JP6330645B2 - フェライトコア、電子部品、および、電源装置 - Google Patents

フェライトコア、電子部品、および、電源装置 Download PDF

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Description

本発明は、100℃近傍の飽和磁束密度が高く、強度が向上した、Mn−Zn系フェライトを用いた、電源用トランス向けフェライトコアに関するものである。
車載向け電源用トランスのコア(磁心)の材料として、フェライトの焼結体が使用されている。フェライトの焼結体は、フェライトコアと呼ばれ、Mn及びZnを含有するMn−Zn系フェライトが使用されている。近年の電源の小型化に伴い、フェライトコアの小型化及び低背化に向け、高い飽和磁束密度が求められている。さらに、フェライトコアは電源への実装時、輸送時または使用時に割れや欠けが発生しやすく、フェライトコアの強度を高めることが求められている。
コアの強度を高める方法として、例えば特許文献1では、Fe:52.0〜54.0mol%、ZnO:10.0〜15.0mol%、MnO:残部である主成分を含むMn−Znフェライトに、副成分として、Bi:50〜200ppmを含有することにより、磁気損失を変化させることなく、フェライトコアの強度を高める技術が記載されている。
また、例えば特許文献2では、MnO:35.0〜40.0mol%、ZnO:5.0〜10.0mol%Fe:残部である主成分を含むMn−Znフェライトに、副成分として、V:1000ppm以下を含有させ、1200〜1250℃で焼結することで、フェライトコアの強度を高める技術が記載されている。
特開2001−233667 特開平6−36920
特許文献1及び特許文献2より、フェライトコアの強度を、副成分を含有させることで、高めることが可能である。しかし、フェライトコアが破損してしまうことがあり、強度が破損に対し、十分でないことから、フェライトコアの更なる強度を高めることが求められている。
そこで本発明の目的は、従来技術が抱えている上述した課題を解決出来る、フェライトコアを提供することにある。特に、車載向け電源用であることから、100℃近傍における飽和磁束密度が高く、強度が高いフェライトコアを提供することにある。
かかる目的のもと、本発明者等はMn−Znフェライトに主成分として含まれる、Fe、ZnO、MnO及び副成分として含まれるSiO、CaCO等の含有量、さらに、粒界及び粒界近傍のSi、Caの含有量の比に注目し、その特性について鋭意研究を行った。その結果、100℃近傍において、飽和磁束密度が高く、強度が高いフェライトコアを実現出来ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係わるフェライトコアは、Fe:51.0〜56.0mol%、ZnO:5.0〜14.0mol%、MnO:残部である主成分を含むMn−Znフェライトであって、この主成分に対し、副成分として、SiO:50〜300ppm、CaCO:200〜3000ppmを含むMn−Znフェライトであって、前記Mn−Znフェライトはスピネル構造を有す多結晶体であり、粒界中のCaの濃度が最大である点AのCa及びSiの組成の比率X(at%)と、点Aから5nmだけ粒子の内部方向に進んだ点BのCa及びSiの組成の比率Y(at%)が、以下の式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。但し、比率X及びYは、式(3)で表される。
0.5≦X≦1.0 ・・・(1)
X+0.05≦Y≦X+0.50 ・・・(2)
X,Y=Ca濃度(at%)/Si濃度(at%)・・・(3)
また本発明のフェライトコアにおいて、副成分として、主成分に対して、Nb:50〜750ppm、CoO:200〜4000ppm、TiO:100〜6000ppmの内、少なくとも1種類以上含むことを特徴とすることが好ましい。
本発明の電子部品は、上記フェライトコアを用いて構成される。
本発明の電源装置は、上記電子部品を備えることを特徴とする。
