JP6672064B2 - バリア性積層フィルムおよびバリア性包装体 - Google Patents

バリア性積層フィルムおよびバリア性包装体 Download PDF

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Description

本発明は、バリア性積層フィルムおよびバリア性包装体に関する。
バリア性フィルムとして、基材フィルム層の表面に無機物層とポリ塩化ビニリデン系樹脂層とを設けた積層フィルムが知られている。
このような積層フィルムに関する技術としては、例えば、特許文献1(特開平08−309913号公報)に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、基材フィルム層の少なくとも一方の面が、無機質薄膜層を介して、シランカップリング剤を含むバリア性樹脂層で被覆されているバリア性複合フィルムが記載されている。
特開平08−309913号公報
バリア性積層フィルムについて要求されるバリア性能の水準はますます高くなっている。
本発明者らの検討によれば、基材フィルム層の表面に無機物層とポリ塩化ビニリデン系樹脂層とを設けた積層フィルムにおいて、使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂や無機物層の種類を変更するだけではバリア性を高いレベルで向上させることが難しく、バリア性をさらに向上させるためにはポリ塩化ビニリデン系樹脂層や無機物層の厚みを厚くする必要があることが明らかとなった。
すなわち、本発明者は、従来の積層フィルムにおいては、バリア性をさらに向上させるためにはポリ塩化ビニリデン系樹脂層や無機物層の厚みを厚くする必要があり、バリア性と厚みとの間にはトレードオフの関係があることを見出した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、バリア性に特に優れ、厚みをより薄くすることが可能なバリア性積層フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、基材フィルム層の表面に無機物層とポリ塩化ビニリデン系樹脂層とを設けた積層フィルムにおいて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の単位厚みあたりのシランカップリング剤の含有量という尺度が、使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂層や無機物層の厚みを厚くすることなく、バリア性を高いレベルで向上させるための設計指針として有効であるという知見を得て、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下に示すバリア性積層フィルムが提供される。
[1]
基材フィルム層と、無機物層と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)と、がこの順番に積層されたバリア性積層フィルムであって、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)がシランカップリング剤を含み、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)の厚みをX[μm]とし、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)の全体を100質量部としたときの上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)中の上記シランカップリング剤の含有量をZ[質量部]としたとき、Z/Xが2.5以上130以下であるバリア性積層フィルム。
[2]
上記[1]に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
40℃、90%RHの条件下で測定される、上記バリア性積層フィルムの水蒸気透過度をY[g/(m・24h)]としたとき、
Y×Xが0.001g・μm/(m・24h)以上0.045g・μm/(m・24h)以下であるバリア性積層フィルム。
[3]
上記[1]または[2]に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記シランカップリング剤がエポキシ基含有シランカップリング剤およびアミノ基含有シランカップリング剤の少なくとも一方を含むバリア性積層フィルム。
[4]
上記[1]乃至[3]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)の全体を100質量部としたとき、上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)中の上記シランカップリング剤の含有量が0.5質量部以上15質量部以下であるバリア性積層フィルム。
[5]
上記[1]乃至[4]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
40℃、90%RHの条件下で測定される、上記バリア性積層フィルムの水蒸気透過度(Y)が1.0g/(m・24h)以下であるバリア性積層フィルム。
[6]
上記[1]乃至[5]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)の厚みが8.0μm以下であるバリア性積層フィルム。
[7]
上記[1]乃至[6]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記無機物層が、ケイ素化合物、酸化アルミニウム、およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物を含むバリア性積層フィルム。
[8]
上記[1]乃至[7]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記基材フィルム層が熱可塑性樹脂を含むバリア性積層フィルム。
[9]
上記[1]乃至[8]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)の表面上にシランカップリング剤を実質的に含有しないポリ塩化ビニリデン系樹脂(2)を有するバリア性積層フィルム。
[10]
上記[1]乃至[9]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムを含むバリア性包装体。
本発明によれば、バリア性に特に優れ、厚みをより薄くすることが可能なバリア性積層フィルムを提供することができる。
本発明に係る実施形態のバリア性積層フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。文中の数字の間にある「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
[バリア性積層フィルム]
図1は、本発明に係る実施形態のバリア性積層フィルム100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
バリア性積層フィルム100は、基材フィルム層101と、無機物層102と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103と、がこの順番に積層されてなる。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103がシランカップリング剤を含み、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の厚みをX[μm]とし、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の全体を100質量部としたときのポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103中のシランカップリング剤の含有量をZ[質量部]としたとき、Z/Xが2.5以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上、特に好ましくは7以上であり、そして、130以下であり、好ましくは100以下、より好ましくは80、さらに好ましくは70以下である。
