JP6333634B2 - 積層構造体、及びこれを含む成型品 - Google Patents

積層構造体、及びこれを含む成型品 Download PDF

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本発明は、積層構造体及びこれを含む成型品に関する。
柔軟性が優れるポリアミド12(PA12)やポリアミド11(PA11)は、従来、多くの自動車用の燃料配管等に使用されている。ところが近年、環境汚染防止の観点から、自動車等の燃料ガスの蒸散規制が厳しくなっている。そのため、燃料配管には、燃料ガスの透過性が低いことが求められている。さらに、ガソリンの消費節約、高性能化の観点から、メタノールやエタノール等の低沸点アルコールをブレンドしたアルコールガソリンが実用化されており、燃料配管用ホースには、従来の燃料(ガソリン等)だけでなく、アルコールガソリン等の透過性が低いことも求められている。
このような要求に対し、PA12やPA11からなる外層と、フッ素樹脂からなる燃料バリア層(内層)とを有する燃料配管用ホース等が開発されている。また、フッ素樹脂より安価であり、かつ燃料透過性の低い樹脂(例えばポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS);ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)等の半芳香族ポリアミド樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル樹脂)からなる燃料バリア層を有する燃料配管用ホースも提案されている(例えば、特許文献1)。
ここで、フッ素樹脂や半芳香族ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等からなる燃料バリア層を有する燃料配管用ホースにおいては、PA12やPA11からなる外層が、必ずしも燃料透過性を低減する機能を担うものではなく、燃料バリア層を保護する役割や、道路凍結防止剤である塩化カルシウムによる燃料配管用ホースの劣化を防止する役割、燃料蒸気によって生じる内圧による燃料配管用ホースの破損を防ぐ役割等を担っている。そして、このような外層には、低コスト化が求められていた。
一方、比較的安価なポリオレフィン系樹脂を含む内層と、MXD6等を含む外層とを有する燃料配管用ホースも提案されている(特許文献2)。しかし、特許文献2に記載の燃料配管用ホースでは、燃料の透過を十分に抑制することが難しかった。
また、燃料透過性が低いポリアミド9T(PA9T)からなる内層と、比較的安価なポリオレフィン系樹脂からなる外層とを有する燃料配管用ホースも提案されている(特許文献3)。
特表2007−502726号公報 特開平4−272592号公報 特開2006−281507号公報
ただし、特許文献3のように、ポリオレフィン系樹脂層と半芳香族ポリアミド層(PA9T)とを積層した燃料配管用ホースでは、層間接着性は改善しているものの、より燃料バリア性が高く比較的低コストの材料であるPA6T層との層間接着性に関してはさらなる改善が望まれている。また、ホースの強度や耐燃料膨潤性が低いと、ホースの内側からの圧力等によって、ホースが破損することがあった。そのため、強度の高いポリアミドからなる層を厚くする必要があり、低コスト化が難しいとの問題があった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、ポリアミドを含む層と他の層との層間接着性が良好であり、ポリアミドを含む層の厚みが薄くとも燃料透過性が低く、強度が高く、かつ低コストである積層構造体を提供する。
すなわち、本発明の第1は、以下の積層構造体に関する。
[1]外層にポリエチレン層(A)、中間層に接着剤層(B)、内層に半芳香族ポリアミド層(C)が少なくとも積層された積層構造体であって、前記接着剤層(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体に不飽和カルボン酸もしくはその誘導体をグラフト変性した変性エチレン・α−オレフィン共重合体を含み、かつASTM D1505に準拠して測定される密度が0.910〜0.935g/cm3である、積層構造体。
[2]前記ポリエチレン層(A)は、ASTM D1505に準拠して測定される密度が0.925〜0.970g/cm3である、エチレン・α−オレフィン(共)重合体を含む、[1]に記載の積層構造体。
[3]前記接着剤層(B)が含む前記変性エチレン・α−オレフィン共重合体は、前記不飽和カルボン酸もしくはその誘導体由来の構造を0.08〜5質量%含む、[1]または[2]に記載の積層構造体。
[4]前記接着剤層(B)が含む前記変性エチレン・α−オレフィン共重合体は、無水マレイン酸由来の構造を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層構造体。
[5]前記ポリエチレン層(A)は、メタロセン触媒を用いて得られ、かつASTM D1238(230℃、2.16Kg)に準拠して測定されるメルトフローレートが0.01〜10g/10分である、エチレンと炭素原子数3〜16のα−オレフィンとの(共)重合体を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層構造体。
[6]前記積層構造体の総厚み(Ts)に対する、前記半芳香族ポリアミド層(C)の厚み(T)の比率が0.05〜0.4である、[1]〜[5]のいずれかに記載の積層構造体。
[7]前記積層構造体の総厚み(Ts)に対する、前記半芳香族ポリアミド層(C)の厚み(T)の比率が0.05〜0.3である、[1]〜[6]のいずれかに記載の積層構造体。
[8]前記積層構造体の最内層に、樹脂及び導電性フィラーを含む導電層をさらに有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の積層構造体。
[9]前記半芳香族ポリアミド層(C)は、全ジカルボン酸成分に対して40〜100モル%がテレフタル酸であるジカルボン酸成分と、全ジアミン成分に対して60〜100モル%が炭素原子数4〜12の脂肪族ジアミンであるジアミン成分とを重合して得られる半芳香族ポリアミド樹脂と、オレフィン系重合体を、官能基を有する化合物で変性した変性オレフィン系重合体と、を含有することを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかに記載の積層構造体。
[10]前記変性オレフィン系重合体がエチレン・α−オレフィン共重合体を不飽和カルボン酸もしくはその誘導体でグラフト変性した変性エチレン・α−オレフィン共重合体である、[9]に記載の積層構造体。
[11]前記半芳香族ポリアミド層(C)は、半芳香族ポリアミド樹脂と、オレフィン系重合体を、官能基を有する化合物で変性した変性オレフィン系重合体とを含み、前記半芳香族ポリアミド樹脂は、テレフタル酸[a]由来の構造単位と、イソフタル酸[b]由来の構造単位と、炭素原子数4〜12の脂肪族ジカルボン酸[c]由来の構造単位と、炭素原子数4〜10の脂肪族ジアミン由来の構造単位とを有し、テレフタル酸[a]由来の構造単位を35〜50モル%、イソフタル酸[b]由来の構造単位を25〜40モル%、脂肪族ジカルボン酸[c]由来の構造単位を15〜35モル%含み(但し、[a]、[b]、[c]の合計を100モル%とする)、前記テレフタル酸[a]由来の構造単位と、前記イソフタル酸[b]由来の構造単位とのモル比([a]/[b])が、65/35〜50/50であり、前記脂肪族ジカルボン酸[c]由来の構造単位と、前記イソフタル酸[b]由来の構造単位とのモル比([c]/[b])が、30/70〜50/50であり、その示差走査熱量測定(DSC)で得られる融解熱量(ΔH)が、20〜40mJ/mgであり、その極限粘度[η]が0.7〜1.6dl/gである[1]〜[8]のいずれかに記載の、積層構造体。
[12]前記変性オレフィン系重合体がエチレン・α−オレフィン共重合体を不飽和カルボン酸もしくはその誘導体でグラフト変性した変性エチレン・α−オレフィン共重合体である、[11]に記載の積層構造体。
本発明の第2は、以下の成型品に関する。
[13]前記[1]〜[12]のいずれかに記載の積層構造体からなる成型品。
[14]ホース、チューブ、からなる群から選ばれる[13]に記載の成型品。
[15]燃料配管用チューブである、[13]または[14]に記載の成型品。
本発明の積層構造体は、層間接着性に優れ、燃料透過性が低く、強度が高く、さらに低コスト化が可能である。
本発明の積層構造体からなる成型品の一例を示す概略断面図である。
1.積層構造体
本発明の積層構造体は、外層、中間層、及び内層の少なくとも3層を含む構造体であり、当該積層構造体は、ガスや液体を搬送するためのホースやチューブ等;もしくは内部にガスや液体を貯留するためのボトルやタンク等に適用される。また特に、本発明の積層構造体は、自動車用の燃料透過性が低いことから、燃料貯留用、もしくは燃料搬送用の各種成型品に好ましく用いられる。ここで、燃料とは、ガソリン、アルコール混合ガソリン(ガソホール)、アルコール、水素、軽油、バイオディーゼル燃料、ジメチルエーテル、LPG、CNG等の各種燃料をいう。
本発明の積層構造体からなる成型品(燃料配管用チューブ)の一例を示す概略断面図を図1に示す。本発明の積層構造体100における外層1とは、各種成型品の外表面側に配される層であり、積層構造体100の内層3を外部環境から保護する役割や、強度を保持するための層である。一方、内層3とは、各種成型品の内部側に配される層であり、各種成型品の内部から、ガスや液体等が外部に漏出したり、蒸散することを抑制するための層である。また、中間層2は、これらを接着するための層である。本発明の積層構造体100では、外層1がポリエチレン層(A)、中間層2が接着剤層(B)、内層3が半芳香族ポリアミド層(C)である。
