JP6358829B2 - 多層フィルム及びそれを用いた包装材 - Google Patents

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Description

本発明は、環状オレフィン樹脂とポリオレフィン系樹脂を含む基材層と、高圧法低密度ポリエチレンを含むシーラント層とを積層した多層フィルム及びそれを用いた包装材に関する。
近年、医薬品や飲食品等を包装するための材料として、セロハンとポリエチレンをラミネートしたセロポリやグラシン紙が用いられている。これらを用いた包装材は手で引き裂いて開封する際に容易に開封することができるものの、直線的に切れず斜めに切れる。結果内容物の漏出につながることや、開封面(切断面)が波形になるという欠点がある。また、セロポリに用いられるセロハンは防湿性に劣るため、内容物の長期保管には適しておらず、OTC医薬品(一般用医薬品)等の長期保管されるものの包装材には通常使用されていない。また、吸湿により形状が変化することがあり、寸法安定性にも問題がある。
一方、環状オレフィン樹脂は、透明性、耐薬品性、防湿性及び機械的特性等に優れるため、光学用途や、医薬又は医療機器用途等の材料として用いられている。また、環状オレフィン樹脂は、溶融加工性や流動性、熱収縮性や印刷特性にも優れるため、フィルム状又はシート状の成形品や、包装材としても利用されている。このように、環状オレフィン樹脂は様々な分野において利用されている。
ところで、環状オレフィン樹脂及びポリエチレンを含む易引き裂き層を設けることで直線状の易引き裂き性が付与された多層フィルムが得られることが報告されている。例えば、特許文献1では、特定の密度を有するポリエチレンを含む外層及び内層と、特定の密度を有するポリエチレンと環状オレフィン系樹脂を特定の比率で含有する中間層とを積層した多層フィルムが提案されている。しかしこれらの易引き裂きフィルムにおいては、耐熱性は考慮されておらず、包装材として用いる際、ヒートシール時の耐熱性を付与するために、高融点の樹脂フィルムのラミネートやアルミ蒸着といった二次加工を必要とするため(例えば、特許文献2)、生産工程数が多くなり、生産効率の面では劣ることになる。
特開2012−885号公報 特開2013−75439号公報
本発明は、上述したような従来のフィルムにおける問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた耐薬品性及び防湿性を有し、直線的に容易に切断でき、切断面が直線状になり、かつ、ヒートシール時の耐熱性に優れる多層フィルム及びそれを用いた包装材を提供することにある。
本発明者は、環状オレフィン樹脂と、ポリオレフィン系樹脂とを含有する層(a1)を含む基材層(A)と、高圧法低密度ポリエチレンを含むシーラント層(B)とを積層した多層フィルムにおいて、前記層(a1)のポリオレフィン系樹脂の融点及び環状オレフィン樹脂の含有量を所定の範囲にすることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は下記のものを提供する。
(1)環状オレフィン樹脂と、融点120℃以上のポリオレフィン系樹脂とを含有する層(a1)を含む基材層(A)と、高圧法低密度ポリエチレンを含むシーラント層(B)とを積層した多層フィルムであって、前記層(a1)における環状オレフィン樹脂の含有量が、前記層(a1)全質量に対して20質量%以上60質量%以下である多層フィルム。
(2)前記層(a1)におけるポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンである、(1)に記載の多層フィルム。
(3)前記層(a1)における環状オレフィン樹脂のガラス転移温度Tgが、120℃以上170℃以下である、(1)又は(2)に記載の多層フィルム。
(4)フィルムの総厚みが30〜100μmである、(1)〜(3)のいずれか一に記載の多層フィルム。
(5)(1)〜(4)のいずれか一に記載の多層フィルムを成形してなる包装材。
本発明によれば、優れた耐薬品性及び防湿性を有し、直線的に容易に切断でき、切断面が直線状になり、かつ、ヒートシール時の耐熱性に優れる多層フィルム及び包装材を提供することができる。
引き裂きの終点とフィルムの中心からの距離の模式図。
本発明の多層フィルムは、基材層(A)及びシーラント層(B)を積層したものであって、該基材層が環状オレフィン樹脂及びポリオレフィン系樹脂を含み、シーラント層が高圧法低密度ポリエチレンを含む。
本発明の多層フィルムは、基材層(A)に環状オレフィン樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含有する層(a1)を含み、かつ前記層(a1)のポリオレフィン系樹脂の融点及び環状オレフィン樹脂の含有量を所定の範囲にすることを特徴としており、それにより優れた耐薬品性及び防湿性を有し、直線的に容易に切断でき、切断面が直線状になり、かつ、ヒートシール時の耐熱性に優れるという効果を発揮するものである。
以下、多層フィルムの各層及び各層を構成する成分について詳述する。
