JP6390366B2 - 粘着剤組成物、その製造方法、粘着テープ - Google Patents
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Description
しかし、紫外線硬化型の粘着剤は繰り返し使用できないという欠点がある。
また、本発明は片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)が、分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a1)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(a2)をラジカル重合してなることを特徴とする上記粘着剤組成物に関する。
また、本発明はエチレン性不飽和単量体(a2)が、炭素数12〜50の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことを特徴とする上記粘着剤組成物に関する。
また、本発明はエチレン性不飽和単量体(a2)の合計100重量%中、炭素数12〜50の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを30〜100重量%含むことを特徴とする上記粘着剤組成物に関する。
また、本発明は片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)の重量平均分子量が、500〜30,000であることを特徴とする上記粘着剤組成物に関する。
また、本発明はポリマー(E)の重量平均分子量が、1,000〜100,000であることを特徴とする上記粘着剤組成物に関する。
また、本発明は分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a1)の存在下、エチレン性不飽和単量体(a2)をラジカル重合して片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)を製造する第一の工程と、
前記片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)のヒドロキシル基とジイソシアネート(B)のイソシアネート基とを反応させてウレタンプレポリマー(C)を製造する第二の工程と、
ウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基とモノアミン(D)とを反応させてポリマー(E)を製造する第三の工程と、
ポリマー(E)と、粘着剤(F)と、硬化剤(G)とを混合する第四の工程とを有する粘着剤組成物の製造方法に関する。
《片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)》
片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)(以下、ビニル重合体(A)と略記する場合がある。)は、例えば、分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a1)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(a2)をラジカル重合することで得ることができる。ビニル重合体(A)のビニル重合体部位は、具体的には下記一般式(1)で表される。
R1は、分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a1)からヒドロキシル基及びチオール基を除く3価の残基を示し、
好ましくは、酸素原子、窒素原子を有していてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、
R2は、エチレン性不飽和単量体(a2)から二重結合部位を除く残基を示し、
好ましくは、芳香族基、又は−C(=O)−X6−R4(但し、X6は、−O−若しくは−N(R5)−であり、R4及びR5は、水素原子、又は置換基として芳香族基を有していてもよい炭素原子数1〜50の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)であり、
R3は水素原子又はメチル基であり、
nは、2以上の整数、好ましくは3〜200の整数である。
ここで、ビニル重合体(A)の片末端領域でいう、末端領域となる。]
分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a1)(以下、化合物(a1)と表記する場合がある。)としては、分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物であり、ビニル重合において連鎖移動剤として機能するものであれば特に限定されないが、一般式(1)中のR1で示される3価の残基が、炭素数1〜20である炭化水素基であるものが好ましい。具体例としては1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセロール)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。中でもR1が炭素数2〜8である炭化水素基であるものが好ましく、より好ましくは3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセロール)である。
エチレン性不飽和単量体(a2)としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベヘニルアクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、及びオキセタン(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;並びに、
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等があげられる。
スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、
酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等があげられる。
上記した中でも、結晶性を高めるためには、直鎖状アルキル基の炭素数が18〜22であることが好ましく、具体的には、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エチレン性不飽和単量体(a2)の合計100重量%中、直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有率が、30〜100重量%であることがポリマー(E)の温度による結晶化にとって好ましい。より好ましくは、50〜100重量%、さらには70〜98重量%である。
重合の際、エチレン性不飽和単量体(a2)100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、及び2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、及びジアセチルパーオキシド等があげられる。これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及びジエチレングリコールジエチルエーテル等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良いが、最終用途で使用する溶剤であることが好ましい。
