JP6356006B2 - メタクリル系樹脂組成物製成形品 - Google Patents
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Description
〔1〕メタクリル系樹脂と、0.01質量%以上0.10質量%以下のカーボンブラックと、表面コーティング剤と、を含むメタクリル系樹脂組成物からなるメタクリル系樹脂組成物製成形品であって、JIS B0601:2013に基づく算術平均粗さRaの値が0.1μm以下である平滑面を有し、分光変角色差計を用いた前記平滑面に対する45°反射測定において、−20°〜20°の測定範囲での反射光のL*平均値が0.15以下であり、前記メタクリル系樹脂組成物が、赤系、黄系、緑系、青系及び紫系の染料からなる群より選ばれる3種以上の染料を含み、前記カーボンブラックは、その表面を表面コーティング剤によりコーティングされている、成形品。
〔2〕前記L*平均値が0.08以下である、〔1〕に記載の成形品。
〔3〕前記3種以上の染料の総質量xと前記カーボンブラックの総質量yとの比率x/yが、下記式(1)で表される条件を満足する、〔1〕又は〔2〕に記載の成形品。
4<x/y<50 …(1)
〔4〕前記比率x/yが、下記式(1a)で表される条件を満足する、請求項3に記載の成型品。
8.3<x/y<15 …(1a)
〔5〕前記染料は、アントラキノン系染料、複素環式化合物系染料及びペリノン系染料からなる群より選ばれるものである、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の成形品。
〔6〕前記表面コーティング剤は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアリルアミド、及びエチレンビスステアリルアミドからなる群より選ばれる1種以上である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の成形品。
〔7〕前記メタクリル系樹脂組成物が、JIS K7210:1999に基づいて荷重3.80kgf、試験温度230℃で測定したメルトマスフローレイトの値a(単位:g/10min.)と、荷重10.18kgf、試験温度230℃で測定したメルトマスフローレイトの値b(単位:g/10min.)との間に、下記式(i)及び(ii)で表される関係を有する、〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の成形品。
5.0<b/a …(i)
0.3<a<15 …(ii)
〔8〕前記成形品の厚さt(単位:mm)と流動長L(単位:mm)との間に下記式(2)で表される関係を有し、1点ゲートの金型を用いて成形されている、〔7〕に記載の成形品。
L/t<150 …(2)
〔9〕前記厚さtが、1.5mm以上3.0mm以下である、〔8〕に記載の成形品。
〔10〕前記成形品の形状が長方形又は略長方形の意匠面を有する短冊状であり、かつ、前記長方形又は略長方形の一方の短辺側に、前記意匠面から前記成形品の厚み方向に一段下がった面を有し、前記成形品を得る際に前記1点ゲートの金型におけるゲートが、前記一段下がった面に接触し、前記一段下がった面上に別部材が存在する場合に、前記成形品を成形により得る際に前記ゲートに接触する前記成形品の部分が前記別部材により覆われる、〔8〕又は〔9〕に記載の成形品。
〔11〕前記成形品が、自動車用の意匠材である、〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の成形品。
〔12〕前記成形品が、テールランプガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル、及びナンバープレートガーニッシュのいずれかである、〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載の成形品。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物に含まれるメタクリル系樹脂は、特に限定されないが、本発明の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、メタクリル酸エステル単量体単位と、メタクリル酸エステルに共重合可能な少なくとも1種のその他のビニル単量体単位とを有すると好ましい。また、メタクリル系樹脂におけるメタクリル酸エステル単量体単位の含有割合は80.0〜99.9質量%であると好ましく、上記その他のビニル単量体単位の含有割合は0.1〜20.0質量%であると好ましい。
