JP6323140B2 - Egr制御装置 - Google Patents

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Description

この発明はEGR制御装置に関する。
LP−EGR装置を開示するものがある(特許文献1参照)。LP−EGR装置は、タービン及びコンプレッサを有するターボ過給機を備えるエンジンを前提として、タービン下流の排気管から分岐しコンプレッサ上流の吸気管に合流するEGR通路を設け、このEGR通路にEGR弁を介装したものである。
特開2010−216449号公報
ところで、エンジンの運転条件に応じて排気温度が変化し、この排気温度の変化を受けてEGR通路の分岐部下流の排気管全体の圧力損失が変化する。分岐部の排気圧が適合時の分岐部の排気圧より大きく外れたときには実EGR率が過渡的に目標EGR率から乖離する。実EGR率が目標EGR率から乖離すると、特にガソリンエンジンではノックが発生したり運転性が悪化したりする。これを避けるため、分岐部の排気圧を圧力センサで検出し、検出した分岐部の排気圧が予め定めた許容範囲から外れた場合にEGR領域であってもEGR弁を開くことを禁止することが考えられる。しかしながら、圧力センサは排気脈動の影響を受けて検出精度が低下しがちであるし、応答性の悪い圧力センサからの信号に基づいて、分岐部の排気圧が予め定めた許容範囲から外れたか否かを判定するのでは、判定精度が悪い。特にLP−EGR装置においてはEGR弁の前後差圧がHP−EGR装置より格段に小さいため、圧力センサに生じる検出誤差が判定精度に大きく影響し、その影響する分だけ判定精度がさらに低下する。
そこで本発明は、特にLP−EGR装置のようにEGR弁の前後差圧がLP−EGR装置より小さい場合であっても、LP−EGR弁流量が適正範囲にあるかの判定精度を向上し得る装置を提供することを目的とする。
本発明のEGR制御装置は、過給機のタービン下流におけるエンジンの排気管から分岐しシリンダをバイパスして当該過給機のコンプレッサ上流の吸気管に合流するEGR通路と、前記EGR通路を開閉するEGR弁と、EGR領域で前記EGR弁を開き、非EGR領域で前記EGR弁を全閉状態に制御する制御手段とを有する。さらに本発明のEGR制御装置は、下流排気温度検出・推定手段と、禁止手段とを備える。上記の下流排気温度検出・推定手段は前記EGR通路の分岐部の排気温度または前記EGR通路の分岐部より下流の排気管の排気温度を検出または推定する。上記の禁止手段は、前記検出または推定される排気温度が予め定めた許容範囲の上限値を超える場合及び前記排気温度が前記許容範囲の下限値を下回る場合に前記EGR領域であっても前記EGR弁を開くことを禁止する。
目標EGR率が得られるように目標EGR弁開度(目標EGR弁流量)を設定している。この場合、EGR弁流量は、EGR通路の分岐部の排気圧と、EGR通路の合流部の吸気圧との差圧に応じて変化する。このため、実際の分岐部の排気圧が適合時の分岐部の排気圧より上昇したときには、その排気圧の上昇分だけ実際のEGR弁流量が目標EGR弁流量より多くなり、実EGR率が目標EGR率から外れて大きくなる。一方、実際の分岐部の排気圧が適合時の分岐部の排気圧より低下したときには、その排気圧の低下分だけ実際のEGR弁流量が目標EGR弁流量より少なくなり、実EGR率が目標EGR率から外れて小さくなる。目標EGR率に応じて点火時期を設定している場合に、実EGR率が目標EGR率から外れて大きくなったときには燃焼状態が悪くなり運転性が悪くなる。一方、実EGR率が目標EGR率から外れて小さくなったときにはノッキングが生じ得る。こうした実EGR率の目標EGR率からの乖離を防止するには、分岐部の排気圧を検出し、検出した排気圧が予め定めた許容範囲から外れた場合にEGR領域であってもEGR弁を開くことを禁止することである。しかしながら、分岐部に排気圧を検出する圧力センサを設けても、圧力センサは排気脈動の影響を受ける上、応答性が悪いため、排気圧が予め定めた許容範囲から外れたか否かの判定精度が悪い。一方、本発明では、分岐部の排気圧と相関する、分岐部の排気温度や分岐部より下流の排気温度を検出または推定し、この検出または推定した分岐部の排気温度や分岐部下流の排気温度が許容温度を外れて低くなったり高くなったりしたとき、EGRを禁止する。分岐部の排気温度や分岐部下流の排気温度を検出する温度センサは、排気温度の脈動の影響を受けないので、EGR弁流量が適正範囲にあるかの判定精度を向上できる。
本発明の第1実施形態のガソリンエンジンの概略構成図である。 過給域とLP−EGR領域を示す運転領域図である。 目標LP−EGR率の特性図である。 LP−EGR装置の簡易モデル図である。 A点の排気圧の変化に対して、A,C,Dの各点の排気温度の変化を示すタイミングチャートである。 LP−EGR弁の流量特性図である。 LP−EGR許可フラグの設定を説明するためのローチャートである。 目標LP−EGR弁開度の算出を説明するためのローチャートである。 基本LP−EGR弁開度の特性図である。 トリミング係数の特性図である。 吸入空気量に対するLP−EGR弁前後差圧の特性図である。 目標LP−EGR率に対する点火時期の特性図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態のガソリンエンジンの制御装置の概略構成図である。
エンジン1はガソリンエンジン(以下、単に「エンジン」ともいう。)で、図示しない車両に搭載されている。エンジン1には、吸気通路4、排気通路11を備える。上記の吸気通路4は、吸気管4a、吸気コレクタ4b、吸気マニホールド4cで構成される。
