JP6415274B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびにイミド化合物 - Google Patents
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Description
近年、電子写真画像の品質に対する要求は高まる一方である。例えば、ポジゴーストに対する許容範囲が格段に厳しくなってきている。ポジゴーストとは、1枚の画像を形成する中で、光が照射された部分が電子写真感光体の次の回転目にハーフトーン画像になる場合において、光が照射された部分のみの濃度が濃くなる現象である。
下引き層に電子輸送物質を含有させる技術としては、例えば特許文献1および特許文献2には、下引き層にフルオレノン化合物誘導体やイミド化合物誘導体等の電子輸送物質を含有させる技術が開示されている。
R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基を示す。
A1はヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、またはカルボキシル基である。
R9は、A1までの原子数が2〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをCONH基に置き換えて導かれるA1までの原子数が2〜6の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをNR11に置き換えて導かれるA1までの原子数が2〜6の基を示す。該置換のアルキレン基の置換基は、炭素数1〜4のアルキル基である。R11はアルキル基である。
R10は−R12―A2で示される基である。
A2はヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、またはカルボキシル基である。
R12は、A2までの原子数が2〜12の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つを酸素原子に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つを硫黄原子に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをNR13に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基を示す。R13は、水素原子、またはアルキル基である。該置換のアルキレン基の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、またはアルコキシカルボニル基である。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)であることが好ましい。例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄などの金属または合金製の支持体が挙げられる。また、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラスなどの絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金などの金属の薄膜または酸化インジウム、酸化スズなどの導電性材料の薄膜を形成してなるものが挙げられる。
感光層と支持体との間に下引き層が設けられる。
本発明においては、支持体上の下引き層は、下記式(1)で示されるイミド化合物(電子輸送物質)を含む組成物の重合物(硬化物)を含有する。以下、式(1)で示されるイミド化合物を「ナフチルジイミド化合物」ということもある。
R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基を示す。
A1は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、またはカルボキシル基である。
R9は、A1までの原子数が2〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをCONH基に置き換えて導かれるA1までの原子数が2〜6の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをNR11に置き換えて導かれるA1までの原子数が2〜6の基を示す。該置換のアルキレン基の置換基は、炭素数1〜4のアルキル基である。R11はアルキル基である。
R10は、−R12―A2で示される基である。A2は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、またはカルボキシル基である。
R12は、A2までの原子数が2〜12の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つを酸素原子に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つを硫黄原子に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをNR13に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基を示す。R13は、水素原子、またはアルキル基である。該置換のアルキレン基の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、もしくはアルコキシカルボニル基である。
架橋剤としては、上記式(1)で示される化合物と重合(硬化)または架橋する化合物を用いることができる。具体的には、山下晋三,金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)などに記載されている化合物等を用いることができる。
イソシアネート化合物としては、イソシアネート基またはブロックイソシアネート基を複数個有しているイソシアネート化合物が好ましい。例えば、トリイソシアネートベンゼン、トリイソシアネートメチルベンゼン、トリフェニルメタントリイソシアネート、リジントリイソシアネートの他、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトールとのアダクト変性体等が挙げられる。これらの中でもイソシアヌレート変性体とアダクト変性体がより好ましい。
イソシアネート化合物の中で一般的に購入可能なものとしては、例えば、旭化成社製デュラネートMFK-60B、SBA-70B、住化バイエルウレタン社製デスモジュールBL3175、BL3475が挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、N−メチロール基またはアルキルエーテル化されたN−メチロール基を複数個有しているアミン化合物が良い。例えば、メチロール化されたメラミン、メチロール化されたグアナミン、メチロール化された尿素誘導体、メチロール化されたエチレン尿素誘導体、メチロール化されたグリコールウリルおよび、メチロール部位がアルキルエーテル化されたこれら化合物および、これらの誘導体が挙げられる。
