JP6344724B2 - リグニン分解物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リグニン又はリグニンを含有する材料中のリグニンを分解して得られるリグニン分解物を製造する方法に関する。
環境問題の高まりから、カーボンニュートラルなバイオマスを用いて製造したバイオエタノールが、新たな燃料として注目されている。これまでのバイオエタノールは主に、デンプンや糖など食料と競合する原料から製造されており、これら原料の食糧向け供給量の減少や価格の高騰に繋がるなどの問題が指摘されていた。そこで現在は、食料と競合しないセルロース系バイオマスからエタノールを製造する技術への注目が高まっている。
セルロース系バイオマスとして、例えば、パームヤシの樹幹及び空房、パームヤシ果実の繊維及び種子、バガス、稲わら、麦わら、トウモロコシ残渣(コーンストーバー、コーンコブ、コーンハル)、ヤトロファ種皮及び殻、木材チップ、スイッチグラス、エリアンサス、エネルギー作物などが挙げられる。これらはいずれも糖に変換できるセルロースやヘミセルロースのほか、リグニンを含有している。
リグニンは、上述した原料を、バイオエタノールの製造工程である糖化・発酵処理した段階で、セルロースやヘミセルロースと分離された固体の残渣に含まれる。この残渣は、そのまま燃料として利用することができる。しかし、リグニンを分解すると、フェノール誘導体などが得られることから、この残渣を燃料として使用するよりも、さらに別の化学工業製品に展開する方が、付加価値が一層高い。
そこで、上記化学工業製品の原料として使用し得るリグニン分解物を効率よく製造する方法の開発が望まれている。
リグニンを溶解する技術は、主にパルプ製造において発達してきた。例えば、クラフトパルプ法では、苛性ソーダ(NaOH)と硫化ソーダ(Na2S)を主成分とする化学薬品を加えて、150〜160℃程度で蒸煮する。一方、サルファイドパルプ法では、酸性亜硫酸塩と亜硫酸の混液を加えて、130〜145℃で蒸煮し木材中のリグニンをリグニンスルホン酸塩として溶出する(例えば、特許文献1参照)。
しかし、これらの方法ではそれぞれ強アルカリや強酸を使用するため、反応器や使用する器具の材質に、耐アルカリ性或いは耐酸性のものを選択する必要があり、取り扱い性もよくなかった。例えば、特許文献1の段落番号[0002]には、「比較的高い設備費と汚染という問題点」について記載されている。また、サルファイドパルプ法では、スルホン化されたリグニンが生成されるため、用途に制限があった。
また、特許文献1の請求項1には、木質材料及び農産物廃棄物など公知のパルプ原料と、少なくとも水に可溶な、沸点150〜250℃の高沸点有機溶媒50〜90%を含む水性溶媒とを、液比4〜10で耐圧反応器に充填し、温度180〜230℃で処理するパルプ化工程が開示されている。また、段落[0007]には、高沸点溶媒として、環状エーテルや多価アルコール類などが挙げられている。そして、特許文献1には、水と高沸点溶媒を分離せずにそのまま再利用できる点が記載されている。しかし、高沸点溶媒は、高価で、得られるリグニンの溶解性の程度には、改良の余地が残されている。
また、酢酸やアルコール溶媒等の有機溶媒を含有する水系溶媒を用いたり、水酸化ナトリウムや鉱酸を触媒として添加したりして、リグニンを分離する方法が提案されている(例えば、特許文献2の[0022]参照)。
上述の特許文献1,2のように、リグニン分解物を製造する方法が提案されているが、環境問題に配慮して、化学工業分野で付加価値の高い製品原料としてのリグニン分解物をカーボンニュートラルなバイオマスから得るという観点からは、省エネルギーで効率よくリグニン分解物を製造できることが望まれる。この点では、上述の特許文献1,2のリグニン分解物の製造方法にも、改良の余地が残されていた。
また、リグノセルロース系バイオマスを炭素数1〜8の脂肪族アルコールに5〜20体積%の水を加えた混合溶媒を用いて、混合溶媒が超臨界又は亜臨界となる条件でリグニンの分解物を得る方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3において、実際に使用された脂肪族アルコールであるメタノールは、室温下で混合溶媒が分離せず一相状態を示す。混合溶媒が一相状態であると、リグニンの分解物を留出するためには、混合溶媒の全量を蒸留することが必要となるため、大量の熱エネルギーを消費する。
また、例えば、水よりも低沸点のアルコールとの混合溶媒とした場合には、混合溶媒からアルコールのみを留出し、アルコールに溶解しているリグニンを析出させて回収できる。しかし、水に溶解しているリグニンの一部は回収できない。このため、特許文献3に開示された方法では、熱エネルギー損失が大きく、リグニンの回収率を上げることも困難であった。また、得られたリグニンの純度も低かった。さらに、特許文献3の製造方法では、高温かつ高圧の製造条件が必要なため、高価な設備や緻密な安全対策を要することが考えられる。このように、特許文献3の方法においても、省エネルギーで効率よくリグニンを製造するためには、さらなる向上が望まれていた。
また、リグノセルロース系バイオマスを超臨界又は亜臨界の1−オクタノール中で処理することにより、リグニンの分解生成物を得る方法が提案されている(特許文献4参照)。
特許文献4に記載された方法では、バイオマス原料をアルコールのみからなる溶液を用いて抽出する。アルコールのみからなる溶液へのリグニン分解物の分解率は十分ではない。また、アルコールに溶解しているリグニンと、セルロース及びヘミセルロース分解物とを分離することが困難であるため、リグニン分解物の回収率や、その純度を上げることが困難であった。さらに、効率よくリグニン分解物を抽出するためには、高価なアルコールを多く使用する必要があった。このように、特許文献4の方法においても、省エネルギーで効率よくリグニン分解物を製造するためには、さらなる向上が望まれていた。
