(第1実施形態)
以下、画像読取装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
この第1実施形態における画像読取装置は、例えば複合機の一部を構成するフラットベッド型のスキャナー装置である。
図1に示すように、複合機11は、用紙などの媒体Pに印刷を行う印刷装置21と、印刷装置21の鉛直方向Zにおける上側に配置された画像読取装置31とを備えている。
複合機11の装置本体12に設けられた操作パネル13は、メニュー画面等を表示するための表示部14及び操作スイッチ等からなる操作部15を備えている。例えば操作部15を操作することで、スキャン要求が複合機11に与えられる。また、複合機11と通信ケーブルを通じて接続されたパーソナルコンピューター(PC)等からなるホスト装置からもスキャン要求を複合機11に与えることができる。スキャン要求は例えばスキャンジョブとして与えられる。
印刷装置21は、装置本体12の下部に装着されたカセット17から給送された媒体Pに印刷を施す。印刷後の媒体Pは装置本体12の排出口21aかスタッカー18上に排出される。複合機11は、印刷、スキャン及びコピーの機能を備える。コピーは、画像読取装置31が読み取った原稿の画像データに基づく画像を、印刷装置21が媒体Pに印刷することで行われる。
図1に示すように、画像読取装置31は、原稿を定置可能なフラットベッド型の原稿台33(図2参照)を上部に有する装置本体32と、装置本体32の原稿台33のある面部を開閉可能な原稿台カバー34とを備えている。そして、本例では、原稿台カバー34の背面部(原稿台33側と反対側となる部分)には、自動原稿搬送部35(オートドキュメントフィーダー(Auto Document Feeder;ADF))(以下、単に「原稿搬送部35」ともいう。)が装備されている。原稿搬送部35は、複数枚の原稿Dをセット可能な載置台36(セットトレイ)と、載置台36上の原稿Dを一枚ずつ搬送する搬送機構部37とを備えている。搬送機構部37は、載置台36上の原稿を読取位置まで送り込む給送と、画像が読み取られた後の原稿を送り出す排出とを含む搬送を行う。画像読み取り後の原稿Dは、例えば載置台36と原稿台カバー34との間の排出領域に順次排出される。
図2に示すように、画像読取装置31は、上側に開口部を有する箱状のケース38と、ケース38の上面部を構成する枠部40の大きな開口部に四角板状の大ガラス33aが嵌め込まれた原稿台33及び枠部40の小さな開口部に長四角板状の小ガラス39aが嵌め込まれた読取窓39とを備えている。原稿台33は、フラットベッド方式で読み取られる原稿が定置される領域であり、画像読取装置31が読取可能な最大原稿サイズよりも若干広いサイズを有する。なお、本実施形態では、原稿台33を構成する大ガラス33aにより第1透明部材の一例が構成され、読取窓39を構成する小ガラス39aにより第2透明部材の一例が構成される。また、第1及び第2透明材料は、透明ガラスに限らず、透明樹脂材料やガラス以外の透明セラミック材料でもよい。
また、読取窓39は、原稿台33よりも装置本体12の長手方向、つまり副走査方向X(図2では左右方向)における長さが十分短い。そして、読取窓39は、装置本体12の長手方向において原稿台33の一方側(図2では左側)に配置されている。また、読取窓39は、原稿搬送部35から搬送された原稿の画像が読み取られる読取位置にある。また、枠部40は、原稿台33と読取窓39との間に走査方向Yに沿って延びる長尺矩形状の仕切り部40aを有している。つまり、原稿台33と読取窓39との間は仕切り部40aによって仕切られている。
原稿台カバー34は、装置本体32の背面側に設けられたヒンジ41を介して回動可能に取り付けられている。このため、原稿台カバー34は、原稿台33に定置された原稿D1を押さえる閉位置と、原稿台33に原稿をセットしたり読取り後の原稿を取り除いたりする際の開状態とに開閉可能である。原稿台カバー34の原稿台33と対向する面(裏面)には、原稿台33より若干大きなサイズ形状の白板34aが設けられている。原稿台33に定置された原稿D1は白板34aに押さえられるため、原稿台33上の原稿D1のない領域は白板34aが読み取られる。
原稿搬送部35によって搬送機構部37内へ送り込まれた原稿は、閉状態にある原稿台カバー34の裏面における読取窓39とほぼ対向する位置に開口する搬入口34bから読取窓39上に送り出され、読取窓39上で画像が読み取られた後、搬出口34cへ入って排出領域へ排出される。このとき、原稿は、走査方向Xに延びる長尺状のガイド部34dにより読取窓39側へ押し付けられるため、搬送中の原稿の画像を比較的高品質に読み取ることが可能である。
このように本実施形態の画像読取装置31は、フラットベット型の原稿台33に定置された原稿を読み取る第1モードの一例としてのFB(Flatbed)モードと、原稿搬送部35により載置台36から読取窓39を通る経路で搬送される原稿を搬送途中の読取窓39の位置で読み取る第2モードの一例としてのADF(Auto Document Feeder)モードとの2種類のモードで動作する。
また、装置本体32の上面部32aには、原稿台カバー34が閉じられたことを検知する第1センサー43が設けられている。第1センサー43は、原稿台カバー34が閉状態にあるときに検知状態となり、原稿台カバー34が閉状態にないときに非検知状態になる。また、図1に示すように、原稿搬送部35の載置台36には、セットされた原稿を検知可能な第2センサー44が設けられている。本例では、第1センサー43及び第2センサー44が、外側(反重力方向側)へ突出する方向に付勢された可動部を有し、可動部が押し込まれることで、それぞれ原稿及び原稿台カバー34を検知する接触式センサーからなる。なお、第1センサー43及び第2センサー44のうち少なくとも一方を例えば光学式センサー等の非接触式センサーとすることもできる。
図3及び図4に示すように、ケース38内には、装置本体32の長手方向(副走査方向X)に沿って延びる案内レール51が配置されている。また、ケース38内には、読取部52を有するセンシング用キャリッジ53(以下、単に「キャリッジ53」という。)が係合部54を介して案内レール51に支持されている。読取部52は、副走査方向Xと交差する主走査方向Yに沿って原稿を読み取る読取ラインを構成するイメージセンサーにより構成される。特に本例では、イメージセンサーの一例として密着型のイメージセンサー(CIS(Contact Image Sensor))を用いている。
キャリッジ53は案内レール51に沿って副走査方向Xに移動することで原稿台33に載置された原稿D1を読取部52により読み取る。実施形態において、副走査方向Xは、鉛直方向Z及び主走査方向Yの双方と交差する方向である。なお、イメージセンサーとして例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーを用いることもできる。
図3に示すように、ケース38には、キャリッジ53を副走査方向Xに移動させる動力源となる第1モーター55(電動モーター)と、第1モーター55の動力をキャリッジ53に伝達する動力伝達機構56とが収容されている。そして、第1モーター55が正転駆動すると、キャリッジ53は副走査方向Xにおける往動方向X1(図3では右方向)に移動(往動)し、第1モーター55が逆転駆動すると、キャリッジ53が復動方向X2(図3では左方向)に移動(復動)する。
キャリッジ53の主走査方向Yにおける両端部には、副走査方向Xに延設される一対の可撓性ケーブル58(フレキシブルケーブル)の一端部が接続されている。この可撓性ケーブル58の他端部(基端部)は、ケース38の副走査方向Xにおける中央付近の底部に固定されている。可撓性ケーブル58は、装置本体12内に収容された制御部90(図9参照)から第1モーター55や読取部52に制御信号を送ったり、読取部52の読取データを制御部90に送ったりするための複数の電線等を内蔵する。
動力伝達機構56は、モーター55の動力で回転する駆動プーリー61と、案内レール51に沿って延びる板金部材57の両端に配置される2つの従動プーリー62,63と、各プーリー61〜63に巻き掛けられてキャリッジ53を牽引する無端状のベルト64とを備えている。ベルト64は、3つのプーリー61〜63に巻き掛けられることによって、平面視で略三角形状に張設される。
キャリッジ53は、ベルト64に対して2つの従動プーリー62,63の間で、案内レール51と平行な状態で副走査方向Xに張設された部分に固定されている。そして、第1モーター55が駆動すると、駆動プーリー61が回転してベルト64が周回移動することで、キャリッジ53が副走査方向Xに沿って移動する。また、キャリッジ53は、主走査方向Yにおける両端部に設けられた保護部53aが、図3に示す原稿台33又は枠部40の下面に摺接することによって、鉛直方向Zへの傾動が抑制される。ここで、ベルト64を歯付きベルト、各プーリー61〜63を歯付きプーリーとし、各プーリー61〜63にベルト64を噛み合う状態に巻き掛ける構成としてもよい。また、ベルト64を張設する経路は、平面視で略三角形状に限らず、四角形状や直線状としてもよい。なお、本実施形態では、案内レール51、モーター55、動力伝達機構56、プーリー61〜63及びベルト64等により、キャリッジ53を副走査方向Xに移動させる移動駆動部65が構成されている。
一方、図4に示す原稿搬送部35は、載置台36から原稿を搬送機構部37内の搬送経路FP側へ送り込む給送機構71の一部を構成する給送ローラー72と、給送ローラー72により送り込まれた原稿を読取位置SCへ搬送するべく給送経路SPに沿って設けられた複数の給送ローラー対73を備えている。そして、複数の給送ローラー対73により給送された原稿は、読取位置SCに位置するキャリッジ53の読取部52により搬送途中に読み取られる。読み取られた原稿は排出経路EPに沿って設けられた複数の排出ローラー対74により搬送機構部37から外側へ排出される。読取位置SCには、読取窓39(小ガラス39a)の表面に沿って原稿を案内する長尺状のガイド部34dが主走査方向Yに沿って延びる状態で配置されている。このようにADFモードでは、載置台36にセットされた複数枚の原稿が一枚ずつ分離されて搬送機構部37内に形成された搬送経路FPを通って読取位置SCを経由する経路で搬送され、搬送中の原稿が読取位置SCに停止するキャリッジ53の読取部52により読み取られる。搬送経路FPは、原稿を載置台36から読取位置SCまで給送する給送経路SPと、原稿を読取位置SCから外部の排出領域へ排出する排出経路EPとにより形成される。
