(発明が解決しようとする課題)
図13は、蓄冷型冷凍機に用いられる一般的な蓄冷器100の断面図である。図13に示すように、蓄冷器100は、低温端部101とその反対側の高温端部102とを有する円筒形状の容器であり、この蓄冷器100内に蓄冷材103が充填される。また、高温端部102側に高温側連通路104が、低温端部101側に低温側連通路105が、それぞれ形成される。そして、高圧の作動ガスが高温側連通路104を経由して蓄冷器100内に流入される。蓄冷器100内に流入された作動ガスは、蓄冷器100内を通り、低温側連通路105を経由して蓄冷器100の内部から流出する。流出した作動ガスは図示しない低温発生室に流入する。
低温側連通路105は、図13においては低温端部101を構成する蓄冷器100の側周壁の上端部分に形成される。この場合において、高温側連通路104を経由して蓄冷器100内に流入した作動ガスは、図13に矢印により示すように、低温端部101に近づくにつれて、低温側連通路105の蓄冷器100内への開口部分に引き寄せられるように流れる。そのために、蓄冷器100内の作動ガスの流れが蓄冷器100の径外方に大きく偏る。つまり、蓄冷器100内にあたかも径外方に偏った作動ガスの特定の流路が形成されてしまい、その流路のみに作動ガスが流れるような状況(すなわちその流路以外の部分に作動ガスが流れないような状況)が発生する。こうした作動ガスの流れの偏りが発生した場合、蓄冷器100内の蓄冷材のうち、径内方部分(中央部分)に配置された蓄冷材が有効に使用されない。蓄冷材が有効に使用されない領域が多い場合、蓄冷材による蓄冷効果が低下して、蓄冷型冷凍機の冷凍能力が低下する。
本発明は、蓄冷材を有効に使用できるように蓄冷器内の作動ガスの流れが改善された蓄冷型冷凍機を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、低温端部及び高温端部を有する円筒形状に形成されるとともに、低温端部側に低温側連通路が、高温端部側に高温側連通路が、それぞれ形成され、低温側連通路及び高温側連通路を経由して内部に作動ガスが流入し或いは内部から作動ガスが流出する蓄冷器と、蓄冷器の内部に充填された蓄冷材と、低温側連通路を通じて蓄冷器の内部に連通する低温発生室とを備え、低温側連通路を経由して蓄冷器の内部から流出して低温発生室に流入した作動ガスに膨張仕事をさせることによって、低温発生室にて冷熱を発生するように構成された蓄冷型冷凍機であって、蓄冷器内の空間のうち低温端部側であって蓄冷材の充填空間の端部に配設され、充填空間内の作動ガスを低温側連通路に誘導するための作動ガス誘導部材を備え、作動ガス誘導部材には、蓄冷器の径方向に放射状に配列されるとともに、それぞれが蓄冷器の径内方から径外方に向かって延設された複数の誘導通路としての複数の溝が形成され、複数の溝は、その径外方端部が低温側連通路に連通するとともに、その延設方向に沿って連続的に充填空間に開口しているように構成され、複数の溝の幅は、径内方から径外方に向かうにつれて狭くなる、蓄冷型冷凍機を提供する。
本発明によれば、高温側連通路から蓄冷器に流入した作動ガスは、蓄冷材の充填空間を通り、さらに充填空間の端部側(低温端部側)に配置された作動ガス誘導部材に到達する。作動ガス誘導部材には複数の誘導通路が形成されている。誘導通路は低温側連通路に連通しているとともに充填空間に開口している。従って、蓄冷器内(蓄冷材の充填空間内)の作動ガスは、誘導通路の開口から誘導通路内に進入し、誘導通路を伝わって低温側連通路に至る。そして、低温側連通路を経由して作動ガスが蓄冷器から流出する。
作動ガス誘導部材に形成されている複数の誘導通路は、それぞれ蓄冷器の径内方から径外方に向かって延設されている。そして、それぞれの誘導通路は、その延設方向、すなわち蓄冷器の径方向に沿って連続的に或いは断続的に蓄冷材の充填空間に開口している。このため、充填空間内の作動ガスは、蓄冷器の径方向における任意の位置から誘導通路に進入できる。つまり、作動ガスは、蓄冷器の径内方側からでも径外方側からでも誘導通路に進入し、さらに誘導通路を通じて低温側連通路に至ることができる。換言すれば、本発明によれば、蓄冷材の充填空間への低温側連通路の開口領域が、誘導通路によって蓄冷器の径方向に拡大される。このため、蓄冷器内(充填空間内)の作動ガスを蓄冷器の径方向に亘って均一に流すことができる。
また、複数の誘導通路は蓄冷器の径方向に放射状に配列されているため、作動ガスは、蓄冷器の周方向の任意の位置からいずれかの誘導通路に進入し、さらに誘導通路を通じて低温側連通路に至ることができる。換言すれば、本発明によれば、蓄冷材の充填空間への低温側連通路の開口領域が、複数の誘導通路によって蓄冷器の周方向に拡大される。このため、蓄冷器内(充填空間内)の作動ガスを蓄冷器の周方向に亘って均一に流すことができる。
このように、本発明によれば、従来のように、蓄冷器内で作動ガスの流れの偏りが形成されることなく、蓄冷器内でほぼ均一な作動ガスの流れを作り出すことができる。こうして蓄冷器内の作動ガスの流れが改善される結果、蓄冷器内の蓄冷材が有効に使用される。これにより、蓄冷型冷凍機の冷凍能力を向上させることができる。
