JP6343572B2 - タングステンを含んだ二珪化モリブデン製ヒーター - Google Patents

タングステンを含んだ二珪化モリブデン製ヒーター Download PDF

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Description

本発明は、従来の二珪化モリブデン製ヒーターよりも高温で使用できるタングステンを含んだ二珪化モリブデン製ヒーターに関する。
二珪化モリブデン(MoSi)を主成分とする発熱体は、優れた耐酸化特性を有するため、特に大気又は酸化性雰囲気下で使用する超高温発熱体として1950〜1960年頃から市販され、現在まで幅広い用途で使用されている。この発熱体は、一般に、主成分として、MoSiを70wt%以上含有している。
従来、ガラス工業やセラミックス焼成等の多くの分野で使用されている発熱体は発熱部(なお、通常「発熱部」は、通電時に主に発熱する、発熱体の径が細い部分(端子部以外)を意味する。)が1つのU字形を成す形状(2シャンク型)をしており、炉の天井や側壁から宙吊りに取り付けられ、その炉の最高使用温度は1700〜1800℃に達する。本発明は、このようなヒーターの中心部となる二珪化モリブデン製ヒーターの成分組成を改良して、より高温で使用が可能であるヒーターに関する。
従来公知の二珪化モリブデン製ヒーターを見ると、下記特許文献1には、少なくとも1個の高温帯と、少なくとも2個のリードイン導体とを含み、該高温帯が、モリブデンとタングステンとを含み化学式:MO1−xSi[式中、xは0.5〜0.75である]で示される均質なケイ化物材料を含む、ケイ化モリブデン型の電気抵抗素子であって、総重量の10〜40%が化合物:ホウ化モリブデン又はホウ化タングステンの少なくとも1種によって置換され、該化合物がケイ化物材料中に粒子形状で存在する前記電気抵抗素子が開示されている。
そして、ホウ化モリブデンには、MoB、MoB、MoB及びMoの1種以上のホウ化モリブデンが、ホウ化タングステンには、WB、WB、WB又はWの1種以上のホウ化タングステンが挙げられている。
また、下記特許文献2には、MoSiのMoの一部をWで置換した、一般式が(Mo1−x)Siで表される固溶体マトリックスに、平均粒径が5μm以下のSi、TiC、ZrC、HfC、TiB、TiB 、ZrB 、HfB 、ZrO、HfO、SiC、MoB、MoB、MoB、Mo、WB、WB、WB、Wの中から選択される1種もしくは2種以上の化合物からなる第2相を5〜40容量%複合したタングステン固溶型二珪化モリブデン複合セラミックスが記載されている。
一般に、1800℃以下で動作するニ珪化モリブデン型ヒーターでは主原料にMoSiが使われるが、上記特許文献1及び特許文献2に示すように、1800℃以上のヒーターでは、高融点金属であるタングステンの付加が有効であることが示されている。
特開平8−288103号公報 特開平9−132460号公報
本発明は、優れた耐酸化特性と低蒸発速度を有し、従来の二珪化モリブデン製ヒーターよりも、高温で使用できるタングステンを含んだ二珪化モリブデン製ヒーターを提供する。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究の結果、タングステンを含んだ二珪化モリブデン製ヒーターに、イットリウム酸化物を添加することにより、さらに高温で使用できるタングステンを含んだ二珪化モリブデン製ヒーターを提供できるとの知見を得た。
本発明はこの知見に基づき、以下の発明を提供する。
1)組成式:(Mo1−x)Si、x=0.6〜0.7で表されるタングステン二珪化モリブデンに、さらに酸化イットリウム又は酸化イットリウム珪素を含有することを特徴とするタングステン二珪化モリブデン製ヒーター。
2)組成式:(Mo1−x)Si、x=0.6〜0.7で表されるタングステン二珪化モリブデンに、さらに酸化イットリウムと酸化珪素を含有することを特徴とするタングステン二珪化モリブデン製ヒーター。
3)酸化イットリウム又は酸化イットリウム珪素を、イットリウムの分析値で4.3〜6.6wt%含有することを特徴とする上記1)又は2)に記載のタングステン二珪化モリブデン製ヒーター。
4)組成式:(Mo1−x)Si、x=0.6〜0.7で表されるタングステン含有二珪化モリブデンの原料粉末に、酸化イットリウム(Y)、又は酸化イットリウム(Y)粉末と酸化珪素(SiO)粉末、又は酸化イットリウム珪素粉末(YSiO)粉末を添加して粉砕及び混合を行い、この混合物を成型した後、大気中で通電焼結することを特徴とするタングステン含有二珪化モリブデン製ヒーターの製造方法。
5)添加物として酸化イットリウム(Y)粉末を8〜12vol%添加する上記4)に記載のタングステン含有二珪化モリブデン製ヒーターの製造方法。
6)添加物として酸化イットリウム(Y)と酸化珪素(SiO)の混合物を8〜12vol%添加し、前記添加物の内酸化イットリウム(Y)の割合を35mol%以上とすることを特徴とする上記4)に記載のタングステン含有二珪化モリブデン製ヒーターの製造方法。
7)酸化イットリウム(Y)と酸化珪素(SiO)とをY/(Y+SiO)=40〜60mol%で混合し、大気中で1650℃以上に加熱して合成したYSiOを8〜12vol%添加することを特徴とする上記4)に記載のタングステンを含んだ二珪化モリブデン製ヒーターの製造方法。
本発明は、優れた耐酸化特性と低蒸発速度を有し、従来の二珪化モリブデン製ヒーターよりも、高温で使用できるタングステンを含んだ二珪化モリブデン製ヒーターを提供することができるという優れた効果を有する。
本発明の製造工程の概要を示す図である。 −SiOの相図である。 実施例と比較例におけるYとSiOのmol比と相対温度との関係を示す図である。
