JP6361356B2 - 積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト、及び積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト、及び積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト、及び積層セラミックコンデンサに関する。
電子部品の一つとして従来から積層セラミックコンデンサが用いられている。
積層セラミックコンデンサは一般に、誘電体層と、内部電極の層とが交互に積層された構造を有している。積層セラミックコンデンサは、例えば以下の工程を含む製造方法により生産されている。
チタン酸バリウム等の誘電体粉末と、有機バインダとを含有するグリーンシート(誘電体グリーンシート)を製造するグリーンシート製造工程。
グリーンシート表面に内部電極用ペーストを所望の内部電極のパターンに応じて塗布、乾燥する内部電極パターン形成工程。
内部電極パターンとグリーンシートとが交互になるように積層した後、熱圧着し、該熱圧着体を目的の大きさに切断する積層・切断工程。
有機バインダを除去するため、加熱して有機バインダを除去する脱バインダ工程。
焼成して内部電極、及び誘電体を焼結させる焼結工程。
得られた積層セラミックコンデンサ素体に外部デバイスを接合するための外部電極を取り付ける外部電極形成工程。
上述した積層セラミックコンデンサの製造方法の内部電極パターン形成工程において、有機バインダとしてエチルセルロースを、有機溶剤として主にターピネオールを、用いた内部電極用ペーストが従来から用いられている。そして、ターピネオールは内部電極パターン内に残存し、グリーンシートに有機バインダとして多用されているポリビニルブチラールを溶解させる作用がある。
このように内部電極用ペーストによるグリーンシート内の有機バインダに対する溶解作用は、シートアタックとして知られている。
シートアタックによりグリーンシート中のポリビニルブチラールが溶解すると、グリーンシートを膨潤、溶解させる。そして、シートアタックの程度によっては、積層・切断工程においてグリーンシートの内部電極用ペーストを塗布した部分に孔が生じたり、グリーンシートを焼成して得られる誘電体層と、内部電極層とが層間剥離したりする等の不具合を生じる場合があった。
そして、積層セラミックコンデンサの高容量化に伴い従来は10μm〜20μmであったグリーンシートの厚みは、近年では2μm〜5μmと、グリーンシートの薄層化が進んでいる。このようにグリーンシートが薄い場合、特にシートアタックによる影響が顕著になっている。
このため、内部電極用ペーストとしてシートアタックの発生を抑制できる内部電極用ペーストが従来から検討されている(例えば特許文献1)。
特開2002−270456号公報
しかしながら、従来の内部電極用ペーストは、グリーンシート上に印刷、乾燥する過程でのシートアタックの発生を抑制したものであり、内部電極用ペーストの乾燥膜中の有機溶剤の残留については十分に検討されていなかった。このため、乾燥工程の後、内部電極用ペーストの乾燥膜内に残留した有機溶剤によりシートアタックが生じる場合があり問題であった。
また近年、誘電体シートの薄層化、高積層化が進んだことにより、誘電体シートへの悪影響を少なくするために、乾燥温度の低温度化が試みられ、また積層数増加による工程の長時間化を短縮するために、乾燥時間の短時間化が進められ、その結果、従来の溶剤では乾燥が不十分となることがあった。
そこで、本発明の一側面では、内部電極用ペーストの乾燥膜中の有機溶剤の残留量を抑制することができる積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
ニッケル粉末と、
ポリビニルブチラールと、
エチルセルロースと、
有機溶剤とを含有しており、
前記有機溶剤は、第1の有機溶剤と、第2の有機溶剤と、を含み、
前記有機溶剤中の前記第1の有機溶剤の割合が、20wt%より多く80wt%未満であり、
前記第1の有機溶剤は、ターピネオール、および/またはイソボルニルアセテートであり、
前記第2の有機溶剤は、飽和脂肪族系炭化水素溶剤、および/またはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートであり、
膜状に成形後、120℃で乾燥した厚さ30μmの乾燥膜中の前記第1の有機溶剤、及び前記第2の有機溶剤の含有率が1wt%以下であり、かつ、
調製直後の粘度を初期粘度、調製後5000秒経過時の粘度を経時粘度とした場合に、式(1)により算出される粘度変化率が15%以内である積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを提供する。
粘度変化率(%)=100×[(経時粘度)−(初期粘度)]/(初期粘度)・・・式(1)
本発明の一態様によれば、内部電極用ペーストの乾燥膜中の有機溶剤の残留量を抑制することができる積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを提供することができる。
本発明の実施形態における積層セラミックコンデンサの断面模式図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト]
本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストの一構成例について説明する。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストは、ニッケル粉末と、ポリビニルブチラールと、エチルセルロースと、有機溶剤と、を含有することができる。
