JP6404165B2 - 積層フィルムおよび積層フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、このような透明バリア性積層フィルムはバリア性能および透明性が優れると記載されている。
バリア性樹脂層(A)を有する第一バリア性フィルムと、上記第一バリア性フィルムと同一または異なる構成の第二バリア性フィルムと、を備え、
上記第一バリア性フィルムの上記バリア性樹脂層(A)と、上記第二バリア性フィルムの一方の面と、が直接熱融着している積層フィルム。
[2]
上記[1]に記載の積層フィルムにおいて、
上記バリア性樹脂層(A)がポリ塩化ビニリデン系樹脂を含む積層フィルム。
[3]
上記[2]に記載の積層フィルムにおいて、
上記バリア性樹脂層(A)が、上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスにより形成されたバリア性樹脂層(A1)および上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂が溶解した溶液により形成されたバリア性樹脂層(A2)から選択される少なくとも一層を有し、
上記バリア性樹脂層(A1)または上記バリア性樹脂層(A2)と、上記第二バリア性フィルムの一方の面と、が熱融着した積層フィルム。
[4]
上記[3]に記載の積層フィルムにおいて、
上記第一バリア性フィルムが樹脂フィルム層と、無機物層と、上記バリア性樹脂層(A2)と、上記バリア性樹脂層(A1)と、がこの順番に積層されてなる積層フィルム。
[5]
上記[3]または[4]に記載の積層フィルムにおいて、
上記第二バリア性フィルムが樹脂フィルム層と、無機物層およびバリア性樹脂層(B)から選択される少なくとも一つのバリア層と、を有する積層フィルム。
[6]
上記[5]に記載の積層フィルムにおいて、
上記第一バリア性フィルムの上記バリア性樹脂層(A1)または上記バリア性樹脂層(A2)と、上記第二バリア性フィルムの上記無機物層または上記バリア性樹脂層(B)と、が熱融着した積層フィルム。
[7]
上記[5]に記載の積層フィルムにおいて、
上記第一バリア性フィルムの上記バリア性樹脂層(A1)または上記バリア性樹脂層(A2)と、上記第二バリア性フィルムの上記樹脂フィルム層と、が熱融着した積層フィルム。
[8]
上記[4]乃至[7]いずれか一つに記載の積層フィルムにおいて、
上記無機物層が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物により構成されたものである積層フィルム。
[9]
上記[4]乃至[8]いずれか一つに記載の積層フィルムにおいて、
上記樹脂フィルム層が熱可塑性樹脂を含む積層フィルム。
[10]
上記[1]乃至[9]いずれか一つに記載の積層フィルムにおいて、
40℃、90%RHの条件下で測定される当該積層フィルムの水蒸気透過度が0.20g/m2・day以下である積層フィルム。
[11]
上記[1]乃至[10]いずれか一つに記載の積層フィルムを製造するための製造方法であって、
バリア性樹脂層(A)を有する第一バリア性フィルムと、上記第一バリア性フィルムと同一または異なる構成の第二バリア性フィルムと、を上記第一バリア性フィルムの上記バリア性樹脂層(A)と上記第二バリア性フィルムの一方の面と、が接するように積層する工程と、
上記第一バリア性フィルムの上記バリア性樹脂層(A)と上記第二バリア性フィルムの一方の面とを熱融着する工程と、
含む積層フィルムの製造方法。
図1〜図4は、本実施形態の積層フィルム100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
積層フィルム100は、バリア性樹脂層(A)を有する第一バリア性フィルム110と、第一バリア性フィルム110と同一または異なる構成の第二バリア性フィルム120と、を備える。そして、第一バリア性フィルム110のバリア性樹脂層(A)と、第二バリア性フィルム120の一方の面125と、が直接熱融着している。
ここで、第一バリア性フィルム110と第二バリア性フィルム120とが直接熱融着しているため、例えばウレタン系接着剤等の接着剤に含有される水分や硬化反応に起因する二酸化炭素、未硬化の低分子モノマー等の発生を抑制することができる。その結果、第一バリア性フィルム110と第二バリア性フィルム120との融着面における細かい気泡の発生を抑制できるため、積層フィルム100の全体の外観を良好なものとすることができる。
また、第一バリア性フィルム110と第二バリア性フィルム120とが熱融着しているため、第一バリア性フィルム110と第二バリア性フィルム120との界面における水蒸気の進入を抑制することができることに加え、積層フィルム100の水蒸気バリア性能を向上させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、バリア性樹脂層(A)と第二バリア性フィルム120の一方の面125とを直接熱融着させることにより、優れた水蒸気バリア性能を有しながら外観が良好な積層フィルム100を実現できる。