本発明において、蓄冷型冷凍機がGM冷凍機或いはスターリング冷凍機の場合、低温発生室は、例えば蓄冷器の低温端側と、蓄冷器を内包するシリンダ部材の一方端側との間に形成される膨張室である。また、蓄冷型冷凍機がパルス管冷凍機の場合、低温発生室は、例えば蓄冷器の低温端部側に連通するパルス管コールドヘッドの内部空間により形成される室である。
また、本発明においては、複数の誘導通路が複数の溝である。そして、複数の溝は、その延設方向に沿って連続的に充填空間に開口しているように構成されている。これによれば、複数の誘導通路としての複数の溝が、その延設方向、すなわち蓄冷器の径方向に沿って連続的に充填空間に開口しているので、充填空間内の作動ガスを、蓄冷器の径方向に亘ってより一層均一に流すことができる。
また、本発明は、低温端部及び高温端部を有する円筒形状に形成されるとともに、低温端部側に低温側連通路が、高温端部側に高温側連通路が、それぞれ形成され、低温側連通路及び高温側連通路を経由して内部に作動ガスが流入し或いは内部から作動ガスが流出する蓄冷器と、蓄冷器の内部に充填された蓄冷材と、低温側連通路を通じて蓄冷器の内部に連通する低温発生室とを備え、低温側連通路を経由して蓄冷器の内部から流出して低温発生室に流入した作動ガスに膨張仕事をさせることによって、低温発生室にて冷熱を発生するように構成された蓄冷型冷凍機であって、蓄冷器内の空間のうち低温端部側であって蓄冷材の充填空間の端部に配設され、充填空間内の作動ガスを低温側連通路に誘導するための作動ガス誘導部材を備え、作動ガス誘導部材には、蓄冷器の径方向に放射状に配列されるとともに、それぞれが蓄冷器の径内方から径外方に向かって延設され、径外方端部が低温側連通路に連通する複数の第1通路と、一方の端部が第1通路に連通するとともに他方の端部が蓄冷器の径方向における異なる位置にて前記充填空間に開口した複数の第2通路と、を備える誘導通路が形成され、複数の第2通路の開口径は、径内方から径外方に向かうにつれて小さくなる、蓄冷型冷凍機を提供する。この場合、複数の第2通路の他方の端部が、第1通路の延設方向における異なる位置にて充填空間に開口しているとよい。これによれば、充填空間内の作動ガスは、第1通路にまず進入し、次いで第2通路に進入し、第2通路から低温側連通路に至る。ここで、第2通路は蓄冷器の径方向における異なる位置にて充填空間に開口している。つまり、第1通路及び第2通路によって、蓄冷器の径方向に沿って断続的に充填空間に開口した誘導通路を形成することができる。従って、充填空間内の作動ガスを複数の第2通路からそれぞれ取り込むことにより、蓄冷器の径方向に沿って均一に作動ガスを流すことができる。
本発明においては、蓄冷器の低温端部側における側周壁に、周方向に沿って複数の低温側連通路が形成されているとよい。そして、それぞれの低温側連通路が、作動ガス誘導部材に形成されたそれぞれの誘導通路の径外方端に接続しているとよい。これによれば、放射状に設けられた複数の誘導通路からそれぞれ作動ガスを低温発生室に導くことができる。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る蓄冷型冷凍機である2段型GM冷凍機を示す部分断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る2段型GM冷凍機1は、シリンダ部材2と、ディスプレーサ3と、駆動装置4と、圧力振動装置5とを備える。
シリンダ部材2は、第1シリンダ部21及び第2シリンダ部22を有する。第1シリンダ部21は、一方端部211及びその反対側の他方端部212を有する円筒形状に形成される。第2シリンダ部22は、一方端部221及びその反対側の他方端部222を有する円筒形状に形成される。なお、図1においては、シリンダ部(21、22)の一方端部(211、221)が上方の端部として表され、他方端部(212、222)が下方の端部として表されているが、ここにおける「上方」、「下方」は、図面を参照した説明の便宜のために用いているのみであって、絶対空間における「上方」、「下方」を意味するものではない。また、以下の説明においても、「上」、「下」といった方向を表す用語は、図面を参照した説明の便宜のために用いるのみであって、必ずしも絶対空間における「上」、「下」を意味するものではない。
第1シリンダ部21の内径は第2シリンダ部22の内径よりも大きく、第1シリンダ部21の外径は第2シリンダ部22の外径よりも大きい。第1シリンダ部21の一方端部211に第2シリンダ部22の他方端部222が接続される。このためシリンダ部材2は先端側(図1において上方側)に向かうほど径が小さくなる段付円筒形状を呈する。また、第1シリンダ部21の内部空間が第2シリンダ部22の内部空間に連通している。従って、シリンダ部材2の内部空間の形状は、先端側(図1において上方側)に向かうほど径が小さくなる段付き円柱形状である。
ディスプレーサ3はシリンダ部材2の内部空間に配設される。ディスプレーサ3は第1蓄冷器31及び第2蓄冷器32を有する。第1蓄冷器31は低温端部311及びその反対側の高温端部312を有する円筒形状に形成され、低温端部311側が第1シリンダ部21の一方端部211側に位置し、高温端部312側が第1シリンダ部21の他方端部212側に位置するように、第1シリンダ部21内に配設される。
