以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略側面図である。
画像形成装置100は、原稿を読み取って用紙に画像形成する複写機能を有しており、画像読取部90、画像読取部90の上側に設けられた原稿搬送部(ADF)120、画像読取部90の下側に設けられた装置本体110、給紙カセット81、手差し給紙カセット82、および積載トレイ83を備えている。
原稿搬送部120は、画像読取部90に対して開閉自在に支持されている。原稿搬送部120が開かれると、画像読取部90の上方に設けられた原稿載置ガラス91が開放され、原稿を手置きで置くことができるようになっている。また、原稿搬送部120は、載置された原稿を画像読取部90の上に原稿搬送路Sb(詳しくは、図2参照)を介して自動で搬送する。画像読取部90は、載置された原稿または原稿搬送部120から搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。なお、原稿搬送部120および画像読取部90については、後述する図2を参照して、詳細に説明する。
画像形成装置100では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、または単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。装置本体110には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、および帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられた4つの画像ステーションが構成されている。
ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去および回収する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。
感光体ドラム3の上側には、中間転写ベルトユニット6の中間転写ベルト61が配置されている。中間転写ベルト61は、転写ベルト駆動ローラ62および転写ベルト従動ローラ63に張架されて周回移動し、ベルトクリーニング装置65によって残留トナーを除去および回収され、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像が順次転写して重ね合わされて、中間転写ベルト61の表面にカラーのトナー像が形成される。
転写ローラ10は、中間転写ベルト61との間にニップ域が形成されており、記録紙搬送路Sa(用紙搬送路Sの一例)を通じて搬送されて来た用紙をニップ域に挟み込んで搬送する。記録紙は、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト61の表面のトナー像が転写されて定着装置7に搬送される。
定着装置7は、記録紙を挟んで回転する定着ローラ71および加圧ローラ72を備えている。定着ローラ71は、外部に設けられた加熱部73によって加熱されている。定着装置7は、定着ローラ71および加圧ローラ72の間にトナー像が転写された記録紙を挟み込んで加熱および加圧し、トナー像を記録紙に定着させる。
給紙カセット81は、画像形成に使用する記録紙を蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置1の下側に設けられている。給紙カセット81に蓄積された記録紙は、ピックアップローラ11aによって給紙カセット81から引き出される。手差し給紙カセット82は、装置本体110の側面に開閉自在に設けられており、開放することで記録紙を載置することができる。手差し給紙カセット82に蓄積された記録紙は、ピックアップローラ11bによって引き出される。
装置本体110には、記録紙搬送路Saに用紙搬送装置111が設けられており、用紙搬送装置111は、記録紙を挟持して搬送するローラ30として、搬送ローラ12aないし搬送ローラ12dと、レジストローラ13とを備えており、さらに、複数のレバー20が設けられている。なお、ローラ30およびレバー20の構造については、後述する図3ないし図4Bを参照して、詳細に説明する。また、以下では説明のため、記録紙搬送路Saにおける記録紙の搬送方向H(後述する図3参照)に対して、搬送方向Hの上流側を上流側と略し、搬送方向Hの下流側を下流側と略すことがある。