このような水蒸気透過度は、例えば、後述するバリア性樹脂層(A)、バリア性樹脂層(B)、無機物層103の厚みや種類、積層フィルム100の製造条件等を調整することにより達成できる。
第一バリア性フィルム110は、水蒸気バリア性能を向上させる観点から、バリア性樹脂層(A)を有する。また、第一バリア性フィルム110は、積層フィルム100の取扱い性、酸素バリア性能および水蒸気バリア性能をさらに向上させる観点から、樹脂フィルム層101、無機物層103等をさらに有していることが好ましい。この場合、第一バリア性フィルム110は、例えば、図2に示すように、樹脂フィルム層101と、無機物層103と、バリア性樹脂層(A)と、がこの順番に積層されている。
バリア性樹脂層(A)はバリア性樹脂を含む。バリア性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリカルボン酸多価金属塩系樹脂、ポリカルボン酸系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂とポリカルボン酸多価金属塩系樹脂とからなる樹脂、TEOS(テトラエトシキシラン)やTMOS(テトラメトキシシラン)を加水分解し架橋させるゾルゲル法を用いて得られる有機ケイ素系コーティング樹脂等から選択される一種または二種以上の樹脂を含む。
これらの中でも、生産効率、水蒸気バリア性能、透明性等の観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含むことが好ましい。
また、バリア性樹脂層(A)は、熱融着性に優れる観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスにより形成されたバリア性樹脂層(A1)を有することが好ましい。この場合、第一バリア性フィルム110と、第二バリア性フィルム120との接着性および水蒸気バリア性を向上させる観点から、バリア性樹脂層(A1)と、第二バリア性フィルム120の一方の面125と、が熱融着していることが好ましい。
バリア性樹脂層(A)は一種のバリア性樹脂により単層で構成されていてもよいし、二種以上のバリア性樹脂により複数層で構成されていてもよい。
塩化ビニリデンと共重合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、メタクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
この場合、第一バリア性フィルム110と、第二バリア性フィルム120との接着性および水蒸気バリア性を向上させる観点から、バリア性樹脂層(A1)またはバリア性樹脂層(A2)と、第二バリア性フィルム120の一方の面125と、が熱融着していることが好ましい。
本実施形態のバリア性樹脂層(A)は、優れたバリア性能を維持しながら、残留有機溶媒量を低下させつつ、さらに帯電防止性能を向上させることができる観点から、バリア性樹脂層(A2)の上にバリア性樹脂層(A1)を設けた構成であることが好ましい。また、さらにバリア性能を向上させるために無機物層103、特に酸化アルミニウムにより構成された層を設けた場合には、バリア性能の安定化および無機物層103とバリア性樹脂層との剥離強度保持の観点から当該無機物層103の表面にバリア性樹脂層(A2)を設けることが好ましい。
これらの中でもテトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶媒およびテトラヒドロフランとトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒が好ましい。
上記接着剤としては、シランカップリング剤;ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂等の接着性樹脂;からなる群から選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。
バリア性樹脂層(A)に用いられる接着剤の配合量は、上記接着剤が接着性樹脂の場合、ポリ塩化ビニリデン系樹脂と接着性樹脂との合計を100質量%としたとき、好ましくは3質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上20質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以上10質量%以下である。
接着剤の配合量が上記範囲内であると、接着性とバリア性の性能バランスに特に優れているため好ましい。
本実施形態の樹脂フィルム層101は、通常、熱可塑性樹脂を含むものであり、好ましくは熱可塑性樹脂により形成されたシート状またはフィルム状の基材により構成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
これらの中でも、延伸性、透明性が良好な点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドが好ましい。
また、樹脂フィルム層101の片面または両面に、バリア性樹脂層(A)や、後述の無機物層103との接着性を改良するために、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
