JP5605797B2 - リグニンの可溶化方法 - Google Patents

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Description

本発明はリグニンあるいはリグニン含有材料中のリグニンを分解させながら可溶化する方法に関し、特に、低コストで、環境面での負荷が低く、効率が良いリグニンの可溶化方法に関する。
近年、環境問題の高まりから、カーボンニュートラルなバイオマスを用いて製造したバイオエタノールが、新たな燃料として注目されている。これまでのバイオエタノールは主に、デンプンや糖など食料と競合する原料から製造されており、これら原料の食糧向け供給量の減少や価格の高騰に繋がるなどの問題が指摘されていた。そこで現在は、食料と競合しないセルロース系バイオマスからエタノールを製造する技術への注目が高まっている。
セルロース系バイオマスとしては、例えばパームヤシの樹幹・空房、バガス、稲わら、麦わら、トウモロコシ残渣(コーンストーバー、コーンコブ、コーンハル)、ヤトロファ種皮・殻、木材チップなどが挙げられるが、これらはいずれも糖に変換できるセルロースやヘミセルロース以外にリグニンを含有している。
リグニンは、通常、これらの原料を前処理・糖化する段階で、セルロースやヘミセルロースと分離され固体の残渣となる。これは燃料として使用することで有効利用されているが、さらに、分解することで、より付加価値の高いフェノール誘導体を製造できるため、これらの化学品やさらにはバイオプラスチックへの変換が期待できる。
以上はバイオマスから分離した固体のリグニンを燃料以外に有効利用する考え方である。その一方、バイオエタノールの製造過程で生成するリグニンは、パルプ製造過程で得られるリグニンより溶解し難いことが分かっている。従って、木質バイオマスからパルプを製造する際にリグニンを効率良く溶解除去する方法や、あるいはセルロース系バイオマスからエタノールを製造する場合の前処理法として、効率良くリグニンを可溶化する方法の開発が望まれている。
リグニンを溶解する技術は、主にパルプ製造において発達してきた。例えばクラフトパルプ法では、苛性ソーダ(NaOH)と硫化ソーダ(Na2S)を主成分とする化学薬品を加えて、150〜160℃程度で蒸煮する。一方、サルファイドパルプ法では、酸性亜硫酸塩と亜硫酸の混液を加えて、130〜145℃で蒸煮し木材中のリグニンをリグニンスルホン酸塩として溶出する。
しかし、これらの方法ではそれぞれ強アルカリ、強酸、を使用するため反応器や使用する器具の材質あるいは操作の安全面で問題があり、例えば、特許文献1の段落番号[0002]に「比較的高い設備費と汚染という問題点がある」と記載されている。また、サルファイドパルプ法では、リグニンがスルホン化されるため、その後の化学品やモノマーとしての利用先に制限が生じる。
一方、これらの欠点が無い方法として、有機溶媒を用いて、リグニンを可溶化するオルガノソルブ法が知られている。例えば、特許文献2には、アルコールを溶媒として使用する方法が記載されている([0023]〜[0024]参照)。しかしながら、水とアルコールの混合溶媒については触れられておらず、また固体酸触媒の利用については記載されていない。
特許文献1には、その請求項1に、 木質材料及び農産物廃棄物など公知のパルプ原料と、少なくとも水に可溶な、沸点150〜250℃の高沸点有機溶媒50〜90%を含む水性溶媒とを、液比4〜10で耐圧反応器に充填し、温度180〜230℃で処理するパルプ化工程が開示されている。また、高沸点溶媒として、[0007]に環状エーテルや多価アルコール類などの例が種々挙げられている。そして、特許文献1では、通常、パルプ化に使用する有機溶媒回収時に水と溶媒を分離する場合は、多大なエネルギーが必要であったことに対し、本方法の従来技術に対する優位な点は、水と高沸点溶媒を分離せずにそのまま再利用できる点にある旨述べている。
一方、水と溶媒の共存効果(水と溶媒が共存するとリグニン可溶化率が向上すること)については触れておらず、固体酸触媒についても記載されていない。また、高価な溶媒を使用しているという問題がある。さらに、可溶化の程度も満足できるものではない。
特許文献3には、リグニンの分離方法が開示され、[0022]には、酢酸やアルコール溶媒等の有機溶媒を含有する水系溶媒を用いることや、水酸化ナトリウムや鉱酸を触媒として加えても良いことが記載されている。しかし、固体酸触媒を用いることについては記載されていない。