[基材層(A)]
<層(a1)>
基材層は単層又は二以上の層からなり、環状オレフィン樹脂及び融点が120℃以上のポリオレフィン系樹脂を含有する層(a1)を必須の成分として含有する。
<環状オレフィン樹脂>
環状オレフィン樹脂は、環状オレフィン成分を共重合成分として含むものであり、環状オレフィン成分を主鎖に含むポリオレフィン樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物等を挙げることができる。
また、環状オレフィン樹脂としては、上記重合体に、さらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したものを含む。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスフィノ基等を挙げることができる。極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。中でも、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスフィノ基が好ましく用いられる。
環状オレフィン樹脂としては、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物が好ましい。
また、環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(Topas Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)及びアートン(登録商標)(JSR社製)等が挙げられる。
環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体として、特に好ましい例としては、(1)炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、(2)下記一般式(I)で示される環状オレフィン成分とを含む共重合体を挙げることができる。
Figure 0006358829
(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子及び炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R〜Rはそれぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
上記(1)炭素数2〜20のα−オレフィン成分について説明する。炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、特開2007−302722に開示されているものと同様のものを挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
上記(2)一般式(I)で示される環状オレフィン成分について説明する。一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子及び炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素及び臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の低級アルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素及び臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基及びステアリル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基及びアントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基及びイソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
上記一般式(I)で示される環状オレフィン成分の具体例としては、特開2007−302722に開示されているものと同様のものを挙げることができる。
これらの環状オレフィン成分は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
上記(1)炭素数2〜20のα−オレフィン成分と(2)一般式(I)で表される環状オレフィン成分との重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。ランダム共重合であってもブロック共重合であってもよいが、ランダム共重合であることが好ましい。
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系及びメタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により環状オレフィン系樹脂を得ることができる。