樹脂フィルム層101の厚さは、通常1μm以上200μm以下、好ましくは5μm以上150μm以下である。
本実施形態の積層フィルム100において、透明性およびバリア性能のバランスをさらに向上させる観点から、第一バリア性フィルム110は無機物層103をさらに有することが好ましい。
無機物層103を構成する無機物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表3B族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4B族元素;セレン、テルル等の周期表6B族元素等の単体または酸化物等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
なお、酸化ケイ素には、二酸化ケイ素の他、一酸化ケイ素、亜酸化ケイ素が含有されていてもよい。
本実施形態において、無機物層103の厚さは、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。
第二バリア性フィルム120は、水蒸気バリア性能を向上させる観点から、無機物層103およびバリア性樹脂層(B)から選択される少なくとも一つのバリア層を有することが好ましい。
また、第二バリア性フィルム120は、積層フィルム100の取扱い性や酸素バリア性能、水蒸気バリア性能をさらに向上させるために無機物層103を有していることが好ましい。また、バリア性樹脂層(B)を形成する容易性の観点から、樹脂フィルム層101をさらに有していることが好ましい。この場合、第二バリア性フィルム120は、例えば、樹脂フィルム層101と、無機物層103と、バリア性樹脂層(B)と、がこの順番に積層されている。そして、例えば、第一バリア性フィルム110のバリア性樹脂層(A)と、第二バリア性フィルム120の無機物層103またはバリア性樹脂層(B)と、が熱融着していることが好ましく、熱融着性に優れ、第一バリア性フィルム110と、第二バリア性フィルム120との接着性および水蒸気バリア性をさらに向上させる観点から、図3に示すように、第一バリア性フィルム110のバリア性樹脂層(A)と、第二バリア性フィルム120のバリア性樹脂層(B)と、が熱融着していることがより好ましい。あるいは、熱融着性に優れ、第一バリア性フィルム110と、第二バリア性フィルム120との接着性および水蒸気バリア性をさらに向上させる観点から、例えば、図4に示すように、第一バリア性フィルム110のバリア性樹脂層(A)と、第二バリア性フィルム120の樹脂フィルム層101と、が熱融着していることが好ましい。
バリア性樹脂層(B)はバリア性樹脂を含む。バリア性樹脂としては、例えば、前述したバリア性樹脂層(A)で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
これらの中でも、生産効率、水蒸気バリア性能、透明性等の観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含むことが好ましい。
また、バリア性樹脂層(B)は、熱融着性に優れる観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスにより形成されたバリア性樹脂層(B1)を有することが好ましい。この場合、第一バリア性フィルム110と、第二バリア性フィルム120との接着性および水蒸気バリア性を向上させる観点から、第一バリア性フィルム110のバリア性樹脂層(A)と、バリア性樹脂層(B1)と、が熱融着していることが好ましい。
バリア性樹脂層(B)は一種のバリア性樹脂により単層で構成されていてもよいし、二種以上のバリア性樹脂により複数層で構成されていてもよい。
第二バリア性フィルム120の樹脂フィルム層101は、前述した第一バリア性フィルム110で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
本実施形態の積層フィルム100において、透明性およびバリア性能のバランスをさらに向上させる観点から、第二バリア性フィルム120は無機物層103をさらに有することが好ましい。
本実施形態の積層フィルム100は、ヒートシール性を付与するために、少なくとも片面に熱融着層を設けてもよい。
上記熱融着層としては、熱融着層として公知のものが使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンランダム共重合体、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体等から選択される一種または二種以上のポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む樹脂組成物により形成される層、EVAおよびポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層等が挙げられる。
本実施形態の積層フィルム100には、例えば、滑性層、帯電防止層等の種々のコーティング層やラミネート層をさらに設けてもよい。