一般的に購入可能なアミン化合物としては、例えば、三井化学社製ユーバン20SE60、220、DIC社製、スーパーベッカミンL-125-60、G-821-60等が挙げられる。
また、式(2)で示される構造単位を有する樹脂は、一般的に購入することも可能である。購入可能な樹脂としては、例えば、日本ポリウレタン工業(株)製AQD−457、AQD−473、三洋化成工業(株)製サンニックスGP−400、GP−700などのポリエーテルポリオール系樹脂、日立化成工業(株)製フタルキッドW2343、DIC(株)製ウォーターゾールS−118、CD−520、ベッコライトM−6402−50、M−6201−40IM、ハリマ化成(株)製ハリディップWH−1188、日本ユピカ社製ES3604、ES6538などのポリエステルポリオール系樹脂、DIC(株)製、バーノックWE−300、WE−304などのポリアクリルポリオール系樹脂、(株)クラレ製クラレポバールPVA−203などのポリビニルアルコール系樹脂、積水化学工業(株)製BX−1、BM−1などのポリビニルアセタール系樹脂、ナガセケムテックス(株)製トレジンFS−350などのポリアミド系樹脂、日本触媒(株)製アクアリック、鉛市(株)製ファインレックスSG2000などのカルボキシル基含有樹脂、DIC(株)製、ラッカマイドなどのポリアミン樹脂、東レ(株)製QE−340Mなどのポリチオール樹脂などが挙げられる。これらの中でもポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルポリオール系樹脂などが重合性、電子輸送層の均一性の観点からより好ましい。
重量平均分子量(Mw)は600〜400000の範囲であることがより好ましい。
樹脂中の重合性官能基の定量法は、以下のような方法が挙げられる。すなわち、水酸化カリウムを用いたカルボキシル基の滴定、亜硝酸ナトリウムを用いたアミノ基の滴定、無水酢酸と水酸化カリウムを用いた水酸基の滴定、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)を用いたチオール基の滴定がある。また、重合性官能基導入比率を変化させた試料のIRスペクトルから得られる検量線法がある。
下引き層に重合する材料を採用する場合、耐溶剤性が向上する等の利点も多いが、特に電子輸送物質を用い、分子間ホッピングで電子の輸送を行おうとした場合、分子構造のフレキシビリティーが低下するため、電子の受け渡しが低下しやすい。この現象は、継続して電子の輸送を行わなければいけない連続出力時により顕著となる。
しかし、本発明の電子輸送物質を用いた下引き層の場合、電子輸送物質が偏在せず満遍なく存在し、また、分子構造のフレキシビリティーが低下することが無いため、電子の受け渡しが向上すると推測される。その結果、電子の滞留が原因で起こるゴーストを抑制する効果が生じると考えている。
本発明の下引き層に使われるイミド化合物がもつナフチルジイミド環の片方には直接芳香環が結合しており、その芳香環は、ナフチルジイミド環に対し同一平面上には存在していないことが推測できる。そのため適度に嵩高く大きな体積を有しており、ナフチルジイミド環同士が凝集して偏在することを抑制すると考えられる。
剛直な構造であるナフチルジイミド環およびナフチルジイミド環に直結した芳香環と、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、またはカルボキシル基(以下、重合性官能基と総称する場合もある。)とは、鎖長が2以上の脂肪鎖で結合しているため、重合後も分子構造のフレキシビリティーを維持することが可能であると考えられる。
また、ナフチルジイミド環に直結した芳香環上の鎖長が2以上の脂肪鎖で結合している重合性官能基は、ナフチルジイミド環に対し、離れた場所(パラ位)に位置し、オルト位/メタ位と比較して架橋剤等と重合する部位と離れて存在し得る。これもフレキシビリティーを維持可能な理由の一つとなると考えている。これらの理由により電子の滞留が大幅に減少し、高いレベルでゴースト抑制効果が生じると考えている。
合成に用いる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル2ピロリドン、ジメチルスルホキシド、イミダゾール、N−メチルイミダゾール等、公知の溶媒を用いることが出来る。無溶媒で反応させることも出来る。合成の際に、酢酸亜鉛等の金属系触媒、トリエチルアミン、ピリジン等の有機系触媒、等の公知の触媒を添加しても良い。反応で得られた反応物を精製する際は、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿、吸着材処理、昇華、蒸留などの公知の精製法を用いることができる。
・質量分析
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析計(MALDI−TOF MS:ブルカー・ダルトニクス(株)製 ultraflex)を用いた。条件としては、加速電圧:20kV、モード:Reflector、分子量標準品:フラーレンC60であり、得られたピークトップ値で分子量を確認した。
・核磁気共鳴分光分析
フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR:ブルカー・バイオスピン(株)製 AVANCEIII500)を用い、重クロロホルム(CDCl3)中1H−NMRスペクトルにより構造を確認した。
下引き層上には、電荷発生物質および正孔輸送物質を含有する感光層が設けられる。
電荷発生物質および正孔輸送物質を含有する感光層には、支持体側から電荷発生物質を含有する電荷発生層と正孔輸送物質を含有する正孔輸送層をこの順に積層してなるもの(以下「積層型感光層」ともいう。)と、電荷発生物質と正孔輸送物質を同一の層に含有させてなるもの(以下「単層型感光層」ともいう。)がある。電荷発生層や正孔輸送層は、それぞれ複数設けてもよい。
図1に、本発明の電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、回転軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面(周面)は、回転過程において、帯電手段3(例えば、接触系一次帯電器、非接触系一次帯電器など)により、正または負の所定電位に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(画像露光手段)(不図示)からの露光光(画像露光光)4(例えば、レーザー光)を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に静電潜像が順次形成されていく。