次いで、その他共重合成分について簡単に説明する。環状オレフィン系樹脂は、上記の(1)炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、(2)一般式(I)で示される環状オレフィン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。
任意に共重合されていてもよい不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体等を挙げることができる。炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体の具体例としては、特開2007−302722号公報に開示されているものと同様のものを挙げることができる。
環状オレフィン樹脂のTgは特に限定されないが、120℃以上170℃以下であることが好ましい。この範囲であればフィルムの耐熱性、剛性、易引き裂き性、製膜加工時の安定性のバランスが特に良い。
環状オレフィン樹脂及びポリオレフィン系樹脂を含有する層(a1)における環状オレフィン樹脂含有量は、当該層の総質量に対して20質量%以上60質量%以下である。また、30質量%以上60質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。含有量が当該範囲であれば易引き裂き性と製膜加工性とのバランスが良い。環状オレフィン樹脂の含有量が20質量%未満であると、フィルムの引き裂き強度が高く、容易に引き裂けないという問題がある。一方60質量%より上であると、製膜加工時の安定性が低下するという問題がある。
<ポリオレフィン系樹脂>
層(a1)のポリオレフィン系樹脂としては、密度が0.900以上0.940未満の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、及び、密度が0.930以上の高密度ポリエチレン樹脂、もしくはポリプロピレン樹脂を用いることができる。
層(a1)のポリオレフィン系樹脂の融点は120℃以上である。また、125℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。120℃未満であると、ヒートシール時にシーラント層のみならず基材層までも溶融し、フィルム破損が起こる問題がある。一方、上記融点は180℃以下であることが好ましい。180℃より上であると、製膜安定性が低下するという問題がある。
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている樹脂としては、例えば、ノバテック(登録商標)シリーズ(日本ポリエチレン製)、エボリュー(登録商標)(プライムポリマー製)等を挙げることができる。
また、高密度ポリエチレン樹脂としては、ノバテック(登録商標)シリーズ(日本ポリエチレン製)、ハイゼックス(登録商標)(プライムポリマー製)等を挙げることができる。
また、ポリプロピレン樹脂としては、ウィンテック(登録商標)シリーズ(日本ポリプロ製)、プライムポリプロ(登録商標)(プライムポリマー製)等を挙げることができる。
なお、環状オレフィン樹脂及びポリオレフィン系樹脂を含有する層(a1)には、本発明の効果を害さない範囲で、環状オレフィン樹脂及びポリオレフィン系樹脂以外の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、その他の樹脂、無機充填剤、核剤、顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤及び離型剤等が挙げられる。
<その他の層>
基材層(A)は、上記層(a1)上に他の層が積層された多層構成であってもよい。
[シーラント層(B)]
本発明の多層フィルムが、医薬品や飲食品等の人が摂取する物の包装材として用いられる場合であって、シーラント層が被包装物と接触する構成をとる場合、シーラント層に用いるポリエチレン樹脂は低温でヒートシール可能であること、及び製造時に触媒を使用しない点で高圧法低密度ポリエチレン樹脂が特に好ましく用いられる。低温でヒートシール可能な他の樹脂として、遷移金属触媒を用いて製造される直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が挙げられる。シーラント層は、高圧法低密度ポリエチレンの他に直鎖状低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。
また、シーラント層は、通常、内層、つまり内容物と接する側の層に用いられる。内容物が食品や医薬品等で、遷移金属との接触を特に避ける必要のある場合は、直鎖状低密度ポリエチレンを含まない方が良い。
<高圧法低密度ポリエチレン樹脂>
シーラント層に用いる樹脂としては、密度が0.900以上0.940未満の高圧法低密度ポリエチレン樹脂を用いることができる。
高圧法低密度ポリエチレン樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている樹脂としては、例えば、ノバテック(登録商標)シリーズ(日本ポリエチレン製)及びスミカセン(登録商標)(住友化学製)等を挙げることができる。