レジストローラ13は、転写ローラ10の上流側に設けられ、記録紙を一旦停止させて、記録紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト61と転写ローラ10との間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて記録紙の搬送を開始する。搬送ローラ12aは、ピックアップローラ11aおよびピックアップローラ11bの下流側であって、レジストローラ13の上流側に配置されている。つまり、ピックアップローラ11aまたはピックアップローラ11bを経由する2つの記録紙搬送路Saは、搬送ローラ12aを介して1つに合流し、レジストローラ13へ導かれる。搬送ローラ12bは、定着装置7の下流側に配置され、記録紙は、搬送ローラ12bを経由して、積載トレイ83へ排出される。記録紙搬送路Saは、定着装置7を通過した後、再度、記録紙をレジストローラ13へ導く反転搬送路Sarを備えており、反転搬送路Sarには、搬送ローラ12cおよび搬送ローラ12dが配置されている。記録紙の表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、表面に画像形成を行った後、反転搬送路Sarを経由して記録紙の表裏を反転させることで、表面と同様にして裏面に画像形成を行うことができる。
装置本体110には、4つのレバー20が設けられており、レバー20は、ピックアップローラ11aと搬送ローラ12aとの間、搬送ローラ12aとレジストローラ13との間、搬送ローラ12dとレジストローラ13との間、および搬送ローラ12cと搬送ローラ12dとの間にそれぞれ配置されている。
図2は、図1に示す原稿搬送部および画像読取部を拡大して示す概略側面図である。
原稿搬送部120は、原稿が載置される原稿トレイ122と、原稿が排出される排出トレイ123と、原稿が搬送させる原稿搬送路Sb(用紙搬送路Sの一例)とが設けられている。原稿搬送路Sbでは、用紙搬送装置121によって、原稿トレイ122に載置された原稿を取り込んで、排出トレイ123まで搬送される。なお、以下では説明のため、記録紙搬送路Saで搬送される記録紙と、原稿搬送路Sbで搬送される原稿とを併せて、用紙Pと呼ぶことがある。つまり、原稿は、画像読取部90で読み取られる画像が予め形成されているのに対して、記録紙は、装置本体110によって画像が形成される点が異なるが、原稿と記録紙とは、いずれも普通紙、厚紙、ハガキなどの用紙である点が共通している。また、原稿搬送路Sbでは、原稿の搬送方向Hについて、原稿トレイ122の側を上流側と呼び、排出トレイ123の側を下流側と呼ぶことがある。
原稿搬送路Sbには、原稿を挟持して搬送するローラ30として、上流側から順に、原稿ピックアップローラ14、原稿分離ローラ15、第1原稿搬送ローラ対16a、第2原稿搬送ローラ対16b、第3原稿搬送ローラ対16c、原稿排出前ローラ対17、および原稿排出ローラ対18が配置されている。原稿ピックアップローラ14は、原稿トレイ122に載置された原稿を、上から順に原稿搬送部120の内部に取り込む。原稿分離ローラ15は、複数の原稿が重なった状態で原稿搬送路Sbへ搬送されること(重送)を防止する。第1原稿搬送ローラ対16a、第2原稿搬送ローラ対16b、および第3原稿搬送ローラ対16cは、原稿を挟持して搬送する。原稿は、第2原稿搬送ローラ対16bと第3原稿搬送ローラ対16cとの間において、原稿読取ガラス92の上方を通過する。原稿排出前ローラ対17は、2つのローラを備え、一方のローラが他方のローラに対して離接する構成とされている。原稿は、原稿排出ローラ対18を介して排出トレイ123に排出される。原稿排出前ローラ対17と第1原稿搬送ローラ対16aとの間には、原稿反転経路Sbrが設けられている。原稿の両面を読み取る際、原稿排出ローラ対18まで搬送された原稿は、原稿反転経路Sbrを経由して、後端を先端に切り換えて第1原稿搬送ローラ対16aに戻される。つまり、原稿反転経路Sbrは、記録紙搬送路Saの反転搬送路Sarと同様の機能を有する。
原稿搬送部120には、4つのレバー20が設けられており、レバー20は、原稿分離ローラ15と第1原稿搬送ローラ対16aとの間、第1原稿搬送ローラ対16aと第2原稿搬送ローラ対16bとの間、第2原稿搬送ローラ対16bと原稿読取ガラス92との間、および原稿読取ガラス92と第3原稿搬送ローラ対16cとの間にそれぞれ配置されている。
画像読取部90は、原稿載置ガラス91、原稿読取ガラス92、光源ユニット93、ミラーユニット94、および撮像部95を備え、原稿固定方式による読み取りと原稿移動方式による読み取りとを実施する。具体的には、画像読取部90は、上面に原稿載置ガラス91および原稿読取ガラス92が設けられ、光源ユニット93、ミラーユニット94、および撮像部95を内部に有する。
