JP2007112695A - Mnフェライトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】500kHz程度以上の高周波領域において、損失を抑えた高特性のMnフェライトを提供することを目的とする。
【解決手段】焼成後に、Mnフェライトの損失を低減するための熱処理を行うのが好ましく、その熱処理温度は200〜350℃、熱処理継続時間は0.3〜12hrとするのが好ましい。また、熱処理は、降温時に降温速度を抑えることでも同等の効果を狙うことができる。この場合、降温速度を45℃/hr以下とし、降温速度を45℃/hr以下に抑えてMnZnフェライトを徐冷するのが良い。
【選択図】図1

Description

本発明は、Mnフェライトの製造方法に関する。
近年電気機器の小型化の進展が著しい。それに伴い各種電気機器に搭載される電源においても更なる小型化が求められている。一般にトランスを正弦波で駆動する場合、磁束密度BはB=(E/4.44NAf)×10と表される。前記式においてEは印加電圧[V]、Nは1次側巻き線数、Aは磁心断面積[cm]、fは駆動周波数[Hz]である。前記式に明らかなように、トランスの小型化には駆動周波数の高周波化が有効であり、そのため近年においては500kHz以上といった高い周波数での使用に耐えうる高性能な磁心が求められている。
現在、電源トランス等で最も多く用いられている磁心の材料としては、軟磁性金属材料とMnZnフェライトがある。上記用途に用いられるこれらの材料には、キュリー温度が高いこと、保磁力が小さく透磁率が高いこと、飽和磁束密度が大きいこと、低損失であることなどの多くの特性が要求される。
MnZnフェライトは、軟磁性金属材料に比較するとコストパフォーマンスに優れ、数十kHzから数百kHzの周波数帯域において損失が低いという利点があり、また、飽和磁束密度が高いという点で軟磁性金属材料に比べると有利である。
このような背景から、MnZnフェライトは、高周波領域で使用できる電源用トランスの磁心材料として改良が進められている。MnZnフェライトを高周波領域で使用するには、軟質磁性フェライトに求められる前記の諸特性のなかでも、特に低損失化を実現することが重要である。そのためには、損失を構成するヒステリシス損失、渦電流損失、それ以外の残留損失をそれぞれ小さくする必要がある。
しかし、従来のMnZnフェライトは、周波数が高くなるに伴い損失が大きくなるという欠点があった。
上記損失のうち渦電流損失は、材料の電気抵抗に起因する損失であり、周波数が高くなるに伴いその損失の占める割合が大きくなる。残留損失もまた、周波数が高くなるに伴いその損失の占める割合が大きくなるものと考えられている。したがって、これら渦電流損失と残留損失を共に低減することができれば、500kHz程度以上といった高周波領域でも低損失を示すことが可能になると考えられる。
このため、従来より、例えば、MnZnフェライトの組成の変更、種々の酸化物等の添加等の試みが行われている。
このような試みの一つとして、MnZnフェライトの焼成後、900〜1100℃の温度で熱処理を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平5−13212号公報
しかしながら、依然として、500kHz程度以上の高周波領域における要求特性、とりわけ低損失特性について未だ満足できる結果が得られていないのが現状である。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、500kHz程度以上の高周波領域において、損失を抑えた高特性のMnフェライトを提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明のMnフェライトの製造方法は、原料粉末を所定形状の成形体に成形する工程と、成形体を焼成して焼成体を得る工程と、焼成体を熱処理する工程と、を備え、熱処理は、200〜350℃の範囲内に設定された所定温度における0.3〜12hrの維持、または、焼成体を所定の焼成温度で焼成した後に降温する過程で、240〜350℃の範囲内の温度から降温速度を45℃/hr以下に保つことによって行うことを特徴とする。
このような熱処理を行うことで、得られるMnフェライトの500kHz〜1MHzといった高周波領域における損失を、熱処理を行わない場合に比較して、例えば10%以上改善することができる。
本発明は、Mnフェライトが、Fe:54.0〜57.2mol%、ZnO:10mol%以下(0mol%を含む)、残部実質的にMnOを主成分とするものである場合に特に有効である。その場合、副成分として、SiをSiO換算で0.012〜0.026wt%、CaをCaO換算で0.065〜0.150wt%含むのが好ましい。また、副成分として、CoをCoO換算で0.040〜0.950wt%含むこともできる。副成分としては、NiをNiO換算で0.100〜1.100wt%含むことも可能である。
ところで、Mnフェライトの損失には、前述したような、渦電流損失、残留損失の他、ヒステリシス損失がある。
