JP6351039B2 - 汚泥乾燥方法、汚泥減容化方法、汚泥乾燥装置および汚泥減容化システム - Google Patents
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Description
この生物学的処理工程において、原水中の浮遊物を沈殿させてなる「生汚泥」や、活性汚泥処理により発生する「余剰汚泥」の如き廃水汚泥は、固体と多量の水との混合物であり、そのままではリサイクルできないし、廃棄物処理することもできない代物である。そのため、地方自治体等の下水処理工場においては、ベルトプレス脱水機等によってこれら廃水汚泥中からある程度の水分を取り除き、一般的に80〜85%の水分を残存含有するスラッジ状の脱水汚泥としてその殆どを焼却・埋立等の方法で廃棄物処理している。
ここで、乾燥機103は、加熱空間を形成するケーシング内でパドル翼やディスク翼により脱水汚泥を撹拌しながら水蒸気等の加熱媒体によりケーシング等を介して脱水汚泥を間接加熱することで乾燥するようにした構造のものである。
また、乾燥機103と排ガスボイラー104との間には、加熱媒体供給流路106と、加熱媒体還流路107とが設けられており、燃焼装置105での燃焼に伴い発生する燃焼排ガスとの熱交換によって排ガスボイラー104で加熱された加熱媒体が加熱媒体供給流路106を介して乾燥機103へと供給され、この乾燥機103において脱水汚泥の間接加熱に供された加熱媒体が加熱媒体還流路107を介して排ガスボイラー104に還流されるようになっている。
なお、図3に示される汚泥減容化システム111において、先に述べた図2に示される汚泥減容化システム101と同一または同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、以下においては、先に述べた汚泥減容化システム101と異なる点を中心に説明することとする。
一方、電気エネルギー化システム111Bにおいては、汚泥乾燥システム111Aで生成された乾燥汚泥と石炭との混合物を燃料とする石炭ボイラー113で水蒸気を発生させ、該水蒸気で蒸気発電タービン114を作動させることにより、電力を生成するようにされている。
なお、汚泥乾燥システム111Aと電気エネルギー化システム111Bとは異なる事業体で実施されることがあり、この場合、電気エネルギー化システム111Bを実施する事業体は、汚泥乾燥システム111Aを実施する事業体から乾燥汚泥を購入して使用することになる。
また、これらの汚泥減容化システム101,111で使用される乾燥機103は、加熱空間を形成するケーシング内でパドル翼やディスク翼により脱水汚泥を撹拌しながら乾燥するようにしたものであり、構造上、脱水汚泥と加熱媒体との熱交換時の総括伝熱係数が約100Kcal/m2・hr・℃程度と小さくなる。このため、乾燥機103の外形寸法が大きくならざるを得ず、脱水汚泥の乾燥工程での放熱等による熱量損失が大きいという問題点がある。
さらに、パドル翼型やディスク翼型の乾燥機103の過大な熱量損失が原因で、より多くの加熱媒体をより速やかに加熱して所期の乾燥能力を保たなければならなくなり、燃焼装置105や重油ボイラー112において化石燃料の追加使用が必要となる。このため、化石燃料の使用量が増大するという問題点がある。
有機物を含有する脱水汚泥を加圧下で加熱した後に減圧することで破砕し、この破砕処理後の脱水汚泥を、伝熱管を通して下流側へと送る際に加熱媒体によりその伝熱管を介して間接加熱して乾燥する汚泥乾燥方法であって、
前記破砕処理後で前記伝熱管を通す前の脱水汚泥に対しガス体を注入し、前記伝熱管で脱水汚泥と共にそのガス体を間接加熱して該ガス体を膨張させることを特徴とするものである。
第1発明〜第3発明のいずれかの発明に係る汚泥乾燥方法により得られた乾燥汚泥を燃焼させて燃焼残渣灰分とすることで減容化するようにした汚泥減容化方法であって、
前記乾燥汚泥の燃焼に伴い発生する燃焼排ガスとの熱交換で前記加熱媒体を加熱し、この加熱された加熱媒体により、前記伝熱管を介して脱水汚泥を間接加熱するようにしたことを特徴とするものである。