本発明によれば、100℃近傍における飽和磁束密度が高く、強度が高いフェライトコアを得られるため、大電流に対応することが出来、機械的破損による品質低下を低減した電子部品および電源の提供が可能となる。
本発明の実施形態に係るフェライトコアの断面の一部を拡大した模式図である。 (a)本発明の実施形態に係るE字型のフェライトコアを示す斜視図である。(b)本発明の実施形態に係るトランスの一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る、スイッチング電源装置の構成を示すブロック図である。 スイッチング電源装置300を備えた自動車の主要部分を概略的に示すブロック図である。 (a)はフェライトコアの断面写真であり、(b)TEM観察像及び組成分析箇所である。 本発明の実施形態に係る、焼成パターンを示す図である。
はじめに、本発明におけるMn−Znフェライトを構成する主成分及び副成分の組成範囲の限定理由について説明する。本発明のフェライトコアは、後述する組成範囲に適宜選択することで、100℃近傍において高い飽和磁束密度と高い強度を実現することが出来る。
本発明のフェライトコアは、主成分としてFeを51.0〜56.0mol%含む。Feが51.0mol%未満の場合、100℃以上の高い温度領域における、飽和磁束密度が小さくなってしまう。一方、Feが56.0mol%を超える場合、100℃以上における磁気損失が増加してしまう。即ち、主成分が前記の範囲の場合、電源用トランスの磁心として不適になる。従って、主成分としてのFeを51.0〜56.0mol%とする。好ましい量は52.0〜55.0mol%である。
本発明のフェライトコアは、主成分としてZnOを5.0〜14.0mol%含む。ZnOが5.0mol%未満の場合、100℃以上の高い温度領域における、飽和磁束密度が小さくなってしまう。一方、ZnOが14.0mol%を超える場合、100℃以上における磁気損失が増加してしまう。即ち、主成分が前記の範囲の場合、電源用トランスの磁心として不適になる。従って、主成分としてのZnOを5.0〜14.0mol%とする。好ましい量は8.0〜12.0mol%である。
本発明のフェライトコアは、副成分としてSiOを50〜300ppm、CaCOを200〜3000ppm含む。SiOが50ppm未満、またはCaCOが200ppm未満の場合、電気抵抗が高い粒界を十分に形成することが出来ず、磁気損失が増加してしまうので、電源用トランスの磁心として不適になる。一方、SiOが300ppmを超える、またはCaCOが3000ppmを超える場合、焼結時に異常粒成長が促進されてしまい、磁気損失が増加するため、やはり、電源用トランスの磁心として不適になる。従って、主成分の重量に対する比率で、副成分として、SiOを50〜300ppm、CaCOを200〜3000ppmとする。好ましい量は、SiOを50〜150ppm、CaCOを500〜2000ppmである。
本発明のフェライトコアは、副成分としてTiOを100〜6000ppm含む。Tiは、4価のTiイオンとして、スピネル格子中のFeと置換して、磁気損失を低減できる。その効果を得るためには、主成分の重量に対する比率で、副成分として、TiOを100ppm以上添加する。但し、TiOの添加量が多すぎると、磁気損失が増加する傾向を示す。従って、主成分の重量に対する比率で、副成分として、TiOを100〜6000ppm含んでいることが好ましい。さらにより好ましい量は1000〜3000ppmである。
本発明のフェライトコアは、副成分としてCoOを200〜4000ppm含む。Coは、磁気損失を低減することに有効である。その効果を得るためには、主成分の重量に対する比率で、副成分として、CoOを200ppm以上添加する。但し、CoOの添加量が多すぎると、磁気損失が増加する傾向を示す。従って、主成分の重量に対する比率で、副成分として、CoOを200〜4000ppm含んでいることが好ましい。さらにより好ましい量は500〜3000ppmである。
本発明のフェライトコアは、副成分としてNbを50〜750ppm含む。Nbは、粒界に偏析し易い傾向を持つため、粒界の形成を促進し、粒界における電気抵抗を高めることに有効である。その効果を得るためには、主成分の重量に対する比率で、副成分として、Nbを50ppm以上添加する。但し、Nbの添加量が多すぎると、焼結時に異常粒成長が促進されてしまい、磁気損失が増加してしまう。従って、主成分の重量に対する比率で、副成分として、Nbを50〜750ppm含んでいることが好ましい。さらにより好ましい量は100〜300ppmである。
