図1を参照すると、本発明の一実施形態による、可撓性を有する包装材から作られて内容物が封入された包装体100の断面図が示されている。包装材は、例えば熱可塑性樹脂層を有するラミネートフィルムを用いることができ、この熱可塑性樹脂層が向かい合うように、1枚の包装材を折り合わせ、または2枚の包装材を互いに重ね合わせた状態とし、向かい合った熱可塑性樹脂層同士を所定の箇所で熱溶着により接合することによって袋状に形成されている。内容物は、包装材の熱溶着によって形成された接合部103で囲まれた密封領域である封入部101内に封入されている。
包装材の形態としては、上記のようにシート状のフィルムを用いることができるが、予めチューブ状に成形されたインフレーションフィルムを用いることもできる。また、包装材の接合は、熱溶着に限らず、超音波溶着であってもよい。
封入部101の形状は任意であってよい。ただし、本発明においては、封入部101は、包装材の縁部に向かって局部的に突出して延びた延長部102を有している。延長部102も含め、封入部101では包装材は接合されていない。
包装体100は、包装材の一部を切断することによって開封することができる。そのため、包装体100には、包装体100を開封する際に包装材の切断開始位置を示す切り欠き104が、包装体100の上端部に形成されている。切り欠き104は、開封のために包装材を切断したとき、図1に一点鎖線で示すように、延長部102を横断するように包装材の切断が進行する位置に形成されている。包装材の切断により開口した延長部102の端部が開封口となる。開封口は、包装体100が開封される前は、包装材を切断したときに延長部102を通過する部分であるということができる。
図1では、包装体100の上端部において幅方向両側にそれぞれ、開封時の包装体100の切断開始位置を示す切断補助手段として、切り欠き104が形成されているが、片側のみに切り欠き104が形成されていてもよい。また、切断補助手段は、切り欠き104に限られるものではなく、例えば、切り込み、または包装材に印刷されたマークなど、消費者が視覚的に認識できるものであれば任意であってよい。ただし、開封補助手段がなくても包装材を切断することは可能であり、本発明にとって開封補助手段は必須の構成ではない。
本形態の包装体100は、内容物として例えば、100〜200mlの飲料を封入しており、封入されている飲料を飲むために、飲料を包装体100の外部へ導出する導出具であるストロー150が用いられる。ストロー150は、全体が筒状に形成されている。ストロー150は、袋(不図示)に入れられて、袋を包装体100に接着することなどによって包装体100に添付されていてもよいし、包装体100とは別に提供されてもよい。
包装体100に封入されている飲料を飲むときは、消費者は、まず、切り欠き104から包装材を包装体100の幅方向に切断する。包装材の切断が、少なくとも延長部102を通過する位置まで進行することによって、開封口が開口する。消費者は、開封口が開口した段階で包装材の切断をやめてもよいし、包装材をもう一方の切り欠き104が形成された側の端まで切断し、包装材の上端部を切除してもよい。図2に、包装材の上端部を切除した状態での包装体100を示す。包装材の切断は、消費者が包装材を手で引き裂くことによって行ってもよいし、刃物を使用して行ってもよい。
開封口が開口したら、消費者は、図3に示すように、ストロー150を開封口から封入部101内に挿入する。このとき、ストロー150は、延長部102を通過して封入部101内に進入する。
延長部102の幅は、ストロー150が挿入されたとき、ストロー150の外周面によって包装材にストロー150の周方向の張力が与えられる寸法とされている。このことにより、ストロー150が包装体100に挿入された状態では、延長部102のストロー150が挿入された部分では包装材の内面がストロー150の外周面と密着することとなる。しかも、延長部102は、包装材の対面している部分で構成され、ストロー150が挿入される方向に長さを有しているので、延長部102は、延長部102が延びる長さの範囲でストロー150を保持することができる。よって、例えば、消費者が包装体100を握るなどして包装体100が外部から加圧されたような場合であっても、包装材とストロー150との間を通って開封口から内容物が漏れるおそれは殆どない。
開封時に内容物が漏れないようにするため、延長部102を上に向けた姿勢で包装材が切断され、また、その姿勢とされたとき、内容物が自重で下方に移動し、少なくとも延長部102の上部である切断位置には内容物が存在しない量だけ、包装体100に内容物が封入されている。したがって、開封のために包装材を切断したとき、延長部102で包装材の向かい合う内面同士がほぼ接しており、ストロー150が差し込みにくい状態となっていることがある。