脱水汚泥を加熱する加熱器と、この加熱器によって加熱される脱水汚泥の圧力を制御する制御弁と、この制御弁を通して開放される脱水汚泥を受け入れるフラッシュタンクと、このフラッシュタンクからの脱水汚泥が流通可能で加熱媒体と接触される伝熱管を有する乾燥機とを備え、前記加熱器および前記制御弁によって加圧下で加熱された脱水汚泥を、前記制御弁を通して前記フラッシュタンク内に開放することで減圧して破砕し、この破砕処理後の脱水汚泥を、前記伝熱管を通して下流側へと送る際に加熱媒体によりその伝熱管を介して間接加熱して乾燥するようにした汚泥乾燥装置であって、
前記フラッシュタンクから送り出されて前記伝熱管に至る前の脱水汚泥に対しガス体を注入するガス体注入器を設け、前記伝熱管で脱水汚泥と共にそのガス体を間接加熱して該ガス体を膨張させるようにしたことを特徴とするものである。
第5発明〜第7発明のいずれかの発明に係る汚泥乾燥装置により得られた乾燥汚泥を燃焼する燃焼装置を備え、この燃焼装置で前記乾燥汚泥を燃焼させて燃焼残渣灰分とすることで減容化するようにした汚泥減容化システムであって、
前記乾燥汚泥の燃焼に伴い発生する燃焼排ガスとの熱交換で前記加熱媒体を加熱する排ガスボイラーを備え、この排ガスボイラーによって加熱された前記加熱媒体により、前記伝熱管を介して脱水汚泥を間接加熱するようにしたことを特徴とするものである。
また、生体内細胞水が暴露された状態の脱水汚泥を、伝熱管を通して下流側へと送る際に加熱媒体によりその伝熱管を介して間接加熱して乾燥するようにされているので、生体内細胞水が暴露されずに細胞壁・細胞膜内に内包されたままの状態の脱水汚泥を、加熱空間を形成するケーシング内でパドル翼やディスク翼により撹拌しながら脱水汚泥を乾燥するようにした従来技術のものよりも、脱水汚泥と加熱媒体との熱交換時の総括伝熱係数を大きくすることができ、結果的に乾燥機を小さくすることが可能となり、脱水汚泥の乾燥工程での放熱等による熱量損失を低く抑えることができる。
したがって、パドル翼やディスク翼により撹拌しながら脱水汚泥を乾燥するようにした従来技術では過大な熱量損失を補うために必要とされていた化石燃料の使用量を大幅に削減することができる。
また、こうして得られた乾燥汚泥を燃焼させるに伴い発生する燃焼排ガスと、脱水汚泥の間接加熱に供される加熱媒体との熱交換によって該加熱媒体を加熱するようにされているので、化石燃料の使用量を更に削減することができる。
なお、脱水汚泥の乾燥に必要な乾燥熱量や脱水汚泥の乾燥工程での放熱等による熱量損失を含む全工程の消費熱量が、乾燥汚泥を燃焼させて得られる総発生熱量以下の範囲内であるならば、化石燃料を全く使用することなく、熱エネルギーを循環させて、継続的に脱水汚泥の乾燥、燃焼、減容化を行うことができる。
図1に示される汚泥減容化システム1は、有機物を含有する所定含水率以下の脱水汚泥を減容化処理するに際して、この脱水汚泥を効率的に乾燥して汚泥の発熱量を高めた後に、この乾燥汚泥を燃料として燃焼させ、このときの燃焼熱と、例えば蒸気(水蒸気)や熱媒油等の高温熱媒体(以下、「加熱媒体」という。)との間の熱交換によって高温の加熱媒体を発生させ、発生した高温の加熱媒体を脱水汚泥の乾燥に再使用し、乾燥汚泥の燃焼後に残る残渣灰分を脱水汚泥の最終減容化物とするものである。
なお、加熱媒体としては、蒸気であっても熱媒油等の熱媒体であってもよいが、後述する加熱装置9や乾燥機15において、熱交換部の温度差を大きくとることができ、設計圧力を低くすることができるので、熱媒油等の熱媒体の使用が好ましい。
そして、脱水汚泥中の含有水分を一定含有量以下にまで乾燥すると、乾燥汚泥は自燃することが可能になり、石炭の50%〜70%の発熱量を有するものとなる。
また、汚泥送出配管5には、最大2.0MPa程度の圧力がかかるので、汚泥送出配管5として金属管の使用が望ましい。この汚泥送出配管5の構造としては、単管でもよいが、ジャケットを有する二重管方式にして、内管内を通して脱水汚泥を下流側へと送りながら内管と外管との間に加熱媒体を流通させるようにするのが好ましい。こうして、内管内を流れる脱水汚泥を蒸気等の加熱媒体により間接加熱することで脱水汚泥の粘度を下げることができ、その結果、汚泥輸送時の圧力損失が下がり、汚泥送出ポンプ3の運転動力が小さくなり、省電力化を図ることができる。なお、内管と外管との間に流す加熱媒体として、蒸気等に代えて、後述する燃焼装置35から空気予熱器39を経て送られる低温排ガスを用いることによっても同様の作用効果を得ることができる。