そして、有機溶剤は、第1の有機溶剤と、第2の有機溶剤と、を含むことができ、有機溶剤中の第1の有機溶剤の割合が、20wt%より多く80wt%未満であることが好ましい。
また、第1の有機溶剤は、ターピネオール、および/またはイソボルニルアセテートであることが好ましく、第2の有機溶剤は、飽和脂肪族系炭化水素溶剤、および/またはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートであることが好ましい。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト(以下、単に「内部電極用ペースト」とも記載する)に含まれる各成分について以下に説明する。
(ニッケル粉末)
本実施形態の内部電極用ペーストにはニッケル粉末を添加することができる。ニッケル粉末を添加することにより、該内部電極用ペーストを用いて形成する内部電極に導電性を付与することができる。
ニッケル粉末の粒径は特に制限されるものではなく、内部電極用ペースト中での分散性や、グリーンシート等に塗布する際の操作性、焼成して内部電極としたときの導電性等を考慮して任意に選択することができる。
特に、高積層、高容量化の積層セラミックコンデンサにも対応できるよう、平均粒径は0.05μm以上0.5μm以下とすることが好ましい。なお、ここでの平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真より求められる値であり、粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。本明細書において他の部分でも平均粒径は同じ意味を有している。
ニッケル粉末の平均粒径を0.5μm以下とすることにより、特に積層セラミックコンデンサの薄層化を図ることができるため好ましい。また、ニッケル粉末の平均粒径を0.05μm以上とすることにより、ニッケル粉末の表面活性が必要以上に高くなることを抑制し、内部電極用ペーストの粘度が高くなることを抑制できる。また、内部電極用ペーストとして長期保存した場合に変質等が生じることを抑制することができる。
内部電極用ペースト中のニッケル粉末の含有率は特に限定されるものではなく、内部電極用ペーストに要求される粘度や、内部電極としたときに要求される導電性等に応じて任意に選択することができる。特に、内部電極用ペーストは、ニッケル粉末を、内部電極用ペースト全量に対して30wt%以上70wt%以下含有することが好ましく、40wt%以上60wt%以下含有することがより好ましい。
これは、内部電極用ペースト中のニッケル粉末の含有量が30wt%以上の場合、内部電極用ペースト焼成時の電極膜形成能力を十分に確保することができ、所望のコンデンサ容量をより確実に得ることができるためである。また、内部電極用ペースト中のニッケル粉末の含有量を70wt%以下とすることにより、内部電極の電極膜を薄層化し易くなるためである。
(有機樹脂)
本実施形態の内部電極用ペーストは、有機樹脂を含むことができ、該有機樹脂はエチルセルロース(EC)と、ポリビニルブチラール(PVB)との混合系であることが好ましい。
エチルセルロース(EC)は、溶剤への溶解性・印刷性・燃焼分解性などが良いことから、内部電極用ペーストのバインダーとして好適に用いることができる。また、有機樹脂として、グリーンシートに用いられるポリビニルブチラール(PVB)を併せて用いることで、グリーンシートと、内部電極用ペーストの乾燥膜との密着強度を上げることができる。
内部電極用ペースト中の有機樹脂の含有量は特に限定されるものではなく、任意に選択することができるが、ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、有機樹脂の含有量が1質量部以上7質量部以下であることが好ましい。すなわち、ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、ポリビニルブチラール、及びエチルセルロースの含有量の合計が1質量部以上7質量部以下であることが好ましい。
特に、ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、有機樹脂の含有量は1.5質量部以上7質量部以下であることがより好ましい。
これは、内部電極用ペースト中の有機樹脂の含有量を1質量部以上とすることにより、内部電極用ペースト中の有機溶剤がグリーンシート側に浸透することを抑制し、シートアタックをより確実に抑制することができるためである。また、内部電極用ペースト中の有機樹脂の含有量を7質量部以下とすることにより、内部電極用ペーストの脱バインダー特性を特に高めることができるため好ましい。
有機樹脂中のエチルセルロース、及びポリビニルブチラールそれぞれの含有量は特に限定されるものではなく、任意の比率とすることができる。上述のように、エチルセルロースは、溶剤への溶解性・印刷性・燃焼分解性などを高める効果を有し、ポリビニルブチラールは、グリーンシートと、内部電極用ペーストの乾燥膜との密着強度を高める効果を有する。このため、内部電極用ペーストについて要求される溶剤への溶解性・印刷性・燃焼分解性、およびグリーンシートとの密着性等に応じて任意にその比率を選択することができる。
例えばグリーンシートと、内部電極用ペーストの乾燥膜との密着性を特に高める観点から質量比で、(ポリビニルブチラールの含有量)/(エチルセルロースの含有量)が0.2以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましい。