また、炭素数1〜4のアルコールと、水と、NaOHとを用いて、摂氏100度未満で、パルピングを行うことによって、リグノセルロース物質からリグニンを回収する方法が提案されている(特許文献5、請求項1参照)。特許文献5の請求項2には、水:アルコールの比率が10:90〜90:10とすることが記載されている。
しかしながら、特許文献5に記載された方法では、次の点が問題であった。すなわち、リグニンを回収するために中和工程が必要なこと、塩基の回収が煩雑であり塩基が回収できないとコストアップになること、リグニン中に塩基由来の不純物が混入し易く、この不純物によりリグニンが変性されて品質が低下するおそれがあること、耐塩基性の反応設備が必要なこと、である。
また、水非混和性有機溶媒、酸、及び酸性水溶液に溶解された金属塩触媒の混合物と、バイオマス原料とを所定の温度及び圧力下で接触させることにより、溶媒及び水相に溶解したリグニン、ヘミセルロースをそれぞれ分離すること、さらに、純粋なセルロースを残すことが開示されている(特許文献6参照)。さらに、特許文献6には、溶媒として高級アルコール類を用いること、高級アルコールとして、ブタノール、イソアミルアルコールが好ましいこと、さらに、溶媒対酸性水比が、40:60〜80:20であることなどが記載されている。
しかしながら、特許文献6に記載された方法では、次の点が問題であった。すなわち、酸の中和工程が必要なこと、触媒が水溶性であるために触媒の回収が煩雑であること、リグニン中に酸や触媒由来の不純物が混入し易く、この不純物によりリグニンが変性されて品質が低下するおそれがあること、耐酸性の反応設備が必要なこと、である。
特開2001−89986号公報 特開2007−112841号公報 特許4982036号公報 特許4759227号公報 特表2013−541512号公報 特表2010−531639号公報
本発明は、リグニン又はリグニンを含有する材料から、リグニン分解物を高い収量で得ることのできるリグニン分解物の製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、植物系バイオマスを含有する原料を、所定の条件下で二相に分離する水とアルコールの混合溶媒中で反応させることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るリグニン分解物の製造方法は、
(1)水と炭素数4〜10の脂肪族アルコールとの混合溶媒であり、0℃以上50℃以下において二相分離する溶媒中において、植物系バイオマスを含有する原料を下記条件の下で分解する分解工程と、
条件A:該原料の該溶媒に対する仕込み濃度が1質量%以上20質量%以下である
条件B:反応温度が100℃以上350℃以下である
条件C:反応時間が0.1時間以上10時間以下である
(2)分解工程の後、二相分離する温度において分離した該溶媒から、リグニン分解物が含まれる有機相を分液する分液工程と、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、リグニン又はリグニンを含有する材料から、リグニン分解物を高い収量で得ることのできるリグニン分解物の製造方法を提供できる。
実施例及び比較例で用いた回分式反応装置を示す図である。
[リグニン分解物の製造方法]
本発明の実施形態に係るリグニン分解物の製造方法は、水及びアルコールを含む混合溶媒中において、リグニンを含有する原料から、下記条件の下でリグニン分解物を製造する方法である。ここで、リグニン分解物とは、リグニン又はリグニンを含有する原料に含まれるリグニンを分解して得られる化合物である。本実施形態では、リグニンを含有する原料として、植物系バイオマスを用いる。
本実施形態に係るリグニン分解物の製造方法は、(1)水と炭素数4〜10の脂肪族アルコールとの混合溶媒であり、0℃以上50℃以下において二相分離する溶媒中において、植物系バイオマスを含有する原料を下記条件の下で分解する分解工程と、
条件A:該原料の該溶媒に対する仕込み濃度が1質量%以上20質量%以下である
条件B:反応温度が100℃以上350℃以下である
条件C:反応時間が0.1時間以上10時間以下である
(2)分解工程の後、二相分離する温度において分離した該溶媒から、リグニン分解物が含まれる有機相を分液する分液工程と、を有する。
<(1)分解工程>
本発明の実施形態に係る製造方法で適用可能なリグニン含有材料としては、植物系バイオマスを使用することができる。植物系バイオマスとしては、木本系バイオマス、草本系バイオマスが挙げられる。木本系バイオマスとしては、スギ、サクラ、ユーカリ、ヒノキ、ヒバ、ブナなどが挙げられる。また草本系バイオマスとしては、タケ、パームヤシの樹幹・空房、パームヤシ果実の繊維及び種子、バガス、稲わら、麦わら、トウモロコシ残渣(コーンストーバー、コーンコブ、コーンハル)、ヤトロファ種皮・殻、スイッチグラス、エリアンサス、エネルギー作物などの植物油搾取過程で発生する残渣物が挙げられる。これらのなかでも、入手容易性や本発明において適用する製造方法との適合性の観点から、草本系バイオマスが好ましく、バガスがさらに好ましい。
これら植物系バイオマスには、15〜40質量%程度のリグニンが含まれるため、好適である。なお、製造工程に導入する原料の植物系バイオマスは、粉砕されたものを用いることもできる。原料の植物系バイオマスは、ブロック、チップ、粉末、いずれの形状でもよい。