汚泥乾燥装置7は、主に、加熱器9、圧力制御装置11、フラッシュタンク13および乾燥機15により構成されている。
加熱器9は、汚泥送出ポンプ3から汚泥送出配管5を介して送り込まれる脱水汚泥を加熱媒体により間接的に加熱するものである。
加熱器9としては、脱水汚泥と加熱媒体との熱交換時の総括伝熱係数が大きく、装置の外形寸法が小さく、放熱等による熱量損失が最大限小さくなるような構造のものが好ましく、例えば多管式熱交換器を用いて脱水汚泥を間接加熱するものが好適である。
ここで、多管式熱交換器は、加熱媒体を導入する加熱媒体導入口および加熱媒体を導出する加熱媒体導出口をそれぞれ有して加熱空間を形成するケーシング9aを備え、このケーシング9aの内部に、脱水汚泥が流通可能で加熱媒体と接触される多数の伝熱管よりなる熱交換部9bが組み込まれて構成されるものである。
図示による詳細な説明は省略するが、二重管式熱交換器は、加熱媒体を導入する加熱媒体導入口および加熱媒体を導出する加熱媒体導出口をそれぞれ有して加熱空間を形成する外管を備え、この外管の内部に、脱水汚泥が流通可能で加熱媒体と接触される伝熱管としての役目をする内管が組み込まれてなるものである。
ここで、スタティックミキサーは、駆動部のない静止型混合器(ラインミキサー)であって脱水汚泥をエレメントにより撹拌・混合する役目をする。エレメントは、長方形状の板を180°捻じったような形で、捻れの方向により、右捻りエレメントと、左捻りエレメントとがあり、これらのエレメントを管軸方向に交互に数珠繋ぎに連結したものを、伝熱管または内管の内部に組み込むことにより、脱水汚泥に対する分割・転換・反転の作用によって脱水汚泥を効果的に撹拌・混合し、伝熱時の総括伝熱係数を高め、効率的な熱交換に寄与することになる。
加熱器9とフラッシュタンク13とは、汚泥送出配管17によって接続されており、加熱器9から送り出された脱水汚泥が汚泥送出配管17を介してフラッシュタンク13内に導入されるようになっている。
汚泥送出配管17には、加熱器9から送り出される脱水汚泥の圧力等を制御する圧力制御装置11が付設されている。
この圧力制御装置11は、汚泥送出配管17を流れる脱水汚泥の圧力および温度をそれぞれ計測する圧力計および温度計を含む計測器11aと、汚泥送出配管17の途中に介設される制御弁(背圧弁)11bと、制御弁11bの弁動作を制御する制御器11cとを備えて構成され、計測器11aの計測値に基づいて制御器11cが制御弁11bの弁動作を制御することにより、脱水汚泥の圧力および温度を所定値で一定となるようにするとともに、制御弁11bを通して一定流量の脱水汚泥を大気圧もしくは真空状態に置かれたフラッシュタンク13内に噴出・フラッシュさせることができるようになっている。
圧力制御装置11中における制御弁11bを通して高温・高圧の脱水汚泥を瞬間的に大気圧もしくは真空下に放出すれば、微生物の生体内細胞水の圧力と、大気圧もしくは真空との過大な圧力差により、微生物の細胞壁・細胞膜が爆発的に瞬間破砕され、生体内細胞水が効率良く暴露される。
フラッシュタンク13は、制御弁11bを通して開放・噴出する高温・高圧の脱水汚泥を受け入れる受槽タンクであり、材質的には炭素鋼であっても、ステンレス鋼であってもよいが、腐食等を考慮すればステンレス鋼が好ましい。
フラッシュタンク13においては、制御弁11bを通して該タンク内に噴出された高温・高圧の脱水汚泥を、汚泥固形分(破砕処理後の脱水汚泥)とフラッシュ水蒸気とに分離する処理が行われる。すなわち、制御弁11bを通して高温・高圧の脱水汚泥を大気圧もしくは真空下のフラッシュタンク13内に噴出すれば、微生物の間隙・付着水、並びに微生物の破砕により暴露した生体内細胞水の一部が保有エンタルピー差の分だけ瞬間的にフラッシュしフラッシュ水蒸気として汚泥固形分と分離して系外に留出する。これにより、汚泥の含有水分率が、フラッシュ水蒸気として留出する水分量に相当する分だけ減少することになる。