吸気コレクタ4bのすぐ上流の吸気管4aにはアクセルペダルの踏込量に応動する電子制御のスロットル装置を備える。スロットル装置は、スロットルバルブ5と、スロットルバルブ5を駆動するモータ(回転電機)6により構成されている。吸入空気は吸気管4aを経てスロットルバルブ5によって調量される。調量された空気は吸気コレクタ4bに蓄えられ、この吸気コレクタ4bから吸気マニホールド4cを介して各気筒のシリンダ7(燃焼室)に分配供給される。実施形態は電子制御のスロットル装置の場合であるが、スロットルバルブとアクセルペダルとがワイヤーにより連結されたものであってよい。
燃料噴射弁8が吸気マニホールド4cに、点火プラグ9がシリンダ7に直接臨んでそれぞれ設けられ、燃料噴射弁8から燃料が吸気マニホールド4c(吸気ポート)に噴射される。噴射された燃料は、スロットルバルブ5によって調量された空気と混合してガスとなり、このガスを点火プラグ9で着火して燃焼させる。燃焼するガスはピストン10を押し下げる仕事をした後、排気通路11に排出される。燃料噴射弁8を設ける位置は吸気マニホールドに限らない。シリンダ7に直接臨ませて燃料噴射弁を設けるものであってよい。
排気通路11は、各気筒のシリンダ7からの排気が流入する排気マニホールド11a、この排気マニホールド11aの集合部に接続される排気管11bで構成される。排気中にはHC、CO、NOxの有害三成分を含むので、これらを全て浄化するため排気マニホールド11aの集合部にマニホールド触媒12を、それよりも下流の排気管11bにメイン触媒13を備えている。メイン触媒13は例えば車両の床下に設けられる。これら各触媒12,13は例えば三元触媒で構成される。排気管11bの末端にはマフラー19を備えている。
エンジン1には、さらにターボ過給機21を備える。ターボ過給機21は、排気管11bに設けられるタービン22と、吸気管4aに設けられるコンプレッサ23と、これらタービン22,コンプレッサ23を接続する軸24とで構成される。上記のタービン22は排気管11bを流れる排気のエネルギにより回転し、タービン22と同軸のコンプレッサ23を駆動する。コンプレッサ23はエアクリーナ18を介して吸入される空気を圧縮する。圧縮されて大気圧を超える加圧空気は、吸気コレクタ4bへと送られる。ターボ過給機21を働かせることで、目標過給圧を得ることができる。
ターボ過給機21には、タービン22をバイパスするバイパス通路24と、このバイパス通路24を開閉する常閉のウェイストゲートバルブ25を備える。ウェイストゲートバルブ25はモータ(回転電機)26により駆動する。例えば、過給圧センサ45により検出される実過給圧が目標過給圧より高くなったときには、モータ26を駆動することによりウェイストゲートバルブ25を開いてタービン22に流入する排気の一部を、タービン22をバイパスさせて流す。これによって、タービン回転速度がウェイストゲートバルブ25を開く前より低下し、タービン22と同軸のコンプレッサ回転速度も低下する。コンプレッサ回転速度が低下すると実過給圧が低下してゆき目標過給圧と一致する。実過給圧が目標過給圧と一致するタイミングでウェイストゲートバルブ25の開度を保持させる。
コンプレッサ23下流側の吸気管4aには、インタークーラ25を備える。インタークーラ25はコンプレッサ23により圧縮された空気を冷却するためのものである。コンプレッサ23による空気圧縮によって温度上昇した空気がインタークーラ25によって冷却されることで、過給効率を高めることができる。
さて、ターボ過給機21を備えているガソリンエンジン1においても、過給域においてノッキングの抑制のため、大量のEGR(排気再循環)を行いたい要求がある。この要求に応えるため、本実施形態では、新たにロープレッシャループEGR装置14を設ける。ロープレッシャループEGR装置14は、EGR通路15、EGR通路15に介装されるEGRクーラ16、EGR通路15を開閉するEGR弁17(例えばバタフライ弁)、EGR弁17を駆動するモータ(回転電機)18で構成される。
上記のEGR通路15は、タービン22下流の排気管、具体的にはマニホールド触媒12とメイン触媒13の間の排気管11bから分岐され、コンプレッサ23上流の吸気管4aに合流している。このように、EGR通路15がタービン22下流の排気管11bとコンプレッサ23上流の吸気管4aとを連通する場合には、タービン下流の排気管圧力とコンプレッサ上流の吸気管圧力との差圧でガス(排気の一部)がEGR弁17を流れることになる。タービン下流の排気管圧力とコンプレッサ上流の吸気管圧力との差圧は例えば1kPa程度ときわめて小さいので、ロープレッシャループEGR(以下「LP−EGR」という。)装置と呼ばれる。以下では、LP−EGR装置のEGR弁を「LP−EGR弁」という。また、LP−EGR弁17を開いてLP−EGRを行う運転領域を「LP−EGR領域」、LP−EGR弁を全閉に保持する運転領域を「非LP−EGR領域」という。LP−EGR装置そのものはディーゼルエンジンにおいて公知であるが、本実施形態では、ターボ過給機21を備えるガソリンエンジン1に対して新たにLP−EGR装置14を採用している。
上記のEGRクーラ16はLP−EGR弁17上流のEGR通路15に設けられる。EGRクーラ16はEGR通路15を流れるガス(排気の一部)が一定の温度になるまで冷却するものである。このため、LP−EGR領域では一定温度まで冷却されたガスがLP−EGR弁17を流れる。
ここで、ターボ過給機21を備えるガソリンエンジン1にLP−EGR装置14を新たに採用した理由を説明する。ターボ過給機を備えないガソリンエンジンに適用され、比較的高温の排気の一部を吸気コレクタ4bに流入させるEGR装置がある。このEGR装置では、排気通路11と吸気コレクタ4bの間の比較的大きな差圧(負圧)でEGR弁をガスが流れるので、ハイプレッシャループEGR(以下「HP−EGR」という。)装置と呼ばれる。