片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)の、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)としては、500〜30,000であることが好ましく、1,000〜15,000であることがより好ましく、1,000〜8,000であることが特に好ましい。該重量平均分子量が500未満では、被着体への移行が増加してしまう。又30,000を超えると、ポリマー(E)にしたときに、ビニル重合体(A)の絶対量が増えてしまい、凝集力が不足して、被着体への移行が増加する場合がある。
ポリマー(E)の重量平均分子量としては、1,000〜100,000であることが好ましく、該重量平均分子量が1,000未満では、被着体への移行が増加してしまう。又100,000を超えると、ビニル重合体(A)の絶対量が増えてしまい、凝集力が不足して、被着体への移行が増加する場合がある。
本発明に用いられるジイソシアネート(B)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、芳香族含有ジイソシアネート(b1)、脂肪族含有ジイソシアネート(b2)、芳香脂肪族含有ジイソシアネート(b3)、脂環族含有ジイソシアネート(b4)等が挙げられる。
本発明に用いられるジイソシアネート(B)としては、脂環族含有ジイソシアネート(b4)が好ましく、3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート、IPDI)が難黄変性であるためにより好ましい。
片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)のヒドロキシル基と、ジイソシアネート(B)のイソシアネート基とを反応することで、片末端領域に2つのイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)を得ることができる。
ウレタンプレポリマー(C)の合成時には、公知の触媒(H)を使用することができ、例えば三級アミン系化合物、及び有機金属系化合物等を挙げることができる。
トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、及びジアザビシクロウンデセン(DBU)等を挙げることができる。
ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、及び2−エチルヘキサン酸錫等を挙げることができる。
ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系、オレイン酸鉛;
2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、及びナフテン酸鉛等の鉛系;
2−エチルヘキサン酸鉄、及び鉄アセチルアセトネート等の鉄系;
安息香酸コバルト、及び2−エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系;
ナフテン酸亜鉛、及び2−エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系;並びに、
ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系を挙げることができる。
上記3級アミン系化合物、及び有機金属系化合物等の触媒は、場合によっては単独でも使用できるが、併用することもでる。
本発明においてウレタンプレポリマー(C)の合成時には公知の溶剤が好適に使用される。溶剤の使用は反応制御を容易にする役割を果たす。
かかる目的で使用される溶剤としては、例えば、
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールジエチルエーテル等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。
ウレタンプレポリマー(C)をつくるウレタン化反応は、種々の方法が可能である。1)全量仕込みで反応する場合と、2)片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)及び必要に応じて、溶剤をフラスコに仕込み、ジイソシアネート(B)を滴下した後必要に応じて触媒を添加する方法に大別されるが、反応を精密に制御する場合は2)が好ましい。ウレタンプレポリマー(C)を得る反応の温度は120℃以下が好ましい。更に好ましくは50〜110℃である。110℃より高くなると反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタンプレポリマーが得られなくなる。ウレタン化反応は、触媒の存在下、50〜110℃で1〜20時間行うのが好ましい。
ポリマー(E)は片末端領域に2つのイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基と、モノアミン(D)を反応させて得られる。
モノアミン(D)としては、ヒドロキシル基と反応してポリマー(E)にウレア結合を導入することができる、分子内に一級アミノ基又は二級アミノ基を1個有するアミンであれば特に限定されず、他の極性官能基を有しても良い。このような極性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、シアノ基、ニトロキシル基等が挙げられる。
アミノメタン、アミノエタン、1−アミノプロパン、2−アミノプロパン、1−アミノブタン、2−アミノブタン、1−アミノペンタン、2−アミノペンタン、3−アミノペンタン、イソアミルアミン、N−エチルイソアミルアミン、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、2−アミノヘプタン、2−オクチルアミン、1−アミノノナン、1−アミノデカン、1−アミノドデカン、1−アミノトリデカン、1−アミノヘキサデカン、ステアリルアミン、アミノシクロプロパン、アミノシクロブタン、アミノシクロペンタン、アミノシクロヘキサン、アミノシクロドデカン、1−アミノ−2−エチルヘキサン、1−アミノ−2−メチルプロパン、2−アミノ−2−メチルプロパン、3−アミノ−1−プロペン、3−アミノメチルヘプタン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、3−ラウリロキシプロピルアミン、3−ミリスチロキシプロピルアミン、2−アミノメチルテトラヒドロフラン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルイソプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリニックアシッド、イソニペコチックアシッド、メチルイソニペコテート、エチルイソニペコテート、2−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンブチリックアシッド塩酸塩、4−ピペリジノール、ピロリジン、3−アミノピロリジン、3−ピロリジノール、インドリン、アニリン、N−ブチルアニリン、o−アミノトルエン、m−アミノトルエン、p−アミノトルエン、o−ベンジルアニリン、p−ベンジルアニリン、1−アニリノナフタレン、1−アミノアントラキノン、2−アミノアントラキノン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、5−アミノイソキノリン、o−アミノジフェニル、4−アミノジフェニルエーテル、β−アミノエチルベンゼン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、o−アミノアセトフェノン、m−アミノアセトフェノン、p−アミノアセトフェノン、ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、3−ベンジルアミノプロピオニックアシッドエチルエーテル、4−ベンジルピペリジン、α−フェニルエチルアミン、フェネシルアミン、p−メトキシフェネシルアミン、フルフリルアミン、p−アミノアゾベンゼン、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、アリルアミン、及びジフェニルアミン等が挙げられる。