ただし、溶剤への溶解性・印刷性・燃焼分解性を高める観点から、(ポリビニルブチラールの含有量)/(エチルセルロースの含有量)は5.0以下であることが好ましく、4.0以下であることがより好ましい。
(有機溶剤)
既述のように、従来の内部電極用ペーストにおいては、内部電極用ペーストをグリーンシート上に印刷、乾燥する過程で、内部電極用ペースト中の有機溶剤が、グリーンシートに浸透することによるシートアタックが発生することを抑制しようとするものであった。
しかしながら、本発明の発明者らの検討によると、内部電極用ペーストを乾燥した内部電極用ペーストの乾燥膜内に有機溶剤が多く残留している場合にもシートアタックが発生することが見出された。
そこで、本実施形態の内部電極用ペーストにおいては、内部電極用ペーストの乾燥膜内の有機溶剤の残留量を低減し、シートアタックの発生を特に抑制することが可能とした。
内部電極用ペーストの乾燥膜内の有機溶剤の残留量を低減するためには、乾燥性の良い有機溶剤を使用することが好ましいと考えられる。
しかしながら、積層セラミックコンデンサを作製する場合、内部電極用ペーストを内部電極用ペーストの印刷装置にセットしてから連続的に複数枚のグリーンシートに対して内部電極パターンを印刷することとなる。このため、乾燥性の良い有機溶剤のみを使用すると、内部電極パターンを印刷している間に、内部電極用ペースト内の有機溶剤が失われ、内部電極用ペーストの粘度が増加し、内部電極パターンの印刷が困難になる恐れがある。
そこで、本実施形態の内部電極用ペーストは、第1の有機溶剤と、第2の有機溶剤とを組み合わせて使用することにより、内部電極用ペーストの乾燥膜内の有機溶剤の残留を抑制すると共に、印刷中の内部電極用ペーストの粘度の増加を抑制することを可能にした。
本実施形態の内部電極用ペーストに添加する有機溶剤は上述のように、第1の有機溶剤と、第2の有機溶剤とを同時に含有することができる。
そして、第1の有機溶剤としてはターピネオール、および/またはイソボルニルアセテートを、第2の有機溶剤としては飽和脂肪族系炭化水素溶剤、および/またはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを、好適に用いることができる。
比較的乾燥性の悪い第1の有機溶剤に、第2の有機溶剤を併せて用いることにより、内部電極用ペーストの乾燥性を適切にして内部電極用ペーストの乾燥膜中の有機溶剤の残留量を抑制することができる。また、内部電極用ペーストの乾燥性を適切にすることにより、グリーンシート上に内部電極用ペーストの印刷を行う際に、内部電極用ペーストの粘度が大きく増加することを抑制することができる。
なお、第2の有機溶剤の1つである飽和脂肪族系炭化水素溶剤としては、例えば、飽和炭化水素を主成分として含有する溶剤を好ましく用いることができ、特にトリデカン、ノナン、シクロヘキサンを含有する溶剤をより好ましく用いることができる。また、トリデカン、ノナン、シクロヘキサンを主成分として含有する溶剤を特に好ましく用いることができる。ここでいう主成分とは体積比で90vol%以上含まれていることを意味している。
有機溶剤中に含まれる第1の有機溶剤、および第2の有機溶剤の含有率(割合)は特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。
ただし、有機溶剤中の第1の有機溶剤の割合が、20wt%より多く80wt%未満であることが好ましい。なお、残部を第2の有機溶剤とすることができる。
特に第1の有機溶剤の割合は30wt%以上60wt%未満であることがより好ましく、第1の有機溶剤の割合は30wt%以上50wt%以下であることがさらに好ましい。
これは、有機溶剤中の第1の有機溶剤の割合を20wt%より多くすることにより内部電極用ペーストの乾燥性が過度に高くなることを抑制することができる。このため、内部電極パターンの印刷中に、内部電極用ペーストの粘度が大幅に増加することを防ぐことができ、内部電極パターンを安定して印刷することが可能になる。
また、有機溶剤中の第1の有機溶剤の割合を80wt%未満とすることにより、内部電極用ペーストに一定以上の乾燥性を付与することができる。このため、内部電極用ペーストの乾燥膜内の有機溶剤の残留を抑制できる。
内部電極用ペースト中の有機溶剤の添加量(調製時の含有量)は特に限定されるものではなく、内部電極用ペーストの粘度等に応じて任意に選択することができる。例えばニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、有機溶剤の添加量が60質量部以上100質量部以下であることが好ましく、40質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。
内部電極用ペーストを例えば基材上に膜状に塗布(印刷)、成形し、120℃で乾燥し、厚さ30μmの乾燥膜とした後の該乾燥膜中の有機溶剤の残存率、すなわち、乾燥膜中の有機溶剤(第1の有機溶剤、及び第2の有機溶剤)の含有率が1wt%以下であることが好ましい。なお、例えば内部電極用ペーストの乾燥膜についてTG−DTA(熱重量分析・示差熱分析)により250℃まで加熱した際の重量減少率を該乾燥膜内の有機溶剤の残存率とすることができる。
また、内部電極用ペーストは上述のように内部電極用ペーストの印刷装置にセットしてから、内部電極用ペーストを印刷している間、粘度の変化率が小さいことが好ましい。粘度の変化率については特に限定されるものではなく、印刷条件等により選択することができるが、例えば、内部電極用ペーストの調製直後に印刷機にセットしてから、5000秒経過するまで間の粘度変化率は15%以内であることが好ましく、10%以内であることがより好ましい。なお、ここでの粘度は回転粘度計を用いて、10rpm、25℃の条件で測定した粘度を意味している。
