JP2024032861A - 導電性ペースト、電子部品、及び積層セラミックコンデンサ - Google Patents

導電性ペースト、電子部品、及び積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】 分散性に優れた導電性ペースト等を提供する。【解決手段】導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む導電性ペーストであって、分散剤は、分子量が500より大きく2000以下の酸系分散剤を含み、酸系分散剤は、炭化水素基からなる分岐鎖を1つ以上有する、導電性ペースト。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性ペースト、電子部品、及び積層セラミックコンデンサに関する。
携帯電話やデジタル機器などの電子機器の小型化および高性能化に伴い、積層セラミックコンデンサなどを含む電子部品についても小型化および高容量化が望まれている。積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体層と複数の内部電極層とが交互に積層した構造を有し、これらの誘電体層及び内部電極層を薄膜化することにより、小型化及び高容量化を図ることができる。
積層セラミックコンデンサは、例えば、次のように製造される。まず、チタン酸バリウム(BaTiO)などの誘電体粉末及びバインダー樹脂を含有する誘電体グリーンシートの表面上に、内部電極用の導電性ペーストを所定の電極パターンで印刷(塗布)し、乾燥して、乾燥膜を形成する。この乾燥膜と誘電体グリーンシートとが交互に重なるように積層し、加熱圧着して一体化し、圧着体を形成する。この圧着体を切断し、酸化性雰囲気または不活性雰囲気中にて脱有機バインダー処理を行った後、焼成を行い、焼成チップ(積層体)を得る。次いで、焼成チップ(積層体)の両端部に外部電極用ペーストを塗布し、焼成後、外部電極表面にニッケルメッキなどを施して、積層セラミックコンデンサが得られる。
一般的に、内部電極の形成に用いられる導電性ペーストは、導電性粉末、セラミック粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む。また、導電性ペーストは、導電性粉末などの分散性を向上させるために分散剤を含むことがある。近年の内部電極層の薄膜化に伴い、導電性粉末も小粒径化する傾向がある。導電性粉末の粒径が小さい場合、その粒子表面の比表面積が大きくなるため、導電性粉末(金属粉末)の表面活性が高くなり、分散性の低下や、粘度特性の低下が生じる場合がある。
そこで、導電性ペーストの経時的な粘度特性の改善の試みがなされている。例えば、特許文献1には、少なくとも金属成分と、酸化物と、分散剤と、バインダー樹脂とを含有する導電性ペーストであって、金属成分は、その表面組成が、特定の組成比を有するNi粉末であり、分散剤の酸点量は、500~2000μmol/gであり、バインダー樹脂の酸点量は、15~100μmol/gである導電性ペーストが記載されている。そして、特許文献1によれば、この導電性ペーストは、良好な分散性と粘度安定性を有するとされている。
また、特許文献2には、導電性粉末、樹脂、有機溶剤、BaTiOを主とするセラミックス粉末の共材、および凝集抑制剤からなる内部電極用導電ペーストであって、前記凝集抑制剤の含有量が0.1重量%以上5重量%以下であり、前記凝集抑制剤が、特定の構造式で示される3級アミン又は2級アミンである内部電極用導電ペーストが記載されている。特許文献2によれば、この内部電極用導電ペーストは、共材成分の凝集を抑制し、長期保管性に優れ、積層セラミックコンデンサの薄膜化を可能とするとされている。
一方、内部電極層を薄膜化する際、誘導体グリーンシート表面上に導電性ペーストを印刷して、乾燥させて得られる乾燥膜の密度が高いことが要求される。例えば、特許文献3には、有機溶媒と、界面活性剤と、金属超微粒子とを含有する金属超微粉スラリーであって、前記界面活性剤がオレオイルサルコシンであり、前記金属超微粉スラリー中に、前記金属超微粉を70質量%以上95質量%以下含有し、前記界面活性剤を前記金属超微粉100質量部に対して0.05質量部超2.0質量部未満含有する金属超微粉スラリーが提案されている。特許文献3によれば、超微粒子の凝集を防止することで凝集粒子が存在しない、分散性及び乾燥膜密度に優れる金属超微粉スラリーが得られるとされている。
特開2015-216244号公報 特開2013-149457号公報 特開2006-063441号公報
近年の電極パターンや誘電体層の薄膜化に伴い、各電極パターン間のクリアランスを精度良く維持するために、導電性粉末が凝集した粗大粒子による表面荒れなどがない、より平滑な電極表面が要求されている。
本発明は、このような状況に鑑み、導電性粉末及びセラミック粉末の分散性がより向上した導電性ペーストを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様では、導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む導電性ペーストであって、分散剤が酸系分散剤を含み、酸系分散剤は、平均分子量が500を超え2000以下であり、かつ、主鎖に対して炭化水素基からなる分岐鎖を1つ以上有する、導電性ペーストが提供される。
