本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明する構成要素の全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。複数の図を通じて同一の符号は、同一の構成要素を示している。本実施形態において、図中のX軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。また、X軸及びY軸は水平面に平行であり、Z軸は鉛直線に平行である。
図1を参照して実施形態に係るインクジェット記録装置1について説明する。図1は、インクジェット記録装置1を示す。インクジェット記録装置1は、トレイ200と、給送ローラー201と、第1搬送ユニット205と、ヘッド部3と、第2搬送ユニット212と、排出ローラー216と、ワイパー部60と、キャップユニット290と、制御部50とを備える。
トレイ200は、被記録媒体の一種である用紙Pを収納する。トレイ200は、第1搬送ユニット205よりも用紙Pの搬送方向D0の上流側(図1では右側)に配置される。トレイ200の搬送方向D0に対する下流端には、給送ローラー201が設けられる。給送ローラー201は、トレイ200に収容された用紙Pを一枚ずつ第1搬送ユニット205へ供給する。
第1搬送ユニット205は、給送ローラー201から供給された用紙Pを、第1搬送ベルト208に載置して搬送方向D0へ向けて搬送する。第1搬送ユニット205は、第1駆動ローラー206と、第1従動ローラー207と、第1搬送ベルト208とを備える。第1搬送ベルト208は、第1駆動ローラー206及び第1従動ローラー207に掛け渡される。第1駆動ローラー206が図略のモーターによって回転駆動されることによって、第1搬送ベルト208が回転し、第1搬送ベルト208上に載置された用紙Pが搬送方向D0に沿って搬送される。
ヘッド部3は、第1搬送ユニット205に対向して配置される。ヘッド部3は、第1搬送ユニット205によって搬送される用紙Pに対してインクを吐出して用紙Pに画像を形成する。ヘッド部3は、複数種類(本実施形態では4種類)のラインヘッド10Y、10M、10C、10Kを備える。ヘッド部3の詳細については後述する。
第2搬送ユニット212は、第1搬送ユニット205よりも搬送方向D0の下流側(図1では左側)に配置される。第2搬送ユニット212は、第2駆動ローラー213と、第2従動ローラー214と、第2搬送ベルト215とを備える。第2搬送ベルト215は、第2駆動ローラー213及び第2従動ローラー214に掛け渡される。第2駆動ローラー213が図略のモーターによって回転駆動されることによって、第2搬送ベルト215が回転し、第2搬送ベルト215上に載置された用紙Pが搬送方向D0に沿って搬送される。
ヘッド部3によって画像が形成された用紙Pは、第2搬送ユニット212へ送られ、用紙Pが第2搬送ユニット212を通過する間に、用紙Pの表面に付着したインクが乾燥される。排出ローラー216は、第2搬送ユニット212によって搬送されてきた用紙Pを、インクジェット記録装置1の外部へ排出する。
制御部50は、インクジェット記録装置1全体の動作を制御する。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリーとを有する。メモリーには、CPUによって実行される種々のコンピュータープログラムが記憶される。CPUが、メモリーに記憶された各種のコンピュータープログラムを実行することにより、制御部50の機能が実現される。
ワイパー部60は、第2搬送ユニット212の下方に配置される。ワイパー部60は、複数のワイパーブレード20を含む。ワイパー部60は、ワイパーブレード20を用いて、ヘッド部3に付着したインクの拭き取り(ワイピング)を行う。例えば、制御部50は、ワイパーブレード20にワイピングを行わせる場合、まず、第1搬送ユニット205を下降させる。そして、制御部50は、ワイパー部60を水平移動させてヘッド部3の下方の待機位置(ヘッド部3と第1搬送ユニット205との間の位置)に位置させる。その後、制御部50は、ワイパー部60を上昇させて、ヘッド部3をワイピングさせる。ワイパー部60の詳細については後述する。
キャップユニット290は、第2搬送ユニット212の下方であって、ワイパー部60の上方に配置される。キャップユニット290は、ヘッド部3が一定時間以上利用されない場合に、ヘッド部3に装着される。これにより、ヘッド部3内のインクの増粘及び乾燥が防止される。例えば、制御部50は、キャップユニット290をヘッド部3に装着させる場合、第1搬送ユニット205を下降させる。そして、制御部50は、キャップユニット290を水平移動させてヘッド部3の下方の待機位置に位置させる。その後、制御部50は、キャップユニット290を上昇させて、キャップユニット290をヘッド部3に装着させる。キャップユニット290は、ヘッド部3に着脱自在に装着される。キャップユニット290の詳細については後述する。
次に、図2及び図3を参照して、ヘッド部3、記録ヘッド10及びワイパーブレード20について詳細に説明する。図2は、実施形態1に係るヘッド部3の斜視図である。ヘッド部3は、ヘッドハウジング18をさらに備える。複数種類のラインヘッド10Y、10M、10C、10Kは、ヘッドハウジング18に保持される。ラインヘッド10Yは、イエロー色用のラインヘッドである。ラインヘッド10Mは、マゼンタ色用のラインヘッドである。ラインヘッド10Cは、シアン色用のラインヘッドである。ラインヘッド10Kは、ブラック色用のラインヘッドである。
ラインヘッド10Y、10M、10C、10Kは、用紙Pの搬送方向D0の上流側から下流側へ向けて、ラインヘッド10K、ラインヘッド10C、ラインヘッド10M、ラインヘッド10Yの順に配置される。本実施形態1において、ラインヘッド10Y、10M、10C、10Kは、それぞれ、搬送方向D0に直交する方向(本実施形態ではX軸方向)に沿って千鳥状に配置される3個の記録ヘッド10を含む。ラインヘッド10Yの3つの記録ヘッド10のそれぞれは、イエロー色のインクを吐出する。ラインヘッド10Mの3つの記録ヘッド10のそれぞれは、マゼンタ色のインクを吐出する。ラインヘッド10Cの3つの記録ヘッド10のそれぞれは、シアン色のインクを吐出する。ラインヘッド10Kの3つの記録ヘッド10のそれぞれは、ブラック色のインクを吐出する。
