JP6337739B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に関する。
近年、バイオマス資源から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂として、植物由来モノマーであるイソソルビドを使用し、炭酸ジフェニルとのエステル交換によりポリカーボネート樹脂を得ることが記載されている(特許文献1参照)。特許文献2には、イソソルビドとビスフェノールAを共重合したポリカーボネート樹脂が記載されている。特許文献3には、イソソルビドと脂肪族ジオールとを共重合することによりポリカーボネート樹脂の剛直が改善されることが記載されている。特許文献4には、イソソルビドを単独重合したポリカーボネート樹脂に離型剤と熱安定剤を添加することが記載されている。特許文献5には、イソソルビドを重合したポリカーボネート樹脂に高級脂肪酸及びステアリン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の離型剤を含有することが記載されている。
英国特許第1,079,686号明細書 特開昭56−055425号公報 国際公開第2004/111106号パンフレット 特開2008−274007号公報 特開2011−105846号公報
ところで、植物由来モノマーとしてのイソソルビドを用いて得られるポリカーボネート樹脂は、従来の石油原料由来の芳香族ポリカーボネートに比べ、耐熱性、透明性、機械的強度の点で不十分である。また、溶融成形時に離型性が悪く、黄変し、透明部材や光学部材として用いることが困難であるという問題がある。従来の技術ではイソソルビドを単独重合したポリカーボネート樹脂において、離型性の改良が試みられているが不十分である。上記の特許文献5では、離型剤を特定の化合物を使用することで、全光線透過率が高く、ヘーズが低く、透明性に優れ、強度を保持し、且つ成形品外観が良好で、離型性が優れることが開示されている。
しかし、ヘーズがより低い領域においては、特許文献5に具体的に記載されている離型剤では、色調(プレートYI)が不十分であるという新たな課題が見いだされた。
従って、本発明の目的は、イソソルビド等のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含み、ヘーズを低く保ったまま、色調(プレートYI)が低く、離型性に優れたポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
本発明者らが検討を行った結果、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)のうち、ヘーズが低いポリカーボネート樹脂(A)に対しては、フェノール系酸化防止剤(B)、ホスファイト系酸化防止剤(C)および特定の脂肪酸エステル化合物(D)を含有する樹脂組成物が、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は下記のとおりである。
(1)下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)、フェノール系酸化防止剤(B)、ホスファイト系酸化防止剤(C)および脂肪酸エステル化合物(D)を含有する樹脂組成物であって、
以下の測定条件で測定されたポリカーボネート樹脂(A)のヘーズ値が0.8以下であり、
脂肪酸エステル化合物(D)が下記式(2)で表される脂肪酸エステル化合物であり、
ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、下記式(2)で表される脂肪酸エステル化合物を0.01〜3重量%含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 0006337739
(上記式(2)において、RおよびRは、一方が置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、もう片方が置換若しくは無置換の炭素数10以上のアルキル基若しくはアルキレン基を表す。)
(ヘーズ測定条件)
ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.05重量部、トリス(2,4−ジ−tertブチルフェニル)ホスファイト0.1重量部を含有したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、80℃で4時間予備乾燥した。次に乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、日本製鋼所製J75EII型射出成形機で、シリンダー温度230℃、成形サイクル45秒、金型温度60℃の成形条件にて、60mm×60mm×3mmtの平板を成形する。
日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を使用し、D65光源にて成形した平板のヘーズを測定する。
(2)ポリカーボネート樹脂(A)が、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)を含む共重合ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする(1)に記載のポリカーボネート樹脂組成物。(3)ポリカーボネート樹脂の重縮合が触媒の存在下で行われ、該触媒が長周期型周期表第2族の金属及びリチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明によれば、ヘーズ、イエローインデックス値(YI)などに優れた物性を有し、建築材料分野、電気・電子分野、自動車分野、光学部品分野等において好適に用いることができるポリカーボネート樹脂組成物及びこれを成形してなる成形品、フィルム、プレートを提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂である。
Figure 0006337739
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、成形性、耐熱性、耐衝撃性、表面硬度、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、環状エーテル構造を有するため、酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管や、製造時には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤等を用いたり、窒素雰囲気下で取り扱うことが肝要である。例えば、イソソルビドが酸化されると、蟻酸等の分解物が発生する場合がある。これら分解物を含むイソソルビドをポリカーボネート樹脂の製造原料として使用すると、得られるポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の着色を招く可能性があり、又、物性を著しく劣化させる可能性があるだけではなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られない場合もある。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)を含む共重合ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。さらに、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、及び式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外のエーテル基含有ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる一種以上のジヒドロキシ化合物(以下、「その他のジヒドロキシ化合物」と称す場合がある。)に由来する構造単位(b)を含む共重合ポリカーボネート樹脂であることが、ポリカーボネート樹脂(A)の耐衝撃性の面でより好ましく、脂肪族ジヒドロキシ化合物および脂環式ジヒドロキシ化合物のいずれかを含有することが特に好ましい。