第2蓄冷器32は低温端部321及びその反対側の高温端部322を有する円筒形状に形成される。第1蓄冷器31の内径は第2蓄冷器32の内径よりも大きく、第1蓄冷器31の外径は第2蓄冷器32の外径よりも大きい。第2蓄冷器32の高温端部322が第1蓄冷器31の低温端部311に接続される。ディスプレーサ3もシリンダ部材2と同様に、先端側(図1において上方側)に向かうほど径が小さくなる段付き円筒形状を呈する。第2蓄冷器32は、図1に示すように第1蓄冷器31の図1において上端面から上方に延設され、第2シリンダ部22の内部空間に進入している。
第1蓄冷器31の軸方向長さ(高さ)は、第1シリンダ部21の内部空間の軸方向長さ(高さ)よりも短い。従って、第1シリンダ部21内にて第1蓄冷器31の上端面よりも上方及び第1蓄冷器31の下端面よりも下方にそれぞれ空間が形成される。第1蓄冷器31の上端面よりも上方の空間によって第1膨張室21aが形成され、第1蓄冷器31の下端面よりも下方の空間によって背面室21bが形成される。図1からわかるように、第1膨張室21aは第1シリンダ部21の一方端部211内の空間により構成され、背面室21bは第1シリンダ部21の他方端部212内の空間により構成される。また、第2シリンダ部22内にて、第2蓄冷器32の上端面よりも上方にも空間が形成される。第2蓄冷器32の上端面よりも上方の空間により第2膨張室22aが形成される。第2膨張室22aは第2シリンダ部22の一方端部221内の空間により構成される。
ディスプレーサ3は、第1蓄冷器31の図1において下方の端部に接続されたロッド36を介して駆動装置4に接続される。駆動装置4は、例えばモータ及びスコッチヨーク等により構成されており、駆動することによってロッド36をその軸方向に往復駆動させる。ロッド36の往復駆動によって、ロッド36に接続したディスプレーサ3がシリンダ部材2内で往復移動する。
シリンダ部材2の図1において下端部に主連通路23が形成される。主連通路23の一方端がシリンダ部材2内の背面室21bに開口する。主連通路23の他方端は、圧力振動装置5に接続される。圧力振動装置5は、本実施形態では、コンプレッサ51と、高圧開閉弁52と、低圧開閉弁53と、開閉制御装置54と、共通通路55とを備える。
コンプレッサ51は、作動ガスとしてのヘリウムガスを吸入口51aから吸入し、内部にてヘリウムガスを圧縮し、圧縮した高圧のヘリウムガスを吐出口51bから吐出する。従って、コンプレッサ51の吸入口51a側にて低圧が生成され、コンプレッサ51の吐出口51b側にて高圧が生成される。
高圧開閉弁52は2つのポートを有し、開状態であるときに2つのポートの連通を許容し、閉状態であるときに2つのポートの連通を遮断することができるように構成される。高圧開閉弁52の2つのポートのうちの一方のポートがコンプレッサ51の吐出口51bに接続され、他方のポートが共通通路55の一方端に接続される。低圧開閉弁も2つのポートを有し、開状態であるときに2つのポートの連通を許容し、閉状態であるときに2つのポートの連通を遮断することができるように構成される。低圧開閉弁53の2つのポートのうちの一方のポートがコンプレッサ51の吸入口51aに接続され、他方のポートが共通通路55の一方端に接続される。共通通路55の他方端が、シリンダ部材2に形成された主連通路23に接続される。
開閉制御装置54は、高圧開閉弁52と低圧開閉弁53のいずれか一方が開いているときに他方が閉じているように、これらの開閉弁の開閉作動を制御する。開閉制御装置54の作動により、共通通路55内の圧力が高圧から低圧に、或いは低圧から高圧に切り替えられる。高圧開閉弁52、低圧開閉弁53、及び開閉制御装置54は、これらが一体となったロータリバルブユニットにより構成されていてもよい。この場合、駆動源として駆動装置4に内蔵されたモータなどを利用して、ディスプレーサ3の往復移動と圧力振動装置5による高低圧の切り替え作動を連動させてもよい。
第1蓄冷器31の内部空間には、約60〜100K程度の低温における比熱が大きい材質からなる第1蓄冷材33が充填される。第1蓄冷材33は、例えばりん青銅により形成された金網などの積層体により構成することができる。第1蓄冷材33が充填されている第1蓄冷器31の内部空間を、以下、第1充填空間31aと呼ぶ。また、第2蓄冷器32の内部空間には、約4〜20K程度の極低温における比熱が大きい材質からなる第2蓄冷材34が充填される。第2蓄冷材34として、例えば鉛球などを用いることができる。第2蓄冷材34が充填されている第2蓄冷器32の内部空間を、以下、第2充填空間32aと呼ぶ。
第1蓄冷器31に第1高温側連通路313及び第1低温側連通路314が形成される。第1高温側連通路313は、第1蓄冷器31の高温端部312側の部分である第1蓄冷器31の下端壁に形成されており、第1充填空間31aの図1において下方の部分と背面室21bとを連通する。第1低温側連通路314は第1蓄冷器31の低温端部311側の部分である第1蓄冷器31の側周壁の上端部分に形成されており、第1充填空間31aの図1において上方の部分と第1膨張室21aとを連通する。本実施形態においては、複数の第1低温側連通路314が、第1蓄冷器31の周方向に沿って等間隔に設けられている。第1低温側連通路314及び第2高温側連通路313を経由して、作動ガスが第1蓄冷器31の内部に流入し、或いは第1蓄冷器31の内部から作動ガスが流出する。