また、酸系分散剤はカルボキシル基を有する酸系分散剤であることが好ましく、ポリカルボン酸を主鎖とする炭化水素系グラフト共重合体であることがより好ましい。また、酸系分散剤は、導電性粉末100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下含有することが好ましい。また、分散剤はさらに塩基系分散剤を含有することが好ましい。また、塩基系分散剤は脂肪族アミンもしくはポリエーテルアミンから選ばれる1種もしくは2種混合であることが好ましい。また、塩基系分散剤は、導電性粉末100質量部に対して、0.01質量部以上3質量部以下含有することが好ましい。また、導電性粉末は、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属粉末を含有することが好ましい。また、導電性粉末は、平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下であることが好ましい。また、セラミック粉末は、ペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。また、セラミック粉末は、平均粒径が0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。また、バインダー樹脂は、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂及びブチラール系樹脂のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。また、上記導電性ペーストは、積層セラミック部品の内部電極用であることが好ましい。
本発明の第2の態様では、上記導電性ペーストを用いて形成された電子部品が提供される。
本発明の第3の態様では、誘電体層と内部電極とを積層した積層体を少なくとも有し、前記内部電極は、上記導電性ペーストを用いて形成された、積層セラミックコンデンサが提供される。
本発明の導電性ペーストによれば、粉末材料である導電性粉末やセラミック粉末の分散性が向上し、かつ、塗布後の乾燥電極表面の平滑性が向上する。また、本発明の導電性ペーストを用いて形成される積層セラミックコンデンサなどの電子部品の電極パターンは、薄膜化した電極を形成する際も導電性ペーストの印刷性に優れ、精度良く均一な幅及び厚みを有することができる。
図1は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサを示す斜視図及び断面図である。
本実施形態の導電性ペーストは、導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む。以下、各成分について詳細に説明する。
(導電性粉末)
導電性粉末は、特に限定されず、公知の金属粉末を用いることができる。導電性粉末は、例えば、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu、およびこれらの合金から選ばれる1種以上の粉末を用いることができる。これらの中でも、導電性、耐食性及びコストの観点から、Ni、またはその合金の粉末(以下、「Ni粉末」と称する場合がある)が好ましい。Ni合金としては、例えば、Mn、Cr、Co、Al、Fe、Cu、Zn、Ag、Au、PtおよびPdからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素とNiとの合金を用いることができる。Ni合金におけるNiの含有量は、例えば、50質量%以上、好ましくは80質量%以上である。また、Ni粉末は、脱バインダー処理の際、バインダー樹脂の部分的な熱分解による急激なガス発生を抑制するために、数百ppm程度の元素Sを含んでもよい。
導電性粉末の平均粒径は、好ましくは0.05μm以上1.0μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。導電性粉末の平均粒径が上記範囲である場合、薄膜化した積層セラミックコンデンサ(積層セラミック部品)の内部電極用ペーストに好適に用いることができ、例えば、乾燥膜の平滑性及び乾燥膜密度が向上する。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、SEMで倍率10,000倍にて観察した画像から、複数の粒子一つ一つの粒径を測定して、得られる個数平均値である。
導電性粉末の含有量は、導電性ペースト全量に対して、好ましくは30質量%以上70質量%未満であり、より好ましくは40質量%以上60質量%以下である。導電性粉末の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
(セラミック粉末)
セラミック粉末としては、特に限定されず、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストに用いる場合、適用する積層セラミックコンデンサの種類により適宜、公知のセラミック粉末が選択される。セラミック粉末としては、例えば、Ba及びTiを含むペロブスカイト型酸化物が挙げられ、好ましくはチタン酸バリウム(BaTiO)である。
セラミック粉末としては、チタン酸バリウムを主成分とし、酸化物を副成分として含むセラミック粉末を用いてもよい。酸化物としては、Mn、Cr、Si、Ca、Ba、Mg、V、W、Ta、Nbおよび希土類元素から選ばれる1種類以上からなる酸化物が挙げられる。
また、セラミック粉末としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)のBa原子やTi原子を他の原子、例えば、Sn、Pb、Zrなどで置換したペロブスカイト型酸化物強誘電体のセラミック粉末を用いてもよい。
内部電極用ペーストとして用いる場合、セラミック粉末は、積層セラミックコンデンサ(電子部品)の誘電体グリーンシートを構成する誘電体セラミック粉末と同一組成の粉末を用いてもよい。これにより、焼結工程における誘電体層と内部電極層との界面での収縮のミスマッチによるクラックの発生が抑制される。このようなセラミック粉末としては、上記のBa及びTiを含むペロブスカイト型酸化物以外に、例えば、ZnO、フェライト、PZT、BaO、Al、Bi、R(希土類元素)、TiO、Ndなどの酸化物が挙げられる。なお、セラミック粉末は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
