以下、本発明の実施形態を図1〜図12を用いて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略)
まず、図1を用いて、実施形態に係る画像読取装置100を含む電子写真方式の複合機200(画像形成装置に相当)の概略を説明する。図1は、複合機200の概略構成を示す図である。
本実施形態の複合機200の上方には、画像読取部1と原稿搬送部2を含む画像読取装置100が配される。画像読取装置100の詳細は後述する。尚、原稿dを抑えるカバー部として、原稿搬送部2を例に挙げて説明するが、原稿搬送部2に替えて、原稿搬送機能を有しない板状の原稿押さえ板をカバー部として用いてもよい。
又、図1に破線で示すように、画像読取部1の正面側に操作パネル3が設けられる。操作パネル3は、複合機200の設定用のキーや複合機200の状態を表示し、使用者の入力を受け付けるタッチパネル式の表示部30(例えば、液晶表示パネル)を有する。また、操作パネル3は、数字入力用のテンキー部31やジョブ実行の開始指示を受け付けるスタートキー32などのハードキーも含む。
又、本実施形態の複合機200は、本体内部に、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部5a、中間転写部5b、定着部5c等を備える。複合機200本体には、複数の給紙部4aが設けられる。各給紙部4aは、A4やレターサイズのような各サイズの印刷に用いる用紙を複数枚収容する。各給紙部4aは、回転駆動する給紙ローラー41を備える。印刷時、何れかの給紙ローラー41は、回転して1枚ずつ搬送部4bに用紙を送る。
搬送部4bは、装置内で用紙を搬送する通路である。そして、搬送部4bは、用紙の案内のためのガイド板や、回転駆動して用紙を搬送する搬送ローラー対42(図1おいて、上方から42a、42b、42cの計3つ)や、形成されたトナー像の転写タイミングに合わせ用紙を2次転写ローラー56に送り出すレジストローラー対43を含む。又、定着完了後の用紙を排出トレイ44に排出する排出ローラー対45も設けられる。
画像形成部5aは、複数の画像形成ユニット50(ブラック用の50Bk、イエロー用の50Y、シアン用の50C、マゼンタ用の50M)と露光装置51を含む。各画像形成ユニット50は、回転駆動可能に支持された感光体ドラムや、感光体ドラムの周囲に配設された帯電装置、現像装置、清掃装置を含む。露光装置51は、画像読取部1で読み取られた画像データ等に基づき、レーザ光を点消灯しつつ出力し、各感光体ドラムを走査露光する。各画像形成ユニット50と露光装置51によって、感光体ドラムの周面上にトナー像が形成される。
中間転写部5bは、各画像形成ユニット50からトナー像の1次転写を受け、用紙に2次転写を行う。中間転写部5bは、各1次転写ローラー52Bk、52Y、52C、52M、無端状の中間転写ベルト53、駆動ローラー54、複数の従動ローラー55、2次転写ローラー56、ベルト清掃装置57を含む。各1次転写ローラー52Bk〜52Mは、対応する感光体ドラムと中間転写ベルト53を挟み込む。各1次転写ローラー52Bk〜52Mには、転写用電圧が印加される。
中間転写ベルト53は、駆動ローラー54等に張架され、駆動ローラー54の回転駆動により周回する。又、駆動ローラー54は、2次転写ローラー56とで中間転写ベルト53を挟み込む。各画像形成ユニット50で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は、順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト53に1次転写された後、所定の電圧を印加された2次転写ローラー56により、用紙に転写される。
定着部5cは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。定着部5cは、発熱体を内蔵する加熱ローラー58や、これに圧接する加圧ローラー59を含む。加熱ローラー58と加圧ローラー59のニップを通過すると、用紙に転写されたトナー像が、溶融・加熱される。その結果、トナー像が用紙に定着する。定着部5cを経た用紙は、排出トレイ44に排出される。
(画像読取装置100の構成)
次に、図2を用いて、実施形態に係る画像読取装置100の一例を説明する。図2は、画像読取装置100を示す図である。
画像読取装置100は、画像データを生成する画像読取部1を含む。又、画像読取装置100は、画像読取部1の上方に設けられた原稿搬送部2(カバー部に相当)を含む。原稿搬送部2は、回転軸2a(図3参照)により画像読取部1の載置読取用コンタクトガラス12に対し、手前側を振るように上下方向に開閉可能である。
原稿搬送部2は、読み取りを行う原稿dを1枚ずつ、自動的に連続して読み取り位置(後述の搬送読取用コンタクトガラス11)に搬送する。具体的に、読み取りを行う原稿dは、原稿トレイ21に載置される。読み取り時、原稿供給ローラー22により、原稿dが原稿トレイ21から1枚ずつ送り出される。送り出された原稿dは、複数設けられた搬送用ローラーやガイドに導かれ、画像読取部1上面に設けられた搬送読取用コンタクトガラス11の上面を通過する。この通過の際、画像読取部1が読取を行う(原稿搬送経路を2点鎖線で図示)。
次に、本実施形態における画像読取部1を説明する。画像読取部1は、上面に向け光を照射し、反射光に基づきイメージセンサー68により原稿dを読み取り、画像データを生成する。
画像読取部1の上面左側に、図2の紙面に垂直な方向でのび、透明板状の搬送読取用コンタクトガラス11が配される。又、画像読取部1の上面で右側に、紙面に垂直な方向でのび、透明板状の載置読取用コンタクトガラス12が配される。載置読取用コンタクトガラス12は、画像読取部1の上面に設けられる。書籍等の原稿dを1枚ずつ読み取る場合、原稿搬送部2を持ち上げ、読取面を下向きにして、原稿dが載置される。
又、図2に示すように、画像読取部1の筐体内に、各コンタクトガラスや原稿dを読み取るための読取機構6として、第1移動枠61、第2移動枠62、ワイヤー63、巻取ドラム64、巻取モーター65(図7参照)、レンズ66と、主走査方向で原稿dに光を照射するランプ67(例えば、LEDや冷陰極管など)と、原稿dに照射された光が入射され、1ライン毎に原稿dを読み取り、画像データを生成するためのイメージセンサー68が設けられる。イメージセンサー68は、原稿dの反射光を元に、1ライン毎に原稿dを読み取る。言い換えると、画像読取部1は、読取機構を含む。
第1移動枠61は、上方に光を照射するランプ67と第1ミラー611を支持する。第2移動枠62は、第2ミラー622と第3ミラー623を支持する。又、第1移動枠61は第2移動枠62の上方に配される。又、ランプ67と各ミラーは、図2の紙面垂直方向に延びる形状である。