前述のように、ポリオレフィンからなる外層と、半芳香族ポリアミドからなる内層とを積層しただけでは、積層構造体の層間接着性が低いことがあり、例えば燃料油などを成型品内部に充填した場合に、ポリエチレン層と半芳香族ポリアミド層との接着強度が低下し層間剥離することがあった。その結果、燃料バリア性などの機能を維持することができず成形品としての信頼性に欠ける場合があった。
これに対し、本発明の積層構造体では、ポリエチレン層(A)と半芳香族ポリアミド層(C)とが接着剤層(B)によって、強固に接着されており、積層構造体の信頼性が格段に高い。また当該積層構造体の接着剤層(B)には、変性エチレン・α−オレフィン共重合体が含まれ、接着剤層(B)の密度は0.910〜0.935g/cm3である。そのため、ポリエチレン層(A)や半芳香族ポリアミド層(C)との層間接着性が高い。
1−1.ポリエチレン層(A)
ポリエチレン層(A)には、エチレン由来の構成成分を主成分とするポリエチレン系樹脂が含まれる。ポリエチレン層(A)には、ポリエチレン系樹脂以外に必要に応じて他の成分が含まれてもよい。ただし、ポリエチレン層(A)の総質量に対してポリエチレン系樹脂が60質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは80質量%以上である。ポリエチレン系樹脂の量が、60質量%以上であると、ポリエチレン層(A)の強度が高まり、さらに接着剤層(B)との層間接着性が高まる。
ポリエチレン層(A)に含まれるポリエチレン系樹脂の例には、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン等のエチレン・α−オレフィン(共)重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体;エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体;アイオノマー樹脂等が含まれる。当該ポリエチレン系樹脂では、エチレン系樹脂を構成する構造単位の総量(モル)に対して、エチレン由来の構造単位が、80モル%以上含まれることが好ましく、より好ましくは90モル%以上である。
ポリエチレン層(A)に含まれるポリエチレン系樹脂は、成型性等の観点から、エチレン・α−オレフィン(共)重合体であることが好ましい。エチレン・α−オレフィン(共)重合体には、エチレン単独重合体、もしくはエチレンとα−オレフィンとの共重合体を含むものとする。エチレン・α−オレフィン(共)重合体において、エチレン・α−オレフィン(共)重合体を構成する構造単位の数(モル数)に対して、エチレン由来の構造単位は、90〜99.99モル%であることが好ましく、より好ましくは94〜99.99モル%である。
エチレンと共重合する、α−オレフィンの炭素原子数は特に制限されないが、3〜16であることが好ましく、より好ましくは3〜12である。炭素原子数が3〜16であるα−オレフィンの具体例には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が含まれる。
ここで、ポリエチレン層(A)に含まれるエチレン・α−オレフィン(共)重合体のASTM D1238(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定されるメルトフローレートは0.01〜10g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5g/10分であり、さらに好ましくは0.05〜1g/10分である。エチレン・α−オレフィン(共)重合体のメルトフローレートが上記範囲であると、積層構造体の作製時に、エチレン・α−オレフィン(共)重合体の流動性が高く、均一な厚みのポリエチレン層(A)が得られやすい。エチレン・α−オレフィン(共)重合体のメルトフローレートは、分子量等により調整される。
ここで、ポリエチレン層(A)に含まれるエチレン・α−オレフィン(共)重合体の密度は、0.925〜0.970g/cm3であることが好ましく、0.925〜0.960g/cmであることがより好まく、0.935〜0.955g/cmであることが更に好ましい。ポリエチレン層(A)に含まれるエチレン・α−オレフィン(共)重合体の密度は、ASTM D1505に準拠して測定される。ポリエチレン層(A)に含まれるエチレン・α−オレフィン(共)重合体の密度が、0.970g/cm3以下であると、積層構造体の柔軟性が高まりやすい。一方、ポリエチレン層(A)に含まれるエチレン・α−オレフィン(共)重合体の密度が0.925g/cm以上であると、ポリエチレン層(A)を長期で使用したとしても成型品内部から気化した燃料による膨潤の影響を受けにくく、かつ強度や耐圧性が高まりやすい。ポリエチレン層(A)の密度は、ポリエチレン系樹脂の種類や、これらの調製条件等により調整される。
また、ポリエチレン層(A)に含まれるエチレン・α−オレフィン(共)重合体は、メタロセン触媒を用いて調製されたものであることが好ましい。メタロセン触媒を用いて得られるエチレン・α−オレフィン(共)重合体は、分子量分布が小さいため、低分子量成分の含有量が少ない。そのため、当該エチレン・α−オレフィン(共)重合体を成形して得られるポリエチレン層(A)はメタロセン触媒以外の触媒で調整されたポリエチレンに比べ強度や靭性、耐燃料膨潤性が高い。そのため、積層構造体の強度や使用時の信頼性が格段に高まる。その結果、積層構造体の半芳香族ポリアミド層(C)の厚みが薄くとも、積層構造体の耐圧性を高めることができる。また、半芳香族ポリアミド層(C)の厚みを薄くできるため、積層構造体のコストも低減される。
ポリエチレン層(A)には、必要に応じて、充填剤、安定剤、活剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等、顔料、染料等、各種添加剤が含まれてもよい。
1−2.接着剤層(B)
接着剤層(B)には、エチレン・α−オレフィン共重合体を、不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した変性エチレン・α−オレフィン共重合体が含まれる。接着剤層(B)には、必要に応じて他の成分が含まれてもよいが、接着剤層(B)の総質量に対して変性エチレン・α−オレフィン共重合体が60質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは80質量%以上である。変性エチレン・α−オレフィン共重合体の量が、60質量%以上であると、接着剤層(B)とポリエチレン層(A)や半芳香族ポリアミド層(C)との強度が高まる。
ここで、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素原子数が3〜20であるα−オレフィンとの共重合体でありうる。α−オレフィンの炭素原子数は好ましく3〜10である。α−オレフィンの例には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が含まれる。
また、エチレン・α−オレフィン重合体をグラフト変性する不飽和カルボン酸は、特に制限されず、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)などの不飽和カルボン酸;またはその酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体でありうる。これらの中でも、不飽和ジカルボン酸またはその無水物であることが好ましく、マレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物であることがより好ましく、特に好ましくは無水マレイン酸である。
変性エチレン・α−オレフィン共重合体には、上記不飽和カルボン酸もしくはその誘導体由来の構造が、変性エチレン・α−オレフィン共重合体の質量に対して0.08〜5質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.08〜3質量%であり、さらに好ましくは0.08〜1質量%である。不飽和カルボン酸もしくはその誘導体の由来の構造が上記範囲含まれると、接着剤層(B)の接着性が高まりやすい。変性エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる不飽和カルボン酸もしくはその誘導体由来の構造の割合は、13C-NMR測定やH-NMR測定などの公知の手段で、特定することができる。具体的なNMR測定条件としては、以下の様な条件を例示できる。
H-NMR測定の場合、日本電子(株)製ECX400型核磁気共鳴装置を用い、溶媒は重水素化オルトジクロロベンゼンとし、試料濃度は20mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は1H(400MHz)、シーケンスはシングルパルス、パルス幅は5.12μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は7.0秒、積算回数は500回以上とする条件である。基準のケミカルシフトは、テトラメチルシランの水素を0ppmとするが、例えば、重水素化オルトジクロロベンゼンの残存水素由来のピークを7.10ppmとしてケミカルシフトの基準値とすることでも同様の結果を得ることができる。官能基含有化合物由来のHなどのピークは、常法によりアサインしうる。
13C-NMR測定の場合、測定装置は日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、測定温度は120℃、観測核は13C(125MHz)、シングルパルスプロトンデカップリング、45°パルス、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値とする条件である。各種シグナルのアサインは常法を基にして行い、シグナル強度の積算値を基に定量を行うことができる。