第2蓄冷器32に、第2高温側連通路323及び第2低温側連通路324が形成される。第2高温側連通路323は、第2蓄冷器32の高温端部322側の部分である第2蓄冷器32の側周壁の下方部分に形成されており、第1膨張室21aと第2充填空間32aとを連通する。第2低温側連通路324は、第2蓄冷器32の低温端部321側の部分である第2蓄冷器32の側周壁の上端部分に形成されており、第2充填空間32aの図1において上方の部分と第2膨張室22aとを連通する。第2低温側連通路324及び第2高温側連通路323を経由して、作動ガスが第2蓄冷器32の内部に流入し、或いは第2蓄冷器32の内部から作動ガスが流出する。
第1蓄冷器31の外周側面の図1において下方部分に、周方向にわたって第1シールリング315が取り付けられる。第1シールリング315によって、背面室21bと第1膨張室21aとの連通が遮断される。また、第2蓄冷器32の外周側面の下方部分であって、第2シリンダ部22の内周側面と対面する部分に、第2シールリング325が取り付けられる。第2シールリング325によって、第1膨張室21aと第2膨張室22aとの連通が遮断される。
第2充填空間32aの上端部及び下端部に、第2充填空間32a内に充填されている第2蓄冷材34(例えば鉛球)の径よりも小さいメッシュ径を有する金網35,35が配設される。金網35,35によって、第2充填空間32a内の第2蓄冷材34が外部に漏出することが防止される。
また、本実施形態においては、第1蓄冷器31内に、作動ガス誘導部材としての円形プレート6が配設される。円形プレート6は、図1に示すように、第1蓄冷器31内の空間のうち、低温端部311側であって、第1充填空間31aの端部(つまり第1充填空間31aの低温端部)に配設される。円形プレート6の径は、第1蓄冷器31の内径にほぼ等しい。円形プレート6は、蓄冷器31の第1充填空間31a内の作動ガスを第1低温側連通路314に誘導するための部材である。
図2は、円形プレート6の正面図であり、図3は図2のIII−III断面図であり、図4は円形プレート6の斜視図である。図2、図3、図4に示すように、円形プレート6の正面6aは円形状に形成される。この正面6aに、複数の誘導通路としての複数の溝61が形成される。複数の溝61は、円形プレート6の径方向に放射状に配列される。また、各溝61は、円形プレート6の径内方から径外方に向かって延設される。複数の溝61は、円形プレート6の周方向に等間隔に設けられる。各溝61の内方端は、円形プレート6の正面の6aの中央に形成されているリング状の凹部65に連絡する。
円形プレート6は、図1に示すように、複数の溝61が形成された正面6aが第1充填空間31aに面するように、つまり複数の溝61がその延設方向に沿って連続的に第1充填空間31aに開口するように、第1蓄冷器31の第1低温端部311側における第1充填空間31aの端部に配設される。こうして円形プレート6が第1蓄冷器31内に配設された場合、円形プレート6に形成されている複数の溝61が、第1蓄冷器31の径方向に放射状に拡がるように配列されるとともに、各溝61が第1蓄冷器31の径内方から径外方に向かって延設される。また、円形プレート6に形成されている複数の溝61の径外方端が、第1蓄冷器31の側周壁の上端部分に周方向に沿って形成されている複数の第1低温側連通路314の開口にそれぞれ一致する。つまり、複数の溝61の径外方端が、複数の第1低温側連通路314にそれぞれ連通する。
上記構成の2段型GM冷凍機1において、以下に、その作動について簡単に説明する。ディスプレーサ3がシリンダ部材2内にて図1において最も上方に位置しているときには、圧力振動装置5の高圧開閉弁52が開いており低圧開閉弁53が閉じている。従って、高圧の作動ガスが、共通通路55、主連通路23を経由してシリンダ部材2内に流入する。
次いで、ディスプレーサ3がシリンダ部材2に対して下方に変位される。すると、背面室21b内の高圧の作動ガスが、第1高温側連通路313を通って第1蓄冷器31内の第1充填空間31aに流入する。第1充填空間31a内に流入した作動ガスは第1蓄冷材33から冷熱(低温)を奪うことにより冷却される。そして、第1蓄冷材33により冷却された作動ガスは第1低温側連通路314を通って第1蓄冷器31内から流出するとともに第1膨張室21aに流入する。
また、第1膨張室21a内の作動ガスは、第2高温側連通路323を通って第2蓄冷器32内の第2充填空間32aに流入する。第2充填空間32a内に流入した作動ガスは第2蓄冷材34から冷熱を奪うことにより冷却される。そして、第2蓄冷材34により冷却された作動ガスは第2低温側連通路324を通って第2蓄冷器32内から流出するとともに第2膨張室22aに流入する。
その後、圧力振動装置5の高圧開閉弁52が閉じるとともに低圧開閉弁53が開く。これによって、第1シリンダ部21の一方端部211側に位置する第1膨張室21a内の作動ガス及び、第2シリンダ部22の一方端部221側に位置する第2膨張室22a内の作動ガスが、それぞれ膨張仕事を行う。斯かる膨張仕事によって、それぞれの膨張室21a,22a内にて冷熱が発生する。
