JP6331960B2 - 薄膜状の試料の前処理方法および分析方法 - Google Patents

薄膜状の試料の前処理方法および分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料の前処理方法および分析方法に関する。詳しくは、クラスターイオンビームを利用して試料表面に付着した有機物質を除去する前処理方法および当該前処理方法を用いて試料を分析する方法に関する。
X線光電子分光法(以下、XPSともいう)は試料にX線を入射し、光電効果によって励起された光電子の運動エネルギーを解析することで、試料表面(たとえば、表面から数nmの深さまでの領域)の元素情報およびその化学結合状態の情報を取得できる分析法である。XPSではLi〜Uまでの幅広い元素について、内殻準位の結合エネルギーを解析することで、試料を構成する元素の化学結合状態分析を行うことができる。さらに相対感度係数を用いることで、試料の半定量的な組成分析も可能である。その結果、XPSは幅広い分野の材料解析に応用されている。
しかしながら、XPSにより得られる情報は試料の極表面に限られることから試料を構成する元素の情報だけでなく、試料表面に付着した汚染物質の情報も取得してしまうという課題がある。特に大気中などから付着する炭素および酸素から構成される汚染有機物については試料の取扱いに細心の注意を払った場合でも、試料表面に付着している場合が多い。このような汚染有機物は目的とする試料中の元素のピーク強度を減少させてしまう。また、汚染有機物の存在は試料の組成分析結果にも影響し、元素によってはその化学状態に影響する可能性も考えられる。
たとえば、タッチパネル用途などに用いられる酸化物透明導電薄膜では、その電気特性を発現させるうえで酸化物内部の酸素欠損度合いが重要なファクターとなる。したがって、電気特性を議論するには、酸素と金属元素との比や金属元素の化学状態を分析する方法が重要となる。このような酸化物透明導電薄膜は、試料が薄膜であるがために、化学分析的な分析法や蛍光X線法などの手法は適用しにくく、XPSのような情報深さが浅い分析法で分析することが必要となる。
しかしながら、XPSのような表面敏感な分析法で分析した場合、上述したように、試料表面に付着している有機汚染物の影響を受けて、半定量組成分析結果、とりわけ酸素の半定量分析結果に、試料本来の情報に加えて汚染有機物由来の酸素の情報が含まれてしまい、試料本来の酸素/金属比を評価することが困難であった。
試料本来の酸素/金属比を評価するには、試料表面の汚染物質を除去する必要がある。そこで、このような汚染物質の影響を除外して分析を行うため、XPSでは各種前処理方法が用いられている。たとえば、試料をXPS装置内の高真空中で劈開させ、露出した新生面を測定する方法(非特許文献1)や、イオンスパッタリングを用いる方法がある(非特許文献1)。ここでいうイオンスパッタリングとは、装置付属のイオン銃を用い、イオン銃内で低圧力(1×10−3Pa程度)のアルゴン(Ar)ガスに熱フィラメントから放出させた100eV程度のエネルギーの電子を衝突させ、Arを正にイオン化した後、Arイオンを目標物の方向に0.5〜5kVの電圧を引加して加速し、かつ、Arイオンの進行方向と垂直な平面のXY方向に適切な電圧をかけてある一定領域にイオンを収束させて、目標物に衝突させ、スパッタリング現象を起こして試料表面をエッチングし、汚染物質もろとも試料の表層部分を除去する方法である。
しかしながら、試料をXPS装置内で劈開させる方法では試料がある程度の大きさを有するバルク試料である必要があり、膜厚が数十〜数百nmの薄膜試料には適用できないという問題があった。試料が劈開可能であっても、劈開に要する工程等に時間が掛かり、その結果、分析に時間が掛かるという問題があった。また、イオンスパッタリングを用いる方法では、汚染有機物の除去はできるものの、試料の表面において、選択スパッタにより、試料を構成する酸化物までもが還元され、その結果、スパッタリング前後での酸素/金属比が変化するという問題があった(非特許文献2)。このように、XPSによる分析では、特に薄膜状の試料(たとえば、酸化物透明導電膜)中の試料本来の酸素/金属比を正しく評価することはできないのが現状であった。
日本表面科学会編、「X線光電子分光法」、丸善出版株式会社 Journal of Surface Analysis、Vol.10、No.3(2003)、p.230-236
本発明は、上記の状況を鑑みてなされ、無機物から構成される試料の表面に付着した有機物を試料にダメージを与えることなく除去可能な試料の前処理方法と、当該前処理方法を用いて試料表面の有機物を除去してから試料を分析する方法と、を提供することを目的とする。