第二級アミノ基のみを有する脂肪族モノアミン化合物としては、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルイソプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、2−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンエタノール、4−ピペリジノール、ピロリジン、3−アミノピロリジン、及び3−ピロリジノール等が挙げられる。
N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、及びN,N,2,2−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン等の一級アミノ基と三級アミノ基とを有するジアミン;並びに、
N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン等の二級アミノ基と三級アミノ基とを有するジアミンを挙げることができる。
ウレタンプレポリマー(C)とモノアミン(D)の反応は、特に限定されないが、1)ウレタンプレポリマー(C)溶液をフラスコに仕込み、モノアミン(D)を滴下する方法、2)モノアミン(D)、及び必要に応じて溶剤からなる溶液をフラスコに仕込み、ウレタンプレポリマー(C)溶液を滴下する方法に大別される。安定した反応になる方で合成を行うが、反応に問題がなければ、操作が容易な1)の方法が好ましい。反応の温度は、100℃以下が好ましい。更に好ましくは70℃以下である。70℃でも反応速度は大きく、制御できない場合は、50℃以下が更に好ましい。100℃より高くなると反応速度の制御が困難であり、所定の分子量と構造を有するウレタンウレア樹脂を得ることは難しい。
粘着剤(F)は特に限定されないが、例えば、天然ゴム接着剤、スチレン/ブタジエンラテックスベース接着剤、ABAブロック共重合体型の熱可塑性ゴム(Aは熱可塑性ポリスチレン末端ブロックを示し、Bはポリイソプレン、ポリブタジエンまたはポリ(エチレン/ブチレン)のゴム中間ブロックを示す)、ブチルゴム、ポリイソブチレン、ポリアクリレートおよび酢酸ビニル/アクリルエステル共重合体等のアクリル接着剤、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、およびポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテルの共重合体が挙げられる。
硬化剤(G)は特に限定されないが、イソシアネート系硬化剤が好ましい。具体的には、分子内に2官能以上のイソシアネート基を含む化合物が好ましく、3官能以上のイソシアネート基を含む化合物がより好ましい。
また、剛直な骨格をもつトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、および上記イソシアネートのイソシアヌレート体などは0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部添加することが出来る。添加量が0.1重量部より少ないと、粘着剤の強度が不足し、加工性が低下する恐れがある。また、添加量が20重量部より多いと、粘着層の凝集力が過剰になり被着体への密着が低下し、浮きや剥がれなど発生する恐れがある。
本発明の粘着剤組成物の製造方法は特に限定されないが、好ましくは、分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a1)の存在下、エチレン性不飽和単量体(a2)をラジカル重合して片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)を製造する第一の工程と、
前記片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)のヒドロキシル基とジイソシアネート(B)のイソシアネート基とを反応させてウレタンプレポリマー(C)を製造する第二の工程と、
ウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基とモノアミン(D)とを反応させてポリマー(E)を製造する第三の工程と、
ポリマー(E)と、粘着剤(F)と、硬化剤(G)とを混合する第四の工程とを有する製造方法により製造することができる。
(合成例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、及び攪拌機を備えた反応容器に、ステアリルアクリレート 190部、アクリル酸 10部、チオグリセロール 10部、及びn-プロピルアセテート 90部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を90℃に加熱して、AIBN[2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)] 0.24部を添加した後7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認後、室温まで冷却して、重量平均分子量6,400の、片末端領域に2つの遊離ヒドロキシル基を有するビニル重合体(A−1)の固形分70%溶液を得た。
表1に記載した原料と仕込み量を用いた以外は合成例1と同様にして合成を行い、片末
端領域に2つの遊離ヒドロキシル基を有するビニル重合体(A−2〜5)の固形分70%溶液を得た。
・SA:ステアリルアクリレート
・VA:ベヘニルアクリレート
・LMA:ラウリルメタクリレート
・AA:アクリル酸
・MA:メタクリル酸
・AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
(製造例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、及び攪拌機を備えた反応容器に、ビニル重合体(A−1)の固形分70%溶液 300部と、イソホロンジイソシアネート 30.8部と、n−プロピルアセテート 13.1部と、触媒としてジブチル錫ジラウレート 0.08gを仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、3時間反応した後、40℃まで冷却して無色透明溶液(C−1)を得た。ここにジブチルアミン10.2部とn―プロピルアセテート4.5部を加えて100℃で30分撹拌し、ポリマー(E−1)の無色透明溶液を得た。ポリマー(E−1)の重量平均分子量は14,300であった。
表2に記載した原料と仕込み量を用いた以外は製造例1と同様にして合成を行い、ポリマー(E−2〜5)の溶液を得た。
・IPDI:イソホロンジイソシアネート
・DBTDL:ジブチル錫ジラウレート
・DBA:ジn−ブチルアミン