特許文献4には、その請求項1に、リグノセルロース物質を酸触媒、環状エステル及び多価アルコールの存在下で、加熱するリグノセルロース物質の液化溶液の製造法が開示され、請求項2には、加熱温度が100〜200℃であり、酸触媒が無機酸、有機酸及びルイス酸から選ばれた少なくとも1種であることが記載されている。また、酸触媒として[0020]に、無機酸、有機酸、更にはルイス酸等の例が記載されているが、固体酸触媒を用いることについては記載されていない。また、水の共存効果についての記載はない。
特許文献5には、その特許請求の範囲に、リグノセルロース物質を、一価アルコール化合物、多価アルコール化合物、環状エーテル化合物、ケトン化合物、及びオキシエーテル化合物から選ばれた少なくとも1種からなる溶媒中に、無機酸、有機酸及びルイス酸から選ばれた少なくとも1種からなる溶解触媒の存在下に、常圧において加熱溶解するリグノセルロース物質の常圧溶解方法が開示され、その第3頁下段に、無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸が、蟻酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸などのカルボン酸化合物、フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸化合物、フェノールスルフィン酸などのスルフィン酸化合物、及び尿酸化合物、更に、ルイス酸として、塩化アルミニウム、塩化チタニウム、三弗化ホウ素、ならびにこれらの錯体化合物から選ぶことができるとされている。
特許文献6には、その請求項1に、リグノセルロース系バイオマス、セルロース系バイオマス、含窒素多糖類及びたんぱく質系バイオマスからなる群から選択される1種又は2種以上を、炭素数1〜8の脂肪族アルコールに5〜20体積%の水を加えた混合溶媒を用いて、アルコールの超臨界条件又は亜臨界条件にて処理する前記バイオマスの分解・液化方法が記載され、水とアルコール共存下でのリグノセルロース系バイオマスの液化方法が記載されている。また、この発明は、超臨界乃至亜臨界水の酸触媒効果により、可溶化を高めることが記載されている。しかし、水の添加効果は記されているものの、固体酸触媒を用いることについての記載は無い。また、この発明は、極めて高い圧力と温度が必要とされ、高価な設備や安全対策を要すると考えられる。
以上の通り、これらの特許文献で用いる触媒は「溶解触媒」のみであり、固体酸触媒に関する言及はない。また、水の共存効果については記載されていない。
特開2001−89986号公報 特開2008−45223号公報 特開2007−112841号公報 特開平8−225653号公報 特開平2−227434号公報 特開2005−296906号公報
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、低コストで、環境面での負荷が低く、効率が良いリグニンの可溶化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、リグニンを水とアルコールの共存溶媒中で、固体酸触媒存在下で反応させることにより、前記の目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、リグニン又はリグニン含有材料を、水及びアルコール溶媒中、固体酸触媒存在下で分解反応させ、リグニンを可溶化する方法を提供するものである。
本発明の可溶化方法によると、高価な有機溶媒を用いないため低コストであり、硫酸や塩酸などの鉱酸を使用しないため環境面での負荷が低く、アルコールと水の共存効果と固体酸触媒の存在により効率良くリグニンを可溶化できる。
実施例及び比較例で用いた回分式反応装置を示す図である。
本発明のリグニンの可溶化方法は、リグニン又はリグニン含有材料を、水及びアルコール溶媒中、固体酸触媒存在下で分解反応させる方法である。
リグニンは可溶化する際に、ある程度分解し、分解物質としては、例えば以下の様な化合物などが得られる。
本発明の可溶化方法で用いる原料はリグニン又はリグニン含有材料であり、リグニン含有材料としては、例えば、リグニン含有バイオマス、リグニン含有樹脂等が挙げられる。