原稿載置ガラス91および原稿読取ガラス92は、透明なガラス板であって、光源ユニット93から出射された光を透過するとともに、原稿で反射された光を透過するように構成されている。光源ユニット93は、原稿へ向けて光を照射し、原稿で反射された光をミラーユニット94へ導く。また、光源ユニット93は、原稿載置ガラス91および原稿読取ガラス92の下方を移動するように構成されている。ミラーユニット94は、光源ユニット93に連動して移動する構成とされている。ミラーユニット94は、光源ユニット93から導かれた光を反射して、撮像部95へ入射させる。撮像部95は、集光レンズやCCD(電荷結合素子)などを有し、ミラーユニット94からの反射光をCCDに結像して、原稿の画像を撮像する。
画像読取部90では、原稿固定方式による読み取りの際、光源ユニット93を原稿載置ガラス91に沿って移動させる。また、画像読取部90では、原稿移動方式による読み取りの際、光源ユニット93を原稿読取ガラス92の下方に停止させ、原稿読取ガラス92の上方を通過するように、原稿搬送部120によって原稿を搬送させる。
次に、画像形成装置100に設けられているローラ30およびレバー20について、詳細に説明する。画像形成装置100では、用紙搬送路S(記録紙搬送路Saおよび原稿搬送路Sb)に複数のローラ30およびレバー20が設けられている。以下では、ローラ30およびレバー20の一例について説明するが、それぞれのローラ30およびレバー20において、細部が異なる構造とされていてもよい。
図3は、ローラおよびレバーを抜き出して示す拡大断面図であって、図4Aは、図3の第1搬送ガイドの内側面側から見たローラおよびレバーを示す要部拡大図であって、図4Bは、図3の第1搬送ガイドの外側面側から見たローラおよびレバーを示す要部拡大図である。なお、図4Bでは、図面の見易さを考慮して、第2搬送ガイド52および対向ローラ40を省略し、レバー20の一部を示す。
図3に示すように、用紙搬送路Sは、互いに対向して配置された第1搬送ガイド51および第2搬送ガイド52が設けられており、用紙Pは、第1搬送ガイド51および第2搬送ガイド52の外側面同士で挟まれた領域内を搬送される。ローラ30およびレバー20は、第1搬送ガイド51の内側面51a側(図3では、第1搬送ガイド51の下方)に設けられている。第2搬送ガイド52の内側面側には、ローラ30に応じた位置に対向ローラ40が設けられており、対向ローラ40とローラ30(特に、回転体31)とが当接している。
図4Aに示すように、ローラ30は、回転体31、ローラ支持軸32、および軸受33で構成されている。ローラ支持軸32には、3つの回転体31が離間して固定され、両端部に設けられた軸受33を介して、画像形成装置100に回転自在に支持されている。第1搬送ガイド51には、回転体31に応じた位置にローラ孔51dが設けられており、回転体31は、ローラ孔51dを通じて外側面51b側に突出している。なお、対向ローラ40については、詳細な説明を省略するが、ローラ30と同様に、軸に回転自在に支持された構造とすればよい。また、ローラ30および対向ローラ40の一方は、図示しない駆動源によって回転し、他方が従動する構成とされている。以下では説明のため、用紙Pの幅方向について、用紙Pの一方の端部(第1端E1)に向かう方向(図4Bでは、左方向)を第1幅方向W1と呼び、用紙Pの他方の端部(第2端E2)に向かう方向(図4Bでは、右方向)を第2幅方向W2と呼ぶことがある。
図4Aに示すように、レバー20は、レバー揺動部21、レバー支持軸22、被検知部23、付勢固定部24、および付勢部材25で構成されている。レバー揺動部21は、一端がレバー支持軸22に固定されており、他端に揺動当接部21aが設けられている。レバー支持軸22は、図示しない筐体などを介して、画像形成装置100に回転自在に支持されている。揺動当接部21aは、第1搬送ガイド51の内側面51a側から外側面51b側へ向かって延伸した棒状に形成されており、第1搬送ガイド51に形成されたレバー孔51cを通じて外側面51b側に突出している。付勢固定部24は、レバー支持軸22から突出して形成されている。付勢部材25は、例えば、ねじりコイルばねであって、コイル部分がレバー支持軸22に巻きつけられており、一端が付勢固定部24に固定され、他端が図示しない筐体などに固定されている。被検知部23は、レバー支持軸22に固定された一端から延伸され、他端に被検知突出部23aが設けられている。