一般には、熱処理を行うことで、ヒステリシス損失が増大し、残留損失が減少すると考えられている。この損失の増減は誘導磁気異方性に起因して起こる現象で、フェライト内部に生じた陽イオン欠陥、あるいはFe2+が、より安定な配置を取ろうとして磁壁に固着してしまうためである。その結果、磁壁の移動が困難となり、インダクタンスの低下やヒステリシス損失の増大、或いは磁壁共鳴によって発生する残留損失の減少を引き起こすと考えられる。したがって、ヒステリシス損失、渦電流損失が支配的な低周波領域で用いられるMnフェライトにおいては陽イオン欠陥の少ないものが求められていた。
ところが、1MHz以上といった高周波領域で用いられるMnフェライトの場合、ヒステリシス損失、渦電流損失以上に、残留損失の影響が支配的であることが分かっている。そこで、前記のような高周波領域においては、残留損失をいかに効率よく低減するかが重要となる。
したがって、陽イオン欠陥、あるいは陽イオン欠陥を介したCo2+、Fe2+等を磁壁に固着させ、磁壁を移動しにくくすることで共鳴を抑え、これによって残留損失を低減できると考えられる。そして、このようにして、熱処理によるヒステリシス損失の増大以上に残留損失を低減することによって、高周波領域における全体のコア損失を抑えることが可能となる。
1MHz以上といった高周波領域における残留損失を低減するには、焼成体のキュリー温度Tcに対し、(Tc−60)〜(Tc−20)℃の範囲内で熱処理を行うのが有効である。
このような高周波領域で用いられるMnフェライトは、Fe:53.0〜56.0mol%、ZnO:7mol%以下(0mol%を含む)、残部実質的にMnOを主成分とするのが好ましい。その場合、副成分として、SiをSiO換算で0.01〜0.045wt%、CaをCaO換算で0.05〜0.40wt%含むこともできる。さらに、副成分として、CoをCoO換算で0.15〜0.65wt%含むこともできる。副成分としては、TiをTiO換算で0.35wt%以下(0wt%を含む)、TaをTa換算で0.25wt%以下(0wt%を含む)含むこともできる。
本発明によれば、焼成後に熱処理を行うことで、500kHz〜1MHz、1MHz以上といった高周波領域における損失を抑えた高特性のMnフェライトを得ることができる。
以下、実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
〔第一の実施形態:500kHz〜1MHz程度の高周波領域を対象としたMnフェライト〕
以下、本実施形態によるMnフェライト材料の組成限定理由について詳述する。
Fe:54.0〜57.2mol%
Feは本実施形態のMnフェライト材料の主成分をなすものであり、その量が少なすぎると、高周波領域、特に500kHz〜1MHz程度の高周波領域における損失が著しく劣化する。したがってその下限を54.0mol%とする。また、Fe量が多くなりすぎた場合、損失極小温度が低温になりすぎ、実使用温度における損失が劣化する。そこで、Fe量の上限を57.2mol%とした。好ましいFe量は54.6〜57.0mol%、さらに好ましいFe量は55.7〜56.8mol%である。
ZnO:10mol%以下(0mol%を含む)
ZnOも本実施形態のMnフェライト材料の主成分をなすものである。ZnOの量によってMnフェライト材料の周波数特性を制御することができる。即ち、ZnO量が少ないほど、高周波領域での損失が小さくなる。ZnOが10mol%を超えた場合、1MHz程度の高周波領域における損失が劣化するため、ZnOの上限を10mol%とした。好ましいZnO量は5mol%以下、さらに好ましいZnO量は3mol%以下である。
本実施形態によるMnフェライト材料は、Fe及びZnOの残部として他にMn酸化物を主成分として含む。Mn酸化物としては、MnO、Mnを用いることができる。
本実施形態のMnフェライト材料は、上記主成分の他に以下の副成分を含む。これら副成分を最適化することにより、高周波領域における損失の低減及び損失の温度特性が制御されている。
Si:SiO換算で0.012〜0.026wt%
Siは結晶粒界に偏析して粒界抵抗を増大させ渦電流損失を低減させる効果がある。この効果により高周波領域における損失を低減させる効果が得られる。この効果を得るために、SiをSiO換算で0.012wt%以上添加する。しかしながら、Siの過剰な添加は異常粒成長を誘発し逆に損失を著しく劣化させる。そのため、SiはSiO換算で0.026wt%以下とする。好ましいSi量はSiO換算で0.015〜0.026wt%、さらに好ましいSi量はSiO換算で0.018〜0.023wt%である。
Ca:CaO換算で0.065〜0.150wt%
Caは結晶粒界に偏析して粒界抵抗を増大させ渦電流損失を低減させる効果がある。この効果により高周波領域における損失を低減させる効果が得られる。この効果を得るために、CaをCaO換算で0.065wt%以上添加する。しかしながら、Caの過剰な添加は異常粒成長を誘発し逆に損失を著しく劣化させる。そのため、CaはCaO換算で0.150wt%以下とする。好ましいCa量はCaO換算で0.080〜0.150wt%、さらに好ましいCa量はCaO換算で0.100〜0.135wt%である。