Ti、Co、Nbは、同時に添加することで、その効果はさらに高まる。結晶がスピネル構造をとるMn−Zn系フェライトにおいて、Coは、イオンの周囲に酸素が正八面体の頂点の位置に存在し、6配位しているBサイトに固溶することで、磁気損失を低減する効果が得られる。しかし、Coを単体で添加すると、BサイトだけではなくAサイトにも固溶してしまい、添加量に対して十分な効果が得られない。そこで、Tiを同時に添加することで、CoがBサイトに固溶しやすくなり、Co単体で添加するよりも、大きい磁気損失を低減する効果を得ることが出来ると考えられる。また、Nbは、粒界形成に寄与し、Co、Tiの添加と独立した効果があるため、同時に添加することで、Co及びTiの効果と同時に、100℃以上における磁気損失抑制の効果を得られる。
図1はフェライトコアの断面の一部を拡大した模式図である。Mn−Znフェライト100は、粒子1及び粒子間に存在する粒界2から形成される。図1中に示すように、任意の2つの粒子間に存在する粒界の法線方向にSi及びCaの組成分析を行い、粒界中においてCaの濃度が最大となる点を点Aとし、点Aから粒界の法線方向に5nm離れた点を点Bとする。点A及び点BにおけるSi及びCaの組成比(Ca/Si比)が式(2)を満たす場合にMn−Znフェライトの強度が高くなることを、本発明者らは見出した。
但し、点A及び点Bを定める際に用いる粒界において、3粒子以上が共有する粒界は除く。これは、3粒子以上が共有する粒界は、2粒子間における粒界と異なる組成になるためである。また、3粒子以上が共有する粒界の法線方向は複数存在し、法線方向を一意に定められないためである。
本発明のフェライトコアに含まれるMn−Znフェライトの粒子は、上述した式(2)を満たすことで、粒界から粒子の内部方向に、CaがSiに比べ緩やかに減衰する組成分布を有するため、結晶格子に加わる応力が緩やかに減衰する。即ち、粒子の内部の結晶格子に加わる応力が緩和されるため、粒子の内部の結晶はエネルギー的に安定に存在し、結晶全体として強度が高まると考えられる。
本発明におけるフェライトコアにとって、好適な製造方法を説明する。主成分の原料として、酸化物又は加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的には、Fe粉末、Mn粉末及びZnO粉末等を用いることが出来る。各原料の粉末の平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲で適宜選択すれば良い。主成分の原料の粉末を湿式混合した後、800〜1100℃の範囲において所定の温度で仮焼きを行う。仮焼きにおいて、所定の温度における安定時間は、0.5〜5.0時間の範囲で適宜選択すれば良い。仮焼き後、仮焼きした材を例えば、平均粒径が0.5〜3.0μmになるまで粉砕を行う。なお、本発明では上述した主成分の原料に限らず、2種類以上の金属を含む複合酸化物の粉末を、主成分の原料としても良い。例えば、塩化鉄及び塩化マンガンを含む水溶液を酸化焙焼することにより、Fe及びMnを含む複合酸化物の粉末が得られる。得られた粉末にZnOの粉末を混合したものを主成分の原料としても良い。この場合においては、仮焼きは不要である。
副成分の原料として、酸化物又は加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的には、SiO粉末、CaCO粉末、Nb粉末、TiO粉末、Co粉末等を用いることが出来る。仮焼き後、副成分の添加を行う。副成分の添加においては、仮焼き材に副成分の原料を添加した後に、上記の粉砕を行っても良いし、仮焼き材を粉砕した後に、副成分の原料を添加及び混合しても良い。但し、副成分の内、TiO及びCoOについては、主成分の原料とともに、仮焼きに供することも出来る。