因みに、含水率80%の脱水汚泥を170℃に加熱した後、大気圧下のフラッシュタンク13内に噴出させた場合には、水分フラッシュ後の脱水汚泥の含水率は約77%になる。
フラッシュタンク13と汚泥送出ポンプ19とを接続する汚泥送出配管23には、フラッシュタンク13から抜き出される破砕処理後の脱水汚泥に対し、例えば空気、窒素ガス、炭酸ガス等のガス体を注入するガス体注入器29が付設されている。以下、本例では、ガス体として空気を用いた例を説明するが、これに限定されるものではない。
また、破砕処理後の脱水汚泥に対し注入するものとして、上記のガス体に代えて、例えばアルコール等の揮発性液体を注入することも可能である。
また、脱水汚泥に対する空気の注入位置としては、汚泥送出ポンプ19の上流側(吸込側)と、汚泥送出ポンプ19の下流側(吐出側)とが挙げられるが、汚泥送出ポンプ19の上流側(吸込側)の方が低圧であるので、空気を容易に注入することができ、上記で例示したように、汚泥送出ポンプ19の上流側(吸込側)の汚泥送出配管23内に空気を注入するのが好ましい。
上記のガス体注入器29によって空気が注入された破砕処理後の脱水汚泥は、汚泥送出ポンプ19の作動により、汚泥送出配管25を介して混合器21へと送り込まれる。
混合器21は、送り込まれた破砕処理後の脱水汚泥と、この脱水汚泥に注入された空気とを混合して、該脱水汚泥中に空気を均一に分散させる役目をする。
混合器21としては、破砕処理後の脱水汚泥と空気とを密閉容器中で撹拌翼等により混ぜ合わせる密閉型の動的ミキサーも用いることができるが、例えば単管もしくは二重管内に前述したスタティックミキサーを組み込んでなるものが好適に用いられる。なお、内蔵されるスタティックミキサーのエレメントの構成数としては、6以上が好ましく、より好ましくは10以上である。
上記の混合器21によって空気が均一に混合・分散された破砕処理後の脱水汚泥は、汚泥送出配管27を介して乾燥機15へと送り込まれ、乾燥機15は、送り込まれた脱水汚泥を加熱媒体により間接的に加熱して乾燥する。
乾燥機15としては、脱水汚泥と加熱媒体との熱交換時の総括伝熱係数が大きく、装置の外形寸法が小さく、放熱等による熱量損失が最大限小さく、蒸発水分を取り去るためのキャリア空気が不要な構造のものが好ましく、例えば多管式熱交換器を用いて脱水汚泥を間接加熱して乾燥するタイプのものが好適である。
多管式熱交換器タイプのものでは、パドル翼型あるいはディスク翼型のものと比べて乾燥エネルギーを10%〜15%程度低減することができる。
ここで、多管式熱交換器は、加熱媒体を導入する加熱媒体導入口および加熱媒体を導出する加熱媒体導出口をそれぞれ有して加熱空間を形成するケーシング15aを備え、このケーシング15aの内部に、脱水汚泥が流通可能で加熱媒体と接触される多数の伝熱管よりなる熱交換部15bが組み込まれて構成されるものである。
図示による詳細な説明は省略するが、二重管式熱交換器は、加熱媒体を導入する加熱媒体導入口および加熱媒体を導出する加熱媒体導出口をそれぞれ有して加熱空間を形成する外管を備え、この外管の内部に、脱水汚泥が流通可能で加熱媒体と接触される伝熱管としての役目をする内管が組み込まれてなるものである。
後述する汚泥の燃焼装置35を安定的に運転するためには、乾燥汚泥の含水率が40%以下、好ましくは20%以下であることが重要であり、後述する燃焼装置35の燃料となる乾燥汚泥の低位発熱量としては、具体的には、14700KJ/kg(3500Kcal/kg)以上であることが望ましい。
乾燥機15の伝熱面積については、従来のパドル翼型もしくはディスク翼型のものでは、構造上、全伝熱面積の約70%程度しか有効に利用されていないが、多管式熱交換器を用いる方式の乾燥機15の場合は、全伝熱面積の100%を有効に利用することができる。
また、縦型設置の場合、汚泥の流れ方向は、上から下へ、下から上へのいずれでもよいが、汚泥の確実な取り出し、汚泥の水分率コントロール等を考えれば、上から下への方が好ましい。