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、直鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物であっても、分岐鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物であってもよく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールなどが挙げられる。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノールが挙げられる。
エーテル基含有ジヒドロキシ化合物としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量150〜2000)、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の耐熱性を考えると、他のジヒドロキシ化合物としては、脂環式ジヒドロキシ化合物が好ましく、脂環式ジヒドロキシ化合物の中でも、耐熱性と耐衝撃性の面より、シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)における他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)の含有割合は、ポリカーボネート樹脂(A)中の全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位において、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が特に好ましい。また50モル%以下が好ましく、45モル%以下がより好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)中の他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)が少なすぎると耐衝撃性が不足する可能性があり、多すぎると耐熱性が不足する場合がある。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、一般に用いられるポリカーボネート樹脂の製造方法で製造することができ、その製造方法は、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とを反応させる溶融重合法のいずれの方法でもよいが、重合触媒の存在下に、ジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。また、溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、公知のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用される。アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。
重合反応の形式は、公知の形式を用いることができ、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
また、本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として通常100μm以下が好ましい。特に、フィルム用途等で微少な異物の混入を嫌う場合は、40μm以下が好ましく、さらには10μm以下が好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)の押出は、押出後の異物混入を防止するために、好ましくはJIS B 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷
等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、以下の測定条件で測定されたヘーズ値が0.8以下であることを特徴としている。なお、ヘーズ値の上限値については、より高い透明性が求められることから、0.6以下が好ましく、0.4以下が特に好ましい。また、ヘーズ値の下限値については、特に限定されないが、通常、0.001以上となる。
(ヘーズ測定条件)
ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.05重量部、トリス(2,4−ジ−tertブチルフェニル)ホスファイト0.1重量部を含有したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、80℃で4時間予備乾燥した。次に乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、日本製鋼所製J75EII型射出成形機で、シリンダー温度230℃、成形サイクル45秒、金型温度60℃の成形条件にて、60mm×60mm×3mmtの平板を成形する。
日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を使用し、D65光源にて成形した平板のヘーズを測定する。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上が好ましく、0.35dL/g以上がより好ましい。還元粘度の上限は、通常1.20dL/g以下が好ましく、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が低すぎると樹脂組成物としたときの靱性が小さい可能性があり、還元粘度が大きすぎると、電気・電子機器部品や自動車内外装部品を成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。また、成形温度を適正以上に高くしなければならず、色調が悪化する場合がある。
尚、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は、90℃以上145℃以下が好ましく、100℃以上135℃以下がより好ましく、特に110℃以上125℃以下が好ましい。ガラス転移温度が90℃未満では耐熱性が不足し、145℃以上では成形時に流動性が不足し、樹脂組成物が製品の末端まで充填されなかったり、ウエルド部での強度が低下したりすることがある。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂(A)として、1種を単独で用いてもよく、他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の種類や共重合割合、物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
<フェノール系酸化防止剤(B)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、フェノール系酸化防止剤を含有する。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6
−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等の化合物が挙げられる。
これらの化合物の中でも、炭素数5以上のアルキル基によって1つ以上置換された芳香族モノヒドロキシ化合物が好ましく、具体的には、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が好ましく、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が更に好ましい。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に、フェノール系酸化防止剤を添加する場合、その添加量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、通常0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.002質量部以上、更に好ましくは0.005質量部以上であり、通常5質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