粘度変化率は、内部電極用ペーストの調製直後の粘度を初期粘度、調製後5000秒経過時の粘度を経時粘度とした場合に、以下の式(1)により算出することができる。
粘度変化率(%)=100×[(経時粘度)−(初期粘度)]/(初期粘度)・・・式(1)
本実施形態の内部電極用ペーストは特に、上述した乾燥膜に含まれる有機溶剤の含有率が1%以下であり、かつ粘度変化率が15%以下であることが好ましい。
そして、本発明の発明者らの検討によると、内部電極用ペーストの乾燥膜に含まれる有機溶剤の含有率、及び粘度変化率は、第1の有機溶剤、及び第2の有機溶剤を所定の範囲内で添加することにより、上述の範囲とすることができる。
(セラミック粉末)
本実施形態の内部電極用ペーストにはさらに、焼結抑制剤としてセラミック粉末を添加することもできる。焼結抑制剤としてセラミック粉末を添加する場合、セラミック粉末は、ペロブスカイト型酸化物であるBaTiO等や、これに種々の添加物を添加したもの等から選択することができる。また、積層セラミックコンデンサのグリーンシートの主成分として使用されるセラミック粉末と同組成、あるいは類似の組成も好ましく用いることができる。
セラミック粉末の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば固相法、水熱合成法、アルコキシド法、ゾルゲル法など種々の製法により製造されたセラミック粉末を使用できる。
また、必要に応じてセラミック粉末は、ビーズミルや高圧ホモジナイザーなどの装置により分散・粉砕処理を施してセラミックスラリーとしてから内部電極用ペーストに添加することもできる。
内部電極用ペーストに添加するセラミック粉末の粒径は特に限定されるものではないが、例えば用いるセラミック粉末の平均粒径は、0.01μm以上0.2μm以下であることが好ましい。
セラミック粉末の平均粒径が0.01μm以上の場合、内部電極用ペーストの焼結開始温度を誘電体層の焼結開始温度まで遅延させる、焼結遅延効果を十分に発揮することができ、デラミネーションやクラック等の構造欠陥の発生を特に抑制できる。また、膜状に成形した内部電極用ペーストを乾燥した際の膜密度である乾燥膜密度の低下の抑制や、積層セラミックコンデンサの薄層化を、特に図ることができ、積層セラミックコンデンサとした場合の信頼性を高めることができる。このため、上述のようにセラミック粉末の平均粒径は0.01μm以上であることが好ましい。
そして、セラミック粉末の平均粒径が0.2μm以下の場合、ニッケル粉末の間にセラミック粉末が充填されやすくなるため、乾燥膜密度を十分に高めることが可能になる。また、上述した焼結遅延効果も十分に発揮することができる。このため、上述のようにセラミック粉末の平均粒径は0.2μm以下とすることが好ましい。
なお、セラミック粉末の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真より求められる値であり、粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
内部電極用ペーストにセラミック粉末を添加する場合、内部電極用ペーストのセラミック粉末の含有量は特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル粉末100質量部に対して3質量部以上25質量部以下となるように添加することが好ましい。
これは、セラミック粉末の含有量を3質量部以上とすることにより、ニッケル粉末の焼結を十分に制御することができるため、内部電極層と誘電体層との焼結収縮挙動のミスマッチを特に抑制できるため好ましいからである。
一方、セラミック粉末を過剰に添加した場合、内部電極層のセラミック粉末の粒子が誘電体層中のセラミック粒子と焼結し、誘電体層の厚みが膨張して組成のずれが生じ、誘電率の低下等、電気特性に悪影響を及ぼす恐れがある。このため、誘電体層等の電気特性等により確実に悪影響等を生じないように、セラミック粉末の含有量を25質量部以下とすることが好ましい。
(添加剤)
また、本実施形態の内部電極用ペーストはさらに任意の添加剤を添加することもできる。
添加剤としては特に限定されるものではなく、内部電極用ペーストに要求される粘度や、内部電極用ペーストに含まれるニッケル粉末の状態等に応じて任意に選択することができる。
添加剤として例えば、内部電極用ペーストに含まれる粉体の凝集防止のために分散剤を用いることができる。分散剤としては特に限定されるものではなく、ニッケル粉末等を有機溶剤中に微細化した状態で安定に分散できる分散剤であれば好適に用いることができる。分散剤としては、具体的には例えばカチオン系分散剤、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、両性界面活性剤、高分子系分散剤等を好適に用いることができる。
特にアニオン系分散剤はニッケル粉末表面への吸着力が大きく、その表面改質作用により無機成分の分散性の向上に寄与でき、塗膜の平滑性や、内部電極用ペーストの膜を乾燥した際の密度(乾燥膜密度)を向上させる働きも有するため、より好適に用いることができる。アニオン系分散剤としては例えば、カルボン酸系分散剤、燐酸系分散剤、燐酸塩系分散剤などを好ましく用いることができる。
分散剤は1種類のみを用いることもできるが、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