主成分及び副成分から成る混合粉末は、成型を行うため、顆粒に造粒される。造粒は、例えば、スプレードライヤを用いて行うことが出来る。混合粉末には、適当な結合として、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を少量添加し、これをスプレードライヤで噴霧し、乾燥する。得られる顆粒の粒径は80〜300μmの範囲にあることが好ましい。
得られた顆粒は、例えば、所定の形状の金型を有するプレスを用いて、所望の形状に成型され、成型体は焼成工程に供される。焼成工程では、焼成温度及び焼成雰囲気を制御する必要がある。焼成温度は1250℃〜1500℃の範囲から適宜選択することが出来る。本発明のフェライトコアの効果を十分引き出すには、1300〜1400℃の範囲で焼成することが好ましい。焼成雰囲気は、窒素と酸素を混合した雰囲気において、酸素の分圧を適宜調整すれば良い。
焼成工程における焼成温度から950℃まで冷却し、950℃において2時間の保持を行う。950℃の一定温度で保持することで、添加元素であるSi、Ca、Nb等を含む非晶質粒界の形成を促進する。次に、再度1200℃まで昇温させ、1200℃において10〜30分の保持を行う。その後、室温まで冷却する。1200℃の一定温度で保持することで、非晶質粒界に偏析したCaを、粒子の内部へ適度な固溶した状態を実現出来る。1200℃での保持時間が短いとCaの粒子の内部への固溶が不十分となり、強度が高まる効果が得られない。一方、1200℃での保持時間が長いと、Caが粒子の内部へ固溶しすぎるため、粒界の形成が不十分となり、磁気損失の増加及び強度の低下を招いてしまう。
フェライトコアの一般的な焼成工程では、冷却時に再昇温は行わないが、再昇温を行うことで、Caの粒子の内部への固溶が促進され、強度を高める効果を得ることが出来る。
焼成することで得られたフェライトコアは、相対密度で93%以上、さらに好ましくは95%以上を得ることが出来る。
本発明により得られたフェライトコアは、トランスに用いることが可能であり、本発明により得られたトランスは、スイッチング電源装置に用いることが可能である。
図2(a)は、本実施形態に係るE字型のフェライトコアを示す斜視図である。図2に示すように、E字型のフェライトコア200は、E型コア等と呼ばれ、トランス等に使用される。フェライトコア200のようなE型コアが採用されたトランスとしては、図2(b)に示すようにトランスの内部に、2つのE型コアが対向配置されたものが知られている。トランスのコアとして、本発明によるフェライトコアを用いれば、フェライトコア200が破損する可能性が低下することから、トランスの信頼性を高めることが可能となる。
図3は、スイッチング電源装置の構成を示すブロック図である。スイッチング電源装置300は、直流入力電圧Vinを直流出力電圧Voutに変換するための装置(DC/DCコンバーター)であり、直流出力電圧Vinに含まれるノイズ成分を除去する入力フィルタ301、入力フィルタ301の出力を交流に変換するスイッチング回路302、スイッチング回路302の出力を変圧するトランス303、トランス303の出力を直流に変換する整流回路304及び整流回路304の出力を平滑化する平滑回路305を備えている。このような構成を有するスイッチング電源装置300に含まれる、トランス303のコアとして本発明によるフェライトコアを用いれば、トランス303が破損する可能性が低下することから、スイッチング電源装置300の信頼性を高めることが可能となる。
図3に示したスイッチング電源装置300は、特に自動車用のスイッチング電源装置として利用することが好適である。
図4は、スイッチング電源装置300を備えた自動車の主要部分を概略的に示すブロック図である。
図4に示すように、スイッチング電源装置300を自動車用に用いた場合、スイッチング電源装置300は、高圧バッテリー310と電気機器320および低圧バッテリー330との間に設けられ、高圧バッテリー310より供給される約144Vや約288Vの高電圧を約14Vに降圧してこれを電気機器320に供給するとともに、低圧バッテリー330を充電する役割を果たす。電気機器320としては、自動車に備えられるエアコンやオーディオ等が挙げられる。