本実施形態のMnフェライト材料は、上記主成分の他に以下の副成分を含むこともできる。
Co:CoO換算で0.040〜0.950wt%
Co量が少なすぎる場合と、高周波領域における損失低減効果が十分に得られないため下限を0.040wt%とする。また、Co量を増大させると、損失低減効果が十分に得られない。よってCoを添加する場合、その添加量はCoO換算で0.950wt%以下とするのが好ましい。好ましいCo量はCoO換算で0.040〜0.850wt%、さらに好ましいCo量はCoO換算で0.040〜0.700wt%である。
Ni:NiO換算で0.100〜1.100wt%
Niは、損失極小温度を高温化する作用をもつ。この作用による高周波領域における損失低減効果を得るために、NiはNiO換算で0.100wt%以上添加するのが好ましい。しかし、過剰な添加は、高周波領域における損失を劣化させる。そこで、NiはNiO換算で1.100wt%以下とする。好ましいNi量はNiO換算で0.100〜0.900wt%である。
本実施形態のMnフェライト材料は、上記以外にも副成分として、MgO、CuO、TiO、SnO、LOを含むこともできる。
以下、本実施形態のMnフェライト材料の製造に好適な方法について説明する。
主成分の原料としては、酸化物又は加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的には、Fe粉末、Mn粉末及びZnO粉末等を用いることができる。用意する各原料粉末の平均粒径は0.1〜3μmの範囲で適宜選択すればよい。
主成分の原料粉末を湿式混合した後、仮焼きを行う。仮焼きの温度は700〜1000℃とし、また雰囲気はN〜大気の間で行えばよい。仮焼きの安定時間は0.5〜5時間の範囲で適宜選択すればよい。仮焼き後、仮焼き体を、例えば平均粒径0.5〜2μm程度まで粉砕する。なお、上述の主成分の原料に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を主成分の原料としてもよい。例えば、塩化鉄、塩化マンガンを含有する水溶液を酸化培焼することによりFe、Mnを含む複合酸化物の粉末が得られる。この粉末とZnO粉末を混合して主成分原料としてもよい。このような場合には、仮焼きは不要である。
本実施形態のMnフェライト材料には、主成分の他に上述した副成分を添加する。これら副成分の原料粉末は、仮焼き後に粉砕された主成分の粉末と混合される。ただし、主成分の原料粉末と混合した後に、主成分とともに仮焼きすることもできる。
主成分及び副成分からなる混合粉末は、後の成形工程を円滑に実行するために顆粒に造粒することができる。造粒は例えばスプレードライヤを用いて行うことができる。混合粉末に適当なバインダ、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量添加し、これをスプレードライヤで噴霧、乾燥する。得られる顆粒の粒径は80〜200μm程度とすることが望ましい。
得られた顆粒は、所定形状の金型を有するプレスを用いて所望の形状に成形され、この成形体は焼成工程に供される。焼成工程においては、焼成温度と焼成雰囲気を制御する必要がある。焼成は1050〜1250℃の温度範囲で2〜10時間程度保持する。
本実施形態においては、焼成後に、Mnフェライトの損失を低減するための熱処理を以下の条件で行うのが好ましい。
熱処理温度:200〜350℃
熱処理継続時間:0.3〜12hr
この熱処理は、Mnフェライトを恒温槽等に投入し、上記の条件下にMnフェライトを貯蔵して行うのが好ましい。
熱処理温度が200℃を下回ると、500kHz以上、特に500kHz〜1MHz程度の高周波領域(以下、単に高周波領域と称する)における損失低減効果が劣化する。また、熱処理温度が350℃を上回った場合も、高周波領域における損失低減効果が劣化する。好ましい熱処理温度は、210〜315℃、さらに好ましい熱処理温度は230〜310℃である。
熱処理継続時間が0.3hrを下回ると、高周波領域における損失低減効果が劣化する。また、熱処理継続時間が12hrを超えると、生産性が低下する。しかし、熱処理継続時間が長いほど、損失が低減する傾向にあるため、熱処理時間はなるべく長く確保するのが好ましい。
好ましい熱処理継続時間は、0.6〜12hr、より好ましい熱処理継続時間は、1.3〜12hrである。
また、熱処理は、所定の安定温度での焼成が完了した後の降温過程において、降温時に降温速度を抑えることで行うこともでき、これによって上記の熱処理と同等の効果を得ることもできる。
降温速度:45℃/hr以下
所定の安定温度での焼成が完了した後の降温過程において、降温速度を45℃/hr以下に抑えてMnフェライトを徐冷すると、上記と熱処理と同様、高周波領域における損失が抑えられる。降温速度を45℃/hrより速くすると、高周波領域における損失低減効果が劣化する。また、降温速度を下げすぎると、生産性が低下するとともに、連続炉で焼成を行う場合、連続炉の物理的な炉長が非現実的なものとなる。好ましい降温速度は、40℃/hr以下、より好ましい降温速度は、35℃/hr以下である。