図4Aに示すように、レバー孔51cは、用紙Pの第2端E2寄りに設けられている。なお、幅方向でのレバー20と用紙Pとの位置関係については、後述する図8を参照して、詳細に説明する。
被検知突出部23aの近傍には、用紙検知センサ26が設けられている。用紙検知センサ26は、例えば、光学センサであって、送受光部26a間に光を照射し、被検知突出部23aによって遮光されたかどうかを検知する。なお、図3に示す状態では、被検知突出部23aは、送受光部26aの下方に位置しており、送受光部26a間を遮光していない。
レバー支持軸22は、付勢部材25によって付勢されており、矢符Y1の方向(図3では、反時計回り)へ回転する。レバー支持軸22の回転は、レバー揺動部21が第1搬送ガイド51に当接することで停止する。レバー支持軸22の回転によって、揺動当接部21aは、揺動してレバー孔51cから突出しており、用紙搬送路Sを遮っている。
図5は、用紙がレバーに接触した状態を示す拡大断面図である。
図5は、図3に示す状態に対し、用紙Pが搬送方向Hへ搬送されている。用紙Pは、搬送方向Hへ搬送されたことで、先端Paがレバー20(特に、揺動当接部21a)を通過し、ローラ30および対向ローラ40に挟持されている。揺動当接部21aは、用紙Pによって内側面51a側へ押下げられている。レバー支持軸22は、揺動当接部21aが押下げられたことで、付勢部材25の付勢力に反して矢符Y2の方向(図5では、時計回り)へ回転し、被検知部23もレバー支持軸22に応じて回転している。その結果、被検知突出部23aによって送受光部26a間が遮光され、用紙検知センサ26は、用紙Pがレバー20に接触したことを検知する。つまり、用紙検知センサ26によって用紙Pの位置を検知することで、用紙Pが円滑に搬送されているかどうかを判断することができる。
図5に示す状態から、用紙Pを搬送方向Hへさらに搬送して、用紙Pの後端がレバー20(揺動当接部21a)を通過すると、レバー支持軸22は、付勢部材25に付勢されて矢符Y1の方向へ回転し、図3に示す状態へ戻る。上述したように、複数のレバー20は、用紙Pに対して離接する方向で揺動する構造とされ、複数のレバー20を揺動させるように付勢する付勢部材25をそれぞれ備えている。つまり、付勢部材25を設けることで、複雑な構造とすることなく、用紙Pに対して離接するレバー20とすることができる。
図3では、第1搬送ガイド51および第2搬送ガイド52は、直線状に形成されているが、これに限定されず、画像形成装置100の内部の構造に応じて、湾曲した形状であってもよい。用紙Pは、第1搬送ガイド51および第2搬送ガイド52に沿って搬送され、第1搬送ガイド51および第2搬送ガイド52の形状に応じた搬送方向Hとされる。また、レバー20を第1搬送ガイド51の内側面51a側に設けた構成を示したが、これに限定されず、第2搬送ガイド52の内側面側にレバー20を設けてもよい。さらに、ローラ30には、3つの回転体31が設けられていたが、回転体31の数は適宜設定すればよい。
上述したように、付勢部材25としてねじりコイルばねを用いたが、これに限定されず、レバー支持軸22を矢符Y1の方向へ回転させて、揺動当接部21aを用紙搬送路Sへ突出させるものであればよく、ばねや重りなどを用いてもよい。また、用紙検知センサ26の有無は、適宜選択することができ、用紙検知センサ26が設けられていないレバー20を備えていてもよい。
次に、幅方向におけるレバー20の位置について、詳細に説明する。画像形成装置100では、用紙Pの搬送方向Hに平行な基準線KSが設定されており、基準線KSに基づいてレバー20の位置が決定されている。そこで、基準線KSに対するレバー20の位置について、図6および図7を参照し、従来の構造に係る比較例と比較して説明する。
図6は、幅方向に対して設定された基準線とレバーとの位置関係を示す説明図である。
図6は、用紙搬送路Sの一部を示しており、3つのレバー20と3つのローラ30とを抜き出しているが、これに限定されず、これらの部材の間に他の部材を設けてもよい。また、用紙搬送路Sの異なる部分であれば、レバー20およびローラ30の数が異なっていてもよい。
用紙搬送路Sにおいて、用紙Pは、幅方向で基準線KSを跨ぐようにして搬送される。つまり、用紙Pの一方の端部(第1端E1)は、基準線KSより第1幅方向W1の側(図6では、左側)に位置し、用紙Pの他方の端部(第2端E2)は、基準線KSより第2幅方向W2の側(図6では、右側)に位置している。