高圧バッテリー310への充電は、発電装置340より供給される電力によって行われる。また、高圧バッテリー310の出力はモータ350にも供給され、モータ350は、高圧バッテリー310より供給される高電圧(約144Vや約288V)に基づいて駆動系360を駆動する。尚、燃料電池車においては燃料電池本体が発電装置340となり、ハイブリッド車においてはモータ350が発電装置340を兼ねることになる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
主成分の原料として、Fe粉末、Mn粉末およびZnO粉末、副成分の原料として、SiO粉末、CaCO粉末、Nb粉末、TiO粉末及びCo粉末を用いた。
本発明で実施したMn−Zn系フェライトの主成分及び副成分を、表1〜3に示した。
焼成後に得られるMn−Zn系フェライトの主成分及び副成分が、表1〜3に記載の組成となるように、各粉末を秤量し、粉末を湿式混合した後、大気中、900℃で3時間仮焼きした。
得られた混合物にバインダを加え、顆粒化した後、成型してトロイダル形状の成型体、I型形状の成型体及びE型形状の成型体を得た。得られた成型体を酸素分圧制御下において焼成した。焼成工程では、1300℃、酸素分圧1.0体積%において5時間温度を保持した後、950℃まで冷却し、950℃において2時間温度保持を行った。次に、再度1200℃まで昇温させ、1200℃において0〜40分間温度を保持した後、室温まで冷却した。
このようにして、トロイダル形状のフェライトコア(外径20mm、内径10mm、厚さ5mm)、I字型形状のフェライトコア(長さ70mm、幅8mm、厚さ8mm)およびE字型形状のフェライトコア(長さ40mm、高さ15mm、幅5mm)を得た。
次に本発明の測定方法について説明する。
強度は角型形状の焼結体を用いて、JISR1601に記載の方法に従い、試験治具3p−30および全長40mmのI字型形状のコアを用いて測定を行い、その値を曲げ強度σb3とした。
100℃における飽和磁束密度Bsはトロイダル形状のコアをメトロン技研製直流磁化特性試験装置(SK−110)により測定した。
Si及びCaの組成分析は、収束イオンビーム(FIB)加工装置及びエネルギー分散型X線分析装置(EDS:JED−2300T)を付設した透過型電子顕微鏡(TEM:JEM−2100F)を用いて行った。TEM観察では、平均結晶粒径以上の粒子を、FIB加工装置で薄片化したものを用いた。平均結晶粒径は光学顕微鏡を用いて、コア中心部の断面観察を行い、1mm×1mmの視野内にある全ての結晶のheywood径を測定し平均の値を算出した。図5に(a)フェライトコアの断面の光学顕微鏡の写真、(b)TEM観察像及び組成分析箇所を示した。組成分析は、2つの粒子間に存在する粒界の法線方向にSi及びCaの組成分析を線分析し、Ca濃度が最大となる点を点A、点Aから5nm粒内方向に進んだ点を点Bとし、各点におけるCa/Si比であるX及びYの値を得た。その際、電子線のスポットサイズは1nm以下とした。Si及びCaの組成分析の測定は、1試料につき、10回異なる位置において行い、10回のうち、点AにおけるCa濃度が最大のものと最小のものを除く、8回を平均した値をXおよびYとして用いた。
100℃におけるコア損失Pcvはトロイダル形状のフェライトコアを用いて、1次側5巻、2次側5巻の巻線を施し、100kHzの周波数で最大磁束密度200mTの条件下で、コア損失PcvをIWATSU製BHアナライザー(SY−8217)により測定した。
測定結果を表1〜3に示す。但し、表中において「−」はその材料を添加していないことを示し、「×」は実施していないことを表している。
Figure 0006330645

Figure 0006330645

Figure 0006330645
(表1)
図6に示すような焼成温度の調整を行い、フェライトコアを作製した。950℃で保持した後、1200℃への昇温を行わない焼成条件及び1200℃での保持時間が短い(比較例1,2)の場合、粒子の内部へのCaの固溶する量が少なく、強度が100MPa程度になる。一方で、1200℃での保持時間が長い(比較例3)の場合、粒界から粒子の内部へのCaの固溶が促進され、強度が低くなる。
(表2)