リグニン含有バイオマスとしては、例えば、パームヤシの樹幹・空房、バガス、稲わら、麦わら、トウモロコシ残渣(コーンストーバー、コーンコブ、コーンハル)、ヤトロファ種皮・殻、木材チップなどが挙げられる。これらは、リグニン以外にセルロース、ヘミセルロースなどを含んでおり、リグニンの含量は通常15〜40質量%程度である。
その他、バイオエタノール製造プロセスのうち、セルロース系バイオマスを前処理・糖化する工程で、セルロース、ヘミセルロースを加水分解して糖を取り出した残りの残渣は、リグニンを主成分とする固体であり、これらはリグニン含有材料として用いることができる。
本発明で用いられるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの直鎖アルコールや分岐アルコールを用いることができ(表1参照)、多価アルコールでも良い。
本発明において、アルコールを用いることにより、(i)リグニンの分解により生成した、反応性の高い生成物をアルコール相へ分離し、重合反応を抑制する、(ii)多くの分解反応は平衡反応であるため、リグニンと水の反応場である水相から、生成物をアルコール相へ移動させることで、分解反応速度を速める、(iii)分解で生成するカルボン酸とアルコールが反応し、エステルとなる。これにより反応性が高く重合しやすいカルボン酸を不活性化するという効果が考えられる。
上記(i)(ii)の効果のために、アルコールは水との極性差がある程度大きく、水と相分離するものが好ましいため、アルキル部位がある程度大きな、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどが好ましい。ただし、アルキル部位が大きすぎるアルコールは、安定性や価格面で問題があるので好ましくない。
このため、下記表1の中でも、炭素数5以下の沸点が150℃以下のアルコールが好ましく(表1参照)、炭素数4又は5のアルコールが特に好ましく、炭素数4のアルコールが最も好ましく、この中でも、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノールが好ましく、1−ブタノールが特に好ましい。
本発明で用いられる水としては、通常の水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられ、水道水、工業用水なども使用できる。
本発明において、水とアルコールの量比は、モル比で水(mol)/アルコール(mol)が通常0.1〜30、好ましくは0.5〜20、更に好ましくは1〜10である。モル比が0.1以上であれば、反応が進み易く、30以下であれば、前述したアルコールの効果が現れる。
本発明で用いられる触媒としては、酸性を有する固体触媒であれば特に限定されず、例えば、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、タングステン酸ジルコニア、硫酸ジルコニア、リン酸ジルコニアなどを用いることができる。特にアルミナ、シリカアルミナ、タングステン酸ジルコニアが好ましい。
本発明における反応方式は、特に制限は無いが、例えば、一般的な回分式や半回分式の反応器を利用すれば良い。また、触媒を反応器内に固定化し、リグニン含有材料又はリグニン+水+アルコールのスラリーをスクリュー又はポンプ等で押し出しながら反応させる方法も可能である。
本発明において、原料/溶媒(水+アルコール)質量比としては、特に制限は無いが、通常0.01〜0.6、好ましくは0.03〜0.4である。0.01以上であれば溶媒の加温や、生成物と溶媒の分離にエネルギーを多く使うことが無く、プロセスのエネルギー効率が良好である。0.6以下であれば、遊離溶媒が十分であり、触媒と原料との接触効率が良好で反応効率が良い。
本発明において、触媒/原料質量比としては、特に制限は無いが、通常0.01〜1.5、好ましくは0.03〜1である。0.01以上であれば効果が明確に現れ、1.5以下であれば触媒量の増加に対応した活性向上の効果が明確に現れる。
本発明において、反応温度としては、特に制限は無いが、通常150〜400℃、好ましくは200〜300℃である。150℃以上であれば分解が進行しやすく、400℃以下であれば、重合によるコークの生成を抑制することができる。
反応時間としては、特に制限は無いが、通常1分〜10時間、好ましくは10分〜4時間である。1分以上であれば反応の進行が十分であり、10時間以下であれば、重合によるコーク生成量が増えることが無い。
反応時の圧力としては、特に制限は無いが、0.5MPa〜30MPaが好ましい。より好ましい条件は、水、アルコール量と温度によって影響されるため適宜設定する。