次に、ディスプレーサ3がシリンダ部材2に対して上方に変位される。すると、第2膨張室22a内の作動ガスは、第2低温側連通路324を経由して第2蓄冷器32内に流入し、第2蓄冷器32内の第2充填空間32aを通る。このとき作動ガスが第2充填空間32a内の第2蓄冷材34に冷熱を奪われることによって加熱される。第2充填空間32a内の作動ガスはさらに第2高温側連通路323を経由して第2蓄冷器32から流出するとともに第1膨張室21aに流入する。
また、第1膨張室21a内の作動ガスは、第1低温側連通路314を経由して第1蓄冷器31内に流入し、第1蓄冷器31内の第1充填空間31aを通る。このとき作動ガスが第1充填空間31a内の第1蓄冷材33に冷熱を奪われることによって加熱される。第1充填空間31a内の作動ガスはさらに第1高温側連通路313を経由して第1蓄冷器31から流出するとともに背面室21bに流入する。
次いで、圧力振動装置5の高圧開閉弁52が開くとともに低圧開閉弁53が閉じる。これによって、背面室21b内の作動ガスが圧縮仕事を行う。斯かる圧縮仕事によって、作動ガスが発熱する。圧縮仕事により発生する熱は、コンプレッサ51の吐出側に設けられている図示しない放熱器によって外部に放熱される。
上記した熱サイクル(GMサイクル)が繰り返されることによって、第1膨張室21a内が約60〜100K程度に冷却され、第2膨張室22a内が約4〜20K程度に冷却される。第1膨張室21a内で生じた冷熱は、第1シリンダ部21の一方端部211に取り付けられているコールドヘッドを介して被冷却体に伝達される。第2膨張室22a内で生じた冷熱は、第2シリンダ部22の一方端部221に取り付けられているコールドヘッドを介して被冷却体に伝達される。このようにして、2段型GM冷凍機1により被冷却体が冷却される。
図5は、本実施形態において、第1高温側連通路313を経由して第1蓄冷器31内に流入するとともに第1低温側連通路314を経由して第1蓄冷器31内から流出する作動ガスの流れが示された第1蓄冷器31の断面図である。作動ガスは、図5の矢印で示すように第1蓄冷器31内を流れる。具体的には、第1高温側連通路313を経由して第1充填空間31aに流入した作動ガスは、第1蓄冷器31の高温端部312側から低温端部311側に向かう方向に沿って第1充填空間31a内を流れる。そして、低温端部311側であって第1充填空間31aの端部に位置する円形プレート6を経由して作動ガスが第1低温側連通路314に至り、さらに第1低温側連通路314を経由して第1蓄冷器31から流出する。
第1低温側連通路314と第1充填空間31aとの間に円形プレート6が介在されているため、第1低温側連通路314を経由して第1蓄冷器31から流出する作動ガスは、流出前に円形プレート6を必ず通過する。この場合において、円形プレート6は、その正面6aが第1充填空間31aに面するように第1蓄冷器31内に配設され、且つ、この正面6aには、第1低温側連通路314に連通した複数の溝61が延設されている。従って、円形プレート6に到達した作動ガスはこれらの溝61内に進入し、溝61を伝わって第1低温側連通路314に至る。
円形プレート6の正面6aに形成された溝61は、第1蓄冷器31の径内方から径外方に向けて延設されている。つまり、溝61は、第1蓄冷器31の径方向に沿って連続的に第1充填空間31aに開口している。このため、第1充填空間31a内の作動ガスは、第1蓄冷器31の径方向の任意の位置から溝61内に進入できる。つまり、作動ガスは、第1蓄冷器31の径内方側からでも径外方側からでも溝61に進入し、さらに溝61を通じて第1低温側連通路314に至ることができる。換言すれば、本実施形態によれば、第1充填空間31aへの第1低温側連通路314の開口領域が、溝61によって、第1蓄冷器31の径方向に拡大されている。このため、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)の作動ガスの流れが第1蓄冷器31の径方向の特定の部分に偏ることが抑止される。それ故に、図5の矢印に示すように、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)にて、特に第1蓄冷器31の低温端部311内の付近にて、径方向に亘って均一に作動ガスを流すことができる。
また、複数の溝61は第1蓄冷器31の径方向に放射状に配列されているため、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)の作動ガスは、第1蓄冷器31の周方向の任意の位置からいずれかの溝61内に進入して第1低温側連通路314に至ることができる。換言すれば、本実施形態によれば、第1充填空間31aへの第1低温側連通路314の開口領域が、放射状に配列した複数の溝61によって第1蓄冷器31の周方向に拡大されている。このため、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)の作動ガスの流れが第1蓄冷器31の周方向の特定の部分に偏ることが抑止される。それ故に、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)にて、特に第1蓄冷器31の低温端部311内の付近にて、周方向に亘って均一に作動ガスを流すことができる。
