JP3621962B2 - 高沸点有機溶剤の水性溶媒を用いたパルプの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種パルプ原料を含む植物バイオマス(農業廃棄物を含む)を水溶性の高沸点有機溶媒を主成分とする溶媒系を用いた製紙用、セルロース誘導体用、糖化用の各種パルプを製造する方法(溶剤パルプ化法)において、高沸点有機溶媒の循環使用を工夫した、省エネルギーのパルプの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
木材などのパルプ原料を、水溶性の有機溶剤で処理して、パルプ原料のリグニン、ヘミセルロース、糖、およびセルロース分を分離する方法は公知である(例えば米国特許第3585104号明細書、同第4100016号明細書)、特に高沸点有機溶媒を用いるパルプ製造方法も既知である(例えば、高沸点を用いた文献:Johanson et. al. :Pap. Puu. 69(1987),(6),500−504. THFA−HClによるパルプ化。Grondal, B.L. et. al. :U.S.pat. 2,7772,968 (1950):トリエチエングリコール−AlCl3によるパルプ化. Nelson: Appita 3(11)29(1977): エチレングリコール−サルチル酸によるパルプ化。Schweers: Chemtech 132(8)490(1974):フェノールによるパルプ化。Sano et. al.: Japan Tappi, 42(1988)(5),487−496:クレゾールによるパルプ化。 Sano and Uraki: Holzforshung, 53(1999)411−415.:多価アルコール−HClによる常圧パルプ化。参照)。このような溶剤パルプ化法は比較的高い設備費と汚染という問題点を持つクラフトパルプ化法および亜硫酸パルプ法のような通常の化学パルプ化法の代替方法として魅力ある方法である。
前記米国特許第4100016号明細書に記載の方法では、有機溶媒・水−黒液からのリグニンの回収に水による希釈方法が採用されているが、効率がよいものではない。そこで、改良法として酸を加えた水を用いた希釈方法も提案されているが、酸を添加するため、溶剤の利用に不都合がある。
【0003】
前記高沸点有機溶媒を用いるパルプ製造方法においは、使用した前記高沸点有機溶媒を分離回収するものであり、回収には多くのエネルギーを必要とする点で好ましい方法とはいえない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、使用する高沸点有機溶媒を、高沸点有機溶媒を分離回収するという操作を省略し、廃液などの主成分であるリグニンを分離回収するという操作の後に、前記高沸点有機溶媒を、他の成分を含んだままでパルプ化工程などで再使用できる溶剤パルプ化方法が設計できれば、前記溶剤パルプ化法の利点を生かしつつ、有機溶剤の回収に大量のエネルギーを消費することの問題を軽減したパルプ化方法が実現できるのではないかと考え、前記のような溶剤パルプ化方法を実現することを、本発明の課題とした。
前記課題を解決すべく、使用する高沸点有機溶媒および廃液、粗パルプ洗浄液などからのリグニンの回収、並びに高沸点有機溶媒の効率的な再利用を組み合わせたパルプ化方法を検討する中で、高沸点有機溶媒を単離回収することなく、高沸点有機溶媒の含有量をパルプ化工程などで使用される高沸点有機溶媒濃度に調整して回収、再使用する方法を見出し、前記課題を解決した。
リグニンの沈殿・回収において、廃液に加える水洗浄液と水の合計量は2〜3倍容量とすることで、廃液中などのリグニンを実質的に回収できることの発見も、本発明を完成させるための重要な要素である。