本発明者らの検討によれば、基材フィルム層の表面に無機物層とポリ塩化ビニリデン系樹脂層とを設けた積層フィルムにおいて、使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂や無機物層の種類を変更するだけではバリア性を高いレベルで向上させることが難しく、バリア性をさらに向上させるためにはポリ塩化ビニリデン系樹脂層や無機物層の厚みを厚くする必要があることが明らかとなった。
すなわち、本発明者は、従来の積層フィルムは、バリア性をさらに向上させるためにはポリ塩化ビニリデン系樹脂層や無機物層の厚みを厚くする必要があり、バリア性と厚みとの間にはトレードオフの関係があることを見出した。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、基材フィルム層の表面に無機物層とポリ塩化ビニリデン系樹脂層とを設けた積層フィルムにおいて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の単位厚みあたりのシランカップリング剤の含有量という尺度が、使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂層や無機物層の厚みを厚くすることなく、バリア性を高いレベルで向上させるための設計指針として有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本実施形態によれば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の単位厚みあたりのシランカップリング剤の含有量である上記Z/Xを上記範囲内に調整することにより、使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂層や無機物層の厚みを厚くすることなく、バリア性を高いレベルで向上させることができる。
また、本実施形態によれば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103にシランカップリング剤を特定の条件で含有させることにより、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の厚み単位での水蒸気透過度を効果的に低下させることができ、加えて無機物層との相乗効果により、極めて優れた水蒸気バリア性を実現することができる。
この理由は明らかではないが、上記Z/Xが上記下限値以上であると、ポリビニリデン系樹脂層(1)103にシランカップリング剤による架橋構造が形成されることにより細密なポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103が形成されるとともに、シランカップリング剤が無機物層を構成する無機粒子の隙間に十分に入り込んで水蒸気の通り道を適度に塞ぐため、バリア性を高いレベルで向上できると考えられる。また、上記Z/Xが上記上限値以下であると、バリア性に優れるポリ塩化ビニリデン系樹脂の割合が増加するため、バリア性を向上できると考えられる。
したがって、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の厚みや無機物層の厚みを厚くすることなく、バリア性を向上できると考えられる。
以上から、本実施形態によれば、バリア性に特に優れ、厚みをより薄くすることが可能なバリア性積層フィルム100を提供することができる。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の全体を100質量部としたとき、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103中のシランカップリング剤の含有量は0.5質量部以上15質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上12質量部以下であることがより好ましく、2.0質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましく3.0質量部以上9.0質量部以下であることがさらにより好ましく、4.0質量部以上8.0質量部以下であることが特に好ましい。
また、40℃、90%RHの条件下で測定される、バリア性積層フィルム100の水蒸気透過度をY[g/(m・24h)]としたとき、Y×Xが好ましくは0.001g・μm/(m・24h)以上0.045g・μm/(m・24h)以下であり、より好ましくは0.001g・μm/(m・24h)以上0.040g・μm/(m・24h)以下であり、さらに好ましくは0.001g・μm/(m・24h)以上0.038g・μm/(m・24h)以下である。
また、バリア性積層フィルム100の全体の厚みは、特に限定されないが、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下、12μm以上20μm以下である。
バリア性積層フィルム100は、水蒸気バリア性に優れ、包装用フィルムや封止用フィルムとして好適に用いることができる。具体的には、バリア性積層フィルム100において、40℃、90%RHの条件下で測定される水蒸気透過度は、好ましくは1.0g/(m・24h)以下、より好ましくは0.5g/(m・24h)以下、さらに好ましくは0.4g/(m・24h)以下、さらにより好ましくは0.25g/(m・24h)以下である。
このような水蒸気透過度は、例えば、上記Z/Xを上記範囲内に調整することや、無機物層102やポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の厚みを調整することにより達成できる。
また、バリア性積層フィルム100は、酸素バリア性に優れ、包装用フィルムや封止用フィルムとして好適に用いることができる。具体的には、バリア性積層フィルム100において、JIS K7126−2:2006に準拠し、温度20℃、湿度90%RHの条件で測定される酸素透過度は、好ましくは5.0ml/(m・day・MPa)以下であり、より好ましくは2.0ml/(m・day・MPa)以下である。
このような酸素透過度は、例えば、上記Z/Xを上記範囲内に調整することや、無機物層102やポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の厚みを調整することにより達成できる。
以下、バリア性積層フィルム100を構成する各部材について説明する。
(基材フィルム層)
本実施形態の基材フィルム層101は、好ましくは熱可塑性樹脂を含むものであり、より好ましくは熱可塑性樹脂により形成されたシート状またはフィルム状の基材により構成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
これらの中でも、延伸性、透明性が良好な点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
また、熱可塑性樹脂により形成されたフィルム状の基材は、無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。
また、基材フィルム層101の片面または両面に、無機物層102との接着性を改良するために、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、プライマーコート処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
基材フィルム層101の厚さは、特に限定はされないが好ましくは1μm以上50μm以下、より好ましくは5μm以上25μm以下である。
(無機物層)
本実施形態の無機物層102を構成する無機物は、例えば、バリア性を有する薄膜を形成できる金属、金属酸化物等が挙げられる。
無機物層102を構成する無機物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表3A族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4A族元素;セレン、テルル等の周期表6A族元素等の単体または酸化物等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
なお、本実施形態では、周期表の族名は旧CAS式で示している。
さらに、上記無機物の中でも、バリア性、コスト等のバランスに優れていることから、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素等のケイ素化合物、酸化アルミニウム、アルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物を含むことが好ましい。