ターボ過給機を備えるガソリンエンジンにHP−EGR装置を適用することを考える。まず、過給していないときには吸気コレクタ4bに大気圧より低い圧力(負圧)が発達し、排気圧との差圧が大きくなるので、EGR弁を開けばガス(EGRガス)を吸気コレクタ4bに吸い込ませることができる。しかしながら、ターボ過給機による過給の開始で吸気コレクタ4bの圧力は、負圧から大気圧へ、大気圧からさらに大気圧を超える圧力へと高くなっていく。吸気コクレタ4bの圧力が大気圧を超える圧力へと高くなると、排気圧との差圧が小さくなってしまう。吸気コレクタ4bにおいて大気圧を超える圧力とは過給圧のことであり、過給圧が高くなるほど、排気圧との差圧がさらに小さくなる。排気圧との差圧が小さくなると、特に大量のEGRガスを吸気コレクタ4bに吸い込ませることができなくなる。
一方、LP−EGR装置では、タービン下流の相対的に低い排気管圧力とコンプレッサ上流の吸気管圧力との微小な差圧(1kPa程度)でガス(EGRガス)がLP−EGR弁17を流れるので、過給圧の影響を受けることがない。つまり、ターボ過給機21を備えるガソリンエンジン1にLP−EGR装置14を追加した構成とすることで、ターボ過給機21による過給中にあっても大量のEGRガスを吸気通路に導入できることとなった。
さらに説明すると、図2に本実施形態の過給域とLP−EGR領域とを重ねて示す。図2において、吸気コレクタ4bの圧力が大気圧となる場合を破線のラインで示している。本実施形態では、吸気コレクタ4bの圧力が大気圧より高くなる領域(破線より上の領域)が過給域、吸気コレクタ4bの圧力が大気圧以下となる領域(破線より下の領域)が非過給域である。一方、LP−EGR領域は全体としてほぼ等脚台形状であり、本実施形態では過給域の中にLP−EGR領域が大きく生じている。
このため、本実施形態では、運転領域が次のように4つの領域に区分される。
〈1〉過給域かつLP−EGR領域(B−C−D−Eで囲まれた領域)
〈2〉過給域かつ非LP−EGR領域(ハッチングで示す領域)
〈3〉非過給域かつLP−EGR領域(A−B−E−Fで囲まれた領域)
〈4〉非過給域かつ非LP−EGR領域
ここで、図2において等脚台形の角をA,C,D,Fとし、等脚台形と破線が交わる点をB,Eとしている。また、破線の両端をG,Jとし、G−H−Iのラインを全負荷時のラインとしている。なお、LP−EGR領域は、全体としてほぼ等脚台形状である場合に限られるものでない。エンジン、ターボ過給機、LP−EGR装置14の仕様が異なれば、LP−EGR領域の形状が違ったものとなり得る。
図1に示したように、本実施形態ではさらに、コンプレッサ23をバイパスするバイパス通路31を備える。バイパス通路31には、モータ(回転電機)33により駆動されるリサーキュレーションバルブ32が設けられている。このバルブ32は、車両減速のためスロットルバルブ5が閉じられた際に、スロットルバルブ5からコンプレッサ23までの吸気管4aに閉じ込められた加圧空気をコンプレッサ23上流側に再循環(リサーキュレーション)させるためのものである。一方、車両減速時以外の運転域でターボ過給機21により過給が行われている場合には、バルブ32が基本的に全閉保持され、コンプレッサ23の上流側の空気(EGRガスを含む)の全てがコンプレッサ23に導かれる。
ここで、リサーキュレーションバルブ32が必要となる理由はディーゼルエンジンとガソリンエンジンとでスロットルバルブの扱いが異なることによるものである。すなわち、ディーゼルエンジンでは、スロットルバルブは常時開かれており、必要な場合に限って閉じられる。一方、ガソリンエンジンでは、スロットルバルブ5は、吸気コレクタ4bのすぐ上流に設けられ、アクセルペダルの踏込量に応動してその開度が変化する。
このような違いにより、ガソリンエンジンでは、ターボ過給機21により過給をしている状態から車両を減速させるためにアクセルペダルを戻すと、これに応動してスロットルバルブ開度が一定量、ステップ的に小さくなる。このスロットルバルブ開度の急な減少でスロットルバルブ5からコンプレッサ23までの吸気管4a内に存在する加圧空気の行き場がなくなる。その上、車両減速時からのコンプレッサ23の稼働によって、スロットルバルブ5からコンプレッサ23までの吸気管4aの圧力がさらに上昇する。すると、コンプレッサ下流で圧力の高くなった空気はコンプレッサ23に向かって逆流する。そして、逆流する加圧空気がコンプレッサ23を通過して上流に逃れる際にコンプレッサ23から音(騒音)が発生する。このような車両減速時に発生する騒音は車両室内の静粛性に影響する。そこで、過給域からの車両減速時にはバルブ32を全閉状態から開状態へと切換え、コンプレッサ上流の加圧空気を、コンプレッサ23をバイパスしてコンプレッサ上流に解放(リサーキュレーション)することで、車両減速時の騒音の発生を防止するのである。
次に、LP−EGR装置14を用いてLP−EGR制御を行う場合のEGR率を「LP−EGR率」というとすると、目標LP−EGR率のマップ特性は図3に示したようになっている。すなわち、図3のように、全体としてほぼ等脚台形状のLP−EGR領域を大きく2つに分け、高負荷側の領域で10%、低負荷側の領域で20%としている。
高負荷側の領域で低負荷側の領域より目標LP−EGR率を小さくしている理由は次の通りである。すなわち、高負荷側においてもターボ過給機により新気をシリンダ7に押し込めることができれば、高負荷側でも低負荷側と同じに目標LP−EGR率を20%にすることができる。しかしながら、実際にはターボ過給機により新気をシリンダ7に押し込むにしても、押し込むことのできる新気量には限界がある。一方、高負荷側では低負荷側より大きなエンジントルクを発生させる必要がある。そこで、高負荷側では低負荷側よりノッキングが生じない範囲で目標LP−EGR率を小さくし、その小さくした分だけシリンダ7内での燃焼状態をよくすることで、低負荷側よりも大きなエンジントルクが得られるようにするのである。なお、図3では、目標LP−EGR率を2段階で設定しているが、目標LP−EGR率を2段階に設定する場合に限定されるものでない。目標LP−EGR率を3段階以上に、あるいは連続的に目標LP−EGR率を変化させるものであってよい。