また、糖類、例えばマンノース、グルコースなどの単糖類が含まれる溶媒によるHBSパルプ化においてもパルプ化収率はやや減少する(同じパルプ化温度とパルプ化時間の条件下において。)が、パルプ中の残留リグニン量は減少するし、マンノースを水素化し、マンニトールとした場合には、フレッシュな溶媒を用いた場合と同じパルプ化特性を示すことの発見は、ますます本発明の有用性を裏付けるものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、木質材料および農産物廃棄物など公知のパルプ原料と、少なくとも沸点150〜250℃の水に可溶な高沸点有機溶媒(HBSと略称する場合もある。)50〜90%を含む水性溶媒とを、液比4〜10で耐圧反応器に充填し、温度180−230℃で処理するパルプ化工程、パルプから廃液を分離する工程、分離されたパルプ(粗パルプ)を高沸点溶剤と煮沸水とで洗浄する工程、洗浄されたパルプを分離する工程、および前記廃液と洗浄工程からの洗浄液とから、希釈水を加えてリグニンを沈殿させ、濾過してリグニンを回収する工程、濾液から所定の水分を留去して高沸点有機溶剤50〜90%を含む溶剤を回収しこれを少なくともパルプ化工程で利用する共に、前記水分留去により発生する熱水を粗パルプ洗浄工程の煮沸水として利用する工程を含む、紙用、セルロース誘導体用、糖化用の各種パルプを製造する方法である。好ましくは、水に可溶な高沸点有機溶媒が炭素数2〜5の多価アルコール、ヒドロキシアルキル基置換の環状エーテルであることを特徴とする前記パルプを製造する方法であり、また、水性溶媒に10容量%までの酢酸を含ませることを特徴とする前記パルプを製造する方法である。
【0006】
本発明の第2は、一つの反応塔で、上からパルプ原料、と少なくとも沸点150〜250℃の水に可溶な高沸点有機溶剤を含む水性溶媒を連続的に供給し、塔前段のパルプ化部で180〜230℃の温度でパルプ化し、前記パルプ化部後部でパルプから廃液を分離し、次段の溶媒洗浄段に入ったパルプ(粗パルプ)を溶媒洗浄段の後部から導入した高沸点有機溶媒を含む溶媒によりパルプ化工程での余熱を利用して加温向流洗浄し、次いで水洗段に移送されたパルプは水洗浄段の後部(反応塔後段)から導入した水洗浄液により加温向流洗浄し、洗浄後の精製パルプは前記塔底部から抜き取る工程を含む、紙用、セルロース誘導体用、糖化用の各種パルプを製造する連続パルプ化法において、パルプ化部および溶媒洗浄部において使用される高沸点有機溶媒を含む溶媒として、パルプ廃液や溶媒洗浄工程から排出される洗浄液などから、希釈水を加えることによりリグニンを沈澱・分離・回収し、残留する溶液から所定量の水を留去して溶媒を回収し、回収した溶媒を再使用することを特徴とする連続パルプ化方法であり。好ましくは、パルプ廃液、粗パルプ洗浄液に希釈水を加えてリグニンを沈殿・分離し、残留する溶液から水を留去することにより、糖類を含む回収高沸点有機溶媒の溶液を調製し、該溶液をパルプ化溶媒とパルプの洗浄溶媒に繰り返し再使用することを特徴とする前記連続パルプ化方法であり、更に好ましくは、回収高沸点有機溶媒溶液に含まれる糖類や糖変質物、低分子リグニン分解物を水素化分解または酸化分解により安定化させ、高沸点有機溶媒と一緒にパルプ化溶媒として使用することを特徴とする前記連続パルプ化方法である。
【0007】
【本発明の実施の態様】
本発明を詳細に説明する。
A.水に可溶な高沸点有機溶剤としては、
1.テトラヒドロフルフリルアルコールのようなヒドロキシアルキル基置換の環状エーテル、ブタンジオール類、プロパンジオール類、エチレングリコール、グリセロール、ペンタンジオールなどの炭素数2〜5の多価アルコール類などを挙げることができ、熱安定性の観点から、1,3−および1,4一ブタンジオールや木材から調製可能なテトラヒドロフルフリールアルコールや1,5−ペンタンジオールなどを好ましい水に可溶な高沸点有機溶剤として挙げることができる。
2.水に可溶な高沸点有機溶剤を含む水性溶媒とは、フレッシュな水に可溶な高沸点有機溶媒を加えた水性溶媒(初期工程)、パルプ廃液や溶媒洗浄工程から排出される洗浄液などからリグニンと所定量の水を留去した回収水性溶媒をいう。
3.本発明は、高沸点有機溶媒をパルプ廃液や溶媒洗浄工程から排出される洗浄液などからリグニンの分離・回収と所定量の水を留去することによって溶媒を回収、再使用する点に特徴を有する。即ち再使用する溶媒中には糖類などが含まれたままである。
【0008】
B.高沸点有機溶媒の回収再使用について。
パルプ廃液および溶媒洗浄液からのリグニンの回収に必要とする希釈水を知るべく本発明者の行った実験から、リグニンの沈殿・回収のためにパルプ廃液などに加える水洗浄液と水の合計量は2〜3倍容量(対HBS溶媒)で十分であることが分かった。