また、図4に示すように、搬送機構部37内には、読取位置SCよりも搬送方向上流側の位置で給送経路SPを給送中の原稿を検知可能な第1検知部76と、読取位置SCよりも搬送方向下流側の位置で排出中の原稿を検知可能な第2検知部77とが設けられている。さらに第2検知部77よりも搬送方向下流側の位置には、読取部52による原稿の読取面(表面)と反対側の面(裏面)を排出経路EPの途中で読み取り可能な読取ユニット78が配置されている。このため、画像読取装置31はADFモードにおいて原稿の両面の読取りも可能である。
キャリッジ53は、原稿台33を構成する大ガラス33aと、読取窓39を構成する小ガラス39aとの配置領域の下方を、案内レール51に沿って副走査方向Xに往復動する。このとき、読取部52は各ガラス33a,39aと対向する状態を保持しつつキャリッジ53と共に副走査方向Xに往復移動する。
図4に示すように、ADFモードでは、キャリッジ53は読取部52が読取窓39に対向する読取位置SCに配置される。そして、読取部52は、読取窓39の小ガラス39aとガイド部34dとの間をガラス面に沿って案内されつつ一定速度で搬送される搬送中の原稿を小ガラス39aを通して読み取る。
また、図7に示すように、キャリッジ53は読取部52の近傍に光源52aを有し、光源52aから照射された光が原稿に当たって反射した反射光を読取部52が受光することによって、読取部52は原稿の画像を読み取る。
また、図7に示すように、キャリッジ53の移動経路上で読取部52が読取り可能な位置には、装置本体32の上面部に反射率の高い均一な反射面を有する2つの白基準板81,82が配置されている。第1白基準板81及び第2白基準板82は、シェーディング補正に用いる白基準データを取得する際の読取対象とされる。第1白基準板81及び第2白基準板82は、白基準板の読取りの実施が必要であると定められた白基準読取り実施条件の成立時に読取部52により読み取られる。
第1白基準板81は、FBモードで原稿の読取動作(スキャン動作)を行うに当たり、白基準読取り実施条件の成立時に読み取られるもので、副走査方向Xに原稿台33と読取窓39との間の位置に配置されている。詳しくは、第1白基準板81は、原稿台33の外側(復動方向X2側)へ延出する大ガラス33aの端部の上面に配置されている。
一方、第2白基準板82は、ADFモードで読取動作を行うに当たり、白基準読取り実施条件の成立時に読取動作の前に読み取られるもので、読取窓39よりも復動方向X2側の位置に配置されている。詳しくは、図7に示すように、第2白基準板82は、読取窓39の外側(復動方向X2側)へ延出する小ガラス39aの端部の上面に配置されている。このように本実施形態では、第1白基準板81及び第2白基準板82は、共に搬送経路外に位置している。ここで、第1白基準板81及び第2白基準板82は、板状に限定されず、板状に比べ厚みのある柱状であったり厚みの薄い膜状(例えば塗膜)であったりしてもよい。なお、本実施形態では、第1白基準板81により第1白基準体の一例が構成され、第2白基準板82により第2白基準体の一例が構成される。
図5及び図7に示すように、キャリッジ53は第1白基準板81を読み取る際は第1白基準読取位置W1に配置される。また、図6及び図7に示すように、キャリッジ53は第2白基準板82を読み取る際は第2白基準読取位置W2に配置される。ここで、FBモードでの原稿読取り時の最高の解像度は、ADFモードでの原稿読取り時の最高の解像度よりも高く設定される。このため、FBモード用の第1白基準板81が所定の高解像度で読み取られ、ADFモード用の第2白基準板82が、第1白基準板81の読取解像度よりも低い所定の低解像度で読み取られる。
次に、図8を参照して、キャリッジ53の2種類のモードごとのホーム位置HP1,HP2、読取位置SC、第1白基準板81及び第2白基準板82の位置関係について説明する。
図8に示すように、副走査方向Xにおいて読取窓39のほぼ幅中心線の位置が読取位置SCとなっている。読取部52は、ADFモードにおいて、搬送される原稿Dの読み取りを読取位置SCで行う。また、副走査方向Xにおいて原稿台33の配置領域が読取範囲SCAとなっている。読取範囲SCAは、想定される最大サイズの原稿の読み取りが可能なサイズに設定されている。FBモードでは、キャリッジ53は読取範囲SCAの範囲内で原稿Dのサイズに応じた範囲を副走査方向Xに走査して原稿Dを読み取る。キャリッジ53は、原稿台33に定置された原稿を読取り可能な読取範囲SCAと読取位置SCとを含む移動範囲を移動する。すなわち、キャリッジ53は、復動方向X2側の限界位置E1から往動方向X1側の限界位置E2までの移動範囲を往復動可能である。
図8に示すように、本例では、2種類のモードごとにキャリッジ53のホーム位置HP1,HP2が設定されている。すなわち、FBモード時のキャリッジ53の移動範囲である第1領域R1内における原稿台33の配置領域以外の位置に、FBモード用のホーム位置HP1(以下、「第1ホーム位置HP1」ともいう。)が設定されている。また、ADFモード時のキャリッジ53の移動範囲である第2領域R2内に位置に、ADFモード用のホーム位置HP2(以下、「第2ホーム位置HP2」ともいう。)が設定されている。ホーム位置は、複合機11の電源オン時の実施されるキャリッジ53のホームシーク動作(ホームポジションシーク動作)で探し出されるキャリッジ53の基準位置(原点位置)である。電源オン時のキャリッジ53の位置に応じて近い方のホーム位置をホームシーク動作で探し出す。このため、第1ホーム位置HP1と第2ホーム位置HP2とが設定されている。第1ホーム位置HP1は、読取窓39と原稿台33との間の範囲内の位置に設定され、一例として副走査方向Xにおいて当該範囲のほぼ幅中心の位置に設定されている。また、第2ホーム位置HP2は、限界位置E1と読取窓39との間の範囲内の位置に設定され、一例として限界位置E1と第2白基準板82との間の位置に設定されている。
図8において、第1ホーム位置HP1から往動方向X1側の限界位置E2までの第1領域R1が、FBモードの待機位置にあるキャリッジ53がFBモード時に移動可能な最大範囲である。また、限界位置E1から読取窓39の往動方向X1側の端部までの第2領域R2が、ADFモードの待機位置にあるキャリッジ53がADFモードで移動可能な最大範囲である。
図8に示すように、FBモード用の第1白基準板81は、読取窓39と原稿台33との間の位置に配置されている。このため、キャリッジ53が読取部52により第1白基準板81を読み取る際の配置位置である第1白基準読取位置W1は、同様に読取窓39と原稿台33との間の位置に設定されている。特に第1白基準板81は、第1領域R1内において原稿台33の配置領域以外の位置に配置されている。このため、特に第1白基準読取位置W1は、第1領域R1内において原稿台33の配置領域以外の位置に設定されている。さらに本例の第1白基準板81は、第1ホーム位置HP1と原稿台33との間の位置に配置されている。このため、本例の第1白基準読取位置W1は、第1ホーム位置HP1と原稿台33との間の位置に設定されている。なお、第1白基準板81は、第1ホーム位置HP1に配置されてもよい。
また、ADFモード用の第2白基準板82は、第2領域R2内において読取窓39の配置領域以外の位置に配置されている。つまり、第2白基準板82は、限界位置E1から読取窓39の復動方向X2側の端部までの範囲内の位置に配置されている。このため、キャリッジ53が読取部52により第2白基準板82を読み取る際の配置位置である第2白基準読取位置W2は、同様に第2領域R2内において読取窓39の配置領域以外の位置に設定されている。特に本例の第2白基準板82は、キャリッジ移動方向(副走査方向X)に読取位置SCを挟んで第1白基準板81と反対側となる位置に配置されている。特に第2白基準板82は、読取窓39よりも復動方向X2側の位置に配置されている。本例では特に第2白基準板82は、第2ホーム位置HP2と読取窓39との間の位置に配置されている。このため、特に本例の第2白基準読取位置W2は、第2ホーム位置HP2と読取窓39との間の位置に設定されている。第2白基準板82は、第2ホーム位置HP2に配置されてもよい。
また、図8に示すように、FBモードで読取動作を終了した後にキャリッジ53が復帰する待機位置は、副走査方向Xにおいて原稿台33と読取窓39との間の範囲内の位置に設定されている。本例では、このFBモードの待機位置(以下、「第1待機位置」ともいう。)は、一例として第1ホーム位置HP1又は第1白基準読取位置W1に設定されている。
また、ADFモードで読取動作を終了した後のキャリッジ53の待機位置は、第2領域R2内の位置に設定されている。特にADFモードの待機位置(以下、「第2待機位置」ともいう。)は、第2ホーム位置HP2から読取位置SCまでの範囲内の位置に設定されている。本例では、第2待機位置は、一例として読取位置SC又は第2白基準読取位置W2に設定されている。なお、第2待機位置は第2ホーム位置HP2でもよい。
また、ADFモード用の第2白基準板82は、第2待機位置に対してキャリッジ移動方向(つまり副走査方向X)に第1白基準板81よりも近い位置に配置されている。そして、第2待機位置から第2白基準読取位置W2までのキャリッジ53の移動距離と、第2白基準読取位置W2から読取位置SCまでのキャリッジ53の移動距離との和で表される総移動距離が、第2待機位置から第1白基準読取位置W1を経由して読取位置SCに至るキャリッジ53の総移動距離よりも短く済むように設定されている。
例えば前回と今回で読取動作のモードが異なる場合、キャリッジ53は第1領域R1と第2領域R2間を移動する必要があるが、本実施形態では、以下の理由により、キャリッジ53が第1領域R1(大ガラス33a)と第2領域R2(小ガラス39a)間を移動する過程でキャリッジ速度を低速にする必要がある。小ガラス39aと大ガラス33aとの間には、図7に示される第2領域R2と第1領域R1との間を読取部52が移動する際の移動を補助する移動補助部85が設けられている。
