JP2007008793A - Al−Si−C系化合物を主構成物とする炭素含有導電性セラミックス - Google Patents
Al−Si−C系化合物を主構成物とする炭素含有導電性セラミックス Download PDFInfo
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Abstract
【課題】耐酸化性にすぐれ、大気中の高温で使用可能な発熱体などの導電性セラミックス。
【解決手段】アルミニウム、珪素及び炭素粉末などからなる混合粉末を成形し、還元雰囲気で焼成することによって、炭素や炭化珪素などの導電性発熱物質がアルミニウム−珪素−炭素系化合から成る物焼結体中に存在することを特徴とする。この化合物焼結体は、大気中の加熱時に表面に酸化皮膜を形成し、これが焼結体内部に存在する導電性発熱物質の酸化防止することを特長とする。
【選択図】 なし
【解決手段】アルミニウム、珪素及び炭素粉末などからなる混合粉末を成形し、還元雰囲気で焼成することによって、炭素や炭化珪素などの導電性発熱物質がアルミニウム−珪素−炭素系化合から成る物焼結体中に存在することを特徴とする。この化合物焼結体は、大気中の加熱時に表面に酸化皮膜を形成し、これが焼結体内部に存在する導電性発熱物質の酸化防止することを特長とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、導電性セラミックスの提供の方法、詳しくは、高温大気中での耐酸化性を必要とする発熱体などの導電性セラミックスの提供の方法に関する。
電気炉など通電加熱において、1600℃以下の酸化および還元雰囲気では炭化珪素(SiC)質の導電性セラミックス焼結体を発熱体として使用している。また、酸化雰囲気のときは二珪化モリブデン(MoSi2)質の導電性セラミックス焼結体を発熱体として使用して約1900℃の温度を得ることができる。また、還元雰囲気のときは炭素(C)質の導電性セラミックス焼結体を発熱体として使用して、約2300℃の温度を得ることができる。このように使用温度と雰囲気に合わせて導電性セラミックス焼結体の材質を選ぶことで適切な加熱が可能である。このように導電性セラミックス焼結体の材質は使用雰囲気と温度により組み合わせを選ぶ必要があり、不適切な組み合わせの場合は導電性セラミックス焼結体の損傷をまねく。
このような導電性セラミックス焼結体の損傷形態は各種類により異なる。炭化珪素質の導電性セラミックス焼結体では、大気中で約1600℃下での使用においては酸化皮膜として生成する酸化珪素(SiO2)が適切な保護膜として機能する。酸化珪素は融点1723℃であり、不純物を含むとさらに低い温度で溶融し、その結果、炭化珪素と酸化珪素の反応によって、界面で発生するSiO(g)やCO(g)などのガスにより、保護層が破壊される。このため、約1600℃以上の温度での大気中では、炭化珪素質は発熱体として安定に使用することは困難となる。
また、炭素質の導電性セラミックス焼結体では酸素のない還元雰囲気で損耗は最小限に抑制され使用可能であるが、酸化雰囲気では炭素が酸化されることで激しく損耗する。
さらに、二珪化モリブデン質の導電性セラミックス焼結体では酸化雰囲気では保護層ができて、発熱物質の損耗を抑制できるが、還元雰囲気では保護層が形成されずに、発熱材料自身が損耗する。
本発明は、黒鉛発熱体での酸化雰囲気での使用での損耗および二珪化モリブデン質の導電性セラミックスでの還元雰囲気での損耗の問題や炭化珪素質の導電性セラミックスでの大気中の1600℃以上の高温で使用する際の酸化防止皮膜の破壊する問題点を解消し、雰囲気や温度の制約をできるだけ小さくした緻密で耐久性に優れた導電性セラミックスの提供を目的とする。