本発明は、タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.6〜0.7を基本組成とするヒーターである。MoとWの比(x)は、上記の通り0.6〜0.7とするこれは、高温でのヒーターの寿命の基本となる成分組成である。
本発明では、さらに添加物としてYを8〜12vol%含有させる。これは、タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Siからなる成分組成に、さらに上記の成分を添加したものである。以下、同様なので、この記載を省略する。
また、本発明は、基本成分は上記と同様に、タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.6〜0.7を用いたヒーターであるが、さらに添加物としてYとSiOの混合物を8〜12vol%含有させたものを提供する。この場合、前記添加物の内SiOの割合は65mol%以下とする。
は高価な材料なので、SiOを同時添加することによりYの使用量を減少させることができる。但し、SiOの添加量を過度に増加させると、ヒーターとしての特性(耐熱性)を低下させるので、上記の65mol%以下とする。
ヒーターとしての特性の維持と、生産コストを考慮すると、より効果的な範囲はY/(Y+SiO)=40〜60mol%とすることが良いと言える。
さらに、本発明は、タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.6〜0.7を用いたヒーターであり、さらに添加物としてYSiOを8〜12vol%含有させることができる。この添加物であるYSiOは、Y粉とSiO粉とをY/(Y+SiO)=40〜60mol%で混合し、大気中で1650℃以上に加熱して合成したYSiO粉末を使用することができる。
尚、YSiOは、化学量論比としてY/(Y+SiO)=50mol%で混合した場合であるが、Y/(Y+SiO)=40〜60mol%で混合した場合もほとんどがYSiO相となることが状態図上から予想される。
また、この範囲で同様の効果が得られるため、本発明では、合成後の粉末をYSiO粉末と表記する。
本発明の基本組成である(Mo1−x)Siは、MoSiのMoの一部がWに置換された固溶体でありあるから、走査型電子顕微鏡(メーカー名:日立ハイテク、装置名:S−3000N)に付属しているEDX装置(エネルギー分散型X線分光法を用いた装置)等で母相のX線分析により、MoもしくはWとSiが含有されていることを推測することが可能である。なお、MoとWの信号がかぶるため組成の推測はできない。
また、製造された焼結体をICP−OESで分析し、各元素の含有量を確認、特定することができる。組成式のxについては、Mo、Wの測定された量から推測される。
をさらに添加した場合には、走査型電子顕微鏡(メーカー名:日立ハイテク、装置名:S−3000N)に付属しているEDX装置(エネルギー分散型X線分光法を用いた装置)でYの存在を確認できる。しかしながらYそのものの含有量を測定することは極めて困難である。それは、価数の異なる酸化物として存在する場合があり、一様には決められないからである。従って、現状では測定されたY含有量から確認することができ、これが簡便な方法である。
SiOを添加した場合には、同様にEDX装置でYとSiを含んだ酸化物の存在および凡その組成比を確認できる。しかしながら、そのものの量を測定することは困難である。そこで、ICP−OESで測定されたY含有量から、YSiO換算量を計算することで、添加量の確認をすることができる。
このように、添加したものの存在は走査型電子顕微鏡等で確認し、ICP−OESでMo、W、Yを測定することで、基本組成及び各元素の添加量を確認することができる。なお、SiについてはICP−OESで測定できない。理由は、試料の前処理において除去されてしまうからである。
上記の通り、酸化イットリウムについては、イットリウムを分析することにより、含有量を推定でき、分析値で4.3〜6.6wt%含有することが分る。しかし、シリコンについての分析は難しいので、添加量で酸化珪素及び酸化イットリウム珪素のいずれか一種以上の形態で存在することを推測するに留まるものである。
次に、本発明の効果を確認するために、下記に示す試験を実施した。
一般に、添加材の各種酸化物として、融点が高いこと(1900℃以上)、MoSiと熱膨張係数が近いことが求められるのであるが、これらを配慮し、耐酸化性及び抵抗値制御のための添加材として、一般に1800℃以下で使用されるヒーターの構成材用であるSiO単体を筆頭に、表1に示す酸化物の材料を準備した。
選択した材料は5種類であり、Al、HfO、LaB、Y、ZrOである。そして、これらの各種酸化物の単体又はSiOとこれらの種酸化物の混合物を使用した。Alについては、融点が2015℃、熱膨張係数は7.20×10−61/Kであり、HfOについては、融点が2810℃、熱膨張係数は3.80×10−61/Kであり、LaBについては下記の問題があるので表示しない。Yについては、融点が2410℃、熱膨張係数は7.30×10−61/Kであり、ZrOについては、融点が2677℃、熱膨張係数は9.20×10−61/Kである。
試験にあたり、(Mo1−x)Siのxは、0.65とした。製造工程の概要を図1に示す。主原料であるタングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Siを準備し、これと添加物とを混合し、アトライタ粉砕を行って粒径を1〜3μmとする。添加物の量は、1800℃以下で使用されるMoSi型ヒーター(以下、「現状ヒーター」と表示する。)と電気特性を合わせるために、8〜12Vol%とする。尚、粉砕前の原料の粒径が1〜3μmにある場合は、粉砕工程は省略可能である。