この第1移動枠61及び第2移動枠62には、複数本のワイヤー63が取り付けられる(図2では、便宜上1本のみ図示)。ワイヤー63の他端は、巻取ドラム64に接続され、巻取モーター65(図8参照)を駆動源として、巻取ドラム64が正逆回転する。これにより、第1移動枠61と第2移動枠62は水平方向に自在に移動する。
ランプ67から搬送読取用コンタクトガラス11や載置読取用コンタクトガラス12の上方に向けて光が照射される。原稿dや原稿搬送部2の下面2eの反射光を、第1ミラー611、第2ミラー622、第3ミラー623で反射させて、レンズ66に導く。レンズ66は、反射光を集光し、イメージセンサー68に入射する。
イメージセンサー68は、例えば、複数の受光素子(光電変換素子)をR、G、Bの3つのライン状に並べたCCD(Charge Coupled Device)方式のラインセンサーである。そして、イメージセンサー68は、反射光を画像濃度(反射光の強度)に応じたアナログの電気信号に変換する。
ここで、具体的な原稿読取動作の一例を説明しておく。まず、原稿搬送部2により搬送される原稿dの読取の場合、巻取モーター65が駆動した後、第1移動枠61は、搬送読取用コンタクトガラス11の下方位置(読み取り位置)に固定される。そして、通過する原稿dに対し、ランプ67は光を照射する。一方、載置読取用コンタクトガラス12上に載置された原稿dを読み取るとき、第1移動枠61及び第2移動枠62を巻取ドラム64やワイヤー63等により、ホームポジションから図2の右方向に水平に移動させる。
そして、この原稿dの主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向)に対するライン単位で読取が行われ、ライン単位の読取が副走査方向(原稿搬送方向)に連続して繰り返し行われることで、原稿画像が電気信号に変換され、1枚の原稿dが読み取られる。載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dの読み取りの場合、ライン単位の読取動作(ランプ67の照射位置の移動)を、載置読取用コンタクトガラス12の左側端部から原稿d端部まで、順次連続的に行うことで、1枚の原稿全体が読み取られる。
(原稿搬送部2の開閉と開閉検知)
次に、図3乃至図5に基づき、カバー部としての原稿搬送部2の開閉とその開閉検知を説明する。図3は、原稿搬送部2を開けた状態を示す図である。尚、図3では画像読取装置100以外の図示は省略している。又、図4は、原稿搬送部2を開けた状態を示す図である。図5は、原稿搬送部2を閉じている途中の状態を示す図である。
原稿搬送部2は、画像読取部1の本体背面側の辺に沿って設けられた2箇所の回転軸2aを中心として、支持部材2bに回動自在に取り付けられる。これにより、原稿搬送部2は、画像読取装置100の正面側を自由端として、正面側の上下を振るようにして回転(回動)し、画像読取部1の上面に対して開、閉両様の姿勢をとり得る。
原稿搬送部2を閉じたときに搬送読取用コンタクトガラス11に対向する原稿搬送部2の下面2eには、白色ガイド板2cが設けられる。白色ガイド板2cは、搬送読取用コンタクトガラス11をカバーする位置及び大きさである。原稿搬送部2を閉じた時、白色ガイド板2cと搬送読取用コンタクトガラス11の間には、隙間が形成され、搬送される原稿dが通過する経路となる。
又、原稿搬送部2を閉じた時、原稿搬送部2の下面2eであって、載置読取用コンタクトガラス12に対向する面の位置には、白色マット2dが設けられる。白色マット2dは、載置読取用コンタクトガラス12をカバーする位置及び大きさである。言い換えると、原稿搬送部2を完全に閉じたとき、白色マット2dは、載置読取用コンタクトガラス12を上方から覆う。そして、原稿搬送部2を閉じた時、白色マット2dは、原稿dや載置読取用コンタクトガラス12を抑え、原稿dを移動しないように保持する。
又、図3乃至図5に示すように、画像読取部1には、原稿搬送部2の2箇所の回転軸2aの間に、開閉検知部7が設けられる。開閉検知部7は、当接部71、透過型光センサー72、当接部71を上方に付勢するばね73などを含む。
本実施形態の当接部71は、樹脂製(プラスチック製)である。そして、図4、図5に示すように、当接部71は、上下方向に延びる棒状の部材である。当接部71は、原稿搬送部2が開けられている度合いに応じて、上下方向にスライドする(移動する)。具体的に、原稿搬送部2が開けられるに従い、ばね73に付勢されることにより、当接部71を上方に移動し、画像読取部1の上面から突出する。一方、原稿搬送部2が閉じられる途中で、当接部71の上端部71uは、原稿搬送部2の下面2eに接触する。そして、原稿搬送部2が倒されるほど、当接部71は下方に押し込まれる。
又、当接部71の下端部に、センサー干渉部71bが設けられる。透過型光センサー72は、当接部71(の下端部のセンサー干渉部71b)が予め定められた位置、及び、予め定められた位置よりも下方に到達したことを検知するために利用される。言い換えると、開閉検知部7の透過型光センサー72は、原稿搬送部2が予め定められた角度よりも閉じられたことを検知する。透過型光センサー72は、下降時の当接部71(センサー干渉部71b)の近傍に備えられる。透過型光センサー72は、当接部71(センサー干渉部71b)を挟むように設けられた発光部と受光部(図示せず)を備える。
尚、ばね73は、当接部71(下端部)の下方に設けられる。ばね73は、例えば、コイルばねである。又、ばね73は、原稿搬送部2の開状態で、当接部71が画像読取部1の上面から完全に飛び出さず、センサー干渉部71bが透過型光センサー72の光路の上方にくる(光路を遮らない)程度に、当接部71を上方に付勢する。
原稿搬送部2が閉じられる途中で、原稿搬送部2の下面2eと当接部71が接し、当接部71が押し込まれ、当接部71(センサー干渉部71b)が下降し始めると、センサー干渉部71bは、透過型光センサー72の発光部と受光部との間の光路を遮り始める。又、センサー干渉部71b(当接部71)の予め定められた位置は、発光部からの光がセンサー干渉部71bに遮られることにより、受光部の出力値が基準値以下となる位置とされる。当接部71(センサー干渉部71b)の位置が予め定められた位置や予め定められた位置よりも下方となる位置まで原稿搬送部2が倒されている(閉じられている)間、センサー干渉部71bは、透過型光センサー72の発光部と受光部との間の光路を遮り続ける。
又、原稿搬送部2が開けられる動作のときには、原稿搬送部2が開けられるに伴い、当接部71がばね73に付勢されて上方に突出することにより、当接部71(センサー干渉部71b)の位置が予め定められた位置よりも上方に移動するほど原稿搬送部2が持ち上げられたことを検知することができる。
そして、本実施形態の複合機200では、当接部71(センサー干渉部71b)の位置が予め定められた位置まで原稿搬送部2が閉じられた(受光部の出力値が基準値以下となった)旨の開閉検知部7からの出力信号が、トリガーとなって、原稿サイズ検知のためのプレスキャンが行われる。言い換えると、開けられていた原稿搬送部2を閉じる途中で、当接部71の下端部の位置が予め定められた位置に到るまで当接部71が押し込まれたとき(当接部71の押し込み量が所定量を超えたとき)、原稿サイズ検知のための載置読取用コンタクトガラス12の読み取りが実行される。