実施形態として示す製造方法における分解工程では、水と炭素数4〜10の脂肪族アルコールとの混合溶媒であり、0℃以上50℃以下において二相分離する溶媒が用いられる。このような水とアルコールとの混合溶媒を用いることにより、リグニンの分解反応により生成したカルボン酸と、アルコールとが反応し、エステルが生成される。生成されたエステルにより、反応性が高く重合しやすいカルボン酸が不活性化されるという効果が得られる。
また、0℃以上50℃以下において二相分離する溶媒を用いることにより、分解反応により生成したリグニン分解物が有機相に抽出され、セルロース分解物の一部と、ヘミセルロース分解物の一部と、バイオマスに含まれる金属類は、水相に分配されて、液/液分離できる。これにより、リグニン中の不純物が低減される。また、液/液分離によれば、リグニン分解物の収量を高めることができる。さらにまた、液/液分離では、加熱により留出する分離方法に比べて、リグニン分解物と溶媒とを分離する工程において浪費される熱エネルギー量を低減できる。このため、カーボンオフセットの観点から有用である。
分解工程に用いることのできる溶媒は、0℃以上50℃以下において二相分離する溶媒であればよく、分解反応の前あるいは分解反応中に一相でも、分解反応後に、水又はアルコールを添加することにより二相化する溶媒であってもよい。
本発明の実施形態において、溶媒に用いられるアルコールは、炭素数4〜10の脂肪族アルコールであって、0℃以上50℃以下において水と二相分離するものであれば、使用できる。例えば、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノールなどの飽和直鎖アルコールのほか、不飽和直鎖アルコールであってもよい。また、脂肪族炭化水素が分岐したアルコールであってもよい。不飽和分岐アルコールであってもよい。分岐アルコールとして、好ましくは、イソブタノールが挙げられる。これらのアルコールのなかでも、0℃以上50℃以下において水と二相分離する観点から、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノールから選ばれる1種以上であることが好ましく、1−ブタノールが特に好ましい。
なお、炭素数1〜3の脂肪族アルコールであるメタノール、エタノール、プロパノールは、0℃以上50℃以下において水と相溶し一相となるため好ましくない。
さらに、炭素数1〜3の脂肪族アルコールを用いると、得られるリグニン中の溶剤可溶分の軟化点が上昇してしまう。リグニンは、溶剤に溶解した状態で使用されることがあり、溶剤に可溶であること、あるいは比較的低温で樹脂と混合されることがあり、軟化点が低いことが望ましい。また、リグニンを樹脂として使用する場合、リグニンの分子量が低いと、材料としての強度及び耐熱性が低下することが懸念される。つまり、溶剤に溶解するリグニン、あるいは軟化点が低く且つ分子量が高いリグニンが望まれている。ここで、リグニン中の溶剤可溶分の重量平均分子量(Mw)としては、後述する実施例に記載の測定方法において、1100以上であり、好ましくは、1200以上、より好ましくは、1400以上さらに好ましくは、1500以上である。上限を制限する必要はないが、5000以下が好ましい。軟化点としては、後述する実施例に記載の測定方法において、135℃以下、好ましくは、125℃以下、より好ましくは、120℃以下である。下限を制限する必要はないが、50℃以上が好ましい。
条件Aにおける原料の溶媒に対する仕込み濃度は、1質量%以上20質量%以下であり、好ましくは、3質量%以上18質量%以下、より好ましくは、5質量%以上15質量%以下である。原料濃度が1質量%未満であると、溶媒の加温や、リグニン分解物と溶媒との分離に使用するエネルギー量が勝り、リグニン分解物の生成プロセスのエネルギー効率が悪化する。材料が20質量%を超えると、溶媒量が十分でなく、反応効率が低下する。
条件Bにおける反応温度は、100℃以上350℃以下であり、好ましくは、150℃以上300℃以下であり、より好ましくは、170℃以上270℃以下である。100℃未満であると、リグニンの分解反応が進行しにくくなり、350℃を超えると、セルロースが分解するとともに、リグニン分解物が再度重合することによりコークが生成するため好ましくない。
条件Cにおける反応時間は、0.1時間以上10時間以下であり、好ましくは、0.2時間以上8時間以下であり、より好ましくは、1時間以上6時間以下であり、さらに好ましくは、1時間以上3時間以下である。0.1時間未満では分解反応が十分に進行せず、10時間を超えると、セルロースが分解するとともに、リグニン分解物が再度重合することによって生成されるコークの生成量を抑えることができない。
本発明の実施形態において、溶媒に用いられる水としては、例えば、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。脂肪族アルコールとして1−ブタノールを使用する場合には、水とアルコールの混合比の範囲は、モル比で、水(mol)/1−ブタノール(mol)が0.5/1〜45/1であることが好ましく、より好ましくは、0.7/1〜30/1、さらに好ましくは、0.9/1〜20/1、さらに好ましくは、1.8/1〜10/1である。
また、脂肪族アルコールとして、1−ヘキサノールを使用する場合には、モル比で、水(mol)/1−ヘキサノール(mol)が0.5/1〜45/1であることが好ましく、より好ましくは、0.7/1〜20/1であり、さらに好ましくは、1.5/1〜10/1である。
また、脂肪族アルコールとして、1−オクタノールを使用する場合には、モル比で、水(mol)/1−ヘキサノール(mol)が0.5/1〜45/1であることが好ましく、より好ましくは、1/1〜30/1であり、さらに好ましくは、1.8/1〜20/1である。