また、上記の降温速度とし、Mnフェライトの徐冷を行うときの開始温度は、240℃以上とするのが好ましい。開始温度が240℃未満であると、徐冷による効果が十分に発揮されず、高周波領域における損失低減効果が劣化する。また、徐例の開始温度は350℃を超えると損失の抑制効果が向上しなくなる。したがって、徐冷の開始温度は、240〜350℃とするのが良い。好ましい開始温度は、260〜350℃、さらに好ましい開始温度は290〜350℃である。
〔第二の実施形態:1MHz以上の高周波領域を対象としたMnフェライト〕
本実施形態によるMn−Zn系フェライト材料の組成限定理由について詳述する。
Fe:53〜56mol%
Feは本実施形態のMn−Zn系フェライト材料の主成分をなす必須の構成であり、その量が少なすぎても、また多すぎても1MHz以上の高周波領域における損失が著しく低下する。したがって本実施形態では、53〜56mol%とする。好ましいFe量は54〜55mol%、さらに好ましいFe量は54.2〜54.8mol%である。
ZnO:7mol%以下(0mol%を含む)
ZnOも本実施形態のMn−Zn系フェライト材料の主成分をなすものである。ZnOの量によってMn−Zn系フェライト材料の周波数特性を制御することができる。即ち、ZnO量が少ないほど、1MHz以上の高周波領域での損失が小さくなる。ZnOが7mol%を超えた場合、2MHz以上の高周波領域における損失が劣化するため、ZnOの上限を7mol%とした。また、ZnOを全く含まない系の場合、理想的な焼成条件からの極めてわずかなずれにより不連続粒成長(結晶粒の粗大化)が発生する。不連続粒成長は1MHz以上のような高周波領域においては渦電流損失の増大を招き、損失の劣化を引き起こす。よって、好ましいZnO量は0.1〜5mol%、さらに好ましいZnO量は0.2〜3mol%である。
本実施形態によるMn−Zn系フェライト材料は、Fe及びZnOの残部として他にMn酸化物を主成分として含む。Mn酸化物としては、MnO、Mnを用いることができる。
本実施形態のMn−Zn系フェライト材料は、上記主成分の他に以下の副成分を含む。これら副成分を最適化することにより、1MHz以上の高周波領域における損失の低減及び損失の温度特性が制御されている。
Co:CoO換算で0.15〜0.65wt%
Co量が少なすぎると、1MHz以上の高周波領域におけるコア損失低減効果が十分に得られないため下限を0.15wt%とする。また、Co量を増大させると、結晶磁気異方性の増大により低温におけるコア損失が大幅に劣化する。よって、CoはCoO換算で0.65wt%以下とする。好ましいCo量はCoO換算で0.2〜0.55wt%、さらに好ましいCo量はCoO換算で0.2〜0.4wt%である。
Si:SiO換算で0.01〜0.045wt%
Siは結晶粒界に偏析して粒界抵抗を増大させ渦電流損失を低減させる効果がある。この効果により1MHz以上の高周波領域におけるコア損失を低減させる効果が得られる。この効果を得るために、SiをSiO換算で0.01wt%以上添加する。しかしながら、Siの過剰な添加は異常粒成長を誘発し逆にコア損失を著しく劣化させ、かつコア損失の温度特性も劣化させる。そのため、SiはSiO換算で0.045wt%以下とする。好ましいSi量はSiO換算で0.015〜0.028wt%、さらに好ましいSi量はSiO換算で0.015〜0.025wt%である。
Ca:CaCO換算で0.05〜0.40wt%
Caは結晶粒界に偏析して粒界抵抗を増大させ渦電流損失を低減させる効果がある。この効果により1MHz以上の高周波領域におけるコア損失を低減させる効果が得られる。この効果を得るために、CaをCaCO換算で0.05wt%以上添加する。しかしながら、Caの過剰な添加は異常粒成長を誘発し逆にコア損失を著しく劣化させ、かつコア損失の温度特性も劣化させる。そのため、CaはCaCO換算で0.4wt%以下とする。好ましいCa量はCaCO換算で0.05〜0.30wt%、さらに好ましいCa量はCaCO換算で0.12〜0.25wt%である。
Ti:TiO換算で0.35wt%以下(0mol%を含む)
副成分として添加されたTiの一部はフェライト粒子内に固溶し粒子内抵抗を増大させる働きがある。また一部は粒界に存在し粒界抵抗を増大させる。これにより渦電流損失が低減され、1MHz以上の高周波領域におけるコア損失Pcvが改善される。ただし、Tiの過剰な添加は、1MHz以上の高周波領域におけるコア損失を劣化させ、またコア損失の温度特性も劣化させる。よって、Tiの添加をTiO換算で0.35wt%以下とする。好ましいTi量はTiO換算で0.05〜0.3wt%、さらに好ましいTi量はTiO換算で0.08〜0.25wt%である。なお、Tiは本実施形態における必須の元素ではない。
Ta:Ta換算で0.25wt%以下(0mol%を含む)
TaはSiと同様に結晶粒界に偏析し、粒成長を抑制し粒界抵抗を増大させる作用をもつ。この作用による1MHz以上の高周波領域におけるコア損失低減効果を得るために、必要に応じて添加する。ただし、過剰な添加は逆に抵抗を減少させ、1MHz以上の高周波領域におけるコア損失を劣化させる。そこで、TaはTa換算で0.25wt%以下とする。好ましいTa量はTa換算で0.01〜0.2wt%、さらに好ましいTa量はTa換算で0.02〜0.15wt%である。なお、Taも本実施形態における必須の元素ではない。