変性エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン・α−オレフィン共重合体を溶融させた状態で、不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させることで得られる。エチレン・α−オレフィン共重合体と不飽和カルボン酸またはその誘導体との反応(グラフト変性)は、公知の方法で行うことができ、例えば有機過酸化物の存在下で、これらを反応させることで変性エチレン・α−オレフィン共重合体が得られる。また当該グラフト変性は、実質的に無溶媒下で行われることが、接着剤層(B)の接着性等の観点から好ましい。
ここで、接着剤層(B)の密度は0.910〜0.935g/cmであり、好ましくは0.920〜0.935g/cmである。当該密度は、ASTM D1505に準拠して測定される。接着剤層(B)の密度が0.910g/cm以上であると、接着剤層(B)の強度が高まりやすく、0.935g/cm以下であると、接着剤層(B)と半芳香族ポリアミド層(C)との密着性が高まりやすい。つまり、接着剤層(B)の密度が上記範囲であると、接着剤層(B)の強度と接着性とのバランスが優れ、接着剤層(B)と半芳香族ポリアミド層(C)との接着性が高まる。接着剤層(B)の密度は、前述の変性エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンの種類や、変性エチレン・α−オレフィンに含まれる不飽和カルボン酸またはその誘導体の量等によって調整される。
また、接着剤層(B)の厚み(Tb)の比率は、積層構造体の厚み(Ts)に対して0.005〜0.1であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.06である。接着剤層(B)の厚みの比率が0.005以上であると、積層構造体を構成する各層の層間接着力が高まりやすい。一方、接着剤層(B)の厚みが0.1以下であると、相対的に、ポリエチレン層(A)や、半芳香族ポリアミド層(C)の厚みが厚くなり、積層構造体の耐圧性が高まり、積層構造体の耐燃料透過性が高まる。接着剤層(B)の具体的な厚みは、5〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜60μm、さらに好ましくは15〜40μmである。
1−3.半芳香族ポリアミド層(C)
半芳香族ポリアミド層(C)には、半芳香族ポリアミド樹脂が含まれる。半芳香族ポリアミド樹脂は、脂肪族由来の構造単位と、脂肪族由来の構造単位とを含むポリアミドである。積層構造体に半芳香族ポリアミド層(C)が含まれると、積層構造体の透過性が低減される。
半芳香族ポリアミド層(C)には、半芳香族ポリアミド層(C)の全質量に対して、半芳香族ポリアミド樹脂が50質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは60〜97質量%であり、さらに好ましくは75〜95質量%である。半芳香族ポリアミド層(C)に半芳香族ポリアミド樹脂が50質量%以上含まれると、積層構造体の耐燃料透過性が高まる。
一方、半芳香族ポリアミド層(C)には、オレフィン系重合体を、官能基を有する化合物(官能基含有化合物)で変性した変性オレフィン系重合体がさらに含まれてもよい。半芳香族ポリアミド層(C)に、変性オレフィン系重合体が含まれると、半芳香族ポリアミド層(C)の衝撃強度が高まりやすく、また柔軟性を付与することができる。半芳香族ポリアミド層(C)の全質量に対して、変性オレフィン系重合体は7〜28質量%含まれることが好ましく、より好ましくは5〜25質量%である。
ここで、半芳香族ポリアミド層(C)に含まれる半芳香族ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを重合して得られる。ジカルボン酸成分には、全ジカルボン酸成分に対してテレフタル酸[a]が40〜100モル%含まれることが好ましい。また、ジアミン成分には、全ジアミン成分に対して、炭素原子数4〜12の脂肪族ジアミン[d]が60〜100モル%含まれることが好ましい。
一方、半芳香族ポリアミド樹脂は、下記式で表されるテレフタル酸[a]由来の構造単位と、下記式で表されるイソフタル酸[b]由来の構造単位と、炭素原子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸[c]由来の構造単位と、炭素原子数4〜12の脂肪族ジアミン[d]由来の構造単位とが含まれるものであることも好ましい。
テレフタル酸[a]由来の構造単位 イソフタル酸[b]由来の構造単位
Figure 0006333634
半芳香族ポリアミド樹脂に含まれるテレフタル酸[a]由来の構造単位と、イソフタル酸[b]由来の構造単位と、[c]由来の構造単位との合計を100モル%としたときに、テレフタル酸[a]由来の構造単位の含有量は好ましくは35〜50モル%であり、イソフタル酸[b]由来の構造単位の含有量は好ましくは25〜40モル%であり、より好ましくは30〜40モル%であり、炭素原子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸[c]由来の構造単位の含有量は好ましくは15〜35モル%であり、より好ましくは20〜30モル%である。
炭素原子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸[c]の例には、アジピン酸(炭素原子数6)、スベリン酸(炭素原子数8)、アゼライン酸(炭素原子数9)、セバシン酸(炭素原子数10)などの鎖状脂肪族ジカルボン酸が含まれる。脂肪族ジカルボン酸[c]は、コストや半芳香族ポリアミド層(C)の強度等の観点から、アジピン酸であることが特に好ましい。
また、半芳香族ポリアミド樹脂には、ジカルボン酸[a]〜[c]以外のジカルボン酸由来の構造単位(他のカルボン酸由来の構造単位)が含まれてもよい。ただし、他のジカルボン酸由来の構造単位のモル数は、[a]〜[c]の合計モル数に対して、5%以下であることが好ましい。他のジカルボン酸の例には、2−メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸などのフランジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、フタル炭素原子数11以上の脂肪族ジカルボン酸などが含まれる。
半芳香族ポリアミド樹脂には、ジアミン由来の構造単位として、炭素原子数4〜12の脂肪族ジアミン[d]由来の構造単位が含まれることが好ましい。脂肪族ジアミン[d]は、直鎖脂肪族ジアミンであってもよく、側鎖を有する鎖状脂肪族ジアミンであってもよい。脂肪族ジアミン[D]の例には、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカンなどの直鎖脂肪族ジアミン;2-メチル-1,5-ジアミノペタン、2-メチル-1,6-ジアミノヘキサン、2-メチル-1,7-ジアミノヘプタン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタン、2-メチル-1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,10-ジアミノデカン、2-メチル-1,11-ジアミノウンデカンなどの側鎖を有する鎖状脂肪族ジアミンが含まれる。
脂肪族ジアミン[d]は、好ましくは炭素原子数6〜9のジアミンであり、より好ましくはヘキサメチレンジアミン(炭素原子数6)またはノナンジアミン(炭素原子数9)である。
半芳香族ポリアミド樹脂には、脂肪族ジアミン[d]以外のジアミン由来の構造単位が含まれてもよいが、そのモル数は、[d]のモル数に対して、10%以下であることが好ましい。他のジアミンの例には、メタキシレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミンなどの脂環族ジアミンが含まれる。
ここで、半芳香族ポリアミド層(C)に含まれる半芳香族ポリアミド樹脂の「融解終了温度(T)+10(°C)」における溶融張力は、3〜30mNであることが好ましく、5〜25mNであることがより好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂の溶融張力は、東洋精機製「CAPIROGRAPH 1B」を使用して、キャピラリー径1.0mmφ、キャピラリー長20mm、巻取り速度10m/分、融解終了温度(T)+10°Cにて測定される。溶融張力(メルトテンション:mN)が上記の範囲にあると、半芳香族ポリアミド樹脂を成型して得られる半芳香族ポリアミド層(C)の形状保持性を高めることができ、積層構造体の作製時にドローダウンが生じ難い。融解終了温度(T)の測定方法は後述する。
半芳香族ポリアミド樹脂の溶融張力は、主に、分子量と、半芳香族ポリアミド樹脂に含まれる[a]〜[c]由来の構造単位の比率によって調整される。
半芳香族ポリアミド樹脂において、[a]由来の構造単位と[b]由来の構造単位とのモル比([a]/[b])は、65/35〜50/50であることが好ましい。テレフタル酸[a]は、半芳香族ポリアミド樹脂に結晶性を付与して、半芳香族ポリアミド層(C)の耐熱性を高める反面、半芳香族ポリアミド樹脂の溶融張力を高め難い。一方で、イソフタル酸[b]は、半芳香族ポリアミド層(C)の耐熱性を維持しながら、半芳香族ポリアミド樹脂の溶融張力を高めることができると考えられる。