分散剤の平均分子量は特に限定されるものではなく、任意に選択することができるが、例えば200以上20000以下であることが好ましく、300以上10000以下であることがより好ましい。
分散剤は通常、粒子表面に吸着して、分散剤の吸着層を形成し、静電反発力や立体的反発力を粒子に付与することで分散性に優れた内部電極用ペーストとすることができる。ただし、時間の経過とともに、例えば粒子同士の衝突等により吸着層の反発力に勝って粒子同士の凝集を生じる場合がある。
しかし、上述のように分散剤の平均分子量を200以上とすることにより、粒子に十分な静電反発力を付与することができるため、粒子の分散性や保存安定性を高くすることができる。このため、粒子の凝集を特に抑制することができるので、分散剤として好ましく用いることができる。
ただし、分散剤の平均分子量が20000より大きい場合、有機ビヒクル及び有機溶剤との相溶性が低下したり、粒子同士の凝集を招いたり、分散性・保存安定性の低下を引き起こす場合や、ペーストの粘度が高くなる場合がある。このため、上述のように分散剤の平均分子量は20000以下とすることが好ましい。
分散剤の添加量は特に限定されるものではなく、内部電極用ペーストに要求される保存安定性や、ニッケル粉末等の無機物粒子の分散性の程度、分散剤の種類等に応じて任意に選択することができる。
例えば、内部電極用ペーストに含まれる無機物の含有量を100質量部とした場合に、分散剤の添加量は0.01質量部以上2.00質量部以下とすることが好ましく、0.20質量部以上1.00質量部以下とすることがより好ましい。
これは分散剤の添加量を0.01質量部以上とすることにより、無機物、具体的には例えばニッケル粉末やセラミック粉末を十分に分散することができるため好ましい。
ただし、分散剤の添加量を多くしすぎると、内部電極用ペーストの乾燥性が低下したり、内部電極用ペーストの乾燥膜の密度(乾燥膜密度)が低下する恐れがある。このため、上述のように、分散剤の添加量を2.00質量部以下とすることが好ましい。
また、上述のようにセラミック粉末を添加した場合に、ニッケル粉末と、セラミック粉末との分離を抑止するために、添加剤として、分離抑制剤を用いることもできる。分離抑制剤としては、例えばポリカルボン酸ポリマーや、ポリカルボン酸の塩を含む組成材料を好ましく用いることができる。
分離抑制剤は、例えばカルボン酸同士の水素結合により、ペースト中で粉末粒子の分散をある程度抑えることで、初期に均一攪拌されたニッケル粉末とセラミック粉末の距離を一定に保持することができる。
また、カルボン酸同士の水素結合により、定常状態(静止した状態)でのペーストの粘度を上昇させることができるので、これによりニッケル粉末とセラミック粉末の比重の違いによる分離を抑えることができる。
分離抑制剤を添加した場合、ペースト全体としての分散性が悪くなり、ニッケル粉末やセラミック粉末の凝集物が発生する恐れがある。そこで、ニッケル粉末やセラミック粉末の分散性を改善する目的で、上述のような分散剤を併せて添加することが好ましい。
分離抑制剤の添加量については特に限定されるものではなく、ニッケル粉末や、セラミック粉末の添加量や、分離抑制剤の性能等に応じて任意に選択することができる。
また、上述した添加剤以外にも、消泡剤や、可塑剤、増粘剤、キレート剤など各種添加剤を必要に応じて添加することもできる。
[積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストの製造方法]
次に、本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストの製造方法の一構成例について説明する。なお、本実施形態の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストの製造方法により、上述の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを好適に製造することができる。このため、積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストで既に説明した事項と重複する部分については、説明を一部省略する。
本実施形態の内部電極用ペーストの製造方法は特に限定されるものではなく、任意の手順により調製することができる。
例えば、内部電極用ペーストの製造方法は以下の工程を有することができる。
有機樹脂を有機溶剤に溶解して有機ビヒクルを調製する有機ビヒクル調製工程。
有機ビヒクル調製工程で調製した有機ビヒクルに、ニッケル粉末を添加、分散する分散工程。
なお、内部電極用ペーストがセラミック粉末や、添加剤等を含有する場合には、分散工程において、セラミック粉末や添加剤等も有機ビヒクルに添加し、有機ビヒクル中にこれらの成分も分散させることが好ましい。
また、有機溶剤である第1の有機溶剤、及び第2の有機溶剤のうち一部のみを用いて有機ビヒクルを調製した場合、残部については例えば分散工程において添加することができる。具体的には例えば第1の有機溶剤のみを用いて有機ビヒクルを調製した場合、第2の有機溶剤は分散工程で添加することができる。
各工程について説明する。
(有機ビヒクル調製工程)
有機ビヒクル調製工程において有機ビヒクルを調製する手順は特に限定されるものではない。例えば、第1の有機溶剤および/または第2の有機溶剤に、ポリビニルブチラール(PVB)と、エチルセルロース(EC)とを同時に添加して、両樹脂を含む有機ビヒクルを調製することができる。