メタクリル酸エステル単量体としては、下記に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル及びメタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)が挙げられる。これらの中で代表的なものはメタクリル酸メチルである。上記メタクリル酸エステル単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上述したメタクリル酸エステル単量体に共重合可能なその他のビニル単量体としては、アクリル酸エステル単量体が挙げられる。アクリル酸エステル単量体としては、下記に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。これらの中では、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル及びアクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸メチルがより好ましい。
本実施形態のメタクリル系樹脂を製造する際には、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、ラジカル重合を行う場合は、下記に限定されるものではないが、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及び1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル及び2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤を挙げることができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂を製造する際には、本発明の目的を損わない範囲で、メタクリル系樹脂の分子量の制御を行うことができる。
次に、本実施形態のメタクリル系樹脂の流動性について説明する。優れた漆黒性を発現させるためには、メタクリル系樹脂組成物の溶融時の流動性が非常に重要である。これは、その実現には金型表面の平滑性も重要ながら、更にそれを十分転写できるだけの溶融流動性をメタクリル系樹脂組成物が有することも必要であるからである。金型表面の平滑性の転写が十分であれば、成形品表面での凹凸は少なく光散乱を抑制できる。光散乱は白っぽさの原因、すなわち漆黒性発現の阻害要因と考えられるので、溶融時の流動性を高めることで優れた漆黒性をより有効かつ確実に発現することができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、上記メタクリル系樹脂とカーボンブラックとを含むものである。
5.0<b/a …(i)
0.3<a<15 …(ii)
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、その組成物の全量に対して、カーボンブラックを0.01質量%以上0.10質量%以下の範囲で含む。カーボンブラックの含有割合が0.01質量%以上であることにより、特に肉厚の薄い成形品であっても遮蔽性を高く維持することができる。また、この含有割合が0.10質量%以下であることにより、十分に深みのある漆黒性を発現することができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、カーボンブラックに加えて、染料を含むことが、より漆黒性の深みを増す上で好ましい。更に深みのある漆黒性を発現させる観点から、メタクリル系樹脂組成物が、3種以上の染料を含むことが好ましく、それらの染料は、互いに色相の異なる3種以上の染料であるとより好ましく、赤系、黄系、緑系、青系及び紫系の染料からなる群より選ばれる3種以上の染料であることが更に好ましい。単純に青系染料と黄系染料との組合せのみ、又は緑系染料と赤系染料との組合せのみという狭い範囲での組合せよりも、所謂光の3原色をまんべんなく含んだ組合せによって漆黒性を発現させる方が、より深みを増した漆黒性を発現させる観点で好ましいからである。そのような組合せとしては、例えば、紫系染料、緑系染料、黄系染料及び青系染料の組合せ、紫系染料、黄系染料、緑系染料及び赤系染料の組合せ、赤系染料、緑系染料及び青系染料の組合せ、といった、複数の系統の染料の適量ずつの組合せが挙げられ、これらの中では、既に多くの市販製品があり、後述する耐光性染料の種類も多いのでより所望の漆黒性を実現しやすいという観点から、赤系染料、緑系染料、黄系染料及び青系染料の組合せが好ましい。
4<x/y<50 …(1)
9<x/y<15 …(1a)
10<x/y<12 …(1b)
本実施形態に係るメタクリル系樹脂組成物は、例えば、メタクリル系樹脂、カーボンブラック、及び必要に応じて配合される染料などのその他の原料を撹拌によって十分混合させた後で、溶融混練(コンパウンド)することによって得ることができる。あるいは、それらカーボンブラック及び/又は染料を用い、メタクリル系樹脂をベースとした高濃度のマスターバッチを溶融混練して調製し、そのマスターバッチを他のメタクリル系樹脂を用いて薄めて溶融混練しても、本実施形態に係るメタクリル系樹脂組成物を得ることができる。なお、コンパウンド時の樹脂組成物の温度は、300℃以下であると好ましく、290℃以下であるとより好ましく、280℃以下であると更に好ましい。その樹脂組成物の温度が300℃以下であることにより、メタクリル系樹脂の熱分解による残存モノマーの発生をより抑制でき、残存モノマーの可塑化効果による耐熱性等の物性低下及び射出成型時のシルバーをより有効かつ確実に防止することができる。