そこで、開封時に延長部102の開封口からストロー150を挿入し易くするため、図4に示すように、延長部102の開封口側の端部である先端部が、包装体100を開封したときに包装材同士の間隔が広げられて膨らみを持った形状となるように、包装材に、くせ付けが施されていることが好ましい。くせ付けは、包装材を延長部102で切断することで形成された開封口から挿入されるストロー150の外周面の形状と一致した形状となるように行う必要はなく、ストロー150の先端を差し入れることができる程度に開封口が開くように行われていれば十分である。
包装材へのくせ付けは、少なくとも延長部102の先端側で包装材が接合される前に行うことができる。くせ付けの方法としては、例えば、延長部102とする部分で包装材を加熱により軟化させた状態で、包装材の内面を柱状部材の外周面に押し当てて包装材を柱部材の周面に沿って塑性変形させ、その状態で包装材を室温まで冷却する方法が挙げられる。
また、延長部102の先端部の形状を、包装材の端辺に向かうにつれて延長部102の幅が広くなるテーパー状とし(例えば図14に示される形状)、このテーパー状の部分で開封のための包装材の切断が行われるようにすることで、より容易に開封口からストロー150を差し入れることができるようになる。
延長部102は、挿入されるストロー150との関係で、幅を上述のように規定することで、内容物を漏れにくくするという機能を十分に発揮できるものである。このことは、例えば図5、6に示すような比較的大容量(例えば、1〜2リットル)の包装体200において、導出具としてスパウト250が用いられる場合でも同様である。図5、6に示す包装体200は、封入部201、延長部202、接合部203および切り込み204などを含め、全体的な形状およびサイズが図1に示した包装体100と異なっているが、スパウト250が挿入される延長部202と、スパウト250の延長部202に挿入される部分との関係は、図1に示した形態と同様である。
本形態で用いられるスパウト250は、延長部202に挿入される部分が筒状に形成されており、包装体200に挿入される先端側は、先細りのテーパー状とされている。内容物導出用の開口252が、テーパー状とされている側面に形成されている。スパウト250の軸方向中間部には、包装体200への挿入時のストッパとなる二重フランジ251が形成されている。また、スパウト250の包装体200に挿入される側と反対側の端部には、キャップ253が取り外し自在に装着されており、これによって、開封した包装体200の再密封が可能とされる。なお、スパウト250としては、図示したような構成を有するものに限らず任意のスパウトを用いることができる。例えば、包装体200の内部へ空気が導入されないように一方弁を有するスパウトを使用することもできる。
スパウト250は、洗浄して再利用可能であるので、内容物を消費した後、包装体200からスパウト250を取り外し、空の包装体200、すなわち包装材のみを廃棄することができる。包装材は可撓性を有しているので、丸めたり折り畳んだりしてコンパクトにした状態で廃棄が可能である。また、スパウト250を再利用することにより、廃棄物の削減および資源の節約が可能となる。
ところで、上述したような比較的大容量の包装体において内容物を包装体200から注ぎ出す際には、スパウト250が下に向くように包装体200が傾けられる。スパウト250は延長部202に挿入されて保持されているだけなので、延長部202とスパウト250との間の密着性が十分でないと、スパウトを下に向けたときに、スパウトと延長部との間を通って開封口から内容物が漏れてしまうことが考えられる。
そこで、例えば図7に示すように、延長部202を、幅の狭い部分を有する形状とすることが好ましい。このような延長部202の形状は、延長部202を形成するための包装材の接合部201の形状を、延長部202との境界において、延長部202の幅方向内側に向かって突出する少なくとも1つの突出部201aを有する形状とすることによって得ることができる。
延長部202にスパウト250を挿入したとき、延長部202の幅方向両側縁、すなわち包装材の接合部201と非接合部との境界において、スパウト250と延長部202との間に隙間が生じる可能性がある。よって、上記のように、延長部202の幅が狭くなる部分を有するように包装材を接合することで、延長部202において、スパウト250と包装材との間をより確実にシールすることができる。延長部202の幅を狭くするために形成される突出部201aの高さは、延長部202へのスパウト250の挿入が困難にならないよう、3mm未満であることが好ましい。また、延長部202へのスパウト250の挿入によって、突出部201aにおいて包装材の剥離が生じるようなものであってもよい。
より良好なシール性を確保するためには、突出部201aは延長部202の幅方向両側に形成されることが好ましい。また、スパウト250のスムーズな挿入のためには、突出部201aは、延長部202の幅方向両側の互いに対向する位置に形成されることが好ましい。突出部201aの位置および数は特に限定されない。複数の突出部201aを有する場合、延長部202の幅方向両側に突出部201aを同じ数ずつ配置してもよいし異なる数の突出部201aを配置してもよい。さらに、延長部202の幅方向片側のみに突出部201aを配置してもよい。