さらにバインダーを添加し、ヘンシェル混合を行い、ヒーターの原型となる材料に押し出し機により、棒状(φ3mm〜φ12mm)に押し出しグリーン材を得る。次に、加熱炉内で脱脂(N雰囲気中)を行った後、一次焼結(Ar雰囲気中、1450〜1550℃以上)を行う。次に、炉から取出した後、二次焼結(通電焼結、大気中)を行い、ヒーターを作製する。
この工程は、以下の製造工程においても、同様である。これらは代表的なもので、同様のヒーターを作製できれば、他の製造工程を採用しても良い。
特性の評価は、最大温度を測定することで行う。最大温度は、焼結体を通電して、その時の表面温度を測る。ただし、表面温度の絶対値は外気の影響を受けるため「現状ヒーター」との相対比較で行った。
以上の工程で実験した結果を、表2に示す。なお、この表2の、試験No.1の添加物SiOの場合の、最高(Max)温度は、1750℃であった(これを基準温度とする)。試験No.2のSiOの最高温度は基準温度に対して6℃の上昇であり、試験No.3のAlの最高温度は基準温度に対して4℃の上昇であり、試験No.4のHfOの最高温度は基準温度に対して−4℃の下降であった。
これらの結果は、通常ヒーターとほとんど変わらない温度であった。試験No.5のLaBについては、通電途中に大量の煙が発生したため評価を断念した。
一方、試験No.6のYについては最高温度が、基準温度に対して+26度の上昇となり、有効であることが分かった。また、Y単体ではなく、SiOと混合させても効果があることがわかった(試験No.7のY/55mol%SiO)。
ZrOについては、相転移があるため100%−ZrOのままでは使いにくい。そこで、3molもしくは20mol%Yを添加されたものを使ったが、3mol%では効果がなく、20mol%Yでは効果があるのが観察された。
しかし、ZrO+20mol%Y材は、昇降温によって焼結体が「欠ける」という問題が発生したため、不適と考えられる。この結果から、ZrO+Yの添加物は適合しないと考えられる。
上記の通り、添加物のY単体で有効である。しかし、Yは高価であるため、SiOを付加することで、使用量を減らすことが最適であることが分かる。
そこで、Y/SiOの組成比依存を調べた。この結果を、表3に示す。なお、表中、Y+XXmol%SiOと記載しているが、それは、(100−XX)Y:XXmol%SiOを簡略化したものである。
上記の通り、試験No.7のY+55mol%SiOでは、最高温度が基準温度(1750℃)に対して+25度の上昇となり、また試験No.10のY+65mol%SiOでは、最高温度が基準温度に対して+18度の上昇となり、いずれも良好な結果となった。
しかし、試験No.11のY+90mol%SiOでは、最高温度が基準温度に対して+9度の上昇であり、SiOが増加すると特性の低下があった。試験No.11のレベルは、使用できないレベルであった。
図2に、Y−SiOの相図を示す。今回の結果及び相図からY+SiOの場合は、60mol%SiOまでが良く、多くても65mol%SiOまでと考えられる。ここで、高温下でのY+SiOの振る舞いを考えてみると、例えばY+50mol%SiOの場合、1650℃でYSiOに合成される。
この時、収縮が起きる。これはヒーターに応力をかけ、寿命に影響するので、できるならば避けたい。しかし、これについては、予めYとSiOを合成しYSiOにすることで回避できる。
SiOの合成は、Y粉とSiO粉をモル比でY/(Y+SiO)=40〜60mol%で混合し、大気中1650℃以上、10時間で熱処理することで形成可能である。熱処理時間は、粉の粒径に依存するため、それ以下でも達成できる。これを用いた焼結体の最高温度結果を、表4に示す。この結果、表4の試験No.12に示すように、最高温度が、基準温度(1750℃)に対して+29度の上昇となり、有効であり、合成前と同等の結果が得られた。
又はYとSiOとを合成したYSiOは、高温下ではSiOよりも耐酸化性、低蒸発速度であることが、タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si表面を保護し、高温での動作を可能にしていると考えらえる。
次に、実施例について説明する。なお、この実施例は、発明の理解を容易にするためのものであって、以下の実施例に、本発明が限定されるものでないことは理解されるべきものである。
(実施例1)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.65の原料粉末に、添加物であるY粉末を9.5vol%添加し、アトライタ粉砕を行って平均粒径を2μmとした。さらにバインダーを添加して、ヘンシェル(商品名「ヘンシェルミキサー」:タンクの中の羽を回転させて原料を混合するミキサー)混合を行った。
次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。そしてこれを炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+26度上昇した。なお、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
この焼結体をICP−OESで分析したところ、Mo=32.2wt%、W=32.4wt%、Y=5.3wt%であった。以上の結果を、表5に示す。また、YとSiOのmol比と相対温度との関係を図3に示す。以降の実施例、比較例の焼結体のICP分析結果は、表5の通りであった。
(実施例2)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.65の原料粉末に、Y粉末とSiOの混合粉を9.5vol%添加した。Y粉末とSiOの混合比は、Y:SiO=45:55mol%とした。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。