移動補助部85は、読取部52を移動させる際に読取部52を小ガラス39aの下面と交差する方向(図7では下方向)に押し出す機能を有している。移動補助部85による押し出し機能により、読取部52は大ガラス33aの端面又は小ガラス39aの端面に引っ掛かることなく移動可能となる。本例のキャリッジ53は、読取部52の長手方向外側の両端部に一対の保護部53a(図3参照)を有し、一対の保護部53aの上面を移動補助部85が押すことで、読取部52は第1領域R1と第2領域R2との間、つまり大ガラス33aと小ガラス39aとの間を挟む二位置間を滑らかに移動することができる。但し、読取部52が第1領域R1と第2領域R2との間を移動する場合、保護部53aが移動補助部85と接触するので、少なくともこの移動過程(低速移動域)でキャリッジ速度を低速にする必要がある。このため、読取部52が第1領域R1と第2領域R2との間を移動する場合、比較的長い移動時間が必要になる。
図7に示すように、読取部52は、ADFモードの読取位置SCからFBモードの第1白基準読取位置W1まで移動する際、移動補助部85を越えて移動する。このため、ADFモードの際に第1白基準板81を読み取る構成を採用すると、キャリッジのこの往動過程と、キャリッジ53が第1白基準板81を読み取った後に読取位置SCまで移動する復動過程とで往復2回の低速移動域での移動が伴い、これにより読取動作開始前における白基準板の読取所要時間が長くかかることになる。そこで、本実施形態では、ADFモード用の第2白基準板82を第2領域R2内の位置に設け、ADFモードで白基準板の読取りが必要な場合は、第2領域R2内の第2白基準板82を読み取るようにしている。
また、第2白基準板82が第1白基準板81に対して読取窓39を挟んで反対側となる位置に配置されている。このため、前回と今回でFBモードからADFモードに切り替わる場合、第1待機位置から第2白基準読取位置W2を経由して読取位置SCまで移動するキャリッジ53の総移動距離よりも、第1待機位置(例えば第1白基準読取位置W1)で第1白基準板81を読み取ってから読取位置SCまで移動するキャリッジ53の総移動距離の方が短く済む。このため、本実施形態では、ADFモードの読取動作を行うに当たり、キャリッジ53がFBモードの待機位置(第1待機位置)にある場合、まずその待機位置で第1白基準板81を読み取ってからキャリッジ53を読取位置SCまで移動させるようにしている。
上記の点を満たすべく、本実施形態では、スキャン要求を受け付けた際のキャリッジ53の現在位置を示す位置情報を取得し、位置情報から特定されるキャリッジ53の現在位置(待機位置)と、そのスキャン要求で要求されたモードとに応じて、2つの白基準板81,82のうち読取対象とするべき一方を決定する。これによりスキャン要求から読取動作開始までの待ち時間を相対的に短くしている。
ここで、本実施形態では、FBモードでは原稿を第1解像度で読み取るのに対し、ADFモードでは原稿を第1解像度よりも低い第2解像度で読み取る。このため、読取部52は、FBモードでは第1白基準板81を高解像度で読み取って高解像度用の白基準データを生成し、ADFモードでは第2白基準板82を低解像度で読み取って低解像度用の白基準データを生成する。この場合、高解像度用の白基準データは、FBモードにもADFモードにも読取データの補正に使用できる。しかし、低解像度用の白基準データは、ADFモードでの読取データの補正には使用できるものの、FBモードでの読取データの補正には基本的に不適切で使用されない。この点も考慮して後述する制御部90は、2つの白基準板81,82のうち読取対象とするべき白基準板を選択する。
次に図9を参照して画像読取装置31の電気的構成を説明する。なお、図9は、画像読取制御に係る電気的構成を示すもので、原稿搬送部35内の第1検知部76、第2検知部77及び読取ユニット78等は省略している。
画像読取装置31は、原稿台33を備えたフラットベッド型の画像読取装置であり、キャリッジ53が有するイメージセンサーからなる読取部52により原稿台33に載置された原稿D1の画像を読み取るFBモードでの読取動作を行う。また、画像読取装置31は、原稿搬送部35の載置台36にセットされた原稿を一枚ずつ搬送して搬送途中の読取位置SCで読み取るADFモードでの読取動作を行う。
また、画像読取装置31は、光源52aを発光(点灯)させて、2つの白基準板81,82のうちスキャン要求を受け付けた時のキャリッジ位置(待機位置)と要求されたスキャンのモードとに応じて読取り対象とするべき一方の白基準板を決定し、その決定した白基準板を読み取る。光源52aは例えばLEDからなる。なお、光源52aはLEDに限らず、電球や蛍光灯でもよい。
なお、一般的なシェーディング補正には黒基準データも使用されるが、画像読取装置31は、黒基準データを生成するための特別な機構を備えなくてもよい。黒基準データを生成する場合、画像読取装置31は、例えば光源52aの発光を停止(消灯)させた状態で画像データを読み取り、黒基準データを生成する。
画像読取装置31は、装置全体の制御を司るとともに画像を読み取るため各種の処理を行う制御部90と、光源52a及び読取部52を搭載したキャリッジ53と、キャリッジ53の移動を制御する駆動機構91と、原稿搬送部35とを備えている。
駆動機構91は、第1センサー43、第1モーター55、ホームセンサー92及びエンコーダー93を備えている。第1センサー43は、原稿台カバー34が閉じられたことを検知するスイッチ式センサーであり、原稿台カバー34が閉状態のときに検知信号を出力し、原稿台カバー34が閉状態でないときに非検知信号を出力する。
第1モーター55は、キャリッジ53を移動させる動力源であり、例えば直流モーターからなる。第1モーター55が駆動されると、キャリッジ53は光源52a及び読取部52とともに副走査方向Xに移動する。詳しくは第1モーター55が正転駆動されると、ベルト64が正転方向に周回し、キャリッジ53は往動方向X1に移動する。また、第1モーター55が逆転駆動されると、ベルト64が逆転方向に周回し、キャリッジ53は復動方向X2に移動する。
例えばFBモードでは、第1モーター55の正転駆動によりキャリッジ53が往動方向X1に移動することで一緒に往動する読取部52により原稿台33(大ガラス33a)上の原稿D1が読み取られる。そして、読取動作を終了すると、第1モーター55が逆転駆動され、キャリッジ53はFBモードの待機位置(第1ホーム位置HP1又は第1白基準読取位置W1)まで戻る。
ホームセンサー92は、キャリッジ53がホーム位置にあることを検知する。本例では、画像読取装置31は、少なくとも電源オン時にキャリッジ53のホーム位置を探すホームシーク動作を行う。本例では、第1ホーム位置HP1と第2ホーム位置HP2とがあるが、キャリッジ53が第1ホーム位置HP1にあることはホームセンサー92で検知し、キャリッジ53が第2ホーム位置HP2にあることは読取部52が不図示のマークを読み取ることで検知する。ホームセンサー92がキャリッジ53のホームシーク動作中に非検知状態から検知状態に切り換わると、その時のキャリッジ位置が第1ホーム位置HP1として設定される。また、読取部52がキャリッジ53のホームシーク動作中に不図示のマークを読み取ると、その時のキャリッジ位置が第2ホーム位置HP2として設定される。
そして、制御部90は、ホームシーク動作後に初めて行う読取動作がADFモードである場合、第1白基準板81と第2白基準板82のうちホームシーク動作の終了後におけるキャリッジ53の待機位置に応じてそのときの待機位置により近い一方の白基準板を読み取る。つまり、ホームシーク動作の終了後のキャリッジ53の待機位置が、第1ホーム位置HP1であれば第1白基準板81を読み取り、読取位置SCであれば第2白基準板82を読み取る。
エンコーダー93は、単位時間当たりの第1モーター55の回転速度、つまりキャリッジ53の移動速度に比例する数のエンコーダーパルスを出力する。第1モーター55はエンコーダーパルスを出力するエンコーダー93の出力値に基づいて制御される。
詳しくは、制御部90は、エンコーダー93から入力したエンコーダーパルスの例えばパルスエッジを計数する不図示のカウンターを内蔵する。キャリッジ53の副走査方向Xのホーム位置を探すホームシーク動作の結果、ホームセンサー92が検知状態になると、カウンターはリセットされる。また、制御部90は、エンコーダー93から入力される位相の異なる複数種のエンコーダーパルスのレベルを比較することで、キャリッジ53の移動方向が往動か復動かを判断する。カウンターはそのリセット以後に入力するエンコーダーパルスのパルスエッジを計数し、そのとき計数値をキャリッジ53の往動時に「1」ずつインクリメントし、キャリッジ53の復動時に「1」ずつデクリメントする。これによりカウンターにはキャリッジ53の副走査方向Xの位置を示す計数値が計数される。制御部90は、このカウンターの計数値を監視しつつ、第1モーター55を制御することで、キャリッジ53を所定の目標位置に停止させる位置制御を行う。さらに制御部90は、単位時間当たりのカウンターによる計数値変化量(つまりパルスエッジ数)からキャリッジ53の移動速度を把握し、原稿の読取り動作(スキャン動作)時には、キャリッジ53を副走査方向Xに一定速度で走査させる。
光源52aは、読取部52により読み取る原稿Dに光を照射する。本例の光源52aは、カラースキャンを行うため、赤色LED、緑色LED、青色LEDからなり、RGBの3色の光を所定の順序で発生する。本実施形態では、光源52aは、1ライン分の白基準板81,82の読み取りを行う場合には、赤色LED、緑色LED、青色LEDの順に光を発生する。そして、数ライン分の白基準板81,82の読み取りを行うため、同様の発光動作を繰り返す。各色のLEDの発光時間は、色ごとに予め定められており、点灯してからその定められた時間が経過したときに消灯する。なお、発光順序は、RGBの順序に限定されず、適宜変更できる。