セラミック粉末の平均粒径は、例えば、0.01μm以上0.5μm以下であり、好ましくは0.01μm以上0.3μm以下の範囲である。セラミック粉末の平均粒径が上記範囲であることにより、内部電極用ペーストとして用いた場合、十分に細く薄い均一な内部電極を形成することができる。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、SEMで倍率50,000倍にて観察した映像から、複数の粒子一つ一つの粒径を測定して、得られる個数平均値である。
セラミック粉末の含有量は、導電性粉末100質量部に対して、好ましくは1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは3質量部以上30質量部以下である。
セラミック粉末の含有量は、導電性ペースト全量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上20質量%以下である。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、特に限定されず、公知の樹脂を用いることができる。バインダー樹脂としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルブチラールなどのブチラール系樹脂などが挙げられる。中でも、溶剤への溶解性、燃焼分解性の観点などからエチルセルロースを含むことが好ましい。また、内部電極用ペーストに用いる場合、誘電体グリーンシートとの接着強度を向上させる観点からブチラール系樹脂を含む、又は、ブチラール系樹脂を単独で使用してもよい。バインダー樹脂は、1種類を用いてもよく、又は、2種類以上を用いてもよい。また、バインダー樹脂は、各種特性の改善の観点から、セルロース系樹脂とブチラール系樹脂との混合物を用いることが、好ましい。また、バインダー樹脂の分子量は、例えば、20000~200000程度である。
バインダー樹脂の含有量は、導電性粉末100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上15質量部以下である。
バインダー樹脂の含有量は、導電性ペースト全量に対して、好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上6質量%以下である。バインダー樹脂の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、特に限定されず、上記バインダー樹脂を溶解することができる公知の有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、例えば、ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピネート、イソボルニルブチレート及びイソボルニルイソブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのアセテート系溶剤、ターピネオール、ジヒドロターピネオールなどのテルペン系溶剤、トリデカン、ノナン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤などが挙げられる。中でもターピネオールなどのテルペン系溶剤を用いるのが好ましい。なお、有機溶剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
有機溶剤の含有量は、導電性粉末100質量部に対して、好ましくは40質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは65質量部以上95質量部以下である。有機溶剤の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
有機溶剤の含有量は、導電性ペースト全量に対して、20質量%以上60質量%以下が好ましく、35質量%以上55質量%以下がより好ましい。有機溶剤の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
(分散剤)
本発明者らは、導電性ペーストに用いる分散剤について、種々の分散剤を検討した結果、平均分子量が500を超え2000以下であり、かつ、主鎖に対して炭化水素基からなる分岐鎖を1つ以上有する酸系分散剤を用いることにより、導電性ペーストに含有される粉末材料(導電性粉末及びセラミック粉末)の分散性が向上し、かつ、乾燥膜表面の平滑性を向上できることを見出した。この理由の詳細は不明であるが、酸系分散剤が炭化水素基からなる分岐鎖を有することにより、効果的に立体障害を形成して、粉末材料の凝集を抑制するとともに、特定の大きさの分子量とすることで、導電性ペーストに適した粘度を維持できるものと考えられる。以下、本実施形態に用いられる酸系分散剤について、さらに詳細に説明する。
酸系分散剤は、主鎖に対して炭化水素基からなる分岐鎖を1つ以上有し、好ましくは複数有する。また、酸系分散剤は、カルボキシル基を有することが好ましく、ポリカルボン酸を主鎖とする炭化水素系グラフト共重合体であることがより好ましい。
酸系分散剤の分子量は、500を超え2000以下である。分子量が上記範囲である場合、導電性粉末及びセラミック粉末の分散性に優れ、乾燥膜表面の密度、及び、平滑性に優れる。
酸系分散剤は、例えば、市販の製品から、上記特性を満たすものを選択して用いることができる。また、酸系分散剤は、従来公知の製造方法を用いて、上記特性を満たすように製造してもよい。