本発明者は、試料を削るための手法であるスパッタリングを用いながらも、試料にダメージを与えることなく試料の表面に付着した有機物のみを除去するという逆転の発想を行った。すなわち、酸化物等の無機物はほとんどスパッタリングされず、有機物のみがスパッタリングされる手法である。
この手法を適用するには、単位時間当たりのスパッタリング深さ(スパッタレート)を有機物については大きくし、無機物については小さくすればよい。有機物試料に対する単原子イオンビームのスパッタレートは非常に大きいため、本発明者は、まず、単原子イオンビームを構成する単原子イオンが有するエネルギーを小さくする(たとえば、加速電圧を低くする)ことで、有機物のスパッタレートは大きい値で維持したまま、無機物のスパッタレートを小さくできると考えた。
ところが、実際には、意外にも、加速電圧を低くしても無機物のスパッタレートは比較的大きい値となり、無機物のスパッタレートに対する有機物のスパッタレートを示すスパッタレート比が2以下になるという結果が得られた。すなわち、有機物を除去すると無機物もある程度除去されてしまうという予想外の知見が得られた。
そこで、本発明者は、この知見に基づき、無機物にダメージを与えないということを前提にして検討を行った結果、有機物のスパッタリングに用いられるクラスターイオンビームを用いることで、上記のスパッタレート比を大きくでき、無機物から構成される試料にダメージを与えることなく有機物のみを除去できることを見出し、上記の課題を解決して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の態様は、スパッタリングを利用して、無機物から構成される薄膜状の試料を前処理する方法であって、無機物から構成される無機物標準試料のスパッタレートに対する有機物から構成される有機物標準試料のスパッタレートをスパッタレート比とした場合、スパッタレート比が5以上となるスパッタリング条件で薄膜状の試料にアルゴンガスクラスターイオンビームを照射して薄膜状の試料に付着した有機物を選択的に除去することを特徴とする薄膜状の試料の前処理方法である。
上記の第1の態様において、スパッタレート比が200以下であることが好ましい。
また、本発明の第2の態様は、上記の第1の態様のいずれかに記載の薄膜状の試料の前処理方法により前処理を行った薄膜状の試料を分析することを特徴とする薄膜状の試料の分析方法である。
上記の第2の態様において、X線光電子分光法を用いて、前処理を行った薄膜状の試料を分析することが好ましい。
上記の第2の態様において、薄膜状の試料が金属酸化物を含んでおり、前記金属酸化物における酸素と金属との存在比を分析することが好ましい。
本発明によれば、無機物から構成される試料の表面に付着した有機物を試料にダメージを与えることなく除去可能な試料の前処理方法と、当該前処理方法を用いて試料表面の有機物を除去してから試料を分析する方法と、を提供することができる。
図1は、本実施形態に係る試料の前処理方法および分析方法の工程図である。 図2(a)は、標準試料の斜視図であり、図2(b)は、遮蔽領域を形成するためのアルミ箔の斜視図であり、図2(c)は、図2(b)に示すアルミ箔により被覆された標準試料の斜視図であり、図2(d)は、図2(c)に示す標準試料をZ軸方向から見た図である。 図3(a)は、スパッタリングにより凹部が形成された標準試料の斜視図であり、図3(b)は、図3(a)におけるIIIa−IIIa線に沿う標準試料の断面模式図であり、図3(c)は、遮蔽領域が形成されていない標準試料の凹部をX軸方向から見た断面模式図である。 図4は、本発明の実施例において、試料の前処理前後の酸化インジウム系薄膜試料の表面のXPSスペクトル(炭素1sスペクトル)を示す図である。 図5は、本発明の実施例において、試料の前処理前後の酸化インジウム系薄膜試料の表面のXPSスペクトル(酸素1sスペクトル)を示す図である。 図6は、本発明の実施例において、試料の前処理前後の酸化インジウム系薄膜試料の表面のXPSスペクトル(インジウム3d5/2スペクトル)を示す図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.試料の前処理方法
1−1 試料
1−2 標準試料
1−3 スパッタレート比算出工程
1−3−1 遮蔽領域形成工程
1−3−2 スパッタリング工程
1−3−3 スパッタリング深さ測定工程
1−3−4 スパッタレート比算出工程
1−4 有機物除去工程
2.試料の分析方法
3.本実施形態の効果
4.変形例
(1.試料の前処理方法)
本実施形態に係る試料の前処理方法は、主に、2種類の標準試料を用いてスパッタレート比を算出する工程と、算出したスパッタレート比に基づき試料に付着した有機物を除去する工程と、を含む。当該前処理方法を図1に示す工程図を用いて説明する。