次に、上記目標LP−EGR率が得られるようにLP−EGR弁開度を定める必要がある。ここで、本実施形態ではLP−EGR率は次式で定義される値である。
LP−EGR率=LP−EGR弁流量/(新気量+LP−EGR弁流量)
…(1)
(1)式の新気量はエアフローメータ42により検出される空気量のこと、(1)式のLP−EGR弁流量はLP−EGR弁17を流れるガス量のことである。LP−EGR弁流量は、LP−EGR弁前後差圧と、LP−EGR弁開口面積Segrとで定まる。ここで、「LP−EGR弁前後差圧」とは、図4に示したA点の排気圧と、図4に示したB点の吸気圧との差の圧力からEGRクーラ16の流路抵抗に伴う圧力損失分を差し引いた値、つまり次式により算出される値である。
ΔP=(A点の排気圧−B点の吸気圧)−ΔP1 …(2)
ただし、ΔP:LP−EGR弁前後差圧、
ΔP1:EGRクーラの流路抵抗に伴う圧力損失分、
上記の図4はLP−EGR装置14の簡易モデル図である。図4において「A点」とは排気管11bからEGR通路15が分岐する点(EGR通路の分岐部)のこと、「B点」とは吸気管4aにEGR通路15が合流する点(EGR通路の合流部)のことである。図4の簡易モデル図では、メイン触媒13、EGRクーラ16とも流路抵抗となる要素であるので、いずれもオリフィスとして記載している。
上記の(1)式、(2)式より、適合時のA点の排気圧に対して目標LP−EGR率が得られるように、LP−EGR弁開度を設定することになる。
この場合、B点はスロットルバルブ5やコンプレッサ23よりさらに上流でエアクリーナ18の近くにあるためB点の吸気圧は大気圧付近にあってそれほど変化しない。これに対し、A点の排気圧は変化する。これは、エンジンの運転条件に応じて排気温度が変化し、この排気温度の変化を受けてEGR通路の分岐部下流の排気管11b全体の圧力損失が変化するためである。このことは、理論的にも次のように説明できる。すなわち、理想気体の状態方程式PV=mRTをPについて解くと、次式が得られる。
P=mRT/V …(3)
ただし、R:ガス定数、
m:ガスの質量、
(3)式より圧力Pは温度Tに比例する。つまり、A点の排気温度(T)が変化すると、A点の排気圧(P)が変化するわけである。
このため、運転条件の相違でA点の排気圧がLP−EGR弁開度適合時の排気圧より低くなると、上記の(2)式よりLP−EGR弁前後差圧ΔPが小さくなる。LP−EGR弁前後差圧ΔPが小さくなると、その小さくなった分だけLP−EGR弁流量が少なくなる。LP−EGR弁流量が少なくなると、上記の(1)式より実LP−EGR率が目標LP−EGR率より小さくなる。ここで、LP−EGR領域では、目標LP−EGR率に応じ目標LP−EGR率が大きくなるほど点火時期が進角側に向かうように、点火時期を設定している。これは、LP−EGR率を大きくするほどシリンダ7内の燃焼状態が不良になるので、点火時期を進めることによって燃焼不良を解消するためである。このように、目標LP−EGR率に応じて点火時期を設定している場合に、実LP−EGR率が目標LP−EGR率より小さくなると、点火時期の進め過ぎとなりノッキングが発生することが考え得る。
一方、運転条件の相違でA点の排気圧がLP−EGR弁開度適合時の排気圧より高くなると、上記の(2)式よりLP−EGR弁前後差圧ΔPが大きくなる。LP−EGR弁前後差圧ΔPが大きくなると、その大きくなった分だけLP−EGR弁流量が多くなる。LP−EGR弁流量が多くなると、上記の(1)式より実LP−EGR率が目標LP−EGR率より大きくなる。上記のように目標LP−EGR率に応じて点火時期を設定している場合に、実LP−EGR率が目標LP−EGR率より大きくなると、点火時期が遅れ過ぎとなりシリンダ7内の燃焼が悪くなる。シリンダ7内の燃焼が悪くなると、望みのエンジントルクが得られず、運転性が悪くなる。
この対策として、A点の排気圧を圧力センサにより検出し、A点の排気圧が許容範囲内に入っている場合にだけLP−EGR弁流量が適正範囲にあると判断してLP−EGRを許可する。一方、A点の排気圧が許容範囲を外れた場合にはLP−EGR弁流量が適正範囲にないと判断してLP−EGRを禁止することが考えられる。しかしながら、A点の排気圧を検出する圧力センサを設けることによって別の問題が生じる。すなわち、圧力センサは排気脈動の影響を受けると共に応答性が悪い。圧力センサの検出値から排気脈動の影響を排除するには高度のフィルタリング技術が必要となる。また、そもそもA点の排気圧とB点の吸気圧との差圧は、1kPa程度と極く小さい。この極く小さな差圧を精度良く検出するには高価な圧力センサが必要となり、上記高度のフィルタリング技術の必要と相まってコストがアップしてしまう。
ここで、A点の圧力変化は、排気の温度変化に起因する圧力変化であるので、A点の排気圧と強く相関する排気温度がA点やA点より下流の排気管11bにあるはずであると本発明の発明者が考えた。そこで本発明の発明者は、A点の排気圧に相関する排気温度として、まずA点の排気温度を採り、実験してみたところ、A点の排気温度はA点の排気圧に必ずしも相関しないことがわかった。これについて説明すると、図4の簡易モデル図に示したようにA点下流の排気管11bの位置としてC,Dの各点を採用する。C点はメイン触媒13の直ぐ出口の、D点はマフラー19内の点である。