このように、本実施形態によれば、従来のように、第1蓄冷器31内で特定の作動ガスの流れの偏りが形成されることなく、第1蓄冷器31内でほぼ均一な作動ガスの流れを作り出すことができる。こうして第1蓄冷器31内の作動ガスの流れが改善されるため、第1蓄冷器31内の第1蓄冷材33が有効に使用される。その結果、冷凍能力が向上する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る蓄冷型冷凍機について説明する。本例に係る蓄冷型冷凍機も、上記第1実施形態と同様に、2段型GM冷凍機である。本実施形態に係る2段型GM冷凍機は、基本的には第1実施形態に係る2段型GM冷凍機と同一の構造であり、異なるところは、作動ガス誘導部材としての円形プレートの構造のみである。従って、同一部分については同一の符号で示してその具体的説明は省略する。
図6は、第2実施形態に係る2段型GM冷凍機1’の部分断面概略図である。この2段型GM冷凍機1の第1蓄冷器31内に、作動ガス誘導部材としての円形プレート7が配設される。円形プレート7は、図6に示すように、第1蓄冷器31内の空間のうち、低温端部311側であって、第1充填空間31aの端部(すなわち第1充填空間31aの低温端部)に配設される。円形プレート7の径は、第1蓄冷器31の内径にほぼ等しい。円形プレート7は、第1蓄冷器31の第1充填空間31a内の作動ガスを第1低温側連通路314に誘導するための部材である。
図7は、円形プレート7の正面図であり、図8は図7のVIII−VIII断面図である。円形プレート7は、円形状の正面7aと、正面7aの周縁部から軸方向に延びた側周面7bを有する。円形プレート7には、複数の第1通路71と複数の第2通路72が形成される。複数の第1通路71は、それぞれ円形プレート7の径内方から径外方に向かって(すなわち径方向に沿って)円形プレート7の内部に延設されており、その径外方端部71aが側周面7bに開口する。図7からわかるように、複数の第1通路71は、円形プレート7の径方向に放射状に配列している。
第2通路72は、円形プレート7の軸方向に沿って延設される。図8からわかるように、第2通路72の一方端が第1通路71に連通される。それぞれの第1通路71には、複数本の第2通路72が連通される。本実施形態では、1本の第1通路71に3本の第2通路72が連通される。また、各第2通路72の他方端は、円形プレート7の正面7aに開口する。図7からわかるように、1本の第1通路71に連通する複数の第2通路72の他方端の開口は、それらが連通している第1通路71の延設方向における異なる位置に形成される。つまり、複数の第2通路72の他方端は円形プレート7の径方向における異なる位置に開口する。
このような構成の円形プレート7が、第1蓄冷器31内に配設される。この場合において、図6に示すように、円形プレート7の正面7aが第1充填空間31aに向くように、第1蓄冷器31の低温端部311側であって第1充填空間31aの端部に、円形プレート7が配設される。こうして円形プレート7が配設された場合、複数の第1通路71は、第1蓄冷器31の径方向に放射状に拡がるように配列されるとともに、各第1通路71が第1蓄冷器31の径内方から径外方に向かって延設される。そして、それぞれの第1通路71の径外方端部71aが第1低温側連通路314に連通する。また、第2通路72の他方端は第1充填空間31aに開口する。この場合において、同一の第1通路71に連通する複数の第2通路72の他方端の開口部は、第1蓄冷器31の径方向における異なる位置にて、第1充填空間31aに開口する。
図9は、本実施形態において、第1高温側連通路313を経由して第1蓄冷器31内に流入するとともに第1低温側連通路314を経由して第1蓄冷器31内から流出する作動ガスの流れが示された第1蓄冷器31の断面図である。作動ガスは、図9の矢印で示すように第1蓄冷器31内を流れる。具体的には、第1高温側連通路313を経由して第1充填空間31aに流入した作動ガスは、第1蓄冷器31の高温端部312側から低温端部311側に向かう方向に沿って第1充填空間31a内を流れる。そして、低温端部311側であって第1充填空間31aの端部に位置する円形プレート7を経由して作動ガスが第1低温側連通路314に至り、さらに第1低温側連通路314を経由して第1蓄冷器31から流出する。
第1低温側連通路314と第1充填空間31aとの間に円形プレート7が介在されているため、第1低温側連通路314を経由して第1蓄冷器31から流出する作動ガスは、流出前に円形プレート7を必ず通過する。この場合において、円形プレート7は、その正面7aが第1充填空間31aに面するように第1蓄冷器31内に配設され、且つ、この正面7aには、第2通路72が開口している。第2通路72は円形プレート7内にて第1通路71に連通し、さらに第1通路71は第1低温側連通路314に連通する。従って、円形プレート7に到達した作動ガスは、第2通路72及び第1通路71を経由して第1低温側連通路314に至る。