(1−1 試料)
まず、前処理に供する試料を準備する。試料は無機物から構成されていれば特に制限されないが、本実施形態では、当該試料は金属酸化物から構成される。金属酸化物を構成する金属は、酸化物を形成可能な金属であれば、特に制限されない。また、金属酸化物は、1種の金属から構成される酸化物であってもよいし、2種以上の金属から構成される複合酸化物であってもよい。また、本実施形態では、当該試料は薄膜状試料である。薄膜の厚みの下限は20nmである。薄膜の厚みが下限値よりも小さくなると、後述する試料の分析方法によっては、下地の情報が分析結果に多く含まれてしまい、正確な分析結果が得られない場合があるからである。また、薄膜の厚みの上限は1mmであり、通常は100μm以下である。
なお、当該試料は、後述する試料の分析方法において、XPS分析により化学結合状態、組成比(酸素/金属比)が調べられることになる。このような試料の表面には、通常不可避的に、炭素、酸素、水素等から構成される有機物が付着している。したがって、何ら手当をせずに上記の分析を行うと、これらの有機物中の化学結合に起因するピークが観察されてしまう。また、有機物由来の酸素が試料中の化学結合に起因する組成比の算出にも影響を及ぼしてしまう。
(1−2 標準試料)
続いて、標準試料を準備する。標準試料は、スパッタレートを算出するために用いられる試料であり、本実施形態では、有機物から構成されている標準試料(有機物標準試料)と、無機物から構成されている標準試料(無機物標準試料)と、の2種類の標準試料を用いる。後述するが、スパッタレート(nm/min)は、スパッタリング深さ(nm)をスパッタ時間(min)で除した値として求められる。
有機物標準試料を構成する有機物の構造(骨格、置換基、分子量等)は、試料に付着する有機物の構造と異なっていてもよいが、本実施形態では、有機物試料を構成する有機物の構造と同じあるいは類似していることが好ましい。有機物標準試料を構成する有機物の構造を、試料に付着する有機物の構造に近づけることで、有機物標準試料のスパッタレートが、試料に付着した有機物のスパッタレートの近似精度を高めることができる。本実施形態では、有機物標準試料はポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の有機高分子材料から構成されている。なお、本明細書において、「類似」とは、たとえば、置換基としてアルキル基が含まれている場合に、アルキル基中の炭素の数が異なる場合等をいう。
無機物標準試料を構成する無機物の構造(組成、結晶構造等)は、有機物標準試料と同様に、試料を構成する無機物の構造と同じあるいは類似していることが好ましいが、無機物は、構造が異なっていても、有機物ほどスパッタレートは変化しないので、無機物標準試料を構成する無機物と、試料を構成する無機物と、は異なっていてもよい。本実施形態では、スパッタレートを測定するために通常用いられる標準試料を用いる。具体的には、Si基板上に成膜されたSiO薄膜、または、Ta基板上に成膜されたTa薄膜からなる標準試料が無機物標準試料として例示される。
上記の標準試料の寸法は、スパッタレートを算出するために用いられる装置に設置可能な大きさであれば、特に制限されない。
(1−3 スパッタレート比算出工程)
まず、上記の有機物標準試料および無機物標準試料について、クラスターイオンビームを用いた場合のスパッタレートを算出し、算出されたスパッタレートからスパッタレート比を算出する。無機物標準試料については、厚みが既知の標準試料をスパッタリングにより貫通する時間を測定する方法によりスパッタレートを算出してもよい。本実施形態では、少なくとも有機物標準試料については、スパッタレートを正確に算出するために、以下の工程を行うことが好ましい。
(1−3−1 遮蔽領域形成工程S10)
まず、標準試料を、図2(a)に示す試料ホルダーに設置し、試料ホルダー2に保持されている標準試料1の表面に、クラスターイオンビームが照射されスパッタされるスパッタ領域と、クラスターイオンビームが照射されずスパッタされない遮蔽領域と、を形成する。
遮蔽領域を形成する方法としては、特に制限されず、公知の方法により形成すればよい。本実施形態では、標準試料の表面をマスクすることにより、遮蔽領域を形成する。具体的には、図2(b)に示す所定の範囲が除去された(孔が形成された)膜状の物質で標準試料の表面を覆うことにより、スパッタ領域および遮蔽領域を形成する(図2(c)を参照)。膜状の物質としては、表面汚染が少ない物質であれば特に制限されないが、本実施形態では、入手の容易さ、孔の形成しやすさ等の観点から、アルミ箔が好ましい。
(1−3−2 スパッタリング工程S20)
続いて、スパッタ領域11と遮蔽領域12とが形成された標準試料1を備えた試料ホルダー2を、スパッタリング装置内に導入してスパッタリングを行う。