次に、本発明による包装体の製造方法および製造装置の一形態について、図5に示した包装体200を製造する場合を例に挙げて説明する。
図8を参照すると、本発明の一実施形態による充填包装機1が示される。また、フィルムからどのようにして包装体200が製造されるかを説明するための、フィルムの供給から包装体の完成までのフィルムの状態を図9に示す。
図8に示す充填包装機1は、長尺のフィルム8を、互いに接合される内面同士を向かい合わせて送りながら、フィルム8の内面同士を所定の部位で接合してフィルム8を袋状に形成しつつ、内容物が封入された包装体を製造するように構成されている。ここでは、フィルム8としてインフレーションフィルムを用い、内容物として液体が封入された包装体を製造する場合を例に挙げて説明する。インフレーションフィルムは、高温中で成形されたチューブ状のフィルムを直ちに扁平状に圧し、内面同士を密着させている。そのため、フィルムの内面は極めて清浄であり、内容物が食品や飲料などの場合に好適である。
充填包装機1は、ロールに巻かれたフィルム8を回転自在に支持するフィルム供給部、トップ側帯カッターユニット10、くせ付けユニット20、トップコーナー溶着ユニット30、トップセンター溶着ユニット40、トップコーナーカッターユニット50、ボトム側帯カッターユニット60、ボトムコーナー溶着ユニット70、ボトムコーナーカッターユニット80、エンド溶着ユニット90および個分けカッターユニット95を有する。フィルム供給部においてロールから繰り出されたフィルム8は、第1〜第3送りローラ3、4、5およびこれらの間に配置された適宜のガイドローラによって、上記の各ユニットを順番に通過するように搬送される。上記の各ユニットのうち、トップ側帯カッターユニット10およびボトム側帯カッターユニット60を除くすべてのユニットは、フィルム8の送りが一時停止された状態で動作される。上記の各ユニットのうち、トップコーナー溶着ユニット30、トップセンター融着ユニット40、ボトムコーナー溶着ユニット70およびエンド溶着ユニット90といった各溶着ユニットは、フィルム8の内面同士を複数の段階に分けて接合する複数の接合手段を構成する。
繰り出されたフィルム8は、まず、トップ側帯カッターユニット10によって、包装体200の上部(導出具が装着される側の端部)に相当するフィルム8の縁部であるトップ側帯がフィルムの送り方向に沿って除去される(S11)。トップ側帯カッターユニット10は、フィルム8の縁部においてフィルム8の搬送経路に臨ませて配置されたカッターを有し、フィルム8の送りに伴ってフィルム8がこのカッターを通過することによって、トップ側帯をフィルム8の送り方向に沿って除去することができる。また、これによって、包装体200の上側に相当するフィルム(インフレーションフィルム)8の部分となる、フィルム8の幅方向一方の端部が開放される。トップ側帯が切除されたフィルム8は、くせ付けユニット20が配置された位置で一時停止され、ここでくせ付けユニット20の動作させることによって、包装体200の延長部102に相当するフィルム8の部分への、前述したくせ付けが行われる(S12)。
以下、くせ付けユニット20の一形態について、図10〜13を用いて説明する。
本発明の一形態によるくせ付けユニット20は、対向配置される一対の加熱バー21と、くせ付けの型となる丸軸部材24とを有することができる。丸軸部材24は、トップ側帯カッターユニット10(図8参照)により開放したフィルムの端部側から、向かい合ったフィルムの内面の間に進退可能に構成されている。丸軸部材24の直径は、包装体200を開封したときにスパウト250の先端が挿入できる程度にくせ付けされる直径であれば特に限定されない。一対の加熱バー21は、それぞれヒータを内蔵しており、丸軸部材24を間において、互いに接近および離間する方向に進退可能に構成されている。図11に示すように、各加熱バー21の互いの対向面には、丸軸部材24の外周面の曲率半径と等しい曲率半径を持つ円弧状の凹部21aが、丸軸部材24に対応する位置に形成されている。
上記のとおり構成されたくせ付けユニット20によってフィルムにくせ付けを行う際は、フィルムの送りが停止した状態で、まず、向かい合ったフィルムの間に丸軸部材24を進入させる。次いで、図12に示すように、加熱バー21を互いに接近させるように前進させてフィルム8を丸軸部材24の外周面に押し付ける。押し付けられたフィルム8は、丸軸部材24と加熱バー21の凹部21aに挟まれた部分が丸軸部材24の外周面に沿って湾曲し、この状態で加熱バー21からの熱によって軟化する。加熱バー21によって丸軸部材24へフィルム8を押し付ける時間は、フィルム8が軟化する時間で十分である。フィルム8が軟化した後、加熱バー21は丸軸部材24から離間する方向に後退される。フィルム8は軟化しているので、加熱バー21がフィルム8から離れても、フィルム8が湾曲した形状は保たれる。この状態でフィルム8が常温まで冷却されることによって、フィルム8へのくせ付けを行うことができる。