また、ポリビニルブチラール(PVB)の有機ビヒクルと、エチルセルロース(EC)の有機ビヒクルとをそれぞれ別に調製することもできる。すなわち、有機ビヒクル調製工程は、ポリビニルブチラール有機ビヒクル調製工程と、エチルセルロース有機ビヒクル調製工程と、を有することもできる。
この場合、ポリビニルブチラール有機ビヒクル調製工程では、例えば第1の有機溶剤にポリビニルブチラール(PVB)を溶解することでポリビニルブチラール有機ビヒクルを調製することができる。
また、エチルセルロース有機ビヒクル調製工程では、例えば第1の有機溶剤にエチルセルロース(EC)を溶解することでエチルセルロース有機ビヒクルを調製することができる。
なお、各有機樹脂について有機ビヒクルを調製した場合、各有機ビヒクルは分散工程においてニッケル粉末等とあわせて混合しても良く、予め各有機樹脂について調製した有機ビヒクルを混合した後で分散工程に供してもよい。
ここでは第1の有機溶剤を用いて2種類の有機ビヒクルを調製した例を用いて説明したが、例えば一方の有機ビヒクルについては第1の有機溶剤を、他方の有機ビヒクルについては第2の有機溶剤を用いてもよい。また、各有機ビヒクルを第1の有機溶剤と、第2の有機溶剤との混合液を用いて調製したり、第1の有機溶剤ではなく、第2の有機溶剤を用いて有機ビヒクルを調製し、第1の有機溶剤は分散工程で添加してもよい。
有機ビヒクルを調製する際の具体的な条件は特に限定されないが、有機溶剤を例えば50℃〜60℃に加温した恒温槽の中で、有機樹脂を有機溶剤に徐々に加え、引き続き有機樹脂が溶解するまで攪拌しながら加熱することで調製することができる。
(分散工程)
分散工程では、有機ビヒクル調製工程で調製した有機ビヒクル、及びニッケル粉末を、ミキサーに投入して撹拌、混合することができる。また、有機ビヒクル調製工程で未添加の有機溶剤を併せてミキサーに投入して撹拌、混合することができる。
また、ミキサーによる撹拌、混合後に例えば、スリーロールミルによってニッケル粉末等を有機ビヒクル中により均一に分散混合させることが好ましい。
なお、有機ビヒクル、及びニッケル粉末をミキサーに投入した際に、上述のように、必要に応じて例えばセラミック粉末や、各種添加剤等もあわせて投入することもできる。
以上の各工程を実施することにより、本実施形態の内部電極用ペーストを製造することができる。
[積層セラミックコンデンサ]
次に、上述の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを用いて形成した内部電極を含む積層セラミックコンデンサの一構成例について説明する。
本実施形態の積層セラミックコンデンサの断面模式図を図1に示す。図1は積層セラミックコンデンサ10の中心を通り、誘電体層11と、内部電極12との積層方向と平行な面での断面模式図を示したものである。図1に示すように、本実施形態の積層セラミックコンデンサ10は、グリーンシートを焼成して得られた誘電体層11と、上述の内部電極用ペーストを焼成して得られた内部電極12とが交互に積層した構造を有することができる。また、積層セラミックコンデンサ10の外面には内部電極12と接続された外部電極13を有することができる。
図1に示した積層セラミックコンデンサの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の各種積層セラミックコンデンサの製造方法により製造することができる。具体的には例えば、以下の工程を有することができる。
チタン酸バリウム等の誘電体粉末と、有機バインダとを含有するグリーンシート(誘電体グリーンシート)を製造するグリーンシート製造工程。
グリーンシート表面に内部電極用ペーストを所望の内部電極のパターンに応じて塗布、乾燥する内部電極パターン形成工程。
内部電極パターンとグリーンシートとが交互になるように積層した後、熱圧着し、該熱圧着体を目的の大きさに切断する積層・切断工程。
有機バインダを除去するため、加熱して有機バインダを除去する脱バインダ工程。
焼成して内部電極、及び誘電体を焼結させる焼結工程。
得られた積層セラミックコンデンサ素体に外部デバイスを接合するための外部電極を取り付ける外部電極形成工程。
グリーンシート形成工程で用いる有機バインダについては特に限定されるものではないが、例えば本実施形態の内部電極用ペーストとの密着性を特に高める観点からポリビニルブチラールを含有していることが好ましい。
また、グリーンシート形成工程で用いるグリーンシート用の出発原料としては上述の誘電体粉末や、有機バインダに加えて、有機溶剤や、各種分散剤、可塑剤、帯電除剤等を添加したものを用いることができる。なお、グリーンシート用の出発原料として有機溶剤を用いる場合、予め有機バインダを有機溶剤に溶解し、有機ビヒクルを調製することが好ましい。そして、該有機ビヒクルに誘電体粉末や、各種添加剤等を混合して得られたペーストをグリーンシート製造工程に供することが好ましい。
そして、内部電極形成工程で用いる内部電極用ペーストは上述の内部電極用ペーストを用いることが好ましい。
脱バインダ工程や、焼結工程における加熱温度、雰囲気等は特に限定されるものではなく、用いた材料等に応じて、任意に選択することができる。
本実施形態の積層セラミックコンデンサは、内部電極を上述の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを用いて製造することができる。このため、内部電極パターンを形成後、乾燥した乾燥膜中の有機溶剤の残留量を抑制することができ、シートアタックの発生を特に抑制することができる。