水とアルコールとの比が上述した範囲を超える場合には、水とアルコールとが所定の条件下において、二相分離しないことがある。また、リグニン分解物の抽出効率が低下することがある。
さらに、上記の好ましい範囲を超えて水を多量に用いると、得られるリグニン中の溶剤可溶分の分子量が低下してしまう。リグニンは、溶剤に溶解した状態で使用されることがあり、溶剤に可溶であること、あるいは比較的低温で樹脂と混合されることがあり、軟化点が低いことが望ましい。しかし、リグニンを樹脂として使用する場合、リグニンの分子量が低いと材料としての強度・耐熱性が低下することが懸念される。つまり、溶剤に溶解、あるいは軟化点が低く、且つ分子量が高いリグニンが望まれている。ここで、リグニン中の溶剤可溶分の重量平均分子量(Mw)としては、後述する実施例に記載の測定方法において、1100以上であり、好ましくは、1200以上、より好ましくは、1400以上さらに好ましくは、1500以上である。上限を制限する必要はないが、5000以下が好ましい。軟化点としては、後述する実施例に記載の測定方法において、135℃以下、好ましくは、125℃以下、より好ましくは、120℃以下である。下限を制限する必要はないが、50℃以上が好ましい。一方で、アルコールの使用量が増えることはコストの上昇につながる。つまり、上記の水/アルコールの比が好ましい範囲で製造することにより、コストと得られるリグニンの性能のバランスを両立することができる。
上述した条件のほかに、分解工程における反応系の圧力は、0.5MPa〜30MPaが望まれる。より好ましい条件は、水、アルコール量と温度によって影響されるため適宜設定する。また、分解工程は、空気下で行うことができる。分解工程は、酸化反応による重合を抑えるために、窒素パージを行って酸素を減らした雰囲気下で行われることが好ましい。
本発明の実施形態に係る製造方法におけるリグニン分解反応の反応方式に、特に制限はない。例えば、一般的な回分式反応器、半回分式反応器などを利用することができる。また、リグニン含有材料と、水と、アルコールとからなるスラリーをスクリュー又はポンプ等で押し出しながら反応させる方式も適用可能である。さらに、静置反応も可能である。
<(2)分液工程>
本発明に係るリグニン分解物の製造方法は、(2)分液工程を有する。分液工程は、分解工程の後に行われる。分液工程では、分解工程の後、二相分離する温度において分離した溶媒から、リグニン分解物が含まれる有機相を分液する。本発明に係る製造方法において使用される溶媒は、0℃以上50℃以下の温度範囲において、二相分離するものであればよい。
本実施形態に係るリグニン分解物の製造方法によれば、分離した有機相を分液漏斗などにより分離することにより、リグニン分解物を得ることができる。リグニン分解物は、混合溶媒中の有機相である脂肪族アルコールに溶解している。
このように、本発明に係るリグニン分解物の製造方法では、リグニン分解物と溶媒とを液/液分離することができるため、分離工程における熱エネルギー損失を低減することができる。
<(3)その他の工程>
本発明においては、分液工程後、上記溶媒を濃縮した後のリグニン分解物(固形物)を抽出処理することが望ましい(抽出工程)。
抽出工程において使用可能な有機溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、トルエン、ベンゼン、及び脂肪族アルカン、から選ばれる1又は複数を混合して得られる混合溶媒、さらには水との混合溶媒である。
使用可能な有機溶媒は、好ましくは、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコールから選ばれる1又は複数を混合して得られる混合溶媒、さらには水との混合溶媒であり、より好ましくは、アセトン、酢酸エチル、ジメチルエーテル、アルコールから選ばれる1又は複数を混合して得られる混合溶媒、さらには水との混合溶媒である。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールが挙げられ、なかでも、メタノールが好ましい。脂肪族アルカンとしては、オクタン、ヘプタン、ヘキサン等が挙げられ、なかでも、ヘキサンが好ましい。
なお、リグニンを含有する材料を条件A、B及びCの下で処理するとともに、水とアルコールとを特定の混合比に設定する分解工程と、有機溶媒可溶分を抽出する前段階である分液工程との間に、不純物を除去したり、リグニン分解物を生成したりするための別の工程が含まれてもよい。また、分液工程と、抽出工程との間に別の工程が含まれていてもよい。
<リグニン分解物の利用>
本発明の実施形態に係る製造方法により製造されたリグニン分解物は、フィルター等により固形分と分離した後、各種樹脂モノマー、各種樹脂添加剤、樹脂原料、接着剤、化学品、食品、医薬分野の添加物などの原料に利用できる。
リグニン分解物から、フェノール、グアヤコール、クレゾールなどのフェノール系化合物を生成することができる。また、リグニン分解物から、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物を生成することができる。この生成反応は、例えば、水の存在下、FeOx−ZrO2系触媒やFeOx−Al23−ZrO2系触媒用い、200〜500℃程度の温度下で行うことができる。
また、本実施形態に係る製造方法により製造されたリグニン分解物は、具体的に、燃料、セメント用の撥水材のとして用いることができる。また、これらのほかに、フェノール樹脂やエポキシ樹脂のベース樹脂原料、エポキシ樹脂の添加剤(硬化剤)などにも適用できる。これは、リグニンがフェノール性の構造単位を有する特徴によるものである。
ここで、ベース樹脂原料としての使用については、従来公知の手法を用いることができる。一例として、リグニン分解物とヘキサメチレンテトラミンを代表とする公知の架橋剤とが配合されてなる樹脂組成物が挙げられる。
