、商品名「NKアシストV」):10g/L
(比較例4)
上記処方1においてトリメチロールメラミン、有機アミン系触媒を省いた以外は実施例5と同様に行い、比較例4の布帛を得た。
(比較例5)
上記処方1に代えて下記処方6とした以外は実施例7と同様に行い、比較例5の布帛を得た。
<処方6>
親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体(大原パラジウム化学株式会社製、商品名「パラガードSRF6000」):75g/L
ヒドロキシエチルセルロース(ダイセルファインケム株式会社製 商品名「SP400」):10g/L
グリオキザール系樹脂(三木理研工業株式会社製、商品名「リケンレジンRG−83」 固形分50%):50g/L
金属塩触媒(三木理研工業株式会社製、商品名「リケンフィクサーMX27」 固形分42%):15g/L
(比較例6)
上記処方1においてヒドロキシエチルセルロースを加えず、及び、60℃で10分間湯洗いし、130℃で2分間乾燥した工程を省いた以外は、実施例1と同様に行い、本発明の布帛を得た。
(比較例7)
上記処方1においてヒドロキシエチルセルロースを加えず、及び、60℃で10分間湯洗いし、130℃で2分間乾燥した工程を省いた以外は、実施例と同様に行い、本発明の布帛を得た。
上記得られた布帛の評価結果を表2に示す。
Figure 0006420655
実施例1〜8で得られた布帛は、親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、トリアジン系化合物及び/またはイソシアネート系化合物である架橋剤と、セルロース系化合物と、により形成される被膜層を備えるものであったことから、繰り返し洗濯に対する耐久性に優れた、撥油性、口紅汚れも含む油性汚れ除去性、及び、洗濯再汚染防止性を有するものであった。
ポリエステル繊維のみからなるものとした実施例1〜4の中でも、架橋剤をトリアジン系化合物とした実施例1及び2は、口紅汚れも含む油性汚れ除去性、及び、口紅汚れも含む油性汚れ除去性の繰り返し洗濯に対する耐久性、により一層優れるものであった。
ポリエステル繊維とセルロース系繊維を混用した実施例5〜8の中でも、架橋剤をイソシアネート系化合物とした実施例7、8は、撥油性、口紅汚れも含む油性汚れ除去性、洗濯再汚染防止性、の繰り返し洗濯に対する耐久性、ソフトな風合い、遊離ホルムアルデヒド抑制により一層優れるものであった。
一方、比較例1及び4は、架橋剤を含まないものであったことから、撥油性、口紅汚れも含む油性汚れ除去性、洗濯再汚染防止性の、繰り返し洗濯に対する耐久性が劣るものであった。
比較例2及び3は、フッ素樹脂繊維処理剤が親水性基を含有しないフルオロアルキルアクリレート共重合体であったことから、初期及び繰り返し洗濯後両方において、口紅汚れも含む油性汚れ除去性、及び、洗濯再汚染防止性に劣るものであった。
比較例5は、架橋剤がトリアジン系化合物及び/またはイソシアネート系化合物以外のものであったことから、撥油性、口紅汚れも含む油性汚れ、洗濯再汚染防止性の、繰り返し洗濯に対する耐久性が劣るものであった。
比較例6及び7は、セルロース系化合物を含まないものであったことから、口紅汚れも含む油性汚れ除去性、及び、洗濯再汚染防止性、の繰り返し洗濯に対する耐久性に劣るものであった。

Claims (10)

  1. 合成繊維からなる布帛であって、親水性基を有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、トリアジン系化合物及び/またはイソシアネート系化合物である架橋剤と、セルロース系化合物と、により形成される被膜層を備えることを特徴とする布帛。
  2. 前記セルロース系化合物が、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースからなる群より選ばれた1種以上の化合物である、請求項1に記載の布帛。
  3. 前記合成繊維の少なくとも一部が親水性樹脂によって被覆されている、請求項1または2に記載の布帛。
  4. 前記布帛が、ポリエステル繊維の混用率が100%であり、かつ、前記架橋剤がトリアジン系化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の布帛。
  5. 前記布帛がポリエステル繊維とセルロース系繊維とを含み、かつ、前記架橋剤がイソシアネート系化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の布帛。
  6. 前記セルロース繊維系繊維の混用率が10〜70質量%である、請求項5に記載の布帛。
  7. 前記布帛全体の質量に対する、前記親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体の付与率X(質量%)、前記架橋剤の付与率X(質量%)、及び前記セルロース系化合物の付与率X(質量%)が、それぞれ下記式(i)〜(iii)を満足する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の布帛。
    Figure 0006420655

    Figure 0006420655

    Figure 0006420655
  8. 下記(I)〜(III)を満足する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の布帛。
    (I)家庭洗濯30回後における口紅除去性能が3.5級以上
    (II)家庭洗濯30回後における再汚染防止性が3.5級以上
    (III)家庭洗濯10回後におけるJIS L1919 C法(親油性汚染物質2)による汚れの落ちやすさが3.5級以上
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の布帛の製造方法であって、
    布帛に、前記親水性基を含有するフルオロアルキルアクリレート共重合体と、前記架橋剤と、前記セルロース系化合物とを含む液を付着させる工程と、
    前記付着させる工程より後に前記布帛を温度150〜200℃で熱処理する熱処理工程とを含む、布帛の製造方法。
  10. 前記付着させる工程より前に、前記布帛を親水性樹脂で被覆する工程を含む、請求項9に記載の布帛の製造方法。
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