本発明による導電性セラミックスの作製方法は、アルミニウム、珪素および炭素からなる混合組成でアルミニウムの割合が20重量%以上66重量%未満、珪素の割合が8重量%以上52重量%未満、炭素の比が26重量%以上63重量%未満とした構成で原料粉末を反応焼結させて行う。この焼結によりアルミニウム−珪素−炭素系化合物としてAl8SiC7、Al4SiC4、Al4Si2C5、Al4Si3C6またはAl4Si4C7などからなる緻密焼結体を生成するが、これが酸化時に焼結体表面に酸化アルミニウム、酸化珪素および酸化珪素アルミニウムからなる耐酸化性保護層を形成し、内部の炭素または炭化珪素などの導電性発熱物質の酸化を抑制する。
作製に使用する原料としてアルミニウム、珪素、炭素の各粉末を使用する。アルミニウム粉末は大きい粒子でもかまわないが、平均粒径が数μm程度のできるだけ小さいものが好ましい。また、珪素粉末は大きい粒子でもかまわないが、平均粒径が数μm程度のできるだけ小さいものが好ましい。また、炭素粉末は、黒鉛など結晶化しているものでもかまわないが、例えばカーボンブラックのような非晶質のものが反応性が高く良好である。
アルミニウム粉末の割合が20重量%以上66重量%未満、珪素粉末の比が8重量%以上52重量%未満、炭素粉末の比が26重量%以上63重量%未満として混合成形して焼成、反応焼結させることでアルミニウム−珪素−炭素系化合物から化合物中に炭素あるいは炭化珪素導電性セラミックスが存在する状態とし、化合物は高温酸化時に酸化皮膜を形成し、これが焼結体の耐酸化性保護物質となる。この範囲は図1に示される。尚、より好ましくは、アルミニウム粉末の割合が35重量%以上66重量%未満、珪素の比が8重量%以上35重量%未満、炭素の比が26重量%以上50重量%未満とした構成である。アルミニウム−珪素−炭素系化合物から成る焼結体中に存在する炭素または炭化珪素は通電発熱を付与することができる。アルミニウム−珪素−炭素系化合物はAl4SiC4をはじめAl4Si2C5、Al4Si3C6、Al4Si4C7、Al8SiC7がある。炭素または炭化珪素は、この化合物の粒界にあって、焼結体の周囲に形成される酸化性保護物質により,大気中や還元雰囲気の影響を受けずに安定した加熱が可能となる。
アルミニウム−珪素−炭素系化合物からなるセラミックスは、大気中で高温にさらされると、表面は酸化して酸化アルミニウム、酸化珪素および酸化珪素アルミニウムからなる層を形成する。原料のアルミニウム粉末の割合が13重量%以上50重量%未満、珪素の比が3重量%以上38重量%未満であるとき、形成する酸化皮膜の共融点は1850℃であり、この温度までは、1800℃以上の高温でも安定して皮膜を保持する。原料の混合比率が上記範囲を超えて、アルミニウムが過剰となるときは酸化皮膜に亀裂が生じ、酸化反応が進行する。また、原料の混合比率が上記範囲より珪素粉末が過剰になると、1600℃以上では、皮膜の一部が溶融し、組織が順に劣化していく。
原料のアルミニウム粉末の割合が20重量%以上66重量%未満、珪素の比が8重量%以上52重量%未満であるとき、炭素の比が26重量%以上63重量%未満となるが、炭素の比がこの範囲より過剰となるときは耐酸化性保護物質が取り囲む範囲が狭くなり、大気雰囲気の加熱では露出した炭素が酸化し、ガスとなって組織外へ放出されるため、組織は劣化する。
これら範囲で構成されたアルミニウム粉末、珪素粉末および炭素粉末からなる混合粉末を乾式ボールミルなどで混合し、黒鉛るつぼにこの粉末を装てんし、窒素およびアルゴンなどの非酸化性雰囲気中で1150℃〜1700℃の焼成(仮焼)を行ない、さらにボールミルなどで粉砕する。この粉砕物に成形用バインダーを添加し、金型とプレスなどで約50MPa以上で加圧成形する。成形体を窒素およびアルゴンなどの非酸化性雰囲気中で1700℃〜1850℃に約3hの保持時間を焼成することで、導電性セラミックスが得られる。尚、焼結にホットプレスや放電プラズマなど焼結方法を用いる場合には、仮焼を行わない混合粉末からでも導電性セラミックスが得られる。仮焼をした粉末でホットプレスや放電プラズマによる焼結を行ってもよい。仮焼した粉末を用いてホットプレスで焼結を行う場合、1750℃に1hの保持で、放電プラズマで焼結を行う場合1750℃に約20分の昇温で保持時間20分程度で相対密度98%以上の導電性セラミックスが得られる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の一実施態様を示すものであり、本発明がこれに限定されるものではない。