図2(c)に示すように、中央に孔4が形成されたアルミ箔3により標準試料1の表面が覆われているため、当該標準試料の表面はスパッタ領域11および遮蔽領域12から構成される。スパッタリング工程S20では、この標準試料にZ軸方向からクラスターイオンビームが照射され、当該標準試料がスパッタリングされることになるが、本実施形態では、図2(c)および(d)に示すように、XY平面においてスパッタ領域11と遮蔽領域12との境界13の少なくとも一部が、スパッタリングに用いるクラスターイオンビームを走査する範囲20(以下、ラスター範囲20ともいう)に含まれている。なお、図2(c)および(d)では、斜線部分がラスター範囲20を示し、当該境界13の全部がラスター範囲20に含まれている場合を示している。
このようにすることにより、後述するスパッタリング深さ測定工程では、スパッタ領域11がスパッタリングされて形成される凹部のスパッタリング深さを精度よく算出することができる。また、スパッタ領域11の最大径(Ds)は、ラスター範囲20の最大径(Dr)の半分以下であることが好ましい。このようにすることにより、スパッタリング深さの測定誤差を小さくすることができる。
スパッタリング装置は、他の分析装置(たとえば、X線光電子分光装置)に付属の装置であってもよいし、単独の装置であってもよい。
本実施形態では、スパッタリングに用いるイオンビームとしては、クラスターイオンビームを用いている。これは、無機物から構成される試料に付着している有機物を選択的に除去するという目的を達成するために、無機物標準試料に対するスパッタレートが小さく、かつ有機物標準試料に対するスパッタレートが大きいイオンビームが、クラスターイオンビームであることを本発明者が初めて見い出したからである。すなわち、無機物に関しては構成元素の結合状態が保存され、ダメージ層が生じないような低ダメージでスパッタリング可能なイオンビームでありながら、有機物に関しては元素間の結合を切断し試料表面への付着を解消できる程度のエネルギーを与えることができるという条件を満足するイオンビームである。
上記の条件を満足するか否かは、無機物標準試料のスパッタレートに対する有機物標準試料のスパッタレート(以下、スパッタレート比ともいう)が所定の値以上であるか否かにより判断する。本実施形態では、スパッタレート比は5以上である。上限としては特に制限されないが、市販のXPS装置に付属するアルゴンガスクラスターイオン銃の加速電圧の設定値は、通常、最高で20kVであり、このときのスパッタレート比が200程度であるため、本実施形態では、スパッタレート比の上限は200とする。スパッタレート比が上記の範囲を満足すれば、有機物が無機物よりも非常に除去されやすいため、選択的スパッタリングが可能となる。なお、ここで言う「選択的スパッタリング」は、試料を構成する元素はスパッタリングによりほとんど除去されず、試料表面に付着している有機物がスパッタリングにより除去されることを意味する。したがって、この「選択的スパッタリング」は、試料を構成する元素について、スパッタリングにより除去されやすいものがスパッタリングされ、スパッタリングにより除去されにくいものが試料中に残存することを意味しているのではない。
このようなスパッタレート比はAr単原子イオンビーム等の単原子イオンビームでは実現できず、クラスターイオンビームのみが実現できる。単原子イオンビームを用いた場合、有機物のスパッタレートは非常に大きくなるが、無機物のスパッタレートもまた比較的に大きくなり、結果として、単原子イオンビームを用いた場合のスパッタレート比(有機物のスパッタレート/無機物のスパッタレート)は意外にも低く、たとえば、2以下になる。このことは本発明者が初めて見い出した知見である。
スパッタレート比が低い場合には、有機物を除去する際に無機物もダメージを受けてしまうので、有機物のみを除去する選択的スパッタリングを行うことができない。
これに対し、クラスターイオンビームは、無機物のスパッタレートが非常に低いままで、有機物のスパッタレートは高くなるため、スパッタレート比を5以上とすることができる。特に、加速電圧を高くすると、無機物のスパッタレートはそれほど大きくならないにもかかわらず、有機物のスパッタレートは急激に大きくなる。その結果、スパッタレート比も急激に大きくなり、選択的スパッタリングにはより有利となる。
本発明が規定するスパッタレート比の範囲を、単原子イオンビームでは実現できず、クラスターイオンビームのみが実現できる理由は不明であるが、本発明者は以下のように推測している。すなわち、単原子イオンビームを構成する各イオンが持つエネルギーは大きいため、有機物、無機物のどちらであっても、それらの内部にイオンが入射することにより、構成原子同士の衝突が連続的に生じて、最終的に表面に存在する原子が表面から放出される(スパッタリングされる)。そのため、このような原子同士の衝突が連続的に生じる場合には、有機物であっても無機物であっても、スパッタレートはそれほど変わらないと考えられる。
