JP6393381B1 - コーヒー飲料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オイル香料を含む均質微粒子を含む、コーヒー飲料。均質微粒子のメジアン径(D50)が400nm以下であるコーヒー飲料。均質微粒子のメジアン径(D50/D90)が、0.6以上0.8以下であるコーヒー飲料。均質微粒子に含まれる前記オイル香料は、コーヒー香気成分を含むコーヒー飲料。
【選択図】なし
Description
ここで、特許文献1に記載されるようなコーヒーオイルは、コーヒー豆の香りの有効成分を含むものであるが、油溶性であるため、そのまま容器詰めコーヒー飲料に添加した場合、容器詰めコーヒー飲料の製造後、喫飲されるまでの間に、油溶成分がコーヒー飲料の表面に浮き、外観を損ねる等の問題があった。そこで、従来の容器詰めコーヒー飲料には、主に水溶性香料が用いられていた。しかしながら、水溶性香料は、コーヒーの香りのインパクトの点において十分ではなかった。
本発明者らは、コーヒー飲料におけるコーヒー特有の香りに関し検討を行い、コーヒー特有の香気成分を溶解させたオイル香料を用いるという新たな試みを行った。そして、オイル香料を用い、これを均質化することで、コーヒー飲料において、オイル香料によるインパクトのある香りが感じられるだけでなく、口腔香気が効果的に得られることが見出された。くわえて、均質化されたオイル香料を用いることで、オイルの浮きを抑制することができ、その結果、コーヒー感が強く、余韻があり、見た目のよいコーヒー飲料が得られることが判明し、本発明を完成した。
オイル香料を含む均質微粒子を含み、
前記均質微粒子のメジアン径(D 50 /D 90 )が、0.6以上0.8以下であり、前記オイル香料は、コーヒー香気成分を含む、コーヒー飲料が提供される。
本実施形態に係るコーヒー飲料とは、1977年に制定された「コーヒー含有飲料等の表示に関する公正競争規約」にも記載されているように、コーヒー豆を原料とした飲料及びこれに糖類、乳製品、乳化された食用油脂その他の可食物を加え容器に密封した飲料のことを指す。一方、「飲用乳の表示に関する公正競争規約」によれば、2017年現在、重量百分率で乳固形分3.0%以上の成分を含有するものについては、「乳飲料」として扱われることになる。
本実施形態に係るコーヒー飲料については、コーヒー豆を原料とした飲料であるため、重量百分率で乳固形分3.0%以上の成分を含有するものであったとしても、コーヒー飲料として扱うこととする。
コーヒー抽出液とは、コーヒー豆から抽出されたコーヒーエキスを含む液体である。コーヒーエキスには、コーヒー豆に由来する可溶性固形分が含まれている。可溶性固形分は、コーヒーエキスを乾燥(蒸発)させた際に、固体として得られる成分である。
コーヒー豆の種類は、特に限定されるものではなく、たとえば、メキシコ、グアテマラ、ブルーマウンテン、クリスタルマウンテン、コスタリカ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジル・サントス、ハワイ・コナ、モカ、ケニア、キリマンジャロ、マンデリン、およびロブスタ等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、コーヒー豆は、粉砕したものであってもよい。
オイル香料を含む均質微粒子は、乳化剤存在下でオイル香料を均質化することによって形成されたものである。当該均質微粒子は、オイル香料以外の油などを含んでもよい微細なミセルである。コーヒー飲料中には、当該均質微粒子が均一に分散し、安定的に存在している。
コーヒー香気成分は、コーヒー豆の蒸留物や抽出物のような天然物から抽出したもの、または化学的に合成されたもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。なかでも、コーヒー豆を焙煎し、粉砕した直後のコーヒー豆の有する強く深い香りに含まれるコーヒー香気成分を含むことが好ましい。コーヒー特有の香りを効果的に得る観点から、コーヒー香気成分は、油溶性であることが好ましい。
一方、オイル香料の含有量は、良好な見た目を得つつ、コーヒーの嗜好性を良好に保持する観点から、コーヒー飲料全量に対して、好ましくは、0.2質量%以下、より好ましくは、0.15質量%以下である。
上記のオイル香料を含む均質微粒子のメジアン径(D50)は、好ましくは、400nm以下である。これにより、良好なコーヒー特有の香りが強く感じられるだけでなく、苦みがシャープに感じられつつも、その後苦みが残らず、後味がすっきりできる。かかる作用効果は、当該均質微粒子のメジアン径(D50)を小さくすることで、後味がすっきりできるという本発明者らによる新たな知見に基づく。また、当該均質微粒子のメジアン径(D50)は、より後味をすっきりさせつつ、飲みやすさ、味のよさ、後味のよさ、口当たりを向上させる観点から、より好ましくは、360nm以下であり、飲みやすさ、味のよさ、口当たりをバランスよく向上させ、一層後味をすっきりさせる観点から、さらに好ましくは、320nm以下である。