レバー20とローラ30とは、搬送方向Hの上流側から順に、交互に並べて配置されている。以下ではそれぞれのレバー20およびローラ30を区別するために、レバー20について、上流側から順に第1レバー20a、第2レバー20b、および第3レバー20cと呼び、ローラ30について、上流側から順に第1ローラ30a、第2ローラ30b、および第3ローラ30cと呼ぶ。第1レバー20aは、基準線KSより第2幅方向W2(図6では、右方向)へずらした位置(第2端E2側)に設けられており、第2レバー20bは、基準線KSより第1幅方向W1(図6では、左方向)へずらした位置(第1端E1側)に設けられており、第3レバー20cは、基準線KSより第2幅方向W2へずらした位置に設けられている。
上述したように、複数のレバー20は、搬送方向Hに沿う順で、第1端E1側と第2端E2側とに交互に並べて配置されている。つまり、第3レバー20cの下流側において、さらにレバー20を設ける場合は、先ず、第1端E1側に配置し、次に、第2端E2側に配置すればよい。
図7は、比較例における基準線とレバーとの位置関係を示す説明図である。
比較例は、図6と同様に、交互に並べられた3つのレバーと3つのローラとを抜き出して示している。以下ではそれぞれのレバーおよびローラを区別するために、レバーについて、上流側から順に第1比較レバー220a、第2比較レバー220b、および第3比較レバー220cと呼び、ローラについて、上流側から順に第1比較ローラ230a、第2比較ローラ230b、および第3比較ローラ230cと呼ぶ。比較例では、第1比較レバー220a、第2比較レバー220b、および第3比較レバー220cは、基準線KSより第1幅方向W1(図7では、左方向)へずらした位置に設けられている。
比較例において、複数のレバーは、全て幅方向で一方の端部寄りに配置されている。従って、レバーは、用紙の一方の端部側にだけ接触する。その結果、用紙は、一方の端部側だけが負荷を受けて搬送速度が低下し、斜行などを生じる虞がある。これに対し、本実施の形態では、複数のレバー20が基準線KSを挟んで交互に配置されているため、負荷が幅方向で分散されてバランスをとることができる。その結果、用紙Pは、一端側だけが速くならないように搬送速度が調節されて、用紙Pの斜行などを防ぎ、搬送精度を向上させることができる。
本発明に係る用紙搬送装置(用紙搬送装置111および用紙搬送装置121)は、用紙Pに対するレバー20の位置に基づいて、3つの実施の形態を備えている。以下では、第1実施形態ないし第3実施形態に係る用紙搬送装置での用紙Pとレバー20との位置関係について、それぞれ図面を参照して説明する。なお、以下に示す図8ないし図10では、サイズが異なる用紙Pが複数重なっており、図面の見易さを考慮して、それぞれの用紙Pを透視的に示す。
図8は、本発明の第1実施形態に係る用紙搬送装置での用紙とレバーとの位置関係を示す説明図である。
用紙搬送装置は、複数の用紙Pのサイズに対応しており、図8には、用紙搬送装置で用いられる用紙Pとして、A3用紙A3、A4用紙A4R、横A4用紙A4、およびA5用紙A5Rが示されている。A3用紙A3は、「A3」サイズの用紙Pであって、A4用紙A4Rは、「A4」サイズの用紙Pであって、A5用紙A5Rは、「A5」サイズの用紙Pである。A3用紙A3、A4用紙A4R、およびA5用紙A5Rは、長辺を基準線KSと平行に配置した「縦向き」である。横A4用紙A4は、「A4」サイズの用紙Pであって、短辺を基準線KSと平行に配置した「横向き」である。A3用紙A3、A4用紙A4R、横A4用紙A4、およびA5用紙A5Rは、それぞれ幅方向での中心線が基準線KSと一致するようにして搬送される。
図8では、搬送方向Hに並べられた4つのレバー20を示しており、それらを区別するために、上流側から順に第1レバー20a、第2レバー20b、第3レバー20c、および第4レバー20dと呼ぶ。第1レバー20aおよび第3レバー20cは、基準線KSより第1幅方向W1(図8では、左方向)へずらした位置(第1端E1側)に設けられ、第2レバー20bおよび第4レバー20dは、基準線KSより第2幅方向W2(図8では、右方向)へずらした位置(第2端E2側)に設けられている。
4つのレバー20は、幅方向での基準線KSからの距離(第1レバー幅LW1)がそれぞれ略等しい位置に設けられている。具体的に、第1レバー幅LW1は、約23mmとされている。本実施の形態では、用紙Pの中心線を挟むように、両端側にそれぞれレバー20が配置されているので、用紙Pに及ぼす負荷をさらに均等に分散することができる。また、基準線KSからの距離が等しい位置にレバー20を配置することで、第1端E1側と第2端E2側とで用紙Pに及ぼす負荷を均等にし、用紙Pの傾きなどをさらに防ぐことができる。