一方、クラスターイオンビームでは、クラスターが有機物あるいは無機物の表面に衝突した際に、表面に存在する元素間の結合を切断していると考えられる。また、クラスターイオンビームを構成する各イオンが持つエネルギーは、単原子イオンビームを構成する各イオンが持つエネルギーよりも非常に小さい。したがって、クラスターイオンビームによるスパッタリングでは、切断に要するエネルギーが比較的小さい有機物の構成元素間の結合は切断されやすいのに対し、無機物の構成元素間の結合は切断されにくいと考えられる。その結果、有機物のスパッタレートは大きくなるにもかかわらず無機物のスパッタレートは小さく維持できると考えられる。
クラスターイオンビームとしては、アルゴンガスクラスターイオンビーム(Ar−GCIB)、C60クラスターイオンビーム等が例示されるが、本実施形態ではAr−GCIBを用いる。C60クラスターイオンビームは、炭素原子のクラスターイオンビームであるため、スパッタリング時にC60の一部が試料に残存することがあり、このフラーレン由来の有機物が試料の組成比等に影響を与える可能性があるためである。
また、スパッタレートは、主に、クラスターイオンビームの加速電圧、スパッタリング時間等に依存する。たとえば、加速電圧が高いほど、有機物標準試料のスパッタレートが急激に大きくなる傾向にある。スパッタリング時間が長いほど、スパッタレートが大きくなる傾向にあるが、加速電圧の条件によっては、スパッタリング時間が長くしてもスパッタレートが飽和することもある。
したがって、スパッタレート比を5以上とするには、加速電圧とスパッタリング時間とを制御して、無機物標準試料のスパッタレートを小さく維持することが好ましい。また、スパッタレート比は、上述したように5以上であれば、スパッタリングにより試料表面に付着した有機物を選択的に除去できるが、付着している有機物の種類、量、結合種等に応じて、スパッタレート比を適宜制御することが好ましい。本実施形態では、スパッタレート比を制御するために、加速電圧は2.5〜20kVの範囲内、スパッタリング時間は6秒〜30分の範囲内とすることが好ましい。たとえば、有機物の除去に要する時間を短時間とする場合には加速電圧を高くすることが好ましく、試料へのダメージが少ないことを優先する場合には加速電圧を低くすればよい。
スパッタリング工程S20では、スパッタリング装置のイオン銃から放出されるAr−GCIBをZ軸方向に加速し、標準試料の表面にAr−GCIBを衝突させて標準試料の表面を構成する原子をはじき飛ばすことにより、当該標準試料がスパッタリングされる。なお、本実施形態では、図2(c)および(d)に示すように、XY平面においてイオンビームを走査する範囲20(ラスター範囲20)内にも遮蔽領域12が含まれるため、標準試料1が実際にスパッタリングされる範囲はラスター範囲20に一致せず、スパッタ領域11のみがスパッタリングされる。
なお、スパッタレート比を算出する際のスパッタリング条件およびスパッタリング時間は、有機物標準試料と無機物標準試料とに対して同じ条件とする。
スパッタリング終了後、標準試料を取り出し、アルミ箔を除去する。アルミ箔が除去された標準試料1においては、スパッタ領域のみがスパッタリングにより削られており、図3(a)に示すように、スパッタ領域はクレーター状の凹部14を形成している。
(1−3−3 スパッタリング深さ測定工程S30)
スパッタリング深さ測定工程S30では、凹部14の表面の高さと、スパッタリングされていない領域(遮蔽領域12)の高さと、の差(Z軸方向における距離)を測定し、これをスパッタリング深さとする。すなわち、従来のように、厚みが既知の標準試料を貫通させるのに要するスパッタリング時間からスパッタレートを算出するのではなく、実際にスパッタリング深さを測定してスパッタレートを算出する。
スパッタリング後の標準試料1の凹部14近傍の断面模式図である図3(b)において、凹部14と、スパッタリングされていない領域12(12a)と、の境界13aは、遮蔽領域12とスパッタ領域11との境界13にほぼ一致する。また、図3(b)から明らかなように、スパッタリングにより形成された凹部14と、境界13a近傍のスパッタリングされていない遮蔽領域12aと、は極めて明確に区別することができる。すなわち、凹部14と遮蔽領域12との段差が際立つ。これは、遮蔽領域12とスパッタ領域11との境界13の少なくとも一部がラスター範囲20に含まれるようにした結果、実際にスパッタリングされた領域(凹部14)の近傍に、ラスター範囲20内であったにもかかわらずスパッタリングされていない遮蔽領域12aが存在するからである。