(複合機200のハードウェア構成)
次に、図6に基づき実施形態に係る複合機200のハードウェア構成の一例を説明する。図6は、複合機200の構成を示すブロック図である。
複合機200の全体的な制御を行う主制御部8が設けられる。主制御部8には、中央演算処理装置として、CPU81が設けられる。又、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)やHDD(Hard disk drive)やフラッシュROM等の不揮発性と揮発性のメモリからなる記憶部82が、主制御部8内(主制御部8外でもよい)に設けられる。
記憶部82は、複合機200を制御するためのプログラム、データ等を記憶する。主制御部8は、記憶部82のプログラムやデータを利用して、各部を制御し、印刷を行わせる。尚、主制御部8は、全体制御や通信制御や画像処理を行うメイン制御部や、画像形成や各種回転体を回転させるモーター等のON/OFF等を行い、印刷を制御するエンジン制御部等、機能ごとに分割して複数種設けられてもよい。又、主制御部8には、画像読取装置100内に設けられる第1画像処理部9(詳細は後述)が処理した画像データに基づき、印刷や送信のための画像処理を行う第2画像処理部83が設けられる。
そして、主制御部8は、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部5a、中間転写部5b、定着部5c、操作パネル3等と接続される。主制御部8は、用紙搬送やトナー像形成等、各部の動作制御を行う。又、操作パネル3での使用者の設定入力内容やジョブの実行指示は、主制御部8に伝達される。又、主制御部8は、画像読取装置100とも接続され、画像読取装置100に対して動作指示を与える。そして、主制御部8は、原稿dの画像データを受け取り、画像データに基づき印刷を行わせる(コピー機能)。又、主制御部8は、原稿dの画像データを通信部84から外部のコンピューター300に送信することや、コンピューター300から受信したデータに基づき印刷を行わせることができる(送信機能、プリンター機能)。
(画像読取装置100のハードウェア構成)
次に、図7に基づき、実施形態に係る画像読取装置100のハードウェア構成の一例を説明する。図7は、画像読取装置100の構成を示すブロック図である。
本実施形態の画像読取装置100は、原稿搬送部2と画像読取部1を含む。原稿搬送部2には、原稿搬送部2の動作の制御を行う原稿搬送制御部20が設けられる。又、画像読取部1には、画像読取部1の動作の制御を行う読取制御部10(検知処理部に相当)が設けられる。
まず、原稿搬送制御部20を説明する。原稿搬送制御部20は、主制御部8や読取制御部10と通信可能に接続される。原稿搬送制御部20は、主制御部8や読取制御部10からの指示、信号を受け原稿搬送部2の動作制御を行う。原稿搬送制御部20は、CPUのような演算処理回路や、制御用のプログラムやデータを記憶する記憶装置としてのROMやRAMを含む基板である。
原稿搬送制御部20は、主制御部8や読取制御部10と通信を行い、主制御部8や読取制御部10の指示を受け、原稿搬送部2の動作制御を行う。主制御部8から原稿dの読取指示があった場合、原稿dが原稿トレイ21に載置されていると、原稿搬送モーター23を駆動させ、原稿dを搬送する回転体(例えば、原稿供給ローラー22)を回転させる。尚、原稿トレイ21に原稿dが載置されているか否かを検知するために、原稿トレイセンサー24が原稿トレイ21に設けられる。
原稿トレイセンサー24は、原稿dが原稿トレイ21に載置されているときと載置されていないときで出力が異なるセンサー(例えば、光センサー)である。原稿トレイセンサー24の出力に基づき、原稿搬送制御部20や読取制御部10は、原稿トレイ21に原稿dが載置されているか否か、搬送される原稿dを読み取るか載置読取用コンタクトガラス12上を読み取るかを判断する。
次に、画像読取部1と読取制御部10を説明する。読取制御部10は、主制御部8や原稿搬送制御部20と通信可能に接続される。そして、読取制御部10は、主制御部8からの指示、信号を受け、画像読取部1の動作制御を行う。読取制御部10も、CPUのような演算処理回路を含む制御回路101や、画像読取装置100の制御に必要なプログラム、データを記憶する記憶装置としてのROM、RAMを含むメモリー102が設けられた基板である。
そして、コピーのような原稿読み取りを行うジョブの設定後、操作パネル3のスタートキー32が押されたとき、読取制御部10は、主制御部8から原稿読み取りの実行指示を受け、画像読取装置100の原稿読み取りの動作制御や、読取で得られた画像データの主制御部8への送信制御を行う。
具体的に、読取制御部10には、巻取モーター65が接続される。読取制御部10は、巻取モーター65の回転を制御する。そして、読取制御部10は、巻取ドラム64を回転させ、各移動枠の移動を制御する。搬送読取用コンタクトガラス11を通過する原稿dの読み取りを行うとき、読取制御部10は、巻取モーター65を回転させ、各移動枠を搬送読取用コンタクトガラス11の下方に移動させる。又、載置読取用コンタクトガラス12上の原稿読取を行うとき、読取制御部10は、巻取モーター65を回転させ、基準点Pから副走査方向(画像読取装置100の右方向)に各移動枠を移動させる。
又、読取制御部10は、開閉検知部7と接続される。そして、読取制御部10には、開閉検知部7(の受光部)の出力値(出力電圧又は出力電流)が入力される。開閉検知部7の出力に基づき、読取制御部10は、当接部71(センサー干渉部71b)の位置が予め定められた位置に到るほど当接部71が押し込められた(原稿搬送部2が倒された)ことや、当接部71(センサー干渉部71b)が予め定められた位置よりも上方となるほど原稿搬送部2が持ち上げられたこと認識する。
又、読取制御部10は、各原稿検知センサー14と接続される(図8参照)。そして、読取制御部10は、各原稿検知センサー14の出力に基づき、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dの副走査方向での長さを検知する。
又、読取制御部10は、ランプ67やイメージセンサー68や第1画像処理部9などと接続され、原稿dの読み取りを行うべき旨の指示、言い換えると、駆動すべき旨の指示を与える。
まず、ランプ67は、redやgreenやblueのLEDを含むLEDランプである。読取制御部10は、読み取りを行うとき(ラインセンサーに読み取りを行わせるとき)ランプ67を点灯させる。又、読取制御部10は、読み取りが終了すると、ランプ67を消灯させる。