フィルム8の冷却をより効果的に行えるようにするために、くせ付けユニット20は、冷却バーをさらに有することができる。本形態では、丸軸部材24を間において対向配置された一対の冷却バー22が、互いに接近および離間する方向に進退移動可能に構成されている。冷却バー22は、加熱バー21と同様、互いの対向面に、丸軸部材24の外周面の曲率半径と等しい曲率半径を持つ円弧状の凹部22a(図11参照)が形成されている。この凹部22aでフィルム8を丸軸部材24の外周面に押し付けつつフィルム8を冷却することで、フィルム8を効果的に冷却することができる。また、フィルム8の湾曲状態が維持されるので、より良好なくせ付けが可能となる。
本形態ではさらに、図10に示すように、加熱バー21および冷却バー22の対向移動方向と直角な方向に移動可能に設けられたベース25上に、加熱バー21および冷却バー22をそれらの対向方向に進退可能に支持している。加熱バー21と冷却バー22とはそれぞれ別々の駆動源によって互いに独立して動作させることもできるし、両者を共通の駆動源で動作されるようにすることもできる。この構成により、まず、一対の加熱バー21が丸軸部材24と対向する位置にベース25を移動させた状態で加熱バー21を動作させてフィルムを軟化させ、次いで、一つの冷却バー22が丸軸部材24と対向する位置にベース25を移動させ、この状態で冷却バー22を動作させることによって、軟化したフィルムを固化させることができる。
くせ付けユニット20は一対のフィルム押さえ23を有することもできる。フィルム押さえ23は、少なくとも加熱バー21がフィルムを丸軸部材24に押し付ける際に、フィルムに弛みが生じないようにフィルムを保持するための機構である。
フィルム押さえ23の一形態について、図13を参照して説明する。フィルム押さえ23は、丸軸部材24を間において対向配置された一対のベース231を有する。ベース231は、互いに接近する方向および離間する方向に進退可能に構成されている。ベース231は加熱バー21と一緒に動作させることができ、よって、図10に示すようにベース231を加熱バー21と連結すれば、ベース231の動作のための駆動源は不要である。
各ベース231には2本のアーム232、233が支持されている。各アーム232、233は、末端がフィルム8の送り方向に揺動自在に支持され、先端にいくにつれて互いの間隔が広がるように、一方のアーム232が丸軸部材24の上方に向かって延び、他方のアーム233が丸軸部材24の下方に向かって延びている。これら2本のアーム22、233は、バネ235によって、互いの間隔が狭くなる向きに付勢されるように連結されている。アーム232、233の先端には、フィルム8と当接するパッド234が揺動自在に支持されている。図10に示すように、パッド234の先端面が加熱バー21の先端面よりも突出した位置となるように、アーム232、233の位置、長さ、角度、およびパッド234の厚さなどが設定されている。
上記のとおり構成されたフィルム押さえ23は、以下のとおり動作する。
加熱バー21の動作前の図10に示した状態では、一対のフィルム押さえ23は互いに離間した状態となっている。加熱バー21が動作し、接近する方向に前進すると、それと同時にフィルム押さえ23も互いに接近する方向に前進する。加熱バー21およびフィルム押さえ23の前進により、加熱バー21よりも先に、フィルム押さえ23のパッド234によって、丸軸部材24の上方および下方でフィルム8が挟持される。
パッド234が取り付けられているアーム232、233は、ベース231に揺動自在に支持されているので、パッド234でフィルム8が挟持された後も、加熱バー21は、バネ235の付勢力に抗してアーム232、233を変位させながら、丸軸部材24との間でフィルム8を挟み込むまで前進することができる。パッド234でフィルム8が挟持された後の加熱バー21の前進によって、フィルム8を挟持しているパッド234の、丸軸部材24の上下方向での間隔が拡げられる。これにより、丸軸部材24の上下でフィルム8が上下方向に引っ張られるので、フィルム8に皺を生じさせることなくくせ付けを行うことができる。
再び図8および図9を参照すると、くせ付けの終了後、フィルム8が再び送られ、次に、トップコーナー溶着ユニット30が配置された位置でフィルム8の送りが一時停止される。ここでトップコーナー溶着ユニット30を動作させることによって、包装体200の上側コーナー部に相当するフィルム8の部分が熱溶着される(S13)。トップコーナー溶着ユニット30は、包装体200の上側コーナー部でのフィルム8の溶着形状に対応した加圧面を有するヒーターバーと、フィルム8を間においてこのヒーターバーと対向配置されたヒーターバー受けとを有している。これらヒーターバーおよびヒーターバー受けでフィルム8を加圧および加熱することで、包装体200の上側コーナー部が熱溶着される。