乳化剤は、オイル香料をコーヒー抽出液中で分散させ、安定化させるために用いられる。
乳化剤としては、例えば、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、クエン酸三エチル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、ヒマワリレシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート類、サポニン類、レシチン類、スフィンゴ脂質、胆汁末、動物性ステロール、およびユッカフォーム抽出物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
コーヒー飲料のpH(液温20℃)は、4.5以上6.8以下であることが好ましく、5.0以上6.6以下であることがより好ましい。これにより、コーヒー感、余韻を強くしつつ、飲みやすさのバランスに優れたコーヒー飲料とすることができる。
Brix値は、コーヒー飲料全量に対する可溶性固形分の合計含有量を示す。Brix値は、たとえば、屈折計を用いて測定することができる。
カフェイン含有量は、コーヒー飲料全量に対して、0.2g/L以上1.0g/L以下であることが好ましく、0.3g/L以上0.8g/L以下であるとさらに好ましい。これにより、強いコーヒー感、余韻を得つつ、飲みやすさのバランスに優れたコーヒー飲料とすることができる。
コーヒー飲料は、容器詰めされてもよい。また、容器としては、例えば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。コーヒー飲料の風味、外観を良好に保持する観点から、光遮断性を有する容器であることが好ましく、取扱性、流通性、携帯性等の観点から、スチール缶であることがより好ましい。
コーヒー飲料の製造方法は、以下の工程を含む。
工程1:乳化剤存在下でオイル香料が溶解した溶液に、せん断力を加え、均質化溶液を得る工程。
工程2:コーヒー抽出液に、前記均質化溶液を加える工程。
乳化剤存在下でオイル香料が溶解した溶液に、せん断力を加え、均質化溶液を得る。
オイル香料は60〜80℃で溶解することが好ましい。
溶媒としては、食用に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、純水、牛乳などの液状の乳製品などといった水溶性の液体が挙げられる。
なお、均質化とは、オイル香料、乳化剤およびその他成分を十分混合することにより均質にすることであって、オイル成分や脂肪球などの粗大粒子を機械的に微細化して微粒子とし、かかる微粒子が分散した均一な乳化状態にすることをいう。
たとえば、撹拌時間5〜20分、撹拌速度400〜900rpm、液温60〜80℃とする方法が挙げられる。これにより、コーヒー香気成分の劣化を抑制しつつ、オイル香料を効果的に分散できるようになる。
コーヒー抽出液に、前記均質化溶液を加える。
まず、コーヒー抽出液は、公知の方法で準備することができる。
つぎに、10〜30℃のコーヒー抽出液に、10〜30℃に冷却された均質化溶液を加える。これにより、オイル香料を含む均質微粒子が安定した状態で、コーヒー飲料中に含まれるようになる。また、両液の温度差を小さくすることにより、よりオイル香料を安定化できる。さらに、均質化溶液を加えたあと、公知の方法により混合し、コーヒー飲料を得る。また、乳成分、甘味成分などの添加剤をさらに加え、ともに混合し、コーヒー飲料を調製してもよい。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
オイル香料を含む均質微粒子を含む、コーヒー飲料。
<2>
前記均質微粒子のメジアン径(D 50 )が400nm以下である、<1>に記載のコーヒー飲料。
<3>
前記均質微粒子のメジアン径(D 50 /D 90 )が、0.6以上0.8以下である、<1>または<2>に記載のコーヒー飲料。
<4>
前記均質微粒子に含まれる前記オイル香料は、コーヒー香気成分を含む、<1>乃至<3>いずれか一に記載のコーヒー飲料。
・コーヒー抽出液の調製
55gの粉砕コーヒー豆を熱水で抽出し、コーヒー抽出液400g(Bx3.8)を調製した。
食用油脂に、コーヒー香気成分を、99:1の割合で溶解させ、オイル香料を作製した。
乳化剤:グリセリン脂肪酸エステル
水溶性香料:オイル香料に使用したコーヒー香気成分と同じものを用いて水溶性香料としたものを使用した。
表1に示す割合で、乳化剤、カゼインナトリウム、粉乳、およびオイル香料を、撹拌時間20分、撹拌速度800rpm、液温75℃として溶解した後、ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ社製)を用いて、均質化圧力6MPaで均質化し均質化溶液を得た。