ところで、レバーを用紙の中心線と一致する位置に設けた場合では、負荷の偏りを生じさせないように思われるが、この場合では、新たな課題が生じる虞がある。近年、環境対策の一環として、資源のリサイクル等が進められており、画像形成装置においても対応が求められている。そこで、画像形成装置では、用紙の再利用が行われているが、使用済みの用紙においては、ファイリングなどのためにパンチ穴が形成されていることがある。パンチ穴は、設ける数や用紙のサイズ等によって形成される位置が決定され、奇数個のパンチ穴を設けた場合、用紙の中心線と一致する位置に形成されることがある。使用済みの用紙を搬送する際、パンチ穴にレバーが接触すると、レバーがパンチ穴に引っ掛かって、用紙の搬送が阻害される虞がある。そのため、レバーについては、用紙の中心線から離間した位置に設けることが望ましい。また、一般的なパンチ穴が形成される位置については、国際規格等で設定されており、それらの位置を避けるようにレバーを設けることが望ましい。
上述したように、複数のレバー20のうち搬送方向Hで隣り合うレバー20同士は、搬送方向Hにおいてローラ30を挟むように設けられていることが望ましい。例えば、図1に示すように、装置本体110では、搬送ローラ12aおよび搬送ローラ12dがレバー20に挟まれた配置とされている。また、図2に示すように、原稿搬送部120では、第1原稿搬送ローラ対16aおよび第2原稿搬送ローラ対16bがレバー20に挟まれた配置とされている。つまり、レバー20の間にローラ30が設けられており、搬送方向Hでレバー20同士が離間した配置となっている。従って、複数のレバー20は、搬送方向Hで広範囲に亘る配置とされており、広範囲での用紙Pの斜行を防ぐ構成とすることができる。また、搬送方向Hで隣り合うレバー20の間にローラ30が設けられているため、いずれのレバー20まで用紙Pが到達しているかを検知することで、用紙Pの搬送状況を把握することができる。
また、複数のレバー20は、搬送方向Hの上流側からレジストローラ13までの間において、第1端E1側と第2端E2側とに同じ数のレバー20が設けられていることが望ましい。つまり、第1端E1側と第2端E2側とに設けたレバー20の数が同じであれば、用紙Pに与える負荷が調整され、レジストローラ13で矯正できない斜め送りを未然に防ぐことができる。用紙Pの傾きが軽度であれば、レジストローラ13によって、容易に補正することができ、転写ローラ10によって転写される際の用紙Pの位置精度を向上させることができる。本実施の形態において、図1に示すように、装置本体110では、ピックアップローラ11aを介して2つのレバー20を経由してレジストローラ13に到達する。また、反転搬送路Sarでは、2つのレバー20を経由してレジストローラ13に到達する。さらに、図2に示すように、原稿搬送部120では、第2原稿搬送ローラ16bによって、用紙Pの先端Paを受け止めて傾きを補正しており、原稿読取部90で画像を読み取る際の用紙Pの斜行を防いでいる。
図9は、本発明の第2実施形態に係る用紙搬送装置での用紙とレバーとの位置関係を示す説明図である。なお、第1実施形態と機能が実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態は、第1実施形態に対して、レバー20における幅方向での基準線KSからの距離が異なっている。用紙Pは、第1実施形態と同様に、幅方向での中心線が基準線KSと一致するようにして搬送される。
複数のレバー20は、第1実施形態と同様に、基準線KSを挟んで交互に配置されており、第1レバー20aおよび第3レバー20cは、幅方向での基準線KSからの距離(第1レバー幅LW1)も、第1実施形態と同じである。第2レバー20bおよび第4レバー20dは、幅方向での基準線KSからの距離(第2レバー幅LW2)が、第1レバー20aおよび第3レバー20cと異なっており、具体的に、第2レバー幅LW2は、約46mmとされている。上述したように、第1端E1側と第2端E2側とで用紙Pの異なる位置にレバー20を配置することができ、レバー20の位置に関する設計の自由度を向上させることができる。