読取部52は、光源52aから照射された光が原稿Dで反射して不図示のレンズで集光された光を受光し、受光量に応じた電荷を蓄積し、アナログデータからなる画像読取データ(電気信号)として、制御部90に送る。読取部52は、主走査方向Yに並んだ複数のセンサーチップ(図示略)からなる。
原稿搬送部35は、第2センサー44と第2モーター94とを備えている。第2センサー44は、原稿搬送部35の載置台36にセットされた原稿を検知するスイッチ式センサーであり、載置台36にセットされた原稿を検知しているときに検知信号を出力し、載置台36に原稿がセットされていないときに非検知信号を出力する。
第2モーター94は、原稿搬送部35を駆動させる動力源であり、例えば直流モーターからなる。第2モーター94が駆動されると、給送ローラー72、給送ローラー対73及び排出ローラー対74が回転駆動し、載置台36にセットされた原稿D2が一枚ずつ順番に読取位置SCを通る経路で搬送され、原稿台カバー34と載置台36との間の排出領域に排出される。
制御部90は、制御部90内の各機能部を全体的に制御するとともに、キャリッジ53内の光源52a、読取部52、駆動機構91及び原稿搬送部35を制御する読取制御部95を備えている。また、制御部90は、読取部52から出力されたアナログデータをデジタルデータに変換するなどのアナログ処理を行うAFE96と、AFE96から出力されたデジタルデータに対して各種補正を行うデータ処理部97と、データ処理部97が各種補正を行うためのデジタルデータを記憶する記憶部98とを備えている。さらに制御部90は、複合機11が省電モードに移行するタイミングを取得するために経過時間を計時するタイマー99と、データ処理部97からのデータをパーソナルコンピューター等のホスト装置に送るための出力部100などを備えている。制御部90は、複合機11において動作も操作もない状態になってからの経過時間をタイマー99で計時し、その計時した経過時間が省電用の設定時間に達すると、省電モードに移行させる。
AFE96は、所定のIC(アナログフロントエンドIC)によって構成される。AFE96は、入力されたアナログデータに対して設定されたゲインGで入力信号を増減させるゲイン調整を行って必要なレベルの信号を出力するゲイン調整部101及びアナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換部102等を有している。なお、AFE96は、キャリッジ53内の基板に実装されていてもよい。
また、読取制御部95は、読取部52の読取動作に合わせて、光源52aの点灯、消灯を制御する。また、読取制御部95は、読取部52が読み取ったデータのA/D変換部102への転送を制御する。読取制御部95は、基準クロックに基づいて各種信号を生成するタイミングジェネレーターによりシフトパルス及び読み出しクロックを生成させて、読取部52からのデータの読み出しタイミング等を制御する。なお、タイミングジェネレーターは、キャリッジ53に設けられてもよいし、制御部90に設けられてもよい。
読取制御部95は、駆動機構91の第1モーター55を駆動制御することにより、キャリッジ53の移動を制御する。また、読取制御部95は、読取部52の画像読み取り、白基準データの読み取り及び黒基準データの読み取りを制御する。そして、読取制御部95は、読み取られた白基準データ104及び不図示の黒基準データを記憶部98に記憶する。
また、読取制御部95は、ADFモードで読取動作の前に白基準板を読み取る必要がある場合、キャリッジ53がADFモードの待機位置にあれば、第2白基準板82を読み取らせる。また、読取制御部95は、ADFモードで読取動作の前に白基準板を読み取る必要がある場合、キャリッジ53がFBモードの待機位置にあれば、第1白基準板81を読み取らせる。
また、読取制御部95は、スキャンジョブ(スキャン要求)を受け付けると、以下の白基準読取り実施条件の1つでも成立すると、今回の読取動作に合った白基準データを取得するため、今回の読取動作の実施前に読取部52に白基準板を読み取らせる。
(1)電源オン後に初めてジョブを受け付けた場合。
(2)省電モード時にジョブを受け付けた場合。
(3)前回のジョブが完了してから、設定時間(例えば1〜20分の範囲内の設定時間)を経過した後に、今回のジョブを受け付けた場合。
(4)前回と今回でモノクロとカラーとの間で切換えの設定がされたジョブを受け付けた場合。
(5)読取解像度の変更が設定されたジョブを受け付けた場合。
(6)モードの変更が設定されたジョブを受け付けた場合。
よって、前回のジョブの完了後、設定時間内に今回のジョブを受け付けた場合や、前回と同じモードのジョブ受け付けた場合などは、その他の条件が不成立であれば、画像読取装置31は白基準板を読み取らない。
データ処理部97は、A/D変換部102から出力された画像データにシェーディング補正を施すシェーディング補正部105を備えている。データ処理部97は、A/D変換部102から出力された画像データを記憶部98に一時記憶し、対応する白基準データ及び黒基準データを用いて、画素ごとに、所定の補正式に従ったシェーディング補正を行う。データ処理部97は、シェーディング補正の他にもガンマ補正等の各種補正を施して、補正済みの画像データを出力部100に出力する。
記憶部98は、読取制御部95が第1モーター55を制御して行ったキャリッジ53の読取動作終了後の待機位置を示す位置情報、及びデータ処理部97が各種補正処理を行うときに使用するデータを記憶する。具体的には、記憶部98には、キャリッジ53のジョブを終えた後の待機位置として決められている、FBモードの待機位置又はADFモードの待機位置を記憶する。また、記憶部98には、読取部52が第1白基準板81から読み取った第1白基準データと第2白基準板82から読み取った第2白基準データとのうち最新の白基準データが記憶される。
出力部100は、ネットワーク接続やUSB接続を行うためのインターフェイスを備え、データ処理部97から出力されたデジタルデータを、ホスト装置に送信する。
上記の制御部90は、主制御装置であるCPUと、プログラム等が記憶されたROMと、メインメモリーとしてデータ等を一時的に格納するRAMと、ホスト装置等との入出力を制御するインターフェイスと、各構成要素間の通信経路となるシステムバスとを備えた一般的なコンピューターにより構成される。各処理を専用に行うように設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されていてもよい。A/D変換部102は、アナログフロントエンドIC(Integrated Circuit)で構成することができる。
制御部90は、複合機11(その一部である画像読取装置31)と通信可能に接続されたホスト装置からスキャン要求を受け付ける。また、操作部15の操作によりスキャン要求を受け付けることもできる。例えばユーザーが複合機11の操作部15を操作してコピーを指示したとき、複合機11の例えば主制御部(図示せず)は画像読取装置31にスキャンを要求する。そして、画像読取装置31からの読取データ(例えばRGB表色系データ)を印刷制御部が印刷データ(例えばCMYK表色系データ)に変換し、この印刷データに基づいて印刷装置21が用紙に文書や画像を印刷する。
次に、図10及び図11に示すフローチャートを参照し、複合機11における画像読取装置31の作用を説明する。
ユーザーがホスト装置(図示せず)で操作部(キーボード又はマウス)の操作でスキャンを指示すると、ホスト装置から有線又は無線の通信を介して複合機11はスキャンジョブを受信する。また、ユーザーが操作部15の操作又は表示部14のタッチ操作でスキャンの実行を指示すると、その指示を受け付けた複合機11はスキャンジョブを生成する。また、ユーザーが操作部15の操作又は表示部14のタッチ操作で原稿のコピーの実行を指示択すると、その指示を受け付けた複合機11は画像読取装置31に与えるジョブとしてスキャンジョブを生成する。複合機11が受信又は生成したスキャンジョブは、画像読取装置31へ送られる。画像読取装置31はスキャンジョブの受信によってスキャン要求を受け付ける。
ユーザーが原稿を原稿台33にセットしてスキャン又はコピーを指示した際は、第2センサー44が原稿を検知していない非検知状態にある。スキャン要求受け付け時に、制御部90は、第2センサー44が非検知状態にあれば、FBモードでのスキャン要求と判断する。一方、原稿が載置台36にセットされている場合は、第2センサー44が原稿を検知して検知状態にある。そのため、スキャン要求受け付け時に、制御部90は、第2センサー44が検知状態にあれば、ADFモードでのスキャン要求と判断する。そして、制御部90は、スキャン要求を受け付けると、指示されたモードで読取動作を行う。
例えば前回の読取動作がFBモードであった場合、キャリッジ53は第1待機位置、例えば第1白基準板81を読取り可能な第1白基準読取位置W1に待機している。このとき、記憶部98にはキャリッジ53の現在位置(待機位置)を示す位置情報103が記憶されている。また、前回の読取動作がADFモードであった場合、キャリッジ53は読取位置SCに待機している。このとき、記憶部98にはキャリッジ53の現在位置(待機位置)を示す位置情報103が記憶されている。キャリッジ53の位置情報を取得して記憶部98に記憶させる処理は、前回のジョブの終了後でなく、今回のジョブの受付時でもよい。その後、複合機11が電源オフされても位置情報103は記憶部98に記憶されている。
複合機11が電源オンされると、キャリッジ53のホームシーク動作を実行する。ホームシーク動作は、2つのホーム位置HP1,HP2のうち、記憶部98から読み出した位置情報103から特定されるキャリッジ53の待機位置(現在位置)に近い位置にある一方のホーム位置をシーク対象とし、そのシーク対象のホーム位置に向かう方向へキャリッジ53を移動させることで行われる。ホームセンサー92が検知状態になると、そのときの位置を第1ホーム位置HP1として設定し、読取部52が不図示のマークを検知すると、そのときの位置を第2ホーム位置HP2として設定する。ホームシーク動作終了後、キャリッジ53はそのとき検知されたホーム位置に近い待機位置に移動する。この待機位置は記憶部98に位置情報103として記憶される。なお、以下の説明では、FBモードの待機位置(第1待機位置)を第1白基準読取位置W1とし、ADFモードの待機位置(第2待機位置)を読取位置SCとする。