なお、酸化ケイ素には、二酸化ケイ素の他、一酸化ケイ素、亜酸化ケイ素が含有されていてもよい。
無機物層102は上記無機物により形成されている。無機物層102は単層の無機物層から構成されていてもよいし、複数の無機物層から構成されていてもよい。また、無機物層102が複数の無機物層から構成されている場合には同一種類の無機物層から構成されていてもよいし、異なった種類の無機物層から構成されていてもよい。
無機物層102の厚さは、バリア性、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは2nm以上50nm以下、さらに好ましくは5nm以上30nm以下である。
本実施形態において、無機物層102の厚さは、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。
無機物層102の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスや、ゾルゲルプロセス等により基材フィルム層101の片面または両面に無機物層102を形成することができる。
(ポリ塩化ビニリデン系樹脂層)
本実施形態のバリア性積層フィルム100において、無機物層102の保護やバリア性の向上等の観点から、無機物層102上にポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103が設けられている。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103および後述するポリ塩化ビニリデン系樹脂層(2)はポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含む層である。
ここで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むとは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103およびポリ塩化ビニリデン系樹脂層(2)がポリ塩化ビニリデン系樹脂を50質量%以上含むことを意味する。ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103およびポリ塩化ビニリデン系樹脂層(2)はポリ塩化ビニリデン系樹脂を好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上含む。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103およびポリ塩化ビニリデン系樹脂層(2)のポリ塩化ビニリデン系樹脂の含有量が上記範囲内であると、無機物層102の保護やバリア性の性能バランスがより一層優れる。
本実施形態のポリ塩化ビニリデン系樹脂は、構成単位として、塩化ビニリデンモノマーを主に含有するものであれば特に限定されず、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)であってもよいし、塩化ビニリデンと、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。
上記共重合体としては、塩化ビニリデンの含有割合が60質量%以上100質量%未満であり、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の含有割合が0質量%を超えて40質量%以下である共重合体を例示することができる。
塩化ビニリデンと共重合可能な単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステルまたはシクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステルのような(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のカルボキシル基を有するエチレン系α、β−不飽和カルボン酸およびその塩;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のアクリル酸または(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;ポリオキシエチレンモノアクリレート、ポリオキシエチレンモノメタアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール等の水酸基含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、ブタジエン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、イタコン酸アルキルエステル、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のその他の重合性不飽和単量体等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103は、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成することができる。
さらに、第一のポリ塩化ビニリデン系樹脂層の表面上に異なる組成の第二のポリ塩化ビニリデン系樹脂層を設けてポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103とすることも可能である。例えば、第一のポリ塩化ビニリデン系樹脂層で使用されているポリ塩化ビニリデン系樹脂とは異なるポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解したポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により、第一のポリ塩化ビニリデン系樹脂層の表面上に第二のポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成してこれらの層をポリ塩化ビニリデン系樹脂(1)103とすることも可能であり、また、有機溶媒に溶解したポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成したポリ塩化ビニリデン系樹脂層表面上にポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成してこれらの層をポリ塩化ビニリデン系樹脂(1)103とすることもできる。
さらに、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の表面上にシランカップリング剤を実質的に含有しないポリ塩化ビニリデン系樹脂(2)を設けてもよい。ここで「シランカップリング剤を実質的に含有しない」とはシランカップリング剤が積極的に添加されていないことを意味するものであり、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(1)からのシランカップリング剤のマイグレーションによる含有は除外することを意味する。ポリ塩化ビニリデン系樹脂(2)はポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解したポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成してもよいし、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスにより形成してもよいし、これら双方から形成してもよい。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103に使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂は、従来公知の方法で製造することもできるが、種々の市販品を用いることもできる。市販品としては、旭化成社製のサランレジンシリーズ等を好ましく使用することができる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂を溶解させる有機溶媒としては、使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂の種類に応じて適宜選択されるため特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;これらの混合溶媒;等が挙げられる。これらの有機溶媒は一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でもテトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶媒およびテトラヒドロフランとトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒が好ましい。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103はシランカップリング剤を含んでいる。