リグニン分解物と架橋剤とが配合されてなる樹脂組成物に、各種の充填材や工業的に得られる一般のフェノール樹脂を必要に応じて配合してもよい。このような樹脂組成物は、住宅用の断熱材、電子部品、フラックサンド用樹脂、コーテッドサンド用樹脂、含浸用樹脂、積層用樹脂、FRP成型用樹脂、自動車部品、自動車タイヤの補強材などに用いることができる。
また、リグニン分解物へのエポキシ基の導入及びリグニン分解物のエポキシ樹脂硬化剤としての使用によりエポキシ樹脂への適用も可能となる。そのほか、公知の手法を用いて、ビニル基、マレイミド基、イソシアネート基などをリグニン分解物に導入することにより、さらに広範囲の工業用樹脂への適用が可能となる。
本発明に係るリグニン分解物の製造方法によれば、バイオマス原料からリグニン分解物を温和な条件下で効率的に抽出することが可能である。その結果として、バイオマス原料中に含まれるセルロース分解物の一部やヘミセルロース分解物の一部を水相に溶解させて、効率的かつ高純度で回収することができる。一方、セルロースは、固形分として、効率的かつ高純度で回収することができる。
本発明に係るリグニン分解物の製造方法により得られるセルロース、ヘミセルロース、及びこれらの分解物に含有されるリグニンの量は少ないため、酸や酵素による糖化が効率的に行われる。また、本製造方法によって得られたセルロース、ヘミセルロース、及びこれらの分解物から、公知の手法を用いてエタノールやブタノールを得ることができる。
また、本発明に係るセルロース、ヘミセルロースからは、セルロースナノファイバーなどの樹脂強化繊維・化学繊維代替としてのゴム及びタイヤ補強材、カルボキシメチルセルロース、オリゴ糖、キシリトールなどの食品添加物、乳酸、コハク酸、フルフラールなどの化学品を得ることができ、有用である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、原出願に対して追加した評価データは、原出願の出願以降に新たに発見した特許文献に対する本発明の差異を明確にするためのものである。既存のデータがリグニン分解物全体の収率(これは概ねリグニンの収率に等しい)を表しているのに対して、追加した評価データは、原料中に含まれるリグニンを100%としたときの溶剤可溶分(この溶剤可溶分は、後述する実施例に記載の測定方法において、重量平均分子量(Mw)500〜2000のリグニンに相当する)の収率を表す。この値は、実施例1で得られた「リグニン分解物の濃縮物」を用い、さらに抽出工程を経ることで得られた値である(算出方法は後述する)。
[実施例及び比較例]
<実施例1>
第1表に記載する植物系バイオマス(試料サイズ3mm以下)と、第2表に記載するアルコール種、水/アルコール比で調製した溶媒とを、内容積0.92LのSUS製回分式反応装置(図1)に入れた。溶媒の合計量は、315gであった。第2表の原料仕込み濃度、分解反応条件として分解反応を行った。
SUS製回分式反応装置の反応器内を窒素でパージした後、200℃まで昇温し、2時間反応を行った。反応時間は、200℃に達してからの経過時間とした。また、熱電対にて温度を測定した。
反応終了後、SUS製回分式反応装置の反応器を冷却し、温度が室温付近まで下がった後、反応器の中味を全て取り出した。反応後、固形分と液相とを濾別し、濾液の水相と有機相を分液漏斗により液/液分離した。固形分は200mlの1−ブタノール(反応に用いた有機溶媒)中で15分間超音波洗浄し、さらに固形分を200mLのアセトン中で5分間超音波洗浄した後、固液分離し、得られた濾液を前述の有機相に加えた。
有機相をエバポレーター(70℃、水浴)で留去した後、125℃、1時間の条件で真空乾燥して、リグニン分解物の濃縮物を得た。その後、該濃縮物の質量を測定した。
エバポレーターによる留出処理の前の有機相に含まれる化合物をガスクロマトグラフィーにより同定したところ、ヘミセルロース過分解物であるフルフラールと、セルロース過分解物であるヒドロキシメチルフルフラールとが含まれていた。また、リグニン分解物の濃縮物には、濃縮物の全質量基準で、ヒドロキシメチルフルフラール0.3%、リグニン分解物99.7%が含まれていた。
得られたリグニン分解物の濃縮物を酢酸エチル(67mL/g−濃縮物)の入ったビーカーに投入して20分間攪拌した。撹拌後、10分間静置した後、デカンテーションにより上澄み液を除去した。上澄み液を吸引濾過し、微量の固形分を除去した。
ビーカー中に残った固形分には、酢酸エチル(33mL/g−濃縮物)を投入して20分間攪拌した。撹拌後、10分間静置した後、デカンテーションにより上澄み液を除去した。上澄み液を吸引濾過し、微量の固形分を除去した。
ビーカー中に残った固形分には、酢酸エチル(13mL/g−濃縮物)を投入して10分間攪拌した。撹拌後、10分間静置した後、デカンテーションにより、再び上澄み液を除去した。上澄み液を吸引濾過し、微量の固形分を除去した。
得られた上澄み液(酢酸エチル可溶分)を、エバポレーター(60℃、水浴)で留去した後、150℃、30分間の条件で真空乾燥して、酢酸エチル可溶分を得た。その後、酢酸エチル可溶分の質量を測定した。原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、酢酸エチル可溶分の乾燥質量から、後述する方法により、原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率(質量%)を算出した。
<実施例2〜13>