<平滑部>
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物製成形品(以下、単に「成形品」ともいう。)は、上述のメタクリル系樹脂組成物からなる成形品であり、深みのある漆黒性が求められる平滑面を意匠面として有している。その意匠面は、面粗度の数値が極めて低い状態であることが必要である。具体的には、JIS B0601:2013で規定される算術平均粗さ(中心線表面粗さ)Raの値が0.1μm以下であり、好ましくは0.08μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。この算術平均粗さRaが、0.1μm以上であることにより、意匠面が人間の目に白っぽく見えるのを防止することができる。これは、算術平均粗さRaが0.1μm以上であることにより、その意匠面での凹凸により光散乱が大きくなるのを抑制できるためと本発明者らは推定している。なお、上記算術平均粗さRaの下限は特に限定されず、算術平均粗さRaを測定する装置の検出下限以下であってもよい。例えば、算術平均粗さRaを測定する装置が下記の(株)東京精密製の表面粗さ計である場合、算術平均粗さRaの下限は、その検出下限である0.01μmであってもよい。
本実施形態の成形品は、厚さt(単位:mm)と流動長L(単位:mm)との間に下記式(2)で表される関係を有することが好ましい。
L/t<150…(2)
成形品が上記式(2)で表される関係を有することで、射出成形時に金型キャビティ内の流動末端部まで樹脂組成物を良好に充填することができる。また、上記式(2)で表される関係を有することで成形歪を抑制することができるので、反りやソルベントクラック尾を防止することも可能となる。同様の観点から、L/tは145未満であるとより好ましく、140未満であると更に好ましい。一方、L/tの下限は特に限定されないが、成形品に軽量化・薄肉化の要求を一層満足させる観点から、L/tが100以上であると好適である。なお、流動長Lは、成形品を得る際にメタクリル系樹脂組成物が流動した長さを示し、その大きさに合せて適宜、ノギス、マイクロメータ、物差し及び三次元測定機等、市販の各種計測道具によって測定される。
本実施形態の成形品は、例えば、下記のようにして製造することができる。まず、必要に応じてペレットの形態で得られた上記メタクリル系樹脂組成物を射出成形機の金型キャビティ内に投入する。この際、金型としては成形品の形状に対応する形状の金型キャビティを有し、かつ、1点ゲートである金型を用いることが好ましい。また、その金型におけるゲートの位置は、最終的に得られる成形品において別部材によって覆われることで目視にて確認できなくなるような部分と接触する位置であると好ましい。次いで、その射出成形機により所定の条件にてメタクリル系樹脂組成物を射出成形する。こうして本実施形態の成形品を得ることができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物製成形品は、遮蔽性、機械的・熱的物性、及び塗装品並みの漆黒性が求められる用途に用いられることが好ましく、特に自動車用の意匠材として用いられることが好ましい。自動車用の意匠材としては、例えば自動車外装用意匠材及び自動車内装用意匠材が挙げられるが、本発明による作用効果をより有利に活用する観点から、自動車外装用意匠材が好ましい。本実施形態の自動車外装用意匠材としては、例えば、テールランプガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル及びナンバープレートガーニッシュが挙げられ、これらが好適である。これらの用途は総じて、薄肉の長手部品であり、意匠性が重要視されるものである。
(原料)
メタクリル系樹脂、カーボンブラック、及び染料としてそれぞれ、表1〜3に記載の市販品を用い、それらをコンパウンド原料とした。なお、メタクリル系樹脂の形態は、表1の銘柄に「デルパウダ」と記載しているものがビーズ状、「デルペット」と記載しているものがペレット状のものである。
CB−A1、CB−A2及びCB−B1については、表3に記載のカーボンブラックに対して、表3にそれぞれ記載の表面コーティング剤を用いてコーティング処理を施した。
具体的には、まず、カーボンブラックの1.5倍の質量の表面コーティング剤を量り取り、それを融点以上に加熱して溶融させた後、所定量のカーボンブラックをその融液の中へ投入し撹拌した。なお、ステアリン酸亜鉛の融点は約140℃、エチレンビスステアリルアミド(EBS)の融点は約140〜145℃である。十分撹拌して分散させた後、冷却して、表面がコーティングされたカーボンブラックを得た。