上記シランカップリング剤としては特に限定されないが、例えば、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のハロゲン含有シランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記シランカップリング剤としては、得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の外観をより良好にする観点から、エポキシ基含有シランカップリング剤およびアミノ基含有シランカップリング剤の少なくとも一方を含むことが好ましく、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、および3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシランからなる群から選択される一種または二種以上を含むことがより好ましく、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、および3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも一種を含むことがさらに好ましい。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103は、無機物層102との接着性を向上させる観点から、さらに接着性樹脂を含んでいてもよい。特に無機物層102として、酸化ケイ素により形成された層を用いる場合、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103と無機物層102との接着性が劣るため、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103はさらに接着性樹脂を含むことが好ましい。
上記接着性樹脂としては、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103に用いられる接着性樹脂の配合量は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂と接着性樹脂との合計を100質量%としたとき、好ましくは3質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上20質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以上10質量%以下である。
接着性樹脂の配合量が上記範囲内であると、接着性とバリア性の性能バランスに特に優れているため好ましい。
例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂とともに接着剤を有機溶媒に溶解して得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を用いることにより、接着剤を含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103を形成することができる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の形成方法としては、例えば、シランカップリング剤を含むポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成されたポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムを無機物層102上に積層させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103を形成する方法、シランカップリング剤を含むポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を無機物層102上に塗布し、乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、バリア性、密着性、生産性等の観点から、シランカップリング剤を含むポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を無機物層102上に塗布し、乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103を形成する方法が好ましい。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の形成方法としては、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子およびシランカップリング剤を含むラテックスにより形成されたポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムを無機物層102上に積層させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103を形成する方法、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子およびシランカップリング剤を含むラテックスを無機物層102上に塗布し、乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、バリア性、密着性、生産性の観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子およびシランカップリング剤を含むラテックスを無機物層102上に塗布し、乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103を形成する方法が好ましい。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103に使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスは、従来公知の方法で製造することもできるが、種々の市販品を用いることもできる。市販品としては、旭化成社製のサランラテックスシリーズ等を好ましく使用することができる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の厚みは、透明性、コスト、残留有機溶媒量等の観点から、好ましくは8.0μm以下、より好ましくは4.0μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下、さらにより好ましくは1.0μm未満、特に好ましくは0.5μm未満である。バリア性積層フィルム100はバリア性能に優れるため、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の厚みを上記上限値以下または未満と薄くすることが可能である。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103の厚みは、バリア性、取扱い性等の観点から、0.05μm以上、より好ましくは0.07μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。
(熱融着層)
本実施形態のバリア性積層フィルム100は、ヒートシール性を付与するために、少なくとも片面に熱融着層を設けてもよい。