以下、本実施形態のMn−Zn系フェライト材料の製造に好適な方法について説明する。
主成分の原料としては、酸化物又は加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的には、Fe粉末、Mn粉末及びZnO粉末等を用いることができる。用意する各原料粉末の平均粒径は0.1〜3μmの範囲で適宜選択すればよい。
主成分の原料粉末を湿式混合した後、仮焼きを行う。仮焼きの温度は800〜1000℃とし、また雰囲気はN〜大気の間で行えばよい。仮焼きの安定時間は0.5〜5時間の範囲で適宜選択すればよい。仮焼き後、仮焼き体を例えば、平均粒径0.5〜2μm程度まで粉砕する。なお、上述の主成分の原料に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を主成分の原料としてもよい。例えば、塩化鉄、塩化マンガンを含有する水溶液を酸化培焼することによりFe、Mnを含む複合酸化物の粉末が得られる。この粉末とZnO粉末を混合して主成分原料としてもよい。このような場合には、仮焼きは不要である。
本実施形態のMn−Zn系フェライト材料には、主成分の他に上述した副成分を添加する。これら副成分の原料粉末は、仮焼き後に粉砕された主成分の粉末と混合される。ただし、主成分の原料粉末と混合した後に、主成分とともに仮焼きすることもできる。
主成分及び副成分からなる混合粉末は、後の成形工程を円滑に実行するために顆粒に造粒することができる。造粒は例えばスプレードライヤを用いて行うことができる。混合粉末に適当なバインダ、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量添加し、これをスプレードライヤで噴霧、乾燥する。得られる顆粒の粒径は80〜200μm程度とすることが望ましい。
得られた顆粒は、所定形状の金型を有するプレスを用いて所望の形状に成形され、この成形体は焼成工程に供される。焼成は1050〜1350℃の温度範囲で2〜10時間程度保持する。
Mnフェライトのコア損失を制御(低減)するには、焼成後に、熱処理を以下の条件で行うのが好ましい。
熱処理温度:Mnフェライトのキュリー温度Tcに対し、(Tc−60)〜(Tc−20)℃
熱処理継続時間:2〜12hr
この熱処理により、Mnフェライトの、特に残留損失を低減することができる。1MHz以上の高周波領域においては、残留損失が全体のコア損失に対して支配的であるため、この残留損失を低減することで、Mnフェライトのコア損失を効率良く低減することができる。
この熱処理は、Mnフェライトを恒温槽等に投入し、上記の条件下にMnフェライトを貯蔵して行うのが好ましい。
熱処理温度が(Tc−60)℃を下回ると、1MHz以上の高周波領域における残留損失の低減効果が劣化する。また、熱処理温度が(Tc−20)℃を上回った場合も、高周波領域における残留損失低減効果が劣化する。好ましい熱処理温度は、(Tc−50)〜(Tc−30)℃、さらに好ましい熱処理温度は(Tc−45)〜(Tc−35)℃である。
熱処理継続時間が2hrを下回ると、1MHz以上の高周波領域における残留損失低減効果が劣化する。また、熱処理継続時間が12hrを超えると、生産性が低下する。しかし、熱処理継続時間が長いほど、残留損失が低減する傾向にあるため、熱処理時間はなるべく長く確保するのが好ましい。
好ましい熱処理継続時間は、5〜12hr、より好ましい熱処理継続時間は、8〜12hrである。
このような熱処理を行うことで、Mn系フェライトの残留損失を低減することができ、1MHz以上といった高周波領域におけるMn系フェライト全体のコア損失を抑えることができる。
主成分の原料として、Fe粉末、MnO粉末、ZnO粉末を、以下に示す組成となるようにボールミルで混合した後、850℃で2時間仮焼きした。
Fe:56.1mol%
MnO:42.3mol%
ZnO:1.6mol%
次いで、主成分の原料の仮焼き粉に対して以下に示す副成分の原料を混合した。主成分原料の仮焼き粉に副成分の原料を添加して、ボールミルで粉砕しながら混合した。得られた混合物にバインダを加え、顆粒化した後、成形してトロイダル形状の成形体を得た。
SiO:0.020wt%
CaO:0.112wt%
得られた成形体を1150℃の安定温度(保持時間6hr)で焼成することにより、フェライトコアを得た。焼成の際の雰囲気は、昇温〜安定過程ではN雰囲気とし、安定過程の途中から、所定の酸素分圧で酸素を導入し、降温の途中でN雰囲気に戻した。
得られたフェライトコアに対し、恒温槽中で、表1に示す条件で熱処理を施した。
また、比較のため、熱処理を行わずに焼成を行い、フェライトコアを得た。
上記のフェライトコアについて、熱処理の前(処理前)と後(処理後)に、それぞれ銅製ワイヤーを一次側・二次側ともに3ターン巻き付け、B−Hアナライザで、コア損失(Pcv,測定条件:温度80℃、周波数1000kHz、励磁磁束密度50mT)を測定した。