イメージセンサー68は、原稿dに照射された光を受け、各画素についてR、G、Bの3種のアナログの電気信号を出力する。電気信号の大きさは、受光量に応じ異なる。読取制御部10は、イメージセンサー68の駆動を制御する。
第1画像処理部9は、イメージセンサー68の各画素から出力される電気信号を処理して、画像データを生成する部分である。読取制御部10は、読み取りを行うとき、第1画像処理部9を動作させる。
第1画像処理部9は、ワークメモリー91やA/D変換部92や補正処理部93などの回路を含む。ワークメモリー91は、画像データの処理のための作業領域である。A/D変換部92は、イメージセンサー68によって得られた各画素のアナログの電気信号の量子化を行い、ディジタル信号に変換する。例えば、A/D変換部92は、R、G、Bについてそれぞれ8〜10ビット(計24〜30ビット)に量子化を行う。補正処理部93は、画像データに対し、ガンマ補正やシェーディング補正等、ランプ67やイメージセンサー68等の特性に由来する歪みを補正する。
そして、第1画像処理部9によって処理された画像データは、画像メモリー94に蓄えられた後、主制御部8に転送される。更に、第2画像処理部83が画像処理を施した後、例えば、画像データが露光装置51に与えられる。
尚、本実施形態では、第1画像処理部9を画像読取部1に、第2画像処理部83を主制御部8に設ける例を説明するが、例えば、画像処理部を1つだけ設け、1つだけ設けた画像処理部に、本説明での第1画像処理部9の処理と第2画像処理部83の処理を行わせるようにしてもよい。言い換えると、画像処理部を1つだけ設けるようにしてもよい。
(原稿サイズ検知の概要)
次に、図7、図8に基づき、実施形態に係る画像読取装置100での原稿サイズ検知の概要を説明する。図8は、画像読取部1を上方からみた状態を示す図である。
使用者は、読み取る面を下向きにし、載置読取用コンタクトガラス12に原稿dを載置する。本実施形態の複合機200では、複合機200を上方からみて、載置読取用コンタクトガラス12の左上隅が基準点Pである。使用者は、この基準点Pに原稿dの左上隅をあわせ原稿dを載置する。
そして、本実施形態の複合機200では、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dの主走査方向の長さは、原稿dの左端の一部を読み取ることで検知される。
具体的に、当接部71(センサー干渉部71b)の位置が予め定められた位置に到るほど原稿搬送部2が閉じられた(受光部の出力値が基準値以下となった)旨の開閉検知部7からの出力信号が読取制御部10に入力されると、読取制御部10は、その信号をトリガーとして、原稿サイズ検知のための読み取りを読取機構6に行わせる。言い換えると、読取制御部10は、原稿搬送部2が完全に閉じられる前に、載置読取用コンタクトガラス12を読み取らせる。
ここで、読取制御部10内に、原稿dの主走査方向のサイズ検知のため、境界検知部103が設けられる。境界検知部103は、主走査方向での原稿サイズの検知処理を行うための回路である。尚、境界検知部103は、読取制御部10の制御回路101やプログラムによりソフトウェア的に実現されてもよいし、第1画像処理部9内に設けられてもよい。
境界検知部103は、原稿サイズ検知のために載置読取用コンタクトガラス12の左端部分を読み取ることで得られた画像データ(以下、「検知読取画像データ」と称する)に含まれる各画素の画素値と、予め定められた閾値t1を比較して、1ラインの検知読取画像データのうち、原稿dがある部分を読み取った画素部分と原稿dの無い部分を読み取った画素部分の境界位置を検知する。尚、現在の閾値t1は、メモリー102などの記憶装置にデータとして不揮発的に記憶されている。
具体的に、境界検知部103は、検知読取画像データとして得られたR、G、Bの画像データから白黒合成した1ライン分の画像データ(R、G、Bの画像データから作成した輝度情報を示すデータ)に対し境界検知処理を行う。尚、境界検知部103は、R、G、Bのうち何れかの色の1ライン分の画像データに対し境界検知処理を行ってもよい。又、境界検知部103は、白黒合成され、更にエッジ処理を施した1ライン分の画像データに対し境界検知を行ってもよい。そのため、読取制御部10又は第1画像処理部9には、R、G、Bの各色の画像データから白黒の画像データを生成する合成処理部104や、白黒合成された画像データに対し、微分フィルタ処理を施すエッジ処理部105が設けられてもよい。
そして、境界検知部103は、検知読取データのうち、原稿dがある部分を読み取ったことにより閾値t1よりもよりも明るい画素値の画素の領域(載置された原稿dを読み取った範囲)と、原稿dがない部分を読み取ったことにより閾値t1よりも暗い画素値の画素の領域(原稿dがない部分の載置読取用コンタクトガラス12を読み取った範囲)との境界位置を認識する。これは、原稿搬送部2が閉じきっていない状態での読み取りでは、原稿dが存在しない部分の光は反射されず外部に漏れ出す。これにより、原稿dが存在しない部分の画素は、原稿dが存在する部分の画素よりも暗い画素値となる。
そして、読取制御部10(制御回路101)は、検知した境界位置に基づき、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dの主走査方向のサイズ(幅)を求める。具体的に、本実施形態では、読取制御部10は、基準点Pの位置に対応する画素から境界位置までの画素数をカウントする。そして、1画素あたりの主走査方向での読取幅は読取解像度上、決まっている(解像度が600dpiならば、1画素あたり、25.4[mm]÷600≒42.3[μm])。
そこで、読取制御部10は、基準点Pの位置に対応する画素から境界位置までの画素数に、1画素あたりの主走査方向での読取幅を乗ずることで、原稿dの主走査方向のサイズを求める。あるいは、メモリー102に基準点Pの位置に対応する画素から境界位置までの画素数に対して、原稿dのサイズを定義したデータを格納しておき、読取制御部10は、データを参照して、原稿dの主走査方向のサイズを求めるようにしてもよい。
尚、本実施形態では、読取制御部10が載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dの主走査方向のサイズを検知する例を説明するが、境界検知部103や閾値t1を示すデータを第1画像処理部9に持たせることにより、第1画像処理部9が原稿dの主走査方向のサイズを検知するようにしてもよい。
又、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dの副走査方向(主走査方向と垂直な方向)の長さは、載置読取用コンタクトガラス12の背面側の辺に沿って設けられた複数個の原稿検知センサー14を用いて検知される(図8参照)。原稿検知センサー14は、反射型光センサーである。各原稿検知センサー14の出力は、後述の読取制御部10に入力される。そして、読取制御部10は、原稿dの副走査方向の長さが基準点Pから原稿dの存在を検知する原稿検知センサー14までの長さと、基準点Pから原稿dの存在を検知しない原稿検知センサー14までの長さの範囲に収まると判断する。