そして、A点の排気圧の変化に対して、A,C,Dの各点の排気温度がどのように変化するのかを計測した結果をタイミングチャートにしたのが図5である。図5上段に示したようにA点の排気圧がt1のタイミングから上昇し、t2のタイミングで一定値に落ち着くとき、図5下段に示したようにA点の排気圧の変化(応答)と強く相関するのはA点ではなくC点の排気温度の変化(応答)であった。すなわち、A点の排気温度は、A点の排気圧が変化を開始するt1のタイミングより前のタイミングで早くも上昇し、A点の排気圧が一定値に落ち着くt2のタイミングより前のタイミングで一定値に落ち着いている(図5下段の破線参照)。一方、D点の排気温度は、A点の排気圧が変化を開始するt1のタイミングより遅れたタイミングで上昇し、A点の排気圧が一定値に落ち着くt2のタイミングより遅れたタイミングで一定値に落ち着いている(図5下段の一点鎖線参照)。これに対して、C点の排気温度は、A点の排気圧が変化を開始するt1のタイミングと同じタイミングで上昇し、A点の排気圧が一定値に落ち着くt2のタイミングと同じタイミングで一定値に落ち着いている(図5下段の実線参照)。このように、実験によるとA点の排気圧の変化(応答)とC点の排気温度の変化(応答)とが強く相関していることが新たに判明したのである。このことは、A点より下流の排気管11bにオリフィス(13)がある場合には、A点の排気圧の代用として、オリフィス出口であるC点の排気温度を用いることができることを示している。この場合、圧力センサよりも温度センサのほうが排気圧の脈動の影響を受けにくいというメリットもある。
上記のようにA点の排気圧の変化(応答)とC点の排気温度の変化(応答)とが強く相関する理由は次の通りである。すなわち、A点より下流の排気管11bを流れる排気流れは一様でなく、A点より下流の排気管11にオリフィス(13)があればその部分で流れがよどむ(排気の流れがオリフィスで律せられる)。図4の簡易モデル図では、メイン触媒13がオリフィスとして機能することから、排気流れがよどむC点の排気温度がA点より下流の排気管11b全体の温度を律していると考えられるためである。
そこで本発明の第1実施形態では、メイン触媒13出口温度(分岐部下流の排気管11bの排気温度)を温度センサ46(図1参照)により検出する。そして、検出した排気温度が許容範囲内に入っている場合にだけLP−EGR弁流量が適正範囲にあると判断してLP−EGRを許可する。一方、検出した排気温度が許容範囲を外れた場合にはLP−EGR弁流量が適正範囲にないと判断してLP−EGRを禁止する。
本実施形態では、A点下流の排気管11bを流れる排気の流速を、メイン触媒13が律速する要素として機能したために、メイン触媒出口温度がA点の排気圧と強い相関を持つことを見出した。A点下流の排気管11bに配置する触媒等の構成が異なれば、A点下流の排気管11bを流れる排気の流速を律速する要素が異なってくる。このため、A点下流の排気11bに配置する触媒等の構成(仕様)が決まれば、その決まった構成に対して、A点の排気圧と強く相関する排気温度を、A点下流の排気管11bから探すことになる。
さらに図6を参照して本実施形態を説明すると、図6はLP−EGR弁17の流量特性図である。図6においては横軸にLP−EGR弁開口面積を、縦軸にLP−EGR弁流量を採っている。メイン触媒出口温度が基準温度であるときの流量特性がαの直線であったとする。LP−EGR弁17などのLP−EGR装置の製作バラツキによって実際のLP−EGR弁流量特性はバラツク。そこで、基準温度に対してある幅を有する許容温度幅(許容範囲)を設ける。その許容範囲の下限値をTA、許容範囲の上限値をTBとすると、メイン触媒出口温度が下限値TA、上限値TBのときの流量特性はそれぞれβ、γの直線となる。
ここで、ノッキングが発生せずかつシリンダ7内の燃焼状態が悪化しないように点火時期を目標LP−EGR率に基づいて適合しているものとする。例えば、図12に示したように目標LP−EGR率が大きくなるほど点火時期を進角側に設定しておく。本実施形態では、目標LP−EGR率が10%と20%しか採り得ないので、目標LP−EGR率が10%のとき点火時期は所定値cに、目標LP−EGR率が20%のとき点火時期は所定値dになる。LP−EGR領域において図12に示した点火時期を用いて火花点火を行わせたとき、ノッキングが発生せずかつシリンダ7内の燃焼状態が悪化しないように上記の下限値TA、上限値TBを定めることとなる。このようにTA、TBを設定しておけば、メイン触媒出口温度が下限値TA以上で上限値TB以下の許容範囲にある限り、例えばLP−EGR弁開口面積が所定値S1であるとき、LP−EGR弁流量はQβとQγの適正範囲に収まる。図12に示した点火時期で火花点火を行わせたとき、LP−EGR弁流量が適正範囲に収まっている限りノッキングが発生せずかつシリンダ7内の燃焼状態が悪化することはない。
一方、メイン触媒出口温度が許容範囲を外れて低い場合、許容範囲の下限値TAからの温度低下分だけA点の排気圧が小さくなる。すると、LP−EGR弁流量特性がδの直線へと移るため、LP−EGR弁開口面積が所定値S1と同じでも、LP−EGR弁流量はQδとなり、Qβより少なくなる。言い換えると、QβとQδの差のLP−EGR弁流量分だけ実LP−EGR率が目標LP−EGR率を外れて小さくなる。これによって、実LP−EGR率が目標LP−EGR率を外れて小さくなった分だけシリンダ7内の燃焼状態が良くなるため、目標LP−EGR率をベースに適合した点火時期では、過進角となりノッキングが発生する可能性がある。