半芳香族ポリアミドにおいて、[c]由来の構造単位と[b]由来の構造単位とのモル比([c]/[b])は、30/70〜50/50であることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸[c]は、半芳香族ポリアミド樹脂に非晶性を付与して(融解終了温度(T)を低下させ)、成形加工性などを改善しうるが、半芳香族ポリアミド樹脂の溶融張力を高めにくい。一方で、イソフタル酸[b]は、半芳香族ポリアミド樹脂の耐熱性を維持しながら、半芳香族ポリアミド樹脂の溶融張力を高めることができると考えられる。
つまり、半芳香族ポリアミド樹脂における[a]〜[c]由来の構造単位の比率が上記範囲であると、半芳香族ポリアミド樹脂の溶融張力が高まる。ここで、PA6T(テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから得られるポリアミド)や、PA66(アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとから得られるポリアミド)は、溶融張力が低いことが知られている。PA6TおよびPA66のいずれも、直線性の高いジカルボン酸やジアミンを構成成分としているため、剛直性が高く、高分子鎖同士の絡み合いが少ないため、溶融時の張力が比較的低いと推察される。
これに対して前述の[a]〜[c]由来の構造単位を特定の範囲で含有する、特に、モル比([a]/[b])とモル比([c]/[b])を適切に設定することで、溶融時の張力が高まると考えられる。つまり、イソフタル酸[b]は直線状というよりは、むしろ屈曲構造を有している。そのため、半芳香族ポリアミド樹脂の高分子鎖の剛直性が緩和され、高分子鎖同士が絡み合いやすくなる。そして、半芳香族ポリアミド樹脂の溶融時の張力が高まると推察される。
ここで、半芳香族ポリアミド層(C)に含まれる半芳香族ポリアミド樹脂の極限粘度[η]は0.7〜1.6dl/gであることが好ましく、0.8〜1.2dl/gであることがより好ましい。極限粘度[η]は、温度25℃、96.5%硫酸中で測定される。極限粘度[η]が0.7dl/g以上であると、得られる半芳香族ポリアミド層(C)の機械的強度が高まる一方で、前述の溶融張力が所望の範囲に収まりやすい。また、極限粘度[η]が1.6dl/g以下であると、成形時の流動性と機械的強度等とのバランスが優れる。半芳香族ポリアミド樹脂の極限粘度[η]を上記範囲のように調整するためには、例えば反応系内に分子量調整剤等を配合してジカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させることが好ましい。分子量調整剤としては、モノカルボン酸およびモノアミンを使用することができる。
半芳香族ポリアミド樹脂の融解熱量(ΔH)は、20〜40mJ/mgであることが好ましく、20〜35mJ/mgであることがより好ましい。融解熱量はポリアミドの結晶性の指標となり、融解熱量が大きいほど結晶性が高く、融解熱量が小さいほど結晶性が低いことを示唆する。半芳香族ポリアミド樹脂は、テレフタル酸[a]由来の構造単位を含有するので一定の結晶性を有するものの、ジカルボン酸[a]〜[c]由来の構造単位が、できるだけランダムに配列していることが好ましい。ジカルボン酸[a]〜[c]由来の構造単位がランダムに配列せず、テレフタル酸[a]由来の構造単位がブロックとして配列していると、半芳香族ポリアミド樹脂の結晶性が過剰に高まり、その結果、融解熱量(ΔH)が40mJ/mgよりも高くなる。
分子量調整剤として使用されるモノカルボン酸の例としては、炭素原子数2〜30の脂肪族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸および脂環族モノカルボン酸を挙げることができる。なお、芳香族モノカルボン酸および脂環族モノカルボン酸は、環状構造部分に置換基を有していてもよい。例えば、脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノ−ル酸を挙げることができる。また、芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸、ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸およびフェニル酢酸を挙げることができ、脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロヘキサンカルボン酸を挙げることができる。
分子量調整剤は、ジカルボン酸とジアミンとを反応させてポリアミドとする反応系に添加され、ジカルボン酸の合計量1モルに対して、通常は、0〜0.07モル、好ましくは0〜0.05モルの量で添加されることが好ましい。このような量で分子量調整剤を使用することにより、少なくともその一部がポリアミド中に取り込まれ、これによりポリアミドの分子量、即ち極限粘度[η]が所望の範囲内に調整される。
半芳香族ポリアミド樹脂の、示差走査熱量測定(DSC)によって求められる融点(Tm)は230℃以上であることが好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂の試料を、PerkinElemer社製DSC7を用いて加熱し、一旦320℃で5分間保持し、次いで10℃/分の速度で23℃まで降温させた後、10℃/分で昇温する。このときの融解に基づく吸熱ピークをポリアミドの融点(Tm)とすればよい。ただし、示差走査熱量測定において観察される吸熱ピークのピークトップに相当する温度が明確でない場合もある。
半芳香族ポリアミド樹脂の、示差走査熱量測定(DSC)によって求められる融解終了温度(T)は、250〜300℃であることが好ましい。融解終了温度(T)とは、融点の測定と同様の示差走査熱量測定において、融解に基づく吸熱がなくなるときの温度をいう。具体的には、示差走査熱量測定において観察される吸熱ピークがベースラインにもどるときの温度をいう。融解終了温度(T)は、半芳香族ポリアミド樹脂における[a]〜[c]由来の構造単位を、できるだけランダムに配列させることで下げることができる。
また、半芳香族ポリアミド樹脂のメルトフローレート(T+10℃,2.16kg)は、1〜50g/10分であることが好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂のメルトフローレートは、ASTM D1238 procedure Bに準拠して測定することができる。
前述の半芳香族ポリアミド樹脂は、従来の半芳香族ポリアミド樹脂の製造法として公知の製造方法に基づいて調製される。例えば、ジカルボン酸[a]〜[c]と、ジアミン[d]とを、均一溶液中で重縮合させて製造することができる。より具体的には、ジカルボン酸とジアミンとを、国際公開第03/085029号に記載されているように触媒の存在下で加熱することにより低次縮合物を得て、次いでこの低次縮合物の溶融物に剪断応力を付与することにより重縮合させて製造することができる。
一方、半芳香族ポリアミド層(C)に含まれる変性オレフィン系重合体は、オレフィン系重合体を、官能基を有する化合物(官能基含有化合物)で変性したものでありうる。官能基は、ヘテロ原子を含むことが好ましく、官能基の例には、カルボン酸基、無水カルボン酸基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基が含まれる。
一方、オレフィン系重合体の例には、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体やこれらのオレフィンの共重合体等の公知の重合体が挙げられる。特に好ましいオレフィン系重合体は、エチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合体(エチレン・α−オレフィン共重合体)である。
エチレンと重合させる他のオレフィンは、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等の炭素数3〜10のα-オレフィンでありうる。エチレン・α-オレフィン共重合体の具体例には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体等が含まれる。これらの中でも、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体が好ましい。
エチレン・α-オレフィン共重合体には、エチレンから導かれる構造単位が、エチレン・α−オレフィン共重合体を構成する構成単位全量に対して70〜99.5モル%含まれることが好ましく、より好ましくは80〜99モル%である。一方、α-オレフィンから導かれる構造単位は、エチレン・α−オレフィン共重合体を構成する構成単位全量に対して、0.5〜30モル%含まれることが好ましく、より好ましくは1〜20モル%である。
エチレン・α-オレフィン共重合体のASTM D1238に準拠して測定される190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、0.01〜20g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.05〜20g/10分である。
エチレン・α-オレフィン共重合体の製造方法は、特に限定されず、例えばチタン(Ti)やバナジウム(V)系、クロム系(Cr)系、またはジルコニウム(Zr)系などの遷移金属触媒を用いて、公知の方法で調製することができる。より具体的には、V系化合物と有機アルミニウム化合物から構成されるチーグラー系触媒やメタロセン系触媒の存在下に、エチレンと1種以上の炭素数3〜10のα-オレフィンとを共重合させることによって製造する方法を例示することができる。特には、メタロセン系触媒を用いて製造する方法が好適である。