上記熱融着層としては、熱融着層として公知のものが使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンランダム共重合体、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体等から選択される一種または二種以上のポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む樹脂組成物により形成される層、EVAおよびポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層等が挙げられる。
(その他の層)
本実施形態のバリア性積層フィルム100には、例えば、滑性層、帯電防止層等の種々のコーティング層やラミネート層をさらに設けてもよい。
(用途)
本実施形態のバリア性積層フィルム100は、例えば、バリア性能が要求される、食品、医薬品、日常雑貨等を包装するための包装用フィルム;真空断熱用フィルム;エレクトロルミネセンス素子、太陽電池等を封止するための封止用フィルム;等として好適に使用することができる。
また、本実施形態のバリア性積層フィルム100はバリア性包装体を構成するバリア性フィルムとして好適に用いることもできる。本実施形態に係るバリア性包装体は、例えば、内容物を充填することを目的として使用される本実施形態のバリア性フィルム100により構成されたバリア性包装袋自体または当該袋に内容物を充填したものである。また、本実施形態に係るバリア性包装袋は用途に応じその一部にバリア性積層フィルム100を使用してもよいし、バリア性包装袋全体にバリア性積層フィルム100を使用してもよい。
[バリア性積層フィルムの製造方法]
本実施形態に係るバリア性積層フィルム100の製造方法は、基材フィルム層101と、無機物層102と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103と、がこの順番に積層されてなるバリア性積層フィルム100の製造方法であり、以下の工程を含んでいる。
(1)無機物層102上に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂およびシランカップリング剤を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を塗布し、乾燥することによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103を形成する工程、あるいは無機物層102上に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子およびシランカップリング剤を含むラテックスを塗布し、乾燥することによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)103を形成する工程
上記(1)の工程において、上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液や上記ラテックスを無機物層102上に塗布する方法としては、特に限定されず、通常の方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディップコーター、ダイコーター等の公知の塗工機を用いて塗工する方法が挙げられる。
上記(1)の工程において、塗布後の乾燥方法としては特に限定されず、通常の方法を用いることができる。例えば、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤー、ドラムドライヤー、フローティングドライヤー等の公知の乾燥機を用いて乾燥する方法が挙げられる。
乾燥温度は、好ましくは50℃以上200℃以下、より好ましくは70℃以上150℃以下、さらに好ましくは90℃以上130℃以下であり、乾燥時間は、好ましくは5秒間以上10分間以下、より好ましくは5秒間以上3分間以下、さらに好ましくは5秒間以上1分間以下である。
乾燥後、必要によりオーブン等によって熱処理を行うことが好ましい。例えば、上記乾燥後のフィルムを好ましくは35℃以上60℃以下、より好ましくは40℃以上50℃以下のオーブン中で、好ましくは5時間以上70時間以下、より好ましくは10時間以上50時間以下程度熱処理する。このような熱処理によりポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化が促進され、バリア性積層フィルム100のバリア性能をより一層向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例における各評価は以下の方法で行った。
(1)水蒸気透過度の測定
厚さ50μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ社製、商品名:T.U.XFCS)に接着剤(三井化学社製、タケラックA−310(商品名)/タケネートA−3(商品名)=12/1(重量比))を3.0g/m塗布した。次いで、実施例および比較例で得られたバリア性積層フィルムの基材フィルム層とは反対側の表面とLLDPEフィルムの接着剤塗布面が接するようにして、バリア性積層フィルムとLLDPEフィルムとを積層し、積層体を得た。
次いで得られた積層体を用いて、内表面積が0.01mになるように製袋し、得られた袋内に内容物として塩化カルシウムを10g入れ、袋の入り口をヒートシールした。
次いで得られた袋を温度40℃、湿度90%RHの環境下に72時間保管した。
保管前後の塩化カルシウムの重量を測定し、その差から水蒸気透過度(g/(m・24h))を算出した。
(2)酸素透過度の測定
酸素透過度はJIS K7126−2:2006に準拠して測定した。
厚さ50μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ社製、商品名:T.U.XFCS)に接着剤(三井化学社製、タケラックA−310(商品名)/タケネートA−3(商品名)=12/1(重量比))を3.0g/m塗布した。次いで、実施例および比較例で得られたバリア性積層フィルムの基材フィルム層とは反対側の表面とLLDPEフィルムの接着剤塗布面が接するようにして、バリア性積層フィルムとLLDPEフィルムとを積層し、積層体を得た。
次いで、酸素透過率測定機(MOCON社製:OXTRAN2/21)を使用して、得られた積層体の酸素透過度(ml/(m・day・MPa))を温度20℃、湿度90%RHの条件で測定した。
(2)フィルムの外観評価
バリア性積層フィルムの外観は以下の基準で目視により評価した。
〇:着色や表面にブツが観察されない
△:着色や表面にブツが観察されるが、実用上は問題なし
×:着色や表面にブツが観察されるが、実用上は問題あり
<実施例1>
基材フィルムとして、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、商品名:エンブレットPET12)を用いた。この基材フィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式により、アルミニウムを加熱蒸発させ、さらに酸素を導入し、基材フィルム上に厚みが10nmになるように酸化アルミニウムを蒸着し、酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウム層上に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成することによりバリア性フィルムを得た。
ここで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の形成方法は以下のとおりである。まず、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(旭化成社製、商品名:サランレジンF216)をトルエンとメチルエチルケトンの混合有機溶媒(重量比:トルエン/メチルエチルケトン=1/2)に溶解させた。
次いで、得られたポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液にシランカップリング剤(3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製KBM−403)を1.0質量部(ポリ塩化ビニリデン系樹脂の固形分の質量を100質量部とする。)配合し、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液(固形分5質量%)を調製した。