室温下、窒素気流下300ml3つ口フラスコに、1,4,5,8―ナフタレンテトラカルボン酸二無水物26.8g(100mmol)、ジメチルアセトアミド150mlを入れた。これに、2−(4−アミノフェニル)エタノール6.9g(50mmol)とL―ロイシノール5.9g(50mmol)、ジメチルアセトアミド50mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルを加えた後濾過を行い、濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品を酢酸エチル/ヘキサンにより再結晶し、表2に示す式(E101)で表されるイミド化合物15.0gを得た。
なお、本化合物を核磁気共鳴装置で測定した1H−NMRスペクトルを図4に示す。式(E101)で示されるイミド化合物以外の本発明のイミド化合物も、その構造に対応した原料を選択し、上述の方法と同様の方法で合成することができる。
長さ260.5mmおよび直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体(導電性支持体)とした。
次に、酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子(粉体抵抗率:120Ω・cm、酸化スズの被覆率:40%)50部、フェノール樹脂(プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分:60%)40部、メトキシプロパノール55部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、3時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液中の酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子の平均粒径を、(株)堀場製作所製の粒度分布計(商品名:CAPA700)を用い、テトラヒドロフランを分散媒とし、回転数5000rpmにて遠心沈降法で測定した。その結果、平均粒径は0.30μmであった。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間160℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が18μmの導電層を形成した。
この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間160℃で加熱し、溶媒を蒸発させるとともに、硬化させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層を形成した。
この電荷発生層用塗布液を、下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間95℃で乾燥させることによって、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
この正孔輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの正孔輸送層を形成した。
作製した電子写真感光体を、温度23℃、湿度50%RHの環境下にて、キヤノン(株)製のレーザービームプリンター(商品名:LBP−2510)の改造機(一次帯電:ローラー接触DC帯電、プロセススピード120mm/秒、レーザー露光)に装着した。そして、初期および15,000枚画像出力後の表面電位の評価および出力画像の評価を行った。詳しくは以下のとおりである。
上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8:トレック・ジャパン(株)製)を装着した。次に、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344:トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。また、暗部電位(Vd)が−600V、明部電位(Vl)が−150Vになるよう、画像露光の光量を設定した。
続いて、上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着して、そのプロセスカートリッジをシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、画像を出力した。
まず、ベタ白画像(1枚)、ゴースト評価用画像(5枚)、ベタ黒画像(1枚)、ゴースト評価用画像(5枚)の順に連続して画像出力を行った。ゴースト評価用画像は図2に示すように、画像の先頭部の白画像201中に四角のベタ画像202を出力した後、図3に示す1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像203を作成したものである。図3において、符号301および302は、それぞれ、主走査方向および副走査方向を示し、303は1ドットを示す。
ポジゴーストの評価は、1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像203のマクベス濃度と、ゴースト部204(ポジゴーストが生じうる部分)のマクベス濃度との濃度差(マクベス濃度差)を測定することで行った。分光濃度計(商品名:X−Rite504/508、X−Rite(株)製)で、1枚のゴースト評価用画像中でマクベス濃度差を10点測定した。この操作をゴースト評価用画像10枚すべてで行い、合計100点の平均をマクベス濃度差として算出した。初期のマクベス濃度差を表11の「マクベス濃度差(初期)」の欄に示す。さらに、15,000枚の出力後のマクベス濃度差と初期画像出力時のマクベス濃度差の差(変化分)を表11の「マクベス濃度差(変化分)」の欄に示す。ゴースト部の濃度が大きいほど、ポジゴーストが強く生じていることになる。上記濃度差(マクベス濃度差)が小さいほど、ポジゴーストが抑制されたことを意味する。
表11に示すように例示化合物、架橋剤、樹脂の種類および質量部を変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作成し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表11に示す。樹脂B1の特徴的な部位である上記式(E−1)のR201は、C3H7である。樹脂B2の特徴的な部位である上記式(E−1)のR201は、C3H7である。樹脂B8の特徴的な部位である上記式(E−2)のR202〜R205は、水素原子である。樹脂B21の特徴的な部位である上記式(E−1)のR201は、C3H7である。樹脂B17の特徴的な部位である上記式(E−3)のR206はフェニル基、R207はエチレン基である。
実施例1の導電層を以下のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表11に示す。