本発明の方法により、可溶化されて得られたリグニン溶液は、フィルター等で残渣や固体触媒と分離後、別の触媒を用いた反応で更に分解し、フェノール、グアヤコール、クレゾールなどのフェノール類化合物やベンゼン、トルエン等の芳香族化合物へ変換し、化学品やモノマー原料として使用することができる。
前記分解反応は、例えば、水の存在下、FeOx−ZrO2系触媒やFeOx−Al23−ZrO2系触媒用い、200〜500℃程度の温度で行うことができる。
また、リグニン以外にセルロース等を含有するバイオマスを原料に用いた場合、固体残渣中にセルロースが多く残っているので、このセルロースを糖化原料に用いることもできる。リグニンと分離されたセルロースは、糖化反応が進行しやすい。このセルロースはパルプ原料にも利用できる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
実施例1
リグニン(Lignin Organosolv Propionate、Aldrich社製)0.7g、シリカアルミナ0.7g(Si/Alモル比=2、製品名=N631HN、日揮化学(株)製)、イオン交換水4.1g、1−ブタノール(特級、和光純薬工業(株)製)16.9gを回分式反応装置(図1)に入れた。この時、水/1−ブタノールのモル比は1であり、かつ溶媒の合計量は21gである。
反応器内を窒素でパージした後、200℃まで昇温し、3時間反応を行った(反応時間は、所定温度に達してからの時間とした。また熱電対3にて温度を測定した)。
反応終了後、回分式容器を冷却し、温度が室温付近まで下がった後に反応器の中味を全て取り出し、ろ過した。得られた残渣にはテトラヒドロフラン(THF、高速液体クロマトグラフ用、和光純薬工業(株)製)50gを加え一晩放置後ろ過し、THF可溶分、THF不溶分に分けて、それぞれCHN計にて炭素分重量を測定した。
また、可溶化率は以下の式にて算出した。
可溶化率(%)=100−(THF可溶分の炭素重量+THF不溶分の炭素重量)÷(原料リグニン中の炭素分重量)×100
実施例2
実施例1にて、イオン交換水10.4g、1−ブタノール10.6とし、水/1−ブタノールのモル比を4とした以外は同じ条件で反応を行った。
実施例3
実施例1にて、イオン交換水14.9g、1−ブタノール6.1gとし、水/1−ブタノールのモル比を10とした以外は同じ条件で反応を行った。
実施例4
実施例2にて、反応時間を2時間とした以外は同じ条件にて反応を行った。
実施例5
実施例4にて、温度を250℃とした以外は同じ条件にて反応を行った。
実施例6
実施例4にて、温度を300℃とした以外は同じ条件にて反応を行った。
実施例7
実施例4にて、温度を350℃とした以外は同じ条件にて反応を行った。
実施例8
実施例6にて、反応時間を0.5時間とした以外は同じ条件にて反応を行った。
実施例9
実施例6にて、反応時間を4時間とした以外は同じ条件にて反応を行った。
実施例10
実施例6にて、触媒をγ−アルミナ(製品名=N611N、日揮化学(株)製)とした以外は同じ条件にて反応を行った。
比較例1
実施例1にて、水と1−ブタノールの代わりに1−ブタノールのみを21g用いた以外は、同じ条件で反応を行った。
比較例2
実施例1にて、水と1−ブタノールの代わりに、1−ペンタノール(特級、関東化学(株)製)のみを21g用いた以外は、同じ条件で反応を行った。
比較例3
実施例1にて、水と1−ブタノールの代わりに、1−ヘキサノール(特級、和光純薬工業(株)製)のみを21g用いた以外は、同じ条件で反応を行った。
比較例4
実施例1にて、水と1−ブタノールの代わりに、水のみを21g用いた以外は、同じ条件で反応を行った。
比較例5
実施例1にて、水と1−ブタノールの代わりに、水のみを21g用い、反応温度を300℃、反応時間を2時間とした以外は、同じ条件にて反応を行った。
ここで、表2に、実施例1〜10及び比較例1〜5の反応結果を示した。
なお、反応圧力は反応条件下での自圧であり、温度や溶媒種、組成によって変わるもので、人為的に調整したものではない。参考のため表中に示した。