また、オレフィン系重合体を変性する官能基含有化合物は、特に制限されないが、好ましくは不飽和カルボン酸またはその誘導体である。不飽和カルボン酸またはその誘導体の具体例には、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ナジック酸(エンドシス−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸、およびこれらの酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステル等の誘導体等があげられる。これらの中でも、不飽和ジカルボン酸もしくはその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジック酸、またはこれらの酸無水物が好適である。
特に好ましい化合物として、無水マレイン酸が挙げられる。無水マレイン酸は、変性前のオレフィン系重合体との反応性が比較的高く、無水マレイン酸どうしの重合等が生じにくく、基本構造として安定な傾向がある。このため、安定した品質の変性オレフィン系重合体を得られるなどの様々な優位点がある。
変性オレフィン系重合体は、例えばオレフィン系重合体を、官能基含有化合物でグラフト変性することで得られる。以下、エチレン・α−オレフィン共重合体を不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性を例に説明する。エチレン・α−オレフィン共重合体のグラフト変性は、公知の方法で行うことができる。例えば、エチレン・α-オレフィン共重合体を有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に不飽和カルボン酸またはその誘導体およびラジカル開始剤などを加え、通常60〜350℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させる方法を例示することができる。
エチレン・α-オレフィン共重合体を溶解させる有機溶媒は、特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
また、エチレン・α-オレフィン共重合体の別のグラフト変性方法としては、好ましくは溶媒非存在下で、押出機などでエチレン・α-オレフィン共重合体と、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体とを反応させる方法が挙げられる。この場合の反応条件は、反応温度が、通常、エチレン・α−オレフィン共重合体の融点以上、具体的には100〜350℃とすることができる。反応時間は、通常、0.5〜10分間とすることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体に、不飽和カルボン酸等の官能基を有する化合物を、効率よくグラフト変性反応させるために、ラジカル開始剤の存在下に変性反応を行うことが好ましい。ラジカル開始剤の例には、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミル14ペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3,1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルフェニルアセテート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペル−sec−オクトエート、t−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびt−ブチルペルジエチルアセテート;アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどが用いられる。これらの中では、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましい。ラジカル開始剤は、変性前のエチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、通常0.001〜1質量部の割合で用いられる。
変性オレフィン系重合体は、密度が0.80〜0.95g/cmであることが好ましく、0.85〜0.90g/cmであることがより好ましい。
さらに、変性オレフィン系重合体の、135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)溶液中で測定される極限粘度〔η〕は、好ましくは0.5〜4.0dl/gであり、より好ましくは1.0〜3dl/gであり、さらに好ましくは1.5〜3dl/gである。[η]が上記の範囲内であれば、半芳香族ポリアミド層の強度が高まりやすい。
変性オレフィン系重合体の135℃、デカリン中の極限粘度[η]は、常法に基づき、以下の様にして測定される。サンプル20mgをデカリン15mlに溶解し、ウベローデ粘度計を用い、135℃雰囲気にて比粘度(ηsp)を測定する。このデカリン溶液に更にデカリン5mlを加えて希釈後、同様の比粘度測定を行う。この希釈操作と粘度測定を更に2度繰り返した測定結果を基に、濃度(:C)をゼロに外挿したときの「ηsp/C」値を極限粘度[η]とする。
当該変性オレフィン系重合体には、変性オレフィン系重合体100質量%に対して、官能基含有化合物由来の構造が0.3〜1.5質量%含まれ、より好ましくは0.4〜1.1質量%で含まれる。官能基含有化合物由来の構造が少な過ぎると、半芳香族ポリアミド層(C)の靱性の改善効果が低い場合がある。
変性オレフィン系重合体に含まれる官能基含有化合物由来の構造の量は、変性前のオレフィン系重合体と官能基を有する化合物とを反応させる際の仕込み比や、13C-NMR測定やH-NMR測定、などの公知の手段で、特定することができる。具体的なNMR測定条件としては、前述の接着剤層(B)に含まれる変性エチレン・α−オレフィン(共)重合体に含まれる不飽和カルボン酸もしくはその誘導体由来の構造の測定と同様の条件でありうる。
ここで、半芳香族ポリアミド樹脂と、変性オレフィン系重合体との混合物の溶融張力は、20〜90mNであることが好ましく、30〜70mNであることがより好ましい。当該混合物の溶融張力は、前述の半芳香族ポリアミド樹脂の「融解終了温度(T)+10(℃)」における、溶融張力を意味する。混合物の溶融張力は、東洋精機製「CAPIROGRAPH 1B」を使用して、キャピラリー径1.0mmφ、キャピラリー長20mm、巻取り速度10m/分、融解終了温度(T)+10℃にて測定される。
また、半芳香族ポリアミド樹脂と、変性オレフィン系重合体との混合物のメルトフローレートは、0.1〜20g/10分であることが好ましい。当該混合物のメルトフローレートは、それに含まれる半芳香族ポリアミド樹脂の「融解終了温度(T)+10(℃)」における」、荷重5kgのメルトフローレート(T+10℃,2.16kg)を意味する。当該混合物のメルトフローレートは、ASTM D1238 procedure Bに準拠して測定することができる。
半芳香族ポリアミド樹脂と、変性オレフィン系重合体との混合物の曲げ弾性率は、400〜2100MPaであることが好ましく、800〜2000MPaであることがより好ましい。また、当該混合物の曲げ強度は、40〜200Maであることが好ましく、60〜150MPaであることがより好ましい。
半芳香族ポリアミド樹脂と、変性オレフィン系重合体との混合物の曲げ弾性率および曲げ強度は、下記の条件で、射出成形機を用いて成形した試験片(長さ64mm、幅6mm、厚さ0.8mm)の曲げ弾性率および曲げ強度とする。
成形機:(株)ソディック プラステック、ツパールTR40S3A
成形機シリンダー温度:融解終了温度(T)+10℃、金型温度:40℃
成形した試験片を温度23℃、窒素雰囲気下で24時間放置し、その後、150℃のオーブンにて2時間の処理を行う。次いで、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、曲げ試験機:NTESCO社製AB5、スパン26mm、曲げ速度5mm/分で曲げ試験を行い、曲げ弾性率および強度を測定する。
半芳香族ポリアミド樹脂と、変性オレフィン系重合体との混合は、半芳香族ポリアミド樹脂及び変性オレフィン系重合体を、公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどで混合する方法、あるいは混合後さらに一軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法で行うことができる。
半芳香族ポリアミド層(C)には、半芳香族ポリアミド樹脂と、変性オレフィン系重合体とともに、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、任意の添加剤が含まれてもよい。任意の添加剤の例には、酸化防止剤(フェノール類、アミン類、イオウ類、リン類等)、充填材(クレー、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、石英、マイカ、グラファイト等)、耐熱安定剤(ラクトン化合物、ビタミンE類、ハイドロキノン類、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、光安定剤(ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾフェノン類、ベンゾエート類、ヒンダードアミン類、オギザニリド類等)、他の重合体(ポリオレフィン類、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体等のオレフィン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体等のオレフィン共重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、LCP等)、難燃剤(臭素系、塩素系、リン系、アンチモン系、無機系等)蛍光増白剤、可塑剤、増粘剤、帯電防止剤、離型剤、顔料、結晶核剤、種々公知の配合剤が含まれる。