複数のレバー20は、接触した用紙に対する負荷としてレバー負荷が、レバー毎に予め設定されており、幅方向での基準線KSからの距離(第1レバー幅LW1または第2レバー幅LW2)とレバー負荷との積が略等しくなるように、各レバーが配置されている。具体的に、第1レバー幅LW1は第2レバー幅LW2より小さく、第1レバー20aおよび第3レバー20cは、第2レバー20bおよび第4レバー20dよりも基準線KSに近い位置に設けられているため、レバー負荷が大きく設定されている。このように、レバー負荷を設定することで、用紙Pに与えるモーメントを調整でき、レバー20が設けられた位置に拘わらず、用紙Pに及ぼす影響を一定とすることができる。その結果、さらに確実に用紙Pの斜行を防ぐことができる。
レバー負荷は、付勢部材25の付勢力によって調整されている。例えば、付勢部材25をねじりコイルばねとした場合には、太さや長さといった種類が異なる付勢部材25を用いることで、第1端E1側と第2端E2側とで付勢力が異なる構成とすることができる。
なお、レバー負荷を調整する方法としては、付勢部材25だけに限定されず、付勢固定部24(図4A参照)の重さに差を設けてもよい。この場合、付勢固定部24の重さによってレバー支持軸22を回転させ、付勢部材25を設けない構造としてもよい。具体的には、第1端E1側と第2端E2側とで付勢固定部24の長さを異ならせて、重さに差を設けてもよいし、付勢固定部24自体(特に、先端)の重さを異ならせてもよい。また、付勢固定部24に錘を取り付けた場合には、第1端E1側と第2端E2側とで、レバー支持軸22の軸中心から錘までの距離を異ならせて、レバー負荷を調整すればよい。
図10は、本発明の第3実施形態に係る用紙搬送装置での用紙とレバーとの位置関係を示す説明図である。なお、第1実施形態および第2実施形態と機能が実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態および第2実施形態では、サイズが異なる用紙Pに対して、幅方向での中心線を揃えて搬送していたのに対し、第3実施形態では、幅方向での端部を揃えて搬送している。具体的に、第3実施形態において、用紙Pは、第1幅方向W1側の端部(第1端E1)を揃えて搬送され、基準線KSは、A5用紙A5Rの中心線と一致するように設定されている。図10において、A3中心線TS3は、A3用紙A3の中心線を示しており、A4中心線TS4は、A4用紙A4Rの中心線を示している。なお、横A4用紙A4の中心線は、A3中心線TS3と一致するので省略する。基準線KSからA3中心線TS3までの距離(A3中心線距離TW3)は、約74mmであって、基準線KSからA4中心線TS4までの距離(A4中心線距離TW4)は、約31mmである。上述したように、端部を揃えて搬送する構成であれば、端部を基準として用紙Pの位置決めをすることができ、用紙Pの搬送精度を向上させることができる。
複数のレバー20は、第2実施形態と同様に配置されており、第1端E1側に設けられた第1レバー20aおよび第3レバー20cは、基準線KSからの距離が第1レバー幅LW1とされており、第2端E2側に設けられた第2レバー20bおよび第4レバー20dは、基準線KSからの距離が第2レバー幅LW2とされている。つまり、複数のレバー20は、第1端E1側と第2端E2側とで基準線KSからの距離が異なっている。なお、レバー20の位置はこれに限定されず、用紙搬送装置で搬送される用紙Pなどを考慮して、位置を適宜設定することができる。
用紙搬送装置は、レバー20と同様の構造とされた補助レバー27をさらに備えている。補助レバー27は、例えば、第2端E2側であって、搬送方向Hで第1レバー20aおよび第3レバー20cと一致する位置にそれぞれ設けられている。基準線KSから補助レバー27までの距離(補助レバー幅HW)は、第2レバー幅LW2より大きく設定されている。つまり、補助レバー27は、第2レバー20bおよび第4レバー20dよりも、第2幅方向W2で基準線KSから離間した位置に設けられている。
上述したように、複数のレバー20は、A5用紙A5RおよびA4用紙A4Rに対して、用紙Pの中心線を挟んで交互に配置された構成とされているが、A3用紙A3および横A4用紙A4に対しては、中心線(A3中心線TS3)よりも第1端E1側(図10では、左側)に配置された構成となる。しかしながら、A3中心線TS3よりも第2端E2側(図10では、右側)に配置された補助レバー27を設けることで、用紙Pに与える負荷が一方に偏らないように調節することができる。
なお、上述した構成は一例であって、補助レバー27を設ける位置や数については、適宜設定することができる。
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。