リン(P)がドープされている酸化スズ(SnO2)で被覆されている酸化チタン(TiO2)粒子207部、フェノール樹脂(プライオーフェンJ−325)144部、および、1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。 この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。
ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して15質量%になるように、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、平均粒径2μm)を分散液に添加した。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)を分散液に添加して撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
実施例1の導電層を以下のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表11に示す。
酸素欠損型酸化スズ(SnO2)が被覆されている酸化チタン(TiO2)粒子214部、フェノール樹脂(プライオーフェンJ−325)132部、および、1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。
ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して10質量%になるように、シリコーン樹脂粒子(トスパール120)を分散液に添加した。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、シリコーンオイル(SH28PA)を分散液に添加して撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
実施例1の電荷輸送層用塗布液の調製を以下のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表11に示す。
前記式(3)で示されるアミン化合物(正孔輸送物質)9部、下記式(6)で示されるアミン化合物(正孔輸送物質)1部、
樹脂として下記式(7)で示される構造単位と下記式(8)で示される構造単位を7:3の比で有し、さらに下記式(9)で示される構造単位を有するポリエステル樹脂(P2)(重量平均分子量90,000)3部および、ポリエステル樹脂(P1)7部を、
ジメトキシメタン30部およびオルトキシレン50部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。ポリエステル樹脂(P2)の樹脂全体の質量に対して、式(9)の含有量が10質量%、式(7)および式(8)の合計した含有量が90質量%である。
実施例52の電荷輸送層用塗布液の調製を以下のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表11に示す。
前記式(3)で示される電荷輸送物質9部、前記式(6)で示される電荷輸送物質1部、
樹脂として下記式(10)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂P3(重量平均分子量70,000)10部、
ジメトキシメタン30部およびオルトキシレン50部混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。ポリカーボネート樹脂P4は、樹脂全体の質量に対して、式(11)で示される構造単位と式(12)で示される構造の合計質量が30質量%である
実施例53の電荷輸送層用塗布液の調製において、ポリカーボネート樹脂(P3)10部を、ポリエステル樹脂(P1)10部とした以外は実施例53と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表11に示す。
化合物(E101)1部を、化合物(E101)0.5部と化合物(E102)0.5部を使用した以外は実施例54と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表11に示す。
化合物(E101)1部を、化合物(E101)0.9部と化合物(E201)0.1部を使用した以外は実施例54と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表11に示す。
下引き層用塗布液に、更に下記式(13)で示される化合物、および下記式(17)で示される化合物をそれぞれ0.002部ずつ加えた以外は、実施例54と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表11に示す。
導電層を形成せずに、アルミニウムシリンダーに対して、下記条件にて液体ホーニング処理を行い、これを支持体とした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成した。
<液体ホーニング条件>
・研磨剤砥粒・・・ジルコニアビーズ、粒径70〜125μm(商品名:ジルブラストB120:マテリアルサイエンス(株)製)
・懸濁媒体・・・水
・研磨剤/懸濁媒体=1/9(体積比)
ホーニング後のシリンダー表面粗さに関してJIS B 0601(1994)に準じ小坂研究所表面粗さ計サーフコーダSE3500を用い測定した。結果、最大高さ(RmaxD)=2.09μm、十点平均粗さ(Rz)=1.48μm、算術平均粗さ(Ra)=0.21μmであった。
下記式(14)で示される化合物(特開2008−250082号公報に記載の例示化合物(11−6))と、イソシアネート化合物(特開2008−250082号公報に記載の、下記式(15)で示されるユニットを5モル%有するスチレンとの共重合体:重量平均分子量Mw42000)を用いて下引き層を形成した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。
初期画像出力時のマクベス濃度差(初期)は、0.048、15,000枚の出力後のマクベス濃度差と初期画像出力時のマクベス濃度差の差(変化分)は、0.061だった。
フェノール樹脂(商品名:PL−4804、群栄化学(株)製)と下記式(16)で示される化合物とを用いて下引き層を形成した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。
初期画像出力時のマクベス濃度差(初期)は、0.046、15,000枚の出力後のマクベス濃度差と初期画像出力時のマクベス濃度差の差(変化分)は、0.072だった。
式(14)で示される化合物を、化合物(E101)に変更した以外は、比較例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にゴーストの評価を行った。