汚泥分離装置31としては、例えば、濾布による濾過作用を利用したバグフィルタ方式のものや、遠心力を利用したサイクロン方式のものなどが挙げられる。バグフィルタ方式のもの方がサイクロン方式のものよりも高価であるが、破砕、微細化した乾燥汚泥粉を確実に補足して、次工程での微細乾燥汚泥粉の詰まり等によるトラブルを確実に回避するためには、バグフィルタ方式のものを使用するのが好ましい。
なお、汚泥分離装置31における分離作用によって分離された排気水蒸気は、吸引ブロワー33(公知のブロワー、ファン等を使用可能)により、汚泥分離装置31内から引き抜かれる。
上記の汚泥分離装置31での分離工程によって得られた乾燥汚泥は、燃焼装置35へと送られる。
燃焼装置35は、汚泥分離装置31からの乾燥汚泥を燃料として炉内に導入し、導入された乾燥汚泥に対して燃焼用空気を供給し、該乾燥汚泥を完全燃焼させて燃焼残渣灰分とするものである。この燃焼残渣灰分が脱水汚泥の最終減容物となる。
なお、燃焼装置35での燃料として乾燥汚泥を100%使用する場合には、乾燥汚泥が完全なバイオマス燃料であることから、燃焼によって発生するCO2が環境負荷にカウントされないので、地球環境への悪影響を懸念する必要がない。
また、燃焼用空気は、送風機37によって炉内に供給する前に、燃焼装置35での燃焼に伴い発生する燃焼排ガスとの熱交換により空気予熱器39で予め加熱することで燃焼を安定した状態に維持することができる。
なお、燃焼装置35として、公知の燃焼炉、焼却炉、ボイラーのいずれを使用する場合でも、燃焼時の炉内温度を高くして(好ましくは900℃以上)、NOx成分を外部に排出しないような機種を選定することが重要である。
燃焼装置35には、排ガスボイラー41が付設されている。
この排ガスボイラー41は、乾燥汚泥(あるいは乾燥汚泥とバイオマス燃料との混合燃料の場合もある。)の燃焼に伴い発生する燃焼排ガスから熱回収を行うものであって、加熱媒体を導入する加熱媒体導入口および加熱媒体を導出する加熱媒体導出口をそれぞれ有し、加熱媒体導入口から導入された加熱媒体を、燃焼排ガスとの熱交換によって加熱し、加熱された加熱媒体を加熱媒体導出口から導出するように構成されている。
排ガスボイラー41の加熱媒体導出口は、加熱器9のケーシング9aに設けられた加熱媒体導入口および乾燥機15のケーシング15aに設けられた加熱媒体導入口に、それぞれ所要の配管等により形成される加熱媒体供給流路43によって接続されている。
一方、排ガスボイラー41の加熱媒体導入口は、加熱器9のケーシング9aに設けられた加熱媒体導出口および乾燥機15のケーシング15aに設けられた加熱媒体導出口に、それぞれ所要の配管等により形成される加熱媒体還流路45によって接続されている。
そして、燃焼装置35での燃焼に伴い発生される燃焼排ガスとの熱交換によって排ガスボイラー41で加熱された加熱媒体が加熱媒体供給流路43を介して加熱器9および乾燥機15にそれぞれ供給され、これら加熱器9および乾燥機15のそれぞれにおいて脱水汚泥の間接加熱に供された加熱媒体が加熱媒体還流路45を介して排ガスボイラー41に還流されるようになっている。
加熱媒体供給流路43と加熱媒体還流路45との間には、加熱媒体流量・熱量制御装置47が配設されている。この加熱媒体流量・熱量制御装置47は、燃焼装置35での過剰燃焼により排ガスボイラー41で加熱媒体が超過的に発生したとしても、加熱装置9および乾燥機15に送られる加熱媒体の流量と熱量とが常に一定となるように、超過的に発生した加熱媒体の流量と熱量とを同時に制御する。
こうして、燃焼装置35での燃料となる乾燥汚泥の発熱量が上昇する側に変動しても、燃焼装置35の燃焼制御系に直接干渉することなく、燃焼装置35を安定的に運転することができる。
また、加熱媒体流量・熱量制御装置47からの加熱媒体を加熱媒体還流路45に送り込む際には、公知のポンプ装置からなる返送ポンプ49が使用される。
そこで、加熱媒体流量・熱量制御装置47からの駆動制御信号により駆動制御され、燃焼装置35に対する乾燥汚泥の供給路にバイオマス燃料を送り込むバイオマス燃料フィーダ51を燃焼装置35に添設する。そして、加熱媒体に対する加熱が不足していることを、加熱媒体の圧力(加熱媒体が蒸気の場合)または熱量(加熱媒体が熱媒油等の場合)の計測値に基づいて加熱媒体流量・熱量制御装置47が検知すると、この加熱媒体流量・熱量制御装置47からバイオマス燃料フィーダ51に対し駆動制御信号を送信するようにする。この駆動制御信号によってバイオマス燃料フィーダ51によるバイオマス燃料の供給量を制御することにより、加熱媒体の圧力(加熱媒体が蒸気の場合)または熱量(加熱媒体が熱媒油等の場合)が一定となるようにする。