次いで、このポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を、乾燥後の塗工量が0.2g/m(乾燥後の厚み:0.12μm)になるように酸化アルミニウム層上にアプリケーターで塗工し、乾燥させて溶媒を除去することによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成し、バリア性積層フィルムを得た。
得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例2>
シランカップリング剤(3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製KBM−403)の含有量を2.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア性積層フィルムを得た。得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例3>
シランカップリング剤(3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製KBM−403)の含有量を4.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア性積層フィルムを得た。得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例4>
シランカップリング剤(3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製KBM−403)の含有量を8.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア性積層フィルムを得た。得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例5>
酸化アルミニウム蒸着フィルムの代わりに以下の酸化ケイ素蒸着フィルムを用いたこと以外は実施例3と同様にしてバリア性積層フィルムを得た。得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
上記酸化ケイ素蒸着フィルムは以下の手順で作製した。まず、基材フィルムとして、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、商品名:エンブレットPET12)を用いた。この基材フィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式により、SiOを加熱蒸発させ、さらに酸素を導入し、基材上に厚みが10nmになるようにSiOxを蒸着し、酸化ケイ素蒸着フィルムを得た。
<実施例6>
酸化アルミニウム蒸着フィルムの代わりに実施例5で用いた酸化ケイ素蒸着フィルムを用いたこと以外は実施例4と同様にしてバリア性積層フィルムを得た。得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例7>
シランカップリング剤の種類を3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越シリコーン社製KBE−903)に変更し、その含有量を4.0質量部にした以外は実施例1と同様にしてバリア性積層フィルムを得た。得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例1および2)
シランカップリング剤(3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製KBM−403)の含有量を表1に示す値にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてバリア性積層フィルムをそれぞれ得た。得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例3および4)
シランカップリング剤(3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製KBM−403)の含有量を表1に示す値にそれぞれ変更した以外は実施例5と同様にしてバリア性積層フィルムをそれぞれ得た。得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 0006672064
実施例1〜7のバリア性積層フィルムはバリア性に特に優れ、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の厚みを薄くすることができた。また、フィルムの外観も良好であった。
これに対し、比較例1〜4で得られたバリア性積層フィルムは、実施例1〜7のバリア性積層フィルムに比べてバリア性に劣っていた。
100 バリア性積層フィルム
101 基材フィルム層
102 無機物層
103 ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)

Claims (9)

  1. 基材フィルム層と、無機物層と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)と、がこの順番に積層されたバリア性積層フィルムであって、
    前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)がシランカップリング剤を含み、
    前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)の厚みをX[μm]とし、
    前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)の全体を100質量部としたときの前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)中の前記シランカップリング剤の含有量をZ[質量部]としたとき、Z/Xが2.5以上130以下であり、
    40℃、90%RHの条件下で測定される、前記バリア性積層フィルムの水蒸気透過度をY[g/(m ・24h)]としたとき、
    Y×Xが0.001g・μm/(m ・24h)以上0.045g・μm/(m ・24h)以下であるバリア性積層フィルム。
  2. 請求項1に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記シランカップリング剤がエポキシ基含有シランカップリング剤およびアミノ基含有シランカップリング剤の少なくとも一方を含むバリア性積層フィルム。
  3. 請求項1または2に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)の全体を100質量部としたとき、前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)中の前記シランカップリング剤の含有量が0.5質量部以上15質量部以下であるバリア性積層フィルム。
  4. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    40℃、90%RHの条件下で測定される、前記バリア性積層フィルムの水蒸気透過度(Y)が1.0g/(m・24h)以下であるバリア性積層フィルム。
  5. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)の厚みが8.0μm以下であるバリア性積層フィルム。
  6. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記無機物層が、ケイ素化合物、酸化アルミニウム、およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物を含むバリア性積層フィルム。
  7. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記基材フィルム層が熱可塑性樹脂を含むバリア性積層フィルム。
  8. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層(1)の表面上にシランカップリング剤を実質的に含有しないポリ塩化ビニリデン系樹脂(2)を有するバリア性積層フィルム。
  9. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムを含むバリア性包装体。
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