また、円形プレート7の正面7aの複数の位置に第2通路72の開口が設けられる。具体的には、1本の第1通路71に連通する複数の第2通路72は、円形プレート7の正面7a上であって、それらが連通する第1通路71の延設方向の異なる位置に開口する。第1通路71は第1蓄冷器31の径方向に延設されているため、同一の第1通路71に連通する複数の第2通路71は、円形プレート7の正面7a上の位置のうち第1蓄冷器31の径方向に沿った異なる位置にそれぞれ開口していることになる。つまり、第1通路71及びそれに連通する第2通路72からなる通路(誘導通路)は、第1蓄冷器31の径方向に沿って断続的に第1充填空間31aに開口している。
このため、第1充填空間31a内の作動ガスは、第1蓄冷器31の径方向に異なった複数の位置から第2通路72に進入し、さらに第2通路72から第1通路71に進入し、第1通路71から第1低温側連通路314に至ることができる。つまり、第1充填空間31a内の作動ガスは、第1蓄冷器31の径内方側からでも径外方からでも第2通路72及び第1通路71に進入し、さらに第1通路71を通じて低温側連通路314に至ることができる。換言すれば、本実施形態によれば、第1充填空間31aへの第1低温側連通路314の開口領域が、第1通路71及び第2通路72によって、第1蓄冷器31の径方向に拡大されている。このため、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)の作動ガスの流れが第1蓄冷器31の径方向の特定の部分に偏ることが抑止される。それ故に、図9の矢印に示すように、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)にて、特に第1蓄冷器31の低温端部311内の付近にて、径方向に亘って均一に作動ガスを流すことができる。
また、複数の第1通路71が第1蓄冷器31の径方向に放射状に配列されているため、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)の作動ガスは、第1蓄冷器31の周方向の任意の位置からいずれかの第2通路72及び第1通路71に進入して第1低温側連通路314に至ることができる。換言すれば、本実施形態によれば、第1充填空間31aへの第1低温側連通路314の開口領域が、放射状に配列した複数の第1通路71及びそれに繋がる複数の第2通路72によって、第1蓄冷器31の周方向に拡大されている。このため、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)の作動ガスの流れが第1蓄冷器31の周方向の特定の部分に偏ることが抑止される。それ故に、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)にて、特に第1蓄冷器31の低温端部311内の付近にて、周方向に亘って均一に作動ガスを流すことができる。
このように、本実施形態によれば、従来のように、第1蓄冷器31内で特定の作動ガスの流れの偏りが形成されることなく、第1蓄冷器31内でほぼ均一な作動ガスの流れを作り出すことができる。こうして第1蓄冷器31内の作動ガスの流れが改善されるため、第1蓄冷器31内の第1蓄冷材33が有効に使用される。その結果、冷凍能力が向上する。
以上のように、上記第1実施形態及び第2実施形態に示す蓄冷型冷凍機(2段型GM冷凍機)1、1’は、第1蓄冷器31内の空間のうち低温端部311側であって第1蓄冷材33の充填空間(第1充填空間31a)の端部に配設され、第1充填空間31a内の作動ガスを第1低温側連通路314に誘導するための作動ガス誘導部材としての円形プレート6,7を備える。円形プレート6,7には、第1蓄冷器31の径方向に放射状に配列されるとともに、それぞれが第1蓄冷器31の径内方から径外方に向かって延設された複数の誘導通路(溝61、第1通路71及び第2通路72)が形成され、複数の誘導通路は、その径外方端部が第1低温側連通路314に連通するとともに、その延設方向に沿って連続的に或いは断続的に第1充填空間31aに開口しているように構成される。
従って、第1蓄冷器31内に円形プレート6,7を配設することにより、第1蓄冷器31内で作動ガスの流れの偏りが形成されることなく、第1蓄冷器31内でほぼ均一な作動ガスの流れを作り出すことができる。こうして第1蓄冷器31内の作動ガスの流れが改善される結果、第1蓄冷器31内の蓄冷材が有効に使用され、ひいては冷凍能力を向上させることができる。
(変形例1)
図10は、第1実施形態の変形例に係る作動ガス誘導部材としての円形プレートの正面図である。図10に示す円形プレート8は、基本的には第1実施形態にて示した円形プレート6の構成と同一である。すなわち、円形プレート8の正面8aには、径方向に放射状に拡がるように配列されるとともに、それぞれが径内方から径外方に向かって延設された複数の溝81が形成される。しかし、上記第1実施形態にて示した円形プレート6に形成されている溝61は、その延設方向に沿って幅が一定である(つまり、溝61の流路断面積が、延設方向に沿って一定である)のに対し、図10に示す溝81の幅は、その延設方向に沿って一定でない。具体的には、溝81の幅は、円形プレート8の径内方から径外方に向かうにつれて狭くなる。