その結果を表1および図1に示す。なお、表1には、処理後のコア損失と、処理前のコア損失に対する処理後のコア損失の改善率とを示している。
Figure 2007112695
表1、図1に示すように、熱処理を行うことで、コア損失が改善されていることが確認できる。さらに、熱処理温度を高くすることにより、コア損失が小さくなり、その改善率が大きくなることがわかる。特に、200℃を超えると、コア損失の改善率は著しく大きくなる。しかし、熱処理温度が360℃になると、コア損失が増大してその改善率が小さくなり、熱処理は、350℃以下で行うのが好ましいことが確認された。
続いて、上記と同様にして得たフェライトコアの熱処理時間を、1〜3時間に異ならせて熱処理を行い、その前後のコア損失を測定した。
その結果を、表2および図2に示す。
Figure 2007112695
表2および図2に示すように、熱処理時間が長いほど、コア損失が小さくなり、その改善率が大きくなることが確認された。
以上より、本発明では、熱処理温度を200〜350℃、熱処理継続時間:0.3〜12hr
とするのが好ましいことが確認された。
実施例1と同様にして得たフェライトコアを、1150℃の安定温度(保持時間6hr)で焼成し、その降温過程で、降温速度を10℃/hrに抑え、徐冷を行った。このとき、徐冷の開始温度は、表3に示す条件とした。
上記のフェライトコアについて、実施例1と同様、熱処理の前と後に、コア損失を測定した。
その結果を表3および図3に示す。
Figure 2007112695
表3および図3に示すように、焼成後に徐冷を行うことでも、実施例1のように一定温度で熱処理を行う場合と同様、コア損失が改善されていることが確認できる。そして、徐冷の開始温度は、高いほどコア損失が小さくなり、その改善率が大きくなることが確認された。しかし、徐冷の開始温度が360℃になると、コア損失の改善率が飽和状態となる傾向にある。一方、徐冷の開始温度が220℃となると、コア損失が増大してその改善率が小さくなり、徐冷は、240℃以上の開始温度で行うのが好ましいことが確認された。
また、上記と同様、実施例1と同様にして得たフェライトコアを、1150℃の安定温度(保持時間6hr)で焼成し、その降温過程で、徐冷を行った。このとき、降温速度を50℃/hrから10℃/hrに変化させた。
上記のフェライトコアについて、実施例1と同様、熱処理の前と後に、コア損失を測定した。
Figure 2007112695
その結果、表4および図4に示すように、降温速度は小さいほど、つまり、徐冷を時間をかけて行うほど、コア損失の改善率が向上することが確認された。
以上より、本発明では、焼成後の降温過程において、350℃以下の温度から、降温速度を45℃/hr以下に保って炉内を降温するのが好ましいことが確認された。
組成及び熱処理条件を表5〜表8に示した条件として、実施例1と同様にしてMnフェライトを作製し、コア損失を測定した。その結果を表5〜表8、図5〜図8に示す。
Figure 2007112695
表5および図5に示すように、Feが53.7mol%と少ない場合にはコア損失が大きく、改善率も低くなる。一方、Feが57.3mol%と多くなるとコア損失が大きく、改善率も低くなる。
Figure 2007112695
表6および図6に示すように、ZnOが10.6mol%と多い場合には、コア損失が大きく、改善率も低くなる。
Figure 2007112695
表7および図7に示すように、SiOが0.010wt%と少ない場合には、コア損失が大きく、改善率も低くなる。
Figure 2007112695
表8および図8に示すように、CaOが0.056wt%と少ない場合には、コア損失が大きく、改善率も低くなる。一方、CaOが0.146wt%となると、改善率は低くなるものの、コア損失の絶対値は十分に小さい。
以上の結果より、本発明では主成分をFe:54.0〜57.2mol%、ZnO:10mol%以下(0mol%を含む)、残部実質的にMnOとすることが望ましいことが確認され、さらに副成分として、SiをSiO換算で0.012〜0.026wt%、CaをCaO換算で0.065〜0.150wt%含むのが好ましいことも確認された。
副成分として、CoO、NiOを加え、組成及び熱処理条件を表5〜表8に示した条件として、実施例1と同様にしてMnフェライトを作製し、コア損失を測定した。その結果を表9〜表10、図9〜図10に示す。なお、表10、図10は、コア損失の測定温度を120℃とした。
Figure 2007112695
表9および図9に示すように、CoOを添加した場合、CoOが1.027wt%と多い場合には、コア損失が大きくなる。
Figure 2007112695
表10および図10に示すように、NiOを添加した場合、NiOが1.200wt%と多くなるとコア損失が大きくなる。
以上の結果より、本発明では副成分としてCoを添加する場合、CoはCoO換算で0.040〜0.950wt%添加するのが好ましく、また、Niを添加する場合には、NiはNiO換算で0.100〜1.100wt%添加するのが好ましいことが確認された。