表1に、高沸点溶媒中に溶解したリグニンを単離するのに必要な、希釈水の添加量の実験を示す。
このことの発見は、本発明の高沸点有機溶媒の回収再使用によるパルプ化工程の設計に重要なデータである。
【0009】
【表1】
【0010】
このことは、他の高沸点溶媒を使用した場合にも適用できることは、当然である。
【0011】
C.パルプ化(蒸解)の条件について。ここでは、高沸点溶媒(単にHBSと表現する場合もある)として1,4−ブタンジオール(1,4−BDOLで表す。)を用い、パルプ原料としてトドマツを使用した場合について説明するが、他の高沸点溶媒およびパルプ原料を用いた場合にも適用できることは当然である。
1.図1には(酢酸添加量5%、パルプ化温度220℃、1時間)、HBS濃度とパルプ化率(パルプ収率という場合もある)との関係を示す。パルプ化率、リグニン収率および残留リグニン(KL)を勘案する必要があるが、パルプ化率と回収HBSとの関連で条件の選択ができることを示す。
以降の図面において、各棒グラフは、図1の右下に表示した意味である。
2.図2には(酢酸添加量10%、70%1,4−BDOL)、パルプ化(蒸解)温度とパルプ化率、リグニン収率および残留リグニン(KL)の関連を示す。残留リグニンとの関連から視ると、高温パルプ化が好ましい。
【0012】
3.図3には(酢酸添加量10%、パルプ化温度220℃、70%1,4−BDOL)、パルプ化時間とパルプ化率、リグニン収率および残留リグニン(KL)の関連を示す。パルプ化時間は1時間で十分であることが理解される。
4.図4には(70%1,4−BDOL、パルプ化時間2時間)、酢酸添加量とパルプ化率、リグニン収率および残留リグニン(KL)の関連を示す。酢酸添加により残留リグニン量が改善できることを示している。
酢酸の添加は、高温パルプ化において高沸点溶媒の劣化、例えば酸化、を促進するからできる限り抑える。
【0013】
D.高沸点溶媒とパルプ化率、リグニン収率および残留リグニン(KL)の関連について。
図5には(酢酸添加量5%、HBS濃度70%、パルプ化温度220℃、1時間)、高沸点溶媒として1,4−BDOL、1,3−ブタンジオール(1,3−BDOL)、およびテトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)を用いた場合のパルプ化率などの関係が示されているが、本発明で挙げている高沸点溶媒は、パルプ化に関して、ほぼ同様の特性を持つことを示している。
【0014】
【実施例】
実施例1(バッチ条件)
木材チップまたは非木材チップをオートクレーブに入れる。
液比4〜10になるように70〜80%1,3−ブタンジオールを加える。
60〜90分間かけて200〜220℃に昇温し、この温度で1〜2時間保持し、パルプ化する。
粗パルプと廃液とに分離する。
分離した粗パルプを、1,3−ブタンジオールまたは廃液などから回収した1,3−ブタンジオールを加えると共に、煮沸水を加えて、煮沸水の温度で洗浄する操作を2回繰り返す。
廃液と前記洗浄排出液を一緒にしてパルプ廃液とする。
粗パルプを更に水を加え、60〜80℃に加熱、洗浄する操作を2回繰り返す。水洗浄液を希釈水として使用し、パルプ廃液に撹拌下に加えた。必要であれば、更に少量の水を加えて、リグニンを沈殿させる。
パルプ廃液に加える水洗浄液と水の合計量(希釈液)は、パルプ廃液の2〜3倍容量とする。
リグニンを吸引濾過し、少量の熱水で洗浄し、分離する。
濾過液から水を減圧留去し、70〜80%回収1,3−ブタンジオール溶液とする。この回収1,3−ブタンジオール溶液を、次回のバッチパルプ化および粗パルプ洗浄液に使用する。
得られたパルプは離解機で解離し、フラットスクリーンで精選した後、パルプの収率、残留リグニン、粘度、強度特佳を分析する。これらのパルプ化と洗浄操作は連続反応塔を用いて行うことが可能である。
【0015】
図6に、連続パルプ化の原理を示す。
反応塔(R.T)の頂部からパルプ原料(P)、と水に可溶な高沸点有機溶剤を含む水性溶媒(ここでは回収HBS溶媒;R.HBS)を連続的に供給する。
塔前段(上段)のパルプ化部(P,S)で180〜230℃の温度でパルプ化する。 前記パルプ化部後部でパルプから廃液を分離し、パルプ廃液(B.W)を抜き取る。後続する溶媒洗浄段にパルプ(粗パルプ)を移送する。