また、メイン触媒出口温度が許容範囲を外れて高い場合、許容範囲の上限値TBからの温度上昇分だけA点の排気圧が大きくなる。すると、LP−EGR弁流量特性がεの直線へと移るため、LP−EGR弁開口面積が所定値S1と同じでも、LP−EGR弁流量はQεとなり、Qγより多くなる。言い換えると、QεとQγの差のLP−EGR弁流量分だけ実LP−EGR率が目標LP−EGR率を外れて大きくなる。これによって、実LP−EGR率が目標LP−EGR率を外れて大きくなった分だけシリンダ7内の燃焼状態が悪くなるため、目標LP−EGR率をベースに適合した点火時期では、遅角のし過ぎとなり燃焼状態がさらに悪化して運転性が悪くなる可能性がある。
そこで本実施形態では、メイン触媒出口温度が予め定めた許容範囲から外れた場合にはLP−EGR領域であってもLP−EGR弁17を開くことを禁止するのである。
図1に示したように、燃料噴射弁8及び点火プラグ9に加えて、LP−EGR弁17、ウェイストゲートバルブ25、リサーキュレーションバルブ32を制御するため、エンジンコントローラ41を備える。エンジンコントローラ41はマイクロプロセッサ、ROM及びRAM等の周辺機器を備えたコンピュータユニットとして構成されている。エンジンコントローラ41には、エアフローメータ42、アクセルセンサ43、クランク角センサ44、過給圧センサ45、温度センサ46からの信号が入力する。ここで、エアフローメータ42は吸気管4a内に流入する空気量(質量流量)を検出する。アクセルセンサ43はアクセルペダルの踏込量(アクセル開度)及びその変化量を検出する。クランク角センサ44はエンジン回転速度を検出する。過給圧センサ45は吸気コレクタ4bの圧力(実過給圧)を検出する。温度センサ46はメイン触媒13の出口温度を検出する。
エンジンコントローラ41で行われるLP−EGR制御を、以下のフローチャートを参照して説明する。まず図7のフローチャートは、LP−EGR許可フラグを設定するためのものである。図7のフローは一定時間毎(たとえば10ms毎)に実行する。
エンジンの回転速度Neとエンジン負荷から定まるエンジンの運転点が図2に示したLP−EGR領域にあるか否かをみる。上記のエンジン負荷としては、例えば基本噴射パルス幅Tpを用いればよい。基本噴射パルス幅Tpは、燃料噴射弁8に与える燃料噴射パルス幅Tiを算出する際の基本値で、エンジン回転速度Neと吸入空気量Qaに基づいて算出されている。エンジンの運転点が図2に示したLP−EGR領域にないときにはステップ4に進み、LP−EGR許可フラグ(エンジンの始動時にゼロに初期設定)=0とする。
ステップ1でエンジンの運転点が図2に示したLP−EGR領域にあるときにはステップ2に進み、温度センサ46により検出されるメイン触媒出口温度Tmainが許容範囲にあるか否かをみる。ここで、許容範囲の下限値TA、許容範囲の上限値TBは予め定めておく。メイン触媒出口温度Tmainが下限値TA以上でかつ上限値TB以下(許容範囲)にあれば、LP−EGR弁流量が適正範囲にあると判断する。このときにはステップ2よりステップ3に進み、LP−EGR許可フラグ=1とする。
ステップ2でメイン触媒出口温度Tmainが下限値TA未満であるかまたはメイン触媒出口温度Tmainが上限値TBを超えているときにはLP−EGR弁流量が適正範囲にないと判断する。このときにはステップ4に進み、LP−EGR許可フラグ=0とする。このようにして設定されるLP−EGR許可フラグの値はメモリに保存する。
本実施形態では、メイン触媒出口温度を温度センサ46により検出しているが、メイン触媒出口温度を算出(推定)により求めるものであってよい。メイン触媒出口温度を算出するには公知の手法を用いればよい。例えば、ウェイストゲートバルブ25のすぐ下流の排気管11bには、ウェイストゲートバルブ25の開度補正のために温度センサを設けている(図示していない)。この温度センサ位置で排気温度がステップ的に変化したとすると、メイン触媒出口温度は、このステップ変化した排気温度に対して、ほぼ一次の応答遅れをもって変化するものとみなすことができる。このため、ウェイストゲートバルブ25のすぐ下流の温度センサにより検出される排気温度に対して一次遅れの処理を施した値を、メイン触媒出口温度として簡易に求めることができる。この場合、ウェイストゲートバルブ25のすぐ下流の排気温度も、簡易にはエンジン回転速度Neとエンジン負荷をパラメータとするマップを参照して求めることができる。以上のメイン触媒出口温度の算出方法では、排気管からの放熱やタービン仕事に伴う排気エネルギの減少などを無視した。実際には、ウェイストゲートバルブ以降で、排気管11bからの放熱、タービン22のする仕事、触媒12,13の通過によって排気の熱が奪われてゆく。そこで、排気管11bからの放熱による温度低下分、タービン22のする仕事によって温度低下する分、触媒12,13の通過に伴う温度低下分を個別に求めるか予め設定しておく。そして、ウェイストゲートバルブ25のすぐ下流の温度センサにより検出される排気温度に対してそれぞれの温度低下分を加味することによって、メイン触媒出口温度をより精度良く求めるようにしてもかまわない。
次に、図8のフローチャートは目標LP−EGR弁開度を算出するためのものである。図8のフローは一定時間毎(たとえば10ms毎)に図7のフローに続けて実行する。
ステップ11では、LP−EGR許可フラグ(図7のフローにより設定済み)=1であるか否かをみる。LP−EGR許可フラグ=1であるときにはLP−EGRを行わせるためステップ12〜15に進む。
ステップ12〜15はLP−EGR領域で目標LP−EGR弁開度を算出する部分である。まず、ステップ12では、エンジン回転速度Neとエンジン負荷から前述の図3を内容とするマップを検索することにより、目標LP−EGR率Megr[%]を算出する。図3に示したように目標LP−EGR率はエンジン回転速度Neとエンジン負荷をパラメータとするマップ上に予め定められている。