また、上述の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストは、内部電極パターン形成工程において、時間の経過による粘度の増加を抑制することができるため、安定して内部電極パターンを印刷することができる。このため、生産性よく積層セラミックコンデンサを製造することができる。
以下、実施例を参照しながら本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ここでまず以下の実施例、比較例における試料の評価方法について説明する。
(粘度変化率)
以下の実施例、比較例で調製した内部電極用ペーストを、内部電極パターンを印刷するスクリーン印刷機に充填する前に回転粘度計(ブルックフィールド社製 型式:HAT型)により10rpm、25℃の条件で測定した(初期粘度)。
また、スクリーン印刷機で500ショット(10秒/1ショット)印刷した後、内部電極用ペーストを回収し、初期粘度の場合と同様にして粘度を測定した(経時粘度)。
そして、以下の式(1)を用いて各実施例、比較例について粘度変化率を算出した。
粘度変化率(%)=100×[(経時粘度)−(初期粘度)]/(初期粘度)・・式(1)
(溶剤残存率)
PET(ポリエチレンテレフタレート)製のフィルム上にアプリケーターを用いて、各実施例、比較例で調製した内部電極用ペーストを膜状に成形した後、120℃で10分間乾燥させ厚み約30μmの乾燥膜を得た。
次いで、乾燥させた膜をPETフィルムから剥がし、TG−DTAによりキャリアガスとして窒素ガスを流しながら、10℃/minの昇温速度で室温から250℃まで昇温した。そして、室温から250℃までの間の重量減少率を測定し、該重量減少率を溶剤残存率とした。
以下、各実施例、比較例についての試料の作製手順、評価結果について説明する。
[実施例1−1〜実施例1−3]
実施例1−1〜実施例1−3については以下の手順により内部電極用ペーストを作製し、その評価を行った。なお、実施例1−1〜実施例1−3については表1に示すように添加した成分量が異なる点以外は同様にして内部電極用ペーストを作製している。
(有機ビヒクル調製工程)
有機ビヒクル調製工程では、ポリビニルブチラールを含有する有機ビヒクルを調製するポリビニルブチラール有機ビヒクル調製工程と、エチルセルロースを含有する有機ビヒクルを調製するエチルセルロース有機ビヒクル調製工程とを実施した。
ポリビニルブチラール有機ビヒクル調製工程ではまず、第1の有機溶剤であるターピネオール(α、β、γ混合体)について、各実施例における添加量の半分を60℃まで加熱した。そして、加熱したターピネオールをインペラー(羽根車)で攪拌しながら、ポリビニルブチラール3.0質量部を徐々に加えてポリビニルブチラールを含有する有機ビヒクルを調製した。
また、エチルセルロース有機ビヒクル調製工程でも同様に、有機溶剤であるターピネオール(α、β、γ混合体)について、各実施例における添加量の半分を60℃まで加熱した。そして、加熱したターピネオールをインペラー(羽根車)で攪拌しながら、エチルセルロース4.0質量部を徐々に加えてエチルセルロースを含有する有機ビヒクルを調製した。
なお、いずれの実施例においても有機溶剤は89.0質量部となるように添加している。また、有機樹脂の添加量の合計は7.0質量部となる。そして、各実施例において、有機溶剤については、第1の有機溶剤と、第2の有機溶剤とを、表1に示した割合となるようにしている。
(分散工程)
次に分散工程を実施した。
分散工程ではまず、有機ビヒクル調製工程で調製した2種類の有機ビヒクルと、ニッケル粉末と、セラミック粉末であるBaTiO(チタン酸バリウム)と、第2の有機溶剤である飽和脂肪族系炭化水素溶剤と、をミキサーに投入して攪拌した。
ここで、ニッケル粉末は内部電極用ペースト中の含有率が約46.3wt%となるように100質量部添加した。また、BaTiO粉末は20.0質量部となるように添加した。
なお、Ni粉末はSEMを用いて測定した平均粒径が0.4μmのものを使用した。また、BaTiO粉末はSEMを用いて測定した平均粒径が0.1μmのものを使用した。
そして得られたスラリーについて、さらにスリーロールミルを用いて完全分散させた。
なお、第2の有機溶剤である飽和脂肪族系炭化水素溶剤としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製の0号ソルベント(商品名)を使用した。0号ソルベントは飽和炭化水素が99vol%以上含まれており、トリデカン、ノナン、シクロヘキサンを主成分として含んでいる。以下、他の実施例、比較例においても飽和脂肪族系炭化水素溶剤としては同様の材料を使用した。
得られた内部電極用スラリーについて、粘度変化率、及び溶剤残存率の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006361356
[比較例1−1〜比較例1−3]
有機溶剤中の第1の有機溶剤、及び第2の有機溶剤の割合を表1に示した値とした点以外は、実施例1−1〜実施例1−3と同様にして内部電極用ペーストを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2−1〜実施例2−3]
第2の有機溶剤として、飽和脂肪族系炭化水素溶剤にかえて、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを用いた点。有機溶剤中の第1の有機溶剤、及び第2の有機溶剤の割合を表2に示した値とした点。以上の2点以外は実施例1−1〜実施例1−3と同様にして内部電極用ペーストを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