酸系分散剤は、導電性粉末100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下含有され、より好ましくは0.05質量部以上3質量部以下含有される。酸系分散剤の含有量が上記範囲である場合、導電性粉末及びセラミック粉末の分散性や、乾燥膜表面の平滑性により優れる。また、導電性ペーストの粘度を適切な範囲に調整することができ、シートアタックやグリーンシートの剥離不良を抑制することができる。
また、酸系分散剤の含有量の下限は、導電性粉末100質量部に対して、0.1質量部を超えてもよく、0.5質量部を超えてもよい。酸系分散剤の含有量の下限が上記範囲である場合、導電性粉末及びセラミック粉末の分散性や、乾燥膜表面の平滑性により優れる。
また、酸系分散剤の含有量の上限は、導電性粉末100質量部に対して、1.5質量部以下であってもよく、1質量部以下であってもよい。酸系分散剤の含有量の上限が上記範囲である場合であっても、導電性粉末及びセラミック粉末の分散性や、乾燥膜表面の平滑性に十分に優れ、かつ、シートアタックやグリーンシートの剥離不良を抑制することができる。
また、酸系分散剤は、導電性ペースト全量に対して、好ましくは3質量%以下含有される。酸系分散剤の含有量の上限は、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。酸系分散剤の含有量の下限は、特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上である。酸系分散剤の含有量が上記範囲である場合、導電性ペーストの粘度を適切な範囲に調整することができ、また、シートアタックやグリーンシートの剥離不良を抑制することができる。
本実施形態に係る導電ペーストは、分散剤として、さらに塩基系分散剤を含有させてもよい。塩基系分散剤の種類は特に限定されないが、中でも脂肪族アミン及びポリエーテルアミンから選ばれる1種又は2種以上であることがより好ましい。
塩基系分散剤は、導電性粉末100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上3質量部以下含有され、より好ましくは0.01質量部以上1質量部以下含有され、さらに好ましくは0.05質量部以上1質量部以下含有される。塩基系分散剤の含有量が上記範囲である場合、導電性ペーストの粘度を適切な範囲に調整しつつ、導電性粉末やセラミック粉末の分散性や、乾燥膜表面の平滑性をより向上させることができる。また、シートアタックやグリーンシートの剥離不良をより抑制することができる。
また、例えば、導電性粉末100質量部に対して、酸系分散剤が1質量部以下で含まれる場合であっても、塩基系分散剤を0.01質量部以上0.3質量部以下、好ましくは0.01質量部以上0.2質量部以下含むことにより、導電性粉末やセラミック粉末の分散性や及び、乾燥膜の平滑性に優れ、導電性ペースト粘度を適切な範囲に調整することができる。
また、塩基系分散剤は、導電性ペースト全量に対して、好ましくは2質量%以下含有される。塩基系分散剤の含有量の上限は、好ましくは、1.5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。また、塩基系分散剤の含有量の上限は、0.5質量%以下であってもよく、0.2質量%以下であってもよい。また、塩基系分散剤の含有量の下限は、特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上であり、好ましくは0.02質量%以上であり、0.05質量%以上であってもよい。塩基系分散剤の含有量が上記範囲である場合、導電性ペーストの粘度を適切な範囲に調整しつつ、導電性粉末やセラミック粉末の分散性や、塗布後の乾燥電極表面の平滑性をより向上させることができる。また、シートアタックやグリーンシートの剥離不良をより抑制することができる。
なお、導電性ペーストは、上記の酸系分散剤や塩基系分散剤以外の分散剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよい。上記以外の分散剤としては、例えば、高級脂肪酸、高分子界面活性剤などを含む酸系分散剤、両性界面活性剤、及び高分子系分散剤などなどが挙げられる。また、これらの分散剤は、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記の酸系分散剤や塩基系分散剤以外の分散剤を含有させる場合は、分散剤全体の含有量(総含有量)が、導電性粉末100質量部に対して、0.01質量部以上8質量部以下であることが好ましい。また、分散剤全体の含有量(総含有量)は、5質量部以下であってよく、3質量部以下であってもよく、1質量部以下であってもよい。本実施形態に係る導電性ペーストにおいては、上記の酸系分散剤を含むことにより、分散剤全体の含有量が上記範囲であっても、分散性や、平滑性、ペースト粘度により優れることができる。
(導電性ペースト)
本実施形態の導電性ペーストの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。導電性ペーストは、例えば、上記の各成分(導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、バインダー樹脂、有機溶剤など)を混合(攪拌・混練)して、製造することができる。なお、混合(撹拌・混錬)に用いる装置は、特に限定されず、例えば、3本ロールミル、ボールミル、ミキサーなどを用いる。
上記の各材料は、同時に混合してもよいが、例えば、予め、導電性粉末と、分散剤の一部又は全部と、有機溶剤の一部とを混合して、導電性粉末スラリーを作製した後、残りの材料を混合してもよい。これにより、導電性粉末表面に予め分散剤を塗布することができる。導電性粉末の表面に予め分散剤が塗布されていると、他の材料と混合して導電性ペーストを製造する際にも、導電性粉末が凝集することなく十分に分散した状態を維持し、均一な導電性ペーストを得やすい。