本実施形態の積層フィルム100は、例えば、水蒸気バリア性能および透明性が要求される、食品、医薬品、日常雑貨等を包装するための包装用フィルム;真空断熱用フィルム;エレクトロルミネセンス素子、太陽電池等を封止するための封止用フィルム;等として好適に使用することができる。
本実施形態に係る積層フィルム100の製造方法は、バリア性樹脂層(A)を有する第一バリア性フィルム110と、第一バリア性フィルム110と同一または異なる構成の第二バリア性フィルム120と、を第一バリア性フィルム110のバリア性樹脂層(A)と第二バリア性フィルム120の一方の面125と、が接するように積層する工程と、第一バリア性フィルム110のバリア性樹脂層(A)と第二バリア性フィルム120の一方の面125とを熱融着する工程と、を含んでいる。
加熱温度は、特に限定されず、熱融着するバリア性樹脂の融着温度や基材フィルムの耐熱温度によって適宜選択することができるが、バリア性樹脂がポリ塩化ビニリデン系樹脂の場合は、100℃以上150℃以下が好ましく、110℃以上140℃以下がより好ましい。
実施例、比較例および参考例における水蒸気透過度は以下の測定方法で行った。
実施例、比較例および参考例で得られた積層フィルムに対して、厚さ50μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ社製、T.U.X(登録商標)FCS)に接着剤(三井化学社製、タケラック(登録商標)A−310/タケネート(登録商標)A−3=12/1(重量比))を3.0g/m2塗布し、積層フィルムの表面がLLDPEフィルムの接着剤塗布面が接するように積層した。
次いで得られた積層フィルムを用いて、内表面積が0.01m2になるように製袋し、得られた袋内に内容物として塩化カルシウムを10g入れ、袋の入り口をヒートシールした。
次いで得られた袋を温度40℃、湿度90%RHの環境下に72時間保管した。
保管前後の塩化カルシウムの重量を測定し、その差から水蒸気透過度を算出した。
実施例、比較例および参考例で得られた積層フィルムの外観は以下の基準で評価した。
〇:接着面に細かい気泡が発生せず、積層フィルムの全体の外観が良好であったもの。または接着面に細かい気泡がわずか発生したが、積層フィルムの全体の外観が良好であったもの
×:接着面に細かい気泡が多数発生し、積層フィルムの全体の外観が明らかに不良であったもの
基材フィルムとして、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、エンブレット(登録商標)PET12)を用いた。この基材フィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式を用いてアルミニウムを加熱蒸発させながら酸素を導入した。これにより基材フィルム上に厚みが10nmの酸化アルミニウム層を形成した。
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウム層上に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層1、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層2を順次形成することにより第一バリア性フィルムを得た。
ここで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層1およびポリ塩化ビニリデン系樹脂層2の形成方法は以下のとおりである。まず、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(旭化成社製、サランレジンF216)をトルエンとメチルエチルケトンの混合有機溶媒(重量比:トルエン/メチルエチルケトン=1/2)に溶解させ、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液(固形分5質量%)を調製した。
次いで、このポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を、乾燥後の塗工量が0.2g/m2になるように酸化アルミニウム層上にアプリケーターで塗工し、乾燥させて溶媒を除去することによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層1を形成した。
つづいて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックス(旭化成社製、サランラテックスL536B)を、10w/v%のアンモニア水を用いて中和後、乾燥後の塗工量が2.5g/m2になるようにポリ塩化ビニリデン系樹脂層1上にアプリケーターで塗工し、乾燥させて溶媒を除去することによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層2を形成し、第一バリア性フィルムを得た。
次いで、この第一バリア性フィルムと同様の方法で第二バリア性フィルムを作製した。