フェノール系酸化防止剤の添加量が5質量部より多いと、成形時、金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。一方、0.001質量部未満であると、耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。
<ホスファイト系酸化防止剤(C)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ホスファイト系酸化防止剤を含有する。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に、ホスファイト系酸化防止剤を添加する場合、その添加量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、通常0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.002質量部以上、更に好ましくは0.005質量部以上であり、通常5質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
ホスファイト系酸化防止剤の添加量が5質量部より多いと、成形時、金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。一方、0.001質量部未満であると、耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。
<式(2)で表される脂肪酸エステル化合物(D)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、式(2)で表される脂肪酸エステル化合物をポリカーボネート樹脂100質量部に対して、100〜30000重量ppm含む。
Figure 0006337739
(上記式(2)において、RおよびRは、一方が置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、もう片方が置換若しくは無置換の炭素数10以上のアルキル基若しくはアルキレン基を表す。)
置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基のアルキル基としては、炭素数の下限値が1以上であることを特徴としており、上限値としては、6以下であることを特徴としており、5以下が好ましく、4以下が最も好ましい。
置換若しくは無置換の炭素数10以上のアルキル基若しくはアルキレン基としては、炭素数の下限値が10以上であることを特徴としており、11以上であることを特徴としており、12以上がより好ましく、13以下が最も好ましい。また、上限値としては、30以下であることが好ましく、28以下がより好ましく、26以下が最も好ましい。
式(2)で表される脂肪酸エステル化合物としては、具体的には、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸ブチル,ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ペンチル、ステアリン酸ヘキシル、エルカ酸メチル、エルカ酸エチル、エルカ酸プロピル、エルカ酸ブチル,エルカ酸ペンチル、エルカ酸ヘキシル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、カプロン酸ステアリル等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、式(2)で表される脂肪酸エステル化合物(D)をポリカーボネート樹脂100質量部に対して、下記式(2)で表される脂肪酸エステル化合物を0.01〜3重量%を含む。式(2)で表される脂肪酸エステル化合物の配合量が過度に少ないと十分な帯電防止効果が得られにくく、過度に多いとヘーズが悪化してしまう。そのため、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上が好ましく、0.15重量%以上がさらに好ましく、0.2重量%以上が特に好ましい。また、2.5重量%以下が好ましく、2重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がさらに好ましく、1重
量%以下が特に好ましい。
<添加剤>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、耐擦傷性や原着鮮映性を維持できる範囲において、上述の酸化防止剤以外の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、上述の式(2)で表される脂肪酸エステル化合物以外の離型剤、着色剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、充填剤等を添加することも出来る。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては樹脂に使用される一般的な酸化防止剤が使用できるが、酸化安定性、熱安定性、漆黒性等の観点からイオウ系酸化防止剤が好ましい。
(イオウ系酸化防止剤)
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)等が挙げられる。
これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に、イオウ酸化防止剤を添加する場合、その添加量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、通常0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.002質量部以上、更に好ましくは0.005質量部以上であり、通常5質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
イオウ系酸化防止剤の添加量が5質量部より多いと、成形時、金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。一方、0.001質量部未満であると、耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。
(光安定剤)
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられ、その分子量は、1000以下が好ましく、900以下がより好ましい。分子量が1000を超えると、成形品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。また分子量は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。分子量が300未満では、耐熱性に乏しく、成形時に金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。
さらに、ピペリジン構造を有する化合物が好ましい。ここで規定するピペリジン構造とは、飽和6員環のアミン構造となっていればよく、ピペリジン構造の一部が置換基により置換されているものも含む。置換基としては、炭素数4以下のアルキル基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、特に、ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、それら複数のピペリジン構造がエステル構造により連結されている化合物が好ま
しい。