表4に記載の配合割合になるよう、メタクリル系樹脂、カーボンブラック及び染料をそれぞれ計量した後、ヘンシェルミキサーへ投入し、それらを撹拌によって混合し分散させた。十分撹拌によって混合させた後、二軸押し出し機にその混合原料を投入し、溶融混練(コンパウンド)してストランドを生成し、ウォーターバスでそのストランドを冷却した後、ペレタイザーで切断してペレットを得た。なお、コンパウンドの際、押し出し機のベント部に真空ラインを接続し、水分やモノマー成分等の揮発成分を除去した。こうして、メタクリル系樹脂組成物を得た。なお、コンパウンド時の樹脂組成物の温度は、270℃であった。
(射出成形)
得られたメタクリル系樹脂組成物のペレットを射出成形機に投入し、短冊(平板)状(100mm×100mm×3mm)に成形し、評価用試料とした。なお、金型は、評価用試料の後述の45°反射測定及び目視評価に用いられる側の金型表面(金型キャビティ内面)が8000番の磨き番手で研磨されているものを用いた。そして、その8000番の磨き番手で研磨されている側の金型表面が転写されている成形品表面を、この評価用試料の平滑面とした。すなわち、この評価用試料での平滑面の面積は100cm2であった。
なお、この評価用試料の成形条件は、下記のように設定した。
樹脂温度: 250℃(実施例6を除く実施例全て、参考例全て及び比較例1〜3)
樹脂温度: 260℃(実施例6)
金型温度: 80℃(全ての実施例、参考例及び比較例)
また、射出成型時の金型温度は、8000番の磨き番手で研磨された金型表面の転写性を高めるため、より高温に保つことが重要である。しかしメタクリル系樹脂のガラス転移温度が100℃前後である事から、高過ぎても冷却時間が長すぎる事となり、実用的ではなくなる。それらを良質させる温度範囲は、60℃以上100℃以下であり、より好ましくは70℃以上90℃以下、更に好ましくは75℃以上85℃以下であり、今回はその中の80℃を選択した。
評価用試料の平滑面の算術平均粗さRaは、JIS B0601:2013に従い測定した。具体的には、(株)東京精密製の表面粗さ計(商品名「サーフコム558A」)を用い、任意の位置で3mmの距離を掃引して算術平均粗さRaを測定した。その結果を表5に示す。
上記のようにして作製した評価用試料をニッパーにて粉砕し、その粉砕物を80℃で24時間乾燥させた。その後、まず、JIS K7210:1999に基づいて、荷重3.80kgf、試験温度230℃にて、メルトマスフローレートの値a(単位:g/10min.)を測定した。その後、荷重を10.18kgfに変更し、同じく230℃の温度条件で同様にメルトマスフローレートの値b(単位:g/10min.)を測定した。メルトマスフローレイトの値a及びb、並びにb/aの値を表5に示す。
日本電色工業(株)製の分光変角色差計(製品名「GC5000」)を用いて、上記評価用試料の45°反射測定を行った。この測定では、平板状の評価用試料に45°の角度で測定光を照射し、その反射光のL*を測定角度−80°から+80°まで5°間隔で測定した。例として、図1に実施例1及び比較例2の成形品(評価用試料)での測定チャートを示す。図1では、測定角度+45°の位置が実施例1及び比較例2共に上側に突き抜けているが、これは正反射光成分である。この正反射光成分のL*は、どの実施例、参考例及び比較例においてもほぼ一定であり、91±1の間に収まっていた。そして、正反射光成分の影響が無視できる測定角度−20°〜+20°の範囲にて、5°間隔で計測された数値、すなわち、測定角度−20°、−15°、−10°、−5°、0°、5°、10°、15°及び20°での反射光のL*の算術平均を各実施例、参考例及び比較例において算出した。その結果を表5に記す。
(目視評価:漆黒性)
平板状の評価用試料の意匠面における漆黒性を、晴天の太陽光の下、5人の判定員の目視によって評価した。塗装品並みの漆黒レベルであると5人中4人以上が判定したものは「〇」、3人が判定したものは「△」、2人以下が判定したものは「×」と評価した。その結果を表5に示す。本発明に係る成形品(評価用試料)は、いずれも優れた漆黒性を示すことがわかった。
まず、JIS K7350−4の手法を用いて上記平板状の評価用試料の曝露試験を行った。曝露条件は、ブラックパネルの温度設定が63±3℃、水の噴霧時間設定は(18±0.5)分間、噴霧停止時間設定は(102±0.5)分間とし、総曝露時間は2040時間とした。この条件下で上記平板状の評価用試料の意匠面を曝露した。曝露後、意匠面は水洗し、下記の耐候性の評価に備えた。
耐候性は、上記曝露試験前後の色差にて評価した。色差としては、ΔE* ab(デルタイ
ースターエービー)の値を用いた。その測定はJIS Z8730に従い、色差計を用いて、上記平板状の評価用試料の意匠面と、曝露後の同試料の意匠面の色差を計測し算出した。