上記第1実施形態に示す場合において、第1蓄冷器31の径内方側から溝61内に進入した作動ガスが第1低温側連通路314に至るまでに進む距離は、第1蓄冷器31の径外方側から溝61内に進入した作動ガスが第1低温側連通路314に至るまでに進む距離よりも長い。このため、第1蓄冷器31の径内方側から溝61内に進入する作動ガスが受ける流路抵抗は、第1蓄冷器31の径外方側から溝61内に進入する作動ガスが受ける流路抵抗よりも大きい。流路抵抗の差が顕著であると、流路抵抗の大きな部分からは作動ガスが溝内に進入しない虞がある。
この点に関し、図10に示すように、溝81の幅を、径内方側から径外方側に向かうにつれて小さくすることにより、径内方側から溝81に進入する作動ガスが受ける流路抵抗と径外方側から溝81に進入する作動ガスが受ける流路抵抗との差を小さくすることができる。よって、溝81の径外方からも作動ガスが進入しやすくなり、これにより溝81の延設方向(径方向)の任意の位置から作動ガスを溝81内に進入させることができる。その結果、第1蓄冷器31の径方向に均一に作動ガスを流すことができる。
(第2変形例)
図11は、第2実施形態の変形例に係る作動ガス誘導部材としての円形プレートの正面図である。図11に示す円形プレート9は、基本的には第2実施形態にて示した円形プレート7の構成と同一である。すなわち、円形プレート9には、径方向に放射状に配列されるとともに、それぞれが径内方から径外方に向かって延設され、径外方端部が側周面9bに開口した複数の第1通路91と、一方の端部が第1通路91に連通するとともに他方の端部が径方向における異なる位置にて正面9aに開口した複数の第2通路92とが形成されている。しかし、上記第2実施形態にて示した円形プレート7に形成されている複数の第2通路72の開口径は全て同じであるのに対し、図10に示す第2通路92のa開口径は、円形プレート9の径内方から径外方に向かうにつれて小さくなる。
上記第2実施形態において、第1蓄冷器31の径内方側から第2通路72に進入した作動ガスが第1低温側連通路314に至るまでに進む距離は、第1蓄冷器31の径外方側から第2通路72に進入した作動ガスが第1低温側連通路314に至るまでに進む距離よりも長い。このため、第1蓄冷器31の径内方側から第2通路72に進入する作動ガスが受ける流路抵抗は、第1蓄冷器31の径外方側から第2通路72に進入する作動ガスが受ける流路抵抗よりも大きい。流路抵抗の差が顕著であると、流路抵抗の大きな部分からは作動ガスが第2通路72に進入しない虞がある。
この点に関し、図11に示すように、第2通路92の開口径を、径内方側から径外方側に向かうにつれて小さくすることにより、径内方側から第2通路92に進入する作動ガスが受ける流路抵抗と径外方側から第2通路92に進入する作動ガスが受ける流路抵抗との差を小さくすることができる。よって、径外方側に開口した第2通路92からも作動ガスが進入しやすくなり、これにより第1通路91の延設方向(径方向)の任意の位置から作動ガスを進入させることができる。その結果、第1蓄冷器31の径方向に均一に作動ガスを流すことができる。
(変形例3)
図12は、第2実施形態のさらに別の変形例に係る作動ガス誘導部材としての円形プレートの正面図である。図12に示す円形プレート9’は、基本的には第2実施形態にて示した円形プレート7の構成と同一である。すなわち、円形プレート9’には、径方向に放射状に配列されるとともに、それぞれが径内方から径外方に向かって延設され、径外方端部が側周面9bに開口した複数の第1通路91と、一方の端部が第1通路91に連通するとともに他方の端部が径方向における異なる位置にて正面9aに開口した複数の第2通路92とが形成されている。しかし、上記第2実施形態にて示した円形プレート7に形成されている複数の第2通路72の開口位置は、第1通路71の延設方向に沿った位置であるのに対し、図12に示す第2通路92は、円形プレート9’の正面9aのほぼ全域に一様に開口している。この場合、それぞれの第2通路92は、正面9aに対して直角または適当な傾斜角度で最も近い第1通路91に連通しているとよい。このように構成された円形プレート9’を第1蓄冷器31内に配設することにより、第1蓄冷器31内(第1充填空間31a内)の作動ガスをより均一に流すことができる。
以上、本発明の様々な実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は、上記例示に限定されるべきものではない。例えば、上記例においては、作動ガス誘導部材として円形のプレートを示したが、誘導通路が形成されている部材であれば、どのような外形形状でもよい。また、上記実施形態においては、蓄冷型冷凍機としてGM冷凍機を示したが、その他の蓄冷型冷凍機に本発明を適用することができる。また、上記実施形態においては、2段式の蓄冷型冷凍機の1段目の蓄冷器に本発明の作動ガス誘導部材を配設する例について説明したが、2段目の蓄冷器に本発明の作動ガス誘導部材を配設してもよい。また、単段式の蓄冷型冷凍機の蓄冷器に本発明の作動ガス誘導部材を配設してもよい。また、上記第2実施形態では、1本の第1通路71に3本の第2通路72が連通している例を示したが、1本の第1通路に連通する第2通路の数は任意である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。