ステップ13では、この目標LP−EGR率Megrから図9を内容とするテーブルを検索することにより、基本LP−EGR弁開度voLP−EGR0を算出する。図9に示したように基本LP−EGR弁開度は目標LP−EGR率が大きくなるほど大きくなる値である。本実施形態では、目標LP−EGR率が10%と20%しか採り得ないので、目標LP−EGR率が10%のとき基本LP−EGR弁開度は所定値aに、目標LP−EGR率が20%のとき基本LP−EGR弁開度は所定値bになる。
ステップ14では、エンジン回転速度Neとエンジン負荷から図10を内容とするマップを検索することにより、トリミング係数Ktrm[無名数]を算出する。トリミング係数は1.0を中心とする値である。図10に示したように、LP−EGR領域のうち、低回転速度低負荷側の領域に1.1が、高回転速度高負荷側の領域に0.9が、残りの領域に1.0が入っている。トリミング係数が1.0を超えるときには目標LP−EGR弁開度が増大する側に、トリミング係数が1.0を下回るときには目標LP−EGR弁開度が減少する側に補正される。
ステップ15では、基本LP−EGR弁開度voLP−EGR0にトリミング係数Ktrmを乗算することによって、つまり次式により目標LP−EGR弁開度voLP−EGRを算出する。
voLP−EGR=voLP−EGR0×Ktrm …(4)
上記のトリミング係数Ktrmは、吸入空気量Qa(エンジン負荷)とエンジン回転速度Neが相違しても、目標LP−EGR率が得られるようにするためのものである。
上記トリミング係数Ktrmの役割について具体的に説明する。たとえばエンジン回転速度Neが一定の条件でみると、図11に示したように吸入空気量Qaに対してLP−EGR弁前後差圧が変化する。これは吸入空気量Qaが多くなるほど排気温度が高くなり、排気温度が高くなるほどA点の排気圧が2次関数的に大きくなるためである。図11より、吸入空気量Qaが相対的に小さい低負荷側では相対的に小さな差圧しか得られず、吸入空気量Qaが相対的に大きい高負荷側では相対的に大きな差圧が得られる。このことは、低負荷側ではLP−EGR弁流量が相対的に小さく(LP−EGR弁をEGRガスが流れにくく)、高負荷側ではLP−EGR弁流量が相対的に大きく(LP−EGR弁をEGRガスが流れ易く)なることを意味する。いま、Qaが相対的に小さい低負荷とQaが相対的に大きい高負荷の中間の吸入空気量Qaを適合時の吸入空気量として選択し、適合時の吸入空気量をQ1としたとする。このとき、適合時の吸入空気量Q1より小さな低負荷側では、適合時のLP−EGR弁流量よりLP−EGR弁流量が少なくなる。LP−EGR弁流量が少なくなると、実EGR率が目標EGR率から外れて小さくなってしまう。そこで、図10に示したように、低負荷側では1.1のトリミング係数を与えてLP−EGR弁開度を増大補正することで、低負荷側でも実EGR率が目標EGR率から外れて小さくならないようにする。
また、適合時の吸入空気量Q1より高負荷側では、適合時のLP−EGR弁流量よりLP−EGR弁流量が多くなる。LP−EGR弁流量が多くなると、実EGR率が目標EGR率から外れて大きくなってしまう。そこで、図10に示したように、高負荷側では0.9のトリミング係数を与えてLP−EGR弁開度を減少補正することで、高負荷側でも実EGR率が目標EGR率から外れて大きくならないようにする。
本実施形態では、LP−EGR領域を3つに区分し、領域毎に1つのトリミング係数を与えている(つまり段階的に3つの異なるトリミング係数を与えている)が、この場合に限定されるものでない。段階的に4つ以上の異なるトリミング係数を与えるものであっても、また無段階にトリミング係数を与えるものであってもよい。
図8のステップ11で、LP−EGR許可フラグ=0であるときにはステップ16に進み、目標LP−EGR弁開度voLP−EGRにゼロを入れる。これによって、メイン触媒出口温度Tmainが許容範囲を外れているときにはLP−EGR弁流量が適正範囲にないと判断しLP−EGRを禁止するため、LP−EGR弁17を全閉状態とする。
図示しないフローでは、この目標LP−EGR弁開度voLP−EGRが得られるようLP−EGR弁アクチュエータであるモータ18に信号を出力する。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
目標LP−EGR率が得られるように目標LP−EGR弁開度(目標EGR弁流量)を設定している。この場合、LP−EGR弁流量は、図4に示したようにA点(EGR通路の分岐部)の排気圧と、B点(EGR通路の合流部)の吸気圧との差圧に応じて変化する。このため、実際のA点の排気圧が適合時のA点の排気圧より上昇したときには、その排気圧の上昇分だけ実際のLP−EGR弁流量が目標LP−EGR弁流量より多くなり、実LP−EGR率が目標LP−EGR率から外れて大きくなる。一方、実際のA点の排気圧が適合時のA点の排気圧より低下したときには、その排気圧の低下分だけ実際のLP−EGR弁流量が目標LP−EGR弁流量より少なくなり、実LP−EGR率が目標LP−EGR率から外れて小さくなる。目標LP−EGR率に応じて点火時期を設定している場合に、LP−EGR領域で実LP−EGR率が目標LP−EGR率から外れて大きくなったときにはシリンダ7内の燃焼状態が悪くなり運転性が悪くなる。同じく、目標LP−EGR率に応じて点火時期を設定している場合に、LP−EGR領域で実LP−EGR率が目標LP−EGR率から外れて小さくなったときにはノッキングが生じ得る。こうした実LP−EGR率の目標LP−EGR率からの乖離を防止するには、A点の排気圧を検出し、検出した排気圧が予め定めた許容範囲から外れた場合にLP−EGR領域であってもLP−EGR弁17を開くことを禁止することが考えられる。しかしながら、A点に排気圧を検出する圧力センサを設けても、圧力センサは排気脈動の影響を受ける上に応答性が悪いため、排気圧が予め定めた許容範囲から外れたか否かの判定精度が悪い。一方、本実施形態では、A点(分岐部)の排気圧と相関する、A点より下流の排気管11bの排気温度を検出し、この検出したA点下流の排気管11bの排気温度が許容温度を外れて低くなったり高くなったりしたとき、LP−EGRを禁止する。A点下流の排気管11bの排気温度を検出する温度センサは、圧力センサと異なり排気脈動の影響を受けないので、LP−EGR弁流量が適正範囲にあるか否かの判定精度を向上できる。