次いで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層2同士が接するように第一バリア性フィルムと第二バリア性フィルムを積層し、ラミネーター(稲進社製、ホームオフィスラミネーターSP230)を用いて設定温度130℃の条件で熱融着させることにより積層フィルム1を得た。得られた積層フィルム1の評価結果を表1に示す。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層2の乾燥後の塗工量を0.8g/m2とした以外は実施例1と同様にして積層フィルム2を得た。得られた積層フィルム2の評価結果を表1に示す。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層2の乾燥後の塗工量を0.4g/m2とした以外は実施例1と同様にして積層フィルム3を得た。得られた積層フィルム3の評価結果を表1に示す。
基材フィルムとして、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、エンブレット(登録商標)PET12)を用いた。この基材フィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式を用いてアルミニウムを加熱蒸発させながら酸素を導入した。これにより基材フィルム上に厚みが10nmの酸化アルミニウム層を形成した。
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウム層上に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層1を形成することにより第一バリア性フィルムを得た。
ここで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層1の形成方法は以下のとおりである。まず、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(旭化成社製、サランレジンF216)をトルエンとメチルエチルケトンの混合有機溶媒(重量比:トルエン/メチルエチルケトン=1/2)に溶解させ、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液(固形分5質量%)を調製した。
次いで、このポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を、乾燥後の塗工量が0.2g/m2になるように酸化アルミニウム層上にアプリケーターで塗工し、乾燥させて溶媒を除去することによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層1を形成し、第一バリア性フィルムを得た。
次いで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層同士が接するように上記第一バリア性フィルムと、実施例2で作製した第二バリア性フィルムを積層し、ラミネーター(稲進社製、ホームオフィスラミネーターSP230)を用いて設定温度130℃の条件で熱融着させることにより積層フィルム4を得た。得られた積層フィルム4の評価結果を表1に示す。
基材フィルムとして、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、エンブレット(登録商標)PET12)を用いた。この基材フィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式を用いてアルミニウムを加熱蒸発させながら酸素を導入した。これにより基材フィルム上に厚みが10nmの酸化アルミニウム層を形成した。
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムのポリエチレンテレフタレートフィルム側の面と、実施例2で作製した第一バリア性フィルムのポリ塩化ビニリデン系樹脂層2側の面とが接するように、酸化アルミニウム蒸着フィルムと実施例2で作製した第一バリア性フィルムとを積層し、ラミネーター(稲進社製、ホームオフィスラミネーターSP230)を用いて設定温度130℃の条件で熱融着させることにより積層フィルム5を得た。得られた積層フィルム5の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にして第一バリア性フィルムおよび第二バリア性フィルムを作製した。次いで、ウレタン系接着剤(三井化学社製タケネートA−3、タケラックA−310、酢酸エチルを1:12:7の割合で混合)を第一バリア性フィルムのポリ塩化ビニリデン系樹脂層2上にメイヤーバーを用いて固形分で3g/m2になるように塗布し、ドライヤーを用いて温度70℃で30秒間乾燥し、ウレタン系接着剤層を形成した。次いで、第二バリア性フィルムをウレタン系接着剤層に貼り合わせ、ゴムローラで圧着し、第一バリア性フィルムのウレタン系接着剤層上に、第二バリア性フィルムを貼り合わせて積層した。これを、40℃のオーブン中で2日間エージングし、積層フィルム6を得た。得られた積層フィルム6の評価結果を表1に示す。