(合成例6)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、及び攪拌機を備えた反応容器に、ステアリルアクリレート 190部、アクリル酸 10部、ドデシルメルカプタン 10部、及びn-プロピルアセテート 90部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を90℃に加熱して、AIBN[2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)] 0.24部を添加した後7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認後、室温まで冷却して、重量平均分子量6,700の、ビニル重合体(E−6)の固形分70%溶液を得た。
(合成例7)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、及び攪拌機を備えた反応容器に、ブチルアクリレート 190部、アクリル酸 10部、ドデシルメルカプタン 10部、及びn-プロピルアセテート 90部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を90℃に加熱して、AIBN[2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)] 0.24部を添加した後7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認後、室温まで冷却して、重量平均分子量6,700の、ビニル重合体(E−7)の固形分70%溶液を得た。
(合成例8)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器にn−ブチルアクリレート91部、2−メトキシエチルアクリレート 5 部、2−ヒドロキシエチルアクリレート 4部、酢酸エチル122部、AIBN0.01部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気化で、この反応溶液を還流温度で8時間重合反応させ、重量平均分子量が95万、不揮発分30%のアクリル系ポリマー溶液を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルヘキシルアクリレート91部、2−ヒドロキシエチルアクリレート 8部、酢酸エチル122部、AIBN0.01部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気化で、この反応江溶液を還流温度で8時間重合反応させ、重量平均分子量が95万、不揮発分30%のアクリル系ポリマー溶液を得た。
(実施例1)
合成例8で合成したアクリル樹脂溶液294.7gに、ポリマー(E−1)15.9g、および硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体75%酢酸エチル溶液0.67gを加えて均一に混合攪拌し、粘着剤組成物溶液を得た。
上記粘着剤組成物を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μm)[以下剥離フィルムという]の片面に塗布し、100℃で2分間加熱して、乾燥後の厚さが25μmの粘着層を形成した。
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:25μm)の表面に上記粘着層を転写し、23℃−50%RH雰囲気下で7日間放置し、反応を進行させ(エージング)、粘着シートを作成した。
上記粘着シートを厚さ0.4mmのステンレス板(SUS304)に23℃−65%RHにて貼着し、JISに準じてロール圧着し23℃と60℃で20分放置し、ショッパー型剥離試験器にて23℃と60℃での剥離強度(180度ピール、引っ張り速度300mm/分;単位g/25mm幅)を測定した。
<剥離後外観>
剥離試験後のステンレス板の汚染度合いを目視で観察した。
○ ・・・ステンレス板に汚れが観察されない。
△ ・ ・・・ステンレス板にごくわずかに着色がある。
× ・・・ステンレス板の全面に着色がある。
材料と配合量を表3に示したものに変えた以外は実施例1と同様の操作を行い実施例2〜5、比較例1,2とした。
Claims (8)
- 片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)のヒドロキシル基とジイソシアネート(B)のイソシアネート基とを反応させてなるウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基と、モノアミン(D)とを反応させてなるポリマー(E)と、粘着
剤(F)と、硬化剤(G)とを含み、粘着剤(F)100重量部に対し、ポリマー(E)を1〜30重量部、および硬化剤(G)を0.1〜20重量部含むことを特徴とする粘着剤組成物。 - 片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)が、分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a1)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(a2)をラジカル重合してなることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
- エチレン性不飽和単量体(a2)が、炭素数12〜50の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことを特徴とする請求項2記載の粘着剤組成物。
- エチレン性不飽和単量体(a2)の合計100重量%中、炭素数12〜50の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを30〜100重量%含むことを特徴とする請求項3記載の粘着剤組成物。
- 片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)の重量平均分子量が、500〜30,000であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- ポリマー(E)の重量平均分子量が、1,000〜100,000であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 請求項1〜6いずれか1項に記載の粘着剤組成物を基材に塗工した粘着テープ。
- 分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a1)の存在下、エチレン性不飽和単量体(a2)をラジカル重合して片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)を製造する第一の工程と、
前記片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)のヒドロキシル基とジイソシアネート(B)のイソシアネート基とを反応させてウレタンプレポリマー(C)を製造する第二の工程と、
ウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基とモノアミン(D)とを反応させてポ
リマー(E)を製造する第三の工程と、粘着剤(F)100重量部に対し、ポリマー(E)を1〜30重量部、および硬化剤(G)を0.1〜20重量部含を混合する第四の工程とを有する粘着剤組成物の製造方法。
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