こうして、燃焼装置35での燃料となる乾燥汚泥の発熱量が下降する側に変動しても、燃焼制御系に直接干渉することなく、燃焼装置35を安定的に運転することができる。
本実施形態において、(a)フラッシュタンク13内から引き抜かれたフラッシュ水蒸気、(b)汚泥分離装置31内から引き抜かれた排気水蒸気、(c)空気予熱器39での燃焼用空気の間接加熱に供された後の低温排ガスおよび(d)汚泥送出配管5での脱水汚泥の間接加熱に供された後の低温排ガスは、それぞれ脱臭装置53に送り込まれる。なお、(a)のフラッシュ水蒸気および(b)の排気水蒸気については、それぞれの蒸気が結露しないように一定量の外気を混入した後に脱臭装置53に送り込むようにするのがよい。
脱臭装置53の形態としては、公知のものを使用することができるが、燃焼式の場合には、低温排ガスを再燃焼させる熱量が追加的に必要になり、好ましくなく、湿式の場合には、脱臭処理に伴う廃水処理の問題が残り、エネルギー的にも、設備費用的にも好ましくない。
したがって、乾式のものが最適であり、例えば活性炭等による吸着式の脱臭装置53が好適に用いられる。
以上に述べたように構成される汚泥減容化システム1によって実施される処理工程の内容について以下に説明することとする。
汚泥減容化システム1においては、汚泥送出ポンプ3により送り出される脱水汚泥を汚泥送出配管5で予熱し、予熱後の脱水汚泥を加熱器9で高温状態に加熱し、汚泥中の微生物細胞壁・細胞膜(蛋白質成分)を熱破壊し、熱破壊された細胞壁・細胞膜から生体内細胞水を外部へと染み出させて粘度の低いスラリー状態とする。
上記スラリー化工程によって高温・高圧のスラリー状態とされた脱水汚泥を、制御弁11bを通して大気圧もしくは真空状態にあるフラッシュタンク13内に瞬時に噴出させることにより、汚泥中の微生物細胞壁・細胞膜を破砕する。
上記破砕工程によって破砕処理された後の脱水汚泥に対しガス体注入器29を用いてガス体(本例では空気)を注入し、その後、混合器21を用いて脱水汚泥とガス体とを混合し、汚泥中にガス体を均一に分散させる。
上記ガス体注入・混合工程によって汚泥中にガス体が均一に分散された脱水汚泥を、乾燥機15を用いて乾燥させて含水率が40%以下、好ましくは20%以下の乾燥汚泥を得る。
上記乾燥工程によって得られた乾燥汚泥を燃焼装置35での燃料として燃焼させて燃焼残渣灰分とすることで減容化する。
本実施形態の汚泥乾燥装置7によれば、加熱器9、制御弁11bおよびフラッシュタンク13により、脱水汚泥を加圧下で加熱した後に減圧して破砕することで微生物の生体内細胞水を暴露し、この生体内細胞水が暴露された状態の脱水汚泥を乾燥機15で乾燥するようにされているので、脱水汚泥を効率良く乾燥することができる。
また、生体内細胞水が暴露された状態の脱水汚泥を、乾燥機15の熱交換部15bにおける伝熱管を通して下流側へと送る際に加熱媒体によりその伝熱管を介して間接加熱して乾燥するようにされているので、生体内細胞水が暴露されずに細胞壁・細胞膜内に内包されたままの状態の脱水汚泥を、加熱空間を形成するケーシング内でパドル翼やディスク翼により撹拌しながら脱水汚泥を乾燥する従来の乾燥機103よりも、脱水汚泥と加熱媒体との熱交換時の総括伝熱係数を大きくすることができ、結果的に乾燥機15を小さくすることが可能となり、脱水汚泥の乾燥工程での放熱等による熱量損失を低く抑えることができる。
したがって、パドル翼やディスク翼により撹拌しながら脱水汚泥を乾燥する従来の乾燥機103では過大な熱量損失を補うために必要とされていた化石燃料の使用量を大幅に削減することができる。