(原稿サイズ検知のための読み取りタイミングの経時変化)
次に、図9を用いて、原稿サイズ検知のための読み取りタイミングの経時変化について説明する。図9は、当接部71の摩耗を説明するための図である。
尚、図9では、画像読取装置100を簡素化して図示している。具体的に、図9では、原稿搬送部2を板状に図示している。又、画像読取部1に関して、筐体の外枠と、当接部71と、載置読取用コンタクトガラス12のみ図示している。
当接部71は、原稿搬送部2の下面2eの一部と接する。そのため、原稿搬送部2の開閉を繰り返すと、当接部71の上端部71uが摩耗してゆく。図9では、上方の図で当接部71が摩耗していない状態を図示し、下方の図で当接部71が摩耗している状態を図示している。
当接部71が摩耗すると、当接部71は短くなる。当接部71の摩耗が進むほど、当接部71の下端部が予め定められた位置に到達するまで当接部71を押し込むには、原稿搬送部2を摩耗前よりも倒す必要がある。そのため、当接部71の摩耗が進むと、原稿サイズ検知のための読み取りが行われるときの載置読取用コンタクトガラス12に対する原稿搬送部2の角度は、当接部71の摩耗がないときよりも小さくなる。言い換えると、原稿サイズ検知のための読み取りが行われるときの載置読取用コンタクトガラス12と原稿搬送部2の下面2eとの距離L1が近くなる。
当接部71の摩耗が進むと、原稿サイズ検知のための載置読取用コンタクトガラス12の読み取りのとき、当接部71と載置読取用コンタクトガラス12の距離L1が近くなる。そのため、当接部71の摩耗がないときよりも当接部71の摩耗の進んだときの方が、載置読取用コンタクトガラス12を透過して上方に抜けた光が原稿搬送部2の下面2eの白色マット2dで反射され、イメージセンサー68の画素(受光素子)のうち、原稿dの無い部分を読み取る画素への入射光量が増える。そのため、検知読取画像データでは、原稿dの無い部分を読み取った画素の画素値は、当接部71の摩耗がないときよりも摩耗が進んだときの方が明るくなる(白に近づく、低濃度となる)。
ここで、従来、境界位置確定のための閾値t1は固定である。そのため、当接部71の摩耗が進むと、検知読取画像データのうち、原稿dのある領域(載置された原稿dを読み取った範囲)と、原稿dのない領域(原稿dがない部分の載置読取用コンタクトガラス12を読み取った範囲)の境界位置を正確に検知できない場合がある。その結果、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dのサイズを正確に検知できない場合が生ずる。
そこで、本実施形態の画像読取装置100では、原稿サイズ検知での境界位置確定のための閾値t1を補正する。
(閾値t1の補正の流れ)
次に、図10〜図12を用いて、実施形態に係る閾値t1の補正の流れを説明する。図10は、第1の手法での閾値t1の補正の流れ示すフローチャートである。図11は、第2の手法での閾値t1の補正の流れ示すフローチャートである。図12は、第3の手法での閾値t1の補正の流れ示すフローチャートである。
本実施形態の画像読取装置100では、閾値t1の補正の手法が複数用意される。何れの手法を用いるかは操作パネル3で選択することができる。言い換えると、操作パネル3は、閾値t1の補正手法やタイミングの選択を受け付ける入力部として機能する。そして、読取制御部10は、設定された手法で、閾値t1の補正を実行する。
〈第1の手法〉
まず、本実施形態の画像読取装置100では、使用開始から原稿搬送部2が予め定められた回数開閉されたとき、及び、先の閾値t1補正から原稿搬送部2が予め定められた回数開閉されると、閾値t1の補正を行うことができる。この原稿搬送部2の予め定められた回数ごとの閾値t1の補正を第1の手法として、以下説明する。
ここで、「予め定められた回数」は任意に定めることができる。数十回と定めても良いし、数千回と定めても良い。本実施形態の画像読取装置100では、頻繁な閾値t1補正を避けつつ、正確な原稿dの主走査方向のサイズ検知のため、千回を想定している。尚、操作パネル3で予め定められた回数の設定を行えるようにしてもよい。そして、読取制御部10は、設定された回数だけ開閉されるごとに、閾値t1の補正を行う。
まず、図10のスタートは、画像読取装置100や複合機200の主電源が投入された時点である。そして、読取制御部10は、開閉検知部7の出力に基づき、原稿搬送部2が開閉されたか否かを確認する(ステップ♯11)。そして、読取制御部10は、開閉の確認を続ける(ステップ♯11のNo→ステップ♯11)。
原稿搬送部2の開閉があったとき(ステップ♯11のYes)、読取制御部10は、原稿搬送部2の開閉回数のカウント値に開閉された回数を加算する(ステップ♯12)。カウント値は、画像読取装置100の使用が開始されてからの原稿搬送部2の開閉回数や、先に閾値t1が補正されてからの原稿搬送部2の開閉回数の累計回数(積算値)である。このカウント値を示す開閉回数データD1は、メモリー102に記憶される(図7参照)。読取制御部10は、原稿搬送部2の開閉が行われるごとに、1を加算するように開閉回数データD1をメモリー102に更新させる(ステップ♯12)。
続いて、読取制御部10は、カウント値が予め定められた回数に到達したか否かを確認する(ステップ♯13)。言い換えると、読取制御部10は、開閉回数データD1を確認して、初めて原稿搬送部2を開閉してから、あるいは、先に閾値t1を補正してから、予め定められた回数だけ、原稿搬送部2が開閉されたか否かを確認し、閾値t1を補正する時点か否かを確認する。
もし、していれば(ステップ♯13のYes)、読取制御部10は、メモリー102に記憶された閾値補正用データD2を参照し、閾値t1の補正を行い、補正後の閾値t1をメモリー102に記憶させる(ステップ♯14)。又、読取制御部10は、メモリー102に開閉回数データD1の値(カウント値)をゼロにリセットさせる(ステップ♯15)。
具体的に、閾値補正用データD2は、原稿搬送部2の開閉回数に応じた複数の閾値t1が定義されたデータとしてもよい(例えば、ルックアップテーブル)。そして、カウント値が予め定められた回数に到達すると、読取制御部10は、原稿搬送部2の開閉回数に対応する閾値t1を閾値補正用データD2から読み出し、閾値t1を当接部71の摩耗に則した値に補正する。言い換えると、読取制御部10は、閾値補正用データD2の中から、原稿搬送部2の開閉回数に対して予め定められた閾値t1を選択し、今までの用いていた閾値t1を選択した閾値t1に変更することで、閾値t1を当接部71の摩耗に則した値に補正する。あるいは、閾値補正用データD2は、原稿搬送部2の開閉回数に基づき、閾値t1を求めるための関数でもよい。この場合、読取制御部10は、原稿搬送部2の開閉回数を変数とした閾値補正用データD2に定義された関数に基づき、補正後の閾値t1を求める。