そのような光安定剤としては、4−ピペリジノール,2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−カルボン酸)1,2,3,4−ブタンテトライル、2,2,6,6−テトラメチル−ピレリジノールとトリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の縮合物、2,2,6,6−テトラメチル−ピレリジノールとメタノールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の縮合物、ビス(1,2,3,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4,4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミンポリマーと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に光安定剤を添加する場合、その添加量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上5質量部以下であり、好ましくは0.005質量部以上3質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上1質量部以下である。
光安定剤の添加量が5質量部より多いと、着色する傾向にあり、着色剤を添加したとしても、例えば深みと清澄感のある漆黒を得難い。一方、0.001質量部未満であると、自動車内外装品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。
(着色剤)
着色剤としては、無機顔料、有機顔料及び有機染料等の有機染顔料が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;等が挙げられる。
有機顔料及び有機染料等の有機染顔料としては、例えば、フタロシアニン系染顔料;アゾ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環染顔料;アンスラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、メチン系、キノリン系、複素環系、メチル系の染顔料;等が挙げられる。
これら着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記無機顔料、有機顔料及び有機染料等の有機染顔料の中でも、無機顔料が好ましい。無機顔料を着色剤として使用することにより、成形品を屋外等で使用した場合でも鮮映性等を長期間保持することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に着色剤を添加する場合、その添加量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.05質量部以上5質量部以下であり、好ましくは0.05質量部以上3質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上2質量部以下である。
着色剤の添加量が0.05質量部未満では鮮映性のある原着成形品を得難い。一方、5質量部より多いと、成形品の表面粗さが大きくなり、鮮映性のある原着成形品を得難い。
(充填剤)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、意匠性を維持できる範囲において、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、酸化チタン、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、ワラストナイト等の珪酸カルシウム、カーボンブラック、グラファイト、鉄粉、銅粉、二硫化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素、窒化ケイ素繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、チタン酸カリウム繊維、これらのウィスカー等の無機充填剤や、木粉、竹粉、ヤシ澱粉、コルク粉、パルプ粉などの粉末状有機充填剤;架橋ポリエステル、ポリスチレン、スチレン・アクリル共重合体、尿素樹脂などのバルン状・球状有機充填剤;炭素繊維、合成繊維、天然繊維などの繊維状有機充填剤を添加することもできる。
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記成分を所定の割合で同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。
<成形品>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形品を成形する際、任意の成形法を用いることができるが、射出成形、射出圧縮、射出プレス成形が好適に用いられる。その際に用いるランナーも、通常のコールドランナー方式だけでなく、ホットランナー方式を用いることも可能である。また、インサート成形、インモールドコーティング成形、二色成形、サンドイッチ成形等も可能である。さらに意匠性を得るために、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形を用いることも可能である。
本発明の樹脂組成物から得られたフィルム、プレート、または、射出成形品は、透明性、耐熱性、耐衝撃性に優れるため、本発明の樹脂組成物の用途は特に制限されるものではないが、例えば、建材、内装部品、透明フィルム、樹脂被覆金属板用フィルム、成形(真空・圧空成形、熱プレス成形など)用フィルム、着色プレート、透明プレート、シュリンクフィルム、シュリンクラベル、シュリンクチューブや、自動車内装材、家電製品筐体、各種部品、OA機器部品等の射出成形品等に使用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
以下において、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
(1)試験片の作成方法
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、熱風乾燥機を用いて、90℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所
社製J75EII型)に供給し、樹脂温度230℃、金型温度60℃、成形サイクル45秒間の条件で、射出成形板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)を成形した。
(2)ヘーズ測定
前記(1)で得られた射出成形板をJIS K7105(1981年)に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製NDH2000)を使用し、D65光源にて前記試験片のヘーズを測定した。なお、ヘーズは10%以下を合格とした。
(3)色相測定
前記(2)で得られた射出成形板についてJIS K7105(1981年)に準拠し、分光色差計(日本電色工業社製SE2000)を使用し、C光源透過法にて前記試験片のイエローインデックス(YI)値を測定した。YI値が小さい程、黄色味がなく品質が優れることを示し、30以下を合格とした。
(4)離型性
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、熱風乾燥機を用いて、90℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で、射出成形板(幅100mm×長さ100mm×厚さ3mm)を計10ショット成形し、下記基準により離形性を評価した。
○:何れの成形品にも離形性不良の発生が認められない。
△:一部の成形品に離形性不良が認められる。
×:全ての成形品に離形性不良が認められる。
また、以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略号は次の通りである。
<ポリカーボネート樹脂(A)の原料>
ISB:イソソルビド(ロケットフルーレ社製、商品名POLYSORB)
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(イーストマン社製)
DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学(株)製)