主成分の原料として、Fe粉末、MnO粉末、ZnO粉末を、以下に示す組成となるようにボールミルで混合した後、850℃で2時間仮焼きした。
Fe:54.00mol%
MnO:43.00mol%
ZnO:3.00mol%
次いで、主成分の原料の仮焼き粉に対して以下に示す副成分の原料を混合した。主成分原料の仮焼き粉に副成分の原料を添加して、ボールミルで粉砕しながら混合した。得られた混合物にバインダを加え、顆粒化した後、成形してトロイダル形状の成形体を得た。
CoO:0.24wt%
SiO:0.016wt%
CaCo:0.22wt%
TiO:0.12wt%
Ta:0.07wt%
得られた成形体を1150℃の安定温度(保持時間6hr)で焼成することにより、外形20mm、内径10mm、高さ5mmのトロイダル形状フェライトコアを得た。焼成の際の雰囲気は、昇温〜安定過程ではN雰囲気とし、安定過程の途中から、所定の酸素分圧で酸素を導入し、降温の途中でN雰囲気に戻した。
以上で得られたトロイダル形状のフェライトコアに銅線ワイヤーを一次側及び二次側共に3ターン巻き付け、B−Hアナライザ(岩崎通信機器(株)製 SY−8217)を用いてコア損失Pcv1を測定した。なお、励磁磁束密度(Bm)を50mT、測定周波数(f)を2MHzとした。また測定は、恒温槽を用いて125℃で行った。その結果を、表11および図11に示す。
Figure 2007112695
さらに、得られたフェライトコアに対し、恒温槽中で、表11に示すように、220〜320℃、保持時間3hrの条件で熱処理を施した。
そして、熱処理後のフェライトコアのコア損失Pcv2を、上記と同様にして測定した。そして、焼結後のコア損失Pcv1に対する熱処理後のコア損失Pcv2の改善率〔(1−Pcv2/Pcv1)×100(%)〕を算出した。その結果を表11および図11に示す。
表11および図11に示すように、熱処理温度が240〜280℃の領域で、コア損失は大幅に改善されていることが分かる。本実施例におけるMn系フェライト材料のキュリー温度Tcは303℃であり、(Tc−60)〜(Tc−20)℃の範囲内で熱処理を行うことで、コア損失の改善効果が高いことがわかる。特に、熱処理温度が260℃のときにはコア損失の改善効果が特に高いため、熱処理温度の好ましい範囲は(Tc−50)〜(Tc−30)℃、さらに好ましい範囲は(Tc−45)〜(Tc−35)℃であることがわかる。
続いて、得られたフェライトコアについて、信頼性を評価するための高温貯蔵試験を行った。その条件は恒温槽中で、200℃、96hr保持するというものである。
そして、高温貯蔵試験後のフェライトコアのコア損失Pcv3を、上記と同様にして測定した。そして、熱処理後のコア損失Pcv2に対する高温貯蔵試験後のコア損失Pcv3の改善率〔(1−Pcv3/Pcv2)×100(%)〕を算出した。その結果を表11に示す。
表11に示すように、240〜280℃、つまり(Tc−60)〜(Tc−20)℃の範囲内で熱処理を行うことで、高温貯蔵試験後のコア損失の低下が抑えられ、高温環境下における高い信頼性を有していることがわかる。
続いて、上記と同様にして焼結して得たフェライトコアについて、熱処理を、温度260℃、保持時間を0〜12hrとして施した。
そして、熱処理後のフェライトコアのコア損失Pcv2を、上記と同様にして測定し、焼結後のコア損失Pcv1に対する熱処理後のコア損失Pcv2の改善率を算出した。
さらに、信頼性を評価するための高温貯蔵試験を上記と同条件で行い、高温貯蔵試験後のフェライトコアのコア損失Pcv3を測定し、熱処理後のコア損失Pcv2に対する高温貯蔵試験後のコア損失Pcv3の改善率を算出した。
それらの結果を表12および図12に示す。
Figure 2007112695
表12および図12に示すように、熱処理時間が長いほど、コア損失は大幅に改善されていることが分かる。本実施例におけるMn系フェライト材料のキュリー温度Tcは303℃であり、(Tc−60)〜(Tc−20)℃の範囲内で熱処理を行うことで、コア損失の改善効果が高く、また高い信頼性を有していることがわかる。
実施例5と同様にして、主成分の原料として、Fe粉末、MnO粉末、ZnO粉末を、副成分として、CoO粉末、SiO粉末、CaCo粉末、TiO粉末、Ta粉末を用い、表13に示すような組成で成形体を形成し、これを焼成することによりフェライトコアを得て、そのコア損失Pcv1を測定した。
Figure 2007112695
以上で得られたフェライトコアについて陽イオン欠陥量δを以下の方法により組成式(1)に基づいて求めた。
(Zn 2+,Ti 4+,Mn 2+,Mn 3+,Fe 2+,Fe 3+,Co 2+,Co 3+4+δ…組成式(1)
ただし、a+b+c+d+e+f+g+h=3、δ=a+2b+c+(3/2)d+e+(3/2)f+g+(3/2)h−4、[g:h=1:2]