上記(3)式のmはガスの温度によって変化する。つまり、mはLP−EGR弁17を通過するガスの状態に応じた値である。このため、上記(3)式のPとTの関係においてLP−EGR弁17を通過するガスが低温である場合のほうが高温である場合よりP(A点の排気圧)とT(メイン触媒出口温度)の相関をより高くするものとなる。LP−EGR弁17の上流にEGRクーラ16がないと、LP−EGR弁17を通過するガスが高温となることがあり、このとき上記(3)式のPとTの関係においてP(A点の排気圧)とT(メイン触媒出口温度)の相関を弱めることとなる。一方、本実施形態では、LP−EGR弁上流のEGR通路15に、EGR通路15を流れるガスを冷却するEGRクーラ16を備えることで、EGRクーラ16を備えない場合よりLP−EGR弁17を流れるガスが低温状態に保たれる。これによって、上記(3)式のPとTの関係においてP(A点の排気圧)とT(メイン触媒出口温度)の相関がより強くなるので、LP−EGR弁流量が適正範囲にあるか否かの判定精度をさらに向上できる。
A点(分岐部)の下流の排気管11bにメイン触媒13が備えられる場合には、このメイン触媒13がA点下流の排気管11bにおいて流路抵抗として働くため、A点の排気温度がA点の排気圧と必ずしも相関しない値となる。圧力センサより温度センサのほうが、判定精度が向上するといっても、A点の排気温度がA点の排気圧と必ずしも相関しない場合にまで判定精度が向上するとはいえない。一方、メイン触媒出口温度は、A点の排気圧と強く相関することを本発明者が新たに見い出している。本実施形態では、エンジンはガソリンエンジンであり、排気管11bに下流側に向かってマニホールド触媒12とメイン触媒13を直列に備え、EGR通路15はマニホールド触媒12とメイン触媒13の間の排気管11bから分岐するものである。そして、A点より下流の排気管11bの排気温度はメイン触媒13の出口温度である。これによって、A点下流の排気管11bにメイン触媒13を備えるガソリンエンジンにおいても、LP−EGR弁流量が適正範囲にあるか否かの判定精度を向上できる。
実施形態では、EGR通路15の分岐部下流の排気管11bにメイン触媒13を有するものを前提としたために、分岐部の排気圧と分岐部の排気温度が強くは相関しないこととなり、メイン触媒出口の温度を検出する場合で説明したが、この場合に限られるものでない。EGR通路15の分岐部下流の排気管11bにメイン触媒13を有さないものを前提とするものにも本発明を適用できる。EGR通路15の分岐部下流の排気管11bにメイン触媒13を有さないものを前提とする場合には、分岐部の排気圧と分岐部の排気温度が強く相関するので、EGR通路の分岐部の排気温度を検出するか推定すればよい。
実施形態では、ガソリンエンジンにLP−EGR装置を適用する場合で説明したが、この場合に限られるものでなく、ディーゼルエンジンにLP−EGR装置を適用する場合にも本発明の適用がある。
1 ガソリンエンジン
4 吸気通路
4a 吸気管
4b 吸気コレクタ
8 燃料噴射弁
9 点火プラグ
11 吸気通路
11b 排気管
12 マニホールド触媒
13 メイン触媒
14 LP−EGR装置
15 EGR通路
16 EGRクーラ
17 LP−EGR弁
41 エンジンコントローラ(制御手段、禁止手段)
46 排気温度センサ

Claims (3)

  1. 過給機のタービン下流におけるエンジンの排気管から分岐しシリンダをバイパスして当該過給機のコンプレッサ上流の吸気管に合流するEGR通路と、
    前記EGR通路を開閉するEGR弁と、
    EGR領域で前記EGR弁を開き、非EGR領域で前記EGR弁を全閉状態に制御する制御手段と
    を有するEGR制御装置において、
    前記EGR通路の分岐部の排気温度または前記EGR通路の分岐部より下流の排気管の排気温度を検出または推定する排気温度検出・推定手段と、
    前記検出または推定される排気温度が予め定めた許容範囲の上限値を超える場合及び前記排気温度が前記許容範囲の下限値を下回る場合に前記EGR領域であっても前記EGR弁を開くことを禁止する禁止手段と
    を備えることを特徴とするEGR制御装置。
  2. 前記EGR弁上流のEGR通路にEGR通路を流れるガスを冷却するEGRクーラを備えることを特徴とする請求項1に記載のEGR制御装置。
  3. 前記エンジンはガソリンエンジンであり、
    前記排気管に介装されるタービン及び前記吸気管に介装されるコンプレッサを有するターボ過給機と、
    前記タービン下流の排気管に下流側に向かってマニホールド触媒とメイン触媒を直列に備え、
    前記EGR通路は前記マニホールド触媒とメイン触媒の間の排気管から分岐し、前記コンプレッサ上流の吸気管に合流するものであり、
    前記EGR通路の分岐部より下流の排気管の排気温度は前記メイン触媒の出口温度であることを特徴とする請求項1または2に記載のEGR制御装置。
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