これに対し、遮蔽領域が形成されていない場合には、図3(c)に示すように、スパッタリングが予定されている領域(ラスター範囲20に含まれる領域)だけでなく、当該領域の周辺部であってラスター範囲20に含まれていない領域15もスパッタリングされてしまうことがある。有機物はスパッタリングされやすいため、スパッタリングが予定されていない領域、すなわち、ラスター範囲20外の領域もスパッタリングの影響により、その一部がスパッタリングされてしまうことがある。
その結果、実際にスパッタリングされた領域と、実際にスパッタリングされなかった領域と、の境界13bは緩やかに傾斜し、これらの領域の区別が曖昧となってしまう。スパッタリング深さを正確に測定するには、スパッタリング深さを測定するための基準点を、スパッタリングされていない領域、すなわち、標準試料の表面に設定する必要があるが、図3(c)では、これが困難となってしまう。そうすると、スパッタリング深さを測定したとしても、測定誤差が大きくなってしまい、その結果、正確なスパッタレートを算出することができない。
しかも、標準試料は有機物で構成した場合、剛性が低いため、スパッタリング時に目視できない程度の試料のたるみ等が生じている場合がある。このような標準試料のたるみの影響により、スパッタリングされた領域と、スパッタリングされなかった領域と、をますます区別しにくくなってしまう。場合によっては、スパッタリングにより形成される凹部がどこに形成されたのかが分からなくなってしまう。さらに、ラスター範囲は通常、数百μmから数mmのオーダーであるため、標準試料の表面粗さ、表面うねり等もスパッタリング深さの測定誤差に影響を与える。
したがって、図3(b)に示すように、凹部14と遮蔽領域12との段差を際立たせることにより、スパッタリング深さを測定するための基準点を、標準試料の表面に確実に設定することができる。そして、凹部14の表面の高さと、遮蔽領域12の表面の高さと、の差から、スパッタリング深さ30を正確に測定することができる。
スパッタリング深さを測定する方法としては特に制限されず、公知の測定機器により測定すればよい。本実施形態では、スパッタリング深さは1μm以下であるため、nmレベルの分解能を有する機器により測定することが好ましい。具体的には、白色干渉計、触針式段差計、原子間力顕微鏡等が例示される。
スパッタリング深さを測定する際には、標準試料の表面(遮蔽領域12)の高さと、凹部14の周縁部の表面の高さと、の差を測定することが好ましい。このようにすることにより、試料全体が傾斜している場合であっても、スパッタリング深さの測定誤差を小さくすることができる。
また、スパッタリング深さ測定工程S30では、上述したように、形成された凹部14と遮蔽領域12aとの段差からスパッタリング深さを正確に測定することができる。
(1−3−4 スパッタレート比算出工程S40)
スパッタレート比算出工程S40では、まず、上記で測定されたスパッタリング深さを、スパッタリング時間で除す、あるいは、標準試料の厚みを、標準試料を貫通させるのに要した時間で除すことにより、有機物標準試料および無機物標準試料の各スパッタレートを算出する。なお、上記の工程を経て得られるスパッタレートは、正確に測定されたスパッタリング深さを用いて算出されているため、精度が高い。
得られた有機物標準試料および無機物標準試料のスパッタレートから、スパッタレート比(有機物標準試料のスパッタレート/無機物標準試料のスパッタレート)を算出する。算出されたスパッタレート比が5未満である場合には、適宜スパッタリング条件を変更して、5以上のスパッタレート比が算出されるまでS10〜S40を繰り返せばよい。
具体的なスパッタレート比として、加速電圧を5kVおよび20kVとしたアルゴンガスクラスターイオン銃を用いた場合の有機物標準試料および無機物標準試料のスパッタレートと、これらのスパッタレートから算出されるスパッタレート比を表1に示す。また、参考のため、加速電圧を0.5kVおよび2kVとしたアルゴン単原子イオン銃を用いた場合の各スパッタレートおよびスパッタレート比も表1に示す。なお、アルゴンガスクラスターイオン銃およびアルゴン単原子イオン銃のどちらについても、有機物標準試料としてポリエチレンテレフタレート(PET)から構成される標準試料を用い、無機物標準試料としてSi基板上にSiOの薄膜が形成された標準試料を用いている。
表1より、アルゴンガスクラスターイオン銃を用いる場合には、無機物標準試料のスパッタレートが低く、有機物標準試料のスパッタレートのみが高いことが分かる。その結果、スパッタレート比が5以上となり、選択的スパッタリングが可能であることが分かる。特に、加速電圧を高くすることで、スパッタレート比が急激に高くなることも分かる。