上側コーナー部の熱溶着の終了後、フィルム8が再び送られ、次に、トップセンター溶着ユニット40が配置された位置でフィルム8の送りが一時停止される。ここでトップセンター溶着ユニット40を動作させることによって、トップコーナー溶着ユニット30によって熱溶着された部分の間の、くせ付けユニット20によってくせ付けされた部分の外側のフィルム8の部分が熱溶着される(S14)。トップセンター溶着ユニット40は、包装体200の上側コーナー部の間でのフィルム8の溶着形状に対応した加圧面を有するヒーターバーと、フィルム8を間においてこのヒーターバーと対向配置されたヒーターバー受けとを有している。これらヒーターバーおよびヒーターバー受けでフィルム8を加圧および加熱することで、包装体200の延長部202が形成される。
本形態では、包装体200のトップ部の熱溶着を、トップコーナー溶着ユニット30およびトップセンター溶着ユニット40を用いて2回に分けて行っているが、一つの溶着ユニットによって一括して行うこともできる。以上のようにしてトップ溶着部213が形成される。トップ溶着部213は、トップコーナー溶着ユニット30およびトップセンター溶着ユニット40によって熱溶着された場合だけでなく、一括して熱溶着された場合も含む。
トップセンター溶着ユニット40による熱溶着の終了後、フィルム8が再び送られ、次に、トップコーナーカッターユニット50が配置された位置でフィルム8の送りが一時停止される。ここでトップコーナーカッターユニット50を動作させることによって、トップコーナー溶着ユニット30およびトップセンター溶着ユニット40によって熱溶着された部分の外側のフィルム8の部分であるトップ切除部211が除去される(S15)。なお、製造する包装体の上部の形状が、一様な幅を有する矩形状など、フィルム8を切除する必要がない場合は、トップコーナーカッターユニット50は不要である。
トップ切除部211の除去後、フィルム8が再び送られる。フィルム8の送り方向においてトップカッターユニット50の下流側にはボトム側帯カッターユニット60が配置されている。ボトム側帯カッターユニット60は、トップ側帯カッターユニット10と同様の構成を有しており、フィルム8の幅方向においてトップ側帯カッターユニット10と反対側に配置されている。フィルム8がボトム側帯カッターユニット60を通過することによって、包装体の下部(導出具が装着される側と反対側の端部)に相当するフィルム8の縁部であるボトム側帯が、フィルム8の送り方向に沿って除去される(S16)。また、これによって、包装体の下側に相当するフィルム(インフレーションフィルム)8の部分となる、フィルム8の幅方向他方の端部が開放される。
ボトム側帯カッターユニット60によってボトム側帯が除去されたフィルム8は、下方に送られる。フィルム8が下方に送られている間に、フィルム8の残りの部分の熱溶着および内容物の投入が行われる。
内容物の投入は投入パイプ2によって行われる。投入パイプ2は、図9に示すように、ボトム側帯カッターユニット60によって開放されたフィルム8の端部側から、向かい合ったフィルム8の間に挿入され、下端が下向きに延びて配置されている。
投入パイプ2が挿入された位置の下方にはボトムコーナー溶着ユニット70が配置されている。トップコーナー溶着ユニット30によって熱溶着された部分と対向するフィルム8の部分が、ボトムコーナー溶着ユニット70が配置された位置まで送られると、フィルム8の送りが一時停止される。ここでボトムコーナー溶着ユニット70を動作させることによって、包装体200の下側コーナー部に相当するフィルム8の部分が熱溶着される(S17)。ボトムコーナー溶着ユニット70は、包装体200の下側コーナー部でのフィルム8の溶着形状に対応した加圧面を有するヒーターバーと、フィルム8を間においてこのヒーターバーと対向は位置されたヒーターバー受けとを有している。これらヒーターバーおよびヒーターバー受けでフィルム8を加圧および加熱することで、包装体200の下側コーナー部が熱溶着される。こうしてボトム溶着部214が形成される。
ボトムコーナーカッターユニット80は、ボトムコーナー溶着ユニット70の下方に配置されている。ボトムコーナー溶着ユニット70による熱溶着の終了後、フィルム8が再び送られ、次に、ボトムコーナーカッターユニット80が配置された位置でフィルム8の送りが一時停止される。ここでボトムコーナーカッターユニット80を動作させることによって、ボトムコーナー溶着ユニット70で熱溶着された部分の外側のフィルム8の部分であるボトム切除部212が除去される(S18)。なお、製造する包装体の下部の形状が、一様な幅を有する矩形状など、フィルム8を切除する必要がない場合は、ボトムコーナーカッターユニット80は不要である。
ここまでの一連の工程では、包装体200のトップ部を先に形成し、その後、ボトム部を形成している。しかし、この順序は逆であってもよい。また、皺を生じさせない熱溶着、およびフィルム8の正確な位置での切断を行うため、包装体200のトップ部およびボトム部の形成は、できるだけフィルム8が扁平な状態で行うことが好ましい。よって、投入パイプ2は、図9に示すように、下端がボトムコーナーカッターユニット80より下方に位置していることが好ましい。