Feが51.0mol%未満、またはZnOが14.0mol%を超える場合、100℃以上の高い温度領域における、飽和磁束密度が小さくなってしまう。一方、Feが56.0mol%を超える、またはZnOが5.0mol%未満の場合、100℃以上における磁気損失が大きくなり、強度が低下してしまう。即ち、主成分が前記の範囲の場合、電源用トランスの磁心として不適になる。
(表2)
副成分として、SiOが50ppm未満、またはCaCOが200ppm未満の場合、粒界を十分に形成することが出来ず、強度が低下してしまうので、電源用トランスの磁心として不適になる。一方、SiOが300ppmを超える、またはCaCOが3000ppmを超える場合、焼結時にMn−Znフェライトの結晶成長が阻害されてしまい、強度が低下してしまい、やはり、電源用トランスの磁心として不適になる。
以上に対して、主成分として、Feを51.0〜56.0mol%、ZnOを5.0〜14.0mol%、MnOを残部含み、副成分として、SiOを50〜300ppm、CaCO3を200〜3000ppm含むMn−Znフェライトにおいて、Ca/Si比であるX及びYの値が0.5≦X≦1.0を満たし、X+0.05≦Y≦X+0.50を満たす場合に、強度を高める効果が発現することが確認出来た。
(表3)
副成分として、TiOまたはCoOを添加すると磁気損失を低減出来る。その効果を得るためには、TiOでは100ppm以上、CoOでは500ppm以上添加する。一方、TiOでは6000ppm、CoOでは4000ppmを超える場合、磁気損失が増加してしまう。
(表3)
副成分として、Nbを添加すると、Nbは粒界に偏析し易い傾向を持つため、粒界の形成を促進し、粒界における電気抵抗を高めることに有効である。その効果を得るためには、Nbを50ppm以上添加する。一方、Nbが750ppmを超える場合、焼結時に異常粒成長が促進されてしまい、磁気損失が増加してしまう。
(表3)
Ti、Co、Nbは、同時に添加することで、その効果はさらに高まり、100℃以上における磁気損失抑制の効果を得られる。
以上の実施例より、飽和磁束密度を維持しつつ、Mn−Znフェライトの強度を高めるためには、Ca/Si比であるX及びYが、適切な量になるよう調整することが有効である。また、Mn−ZnフェライトにSi及びCa以外の副成分としてNb、Co及びTiを添加することで、強度を高めることに加えて100℃以上における磁気損失の抑制に有効である。
以上のように、本発明に係わるフェライトコアは100℃近傍における飽和磁束密度が高く、高い強度を有するので、チョークコイル等の電子部品に好適に用いることが出来る。特に、スイッチング電源用のチョークコイルに好適である。
1 粒子
2 粒界
100 Mn−Znフェライトの断面
200 フェライトコア(磁心)
201 中脚部
202 コイル

Claims (4)

  1. 酸化鉄をFe換算で51.0〜56.0mol%、酸化亜鉛をZnO換算で5.0〜14.0mol%、残部が酸化マンガンMnOである主成分から成り、主成分の重量に対する比率で、副成分として、SiをSiO換算で50〜300ppm、CaをCaCO換算で200〜3000ppmを含むMn−Znフェライトであって、前記Mn−Zn系フェライトはスピネル構図を有す多結晶体であり、粒子間に存在する粒界中のCaの濃度が最大となる点AのCaとSiの組成比Xと、点Aから5nm粒子の内部方向に進んだ点BにおけるCaとSiの組成比Yが、0.5≦X≦1.0およびX+0.05≦Y≦X+0.50を満たすことを特徴とするMn−Znフェライトを用いたフェライトコア。
  2. 請求項1に記載のMn−Znフェライトに、さらに、主成分の重量に対する比率で、副成分として、NbをNb換算で50〜750ppm、CoをCoO換算で200〜4000ppm、TiをTiO換算で100〜6000ppmの内、少なくとも1種類以上含むことを特徴とするMn−Zn系フェライトを用いたフェライトコア。
  3. 請求項1および請求項2のいずれか1項に記載のフェライトコアを用いて構成される電子部品
  4. 請求項3に記載の電子部品を備えた電源装置。

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