一方、アルゴン単原子イオン銃を用いる場合には、加速電圧を低くしても高くしても、有機物標準試料のスパッタレートが大きくなるだけでなく、無機物標準試料のスパッタレートもそれに伴い比較的に大きくなっている。その結果、スパッタレート比が低くなり、本発明の範囲を満足しないことが分かる。すなわち、アルゴン単原子イオン銃を用いる場合には、選択的スパッタリングが実現できず、試料にダメージを与えることなく試料表面に付着した有機物を除去することは困難であることが分かる。
(1−4 有機物除去工程S50)
有機物除去工程S50では、上記の工程で算出したスパッタレート比(5以上)に基づき設定したスパッタリング条件により、分析対象の試料の前処理(有機物の除去)を行う。本実施形態では、後述するXPS分析を行うためのX線光電子分光装置に付属のアルゴンガスクラスターイオン銃を用いて、試料の表面のスパッタリングを行い、有機物のみを除去する(選択的スパッタリング)。このスパッタリングにより試料の表面に付着している有機物は除去されるものの、試料表面はほとんどスパッタリングされず、ダメージを受けない。したがって、スパッタリング前後で、試料の極表面近傍の元素の化学結合状態はほとんど変化しない。
(2.試料の分析方法)
続いて、上記の試料の前処理により試料表面に付着していた有機物が除去された試料について分析を行う。分析方法としては特に制限されないが、特に、試料の表面を分析する方法であることが好ましい。具体的には、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)、オージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy:AES)、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)等が例示される。本実施形態では、金属酸化物から構成される薄膜状の試料に対し、XPSによる表面分析を行う。
XPS分析では、試料にX線を照射し、光電効果により試料から放出された光電子のエネルギースペクトルを測定する。そして、光電子のエネルギースペクトルを解析することにより、試料を構成する元素の束縛エネルギーが求められる。この束縛エネルギーは、元素およびその結合状態に固有な値を示すため、光電子のエネルギースペクトル中の束縛エネルギーのピーク位置を解析することにより、試料を構成する元素の同定が可能となる。さらに、得られた各ピークを数学的に分割し、ピーク面積を算出することにより、構成元素の存在比を算出することができ、試料の半定量的な組成分析を行うことができる。このとき、上述した前処理により、試料の表面が清浄に保たれた状態で分析を行うことができるので、試料本来の情報のみが反映された分析結果が得られる。したがって、たとえば、試料を構成する金属酸化物中の酸素/金属比を正確に評価することができる。
(3.本実施形態の効果)
分析に供される試料の表面には通常有機物が付着している。このような有機物は、XPS等の表面分析に影響を及ぼす。たとえば、有機物由来の酸素が、試料の分析結果の酸素量に含まれてしまい、試料本来の組成比が得られない場合がある。
そこで、本実施形態では、試料の表面に付着している有機物のみを除去して試料にはダメージを与えないようにするために、クラスターイオンビームを用いてスパッタリングを行っている。クラスターイオンビームを用いた場合、無機物のスパッタレートを小さく維持することで試料にダメージを与えないようにしつつ、有機物のスパッタレートは大きくすることにより、試料表面に付着した有機物のみを除去することができる。換言すれば、無機物から構成される試料表面に付着した有機物を選択的にスパッタリングすることができる。その結果、このような前処理(選択的スパッタリング)を行った後に試料の表面分析を行うと、化学結合状態、組成比等の情報が、試料本来の情報として得られる。
これは、クラスターイオンビームのみが、スパッタレート比を本発明の範囲内とすることができ、単原子イオンビームを用いた場合には、スパッタレート比を本発明の範囲内とすることはできないという知見を本発明者が初めて見い出したからこそ得られる効果である。
また、有機物はスパッタリングにより構成元素が除去されやすいため、スパッタレートを正確に算出することは難しい。そこで、本実施形態では、スパッタレートを算出する際に、標準試料に遮蔽領域とスパッタ領域とを設けてスパッタリングすることにより、スパッタリング深さを精度よく算出することができ、ひいてはスパッタレートを精度よく算出することができる。
(4.変形例)
上記の実施形態では、試料の極表面のみを分析しているが、スパッタリングを利用して深さ方向分析を行ってもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実施例1)