そして、スキャンジョブの受信によりスキャン要求を受け付けると、制御部90(詳しくは制御部90内のコンピューター)は、図10及び図11にフローチャートで示される画像読取制御ルーチンのプログラムを実行する。ここで、図10は白基準読取り実施条件が成立したときの白基準板の読取動作を伴う画像読取制御ルーチンを示し、図11は白基準読取り実施条件が不成立のときの白基準板の読取動作を伴わない通常の画像読取制御ルーチンを示す。
まず図10におけるステップS11では、白基準読取り実施条件が成立するか否かを判断する。すなわち、上述したとおり以下の(1)〜(6)で規定される白基準読取り実施条件のうち1つでも満たせば、白基準読取り実施条件が成立したものとみなす。つまり、(1)電源オン後に初めてジョブを受け付けた場合、(2)省電モード時にジョブを受け付けた場合、(3)前回のジョブが完了してから設定時間を経過した後に今回のジョブを受け付けた場合が挙げられる。さらに、(4)前回と今回でモノクロとカラーとの間で切換えの設定がされたジョブを受け付けた場合、(5)読取解像度の変更が設定されたジョブを受け付けた場合、(6)モードの変更が設定されたジョブを受け付けた場合が挙げられる。そして、上記(1)〜(6)のいずれか1つの条件が成立すると、白基準読取り実施条件が成立したと判断する(S11で肯定判定)。白基準読取り実施条件が成立していれば、ステップS12以降の処理で、読取動作の前に白基準板の読取りを伴う原稿の読取動作を行う。一方、白基準読取り実施条件が不成立であれば(S11で否定判定)、図11に示す通常読取ルーチンに進む。
図10におけるステップS12では、キャリッジ53の位置情報を取得する。すなわち、制御部90は、記憶部98からキャリッジ53の現在の待機位置を示す位置情報103を読み出す。
次に、スキャン要求は、FBモードであるかADFモードであるかを判断する(ステップS13)。ADFモードであれば、次に位置情報はADFモードの待機位置であるか否かを判断する(ステップS14)。位置情報がADFモードの待機位置であれば(S14で肯定判定)、キャリッジ53を第2白基準読取位置W2へ移動し(ステップS15)、第2白基準板82を読み取る(ステップS16)。第2白基準板82を読み取って取得した第2白基準データ104を記憶部98の所定記憶領域に書き込む。
一方、位置情報がADFモードの待機位置でなければ(例えばFBモードの待機位置であれば)(S14で否定判定)、第1白基準板81を読み取る(ステップS17)。第1白基準板81を読み取って取得した第1白基準データ104を記憶部98の所定記憶領域に書き込む。
そして、キャリッジ53をADFモードの読取位置SCへ移動し(ステップS18)、ADFモードで読取動作を行う(ステップS19)。そして、読取動作を終えると、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS24)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてADFモードの待機位置(一例として第2白基準読取位置W2)を書き込む。
一方、ステップS13において、スキャン要求がFBモードであれば、次に位置情報はFBモードの待機位置であるか否かを判断する(ステップS20)。位置情報がFBモードの待機位置であれば(S20で肯定判定)、第2白基準板82を読み取る(ステップS22)。一方、位置情報がFBモードの待機位置でなければ(例えばADFモードの待機位置であれば)(S20で否定判定)、キャリッジ53を第1白基準読取位置W1へ移動させ(ステップS21)、第1白基準板81を読み取る(ステップS22)。そして、第1白基準板81を読み取って取得した第1白基準データ104を記憶部98の所定記憶領域に書き込む。そして、読取動作を終えてキャリッジ53がFBモードの待機位置に戻ると、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS24)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてFBモードの待機位置(一例として第1白基準読取位置W1)を書き込む。
また、ステップS11において白基準読取り実施条件が不成立となって、白基準板の読取りが不要な場合は、制御部90が通常読取ルーチンを実行することにより以下の制御を行う。
まずステップS31では、キャリッジの位置情報を取得する。すなわち、制御部90は、記憶部98から位置情報103を読み出す。
次に、スキャン要求は、FBモードであるかADFモードであるかを判断する(ステップS32)。ADFモードであれば、次に位置情報はADFモードの待機位置であるか否かを判断する(ステップS33)。位置情報がADFモードの待機位置であれば(S33で肯定判定)、ADFモードで読取動作を行う(ステップS34)。一方、位置情報がADFモードの待機位置でなければ(例えばFBモードの待機位置であれば)(S33で否定判定)、キャリッジ53をADFモードの読取位置へ移動し(ステップS35)、ADFモードで読取動作を行う(ステップS34)。そして、ADFモードでの読取動作を終えると、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS39)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてADFモードの待機位置(一例として第2白基準読取位置W2)を書き込む。
一方、ステップS32において、スキャン要求がFBモードであれば、次に位置情報はFBモードの待機位置であるか否かを判断する(ステップS36)。位置情報がFBモードの待機位置であれば(S36で肯定判定)、FBモードで読取動作を行う(ステップS38)。また、位置情報がFBモードの待機位置でなければ(例えばADFモードの待機位置であれば)(S36で否定判定)、キャリッジ53をFBモードのホーム位置HP1へ移動し(ステップS37)、FBモードで読取動作を行う(ステップS38)。そして、読取動作を終えてキャリッジ53がFBモードの待機位置に戻ると、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS39)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてFBモードの待機位置(一例として第1白基準読取位置W1)を書き込む。
上記の読取動作により読取部52が読み取った読取信号(アナログ信号)は、AFE96でデジタル信号に変換された後、読取データとしてデータ処理部97へ送られる。そして、データ処理部97は、いずれのモードの場合も、最新の白基準データ104を記憶部98から読み出し、読取データに対してその白基準データ104を用いたシェーディング補正を行う。このとき、データ処理部97はシェーディング補正以外にもガンマ補正等の種々の画像処理を施し、画像データ(スキャンデータ)を生成する。そして、スキャンが指示されていた場合は、生成された画像データは出力部100からホスト装置へ送信される。一方、コピーが指示されていた場合は、生成された画像データを印刷装置21へ送信する。そして、印刷装置21は、画像読取装置31から受け取った例えばRGB表色系又はYCbCr表色系の画像データをCMYK表色系の印刷データに変換し、その印刷データに基づく原稿画像を不図示の印刷部により用紙に印刷する。
また、本実施形態では、白基準読取り実施条件として、上記(1)〜(6)を設定している。このため、ジョブの完了後、所定時間内に次のジョブを受け付けると、白基準板の読取りを行わずに、原稿を読み取る。そして、原稿の読取り後、位置情報を更新する。
また、ジョブの完了後、所定時間を経過してから、次のジョブを受け付けると、図10に示す画像読取制御ルーチンにより、位置情報を読み出すとともにモードを確認し、位置情報とモードとに応じて決まる一方の白基準板を読み取る。さらに、ジョブの完了後、モノクロとカラーとの間で切換えの設定がされた次のジョブを受け付けると、図10に示す画像読取制御ルーチンにより、位置情報を読み出すとともにモードを確認し、位置情報とモードとに応じて決まる一方の白基準板を読み取る。
また、ジョブの完了後、読取解像度の変更が設定された次のジョブを受け付けると、図10に示す画像読取制御ルーチンにより、位置情報を読み出すとともにモードを確認し、位置情報とモードとに応じて決まる一方の白基準板を読み取る。さらに、ジョブの完了後、省電モードに切り換わり、その後、次のジョブを受け付けると、図10に示す画像読取制御ルーチンにより、位置情報を読み出すとともにモードを確認し、位置情報とモードとに応じて決まる一方の白基準板を読み取る。
なお、複合機11が電源オンされたときに実施されるキャリッジ53のホームシーク動作の終了時の待機位置を、第1ホーム位置HP1をシークした際は第1白基準読取位置W1とする例を示したが、待機位置を第1ホーム位置HP1としてもよい。また、第2ホーム位置HP2をシークした際は、待機位置を第2白基準読取位置W2とする例を示したが、待機位置を第2ホーム位置HP2としてもよい。
また、FBモードでの読取動作を終了した際の待機位置を、第1白基準読取位置W1に替え、第1ホーム位置HP1としてもよい。また、ADFモードでの読取動作を終了した際の待機位置を、第2白基準読取位置W2に替え、読取位置SC又は第2ホーム位置HP2としてもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ADFモード(第2モードの一例)での読取動作の前に白基準板の読み取りが必要な場合、キャリッジ53がADFモードの待機位置(第2待機位置)にあれば第1白基準板81よりも近い第2白基準板82を読み取る。一方、キャリッジ53がFBモード(第1モードの一例)の待機位置(第1待機位置)にあれば第2白基準板82よりも近い第1白基準板81を読み取る。よって、速やかに白基準板を読み取って、読取動作を早期に開始できる。
(2)最後(前回)のジョブ終了後のキャリッジ53の待機位置を記憶部98に記憶することで、白基準板の読取りが必要なジョブを受け付けた場合、第1白基準板81及び第2白基準板82のうち、そのときのキャリッジ53の位置からキャリッジ53の移動時間が短く済む位置にある一方の白基準板を読取対象として選択する。よって、速やかに白基準板を読み取ることができる。