半芳香族ポリアミド層(C)に含まれる任意の添加剤の量は、その成分の種類によって異なるが、半芳香族ポリアミド樹脂と変性オレフィン系重合体との合計を100質量%としたときに、0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量%であり、さらに好ましくは0〜1質量%である。
ここで、半芳香族ポリアミド層(C)の厚み(Tc)の比率は、積層構造体の厚み(Ts)に対して0.05〜0.4であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.3である。半芳香族ポリアミド層(C)の厚みの比率が0.05以上であると、積層構造体の燃料透過性が低減される。一方、半芳香族ポリアミド層(C)の厚みの比率が0.4以下であると、積層構造体のコストを低減しやすい。ここで、半芳香族ポリアミド層(C)の具体的な厚みは、10〜400μmであることが好ましく、より好ましくは50〜300μmである。
1−4.その他の層
本発明の積層構造体には、本発明の効果を損なわない範囲で、前述のポリエチレン層(A)、接着剤層(B)、半芳香族ポリアミド層(C)以外の層が含まれてもよい。例えば、積層構造体の最内層に、導電性を有する導電層が別途積層されていてもよい。
積層構造体の最内層が絶縁性であると、成型品(例えばチューブ等)の内部で液体燃料等が流動したときに、積層構造体に静電気が蓄積されることがある。そして、この静電気が燃料に引火することが考えられる。これに対し、最内層に導電性を有する層が積層されていると、成型品内部で液体燃料等が流動しても、静電気が蓄積され難くなる。
このような導電層としては、例えば自動車燃料配管用のチューブに使用される樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12のような脂肪族ポリアミド;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリメタキシリレンアジパミド、半芳香族ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂など)に導電性フィラーを配合したもの等が挙げられる。導電性フィラーの形状は特に制限されず、粒状、フレーク状、または繊維状等でありうる。
粒状フィラーの例には、カーボンブラック、グラファイト等が含まれる。フレーク状フィラーの例には、アルミフレーク、ニッケルフレーク、ニッケルコートマイカ等が含まれる。また、繊維状フィラーの例には、炭素繊維、炭素被覆セラミック繊維、カーボンウィスカー、アルミ繊維や銅繊維や黄銅繊維やステンレス繊維といった金属繊維等が含まれる。導電性フィラーは、入手容易性や導電性の観点等から、カーボンブラックであることが特に好ましい。特に、アセチレンブラックやファーネスブラック(ケッチェンブラック)が好適に用いられる。
導電層に含まれる導電性フィラーの量は、導電層の総質量に対して3〜35質量%であることが好ましい。
また、導電層の導電性は、表面抵抗値が10Ω/square以下であることが好ましく、より好ましくは10Ω/square以下である。
1−5.積層構造体の製造方法
本発明の積層構造体の製造方法は特に制限されず、一般的な熱可塑性樹脂の成形機、例えば、押出成形機、ブロー成形機、圧縮成形機、射出成形機等によって前述のポリエチレン層(A)及び半芳香族ポリアミド層(C)を予め形成し、これらを接着剤層(B)で貼り合わせてもよい。また、例えば共押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、異型押出、押出コーティング等)や、積層射出成形法等によって、ポリエチレン層(A)、接着剤層(B)、及び半芳香族ポリアミド層(C)を同時に成型し、積層してもよい。
ポリエチレン層(A)、接着剤層(B)、及び半芳香族ポリアミド層(C)を積層後、必要に応じて加熱してもよい。加熱により、積層構造体製造時の残留歪みが除去される。
本発明の積層構造体の形状は特に制限されず、積層構造体の用途に応じて適宜選択され、フィルム状、シート状、チューブ状、ホース状、ボトル状等、各種成型品の形状に成型されていてもよい。また、フィルム状やシート状の積層構造体とした後、必要に応じて成型加工を行って、成型品としてもよい。
2.成型品
本発明の積層構造体からなる成形品の例として、自動車燃料配管用チューブ又はホース、自動車ラジエーターホース、ブレーキホース、エアコンホース、電線被覆材、光ファイバー被覆材等のチューブ、ホース類、農業用フィルム、ライニング、建築用内装材(壁紙等)、ラミネート鋼板等のフィルム、シート類、自動車ラジエータータンク、薬液ボトル、薬液タンク、薬液容器、ガソリンタンク等のタンク類等が挙げられる。本発明の積層構造体は、燃料透過性が低いため、自動車燃料配管用チューブ又はホースとして特に有用である。
(自動車燃料配管用チューブまたは燃料配管用ホース)
自動車燃料配管用チューブ及びホースは、円筒形状であればよく、直管形状であってもよく、一部または全部が波形形状、蛇腹形状、アコーディオン形状等であってもよく、さらにL字状、U字状等に加工されていてもよい。
本発明の積層構造体に含まれる半芳香族ポリアミド層(C)は、燃料透過性が低い。したがって、当該自動車燃料配管用チューブまたは燃料配管用ホースの内部を流動する各種燃料(例えばガソリン、アルコール混合ガソリン(ガソホール)、アルコール、水素、軽油、バイオディーゼル燃料、ジメチルエーテル、LPG、CNG等)がチューブやホースの外部に放出され難い。また、前述のように、本発明の積層構造体は耐圧性が高いことから、当該チューブやホース内部の圧力が高まったとしても、これらが破損し難い。またさらに、半芳香族ポリアミド層(C)の厚みが薄くとも、十分な強度が得られ、さらに燃料の透過性も低減できることから、燃料配管用チューブまたは燃料配管用ホースのコストを低減することもできる。
ここで本発明の自動車燃料配管用チューブ又はホースの外周の全部又は一部には、必要に応じて、石ハネ、他部品との摩耗、耐炎性を考慮してエピクロルヒドリンゴム、NBR、NBRとポリ塩化ビニルの混合物、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、NBRとEPDMの混合物ゴム、塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、アミド系等の熱可塑性エラストマー等から構成されるソリッド又はスポンジ状の保護部材(プロテクター)が配置されていてもよい。
以下において、実施例を参照して本発明を説明する。実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
<ポリエチレン層(A)>
ポリエチレン層(A)には以下の樹脂を用いた。
・ポリエチレン系樹脂(A1):プライムポリマー製、ネオゼックス4005M、密度0.937g/cm、MFR0.2g/10分(230℃、2.16kg荷重)
・ポリエチレン系樹脂(A2):プライムポリマー製、ハイゼックス6300M、密度0.951g/cm、MFR0.1g/10分(230℃、2.16kg荷重)
・ポリエチレン系樹脂(A3):プライムポリマー製、エボリューHSP5505(メタロセン触媒高密度ポリエチレン)、密度0.951g/cm、MFR0.3g/10分(230℃、2.16kg荷重)
・ポリエチレン系樹脂(A4):プライムポリマー製、ネオゼックス2015M、密度0.922g/cm、MFR1.2g/10分(230℃、2.16kg荷重)
<接着剤層(B)>
接着剤層(B)には以下の樹脂を用いた。
・変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B1)
4−メチル−1−ペンテンをコモノマーとする密度0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体に、無水マレイン酸0.10質量%をタンブラーブレンダーで混合した。当該混合物を直径40mm、有効長さ1120mmのスクリューを用いて、230℃で押し出し、無水マレイン酸がグラフトした変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B1)を得た。
ASTM D1505に準拠して測定される変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B1)の密度は、0.930g/cmであった。また、NMRにより測定した酸変性率は0.10質量%であった。
・変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B2)
4−メチル−1−ペンテンをコモノマーとする密度0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体に、無水マレイン酸0.30質量%をタンブラーブレンダーで混合した。当該混合物を、直径40mm、有効長さ1120mmのスクリューを用いて、230℃で押し出し、無水マレイン酸がグラフトした変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B2)を得た。
ASTM D1505に準拠して測定される変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B2)の密度は、0.930g/cmであった。また、NMRにより測定した酸変性率は0.29質量%であった。