すなわち、δ値の算出は、組成分析と、Fe2+とMn3+の定量によって行う。組成分析については、上記フェライトコアを粉砕し、粉末状にした後、蛍光X線分析装置(リガク(株)製、サイマルティック3530)を用いガラスビード法によって測定した。Fe2+とMn3+の定量は、上記焼結体を粉砕、粉末状にし、酸に溶解後、KCr溶液により、電位差滴定を行ない定量した。その他、Zn2+、Ti4+、Co2+、3+については、組成分析より得られたZnが全て2価のイオン、Tiが全て4価のイオン、Coが2価と3価が1対2の比率で存在するものと仮定している。また、Fe3+、Mn2+量は、組成分析により得られたFe、Mn量により、上記電位差滴定によって求められたFe2+、Mn3+量をそれぞれ差し引いた値とした。表13に、それぞれのフェライトコアの陽イオン欠陥量δを示した。
さらに、得られたフェライトコアに対し、恒温槽中で、260℃、保持時間12hrの条件で熱処理を施した。
そして、熱処理後のフェライトコアのコア損失Pcv2を、上記と同様にして測定し、焼結後のコア損失Pcv1に対する熱処理後のコア損失Pcv2の改善率を算出した。
さらに、信頼性を評価するための高温貯蔵試験を上記と同条件で行い、高温貯蔵試験後のフェライトコアのコア損失Pcv3を測定し、熱処理後のコア損失Pcv2に対する高温貯蔵試験後のコア損失Pcv3の改善率を算出した。
なお、コア損失Pcv1、Pcv2、Pcv3の測定は、1MHz、2MHzの2通りの周波数で行った。
それらの結果を表13、表14に示す。
Figure 2007112695
表13および表14に示すように、フェライトコアの陽イオン欠陥量δが大きいほど、熱処理によるコア損失の改善率、信頼性が高いことが分かる。つまり、陽イオン欠陥の磁壁への固着による磁壁の共鳴抑制効果が、陽イオンの量が多いほど顕著となり、これによって残留損失の低減が図れることが示唆される。
実施例1において、熱処理温度とコア損失との関係を示す図である。 実施例1において、熱処理時間とコア損失との関係を示す図である。 実施例2において、熱処理開始温度とコア損失との関係を示す図である。 実施例2において、降温速度とコア損失との関係を示す図である。 実施例3において、Fe量とコア損失との関係を示す図である。 実施例3において、ZnO量とコア損失との関係を示す図である。 実施例3において、SiO量とコア損失との関係を示す図である。 実施例3において、CaO量とコア損失との関係を示す図である。 実施例4において、CoO量とコア損失との関係を示す図である。 実施例4において、NiO量とコア損失との関係を示す図である。 実施例5において、熱処理温度とコア損失との関係を示す図である。 実施例5において、熱処理時間とコア損失との関係を示す図である。

Claims (10)

  1. 原料粉末を所定形状の成形体に成形する工程と、
    前記成形体を焼成して焼成体を得る工程と、
    前記焼成体を熱処理する工程と、を備え、
    前記熱処理は、200〜350℃の範囲内に設定された所定温度における0.3〜12hrの維持、または、前記焼成体を所定の焼成温度で焼成した後に降温する過程で、240〜350℃の範囲内の温度から降温速度を45℃/hr以下に保つことによって行うことを特徴とするMnフェライトの製造方法。
  2. 前記MnフェライトがFe:54.0〜57.2mol%、ZnO:10mol%以下(0mol%を含む)、残部実質的にMnOを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載のMnフェライトの製造方法。
  3. 副成分として、SiをSiO換算で0.012〜0.026wt%、CaをCaO換算で0.065〜0.150wt%含むことを特徴とする請求項2に記載のMnフェライトの製造方法。
  4. 前記副成分として、CoをCoO換算で0.040〜0.950wt%含むことを特徴とする請求項2または3に記載のMnフェライトの製造方法。
  5. 前記副成分として、NiをNiO換算で0.100〜1.100wt%含むことを特徴とする請求項2または3に記載のMnフェライトの製造方法。
  6. 前記熱処理は、前記焼成体のキュリー温度Tcに対し、(Tc−60)〜(Tc−20)℃の範囲内で行われることを特徴とする請求項1に記載のMnフェライトの製造方法。
  7. 前記MnフェライトがFe:53.0〜56.0mol%、ZnO:7mol%以下(0mol%を含む)、残部実質的にMnOを主成分とすることを特徴とする請求項6に記載のMnフェライトの製造方法。
  8. 副成分として、SiをSiO換算で0.01〜0.045wt%、CaをCaO換算で0.05〜0.40wt%含むことを特徴とする請求項7に記載のMnフェライトの製造方法。
  9. 前記副成分として、CoをCoO換算で0.15〜0.65wt%含むことを特徴とする請求項7または8に記載のMnフェライトの製造方法。
  10. 前記副成分として、TiをTiO換算で0.35wt%以下(0wt%を含む)、TaをTa換算で0.25wt%以下(0wt%を含む)含むことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のMnフェライトの製造方法。
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