以上の工程を経て、トップ溶着部213およびボトム溶着部214が形成されたフィルム8に、投入パイプ2により内容物が投入される。
投入パイプ2の下方にエンド溶着ユニット90が配置されている。ボトム切除部212の除去後、フィルム8が再び送られ、次に、個々の包装体200の境界部に相当する部分が、エンド溶着ユニット90が配置された位置まで送られるとフィルム8の送りが一時停止される。ここでエンド溶着ユニット90を動作させることによって、個々の包装体200の境界部に相当する部分が熱溶着される(S19)。
エンド溶着ユニット90は、トップ溶着部213とボトム溶着部214とを跨いでフィルム8の幅方向に延びる加圧面を有するヒーターバーと、フィルム8を間においてこのヒーターバーと対向配置されたヒーターバー受けとを有している。これらヒーターバーおよびヒーターバー受けでフィルム8を加圧および加熱することで、トップ溶着部213とボトム溶着部214との間のフィルム8の部分が熱溶着され、これによってエンド溶着部215が形成される。
エンド溶着部215によって、個々の包装体200の封入部101(図5参照)が形成される。エンド溶着ユニット90を超える高さまで内容物が投入された状態でエンド溶着ユニット90を動作させる、いわゆる液中シールを行うことで、封入部101に空気を存在させることなく包装体200を製造することができる。この際、エンド溶着ユニット90のヒーターバーおよびヒーターバー受けは、内容物によって膨らんだフィルム8の部分を加圧することになる。過度の膨らみは、適切な熱溶着のためには好ましくない。よって、フィルム8の膨らみができるだけ少ない状態で熱溶着を行うことができるように、トップ溶着部213とボトム溶着部214の間隔が、投入パイプ2の配置の妨げにならない程度まで狭くなるように、トップ溶着部213およびボトム溶着部214の形状が設計されることが好ましい。
エンド溶着部215が形成された後、フィルム8が再び送られ、次に、エンド溶着部215が、個分けユニット95が配置された位置まで送られるとフィルム8の送りが一時停止され、個分けユニット95を動作させられる。個分けユニット95は、フィルム8をその幅方向全幅にわたって切断するカッターを有しており、個分けユニット95の動作によって、フィルム8はエンド溶着部215が形成された部分でフィルム8の幅方向全幅にわたって切断され、これによって、個々に分離された包装体200が得られる(S20)。
以上、本発明について幾つかの形態を用いて説明した。ただし、本発明は上述した形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変更が可能である。
包装体の形態は、前述した四方シールタイプの包装体に限らず、三方シールタイプ、ピロータイプ、スタンディングパウチタイプおよびゲーブルトップタイプなど、包装材を対面させて接合される部分を有する形態であれば任意の形態の包装体に適用することができる。また、包装体のサイズも、内容量が100ml程度の小型サイズから20リットル程度の大型サイズまで種々のサイズ包装体に適用することができる。包装体に封入される内容物は、ストローやスパウトといった導出具を通じて外部へ導出可能なものであれば任意の内容物であってよく、特に、液体、ペースト状物、粘稠物、粉体など流動性を有する内容物において本発明は優れた効果を発揮し得る。
また、上述した形態では、インフレーションフィルムを包装材として用いたが、シート状のフィルムを用いることもできる。シート状のフィルムを用いる場合は、トップ側帯カッターユニット10およびボトム側帯カッターユニット60は不要であり、その代わりに、1枚のシート状フィルムを長手方向に沿って2つ折りにしたり筒状にフォーミングしたりするための製袋ガイド(不図示)が備えられる。あるいは2枚のシート状シートを対面させて供給するようにすることもできる。
以下に、本発明を適用した包装体の他の形態について説明する。
(ゲーブルトップ1)
図14に示す形態は、内容量が例えば500mlのゲーブルトップタイプの包装体300に本発明を適用した場合である。内容物は飲料である。ゲーブルトップタイプの包装体は多くの場合は紙容器によって自立するように作られているが、フィルムのように可撓性を有する包装材を用いても、縦方向に延びる四辺をヘムシール306とすることで自立させることができる。包装体300には導出具として2段伸長式のストロー350が添付されている。包装体300は、開封用のタブ305を上端部に有しており、このタブ305が切除されることによって開封されるように構成されている。タブ305の切除を補助するために、切断開始位置を示す切り込みが形成されている。この切り込みは、封入部301から局所的に延びる延長部202を通過する位置で包装材が切断される位置に形成されている。これら、包装体300の開封のための構造は、前述した形態と同様であるので、ここではその詳細な説明は省略する。