耐候性は2040時間曝露でΔE* abが3以下であれば、合格とした。
上記平板状の評価用試料をプレス成形機を用いて圧縮し、厚さ1mmの試験片を調製し、それを遮蔽性評価用の試料として用いた。遮蔽性は、JIS K7361−1に基づく全光線透過率の測定にて評価した。その全光線透過率の値が1%以下であれば合格とした。
実施例1と同様にして得られたメタクリル系樹脂組成物のペレットを射出成形機に投入し、短冊(平板)状(100mm×100mm×3mm)に成形し、評価用試料とした。なお、金型は、評価用試料の目視評価に用いられる側の金型表面(金型キャビティ内面)が2000番の磨き番手で研磨されているものを用いた。そして、その2000番の磨き番手で研磨されている側の金型表面が転写されている成形品表面を、この評価用試料の平滑面とした。すなわち、この評価用試料での平滑面の面積は100cm2であった。
なお、この評価用試料の成形条件は、実施例1と合わせ、下記のように設定した。
樹脂温度: 250℃
金型温度: 80℃
この試料の平滑面について、実施例1と同様に漆黒性目視評価を行った結果、判定は×であった。
Claims (12)
- メタクリル系樹脂と、0.01質量%以上0.10質量%以下のカーボンブラックと、表面コーティング剤と、を含むメタクリル系樹脂組成物からなるメタクリル系樹脂組成物製成形品であって、
JIS B0601:2013に基づく算術平均粗さRaの値が0.1μm以下である平滑面を有し、
分光変角色差計を用いた前記平滑面に対する45°反射測定において、−20°〜20°の測定範囲での反射光のL*平均値が0.15以下であり、
前記メタクリル系樹脂組成物が、赤系、黄系、緑系、青系及び紫系の染料からなる群より選ばれる3種以上の染料を含み、
前記カーボンブラックは、その表面を前記表面コーティング剤によりコーティングされている、成形品。 - 前記L*平均値が0.08以下である、請求項1に記載の成形品。
- 前記3種以上の染料の総質量xと前記カーボンブラックの総質量yとの比率x/yが、下記式(1)で表される条件を満足する、請求項1又は2に記載の成形品。
4<x/y<50 …(1) - 前記比率x/yが、下記式(1a)で表される条件を満足する、請求項3に記載の成型品。
8.3<x/y<15 …(1a) - 前記染料は、アントラキノン系染料、複素環式化合物系染料及びペリノン系染料からなる群より選ばれるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形品。
- 前記表面コーティング剤は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアリルアミド、及びエチレンビスステアリルアミドからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形品。
- 前記メタクリル系樹脂組成物が、JIS K7210:1999に基づいて荷重3.80kgf、試験温度230℃で測定したメルトマスフローレイトの値a(単位:g/10min.)と、荷重10.18kgf、試験温度230℃で測定したメルトマスフローレイトの値b(単位:g/10min.)との間に、下記式(i)及び(ii)で表される関係を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形品。
5.0<b/a …(i)
0.3<a<15 …(ii) - 前記成形品の厚さt(単位:mm)と流動長L(単位:mm)との間に下記式(2)で表される関係を有し、1点ゲートの金型を用いて成形されている、請求項7に記載の成形品。
L/t<150 …(2) - 前記厚さtが、1.5mm以上3.0mm以下である、請求項8に記載の成形品。
- 前記成形品の形状が長方形又は略長方形の意匠面を有する短冊状であり、かつ、前記長方形又は略長方形の一方の短辺側に、前記意匠面から前記成形品の厚み方向に一段下がった面を有し、
前記成形品を得る際に前記1点ゲートの金型におけるゲートが、前記一段下がった面に接触し、
前記一段下がった面上に別部材が存在する場合に、前記成形品を成形により得る際に前記ゲートに接触する前記成形品の部分が前記別部材により覆われる、請求項8又は9に記載の成形品。 - 前記成形品が、自動車用の意匠材である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の成形品。
- 前記成形品が、テールランプガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル、及びナンバープレートガーニッシュのいずれかである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の成形品。
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