導電性粉末スラリーは、例えば、導電性粉末100質量部に対して、分散剤を0.01質量部以上5質量部未満、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下で混合して作製されてもよい。なお、導電性粉末スラリー中の分散剤、及び、有機溶剤の含有量は、導電性粉末スラリーの粒径、含有量などにより、適宜、調整することができる。また、導電性粉末スラリーの製造方法としては、特に限定されることなく、一般的な混錬方法を用いることができる。
また、例えば、予め、セラミック粉末と、分散剤の一部と、有機溶剤の一部とを混合して、セラミック粉末スラリーを作製した後、残りの材料を混合してもよい。これにより、セラミック粉末に予め分散剤を塗布することができる。セラミック粉末表面に予め分散剤が塗布されていると、他の材料と混合して導電性ペーストを製造する際にも、セラミック粉末が凝集することなく十分に分散した状態を維持し、均一な導電性ペーストを得やすくなる。
セラミック粉末スラリーは、例えば、セラミック粉末100質量部に対して、分散剤を0.01質量部以上10質量部以下、好ましくは0.1質量部以上5質量部以下で混合して作製されてもよい。なお、セラミック粉末スラリー中の分散剤、及び、有機溶剤の含有量は、セラミック粉末の粒径、含有量などにより、適宜、調整することができる。また、セラミック粉末スラリーの製造方法としては、特に限定されることなく、一般的な混錬方法を用いることができる。
なお、導電性ペーストを作製する際に用いられる導電性粉末スラリー及びセラミック粉末スラリーの粘度は、120Pa・S以下程度であれば、実用上問題ない。導電性粉末スラリー及びセラミック粉末スラリーの粘度は、有機溶剤の含有量により調整することができる。なお、分散剤として、上記の酸系分散剤を用いる場合、導電性粉末及びセラミック粉末の分散性に優れるため、スラリー粘度の調整に多量の有機溶剤を必要とせず、内部電極を作製する際に、乾燥時間を短縮することができ、有機溶剤の残留という問題も生じにくい。
また、バインダー樹脂をビヒクル用の有機溶剤に溶解させ、有機ビヒクルを作製し、ペースト用の有機溶剤へ、導電性粉末、セラミック粉末、有機ビヒクル及び分散剤を添加し、ミキサーで攪拌・混練し、導電性ペーストを作製してもよい。
また、有機溶剤中、ビヒクル用の有機溶剤としては、有機ビヒクルの馴染みをよくするため、導電性ペーストの粘度を調整するペースト用の有機溶剤と同じものを用いることが好ましい。ビヒクル用の有機溶剤の含有量は、導電性粉末100質量部に対して、例えば、5質量部以上80質量部以下である。また、ビヒクル用の有機溶剤の含有量は、導電性ペースト全量に対して、好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
導電性ペーストは、導電性ペーストの製造24時間経過後の粘度が、10Pa・s以上50Pa・s以下であるのが好ましい。
また、導電性ペーストを印刷した後、乾燥して得られる乾燥膜の乾燥膜密度(DFD)は、5.0g/cmを超えるのが好ましく、5.3g/cm以上であることがより好ましく、5.5g/cm以上がさらに好ましく、5.6g/cm以上であるのが特に好ましい。なお、乾燥膜密度(DFD)の上限は、特に限定されないが、6.5g/cm以下であってもよい。
また、導電性ペーストをスクリーン印刷し、大気中120℃で1時間乾燥させることにより、20mm角、膜厚1~3μmの乾燥膜を作製した際の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、0.04μm以下であることが好ましく、0.03μm以下であることがより好ましい。なお、表面粗さRa(算術平均粗さ)の下限は、表面は平らであるのが好ましく特に限定されないが、0を超える値であって小さい値であるほど好ましい。
また、上記の乾燥膜のRt(最大断面高さ)は、0.4μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。なお、表面粗さRa(算術平均粗さ)の下限は、表面は平らであるのが好ましく特に限定されないが、0を超える値であって小さい値であるほど好ましい。
導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサなどの電子部品に好適に用いることができる。積層セラミックコンデンサは、誘電体グリーンシートを用いて形成される誘電体層及び導電性ペーストを用いて形成される内部電極層を有する。
積層セラミックコンデンサ(電子部品)は、誘電体グリーンシートに含まれる誘電体セラミック粉末と導電性ペーストに含まれるセラミック粉末とが同一組成の粉末であることが好ましい。本実施形態の導電性ペーストを用いて製造される積層セラミックデバイスは、誘電体グリーンシートの厚さが、例えば3μm以下である場合でも、シートアタックやグリーンシートの剥離不良が抑制される。
[電子部品]
以下、本発明の電子部品等の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図面においては、適宜、模式的に表現することや、縮尺を変更して表現することがある。また、部材の位置や方向などを、適宜、図1などに示すXYZ直交座標系を参照して説明する。このXYZ直交座標系において、X方向およびY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向(上下方向)である。