<フェノール系酸化防止剤>
IRGANOX1010:イルガノックス1010(BASFジャパン社製)
<ホスファイト系酸化防止剤>
AS2112:アデカスタブ2112(ADEKA社製)
[実施例1]
撹拌翼及び100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、ISB及びCHDMと、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPC及び酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10-6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005〜0.001体積%)。
続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。
重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含ま
れるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
このようにしてオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼及び前記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温及び減圧を開始して、60分で内温220℃、圧力200Paにした。その後、20分かけて内温230℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で復圧し、内容物をストランドの形態で抜出し、回転式カッターでペレット(ポリカーボネート樹脂1)にした。
次に、得られたポリカーボネート樹脂1のペレットと、更に下記の表1に示した組成となるように、離型剤としてステアリン酸ブチル、更に酸化防止剤としてイルガノックス1010及びアデカスタブ2112とを2つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(LABOTEX30HSS)を用いて、押出機出口の樹脂温度が250℃になるようにストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。この際、ベント口は真空ポンプに連結し、ベント口での圧力が500Paになるように制御した。得られたペレット状のポリカーボネート樹脂組成物の前記方法よる評価結果を後述の表1に示す。
[実施例2]
離型剤としてステアリン酸ブチルの代わりにエルカ酸メチルを用い、下記の表1に示した組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物の製造と評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例1]
離型剤を用いず、下記の表1に示した組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物の製造と評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例2]
離型剤としてステアリン酸を用い、下記の表1に示した組成となるように添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物の製造と評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例3]
離型剤としてステアリルアルコールを用い、下記の表1に示した組成となるように添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物の製造と評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例4]
離型剤としてステアリン酸ステアリルを用い、下記の表1に示した組成となるように添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物の製造と評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例5]
離型剤としてステアリン酸モノグリセリドを用い、下記の表1に示した組成となるように添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物の製造と評価を行い、結果を表1に示した。
Figure 0006337739
Figure 0006337739
表1より明らかなように、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、比較例のポリカーボネート樹脂組成物に比べて、低いヘーズおよび低いYIを示した。したがって、本発明のポリカーボネート樹脂成形品は、ヘーズ、イエローインデックス値(YI)などの良好
な透明性、色調を兼ね備え、建築材料分野、電気・電子分野、自動車分野、光学部品分野等において好適に用いることができることが分かる。
本発明によれば、ヘーズ、イエローインデックス値(YI)などに優れた物性を有し、建築材料分野、電気・電子分野、自動車分野、光学部品分野等において好適に用いることができるポリカーボネート樹脂組成物及びこれを成形してなる成形品、フィルム、プレートを得ることができ、建築材料分野、電気・電子分野、自動車分野、光学部品分野等において好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)、フェノール系酸化防止剤(B)、ホスファイト系酸化防止剤(C)および脂肪酸エステル化合物(D)を含有する樹脂組成物であって、
    以下の測定条件で測定されたポリカーボネート樹脂(A)のヘーズ値が0.8以下であり、
    脂肪酸エステル化合物(D)が下記式(2)で表される脂肪酸エステル化合物であり、
    ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、下記式(2)で表される脂肪酸エステル化合物を0.01〜3重量%含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0006337739
    (上記式(2)において、RおよびRは、一方が置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、もう片方が置換若しくは無置換の炭素数10以上のアルキル基若しくはアルキレン基を表す。)
    (ヘーズ測定条件)
    ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.05重量部、トリス(2,4−ジ−tertブチルフェニル)ホスファイト0.1重量部を含有したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、80℃で4時間予備乾燥した。次に乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、日本製鋼所製J75EII型射出成形機で、シリンダー温度230℃、成形サイクル45秒、金型温度60℃の成形条件にて、60mm×60mm×3mmtの平板を成形する。
    日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を使用し、D65光源にて成形した平板のヘーズを測定する。
  2. ポリカーボネート樹脂(A)が、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)を含む共重合ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. ポリカーボネート樹脂の重縮合が触媒の存在下で行われ、該触媒が長周期型周期表第2族の金属及びリチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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