第2表に記載するアルコール種、水/アルコール比で調製した溶媒、及び第1表に記載する植物系バイオマスをそれぞれ用いて、第2表の条件により、リグニン分解物及び酢酸エチル可溶分を製造した。また、実施例1と同様の酢酸エチル抽出を実施し、原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、酢酸エチル可溶分の乾燥質量から、後述する方法により、原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率(質量%)を算出した。
<実施例14>
第2表に記載するアルコール種、水/アルコール比で調製した溶媒、及び第1表に記載する植物系バイオマスをそれぞれ用いて、第2表の条件により、リグニン分解物及び酢酸エチル可溶分を製造した。反応後、固形分と液相を濾過により固液分離した。固形分を200mlの水で洗浄し、その洗液を前述の濾液に加えた。これにより、水と1−ブタノールとが二相分離するため、液/液分離により1−ブタノール相を回収した。固形分を200mlの1−ブタノール中で15分間超音波洗浄した後、固液分離し、得られた濾液を前述の1−ブタノール相に加えた。1−ブタノール相をエバポレーター(70℃、水浴)で留去した後、125℃、1時間の条件で真空乾燥して、リグニン分解物の濃縮物を得た。その後、リグニン分解物の濃縮物の質量を測定した。原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、有機相の乾燥質量から、後述の方法により有機相中のリグニン分解物の割合を算出した。
また、実施例1と同様の酢酸エチル抽出を実施し、原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、酢酸エチル可溶分の乾燥質量から、後述する方法により、原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率(質量%)を算出した。
<実施例15〜33>
第3表に記載するアルコール種、水/アルコール比で調製した溶媒、及び第1表に記載する植物系バイオマスをそれぞれ用いて、第3表の条件により、リグニン分解物及び酢酸エチル可溶分を製造した。また、実施例1と同様の酢酸エチル抽出を実施し、原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、酢酸エチル可溶分の乾燥質量から、後述する方法により、原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率(質量%)を算出した。
また、上述の溶剤可溶分を、テトラヒドロフラン溶媒を用いたゲル浸透クロマトグラフ(GPC)にて、測定温度40℃、検出器RIで、分子量分布を測定した。また、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)を算出し、第5表及び第6表に記載した。
さらに、上記溶剤可溶分をアルミ皿の上にのせ、当該アルミ皿をホットプレート上で徐々に温度を上げながら加熱していくことで、目視により溶剤可溶分の軟化点を測定し、第5表及び第6表に記載した。
<比較例1〜6>
実施例1にて、水と1−ブタノールの代わりに水のみを315g用いた以外は、同じ条件で反応を行った。反応後、リグニン分解物は固形分とともに沈殿しているため、リグニン分解物及び固形分と水とを濾過により固液分離した。得られた固形分を回収して200mlの1−ブタノール中で15分間超音波洗浄後、固形分とリグニン分解物が溶解した1−ブタノールを固液分離した。有機相の溶媒をエバポレーター(70℃、水浴)で留去した後、125℃、1時間の条件で真空乾燥して、リグニン分解物の濃縮物を得た。その後、質量を測定した。原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、有機相の乾燥質量から、後述する方法により有機相中のリグニン分解物の割合を算出した。
また、実施例1と同様の酢酸エチル抽出を実施し、原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、酢酸エチル可溶分の乾燥質量から、後述する方法により、原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率(質量%)を算出した。
<比較例7,8>
実施例1にて、原料として既製のリグニン(脱アルカリリグニン、東京化成工業株式会社製)を用いた以外は、同じ条件で反応を行い、酢酸エチル可溶分を製造し、原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率(質量%)を算出した。
<比較例9〜16>
実施例16〜19にて、1−ブタノールの代わりに第4表に記載するアルコールを用いた以外は、同じ条件で反応を行った。反応後、固形分と液相を濾過により固液分離した。固形分を200mLの水で洗浄し、その洗液を前述の濾液に加えた。固形分を200mLの反応に用いた有機溶媒中で15分間超音波洗浄し、さらに固形分を200mLのアセトン中で5分間超音波洗浄した後、固液分離し、得られた濾液を前述の濾液+洗浄液に加えた。エバポレーターで有機溶媒を留去することで生じた固形分を濾過により、固液分離した後、125℃、1時間の条件で真空乾燥して、リグニン分解物の濃縮物を得た。その後、その質量を測定した。原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、有機相の乾燥質量から、後述する方法により有機相中のリグニン分解物の割合を算出した。
また、実施例1と同様の酢酸エチル抽出を実施し、原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、酢酸エチル可溶分の乾燥質量から、後述する方法により、原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率(質量%)を算出した。