コーヒー抽出液を20℃とし、これに、得られた均質化溶液を20℃として添加し、さらに牛乳、砂糖、および重曹を添加、混合して、コーヒー飲料を得た。
その後、75℃以上となるように加熱したコーヒー飲料を、190g缶に充填・密封した後、レトルト殺菌を行うことにより、容器詰めコーヒー飲料を作製した。
均質化圧力を12MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして、コーヒー飲料を作製した。
均質化圧力を24MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして、コーヒー飲料を作製した。
均質化圧力を30MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして、コーヒー飲料を作製した。
均質化圧力を20MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして、コーヒー飲料を作製した。
均質化処理を行わず、乳化剤、オイル香料をそのままコーヒー抽出液に添加した以外は、実施例1と同様にして、コーヒー飲料を作製した。
オイル香料の代わりに水溶性香料を用い、均質化圧力を18MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして、コーヒー飲料を作製した。
実施例および比較例の各コーヒー飲料のそれぞれを、熟練したパネラー10名が25℃の喫飲温度で試飲し、2つのコーヒー飲料を対比した場合、評価項目「飲みやすさ」、「口に入れたときの味のよさ」、「後味のよさ」、「口あたりがよい」、「後味がすっきりしている」それぞれについて、いずれのコーヒー飲料が該当すると思うかを評価した。結果を、図1〜3に示す。図1は、実施例1と実施例2との対比結果、図2は、実施例3と実施例2との対比結果、図3は、実施例2と実施例4との対比結果をそれぞれ示す。
実施例および比較例の各コーヒー飲料のそれぞれを、熟練したパネラー5名が25℃の喫飲温度で試飲し、基準品(コントロール品)のコーヒー飲料と比較し、以下の評価基準に従って5段階評価を実施し、その平均値を評価点とした。評価点が4以上、5以下を○、評価点が2以上、4未満を△、評価点が2未満を×とし、結果を、表1に示す。なお、比較例1は、液面に油脂が浮いていたため、試飲による評価は行わなかった。
5点:基準品(コントロール品)と比べてコーヒー感が強かった。
4点:基準品(コントロール品)と比べてややコーヒー感が強かった。
3点:基準品(コントロール品)と変わらないコーヒー感であった。
2点:基準品(コントロール品)と比べてややコーヒー感が弱かった。
1点:基準品(コントロール品)と比べてコーヒー感が弱かった。
5点:基準品(コントロール品)と比べて余韻が強かった。
4点:基準品(コントロール品)と比べてやや余韻が強かった。
3点:基準品(コントロール品)と変わらない余韻であった。
2点:基準品(コントロール品)と比べてやや余韻が弱かった。
1点:基準品(コントロール品)と比べて余韻が弱かった。
・外観
熟練したパネラーが、目視で評価した。結果を、表1に示す。
○:液面に油脂が浮いていなかった。
×:液面に油脂が浮いていた。
実施例5のコーヒー飲料について、80℃で8日間保管する前のオイル香料を含む均質微粒子メジアン径を(D50前)とし、保管後の当該均質微粒子のメジアン径を(D50後)として、測定した。
その結果、D50前は、341.4nmであるのに対し、D50後は、343.1nmであった。さらに、上記の保管後のコーヒー飲料について、試飲したところ、保管前と変わらない風味、外観が得られた。
・オイル香料を含む均質微粒子の粒径の測定
レーザー回折/散乱式粒度分布計「LA−920」(堀場製作所製)を用い、レーザー回折・散乱法にて求めた原理上の体積分布におけるメジアン径として求めた。
頻度の累積が50%になる粒子径をメジアン径(D50)とし、頻度の累積が90%になる粒子径をメジアン径(D90)とした。結果を、表1に示す。
Claims (4)
- オイル香料を含む均質微粒子を含み、
前記均質微粒子のメジアン径(D50/D90)が、0.6以上0.8以下であり、前記オイル香料は、コーヒー香気成分を含む、コーヒー飲料。 - 前記均質微粒子のメジアン径(D50)が400nm以下である、請求項1に記載のコーヒー飲料。
- 前記オイル香料は、コーヒー香気成分を溶媒に溶解してなる、請求項1または2に記載のコーヒー飲料。
- 前記溶媒は、食用油脂、アセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびジエチルエーテルの中から選ばれる1種または2種以上である、請求項3に記載のコーヒー飲料。
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