タブ305の除去により延長部302に開封口が形成され、この開封口からストロー350が差し込まれると、ストロー350が延長部302で保持され、このストロー350を使用して飲料を飲むことができる。
(ゲーブルトップ2)
図15に示す包装体400は、図14に示した包装体300と同様に構成されたゲーブルトップタイプの包装体400である。ただし、内容量が例えば1リットル程度と大容量であり、内容物は他の容器に移し替えられるなどして複数回に分けて消費される。適する内容物は、飲料や液体調味料などである。導出具としては、スパウト450が使用される。図15ではキャップ付きのスパウト450が示されるが、スパウト450を通じて包装体内に空気が導入されないように、一方弁付きのスパウトとすることもできる。包装体400のタブ405を切除することによって、延長部402に開封口が形成される。この開封口からスパウト450が差し込まれると、スパウト450が延長部402で保持される。内容物は、包装体400にスパウト450が装着された状態で包装体400を傾けることによって、スパウト450から注ぎ出すことができる。スパウト450は外周面が包装材と密着して保持されているので、スパウトと包装材との間から内容物が漏れることはない。
(剛性容器で保管)
例えば図5に示したような大容量の包装体200を剛性容器に収納して保管する場合の形態を図16に示す。
図16において、包装体200およびスパウト250は、それぞれ図5に示したものと同様に構成されたものを用いることができる。包装体250の内容量は、例えば1〜2リットル程度、内容物は、例えばミネラルウォーターなどの飲料とすることができる。一般的に、三方シールタイプまたは三方シールタイプの包装体200は、包装材自身が可撓性を有することから自立することができないため、寝かせた状態で保管される。よって、包装体200が大容量である場合はそれなりの保管スペースが必要となる。
そこで、このような包装体200の保管のために剛性容器を用いることで、包装体200を立てた状態で保管することができる。また、包装体200を外力による損傷から保護することもできる。
図16に示す形態では、剛性容器は、容器本体510と蓋部材520とを有する。容器本体510は、包装体200を立てた状態で収納できるサイズで形成されている。容器本体510の高さは、スパウト250が装着された包装体200を容器本体510に収納したとき、包装体200の外部に露出しているスパウト250の部分が容器本体510から突出する高さ以下であることが好ましい。スパウト250は、包装体270から露出している部分の下端に二重フランジ251が形成されている。また、スパウト250はキャップ253により再密封可能とされる。
蓋部材520は、容器本体510に対して取り外し可能に固定される。蓋部材520の天面には、包装体200を収納した容器本体510に蓋部材520が固定されたときにスパウト250と対向する位置にスパウト保持孔521が形成されている。スパウト保持孔521は、第1の部分521aと、それに連続する第2の部分521bとを有する。第1の部分521aは、スパウト250の二重フランジ251が自由に通過できるように、二重フランジ251の平面サイズよりも大きなサイズで開口した部分である。第2の部分521bは、スパウト250を第1の部分521aから二重フランジ251の面内方向にスライドさせることで二重フランジ251においてスパウト250を保持することができるように構成された部分である。二重フランジ251でスパウト250を保持するために、第2の部分251bは、図16に示すような、スパウト保持孔521内に突出する突起を有することができる。突起は、第1の部分521aからスライドしてきた二重フランジ251の間に受け入れられる寸法で形成されている。あるいは、スパウト保持孔521の第2の部分521bを二重フランジ251の平面サイズよりも小さいサイズで形成し、かつ、その二重フランジ251の平面サイズよりも小さい部分が、第1の部分521aからスライドしてきた二重フランジ251の間に受け入れられる寸法で形成されるようにしてもよい。
蓋部材520およびスパウト250を上記のように構成することで、蓋部材520にスパウト250を保持させるには、まず、スパウト保持孔521の第1の部分521aに、スパウト250を、二重フランジ251が、スパウト250の軸方向において蓋部材520の天面とほぼ同じ位置になるまで挿入する。次いで、スパウト250を第2の部分521bへスライドさせる。このとき、第2の部分521bの、二重フランジ251の間に受け入れられる部分を二重フランジ251の間に入るようにしてスライドさせることにより、スパウト250を蓋部材520に保持させることができる。蓋部材520へのスパウト250の保持は、蓋部材520を容器本体510に固定する前であってもよいし、固定した後であってもよい。