本実施形態に係る電子部品は、上記した本実施形態の導電性ペーストを用いて形成される。図1A及びBは、本実施形態に係る電子部品の一例である、積層セラミックコンデンサ1を示す図である。積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層12及び内部電極層11を交互に積層した積層体10と外部電極20とを備える。
以下、上記の導電性ペーストを用いて形成された内部電極層11を有する、積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。まず、誘電体グリーンシート上に、導電性ペーストを印刷して、乾燥し乾燥膜を形成する。次いで、この乾燥膜を上面に有する複数の誘電体グリーンシートを、圧着により積層させた後、焼成して一体化することにより、セラミックコンデンサ本体となる積層セラミック焼成体(積層体10)を作製する。その後、積層体10の両端部に一対の外部電極20を形成することにより積層セラミックコンデンサ1が製造される。以下に、より詳細に説明する。
まず、未焼成のセラミックシートである誘電体グリーンシート(セラミックグリーンシート)を用意する。この誘電体グリーンシートとしては、例えば、チタン酸バリウム等の所定のセラミックの原料粉末に、ポリビニルブチラール等の有機バインダーとターピネオール等の溶剤とを加えて得た誘電体層用ペーストを、PETフィルム等の支持フィルム上にシート状に塗布し、乾燥させて溶剤を除去したもの等が挙げられる。なお、誘電体グリーンシートからなる誘電体層の厚みは、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ1の小型化の要請の観点から、0.05μm以上3μm以下が好ましい。
次いで、この誘電体グリーンシートの片面に、スクリーン印刷等の公知の方法によって、上述の導電性ペーストを印刷して塗布し、乾燥させて、乾燥膜を形成したものを複数枚、用意する。なお、導電性ペーストの印刷法としては、スクリーン印刷以外を用いてもよく、形成したい電極パターンの線幅、厚さ、生産速度などに合わせて適宜選択することができる。なお、印刷後の導電性ペースト(乾燥膜)の厚みは、内部電極層11の薄層化の要請の観点から、乾燥後1μm以下とすることが好ましい。
次いで、支持フィルムから、誘電体グリーンシートを剥離するとともに、誘電体グリーンシートとその片面に形成された導電性ペースト(乾燥膜)とが交互に配置されるように積層した後、加熱・加圧処理により積層体(圧着体)を得る。なお、積層体の両面に、導電性ペーストを塗布していない保護用の誘電体グリーンシートを更に配置する構成としても良い。
次いで、積層体を所定サイズに切断してグリーンチップを形成した後、当該グリーンチップに対して脱バインダー処理を施し、還元雰囲気下において焼成することにより、積層セラミック焼成体(積層体10)を製造する。なお、脱バインダー処理における雰囲気は、大気またはNガス雰囲気にすることが好ましい。脱バインダー処理を行う際の温度は、例えば200℃以上400℃以下である。また、脱バインダー処理を行う際の、上記温度の保持時間を0.5時間以上24時間以下とすることが好ましい。また、焼成は、内部電極層11に用いる金属の酸化を抑制するために還元雰囲気で行われ、また、積層体10の焼成を行う際の温度は、例えば、1000℃以上1350℃以下であり、焼成を行う際の、温度の保持時間は、例えば、0.5時間以上8時間以下である。
グリーンチップの焼成を行うことにより、誘電体グリーンシート中の有機バインダーが完全に除去されるとともに、セラミックの原料粉末が焼成されて、セラミック製の誘電体層12が形成される。また乾燥膜中の有機ビヒクルが除去されるとともに、ニッケル粉末またはニッケルを主成分とする合金粉末が焼結もしくは溶融、一体化されて、内部電極層11が形成され、誘電体層12と内部電極層11とが複数枚、交互に積層された積層セラミック焼成体(積層体10)が形成される。なお、酸素を誘電体層12の内部に取り込んで信頼性を高めるとともに、内部電極層11の再酸化を抑制するとの観点から、焼成後の積層セラミック焼成体(積層体10)に対して、アニール処理を施してもよい。
そして、作製した積層セラミック焼成体(積層体10)に対して、一対の外部電極20を設けることにより、積層セラミックコンデンサ1が製造される。例えば、外部電極20は、外部電極層21及びメッキ層22を備える。外部電極層21は、内部電極層11と電気的に接続する。なお、外部電極20の材料としては、例えば、銅やニッケル、またはこれらの合金が好適に使用できる。なお、電子部品は、積層セラミックコンデンサ以外の電子部品を用いることもできる。
以下、本発明を実施例と比較例に基づき詳細に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
[評価方法]
(導電性粉末スラリーの分散性)
導電性粉末と分散剤、及び有機溶剤からなる評価用の導電性粉末スラリーを作製し、その粘度を測定して分散性を評価した。後述する試験1に記載の配合で評価用の導電性粉末スラリーを作製し、作製1時間後の粘度を、ブルックフィールド社製B型粘度計を用いて10rpm(ずり速度=4sec-1)の条件で測定した。導電性粉末スラリーの分散性が十分でない場合、導電性粉末(粉末材料)が凝集して凝集粒子を形成し、この凝集粒子の影響により、導電性粉末スラリーの粘度が上昇する。よって、導電性粉末スラリーの粘度が低いほど、分散性に優れることを示す。
(セラミック粉末スラリーの分散性)
セラミック粉末と分散剤、及び有機溶剤からなる評価用のセラミック粉末スラリーを作製し、その粘度を測定して分散性を評価した。後述する試験1に記載の配合で評価用のセラミック粉末スラリーを作製し、作製1時間後の粘度を、ブルックフィールド社製B型粘度計を用いて10rpm(ずり速度=4sec-1)の条件で測定した。セラミック粉末スラリーの分散性が十分でない場合、セラミック粉末(粉末材料)が凝集して凝集粒子を形成し、セラミック粉末スラリーの粘度が上昇する。よって、セラミック粉末のスラリーの粘度は低いほど、分散性に優れることを示す。