次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+25℃上昇した。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
以上の結果を、表5に示す。また、YとSiOのmol比と相対温度との関係を図3に示す。
(実施例3)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.65の原料粉末に、YSiO粉末を9.5vol%添加した。尚、YSiOは事前にYとSiOを45mol%:55mol%の比率で混合し1650℃以上で合成させて作製した原料を使用した。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。
次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+29℃上昇した。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
以上の結果を、表5に示す。また、YとSiOのmol比と相対温度との関係を図3に示す。
(実施例4)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.65の原料粉末に、Y粉末とSiO粉末の混合比をY:SiO=35:65mol%として、合計で9.5vol%添加した。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。
これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+18℃の上昇であった。これは他の実施例と比較して、レベルが低い結果となり、これは限界値と言える。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
以上の結果を、表5に示す。また、YとSiOのmol比と相対温度との関係を図3に示す。
(実施例5)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.6の原料粉末に、YSiO粉末を9.5vol%添加した。なお、YSiOは事前にYとSiOを45mol%:55mol%の比率で混合し1650℃以上で合成させて作製した原料を使用した。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。
次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+28℃上昇した。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
以上の結果を、表5に示す。また、YとSiOのmol比と相対温度との関係を図3に示す。
(実施例6)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.7の原料粉末に、YSiO粉末を9.5vol%添加した。なお、YSiOは事前にYとSiOを45mol%:55mol%の比率で混合し1650℃以上で合成させて作製した原料を使用した。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。
次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+26℃上昇した。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
(実施例7)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.65の原料粉末に、YSiO粉末を8vol%添加した。なお、YSiOは事前にYとSiOを40mol%:60mol%の比率で混合し1650℃以上で合成させて作製した原料を使用した。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。
次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+24℃上昇した。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
(実施例8)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.65の原料粉末に、YSiO粉末を12vol%添加した。なお、YSiOは事前にYとSiOを50mol%:50mol%の比率で混合し1650℃以上で合成させて作製した原料を使用した。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。
次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+28℃上昇した。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
以上の結果を、表5に示す。また、YとSiOのmol比と相対温度との関係を図3に示す。
(実施例9)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.65の原料粉末に、YSiO粉末を10vol%添加した。なお、YSiOは事前にYとSiOを48mol%:52mol%の比率で混合し1650℃以上で合成させて作製した原料を使用した。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。