以上のようにして蓋部材520へのスパウト250の保持、および容器本体510への蓋部材520の固定が完了すれば、その後は、スパウト250のキャップを取り外し、容器本体510を傾けて内容物を注ぎ出すといった、一般的なペットボトル入り飲料と同等の取り扱いが可能となる。ただし、本形態では、飲料は包装体200内に封入されており、飲料を消費した後に廃棄されるのは包装体200のみとすることができるので、廃棄物の削減およびコンパクトな廃棄が可能となる。また、容器本体510、蓋部材520およびスパウト250は再利用できるので、資源の節約にも役立つ。
(飲料サーバー用バッグ)
本発明による包装体は、飲料サーバー用のバッグとしても利用することができる。図17A〜17Eに、本発明による包装体を飲料サーバー用のバッグとして利用した場合の一形態を示す。包装体600の内容量は、例えば8〜20リットルであり、内容量以外は前述した形態で説明した包装体と同様に構成される。
図17Aに示すように、包装体600は剛性容器に収納されて使用される。包装体600を剛性容器に収納して使用する主な理由は、包装体600を外力から保護すること、および包装体600の形状を安定させて包装体600内の飲料水をできるだけ無駄なく使用できるようにすることである。剛性容器は、容器本体610と、蓋部材620とを有する。容器本体610および蓋部材620には、蓋部材620が容器本体610から外れないようにするための、任意の固定構造を有する。蓋部材620には、包装体600の開封口周辺の部分、例えば延長部602を有する部分を容器外へ出すための開口部621が形成されている。容器本体610の外周面には、取っ手を兼ねる2つの円板612が、互いに平行になるように対向して取り付けられている。
包装体600が容器本体610に収納され、延長部602を延出させた状態で蓋部材620が容器本体610に固定された後、図17Bに示すように、包装体600のタブ605が切除され、これによって開口した開封口から、サーバー本体と接続される連結チューブ650の先端部が差し込まれる。連結チューブ650の先端部は、これまで述べてきたスパウトの包装体に差し込まれる部分と同じ構造を有することができ、これによって、連結チューブ650は、その先端部が包装体600の延長部602に保持される。以上により、包装体600、チューブ650、容器本体610および蓋部材620を有するタンクアセンブリ660が得られる。
通常は、前述してきた各形態のように、スパウトやストローなどの導出具を延長部に挿入するだけで導出部を十分に保持することができるが、本形態のように飲料サーバー飲料バッグとして包装体を用いる場合、後述するように、飲料サーバーにセットされている間、包装体は導出具との接続部を下に向けた姿勢とされるので、導出具がより確実に包装体に保持されることが求められる。
そこで、図17Cに示すような、チューブ650が挿入された部分で包装体600を挟み込むように構成されたクリップ670を用いることが好ましい。クリップ670は、包装体600を挟み込むために互いに対向するクリップ面を有し、そのクリップ面に、包装体600の延長部602に挿入されるチューブ650の部分の外周面形状に対応した凹部が形成されている。このようなクリップ670を用いて、チューブ650が挿入された延長部602を挟み込むことで、チューブ650の接続部からの飲料の漏れを確実に防止することができる。
クリップ670の装着後、図17Dに示すように、タンクアセンブリ660が飲料サーバー700に設置される。飲料サーバー700は、その上部にタンクアセンブリ660が設置されるように構成されており、タンクアセンブリ660を支持する2つの支持部材710を有する。支持部材710は、容器本体610に取り付けられた円板612の外周面に対応した位置に設置され、その上面には、円板612の曲率半径と等しい曲率半径を有する円弧状の凹部が形成されている。したがって、この凹部に円板612を載せることによって支持されたタンクアセンブリ660は、円板612の中心を支点として回転自在に支持される。チューブ650と包装体600との接続部を上側に向けて支持されたタンクアセンブリ660は、図17Eに示すように180度回転されることによって、チューブ650と包装体600との接続部が下側を向くようにされる。タンクアセンブリ660を回転させた後、適宜の固定手段によりタンクアセンブリ660を飲料サーバー700に対して固定することで、タンクアセンブリ660の設置が完了する。
タンクアセンブリ660が設置された後は、通常の飲料サーバーと同様に使用できる。チューブ650と包装体600との接続部では、チューブ650の外周面と包装材とが良好に密着しているので、包装体600から飲料が漏れることはない。
飲料の消費後は、前述した手順とは逆の手順で容器本体610から包装体600を取り出し、さらに、包装体600からチューブ650を引き抜く。廃棄するのは包装体600のみでよいので、廃棄物を削減でき、かつコンパクトに廃棄することができる。また、最小限の部材のみが廃棄されるので、資源も節約できる。