(導電性ペーストの分散性:粘度)
導電性ペーストを作製し、作製24時間経過後の粘度を、ブルックフィールド社製B型粘度計を用いて10rpm(ずり速度=4sec-1)の条件で測定した。導電性ペーストの分散性が十分でない場合、導電性粉末やセラミック粉末(粉末材料)が凝集して凝集粒子を形成し、導電性ペーストの粘度が上昇する。よって、導電性ペーストの粘度は、印刷に適した粘度範囲内で低いほど分散性に優れることを示す。
(乾燥膜密度)
導電性ペーストをPETフィルム上に載せ、幅50mm、隙間125μmのアプリケータで長さ約100mmに延ばした。得られたPETフィルムを120℃、40分乾燥させて、乾燥膜を形成した後、この乾燥膜を2.54cm(1インチ)角に4枚切断し、PETフィルムをはがした上で各4枚の乾燥膜の厚み、重量を測定して、乾燥膜密度(平均値)を算出した。
(表面粗さ)
2.54cm(1インチ)角の耐熱強化ガラス上に、作製した導電ペーストをスクリー
ン印刷し、大気中120℃で1時間乾燥させることにより、20mm角、膜厚1~3μm
の乾燥膜を作製した。乾燥膜の表面粗さRa(算術平均粗さ)、Rt(最大断面高さ)を、JIS B0601-2001の規格に基づいて測定した。
[使用材料]
(導電性粉末)
導電性粉末としては、Ni粉末(SEM平均粒径0.2μm)を使用した。
(セラミック粉末)
セラミック粉末としては、チタン酸バリウム(BaTiO;SEM平均粒径0.05μm)を使用した。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、エチルセルロース樹脂、及び、ポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂)を使用した。なお、あらかじめバインダー樹脂(バインダー樹脂全量100質量%)に対して、エチルセルロース樹脂50質量%、ポリビニルブチラール樹脂50質量%)を、ターピネオールに溶解させた有機ビヒクルを準備して、この有機ビヒクルを、導電性ペーストを作製する際に用いた。
(分散剤)
酸系分散剤として、下記の酸系分散剤A~Eを用いた。
酸系分散剤A、B:平均分子量が、それぞれ1500(酸系分散剤A)、800(酸系分散剤B)である、ポリカルボン酸を主鎖とする炭化水素系グラフト共重合体
酸系分散剤C、D:平均分子量が、それぞれ370(酸系分散剤C)、230(酸系分散剤D)であり、炭化水素基と、2つのカルボキシル基を有する酸系分散剤
酸系分散剤E:平均分子量が350であり、直鎖の炭化水素基(分岐鎖でない)と、1つのカルボキシル基とを有する酸系分散剤(従来の導電性ペーストに使用される酸系分散剤)
塩基系分散剤として、以下の塩基系分散剤F、Gを用いた。
塩基系分散剤F:ポリエーテルアミン系分散剤(ポリオキシエチレンラウリルアミン)
塩基系分散剤G:脂肪族アミン系分散剤(ロジンアミン)
(有機溶剤)
有機溶剤として、ターピネオール(テルペン系溶剤)を使用した。
(試験1)
[導電性粉末スラリーの分散性]
導電性粉末(Ni粉末)100質量部、分散剤0.2質量部、及び、有機溶剤(ターピネオール)34質量部からなる、評価用の導電性粉末スラリーを作製し、上記方法で分散性(粘度)を評価した。分散剤としては、酸系分散剤A~Eを用いた。各酸系分散剤に対する評価結果を表1に示す。
[セラミック粉末スラリーの分散性]
セラミック粉末(チタン酸バリウム)100質量部、分散剤0.6質量部、及び、有機溶剤(ターピネオール)33質量部からなる、評価用のセラミック粉末スラリーを作製し、上記方法で分散性(粘度)を評価した。分散剤としては、酸系分散剤A~Eを用いた。各酸系分散剤に対する評価結果を表1に示す。
Figure 2024032861000002
表1に示されるように、平均分子量が500を超える酸系分散剤Aと酸系分散剤Bは、従来から用いられている酸系分散剤Eよりも、導電性粉末スラリー及びセラミック粉末スラリーの粘度が低く、良好な分散性を示した。一方、平均分子量が500以下の酸系分散剤C及び酸系分散剤Dは、従来から用いられている酸系分散剤Eよりも、導電性粉末スラリー及びセラミック粉末スラリーの粘度が高く、導電性粉末及びセラミック粉末を分散させる効果が低いことが分かる。
(試験2)
導電性ペーストを下記の方法で作製し、更に詳細に評価を行った。
[実施例1]
導電性ペースト全量(100質量%)に対して、Ni粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、エチルセルロース樹脂とポリビニルブチラール樹脂からなるバインダー樹脂(エチルセルロース樹脂:ポリビニルブチラール樹脂(質量比)=1:1)を合計で6質量%、酸系分散剤Bを0.05質量%、及び、残部がターピネオールからなる配合で、これらの材料を混合して、導電性ペーストを作製した。作製した導電性ペーストの分散性(粘度)、乾燥膜密度、乾燥膜の表面粗さを上記方法で評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例2~6]
酸系分散剤の種類、及び、含有量を表2に示した量とした以外は、実施例1と同様の条件で導電性ペーストを作製した。作製した導電性ペーストの粘度、乾燥膜密度、乾燥膜の表面粗さを上記方法で評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例7~9]
分散剤として、酸系分散剤B、及び、塩基系分散剤Fを、表3に示す量で加えた以外は、実施例1と同様の条件で導電性ペーストを作製した。作製した導電性ペーストの粘度、乾燥膜密度、乾燥膜の表面粗さを上記方法で評価した。評価結果を表3に示す。