酸化インジウム系の酸化物透明導電薄膜試料を、X線光電子分光装置(アルバック・ファイ(株)製 Versa ProbeII)付属の試料ホルダーに両面テープを用いて固定した。そして、試料上の測定位置を決定して、試料の前処理前後での試料の表面近傍において、C1s、O1sおよびIn3d5/2の各スペクトルを得るためにXPS分析を行った。スペクトル取得条件は、X線条件:100μm 25W、測定領域:100μmφ、Tilt Angle:45°、測定室真空度:7.0×10−7Pa、PassEnergy:23.5eVとした。結果を図4〜6および表2に示す。
なお、試料の前処理(有機物の除去)は、装置に付属のアルゴンガスクラスターイオン銃を用いて、以下に示す条件により行った。スパッタリング条件は、Emission:20mA、Ionization:150V、Beam:5kV、Extractor:2.8kV、Focus:86.8%、Objective:50.55%、Magnet:25A、Bend:−100V、Wien Deflection:10.4V、Target Pressure:650kPa、ラスター範囲:2mm×2mm、スパッタリング時間:10分間とした。
このスパッタリング条件は、表1において、加速電圧が5kVであるアルゴンガスクラスターイオン銃と同じ条件であるため、表1より、有機物(PET)のスパッタ深さ(スパッタレート×スパッタリング時間)は約3.6nm、無機物(SiO)のスパッタ深さは約0.3μmと想定される。
図4より、スパッタリング前後でC1sスペクトルのピークがほぼ消失したことが確認できた。すなわち、前処理(スパッタリング)により、試料の表面に付着していた有機物が除去されたと考えられる。また、図5より、スパッタリング前後で、Inに由来するO1sのピーク強度が大きくなり、かつスパッタリング前にO1sピークの左肩に存在していた炭素と酸素との結合(C−O、C=O)に由来する有機物のピークがなくなったことが確認できた。
さらに、図6より、スパッタリング前後でIn3d5/2ピークの強度が大きくなったことが確認できた。また、スペクトルの形状には変化はなく、インジウムの還元等が生じず、試料にダメージが生じていないことが確認できた。
表2より、前処理前には、炭素が検出されており、試料の表面に有機物が付着していることが確認できた。また、前処理後には、前処理前には検出されていた炭素が検出されなくなる一方、酸素およびインジウムの濃度が高くなることが確認できた。これは、図4および5と同様に、前処理により試料表面に付着していた有機物がスパッタリングにより除去されたことを示している。また、前処理前と前処理後とでは、酸素とインジウムとの比が60.6:39.4から58.0:42.0に変化しており、前処理前の酸素とインジウムとの比には、有機物由来の酸素が加味されていたと考えられる。すなわち、試料の前処理を行って有機物を除去することにより、試料である酸化インジウムの組成比(酸素/金属比)として、試料本来の情報が得られることが確認できた。
1…標準試料
11…スパッタ領域
12、12a…遮蔽領域
13、13a…境界
14…凹部
3…アルミ箔
4…孔
20…イオンビームを走査する範囲(ラスター範囲)

Claims (5)

  1. スパッタリングを利用して、無機物から構成される薄膜状の試料を前処理する方法であって、
    無機物から構成される無機物標準試料のスパッタレートに対する有機物から構成される有機物標準試料のスパッタレートをスパッタレート比とした場合、前記スパッタレート比が5以上となるスパッタリング条件で前記薄膜状の試料にアルゴンガスクラスターイオンビームを照射して前記薄膜状の試料に付着した有機物を選択的に除去することを特徴とする薄膜状の試料の前処理方法。
  2. 前記スパッタレート比が200以下であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜状の試料の前処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の薄膜状の試料の前処理方法により前処理を行った薄膜状の試料を分析することを特徴とする薄膜状の試料の分析方法。
  4. X線光電子分光法を用いて、前記前処理を行った薄膜状の試料を分析することを特徴とする請求項3に記載の薄膜状の試料の分析方法。
  5. 前記薄膜状の試料が金属酸化物を含んでおり、前記金属酸化物における酸素と金属との存在比を分析することを特徴とする請求項3または4に記載の薄膜状の試料の分析方法。
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