実施例2と同様にして第一バリア性フィルムおよび第二バリア性フィルムを作製した。次いで、ウレタン系接着剤(三井化学社製タケネートA−3、タケラックA−310、酢酸エチルを1:12:7の割合で混合)を第一バリア性フィルムのポリ塩化ビニリデン系樹脂層2上にメイヤーバーを用いて固形分で3g/m2になるように塗布し、ドライヤーを用いて温度70℃で30秒間乾燥し、ウレタン系接着剤層を形成した。次いで、第二バリア性フィルムをウレタン系接着剤層に貼り合わせ、ゴムローラで圧着し、第一バリア性フィルムのウレタン系接着剤層に、第二バリア性フィルムを貼り合わせて積層した。これを、40℃のオーブン中で2日間エージングし、積層フィルム7を得た。得られた積層フィルム7の評価結果を表1に示す。
実施例2と同様にして第一バリア性フィルムおよび第二バリア性フィルムを作製した。第一バリア性フィルムのポリ塩化ビニリデン樹脂層2と、第二バリア性フィルムのポリエチレンテレフタレートフィルム側の面とを、比較例1と同様の方法で貼り合わせて積層し、積層フィルム8を得た。得られた積層フィルム8の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にして第一バリア性フィルムを作製した。この第一バリア性フィルムについて、水蒸気透過度を測定した。得られた評価結果を表1に示す。
実施例2と同様にして第一バリア性フィルムを作製した。この第一バリア性フィルムについて、水蒸気透過度を測定した。得られた評価結果を表1に示す。
101 樹脂フィルム層
103 無機物層
110 第一バリア性フィルム
120 第二バリア性フィルム
125 一方の面
A バリア性樹脂層
B バリア性樹脂層
Claims (10)
- バリア性樹脂層(A)を有する第一バリア性フィルムと、前記第一バリア性フィルムと同一または異なる構成の第二バリア性フィルムと、を備え、
前記第一バリア性フィルムの前記バリア性樹脂層(A)と、前記第二バリア性フィルムの一方の面と、が直接熱融着しており、
前記バリア性樹脂層(A)がポリ塩化ビニリデン系樹脂を含み、
前記バリア性樹脂層(A)が、前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスにより形成されたバリア性樹脂層(A1)および前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂が溶解した溶液により形成されたバリア性樹脂層(A2)を有し、
前記バリア性樹脂層(A1)と、前記バリア性樹脂層(A2)と、が接している積層フィルム。 - 請求項1に記載の積層フィルムにおいて、
前記第一バリア性フィルムが樹脂フィルム層と、無機物層と、前記バリア性樹脂層(A2)と、前記バリア性樹脂層(A1)と、がこの順番に積層されてなる積層フィルム。 - 請求項1または2に記載の積層フィルムにおいて、
前記第二バリア性フィルムが樹脂フィルム層と、無機物層およびバリア性樹脂層(B)から選択される少なくとも一つのバリア層と、を有する積層フィルム。 - 請求項3に記載の積層フィルムにおいて、
前記第一バリア性フィルムの前記バリア性樹脂層(A)と、前記第二バリア性フィルムの前記無機物層または前記バリア性樹脂層(B)と、が熱融着した積層フィルム。 - 請求項3に記載の積層フィルムにおいて、
前記第一バリア性フィルムの前記バリア性樹脂層(A)と、前記第二バリア性フィルムの前記樹脂フィルム層と、が熱融着した積層フィルム。 - 請求項2乃至5いずれか一項に記載の積層フィルムにおいて、
前記無機物層が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物により構成されたものである積層フィルム。 - 請求項2乃至6いずれか一項に記載の積層フィルムにおいて、
前記樹脂フィルム層が熱可塑性樹脂を含む積層フィルム。 - 請求項1乃至7いずれか一項に記載の積層フィルムにおいて、
40℃、90%RHの条件下で測定される当該積層フィルムの水蒸気透過度が0.20g/m2・day以下である積層フィルム。 - 請求項1乃至8いずれか一項に記載の積層フィルムを製造するための製造方法であって、
バリア性樹脂層(A)を有する第一バリア性フィルムと、前記第一バリア性フィルムと同一または異なる構成の第二バリア性フィルムと、を前記第一バリア性フィルムの前記バリア性樹脂層(A)と前記第二バリア性フィルムの一方の面と、が接するように積層する工程と、
前記第一バリア性フィルムの前記バリア性樹脂層(A)と前記第二バリア性フィルムの一方の面とを熱融着する工程と、
含む積層フィルムの製造方法。 - 請求項9に記載の積層フィルムの製造方法において、
前記バリア性樹脂層(A)を形成する工程をさらに含み、
前記バリア性樹脂層(A)を形成する工程が、
ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を塗布乾燥して前記バリア性樹脂層(A2)を形成する工程と、
ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塗布乾燥して前記バリア性樹脂層(A1)を形成する工程と、
を含む積層フィルムの製造方法。
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