(1)破砕処理後で乾燥機15の熱交換部15bにおける伝熱管を通す前の脱水汚泥に対しガス体注入器29によってガス体を注入するとともに、混合器21によって脱水汚泥中にガス体を分散させるようにされているので、乾燥機15で脱水汚泥と共にそのガス体を間接加熱して該ガス体を膨張させることにより、伝熱管を流れる脱水汚泥をより細かく均一にばらけた状態とすることができ、伝熱管内の脱水汚泥に対する伝熱効果を飛躍的に向上させることができるとともに、乾燥処理が施された脱水汚泥を伝熱管から下流側へとスムーズに送り出すことができる。
(2)加熱器9および乾燥機15のそれぞれの熱交換部9b,15bにおける伝熱管内にスタティックミキサーを組み込んで伝熱管内を流れる脱水汚泥を撹拌するようにされているので、伝熱管内を流れる脱水汚泥をより均一に加熱することができ、脱水汚泥と加熱媒体との熱交換時の総括伝熱係数をより大きくすることができる。
なお、脱水汚泥の乾燥に必要な乾燥熱量や脱水汚泥の乾燥工程での放熱等による熱量損失を含む全工程の消費熱量が、乾燥汚泥を燃焼させて得られる総発生熱量以下の範囲内であるならば、化石燃料を全く使用することなく、熱エネルギーを循環させて、継続的に脱水汚泥の乾燥、燃焼、減容化を行うことができる。
すなわち、有機物を含有する含水率85%以下の脱水汚泥を乾燥して乾燥汚泥となし、この乾燥汚泥のみを燃料として、化石燃料を使うことなく、加熱媒体を加熱して、脱水汚泥の乾燥に再使用し、乾燥汚泥の燃焼後に残る燃焼残渣灰分を脱水汚泥の最終減容化物として、化石燃料の使用を必要としない循環型の脱水汚泥の減容化方法を実現することができる。
言い換えれば、水分80%の脱水汚泥1000kgの残渣灰分量は概略
1000kg×(1−80%)×(35%〜50%)=70kg〜100kg
となり、化石燃料を使用せず、環境負荷を増加させる事なく、7.5%〜10%の重量にまで脱水汚泥が減容化されたことになる。
この汚泥の最終減容化物が廃棄物として埋立処理されるか、もしくは種々の加工を加えて、例えばセメントに混ぜる等々のリサイクル処理をされる。
すなわち、脱水汚泥の乾燥には、
(a)まず脱水汚泥の表面に付着している水分を100℃近辺の温度で蒸発除去し、
(b)次いで汚泥を所定の温度にまで顕熱昇温して汚泥の微生物細胞内に存在する水分の圧力を高め、この圧力によって微生物細胞壁・細胞膜の破壊を行い、
(c)次いで破壊によって外部に暴露された水分の蒸発・乾燥を行う、
という3条件の操作が必要となるが、従来のクローズドループ式の汚泥減容化システム101では1台の乾燥機103内で、同一温度条件下で上記の(a)と(b)と(c)の操作を行っているために、これら(a)〜(c)のそれぞれの操作に最適な条件を別個に設定することができず、無駄な熱量ロスが発生している。
(A)加熱器9を用いて脱水汚泥の表面に付着している水分を蒸発除去するとともに、微生物細胞壁・細胞膜の破壊を行い(脱水汚泥のスラリー化工程:上記の(a)と(b)の操作)、
(B)次いで高温・高圧のスラリー状態とされた脱水汚泥を、制御弁を通して大気圧もしくは真空状態にあるフラッシュタンク13内に瞬時に噴出させることにより、汚泥中の微生物細胞壁・細胞膜を破砕し(脱水汚泥の破砕工程)、
(C)次いで破砕によって外部に暴露された水分を、乾燥機15を用いて蒸発・乾燥させる(脱水汚泥の乾燥工程)、
という3つの操作を独立に順次に行うようにすることにより、それぞれの操作に最適な運転条件を個別に選択することができ、無駄な熱量ロスを低減することができる。
そこで、本実施形態においては、乾燥機15として、多管式熱交換器または二重管式熱交換器を用いる方式のものを採用することにより、キャリア空気を不要として、キャリア空気の放散による熱量ロスをなくすようにしている。
そこで、本実施形態においては、設定値よりも発熱量の高い乾燥汚泥が燃焼装置35に多く供給される場合には、燃焼排ガスで超過的に加熱される加熱媒体の超過流量と超過熱量を、加熱媒体流量・熱量制御装置47によって制御し、燃焼装置35には乾燥汚泥が持ち込む発熱量に相当する仕事をフルにさせて、燃焼装置35には汚泥発熱量の変動を制御する役目を負わせない。また、消化汚泥等の如くに発熱量の低い乾燥汚泥が多量に、且つ、変動的に燃焼装置35に供給されるような場合には、加熱媒体流量・熱量制御装置47からバイオマス燃料フィーダ51への駆動制御信号により、例えば木質チップやRDF等のバイオマス燃料を燃焼装置35に対する乾燥汚泥の供給路に送り込み、乾燥汚泥と混焼するようにしている。