なお、表2中、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは「EGMEA」として示している。
Figure 0006361356
[比較例2−1、比較例2−2]
有機溶剤中の第1の有機溶剤、及び第2の有機溶剤の割合を表2に示した値とした点以外は、実施例2−1〜実施例2−3と同様にして内部電極用ペーストを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例3−1〜実施例3−3]
第1の有機溶剤として、ターピネオールにかえて、イソボルニルアセテートを用いた点。有機溶剤中の第1の有機溶剤、及び第2の有機溶剤の割合を表3に示した値とした点。以上の2点以外は実施例1−1〜実施例1−3と同様にして内部電極用ペーストを作製し、評価を行った。なお、第1の有機溶剤としてイソボルニルアセテートを用いているため、各有機ビヒクルを調製する際には、イソボルニルアセテートを用いている。結果を表3に示す。
Figure 0006361356
[比較例3−1〜比較例3−3]
有機溶剤中の第1の有機溶剤、及び第2の有機溶剤の割合を表3に示した値とした点以外は、実施例3−1〜実施例3−3と同様にして内部電極用ペーストを作製し、評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例4−1〜実施例4−3]
第2の有機溶剤として、飽和脂肪族系炭化水素溶剤にかえて、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを用いた点。有機溶剤中の第1の有機溶剤、及び第2の有機溶剤の割合を表4に示した値とした点。以上の2点以外は実施例3−1〜実施例3−3と同様にして内部電極用ペーストを作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0006361356
[比較例4−1、比較例4−2]
有機溶剤中の第1の有機溶剤、及び第2の有機溶剤の添加量を表4に示した値とした点以外は、実施例4−1〜実施例4−3と同様にして内部電極用ペーストを作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
以上に示した実施例、比較例の結果によると、有機溶剤中の第1の有機溶剤の割合が、20wt%より多く80wt%未満である実施例1−1〜実施例1−3、実施例2−1〜実施例2−3、実施例3−1〜実施例3−3、実施例4−1〜実施例4−3については、粘度変化率が15%以内であり、かつ溶剤の残存率が1wt%以下であることを確認できた。
また、比較例1−1〜比較例1−3、比較例2−1、比較例2−2、比較例3−1〜比較例3−3、比較例4−1、比較例4−2においては、粘度変化率が15%を超えているか、有機溶剤の残存率が1wt%より大きくなっていることが確認できた。
比較例として示した内部電極用ペーストによれば、内部電極用ペーストをグリーンシート上に印刷、乾燥し、乾燥膜を形成した場合にシートアタックを生じるか、印刷時に内部電極用ペーストの粘度が大幅に増加し、印刷を行うことが困難になる恐れがある。
これに対して実施例として示した内部電極用ペーストによれば、内部電極用ペーストの乾燥膜内の有機溶剤の残存率が1wt%以下に抑制されていることから、シートアタックの発生を抑制することができる。さらに、粘度の変化率も15%以下に抑制されているため、安定して内部電極パターンを印刷できる。
10 積層セラミックコンデンサ

Claims (4)

  1. ニッケル粉末と、
    ポリビニルブチラールと、
    エチルセルロースと、
    有機溶剤とを含有しており、
    前記有機溶剤は、第1の有機溶剤と、第2の有機溶剤と、を含み、
    前記有機溶剤中の前記第1の有機溶剤の割合が、20wt%より多く80wt%未満であり、
    前記第1の有機溶剤は、ターピネオール、および/またはイソボルニルアセテートであり、
    前記第2の有機溶剤は、飽和脂肪族系炭化水素溶剤、および/またはエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートであり、
    膜状に成形後、120℃で乾燥した厚さ30μmの乾燥膜中の前記第1の有機溶剤、及び前記第2の有機溶剤の含有率が1wt%以下であり、かつ、
    調製直後の粘度を初期粘度、調製後5000秒経過時の粘度を経時粘度とした場合に、式(1)により算出される粘度変化率が15%以内である積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト。
    粘度変化率(%)=100×[(経時粘度)−(初期粘度)]/(初期粘度)・・・式(1)
  2. 前記ニッケル粉末の含有量を100質量部とした場合に、前記ポリビニルブチラール、及び前記エチルセルロースの含有量の合計が1質量部以上7質量部以下である請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト。
  3. 前記ニッケル粉末を30wt%以上70wt%以下含有する請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペースト。
  4. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用ペーストを用いて形成した内部電極を含む積層セラミックコンデンサ。
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