初期画像出力時のマクベス濃度差(初期)は、0.037、15,000枚の出力後のマクベス濃度差と初期画像出力時のマクベス濃度差の差(変化分)は、0.034だった。
化合物(E101)を下記式(RE1)で示されるに化合物に変更し、表12に示すように架橋剤および樹脂の種類と質量部を変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作成し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表12に示す。
化合物(E101)を下記式(RE2)で示されるに化合物に変更し、表12に示すように架橋剤および樹脂の種類と質量部を変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作成し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表12に示す。
化合物(E101)を下記式(RE3)で示されるに化合物に変更し、表12に示すように架橋剤および樹脂の種類と質量部を変更した以外は実施例1と同様に感光体を作成し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表12に示す。
Claims (12)
- 支持体、該支持体上に形成された下引き層、および該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
該下引き層が、下記式(1)で示されるイミド化合物を含む組成物の重合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基を示す。
A1はヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、またはカルボキシル基である。
R9は、A1までの原子数が2〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをCONH基に置き換えて導かれるA1までの原子数が2〜6の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをNR11に置き換えて導かれるA1までの原子数が2〜6の基を示す。該置換のアルキレン基の置換基は、炭素数1〜4のアルキル基である。R11はアルキル基である。
R10は、−R12−A2で示される基である。
A2は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、またはカルボキシル基である。
R12は、A2までの原子数が2〜12の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つを酸素原子に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つを硫黄原子に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをNR13に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基を示す。R13は、水素原子、またはアルキル基である。該置換のアルキレン基の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、またはアルコキシカルボニル基である。) - 前記式(1)のR9がエチレン基、プロピレン基、またはブチレン基である、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記式(1)のR12が、前記A2までの原子数が2〜12の置換アルキレン基である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- A1およびA2が、ヒドロキシ基である請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記式(1)で示される化合物を含む組成物が、さらに架橋剤を含有する請求項1から4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記組成物が、さらに重合性官能基を有する樹脂を含有する請求項5に記載の電子写真感光体。
- 前記架橋剤は、
イソシアネート基もしくはブロックイソシアネート基を有するイソシアネート化合物、または、
N−メチロール基もしくはアルキルエーテル化されたN−メチロール基を有するアミン化合物
である請求項5または6に記載の電子写真感光体。 - 前記樹脂の重合性官能基が、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基またはメトキシ基である請求項6に記載の電子写真感光体。
- 前記架橋剤と前記式(1)で示される化合物との質量比が、100:50から100:250の比率である、請求項5から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。
- 下記式(1)で示されるイミド化合物。
R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基を示す。
A1は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、またはカルボキシル基である。
R9は、A1までの原子数が2〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをCONH基に置き換えて導かれるA1までの原子数が2〜6の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをNR11に置き換えて導かれるA1までの原子数が2〜6の基を示す。該置換のアルキレン基の置換基は、炭素数1〜4のアルキル基である。R11はアルキル基である。
R10は−R12−A2で示される基である。
A2は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、またはカルボキシル基である。
R12は、A2までの原子数が2〜12の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つを酸素原子に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つを硫黄原子に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のCH2の1つをNR13に置き換えて導かれるA2までの原子数が2〜12の基を示す。R13は、水素原子、またはアルキル基である。該置換のアルキレン基の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、またはアルコキシカルボニル基である。)
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