実施例1〜4では平均粒径15μm,純度99.99%の金属Al粉と平均粒径15μm,純度99.99%のSi粉と平均粒径28nmのカーボンブラック粉を表1の組合わせに全量100gとして乾式混合し、得られた混合粉体を黒鉛るつぼに充填してアルゴン雰囲気で1300℃で3hの仮焼成を行った。仮焼成後の粉末を内径Φ50mmの黒鉛型に充填し1750℃20分の加熱と50MPaの加圧の条件のパルス通電加圧焼結を行い、Φ50×厚み6mmのセラミックス焼結体を製造した。
この焼結体から、幅10mm×厚み5mm×長さ40mm、幅4mm×厚み3mm×長さ40mmおよび幅4mm×厚み3mm×長さ15mmの棒状体を切り出した。
幅10mm×厚み5mm×長さ40mmの棒状体は40kgfの一定荷重で取付できる加圧電極により挟み込んで約10Vの電圧を印加し通電加熱を行い、発熱の状態を確認した。また、幅4mm×厚み3mm×長さ15mmの棒状体は大気雰囲気で1750℃で1hの焼成を1回および5回行い、重量の変化を確認した。それらの結果を表1に示す。
以上のとおり、アルミニウム−珪素−炭素系の化学組成を有する混合粉末成形体を焼成すると、炭素および炭化珪素の導電性物質がアルミニウム−珪素−炭素系化合物の粒界に存在する微構造を有する焼結体が作製される。この焼結体は還元雰囲気下では安定であり、他方、酸化雰囲気下では表面に酸化皮膜が形成されることによって酸化が阻止される。すなわち、いずれの雰囲気下でも内部の導電性物質は安定に保持され、耐久性に優れた特性を有する導電性セラミックス焼結体を得ることが可能となる。
Claims (1)
- アルミニウム、珪素および炭素からなる混合組成でアルミニウムの割合が20重量%以上66重量%未満、珪素の割合が8重量%以上52重量%未満、炭素の比が26重量%以上63重量%未満とした構成で、焼成後はアルミニウム−珪素−炭素系化合物としてAl8SiC7、Al4SiC4、Al4Si2C5、Al4Si3C6またはAl4Si4C7などの一種あるいは多種の化合物となっている導電性セラミックス。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102320848A (zh) * | 2011-08-17 | 2012-01-18 | 武汉科技大学 | 一种Al4SiC4-Al8SiC7耐火材料及其制备方法 |
JP2013067548A (ja) * | 2011-09-22 | 2013-04-18 | Okayama Ceramics Gijutsu Shinko Zaidan | 不定形耐火物 |
JPWO2017073115A1 (ja) * | 2015-10-27 | 2017-12-14 | 株式会社Inui | コーティング液、及びコーティング層を有する耐火物の製造方法 |
CN111635233A (zh) * | 2020-06-09 | 2020-09-08 | 武汉科技大学 | 原位生成AlN/SiC结合C复合材料及其制备方法 |
WO2020230707A1 (ja) * | 2019-05-13 | 2020-11-19 | タテホ化学工業株式会社 | マイクロ波吸収組成物、マイクロ波吸収体及びマイクロ波加熱体 |
-
2005
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