溶媒洗浄段(W.S)の後部から導入した高沸点有機溶媒を含む溶媒(ここでは回収HBS溶媒;R.HBS)によりパルプ化工程での余熱を利用して加温向流洗浄する。 次いで水洗段(熱水洗浄部;HW.W)に移送されたパルプは水洗浄段の後部(反応塔後段)から導入した水洗浄液(留去した水分など)により加温向流洗浄し、洗浄後の精製パルプ(HBSパルプ)は前記塔底部から抜き取る。
一方、パルプ廃液やパルプHBS溶媒洗浄工程から排出される水洗浄液(W.W)は、そこからリグニンを分離(濾過)・回収(L.R)し、分離後の液から所定量の水を留去(減圧蒸留)してHBS溶媒を回収してパルプ化の水性溶媒や溶媒洗浄段の洗浄溶媒として再使用し、留去した水分は水洗段(熱水洗浄部)リサイクルする。
【0016】
実施例3
パルプ原料としてシラカバを用い、フレッシュHBS溶媒を用いた場合、および回収HBSを用いた場合(No.2、3:1回目、2回目の回収液使用)のパルプ化による物質収支を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】
これらの結果から、本発明の方法による溶媒の回収方法で得られるHBS溶媒を用いた場合においても、十分なパルプ化が行われることが分かる。
【0019】
前記実施例2の各条件で得られたシラカバHBSパルプの強度特性を調べた。その結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】
パルプ化No.は、表2に対応する。
この結果から、本発明の方法による溶媒の回収方法で得られるHBS溶媒を用いて得られるパルプは、フレッシュHBS溶媒を用いて得られたパルプと遜色ないことが分かる。
【0022】
実施例3
ここでは、パルプ原料としてトドマツを用いた場合の、実施例2と同様の結果を表4に示す。
【0023】
【表4】
【0024】
パルプ化溶媒:70%1,3−BDOL、液比:6、パルプ化温度:220℃、蒸解時間:1時間とした以外は、実施例2と同じパルプ化条件をで行った。
この結果、パルプ原料が変わっても、実施例2と同様の結果が得られることが分かる。
【0025】
前記実施例3の各条件で得られたトドマツHBSパルプの強度特性を調べた。その結果を表5に示す。
【0026】
【表5】
【0027】
パルプ化No.は、表4に対応する。
この結果から、本発明の方法による溶媒の回収方法で得られるHBS溶媒を用いて得られるパルプは、フレッシュHBS溶媒を用いて得られたパルプと遜色ないことが分かる。
【0028】
表6に、種々のパルプ化原料を、HBS溶媒を用いてパルプ化した場合の物質収支を示す。
ここでのパルプ化条件は:バッチ(100mlオートクレーブ)、パルプ化溶媒:80%1,3−BDOL、液比:4〜6、パルプ化温度:180〜200℃、蒸解時間1−3時間。
【0029】
【表6】
【0030】
この結果を、シラカバのパルプ化物質収支(前記実施例2も参考にして)と対比すると、他のパルプ原料を用いた場合も、パルプ化特性にあまり変わりがないものと理解され、回収HBS溶媒を用いたパルプ化は、他のパルプ原料を使用した場合にも適用可能であることが理解される。
【0031】
ここでは、HBS溶媒中の単糖類、具体的にはマンノース、グルコースのHBS溶媒パルプ化に対する影響、および前記糖を還元処理した場合の、HBS溶媒パルプ化に対する影響について実験した。
その結果を表7に示す。
【0032】
【表7】
【0033】
この表から、糖類、例えばマンノース、グルコースなどの単糖類が含まれる溶媒によるHBSパルプ化においてもパルプ化収率はやや減少する(同じパルプ化温度とパルプ化時間の条件下において。)ものの、パルプ中の残留リグニン量は減少するし、マンノースを水素化し、マンニトールとした場合には、フレッシュな溶媒を用いた場合と同じパルプ化特性を示すことが理解される。