こうして、脱水汚泥の発熱量の変動を吸収することができ、燃焼装置35の安定運転を図ることができる。
なお、近年は食生活の変化と相まって脱水汚泥の発熱量が以前よりも高くなってきており、脱水汚泥の発熱量が下側に振れることは殆どなくなってきつつある。
そこで、本実施形態においては、例えば活性炭等による乾式の脱臭装置53を用いることにより、化石燃料を使用することなく脱臭することができ、脱臭のために使用されていた化石燃料をなくすようにしている。
7 汚泥乾燥装置
9 加熱器
11b 制御弁
13 フラッシュタンク
15 乾燥機
21 混合器
29 ガス体注入器
35 燃焼装置
41 排ガスボイラー
Claims (8)
- 有機物を含有する脱水汚泥を加圧下で加熱した後に減圧することで破砕し、この破砕処理後の脱水汚泥を、伝熱管を通して下流側へと送る際に加熱媒体によりその伝熱管を介して間接加熱して乾燥する汚泥乾燥方法であって、
前記破砕処理後で前記伝熱管を通す前の脱水汚泥に対しガス体を注入し、前記伝熱管で脱水汚泥と共にそのガス体を間接加熱して該ガス体を膨張させることを特徴とする汚泥乾燥方法。 - 前記破砕処理後で前記伝熱管を通す前の脱水汚泥と、この脱水汚泥に注入された前記ガス体とを混合して、該脱水汚泥中に前記ガス体を分散させることを特徴とする請求項1に記載の汚泥乾燥方法。
- 前記伝熱管内を流れる脱水汚泥を撹拌することを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥乾燥方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の汚泥乾燥方法により得られた乾燥汚泥を燃焼させて燃焼残渣灰分とすることで減容化するようにした汚泥減容化方法であって、
前記乾燥汚泥の燃焼に伴い発生する燃焼排ガスとの熱交換で前記加熱媒体を加熱し、この加熱された加熱媒体により、前記伝熱管を介して脱水汚泥を間接加熱するようにしたことを特徴とする汚泥減容化方法。 - 脱水汚泥を加熱する加熱器と、この加熱器によって加熱される脱水汚泥の圧力を制御する制御弁と、この制御弁を通して開放される脱水汚泥を受け入れるフラッシュタンクと、このフラッシュタンクからの脱水汚泥が流通可能で加熱媒体と接触される伝熱管を有する乾燥機とを備え、前記加熱器および前記制御弁によって加圧下で加熱された脱水汚泥を、前記制御弁を通して前記フラッシュタンク内に開放することで減圧して破砕し、この破砕処理後の脱水汚泥を、前記伝熱管を通して下流側へと送る際に加熱媒体によりその伝熱管を介して間接加熱して乾燥するようにした汚泥乾燥装置であって、
前記フラッシュタンクから送り出されて前記伝熱管に至る前の脱水汚泥に対しガス体を注入するガス体注入器を設け、前記伝熱管で脱水汚泥と共にそのガス体を間接加熱して該ガス体を膨張させるようにしたことを特徴とする汚泥乾燥装置。 - 前記フラッシュタンクから送り出されて前記伝熱管に至る前の脱水汚泥と、この脱水汚泥に注入された前記ガス体とを混合する混合器を設け、該脱水汚泥中に前記ガス体を分散させるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の汚泥乾燥装置。
- 前記伝熱管内にスタティックミキサーを組み込み、該スタティックミキサーによる脱水汚泥への分割・転換・反転の作用により、前記伝熱管内を流れる脱水汚泥を撹拌するようにしたことを特徴とする請求項5または6に記載の汚泥乾燥装置。
- 請求項5〜7のいずれかに記載の汚泥乾燥装置により得られた乾燥汚泥を燃焼する燃焼装置を備え、この燃焼装置で前記乾燥汚泥を燃焼させて燃焼残渣灰分とすることで減容化するようにした汚泥減容化システムであって、
前記乾燥汚泥の燃焼に伴い発生する燃焼排ガスとの熱交換で前記加熱媒体を加熱する排ガスボイラーを備え、この排ガスボイラーによって加熱された前記加熱媒体により、前記伝熱管を介して脱水汚泥を間接加熱するようにしたことを特徴とする脱水汚泥の減容化システム。
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