[本発明の多層フィルムの製造方法]
基材層及びシーラント層の製造方法は、押出機を使用して、樹脂組成物をフィルムに成形する成形工程を含む。該成形工程においては、一般的に用いられる押出成形法に従い、押出機のシリンダー内で上記の樹脂組成物を溶融体にした後、押出機のダイから溶融した樹脂組成物を引き落として空気中又は水中等で冷却し、フィルムが成形される。成形工程において使用する押出機としては、特に限定されないが、単軸押出機、2軸押出機又はスクリュー押出機(フルフライト、ダブルフライト等のタイプ)等を使用できる。
本発明における基材層及びシーラント層には、フィルムの成分として通常使用される他の成分を適宜配合してもよい。このような成分としては、酸化防止剤、二次酸化防止剤、着色剤、中和剤、分散剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、核剤、顔料、難燃剤及びアンチブロッキング剤や、その他の各種有機無機化合物等が挙げられる。樹脂組成物中のこれらの成分の配合量は、目的の効果等に応じて適宜調整される。
上述した基材層とシーラント層の貼り合わせの手法は特に限定されない。例えば、基材層とシーラント層の共押出でもよいし、各層を独立したフィルムとして成形した後にドライラミネート又はサンドラミネートで貼り合わせる、もしくは基材層上に溶融樹脂の押出ラミネートによりシーラント層を形成してもよい。また、ドライラミネート、サンドラミネート及び押出ラミネートに関しては層間接着性を向上させるために基材層とシーラント層の間に有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系又はポリブタジエン系等のアンカーコート(AC)剤を用いたAC層を設けてもよい。
特に、接着層に含有される有機溶剤を避けるという理由で、共押出又は溶融樹脂の押出ラミネートが好ましい。
総厚みは特に限定されないが、30μm以上100μm以下であることが好ましい。また、30μm以上90μm以下であることがより好ましく、30μm以上80μm以下であることがさらに好ましい。厚みがこの範囲であればフィルム強度と易引き裂き性のバランスが特に良い。
[包装材]
本発明の包装材は、上記本発明の多層フィルムを成形してなる。成形方法は特に限定されず、包装材の形状等に応じて、押出成形、ブロー成形及び真空成形等適宜好ましい成形方法を用いることができる。本発明の多層フィルムは防湿性に優れるため、本発明の包装材は水蒸気等によって劣化する製品を保存する包装材として好適である。さらに、開封時に直線的に切れるため、内容物の漏出を防止することができる。本発明の包装材の被包装物としては、とくに限定されないが、例えば、医薬品、医療用品、衛生用品及び飲食品等が挙げられる。また、断熱性や耐熱性にも優れるので、高温の液体(例えば60℃以上の熱湯)と接触する容器等にも使用できる。
本発明の多層フィルムが包装材として用いられる場合、上記シーラント層が被包装物と接する側に存在するように構成することが好ましい。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<環状オレフィン樹脂>
実施例で使用した環状オレフィン樹脂は以下のとおりである。
COC−1:商品名「TOPAS6013M−07」、TOPAS Advanced Polymers社製、Tg:142℃
COC−2:商品名「TOPAS5013F−04」、TOPAS Advanced Polymers社製、Tg:134℃
COC−3:商品名「TOPAS7010F−600」、TOPAS Advanced Polymers社製、Tg:110℃
<ポリオレフィン系樹脂>
実施例で基材層に使用したポリオレフィン系樹脂は以下のとおりである。
高密度ポリエチレン(HDPE):商品名「ノバテックHY540」、日本ポリエチレン株式会社製、融点:135℃
ポリプロピレン(PP):商品名「ウィンテックWFW5T」、日本ポリプロ株式会社製、融点:144℃
高圧法低密度ポリエチレン(LDPE−1):商品名「ノバテックLF342M」、日本ポリエチレン株式会社製、融点:113℃
<高圧法低密度ポリエチレン>
実施例でシーラント層に使用した高圧法低密度ポリエチレンは以下のとおりである。
高圧法低密度ポリエチレン(LDPE−2):商品名「スミカセンF−218M」、住友化学株式会社製
上記各材料を用いて、表1に示す組成の各多層フィルムを以下の方法により作製した。なお、各実施例及び比較例4を除く比較例の基材層は、環状オレフィン樹脂及び各種ポリオレフィン系樹脂を含む層からなり、当該環状オレフィン樹脂及び各種ポリオレフィン系樹脂を含む層の全質量に対する環状オレフィン樹脂の含有量を質量%で示した。
Figure 0006358829
(多層フィルムの製造方法)
三層インフレーション成形機(トミー機械工業株式会社製)を用いて、基材層(A)及びシーラント層(B)を有する2層の多層共押出フィルム(全層厚さ:50μm)を作製し、多層フィルムとした。該多層共押出フィルムの成形条件は下記の通りである。