さらに、上記溶剤可溶分を、テトラヒドロフラン溶媒を用いたゲル浸透クロマトグラフ(GPC)にて、測定温度40℃、検出器RIで、分子量分布を測定した。また、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)を算出し、第5表及び第6表に記載した。
さらに、上述の溶剤可溶分をアルミ皿の上にのせ、当該アルミ皿をホットプレート上で徐々に温度を上げながら加熱していくことで、目視により溶剤可溶分の軟化点を測定し、第5表及び第6表に記載した。
<比較例17>
実施例1にて、水と1−ブタノールの代わりに1−ブタノールのみを315g用いた以外は、同じ条件で反応を行った。反応後、固形分と液相を濾過により固液分離した。固形分を200mLの水で洗浄、その洗液に200mLの水を加え、さらに、その液を前述の濾液に加えた。これにより、水相と1−ブタノールとが二相分離するため、液/液分離により1−ブタノール相を回収した。固形分を200mlの1−ブタノール中で15分間超音波洗浄した後、固液分離し、得られた濾液を前述の1−ブタノール相に加えた。1−ブタノール相をエバポレーター(70℃、水浴)で留去した後、125℃、1時間の条件で真空乾燥して、リグニン分解物の濃縮物を得た。その後、リグニン分解物の濃縮物の質量を測定した。原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、有機相の乾燥質量から、後述する方法により有機相中のリグニン分解物の割合を算出した。
また、実施例1と同様の酢酸エチル抽出を実施し、原料仕込み量、第1表の原料中のリグニン含有割合、酢酸エチル可溶分の乾燥質量から、後述する方法により、原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率(質量%)を算出した。
[有機相中のリグニン分解物の割合の算出]
リグニン分解物割合は、第1表に記載したリグニン含有量に基づいて、下記の式により算出した。すなわち、
リグニン分解物割合={(有機相の乾燥質量(g))/(原料仕込み量(g))/(原料のリグニン含有割合(質量%))×100}×100
[原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率の算出]
第1表に記載したリグニン含有量に基づいて、下記の式により算出した。すなわち、
原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率={(酢酸エチル可溶分の乾燥質量(g))/(原料仕込み量(g))/(原料のリグニン含有割合(質量%))×100}×100
第1表の成分組成は、下記に示す、前処理、ホロセルロース量の測定、及びα−セルロース量の測定に従って算出した。
<前処理>
前処理として、ウィレーミル(IKA社製「MF10」、ふるいサイズ1mm)を用いて試料となる原料(スギ、サクラ、ユーカリ、タケ)を粉砕し、105℃のオーブンで12時間乾燥後、デシケーター内で保管した。
<ホロセルロース量(α−セルロース+ヘミセルロース)の測定>
50mlバイアルに、上記前処理を施した後の原料0.5gを精秤した。水20ml、亜塩素酸ナトリウム0.2g、酢酸50μlを添加し、混合した後、70℃の水浴で加熱した。20分間隔で撹拌しながら1時間加熱した後、亜塩素酸ナトリウム0.2g、酢酸50μlを追加し、更に1時間加熱した。試料が白色になるまで操作を繰り返した。試料が白色になるまで、酢酸50μlを、平均で3回追加した。
乾燥質量を測定したガラス繊維濾紙(ADVANTEC社製「GA−100」)上に試料を回収し、4〜5回水洗した。その後、105℃のオーブンで12時間乾燥後、得られたホロセルロースの乾燥質量を測定した。
<α−セルロース量>
上述のようにして得られたホロセルロース試料0.3gを精秤し、50mlバイアルに添加した。17.5%のNaOH水溶液8mlを添加し、24℃で3分間静置後、ガラス棒を使って5分間試料を潰した。室温で30分間静置後、水8mlを加え1分間撹拌した。5分間静置後、乾燥質量を測定したガラス繊維濾紙(ADVANTEC社製「GA−100」)上に試料を回収した。2〜3回水洗した後、10%酢酸水溶液10mlを加えて濾過した。濾過後、更に4〜5回水洗した。その後、105℃のオーブンで12時間乾燥後、得られたα−セルロースの乾燥質量を測定した。ホロセルロース質量からα−セルロースの質量を除いたものがヘミセルロースの質量である。
<リグニン量及び構成糖>
ガラス乳鉢に、試料0.5gを精秤し、72%硫酸16gを加えて1時間試料を潰した。内容物を370gの蒸留水で500ml三角フラスコに移した。オートクレーブ(120℃、60分)後、上清を5ml採取し、0.1NのNaOHで中和後、構成糖分析に供した。
乾燥質量を測定したガラス繊維濾紙(ADVANTEC社製:GA−100)に固形分を回収し、4〜5回水洗した。105℃のオーブンで12時間乾燥後、乾燥質量を測定した。この測定値がリグニンの質量である。
なお、第1表において、EFBは下記のものである。
1)EFB:パーム空果房(Empty Fruit Brunch)
第4表において、リグニンは下記のものである。
2)リグニン:脱アルカリリグニン、東京化成工業株式会社製
第2表及び第3表に示すように、実施例1〜13及び実施例15〜33のように二相分離する溶媒を用いてリグニン分解物を分離する方法、及び実施例14のように分解工程の前に一相であっても水を添加して二相分離させてリグニン分解物を分離する方法によれば、比較例1〜6及び比較例11〜16のように水のみ、有機溶媒のみ、あるいは一相混合溶媒からリグニン分解物を抽出する方法に比べて、高い収量でリグニン分解物及び溶剤可溶分が得られることが判った。