・変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B3)
4−メチル−1−ペンテンをコモノマーとする密度0.920g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体に、無水マレイン酸0.10質量%をタンブラーブレンダーで混合した。当該混合物を直径40mm、有効長さ1120mmのスクリューを用いて、230℃で押し出し、無水マレイン酸がグラフトした変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B3)を得た。
ASTM D1505に準拠して測定される変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B3)の密度は、0.920g/cmであった。また、NMRにより測定した酸変性率は0.10質量%であった。
・変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B4)
4−メチル−1−ペンテンをコモノマーとする密度0.900g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体に、無水マレイン酸0.10質量%をタンブラーブレンダーで混合した。当該混合物を直径40mm、有効長さ1120mmのスクリューを用いて、230℃で押し出し、無水マレイン酸がグラフトした変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B4)を得た。
ASTM D1505に準拠して測定される変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B4)の密度は、0.900g/cmであった。また、NMRにより測定した酸変性率は0.10質量%であった。
・変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B5)
4−メチル−1−ペンテンをコモノマーとする密度0.940g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体に、無水マレイン酸0.10質量%をタンブラーブレンダーで混合した。当該混合物を直径40mm、有効長さ1120mmのスクリューを用いて、230℃で押し出し、無水マレイン酸がグラフトした変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B5)を得た。
ASTM D1505に準拠して測定される変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B5)の密度は、0.940g/cmであった。また、NMRにより測定した酸変性率は0.10質量%であった。
・変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B6)
4−メチル−1−ペンテンをコモノマーとする密度0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体に、無水マレイン酸0.05質量%をタンブラーブレンダーで混合した。当該混合物を直径40mm、有効長さ1120mmのスクリューを用いて、230℃で押し出し、無水マレイン酸がグラフトした変性エチレン・α−オレフィン共重合体を得た。
ASTM D1505に準拠して測定される変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B6)の密度は、0.940g/cmであった。また、NMRにより測定した酸変性率は0.05質量%であった。
<半芳香族ポリアミド層(C)>
半芳香族ポリアミド層(C)には、以下のように調製した半芳香族樹脂組成物(C1)及び(C2)を用いた。ただし、樹脂C3は、脂肪族ポリアミド樹脂(ナイロン12、アルケマ製、Rilsamid AESNO TL44)とした。
・半芳香族ポリアミド樹脂の調製
まず、以下の方法にて、半芳香族ポリアミド樹脂(PA6T)ならびに半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)を調製した。
[半芳香族ポリアミド樹脂(PA6T)の調製]
テレフタル酸1986g(12.0モル)、1,6−ヘキサンジアミン2800g(24.1モル)、イソフタル酸1390g(8.4モル)、アジピン酸524g(3.6モル)、安息香酸36.5g(0.3モル)、次亜リン酸ナトリウム−水和物5.7g及び蒸留水545gを内容量13.6Lのオートクレーブに入れ、窒素置換した。当該混合物を加熱して、190℃から攪拌を開始し、3時間かけて内部温度を250℃まで昇温させた。このとき、オートクレーブの内圧を3.03MPaまで昇圧させた。このまま1時間反応を続けた後、オートクレーブ下部に設置したスプレーノズルから大気放出して低縮合物を抜き出した。その後、室温まで冷却後、粉砕機で1.5mm以下の粒径まで粉砕し、110℃で24時間乾燥した。得られた低縮合物の水分量は4100ppm、極限粘度[η]は0.15dl/gであった。次に、この低縮合物を棚段式固相重合装置にいれ、窒素置換後、約1時間30分かけて180℃まで昇温した。その後、1時間30分反応し、室温まで降温した。得られたポリアミドの極限粘度[η]は0.20dl/gであった。その後、スクリュー径30mm、L/D=36の二軸押出機にて、バレル設定温度330℃、スクリュー回転数200rp、6Kg/hの樹脂供給速度で溶融重合して、融点が266℃、極限粘度[η]が1.05dl/gの半芳香族ポリアミド樹脂(PA6T)を調製した。
[半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)の調製]
テレフタル酸3971g(23.9モル)、1,9−ノナンジアミン1907g(12.0モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン1907g(12.0モル)、安息香酸36.5g(0.3モル)、次亜リン酸ナトリウム−水和物5.7g及び蒸留水780gを内容量13.6Lのオートクレーブに入れ、窒素置換した。当該混合物を加熱して、190℃から攪拌を開始し、3時間かけて内部温度を250℃まで昇温させた。このとき、オートクレーブの内圧を3.03MPaまで昇圧させた。このまま1時間反応を続けた後、オートクレーブ下部に設置したスプレーノズルから大気放出して低縮合物を抜き出した。その後、室温まで冷却後、粉砕機で1.5mm以下の粒径まで粉砕し、110℃で24時間乾燥した。得られた低縮合物の水分量は4100ppm、極限粘度[η]は0.13dl/gであった。次に、この低縮合物を棚段式固相重合装置にいれ、窒素置換後、約1時間30分かけて180℃まで昇温した。その後、1時間30分反応し、室温まで降温した。得られたポリアミドの極限粘度[η]は0.17dl/gであった。その後、スクリュー径30mm、L/D=36の二軸押出機にて、バレル設定温度330℃、スクリュー回転数200rp、5Kg/hの樹脂供給速度で溶融重合して、融点が264℃、極限粘度[η]が1.04dl/gの半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)を調製した。
・変性エチレン・α−オレフィン共重合体の調製
次に、エチレン・1−ブテン共重合体に不飽和カルボン酸もしくはその誘導体をグラフト変性した変性エチレン・1−ブテン共重合体(PO)を調整した。
[変性エチレン・1−ブテン共重合体(PO)の調製]
十分に窒素置換したガラス製フラスコに、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.63mg入れ、更にメチルアミノキサンのトルエン溶液(Al;0.13ミリモル/リットル)1.57ml、およびトルエン2.43mlを添加することにより触媒溶液を得た。
次に、充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブに、ヘキサン912ml、および1−ブテン320mlを導入し、系内の温度を80℃に昇温した。引き続き、トリイソブチルアルミニウム0.9ミリモルおよび上記で調製した触媒溶液2.0ml(Zrとして0.0005ミリモル)をエチレンで系内に圧入し、重合反応を開始させた。エチレンを連続的に供給することにより全圧を8.0kg/cm2−Gに保ち、80℃で30分間重合を行った。
少量のエタノールを系中に導入して重合を停止させた後、未反応のエチレンをパージした。得られた溶液を大過剰のメタノール中に投入することにより白色固体を析出させた。この白色固体を濾過により回収し、減圧下で一晩乾燥し、白色固体(エチレン・1−ブテン共重合体)を得た。[密度=0.865g/cm、MFR(ASTM D1238規格、190℃:2160g荷重)=0.5g/10分、1−ブテン構造単位含有率:4モル%]
得られたエチレン・1−ブテン共重合体100質量部に、無水マレイン酸1.0質量部と過酸化物[パーヘキシン25B、日本油脂(株)製、商標]0.04質量部とを混合した。得られた混合物を230℃に設定した1軸押出機で溶融グラフト変性することによって下記の物性を有する変性エチレン・1−ブテン共重合体(PO)を得た。無水マレイン酸グラフト変性量は0.90質量%であった。また135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]は1.98dl/gであった。
・樹脂組成物(C1)及び(C2)の調製
続いて、前述の半芳香族ポリアミド樹脂(PA6T)または半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)と、変性エチレン・1−ブテン共重合体(PO)とをそれぞれ混合し、半芳香族ポリアミド樹脂組成物(C1)及び(C2)を調整した。