ダイス(ダイ口径:106mm、リップクリアランス:2.5mm)及びスクリュー(φ=40mm、L/D=26)を使用して多層共押出フィルムを作製した。なお、多層共押出フィルムの層(A)及び層(B)のシリンダー温度を210℃に設定し、フィルムの層(B)のシリンダー温度を200℃に設定した。また、ダイスの温度を200℃、ブロー比を2.0、引き取り速度を12.5m/minにそれぞれ設定し、表1中の各層の厚さになるようにスクリュー回転数をそれぞれ設定した。
なお、上記フィルムが包装材を構成する場合には、層(A)が外層側、層(B)が内層側となるように包装材が構成される。
上記方法により製造した各多層フィルムをそれぞれ実施例1−6及び比較例1−3とした。また、市販されているセロポリ(厚み20μmのセロハンに高圧法低密度ポリエチレンを押し出しラミネートした多層フィルム)を比較例4とした。
上記各実施例及び比較例を、引き裂き強度、直線カット性、切断面形状、加工性、ヒートシール性(収縮、シワ)及び透湿度のそれぞれについて評価した。
[引き裂き強度]
JIS K7128−2に準じてエルメンドルフ引き裂き試験を行い、フィルムの縦方向(MD)及び横方向(TD)の引き裂き強度を測定した。引き裂き強度が低いほど、フィルムの引き裂きに対する耐性が低く、容易に引き裂くことができる(易引き裂き性)。例えば、多層フィルムを包装材として用いる場合には、容易に開封できることが好ましい場合があるが、引き裂き強度が0.25N/枚以下であれば手で容易に引き裂いて開封することができる。
[直線カット性]
JIS K7128−1に準じてトラウザー引き裂き試験を行い、引き裂きの終点とフィルムの中心からの距離(図1の矢印の距離)を4段階で判定した。
◎:中心から1mm未満
○:中心から1mm以上2mm未満
△:中心から2mm以上3mm未満
×:中心から4mm以上
[切断面形状]
JIS K7128−2に準じてエルメンドルフ引き裂き試験を行い、切断面を下記の4段階で判定した。
◎:切断面に波形がない
○:切断面が若干波形
△:切断面がやや波形
×:切断面が波形
[加工性]
フィルム製膜時の安定性を下記の4段階で判定した。
◎:安定して製膜でき、厚みムラも少ない。
○:安定して製膜できるが、若干厚みムラを生じる。
△:製膜できるが、安定性に欠ける。
×:製膜が困難である。
[ヒートシール性(収縮、シワ)]
TP−701ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製)を用いてフィルムを120℃、0.65kg/cm、10秒の条件でヒートシールした時の収縮、シワを4段階で判定した。
◎:収縮、シワが見られない。
○:収縮、シワがわずかに見られる。
△:収縮、シワが大きい。
×:フィルムが溶融し、大きな収縮や破断を伴う。
[透湿度]
JIS Z0208に準じて40℃、湿度90%下で透湿性試験(カップ法)を行い、フィルムの透湿度を測定した。透湿度が低いほど、フィルムの水蒸気バリア性(防湿性)が高く、包装材として用いた時の内容物の長期保管に適している。
上記各評価項目の結果を表1に示す。
表1の結果から、環状オレフィン樹脂を本発明で規定する量含有する実施例においては、上記評価項目のいずれについても良好な結果が得られた。一方、環状オレフィン樹脂が本発明で規定する量より少ない比較例1においては、直線カット性及び易引き裂き性に劣り、また、切断面が波形になった。また、環状オレフィン樹脂が本発明で規定する量より多い比較例2においては、製膜加工性に劣る結果となった。また、基材層のポリオレフィン系樹脂の融点が本発明で規定する温度より低い比較例3においては、ヒートシール時の収縮・シワが問題となる結果となった。また、実施例においては、いずれも透湿度の値が市販セロポリを用いた比較例4より低い結果となり、防湿性に優れていることが明らかとなった。

Claims (5)

  1. 環状オレフィン樹脂と、融点130℃以上のポリオレフィン系樹脂とを含有する層(a1)を含む基材層(A)と、高圧法低密度ポリエチレンを含むシーラント層(B)とを積層した多層フィルムであって、前記層(a1)における環状オレフィン樹脂の含有量が、前記層(a1)全質量に対して40質量%以上60質量%以下である多層フィルム。
  2. 前記層(a1)におけるポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンである、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記層(a1)における環状オレフィン樹脂のガラス転移温度Tgが、120℃以上170℃以下である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  4. フィルムの総厚みが30〜100μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層フィルムを成形してなる包装材。
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