尚、読取制御部10は、閾値補正用データD2を確認し、補正前(更新前)の閾値t1が原稿搬送部2を何回開閉したときの閾値t1かを確認し、カウント値を加算することで、現在の原稿搬送部2の開閉回数を認識できる。又、読取制御部10は、開閉回数データD1のリセットを行わず、最初から現在までの累計の原稿搬送部2の開閉回数をメモリー102に記憶させてもよい。
原稿搬送部2の開閉回数が多くなり当接部71の摩耗が進むほど、原稿dが無い部分を読み取って得られた画素の画素値は、摩耗がないときよりも白い(明るい)画素値となる。そこで、読取制御部10は、開閉回数が多くなるほど、閾値t1を白い(明るい)方向の値に補正する。そして、補正後は、読取制御部10は、以前よりも明るい画素値の画素の位置で、境界位置があると判断することになる。
そして、カウント値が予め定められた回数に到達していないとき(ステップ♯13のNo)、及び、ステップ♯15の後、原稿搬送部2が閉じられるたびに、読取制御部10は、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dの主走査方向のサイズ検知のための読み取りを読取機構6に行わせ、検知読取画像データに基づく原稿サイズ検知処理を行う(ステップ♯16)。閾値t1の補正が行われた場合には、読取制御部10は、補正後の閾値t1に基づき境界位置を検知し、原稿dの主走査方向のサイズを検知する。そして、フローは、ステップ♯11に戻る。
〈第2の手法〉
次に、本実施形態の画像読取装置100では、原稿dが載置されていない位置の画素の画素値と基準となるデータを比較し、自動的に閾値t1の補正が行われるようにすることができる。又、基準と比較して閾値t1の補正を行うので、当接部71の実際の摩耗の程度や、摩耗による検知読取データの変化の程度にあわせて閾値t1を補正することができる。この自動的な閾値t1の補正を第2の手法として、図11を用いて、以下説明する。
まず、図11のスタートは、画像読取装置100や複合機200の主電源が投入された時点である。そして、読取制御部10は、開閉検知部7の出力に基づき、原稿搬送部2が開閉されたか否かを確認する(ステップ♯21)。読取制御部10は、開閉の確認を続ける(ステップ♯21のNo→ステップ♯21)。
原稿搬送部2の開閉があったとき(ステップ♯21のYes)、原稿搬送部2が閉じられるたびに、読取制御部10は、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dの主走査方向のサイズ検知のための読み取りを読取機構6に行わせ、読み取りで得られた画像データ(検知読取画像データ)に基づく原稿サイズ検知処理を行う(ステップ♯22)。
そして、読取制御部10は、載置読取用コンタクトガラス12上に原稿dが無いことを確認する(ステップ♯23)。具体的には、読取制御部10は、原稿サイズ検知の読み取りにより得られた検知読取画像データにおいて、主走査方向の1ライン中の全画素の画素値が閾値t1よりも黒い(暗い)画素値であれば、原稿dがないと判断する。尚、原稿dがないとき、白色マット2dで光が反射するところ、主走査方向の位置により、白色マット2dと載置読取用コンタクトガラス12の距離が異なる。そのため、原稿dがないときの検知読取画像データでは、濃淡の傾斜が発生する。閾値t1は、原稿dがないときに最も明るい画素の画素値よりも明るい値に設定される。
もし、原稿dがなければ(ステップ♯23のYes)、読取制御部10は、原稿dがないときの検知読取画像データ(原稿dがないときの原稿サイズ検知の読み取りで得られたラインの画像データ)と、検知読取画像データの基準としてのラインの画像データである基準画像データD3を比較する(ステップ♯24)。そして、読取制御部10は、基準画像データD3と検知読取画像データ間のずれ量を求める(ステップ♯25)。
まず、基準画像データD3は、メモリー102に記憶される。基準画像データD3は、当接部71の摩耗がなく、原稿dが載置されていないときにサイズ検知読取で得られた検知読取画像データである。例えば、基準画像データD3は、製造後の出荷前検査などで原稿dが無い状態で、原稿搬送部2が開閉されたときに載置読取用コンタクトガラス12を読み取ることで得られた検知読取画像データとすることができる。また、基準画像データD3は、原稿dが載置されていないときに初めて原稿搬送部2を開閉したときに原稿サイズ検知のための読み取りで得られたラインの検知読取画像データでもよい。あるいは、基準画像データD3は、実験結果に基づくような予め定められた値のラインの画像データでもよい。言い換えると、当接部71の摩耗がほぼない状態(開閉が所定回数未満)であって、原稿dが載置読取用コンタクトガラス12に載置されていないときの検知読取画像データが基準画像データD3としてメモリー102に記憶される。
ずれ量の求め方は適宜定めることができる。例えば、読取制御部10は、検知読取画像データに含まれる特定位置(例えば、主走査方向での両端や中央)の1つの画素の画素値と、基準画像データD3中での特定位置に対応する位置の画素の画素値との差の絶対値をずれ量として求める。
あるいは、読取制御部10は、検知読取画像データ中の複数画素(例えば、全画素や1画素飛び)の画素値の平均値と、基準画像データD3中の対応する位置の複数画素の画素値の平均値との差の絶対値をずれ量として求める。
尚、ずれ量の求め方は上記の例に限られず、他の方法により求められても良い。
そして、読取制御部10は、求められたずれ量が、予め定められた許容範囲を超えているか否かを確認する(ステップ♯26)。言い換えると、読取制御部10は、当接部71の摩耗により、原稿サイズ検知の読み取りタイミングが遅れてきていて、閾値t1の補正が必要か否かの確認を行う。
もし、ずれ量が許容範囲を超えていれば(ステップ♯26のYes)、読取制御部10は、閾値t1を補正し、補正後の閾値t1をメモリー102に記憶させる(ステップ♯27)。これにより、以後は、補正後の閾値t1に基づき、境界位置の検知が行われ、原稿dの主走査方向のサイズが検知される。
具体的には、読取制御部10は、ずれ量に応じた閾値t1となるように閾値t1を補正する。例えば、読取制御部10は、ずれ量だけ画素値としての閾値t1を、明るい方向に変化させる。これにより、検知読取画像データ中、読取制御部10は、以前よりも明るい画素値の画素の位置で、境界位置があると判断することになり、当接部71の摩耗による影響を排除して、正確に境界位置と主走査方向の原稿サイズ検知を行うことができる。
尚、ずれ量と同じ値だけ閾値t1を変化させる補正ではなく、求めたずれ量と閾値t1の補正量は異なっていても良い。
そして、ステップ♯27の後、原稿搬送部2が開閉されたときに原稿dがある場合(ステップ♯23のNo)、ずれ量が許容範囲以内のとき(ステップ♯26のNo)、フローはステップ♯21に戻る。
〈第3の手法〉