また、実施例1〜33のように木本系又は草本系の原料からリグニン分解物を製造する方法は、比較例7,8のように既製のリグニンからリグニン分解物を抽出する方法よりも、高い収量で溶剤可溶分を得られることが判った。
さらに、実施例15〜26のように二相分離する溶媒を用いてリグニンを分離する方法によれば、比較例10〜16のように一相混合溶媒からリグニン分解物を抽出する方法に比べて、軟化点の低い溶剤可溶分が得られることが判った。
これにより、本発明に係るリグニン製造方法は、木本系バイオマス及び草本系バイオマスを含む植物系バイオマスを出発原料とする場合に、高い収量で、且つ高品質のリグニン分解物及び溶剤可溶分が得られる点で、特に有用であるといえる。
本発明の実施形態に係るリグニン分解物の製造方法によって効率的にリグニン分解物及び溶剤可溶分が得られるのは、以下の如く推定している。
まず、回収された固形分が主にセルロースであること、及び有機相に溶解したものは主にリグニンであることを前提とする。
第3表の実施例17、23、26と、比較例10、12、15、16とを比較すると、実施例の方法では、特に、アルコールとして、1−ブタノール及び1−ヘキサノールを用いた場合に、有機相中のリグニン分解物の割合、原料中リグニン基準の溶剤可溶分収率が良好であることがわかる。また、原料バガス中のセルロースが45質量%であるため、この値に近いほど、固形分中のリグニンは少ないと考えられる。
リグニンは、アルコールなどの有機溶媒単独よりも、水との混合溶媒に対して溶解し易いことが確認されている。リグニンの分子構造は、巨大であるが、その構造中に芳香環を多く含むこと、また、水酸基を有する。このため、リグニンは、親疎水性を有すると考えられる。
また、芳香環同士の疎水性相互作用及び水酸基同士の水素結合といった分子間力を有するため、比較的低分子なものが分子間相互作用によって見かけ上、超巨大分子化しているものと考えられる。
したがって、リグニンを溶解させるには、リグニン分子間の相互作用を切断することのできる溶媒を用いることが有効であると推察される。つまり、リグニンを溶解できる溶媒には適度な親水性と疎水性のバランスが求められる。水とアルコールの混合溶媒は、この条件を適度に満たしていると考えられる。
バイオマス原料のペレットは、中心にセルロースがあり、セルロースの周辺をヘミセルロースが水素結合することにより覆っており、最外面をリグニンがヘミセルロースとエステル又はエーテル結合することにより覆っているといわれている。
分解反応温度200℃で、リグニンの分子間結合が切断されるとは考えにくいため、200℃において、ヘミセルロースが分解すると共に、リグニンの分子間力が水とアルコールの混合溶媒によって弱められながら剥離されると考えられる。分解反応温度200℃において、原料から剥離しにくいリグニンは、例えば、漂白処理などを施すことによって剥離することができる。
上述のように推測されることから、リグニンを溶解させる溶媒としては、有機溶媒単独よりも、水と有機溶媒(アルコール)との混合溶媒が適していると思われる。
また、例えば、水よりも低沸点のアルコールとの一相混合溶媒とした場合には、混合溶媒からアルコールのみを留出し、アルコールに溶解しているリグニンを析出させて回収できる。しかし、水に溶解しているリグニンの一部を回収するためには、さらに多くの熱エネルギーを必要とするため、熱エネルギー損失が大きく、また、リグニンの回収率を上げることも困難であり、さらに、軟化点低下に寄与する成分の回収が不十分となることに伴い、溶剤可溶分の軟化点も上昇することが推測される。このことから、リグニンを溶解させる溶媒としては、水と有機溶媒(アルコール)との混合溶媒で、且つ二相となる溶媒が適していると思われる。
1−ブタノール又は1−ヘキサノールを使用した実施例と、比較例との収率の差異は、上述の混合溶媒が一相状態になっていること、混合溶媒を形成するアルコールの種類などによるものと考えられる。また、リグニンの分子間結合を切断しリグニンと相互作用できる能力、つまり親疎水性のバランスという観点から、1−ブタノール又は1−ヘキサノールと水との混合溶媒が良好であると考えられる。
なお、本発明の効果発現機構は、以上の推定に限定されるものではない。

Claims (5)

  1. (1)水と炭素数4〜10の脂肪族アルコールとの混合溶媒であり、0℃以上50℃以下において二相分離する溶媒中において、植物系バイオマスを含有する原料を下記条件の下で分解する分解工程と、
    条件A:該原料の該溶媒に対する仕込み濃度が1質量%以上20質量%以下である
    条件B:反応温度が100℃以上350℃以下である
    条件C:反応時間が0.1時間以上10時間以下である
    (2)分解工程の後、二相分離する温度において分離した該溶媒から、リグニン分解物が含まれる有機相を分液する分液工程と、
    を有するリグニン分解物の製造方法。
  2. 前記条件Aにおける前記原料の前記溶媒に対する仕込み濃度が5質量%以上20質量%以下である請求項1に記載のリグニン分解物の製造方法。
  3. 前記条件Bにおける前記反応温度が150℃以上300℃以下である請求項1又は2に記載のリグニン分解物の製造方法。
  4. 前記条件Cにおける前記反応時間が1時間以上5時間以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグニン分解物の製造方法。
  5. 前記脂肪族アルコールが、1−ブタノール、1−ペンタノール、及び1−ヘキサノールから選ばれる少なくとも1つである請求項1〜4のいずれかに記載のリグニン分解物の製造方法。
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