[半芳香族ポリアミド樹脂組成物(C1)及び(C2)の調製]
前記半芳香族ポリアミド樹脂(PA6T)または半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)と、変性エチレン・1−ブテン共重合体(PO)と、酸化防止剤「Sumilizer GA−80(住友化学社製、商品名)とを、タンブラーブレンダーを用いて混合し、二軸押出機((株)日本製鋼所製 TEX30α)にて、シリンダー温度290℃で原料を溶融混錬後、ストランド状に押出し、水槽で冷却した。その後、ペレタイザーでストランドを引き取り、カットすることでペレット状組成物を得た。半芳香族ポリアミド樹脂(PA6T)または半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)と変性エチレン・1−ブテン共重合体(PO)との質量比は、それぞれ85:15とした。
[実施例1]
ポリエチレン(A1)、変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B1)、及び半芳香族ポリアミド(PA6T)をプラ技研社製成形機にて、ポリエチレン(A1)を230℃、変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B1)を215℃、及び半芳香族ポリアミド樹脂組成物(C1)を290℃にて、別々に溶融させた。各樹脂を成形機から吐出させて外径8mm、内径6mmのチューブ状に成形し、これを冷却しながら引き取った。
得られた積層構造体の外層(ポリエチレン層)/中間層(接着剤層(変性エチレン・α−オレフィン共重合体層))/内層(半芳香族ポリアミド層)の厚みは、720μm/30μm/250μm(総厚み1000μm)であった。
[実施例2〜8、及び比較例1〜4]
外層、中間層、及び内層を、表1の樹脂からなる層とし、表1に示す厚みとした以外は、実施例1と同様に、外径8mm、内径6mmのチューブ状に成形した。
[評価]
実施例及び比較例で得られたチューブ状成形体(積層構造体)の剥離強度、燃料透過性、及び耐圧性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
(剥離強度)
チューブ状成形体をおよそ200mm長にカットし、さらに縦方向に半分にカットし、片方の端部の積層部分を剥離してテストピースとした。得られたテストピースを島津製オートグラフ(AGS−500B)のチャックに固定し、剥離角度:180℃、剥離速度:300mm/分で剥離し、剥離位置が10mm〜70mm部分の平均値を剥離強度とした。
(燃料透過性)
チューブ状成形体を、100mm長にカットしたチューブの内部に疑似燃料CE10(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10体積%)を入れた。そして、両端を密栓することで試験体とした。該試験体を降温装置(40℃)に入れ、試験体の試験前後の質量を測定してその質量変化から燃料透過性(g/m・day)を評価した。
(耐圧性)
チューブ状成形体を、50cm長にカットしたチューブを40℃に調整した水槽内にて状態調節を行った。その後、片側の端部を密栓し、もう片方の端部に加圧装置を連結してエア抜きを行った。その後、初期圧力3.5MPaの試験応力にて3分間加圧を行い、破壊しなかった場合には圧力を0.5MPaずつ段階的に上昇させ、その圧力で3分間保持するテストを連続的に行って、チューブが破壊した時の試験応力から内圧P(kg/cm)を算出した。破壊時の内圧Pが、27kg/cm以上であった場合をA、27kg/cm未満であった場合をBとして耐圧性を評価した。
Figure 0006333634
表1に示されるように、ポリエチレン層/接着剤層(変性エチレン・α−オレフィン共重合体層)/半芳香族ポリアミド層からなる積層構造を有し、かつ接着剤層の密度が0.910〜0.935g/cmである場合、剥離強度がいずれも28N/cm以上であり、かつ燃料透過性が低く、さらに耐圧性評価も良好であった(実施例1〜8)。
一方、接着剤層の密度が0.910未満、もしくは0.940超であると、剥離強度が低くなった(比較例1〜3)。また、内層が脂肪族ポリアミドである場合には、剥離強度は高かったものの、燃料透過性が高かった(比較例4)。
本発明の積層構造体は、燃料透過性が低く、耐圧性が高く、さらに低コスト化が可能である。したがって、燃料貯留用のタンクやボトル、もしくは燃料搬送用のチューブやホース等、各種成型品に好適である。
1 外層(ポリエチレン層)
2 中間層(接着剤層)
3 内層(半芳香族ポリアミド層)
100 積層構造体(成型品)

Claims (14)

  1. 外層にポリエチレン層(A)、中間層に接着剤層(B)、内層に半芳香族ポリアミド層(C)が少なくとも積層された積層構造体であって、
    前記接着剤層(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体に不飽和カルボン酸もしくはその誘導体をグラフト変性した変性エチレン・α−オレフィン共重合体を含み、かつASTM D1505に準拠して測定される密度が0.910〜0.935g/cm3であり、
    前記ポリエチレン層(A)は、メタロセン触媒を用いて得られ、かつASTM D1238(230℃、2.16Kg)に準拠して測定されるメルトフローレートが0.01〜10g/10分である、エチレンと炭素原子数3〜16のα−オレフィンとの(共)重合体を含む、積層構造体。
  2. 前記ポリエチレン層(A)が含む、前記エチレン・α−オレフィン(共)重合体の、ASTM D1505に準拠して測定される密度は、0.925〜0.970g/cm3である請求項1に記載の積層構造体。
  3. 前記接着剤層(B)が含む前記変性エチレン・α−オレフィン共重合体は、前記不飽和カルボン酸もしくはその誘導体由来の構造を0.08〜5質量%含む、請求項1または2に記載の積層構造体。
  4. 前記接着剤層(B)が含む前記変性エチレン・α−オレフィン共重合体は、無水マレイン酸由来の構造を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層構造体。
  5. 前記積層構造体の総厚み(Ts)に対する、前記半芳香族ポリアミド層(C)の厚み(T)の比率が0.05〜0.4である、請求項1〜のいずれか一項に記載の積層構造体。
  6. 前記積層構造体の総厚み(Ts)に対する、前記半芳香族ポリアミド層(C)の厚み(T)の比率が0.05〜0.3である、請求項1〜のいずれか一項に記載の積層構造体。
  7. 前記積層構造体の最内層に、樹脂及び導電性フィラーを含む導電層をさらに有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の積層構造体。
  8. 前記半芳香族ポリアミド層(C)は、
    全ジカルボン酸成分に対して40〜100モル%がテレフタル酸であるジカルボン酸成分と、全ジアミン成分に対して60〜100モル%が炭素原子数4〜12の脂肪族ジアミンであるジアミン成分とを重合して得られる半芳香族ポリアミド樹脂と、
    オレフィン系重合体を、官能基を有する化合物で変性した変性オレフィン系重合体と、
    を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の積層構造体。
  9. 前記変性オレフィン系重合体がエチレン・α−オレフィン共重合体を不飽和カルボン酸もしくはその誘導体でグラフト変性した変性エチレン・α−オレフィン共重合体である、請求項に記載の積層構造体。
  10. 前記半芳香族ポリアミド層(C)は、半芳香族ポリアミド樹脂と、オレフィン系重合体を、官能基を有する化合物で変性した変性オレフィン系重合体とを含み、
    前記半芳香族ポリアミド樹脂は、テレフタル酸[a]由来の構造単位と、イソフタル酸[b]由来の構造単位と、炭素原子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸[c]由来の構造単位と、炭素原子数4〜12の脂肪族ジアミン由来の構造単位とを有し、
    前記テレフタル酸[a]由来の構造単位を35〜50モル%、前記イソフタル酸[b]由来の構造単位を25〜40モル%、前記脂肪族ジカルボン酸[c]由来の構造単位を15〜35モル%含み(但し、[a]、[b]、[c]の合計を100モル%とする)、
    前記テレフタル酸[a]由来の構造単位と、前記イソフタル酸[b]由来の構造単位とのモル比([a]/[b])が、65/35〜50/50であり、
    前記脂肪族ジカルボン酸[c]由来の構造単位と、前記イソフタル酸[b]由来の構造単位とのモル比([c]/[b])が、30/70〜50/50であり、
    その示差走査熱量測定(DSC)で得られる融解熱量(ΔH)が、20〜40mJ/mgであり、その極限粘度[η]が0.7〜1.6dl/gである請求項1〜のいずれか一項に記載の、積層構造体。
  11. 前記変性オレフィン系重合体がエチレン・α−オレフィン共重合体を不飽和カルボン酸もしくはその誘導体でグラフト変性した変性エチレン・α−オレフィン共重合体である、請求項10に記載の積層構造体。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の積層構造体からなる成型品。
  13. ホース、チューブ、からなる群から選ばれる請求項12に記載の成型品。
  14. 燃料配管用チューブである、請求項12または13に記載の成型品。
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