(3)特に、最後のジョブがADFモードで、新しいジョブがADFモードの場合、FB読取用の大ガラス33a(第1透明部材の一例)とADF読取側の小ガラス39a(第2透明部材の一例)との間をキャリッジ53が通過する必要がないので、速やかに第2白基準板82を読み取ることができる。すなわち、キャリッジ53は、大ガラス33aと小ガラス39aとの間の部分を移動する速度が相対的に遅いが、ADFモードでは第2待機位置から第1白基準板81まで移動することなく第2白基準板82まで移動すればよいので、低速移動域を通過しなくて済む。よって、第2白基準板82の読取を早期に終えてADFモードの読取動作を早期に開始できる。
(4)FBモード及びADFモードでのキャリッジ53の読取動作終了後、キャリッジ53の位置情報が更新されるので、次回の読取り要求を受け付けたときに位置情報を取得すれば、制御部90は、その位置情報103からキャリッジ53の待機位置(現在位置)を知ることができる。
(5)少なくとも電源オン時にキャリッジ53がホームシーク動作を行った後にADFモードで読取動作(例えばジョブ)を行う場合も、第1白基準板81と第2白基準板82のうちホームシーク動作終了後の待機位置からより近くにある一方を読み取るので、速やかに白基準板を読取ることができる。よって、ホームシーク動作終了時の待機位置からADFモードでの読取動作を行う場合、スキャン要求受け付け時から読取動作を開始するまでの待ち時間を比較的短く済ませることができる。
(6)キャリッジ53が第1領域R1と第2領域R2との間を移動する際に、移動補助部85を通過する際の減速過程(低速移動域)があるので、第2領域R2から第1領域R1内の第1白基準読取位置W1への移動時間が、その移動距離の割に相対的に長くかかる。この点、本実施形態では、第1領域R1と第2領域R2とにそれぞれ第1白基準板81と第2白基準板82とを配置した。このため、第2待機位置でADFモードの読取動作を行う場合、第2領域R2内の第2待機位置から第1領域R1内の第1白基準読取位置W1へ減速過程を経て移動する必要がなく、第2待機位置から同じ第2領域R2内の第2白基準読取位置W2へ移動して第2白基準板82を読み取ることができる。よって、この点からも、白基準板を読取る割にADFモードの読取動作を早期に開始できる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態について図12を参照して説明する。
前記第1実施形態では、スキャン要求を受け付けた際にFBモードかADFモードであるかを判断した後、モードに応じた白基準板を読み取る構成であったため、白基準板の読取動作を実施頻度が相対的に高い。これがスキャン要求受け付け時から読取動作開始までの待ち時間が長くなる原因になっていた。これに対して、この第2実施形態では、白基準板の読取りをスキャン要求受け付け前に事前に実施する。
制御部90は、前回の読取動作を終える度に、図12に示す画像読取制御ルーチンを実行する。なお、記憶部98には、前回のモードでの待機位置、つまり現在のキャリッジ53の位置を示す位置情報103が記憶されている。
まず図12におけるステップS41では、キャリッジの位置情報を取得する。すなわち、制御部90は、記憶部98から位置情報103を読み出す。
次に位置情報はADFモードの待機位置であるか否かを判断する(ステップS42)。位置情報がADFモードの待機位置であれば(S42で肯定判定)、キャリッジ53を第2白基準読取位置W2へ移動し(ステップS43)、第2白基準板82を読み取る(ステップS44)。第2白基準板82を読み取って取得した第2白基準データ104を記憶部98の所定記憶領域に書き込む。そして、キャリッジ53をADFモードの読取位置へ移動する(ステップS45)。
そして、スキャン要求の有無を判断する(ステップS46)。スキャン要求がなければ要求があるまで待機し、スキャン要求があると(S46で肯定判定)、スキャン要求がADFモードであるか否かを判断する(ステップS47)。スキャン要求がADFモードであれば(S47で肯定判定)、ADFモードで読取動作を行う(ステップS48)。一方、スキャン要求がADFモードでなければ(つまりFBモードであれば)(S47で否定判定)、キャリッジ53を第1白基準読取位置W1へ移動する(ステップS49)。そして、白基準読取り実施条件が成立するか否かを判断する(ステップS50)。
すなわち、上記(1)〜(6)で規定される白基準読取り実施条件のうち1つでも満たせば、白基準読取り実施条件が成立したと判断する(S50で肯定判定)。白基準読取り実施条件が成立していれば、第1白基準板81を読み取る(ステップS51)。そして、この第1白基準板81の読取りにより取得した第1白基準データを記憶部98に記憶する。
次にFBモードで読取動作を行う(ステップS52)。そして、読取動作を終えてFBモードの待機位置に戻ると、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS59)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてFBモードの待機位置を書き込む。
一方、ステップS42において、位置情報がADFモードの待機位置でなければ(例えばFBモードの待機位置であれば)、第1白基準板の読取りを行う(ステップS53)。そして、スキャン要求の有無を判断する(ステップS54)。スキャン要求がなければその要求があるまで待機し、スキャン要求があると(S54で肯定判定)、そのスキャン要求がFBモードであるか否かを判断する(ステップS55)。スキャン要求がFBモードであれば(S55で肯定判定)、FBモードで読取動作を行う(ステップS56)。一方、スキャン要求がFBモードでなければ(つまりADFモードであれば)(S55で否定判定)、キャリッジ53をADFモードの読取位置SCへ移動させる(ステップS57)。そして、ADFモードで読取動作を行う(ステップS58)。そして、読取動作を終えてADFモードの待機位置に戻ると、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS59)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてADFモードの待機位置を書き込む。
上記の読取動作により読取部52が読み取った読取信号(アナログ信号)は、AFE96でデジタル信号に変換された後、読取データとしてデータ処理部97へ送られる。そして、データ処理部97は、いずれのモードの場合も、記憶部98から読み出した最新の白基準データ104を用いたシェーディング補正を含む種々の画像処理を読取データに施して、画像データ(スキャンデータ)を生成する。
このように第2実施形態の画像読取装置31では、スキャン要求を受け付ける前に、キャリッジ53の位置情報を取得し、キャリッジ53がADFモードの待機位置(例えば読取位置SC)にあれば、第2白基準板82を読み取り、FBモードの待機位置(例えば第1白基準読取位置W1)にあれば、第1白基準板81を読み取る。このため、スキャン要求があれば、一部のケースを除き、白基準板の読取りを行うことなく、速やかに原稿の読取動作を開始できる。
また、第1白基準板81を読み取った場合は、高解像度の白基準データが読み取られるので、その後、ADFモードのスキャン要求を受け付けても、白基準板の読取りを行うことなく、速やかにADFモードで原稿の読取動作を開始できる。第2白基準板82を読み取った場合は、低解像度の白基準データが読み取られるので、その後、ADFモードのスキャン要求を受け付ければ、白基準板の読取りを行うことなく、速やかにADFモードで原稿の読取動作を開始できるが、FBモードのスキャン要求の場合は、第1白基準板81を読み取ってからFBモードでの原稿の読取動作を開始する。
以上、詳述したようにこの第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(7)記憶部98から読み出した位置情報103から特定されるキャリッジ53の待機位置に応じた一方の白基準板をスキャン要求受け付け前に予め読み取っておくことで、前回のジョブと同じADFモード又はFBモードであれば、速やかに原稿の読取動作を開始することができる。
(第3実施形態)
次に第3実施形態について図13及び図14を参照して説明する。
第2実施形態では、前回の読取動作を終えた後、位置情報に基づいてキャリッジ53の待機位置に近い方の白基準板、つまり前回のモードに応じた白基準板を予め読み取ったため、予め読み取った白基準板が次回のモードと対応していないことが一定の頻度で起こり得た。これに対して、この第3実施形態では、第1及び第2センサー43,44の検知結果から原稿台33と載置台36のうち一方に原稿がセットされたことを検知すると、その原稿がセットされた一方から特定されるモードに応じた一方の白基準板をスキャン要求受け付け前に予め読み取る構成としている。
本例では、制御部90は、原稿台カバー34が閉じられたときに検知状態になり、開かれたときに非検知状態になる第1センサー43の出力信号に基づいて、原稿台カバー34が開かれた後に閉じられたことを検知すると、原稿台33に原稿がセットされたと検知する。そして、制御部90は、FBモードで読取動作を終了した後に最初に原稿台カバー34が開閉されたことを検知したときは、原稿台33から原稿が取り出されたものと判断する。つまり、FBモードで読取動作を終了した後に2回目以降の原稿台カバー34の開閉の検知をもって、原稿台に原稿がセットされたことを検知する。また、キャリッジ53を原稿台33の領域に移動させて読取部52により原稿台33の一部の領域を検知して原稿の有無を検知してもよく、この場合、読取部52による原稿の検知をもって原稿台33に原稿がセットされたことを検知する。