次に、第3の手法では、本実施形態の画像読取装置100では、第2の手法と同様に、自動的に閾値t1の補正が行われる。しかし、第3の手法では、閾値t1の補正が予め定められた回数の原稿搬送部2の開閉がなされた後に行われるようにする。言い換えると、第1と第2の手法を組み合わせたものである。これにより、閾値t1の補正が行われる頻度を減らし、必要なときにのみ補正が行われる。
そこで、図12を用いて、この第3の手法での閾値t1の補正の流れを以下説明する。まず、図12のスタートは、画像読取装置100や複合機200の主電源が投入された時点である。そして、読取制御部10は、開閉検知部7の出力に基づき、原稿搬送部2が開閉されたか否かを確認する(ステップ♯31)。読取制御部10は、開閉の確認を続ける(ステップ♯31のNo→ステップ♯31)。
原稿搬送部2の開閉があったとき(ステップ♯31のYes)、読取制御部10は、原稿搬送部2の開閉回数のカウント値に開閉された回数を加算する(ステップ♯32)。カウント値を示す開閉回数データD1は、メモリー102に記憶される点は、第1の手法と同様である(図7参照)。言い換えると、読取制御部10は、原稿搬送部2の開閉が行われるごとに、1を加算して、メモリー102に開閉回数データD1を更新させる(ステップ♯32)。
続いて、読取制御部10は、カウント値が予め定められた回数に到達したか否かを確認する(ステップ♯33)。カウント値が予め定められた回数に到達していなければ(ステップ♯33のNo)、サイズ検知のための読み取りを読取機構6に行わせ、読み取りで得られた画像データ(検知読取画像データ)に基づく原稿サイズ検知処理を行う(ステップ♯34)。そして、フローはステップ♯31に戻る。
一方、カウント値が予め定められた回数に到達していれば(ステップ♯33のYes)、読取制御部10は、開閉検知部7の出力に基づき原稿搬送部2が開閉されたか否かを確認する(ステップ♯35)。読取制御部10は、開閉の確認を続ける(ステップ♯35のNo→ステップ♯35)。
原稿搬送部2の開閉があったとき(ステップ♯35のYes)、原稿搬送部2が閉じられるたびに、読取制御部10は、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dの主走査方向のサイズ検知のための読み取りを読取機構6に行わせ、読み取りで得られた画像データ(検知読取画像データ)に基づく原稿サイズ検知処理を行う(ステップ♯36)。
そして、原稿サイズ検知処理の結果に基づき、読取制御部10は、載置読取用コンタクトガラス12上に原稿dが無いことを確認する(ステップ♯37)。もし、原稿dがなければ(ステップ♯37のYes)、読取制御部10は、原稿dがないときの検知読取画像データと、基準画像データD3を比較する(ステップ♯38)。そして、読取制御部10は、基準画像データD3と検知読取画像データ間のずれ量を求める(ステップ♯39)。そして、読取制御部10は、求められたずれ量が、予め定められた許容範囲を超えているか否かを確認する(ステップ♯310)。もし、ずれ量が許容範囲を超えていれば(ステップ♯310のYes)、読取制御部10は、閾値t1を補正し、補正後の閾値t1をメモリー102に記憶させる(ステップ♯311)。ステップ♯37〜ステップ♯311については、上述の第2の手法と同様であり、説明を準用できる。
尚、原稿搬送部2が開閉されたときに原稿dがある場合(ステップ♯37のNo)、フローは、ステップ♯35に戻る。
ステップ♯311の後、及び、ずれ量が許容範囲以内で閾値t1を補正しないとき(ステップ♯310のNo)、読取制御部10は、メモリー102に開閉回数データD1の値(カウント値)をゼロにリセットさせる(ステップ♯312)。そして、フローはステップ♯31に戻る。
尚、閾値t1の補正が予め定められた回数の原稿搬送部2の開閉がなされた後、第2の手法により、完全に自動的に閾値t1の補正を行うのではなく、予め定められた基準サイズの基準原稿を用いて、半自動的に閾値t1の補正を行ってもよい。この場合、カウント値が予め定められた回数に到達すると、読取制御部10は、原稿搬送部2を開けて、基準原稿を操作パネル3の表示部に載置読取用コンタクトガラス12を載置すべき旨を表示させる。
そして、原稿搬送部2が閉じられると、読取制御部10は、載置読取用コンタクトガラス12に載置された基準原稿のサイズ検知の読み取りを読取機構6に行わせる。そして、読取制御部10は、基準原稿が載置されたときの検知読取画像データの各画素と、基準画像データD3を比較する。
この場合、基準画像データD3は、当接部71の摩耗がなく、予め定められた基準サイズの基準原稿を載置読取用コンタクトガラス12に載置した状態のときにサイズ検知読取で得られた検知読取画像データである。基準画像データD3は、製造後の出荷前検査などのとき、基準原稿を載置読取用コンタクトガラス12に載置した状態で、原稿搬送部2が開閉されたときに載置読取用コンタクトガラス12を読み取ることで得られた検知読取画像データとすることができる。また、基準画像データD3は、原稿dが載置されていないときに初めて原稿搬送部2を開閉するときに基準原稿を載置して、原稿サイズ検知のための読み取りで得られたラインの検知読取画像データでもよい。あるいは、基準画像データD3は、実験結果に基づくような予め定められた値のラインの画像データでもよい。言い換えると、当接部71の摩耗がほぼない状態(開閉が所定回数未満)であって、基準原稿を載置読取用コンタクトガラス12に載置した状態での検知読取画像データが基準画像データD3としてメモリー102に記憶される。
そして、読取制御部10は、基準画像データD3と検知読取画像データ間のずれ量を求める。ずれ量の求め方は、適宜定めることができる。例えば、読取制御部10は、検知読取画像データに含まれる特定位置(例えば、主走査方向での両端や中央)の1つの画素の画素値と、基準画像データD3中での特定位置に対応する位置の画素の画素値との差の絶対値をずれ量として求める。あるいは、読取制御部10は、検知読取画像データ中の複数画素(例えば、全画素や1画素飛び)のうち、原稿がないはずの画素値の平均値と、基準画像データD3中の対応する位置の複数画素の画素値の平均値との差の絶対値をずれ量として求める。
読取制御部10は、求められたずれ量が、予め定められた許容範囲を超えているか否かを確認する、ずれ量が許容範囲を超えていれば、読取制御部10は、ずれ量だけ閾値t1を明るい方向に変化させて閾値t1を補正し、補正後の閾値t1をメモリー102に記憶させる)。