[実施例10~13]
分散剤として、酸系分散剤Bの他に塩基系分散剤F又は塩基系分散剤Gを、表4に示す量で加えた以外は、実施例2と同様の条件で導電性ペーストを作製した。作製した導電性ペーストの粘度、乾燥膜密度、乾燥膜の表面粗さを上記方法で評価した。評価結果を表4に示す。
[比較例1]
分散剤を、酸系分散剤Eに変えた以外は、実施例1と同様の条件で導電性ペーストを作製した。作製した導電性ペーストの粘度、乾燥膜密度、乾燥膜の表面粗さを上記方法で評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例2]
分散剤を、酸系分散剤Eに変えた以外は、実施例3と同様の条件で導電性ペーストを作製した。作製した導電性ペーストの粘度、乾燥膜密度、乾燥膜の表面粗さを上記方法で評価した。評価結果を表2~4に示す。
[比較例3]
分散剤を、酸系分散剤Cに変えた以外は、実施例3と同様の条件で導電性ペーストを作製した。作製した導電性ペーストの粘度、乾燥膜密度、乾燥膜の表面粗さを上記方法で評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例4]
分散剤を、酸系分散剤Eに変えた以外は、実施例2と同様の条件で導電性ペーストを作製した。作製した導電性ペーストの粘度、乾燥膜密度、乾燥膜の表面粗さを上記方法で評価した。評価結果を表4に示す。
Figure 2024032861000003
Figure 2024032861000004
Figure 2024032861000005
(評価結果)
実施例の導電性ペーストは、酸系分散剤C、Eを、実施例で用いた酸系分散剤と同量で用いた比較例の導電性ペーストと比べた場合、導電性ペーストの粘度が低く分散性に優れ、乾燥膜密度が向上し、かつ乾燥膜表面がより平滑であることが確認された。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
本発明の導電性ペーストは、分散性、塗布後の乾燥膜密度、及び、乾燥膜表面平滑性がより向上し、特に携帯電話やデジタル機器などの小型化が進む電子機器のチップ部品である積層セラミックコンデンサの内部電極用の原料として好適に用いることができる。
1 積層セラミックコンデンサ
10 セラミック積層体
11 内部電極層
12 誘電体層
20 外部電極
21 外部電極層
22 メッキ層

Claims (15)

  1. 導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む導電性ペーストであって、
    前記分散剤が酸系分散剤を含み、
    前記酸系分散剤は、平均分子量が500を超え2000以下であり、かつ、主鎖に対して炭化水素基からなる分岐鎖を1つ以上有する、
    導電性ペースト。
  2. 前記酸系分散剤は、カルボキシル基を有する、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記酸系分散剤は、ポリカルボン酸を主鎖とする炭化水素系グラフト共重合体である、請求項1又は2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記酸系分散剤は、前記導電性粉末100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下含有される、請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  5. 前記分散剤は、さらに塩基系分散剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  6. 前記塩基系分散剤は、脂肪族アミン及びポリエーテルアミンから選ばれる1種又は2種以上である、請求項5に記載の導電性ペースト。
  7. 前記塩基系分散剤は、前記導電性粉末100質量部に対して、0.01質量部以上3質量部以下含有される、請求項5又は6に記載の導電性ペースト。
  8. 前記導電性粉末は、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属粉末を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  9. 前記導電性粉末は、平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  10. 前記セラミック粉末は、ペロブスカイト型酸化物を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  11. 前記セラミック粉末は、平均粒径が0.01μm以上0.5μm以下であること、請求項1~10のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  12. 前記バインダー樹脂は、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂及びブチラール系樹脂のうち少なくとも1つを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  13. 積層セラミック部品の内部電極用である、請求項1~12のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載の導電性ペーストを用いて形成される電子部品。
  15. 誘電体層と内部電極層とを積層した積層体を少なくとも有し、
    前記内部電極層は、請求項1~13のいずれか一項に記載の導電性ペーストを用いて形成される積層セラミックコンデンサ。
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