また、制御部90は、第1センサー43と第2センサー44の検知順を認識する。そして、制御部90は、第1センサー43と第2センサー44の両方が検知状態にあるときは、第1センサー43及び第2センサー44のうち最後に検知状態になった一方に対応するモードで読取動作を行わせる。ユーザーは、ホスト装置(例えばパーソナルコンピューター)の操作又は操作パネル13の操作でスキャンを指示すると、制御部90はスキャンジョブを受信する。制御部90をスキャンジョブの受信を持ってスキャン要求を受け付け、その受け付けたスキャンジョブを実行する。このスキャン要求の受け付け時に第1及び第2センサー43,44の検知結果に基づいて、原稿台33と載置台36のうち最後に原稿がセットされた一方への原稿のセットを検知したセンサーが第1センサー43であれば、第1モードで読取動作を行う。また、第1及び第2センサー43,44の検知結果に基づいて、原稿台33と載置台36のうち最後に原稿がセットされた一方への原稿のセットを検知したセンサーが第2センサー44であれば、ADFモードで読取動作を行う。
複合機11が電源オンされると、キャリッジ53のホームシーク動作を実行する。このホームシーク動作後、キャリッジ53は、第1ホーム位置HP1又は第2ホーム位置HP2にある。一方、前回、FBモード又はADFモードで読取動作を行った場合は、キャリッジ53は、前回の読取動作終了後の待機位置にある。すなわち、前回の読取動作がFBモードであれば、キャリッジ53は第1待機位置(第1白基準読取位置W1)にあり、一方、前回の読取動作がADFモードであれば、キャリッジ53は読取位置SCにある。記憶部98には、その時のキャリッジ53の位置を示す位置情報103が記憶されている。
以下、図13及び図14を参照して、第3実施形態における画像読取装置31の作用を説明する。制御部90は、電源オン時のホームシーク動作又は前回の読取動作を終えた後、図13及び図14に示す画像読取制御ルーチンを実行する。
まず図13におけるステップS61では、キャリッジの位置情報を取得する。すなわち、制御部90は、記憶部98から位置情報103を読み出す。
次に原稿搬送部35の載置台36又は原稿台33に原稿がセットされたか否かを判断する(ステップS62)。制御部90は、第1及び第2センサー43,44の検知結果から、原稿台33と載置台36とのいずれか一方に原稿がセットされたことを検知する。載置台36に原稿がセットされたと判断すると、次に位置情報がADFモードの待機位置であるか否かを判断する(ステップS63)。位置情報が、ADFモードの待機位置であれば(S63で肯定判定)、キャリッジ53を第2白基準読取位置W2へ移動させ(ステップS64)、第2白基準板82を読み取る(ステップS65)。一方、位置情報がADFモードの待機位置でなければ(S63で否定判定)、第1白基準板81を読み取る(ステップS66)。すなわち、キャリッジ53はFBモードの待機位置(第1白基準読取位置W1)にあるので、その待機位置で第1白基準板81を読み取る。なお、FBモードの待機位置が第1白基準読取位置W1以外の位置(例えば第1ホーム位置HP1)に設定されている場合は、キャリッジ53をその待機位置から第1白基準読取位置W1まで少し移動させてから第1白基準板81を読み取ることになる。
次にキャリッジ53をADFモードの読取位置へ移動させ(ステップS67)、キャリッジ53の位置情報を更新する。すなわち、記憶部98の位置情報103をADFモードの読取位置SCに書き替える。
次に原稿台33に原稿がセットされたか否かを判断する(ステップS69)。原稿台33に原稿がセットされていなければ、スキャン要求の有無を判断する。そして、原稿台33に原稿がセットされるか(S69で肯定判定)、スキャン要求がある(S70で肯定判定)まで両判断処理を繰り返しつつ待機する。そして、スキャン要求があれば、ADFモードで読取動作を行う(ステップS71)。このとき、スキャン要求受け付け前に予め第2白基準板82の読取り(S65)又は第1白基準板81の読取りを終えているので、この読取動作の開始前に第2白基準板82の読取動作は不要である。よって、スキャン要求があれば、速やかにADFモードでの読取動作を開始できる。そして、ADFモードでの読取動作を終えると、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS88)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてADFモードの待機位置を書き込む。
一方、原稿台33に原稿がセットされた場合(S69で肯定判定)は、キャリッジ53を第1白基準読取位置W1へ移動させ(ステップS72)、第1白基準板81の読取りを行う(ステップS73)。この第1白基準板81を読み取って取得した第1白基準データ104を記憶部98の所定記憶領域に書き込む。そして、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS74)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103として第1白基準読取位置W1を書き込む。なお、ステップS66で第1白基準板81の読取りを行っていた場合は、ステップS72〜S74の処理を省略できる。例えば制御部90に、既に読み取った白基準板の種類を特定可能なフラグを用意し、フラグが第2白基準板82を読み取った旨の値であればS72〜S74の処理を実行し、フラグが第1白基準板81を読み取った旨の値であればS72〜S74の処理を省略すればよい。
次にスキャン要求の有無を判断し(ステップS75)、スキャン要求がなければ、スキャン要求を受け付けるまで待機する。そして、スキャン要求があれば、FBモードで読取動作を行う(ステップS76)。この読取動作の前に予め第1白基準板81の読取り(S73)を終えているので、この読取動作の開始前に第1白基準板81の読取動作が不要である。よって、スキャン要求があれば、速やかにFBモードでの読取動作を開始できる。そして、FBモードでの読取動作を終えると、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS88)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてFBモードの待機位置を書き込む。
一方、ステップS62において原稿台33に原稿がセットされた場合は、図14におけるステップS77に移行し、位置情報がFBモードの待機位置であるか否かを判断する。そして、位置情報がFBモードの待機位置であれば(S77で肯定判定)、第1白基準板81を読み取る(ステップS79)。すなわち、FBモードの待機位置が第1白基準読取位置W1である本例では、キャリッジ53はその待機位置で読取部52によって第1白基準板81を読み取る。
一方、位置情報がFBモードの待機位置でなければ(S77で否定判定)、キャリッジ53を第1白基準読取位置W1へ移動させ(ステップS78)、第1白基準板81を読み取る(ステップS79)。次にキャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS80)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103として第1白基準読取位置W1を書き込む。
次に載置台36に原稿がセットされたか否かを判断する(ステップS81)。載置台36に原稿がセットされていなければ、スキャン要求の有無を判断する(ステップS82)。そして、載置台36に原稿がセットされるか(S81で肯定判定)、スキャン要求がある(S82で肯定判定)まで両判断処理を繰り返しつつ待機する。そして、スキャン要求があれば、FBモードで読取動作を行う(ステップS83)。このスキャン要求受け付け前に予め第1白基準板81の読取り(S79)を終えているので、この読取動作の開始前に第1白基準板81の読取動作は不要である。よって、スキャン要求があれば、速やかにFBモードでの読取動作を開始できる。そして、FBモードでの読取動作を終えると、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS88)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてFBモードの待機位置を書き込む。
一方、載置台36に原稿がセットされた場合(S81で肯定判定)は、キャリッジ53をADFモードの読取位置SCへ移動させる(ステップS84)。次にキャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS85)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてADFモードの読取位置SCを書き込む(ステップS85)。
次にスキャン要求の有無を判断し(ステップS86)、スキャン要求がなければ、スキャン要求を受け付けるまで待機する。そして、スキャン要求があれば(S86で肯定判定)、ADFモードで読取動作を行う(ステップS87)。この読取動作の前に予め第1白基準板81の読取り(S79)を終えているので、この読取動作の開始前に白基準板の読取りは不要である。よって、スキャン要求があれば、速やかにADFモードでの読取動作を開始できる。そして、ADFモードでの読取動作を終えると、キャリッジ53の位置情報を更新する(ステップS88)。すなわち、記憶部98にキャリッジ53の位置情報103としてADFモードの待機位置を書き込む。
上記の読取動作により読取部52が読み取った読取信号(アナログ信号)は、AFE96でデジタル信号に変換された後、読取データとしてデータ処理部97へ送られる。そして、データ処理部97は、いずれのモードの場合も、記憶部98から読み出した最新の白基準データ104を用いたシェーディング補正を含む種々の画像処理を読取データに施して、画像データ(スキャンデータ)を生成する。
以上、詳述したようにこの第3実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(8)原稿台33又は載置台36に原稿がセットされたことを第1センサー43又は第2センサー44により検知されると、読取要求の受付け前(例えばジョブ受信前)でも白基準体を読み取るので、読取要求の受信後(ジョブ受信後)、速やかに原稿の読取動作を開始できる。原稿がセットされた検知情報に基づき、速やかに白基準板の読取りを実行するので、スキャン要求時から原稿の読取動作開始までの待ち時間を短くでき、スループットを短縮できる。位置情報は、ジョブの受付け前に更新されるので、その後、スキャン要求されず、白基準板の再度の読取りが必要になっても、そのときの位置情報から複数の白基準板81,82のうち適切な一方の読取りを行うことができる。