このようにして、本実施形態の画像読取装置100は、原稿dが載置されるコンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス12)と、上下方向に開閉され、コンタクトガラスに載置された原稿dを押さえるためのカバー部(原稿搬送部2)と、カバー部が閉じられる途中で接し、カバー部が閉じられるほどカバー部に押し込まれる当接部71を含み、当接部71の押し込み量に応じて出力が変化する開閉検知部7と、原稿dの読み取りを行い、原稿dに向け光を照射するランプ67と原稿dで反射された反射光に基づきライン単位で読み取るイメージセンサー68を含み、当接部71が予め定められた位置まで押し込められると、主走査方向の原稿サイズ検知のためにコンタクトガラスを読み取るサイズ検知読取を行う読取機構6(第1移動枠61、第2移動枠62、ワイヤー、巻取ドラム64、巻取モーター65、レンズ66、ランプ67イメージセンサー68)を備え、イメージセンサーの出力に基づき画像データを生成する画像読取部と、サイズ検知読取により得られた画像データである検知読取画像データの各画素の画素値と原稿dがある部分と原稿dが無い部分の境界位置を検知するための閾値t1を比較し、原稿dがある部分と原稿dが無い部分の境界位置を検知し、境界位置に基づきコンタクトガラスに載置された原稿dのサイズを検知する原稿サイズ検知処理を行う検知処理部(読取制御部10)と、を含み、検知処理部は、予め定められた時点で閾値t1の補正を行い、補正後の閾値t1に基づき、原稿サイズ検知処理を行う。
これにより、境界位置を定め、原稿サイズを検知するための閾値t1は、固定値ではなくなる。そして、一定の時点で閾値t1の補正が行われるので、カバー部(原稿搬送部2)の開閉の繰り返しによる当接部71の摩耗に応じた閾値t1に設定することができる。従って、摩耗がないときよりカバー部(原稿搬送部2)がコンタクトガラス(載置読取用コンタクトガラス12)に近づいてから原稿サイズ検知が実行されるようになっても(摩耗がないときよりも原稿サイズ検知の実行開始が遅れる状態となっても)、補正された閾値t1により、検知読取画像データ中、原稿dがある範囲の画素と原稿dが無い範囲の画素の境界を正確に定めることができる。そして、当接部71の摩耗が進んでも、正確に原稿dの主走査方向のサイズを検知することができる。
又、本実施形態の画像読取装置100は、カバー部(原稿搬送部2)が開閉された回数と、カバー部の開閉回数に応じた閾値t1を定めるための閾値補正用データD2を記憶するメモリー102を含み、検知処理部(読取制御部10)は、予め定められた回数のカバー部の開閉が行われたとき、閾値補正用データD2に基づき、閾値t1の補正を行う。これにより、初めて、又は、再度の閾値t1の補正が必要なほど、予め定められた回数カバー部が開閉されると、データ演算だけで閾値t1が補正される。従って、正確に原稿dの主走査方向のサイズが検知されるように、閾値t1を当接部71の摩耗に応じた値(カバー部の開閉回数に応じた値)に設定することができる。
尚、「予め定められた回数」は、当接部71の材料や、実際の画像読取装置100での摩耗のしやすさを考慮して、適宜定めることができる。予め定められた回数は、数百回〜数千回の範囲で定めることができ、画像読取装置100の形式、仕様ごとに定めれば良い。
又、本実施形態の画像読取装置100は、原稿が載置されていないときの検知読取画像データの基準としての基準画像データD3を記憶するメモリー102を含み、検知処理部(読取制御部10)は、原稿dが載置されていない位置の検知読取画像データ内の画素の画素値と基準画像データD3中の対応する位置の画素の画素値を比較して、基準画像データD3と検知読取画像データ間のずれ量を求め、ずれ量に応じた閾値t1となるように閾値t1を補正する。
カバー部(原稿搬送部2)の開閉により当接部71の摩耗は進むものの、摩耗の程度は、実際の画像読取装置100の使用態様により差が出てくる。勢いよくカバー部(原稿搬送部2)の開閉が行われる回数が多いほど、当接部71の摩耗は進行していることが考えられる。一方、比較的静かにカバー部(原稿搬送部2)の開閉が行われている場合、当接部71の摩耗の進行は遅いと考えられる。そこで、この構成によれば、検知処理部(読取制御部10)は、原稿dが載置されていない位置の検知読取画像データ内の画素の画素値と基準画像データD3中の対応する位置の画素の画素値を比較して、基準画像データD3と検知読取画像データ間のずれ量を求め、ずれ量に応じた閾値t1となるように閾値t1を補正し、補正後の閾値t1に基づき、原稿サイズ検知処理を行う。これにより、実際の当接部71の摩耗の程度に応じて(摩耗していない当初と現在との検知読取画像データでの画素値の差に応じて)、閾値t1を補正することができる。従って、当接部71の実際の摩耗の程度にあわせ、正確な原稿サイズの検知が行われるように、閾値t1を補正することができる。
又、予め定められた回数のカバー部(原稿搬送部2)の開閉が行われると、検知処理部(読取制御部10)は、原稿dが載置されていない位置の検知読取画像データ内の画素の画素値と基準画像データD3中の対応する位置の画素の画素値を比較して、基準画像データD3と検知読取画像データ間のずれ量を求め、ずれ量に応じた閾値t1となるように閾値t1を補正する。これにより、当接部71の摩耗により、正確な原稿dのサイズ検知を行ううえで閾値t1の補正が必要と考えられる時点になると、自動的に閾値t1の補正が行われるようにすることができる。又、常時、閾値t1の補正を行わず、閾値t1の補正を一定のタイミングだけで行うようにすることで、検知処理部の処理負荷を軽くすることもできる。
又、検知処理部(読取制御部10)は、検知読取画像データに含まれる画素の画素値と基準画像データD3中での対応する位置の画素の画素値との差、あるいは、検知読取画像データ中の複数画素の画素値と基準画像データD3中の対応する位置の複数画素の画素値との差の平均をずれ量として求め、ずれ量だけ閾値t1を変化させる。これにより、ある画素の画素値の基準との差、あるいは、複数画素の画素値の平均となるデータでの画素値の平均との差に基づき、閾値t1を補正することができる。従って、当接部71の摩耗によって検知読取画像データの各画素値に実際に現れている基準との差を考慮して閾値t1の補正を行うことができる。
又、画像形成装置(複合機200)は、本実施形態の画像読取装置100を含む。本実施形態の画像形成装置は、カバー部(原稿搬送部2)の開閉が繰り返されても、検知される原稿dのサイズが正確な画像読取装置100を含む。従って、長年使用しても、誤った原稿サイズの検知結果に基づいて、不適切なジョブが行われることがなく、使用者が所望するとおりのジョブ結果が得られる画像形成装置を提供することができる。
次に、他の実施形態を説明する。載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿dを押さえるカバー部として、原稿搬送部2を例示したが、カバー部は、原稿搬送機能を有さない矩形板状の原稿カバーでもよい。
又、上記の実施形態では、画像形成装置として複合機200を例に挙げたが、本発明は画像読取装置100を含む他の画像形成装置に適用できる。例えば、本発明は、複写機や、スキャナ付きのプリンターや、ファクシミリ装置などにも適用できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。