次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1600℃で焼結した。そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+27℃上昇した。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
以上の結果を、表5に示す。また、YとSiOのmol比と相対温度との関係を図3に示す。
(比較例1)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.65の原料粉末に、SiO粉末を9.5vol%添加した。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。
これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+6℃の上昇しかなかった。これは本願発明と対比して、十分ではなかった。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
以上の結果を、表5に示す。また、YとSiOのmol比と相対温度との関係を図3に示す。
(比較例2)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.65の原料粉末に、Y粉末とSiO粉末の混合比をY:SiO=30:70mol%として、合計で9.5vol%添加した。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。
そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+15℃の上昇であった。
これは本願の上記実施例と対比して、十分ではなかった。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーターの最高温度、1750℃を基準として対比した。
(比較例3)
タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.8の原料粉末に、YSiO粉末を9.5vol%添加した。なお、YSiOは事前にYとSiOを45mol%:55mol%の比率で混合し1650℃以上で合成させて作製した原料を使用した。これらにバインダーを添加して、ヘンシェル混合を行った。
次に、この混合物を、押し出し機を使用して、棒状に成形した後、炉内窒素雰囲気で脱脂後、アルゴン雰囲気、1500℃で焼結した。そして炉から取り出した後、大気中にて通電焼結を行った。これで得られた試料で最大発熱温度を測定したところ、従来の二珪化モリブデンヒーターと比較して+12℃上昇した。なお、この場合も実施例1と同様に、従来の二珪化モリブデンヒーター温度、1750℃を基準として対比した。
以上の結果を、表5に示す。また、YとSiOのmol比と相対温度との関係を図3に示す。
上記の通り、実施例及び比較例の一連の結果を、表5と図3に示しているが、これらの対比から明らかなように、タングステンを含んだ二珪化モリブデン(Mo1−x)Si、x=0.6〜0.7を用いたヒーターに、さらにYを添加すること、また所定量に配合したYとSiOの混合物を添加すること、さらに合成したYSiO粉末を添加することにより、耐酸化性、低蒸発速度を有し、高温での動作を可能とし、1800〜1900℃の高温でも、安定した発熱体(ヒーター)として使用することができるという優れた効果を確認できた。
本発明は、優れた耐酸化特性と低蒸発速度を有し、従来の二珪化モリブデン製ヒーターよりも、高温で使用できるタングステンを含んだ二珪化モリブデン製ヒーターを提供することができ、従来に比べ、より安定した高温の発熱体(ヒーター)として有用である。

Claims (7)

  1. 組成式:(Mo1−x)Si、x=0.6〜0.7で表されるタングステン二珪化モリブデンに、さらに酸化イットリウム又は酸化イットリウム珪素のみを含有することを特徴とするタングステン二珪化モリブデン製ヒーター。
  2. 組成式:(Mo1−x)Si、x=0.6〜0.7で表されるタングステン二珪化モリブデンに、さらに酸化イットリウムと酸化珪素のみを含有することを特徴とするタングステン二珪化モリブデン製ヒーター。
  3. 酸化イットリウム又は酸化イットリウム珪素を、イットリウムの分析値で4.3〜6.6wt%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のタングステン二珪化モリブデン製ヒーター。
  4. 組成式:(Mo1−x)Si、x=0.6〜0.7で表されるタングステン含有二珪化モリブデンの原料粉末に、酸化イットリウム(Y)、又は酸化イットリウム(Y)粉末と酸化珪素(SiO)粉末、又は酸化イットリウム珪素粉末(YSiO、のみを添加して粉砕及び混合を行い、この混合物を成型した後、大気中で通電焼結することを特徴とするタングステン含有二珪化モリブデン製ヒーターの製造方法。
  5. 添加物として酸化イットリウム(Y)粉末を8〜12vol%添加する請求項4に記載のタングステン含有二珪化モリブデン製ヒーターの製造方法。
  6. 添加物として酸化イットリウム(Y)と酸化珪素(SiO)の混合物を8〜12vol%添加し、前記添加物の内酸化イットリウム(Y)の割合を35mol%以上とすることを特徴とする請求項4に記載のタングステン含有二珪化モリブデン製ヒーターの製造方法。
  7. 酸化イットリウム(Y)と酸化珪素(SiO)とをY/(Y+SiO)=40〜60mol%で混合し、大気中で1650℃以上に加熱して合成したYSiOを8〜12vol%添加することを特徴とする請求項4に記載のタングステンを含んだ二珪化モリブデン製ヒーターの製造方法。
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