(9)原稿台33と載置台36との両方に原稿がセットされた場合、最後にセットされた原稿を優先して読み取る。このため、ユーザーが原稿台33の原稿を取り忘れたり、載置台36にセットしたものの、スキャンを優先するべき原稿があって原稿台33にその原稿をセットしたりした場合に、その優先するべき後からセットされた原稿のスキャンを優先して行うことができる。例えばFBモードで読み取りが終わった原稿を原稿台33から取り忘れた状態で、その後、載置台36に原稿D2をセットして両センサー43,44の検知結果から原稿台33と載置台36の両方に原稿がセットされていると検知されても、後から載置台36にセットされた原稿の読み取りが開始される。このため、ユーザーが意図する原稿の読み取りを行うことができる。
(10)後でセットされた原稿が原稿搬送部35の載置台36の場合、既に第1白基準板81の読取りが終わっているため、新たに白基準板の読取りを行わずに、原稿の読取りを待つ待機状態となる。このため、スキャン要求受け付け時に直ちに原稿の読取動作を開始でき、スループットが短縮される。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・前記第2実施形態と第3実施形態の両方の制御を実施してもよい。すなわち、予めキャリッジの位置情報に応じた一方の白基準板を読取り、その後、第1センサー43と第2センサー44のうち一方が検知状態になると、その検知状態になったセンサーに応じたモードに対応する白基準板の読取りが終わっているか否かを判断する。白基準板の読取りが終わっていればそのまま待機し、白基準板の読取りが終わっていなければ、検知状態になったセンサーに応じたモードに対応する白基準板の読取りを開始する。この構成によっても、スキャン要求受け付け後に白基準板の読取り頻度を低減でき、速やかに原稿の読取動作を開始できる頻度を高めることができる。
・第1白基準板と第2白基準板の読取解像度を同じにしてもよい。例えば第1白基準板と第2白基準板とを共に高解像度で読み取ってもよい。また、前記各実施形態において、第1白基準板の読取解像度をモードに応じて切り替えてもよい。例えば第1白基準板の読取解像度をADFモード(第2モードの一例)のときに低解像度で読み取り、FBモード(第1モードの一例)のときに高解像度で読み取る。
・前記各実施形態において、第1モードの待機位置(第1待機位置)にあった場合も、キャリッジ53を第2白基準読取位置W2へ移動させて第2白基準板82を読み取る構成としてもよい。
・第2及び第3実施形態において、そのときの待機位置に応じた白基準読取位置で白基準板を読み取った後、スキャン要求がないまま設定時間を経過して白基準読取り実施条件が成立する場合がありうる。そこで、最初又は直前の白基準板の読取り(S44,S53,S65,S73,S79)を行った後、白基準読取り実施条件の成立/不成立を監視し、スキャン要求受け付け前に、設定時間を経過するなどの理由で、白基準読取り実施条件が成立すれば、白基準板の再読取りを行うようにすることもできる。この場合、例えば省電モードに移行するまでは、白基準読取り実施条件の成立/不成立の監視を継続することが好ましい。この構成によれば、スキャン要求受け付け前に行った白基準板の読取り時期から実際にスキャン要求を受け付けるまでに時間を要した場合でも、白基準読取り実施条件に適合した白基準データを用いて読取データにシェーディング補正を施すことができる。
・前記各実施形態において、第2待機位置からのキャリッジ53の移動時間(特に移動距離)が、第1白基準読取位置W1まで移動する場合よりも短く済む第2白基準読取位置W2に設定される限りにおいて、第2白基準読取位置W2を、読取窓39に対して第1白基準読取位置W1と同じ側に位置設定してもよい。この場合、移動補助部85を有する構成では、第2白基準読取位置W2(第2白基準板82)を移動補助部85よりも第2待機位置側の位置に設定することが望ましい。
・前記各実施形態において、移動補助部85は無くてもよい。例えば原稿台33と読取窓39を共通の1枚の透明板(例えばガラス板)で構成してもよい。この構成によれば、移動補助部が無くてもガラス板の端部での読取部52の引っ掛かりの心配がないうえ、キャリッジ53を第1領域R1と第2領域R2との間の移動過程で減速過程(低速移動域)を設けなくて済むので、前回と今回でモードが切り替わっても比較的早期に今回の読取動作を開始できる。
・原稿搬送部の載置台側と原稿台側との両方に原稿を置いてしまい、第1センサー43と第2センサー44が共にオン(検知状態)になった場合、検知順に関係なく原稿搬送部35の載置台36に載置された原稿を読み取るADFモード(第2モード)で読取動作を行ってもよい。
・第1白基準板を高解像度用、第2白基準板を低解像度用としたが、どちらも同じ解像度で読み取ってもよい。例えば第1及び第2白基準板を共に高解像度で読み取ったり、共に低解像度で読み取ったりしてもよい。
・2つのモードを備えたが、3つ以上の複数のモードを備えてもよい。この場合、モードごとに白基準板を設けてもよい。また、複数のモードのうち少なくとも2つのモードにおいて白基準板を共通にしてもよい。要するに原稿台の原稿を読み取るFBモード(第1モード)と原稿搬送部の載置台にセットされた原稿を読み取るADFモード(第2モード)の2つのモードを含んでいればよい。
・前記各実施形態において、第2ホーム位置HP2と読取位置SCとを同じ位置に設定してもよい。また、第1ホーム位置HP1と第1白基準読取位置W1とを同じ位置に設定してもよい。さらに第2ホーム位置HP2と第2白基準読取位置W2とを同じ位置に設定してもよい。
・前記各実施形態では、第1モードでの読取動作終了後にキャリッジ53をそのときのモードに応じた第1白基準読取位置W1に復帰させたが、第1ホーム位置HP1に復帰させてもよい。第1ホーム位置HP1に復帰させても第1白基準読取位置W1までの移動距離は短いので、ほぼ同様の効果を得ることができる。また、第2モードでの読取動作終了後にキャリッジ53をそのときのモードに応じた第2白基準読取位置W2に復帰させたが、第2ホーム位置HP2に復帰させてもよい。第2ホーム位置HP2に復帰させても第2白基準読取位置W2までの移動距離は短いので、ほぼ同様の効果を得ることができる。
・白基準データの記憶容量を、第1白基準データと第2白基準データとを記憶できるだけ確保してもよい。この場合、今回のジョブが前回のジョブと異なっても、今回のジョブと同じモードで読み取った設定時間を経過していない白基準データが記憶部98にある場合は、白基準板の読取りを省略してもよい。また、以前に切換え後と同じ条件(モノクロ又はカラー)で読み取った白基準データが記憶部にある場合は、白基準板の読取は省略可能である。
・第1白基準体が第1待機位置に対して第2白基準体よりも近い位置に配置されておらず、又は第2白基準体が第2待機位置に対して第1白基準体よりも近い位置に配置されていない構成でもよい。要するにキャリッジ53が白基準体の読取位置まで移動するのに要する移動時間が短く済めばよい。すなわち、第1白基準体が第1待機位置からの移動時間が第2白基準体よりも短く済む位置に配置され、第2白基準体が第2待機位置からの移動時間が第1白基準体よりも短く済む位置に配置されていれば足りる。例えば、第1実施形態において、第2待機位置から第2白基準読取位置W2までの距離が、第2待機位置から第1白基準読取位置W1までの距離と同じかこの距離よりも長くても、第2待機位置から第2白基準板82までの移動時間が、第2待機位置から第1白基準読取位置W1までの低速移動域を伴う移動に要する移動時間よりも短ければよい。
・モードの変更が設定されたジョブの受け付けを、白基準読取り実施条件から除外してもよい。この場合、モードの変更が設定されたジョブを受け付けても、白基準板の読取りを行わない。但し、第2モード(ADFモード)から第1モード(FBモード)に変更する場合は、読取部52が第1白基準読取位置W1を通過するので、第1白基準板81を読み取ってもよい。
・第3実施形態において、原稿台33と載置台36との両方に原稿がセットされたことを検知した場合、ADFモードを優先してもよい。つまり、確実に原稿がセットされたことが分かる方を優先することが好ましい。
・第2及び第3実施形態において、キャリッジ53を白基準板読取位置W1,W2まで移動させておくだけでもよい。この場合、スキャン要求があったら、キャリッジ53を移動させることなくその位置で白基準板の読取りを行う構成とする。この構成でも、スキャン要求受け付け時から読取動作開始までのスループットを短縮できる。
・ジョブを受け付ける度に、毎回、白基準板の読み取りを行ってもよい。
・第2及び第3実施形態において、スキャン要求前に予め実施する白基準板の読取りは、制御部90が白基準読取り実施条件の成立の有無を確認し、成立している場合に限り実施してもよい。
・第2及び第3実施形態において、スキャン要求前に予め実施する白基準板の読取り後、定期的又は不定期に白基準読取り実施条件の成立の有無を確認し、白基準読取り実施条件が成立すれば、その都度、白基準板を再読取りする構成としてもよい。
・前記各実施形態では、第1センサーの一例として、原稿台33にセットされた原稿を直接検知するセンサーを用いてもよい。例えば読取部52(イメージセンサー)以外のセンサーを設け、原稿台33上の原稿の有無を検知し、原稿有りを検知したことをもって、原稿が原稿台33にセットされたことを検知する構成でもよい。
・画像読取装置31の制御部90内に構築される各機能部は、プログラムを実行するコンピューターによりソフトウェアで実現されたり、ASIC等の電子回路によりハードウェアで実現されたり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されたりしてもよい。
・画像読取装置は、複合機の一部である構成に限定されない。画像読取装置は、原稿搬送部(ADF装置)を備えたスキャナー装置であってもよい。