なお、回収高沸点有機溶媒溶液に含まれる糖類や糖変質物、低分子リグニン分解物を水素化分解または酸化分解した場合にも、前記水素化処理と同様の効果がもたらされることも確認されている。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の高沸点有機溶媒の循環の設計により、パルプ廃液や溶剤洗浄部から排出される洗浄液からリグニンの分離と所定の水分を留去するだけで、パルプ化工程の溶媒として十分に再使用することができ、このことは、水の使用量、エネルギーの使用量を軽減するという優れた効果がもたす。
【図面の簡単な説明】
【図1】針葉樹のHBS濃度とパルプ化率(パルプ収率という場合もある)との関係
【図2】針葉樹のパルプ化(蒸解)温度とパルプ化率、リグニン収率および残留リグニン(KL)の関連
【図3】針葉樹のパルプ化時間とパルプ化率、リグニン収率および残留リグニン(KL)の関連
【図4】酢酸添加量とパルプ化率、リグニン収率および残留リグニン(KL)の関連
【図5】高沸点溶媒として1,4−BDOL、1,3−ブタンジオール(1,3−BDOL)、およびテトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)を用いた場合のパルプ化率などの関係
【図6】連続パルプ化の原理
【符号の説明】
R.T 反応塔 P パルプ原料 W.S 溶媒洗浄段
R.HBS 回収HBS溶媒 P.S パルプ化部
HW.W 熱水洗浄部 R.P HBSパルプ
B.W パルプ廃液 W.HBS パルプHBS洗浄液
W.W 水洗浄液 L.R リグニン回収
Claims (6)
- 木質材料および農産物廃棄物など公知のパルプ原料と、少なくとも沸点150〜250℃の水に可溶な高沸点有機溶媒(HBSと略称する。)50〜90%を含む水性溶媒とを、液比4〜10で耐圧反応器に充填し、温度180−230℃で処理するパルプ化工程、パルプから廃液を分離する工程、分離されたパルプ(粗パルプ)を高沸点溶剤と煮沸水とで洗浄する工程、洗浄されたパルプを分離する工程、および前記廃液と洗浄工程から排出される洗浄液とから、希釈水を加えてリグニンを沈殿させ、濾過してリグニンを回収する工程、濾液から所定の水分を留去して高沸点有機溶剤50〜90%を含む溶剤を回収しこれを少なくともパルプ化工程で利用すると共に、前記水分留去により発生する熱水を粗パルプ洗浄工程の煮沸水として利用する工程を含む、紙用、セルロース誘導体用、糖化用の各種パルプを製造する方法。
- 水に可溶な高沸点有機溶媒が炭素数2〜5の多価アルコール、ヒドロキシアルキル基置換の環状エーテルであることを特徴とする請求項1に記載のパルプを製造する方法。
- 水性溶媒に10容量%までの酢酸を含ませることを特徴とする請求項1または2に記載のパルプを製造する方法。
- 一つの反応塔で、上からパルプ原料と少なくとも沸点150〜250℃の水に可溶な高沸点有機溶剤を含む水性溶媒を連続的に供給し、塔前段のパルプ化部で180〜230℃の温度でパルプ化し、前記パルプ化部後部でパルプから廃液を分離し、次段の溶媒洗浄段に入ったパルプ(粗パルプ)を溶媒洗浄段の後部から導入した高沸点有機溶媒を含む溶媒によりパルプ化工程での余熱を利用して加温向流洗浄し、次いで水洗段に移送されたパルプは水洗浄段の後部(反応塔後段)から導入した水洗浄液により加温向流洗浄し、洗浄後の精製パルプは前記塔底部から抜き取る工程を含む、紙用、セルロース誘導体用、糖化用の各種パルプを製造する連続パルプ化法において、パルプ化部および溶媒洗浄部において使用される高沸点有機溶媒を含む溶媒として、パルプ廃液や溶媒洗浄工程から排出される洗浄液などから、希釈水を加えることによりリグニンを沈澱・分離・回収し、残留する溶液から所定量の水の留去して溶媒を回収し、回収した溶媒を再使用することを特徴とする連続パルプ化方法。
- パルプ廃液、粗パルプ洗浄液に希釈水を加えてリグニンを沈殿・分離し、残留する溶液から水を留去することにより、糖類を含む回収高沸点有機溶媒の溶液を調製し、該溶液をパルプ化溶媒とパルプの洗浄溶媒に繰り返し再使用することを特徴とする請求項4に記載の連続パルプ化方法。
- 回収高沸点有機溶媒溶液に含まれる糖類や糖変質物、低分子リグニン分解物を水素化分解または酸化分解により安定化させ、高沸点有機溶媒と一緒にパルプ化溶媒として使用することを特徴とする請求項4または5に記載の連続パルプ化方法。
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