溶媒を水+1−ブタノールとし、200℃で反応を3時間実施した実施例1〜3は、可溶化率は80%以上であり、特に水/1−ブタノールのモル比=4の実施例2では、可溶化率が95%以上に達した。同じ温度、時間で、溶媒を1−ブタノールのみ(比較例1)、1−ペンタノールのみ(比較例2)、1−ヘキサノールのみ(比較例3)、水のみ(比較例4)とした場合は、可溶化率は60%以下であり、水とアルコールの混合溶媒の効果が見られた。また、300℃で反応を2時間実施した場合においても、溶媒を水+1−ブタノールとした実施例6は可溶化率が88.5%であり、溶媒が水のみの比較例5の可溶化率57.1%と比較して明らかな優位性が見られた。
反応時間2時間、水/1−ブタノールのモル比=4と固定し、温度を200℃(実施例4)から、250℃(実施例5)、300℃(実施例6)、350℃(実施例7)と上げていくと、可溶化率は88.3%、90.9%、88.5%、85.7%となった。反応温度が300℃以上では若干低下している傾向が見えるが、この場合でも可溶化率は85%以上と高いレベルである。
実施例8、6、9は、温度300℃、水/1−ブタノールのモル比=4の場合の、反応時間の影響を見たものである。時間を0.5時間(実施例8)、2時間(実施例6)、4時間(実施例9)と変えても、可溶化率は85.5%、88.5%、86.6%となり、この時間範囲では可溶化率にはそれほど大きな影響は見られない。
実施例10では、触媒としてシリカアルミナではなくγ−アルミナを用い、可溶化率73.7%が得られた。触媒がシリカアルミナで他の反応条件は同一の実施例6の場合は88.5%である。γ−アルミナよりシリカアルミナの方が性能が良いが、それでも70%以上の高い可溶化率を示した。
本発明は、リグニンあるいはリグニン含有材料中のリグニンをある程度分解させながら可溶化させる技術である。リグニンを可溶化させる主目的は、(i)「リグニンを有用な物質に変換させるための前処理」であるが、(ii)「セルロース系バイオマス中のリグニンを他のセルロースやヘミセルロースと分離し、セルロースやヘミセルロースを利用し易くすること」にも利用できる。
更に、詳しく述べると以下の1〜3に応用できる。
1.バイオ化学品製造、バイオプラスチック製造((i)に関する)
リグニンあるいはリグニンを含有する木材系、草本系バイオマスから、フェノール、アルキルフェノール、グアヤコール、カテコールなど、フェノール系の化合物を製造する分野に関する。このようにバイオマスより製造された化学品を、バイオ化学品という。
得られたバイオ化学品は、そのまま、あるいは他の物質と反応させたり、他の物質へ変換させた後、モノマーとして、フェノール樹脂やポリカーボネートなどいわゆるバイオプラスチックの製造に用いられる。
2.バイオエタノール製造((ii)に関する)
草本系、木質系バイオマスから本方法でリグニンを取り除き、残ったセルロースやヘミセルロースを糖化、発酵させてバイオエタノールを製造することができる。また、この過程でできる糖から化学品を製造することもできる。
3.パルプの製造((ii)に関する)
リグノセルロース含有材料から、本発明の方法によりリグニンを溶解除去し、残ったセルロースより、紙を製造することもできる。

Claims (7)

  1. リグニン又はリグニン含有材料を、水及びアルコール溶媒中、固体酸触媒存在下で、反応圧力0.5MPa〜9.7MPaで分解反応させ、リグニンを可溶化する方法。
  2. 水とアルコールのモル比(水(mol)/アルコール(mol))が0.5〜20である請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルコールが、1−ブタノール、2−ブタノール又は2−メチル−1−プロパノールである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記固体酸触媒が、シリカアルミナ又はアルミナである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記リグニン含有材料が、リグニン含有バイオマスである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記リグニンが、セルロース系バイオマスからのバイオエタノール製造時の副生リグニンである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  7. 水及びアルコール溶媒中において、固体酸触媒存在下で、反応圧力0.5MPa〜9.7MPaでリグニン又はリグニン含有材料を分解反応させる工程を有するリグニン分解生成物の製造方法。
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