図3は、記録ヘッド10及びワイパーブレード20の構成図である。記録ヘッド10は、インク流入口13と、インク流出口15とを備える。記録ヘッド10は、インク吐出面17を有する。本実施形態において、インク吐出面17は、平面である。インク吐出面17は、ノズル領域ANと、第1隣接領域A1と、第2隣接領域A2とを含む。ノズル領域ANには、複数のノズル11が形成される。ノズル11は、例えば、インク吐出面17の中央部に形成される。従って、ノズル領域ANは、インク吐出面17の中央部に位置する。第1隣接領域A1は、ノズル領域ANの一方端に隣接する。一方、第2隣接領域A2は、ノズル領域ANの他方端に隣接する。第1隣接領域A1及び第2隣接領域A2は、インク吐出面17のうち、ノズル11の形成されていない領域である。
ノズル11は、用紙Pに画像を形成するためのインクを吐出する。ノズル11によって吐出されるインクは、図略のインクタンクからインク流入口13を経由して記録ヘッド10内に流入される。インクタンク内では、インクの揮発成分の蒸発が防止されている。従って、ノズル11から吐出されるインクは、増粘していないフレッシュなインクである。
複数のワイパーブレード20は、複数の記録ヘッド10のそれぞれに対応する。すなわち、複数のワイパーブレード20のうちの1つのワイパーブレード20は、対応する記録ヘッド10のインク吐出面17のワイピングを行う。但し、図3では、説明の便宜上、1つの記録ヘッド10と1つの記録ヘッド10に対応するワイパーブレード20が示されている。ワイパーブレード20は、弾性を有する。ワイパーブレード20は、例えば、弾性部材、具体的には合成ゴム又は合成樹脂により構成される。
記録ヘッド10は、ワイパーブレード20がワイピングを行う前に、パージ処理を行う。パージ処理とは、ノズル11からインクNfを強制的に押し出す処理である。パージ処理時にノズル11から排出されるインクNfは、画像を形成するために吐出されるインクと同様にフレッシュである。また、記録ヘッド10は、パージ処理において、インクNfとともに記録ヘッド10内の不要物をノズル11から排出する。
ワイパーブレード20は、ワイピング方向D1、上昇方向D3、及び上昇方向D3と逆向きの下降方向D4へ移動する。ワイピング方向D1は、X軸に沿う方向、すなわちインク吐出面17に沿う方向である。上昇方向D3と、下降方向D4とは、Z軸に沿う方向である。
引き続き図3を参照してワイパーブレード20が行うインク吐出面17のワイピングについて説明する。まず、記録ヘッド10はパージ処理を行い、ノズル11からインクNfを排出する。次に、ワイパーブレード20は上昇方向D3へ移動し、第1隣接領域A1に当接する。そして、ワイパーブレード20は、インク吐出面17に当接する状態を維持しつつワイピング方向D1へ移動することでノズル領域ANを経由し、ノズル領域ANを通過する。その後、ワイパーブレード20は、第2隣接領域A2まで移動して下降方向D4に移動し、インク吐出面17から離れる。その結果、ワイパーブレード20は、インクNfを拭き取るとともに、インク吐出面17に付着した不要物(例えば、ゴミ、埃)を拭き取ってインク吐出面17を清掃する。
次に、図1、図2、及び図4を参照して、キャップユニット290について説明する。図4(a)は、キャップユニット290を示す側面図である。図4(b)は、キャップユニット290を示す平面図である。キャップユニット290は、移動機構291と、第1多孔質部材としての第1スポンジ295aと、第2多孔質部材としての第2スポンジ295bと、キャップ297とを備える。以下、本明細書において第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを総称してスポンジ295と記載する場合がある。
キャップ297は、板状の部材であり平面視において矩形状である。キャップ297は、インク吐出面17の延びる方向に沿って延びる。キャップ297は、例えば、EPDM(ethylene−propylene−diene terpolymer)又は合成樹脂により形成される。
第1スポンジ295aは、キャップ297の長手方向における一方端の外側で、キャップ297に隣り合うように配置されている。また、第2スポンジ295bは、キャップ297の長手方向における他方端の外側で、キャップ297に隣り合うように配置されている。第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bには、液体が浸透されている。スポンジ295に浸透されている液体は、例えば、ビヒクルを含有する。また、スポンジ295に浸透されている液体は、界面活性剤を含有する。スポンジ295に浸透されている液体は、例えば水より低い揮発性を有する。従って、スポンジ295に浸透されている液体は、水より蒸発しにくい。スポンジ295に浸透されている液体は、水の20分の1以下の揮発性を有することが好ましい。
移動機構291は、キャップ297、第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを移動させる。例えば、移動機構291は、キャップ297、第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを上昇方向D3又は下降方向D4へ移動させる。移動機構291が記録ヘッド10に向かってキャップ297、第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを上昇方向D3へ移動させると、キャップ297は、ノズル領域ANに当接し、第1スポンジ295aは、第1隣接領域A1に当接し、第2スポンジ295bは、第2隣接領域A2に当接する。キャップ297がノズル領域ANに当接することで、ノズル11は、キャップ297によってキャッピングされる。
ワイパーブレード20がインク吐出面17をワイピングすることによって、第1隣接領域A1及び/又は第2隣接領域A2にインクNvが付着する場合がある。この場合、第1スポンジ295aは、第1隣接領域A1に当接するとともに、インクNvに接触する。また、第2スポンジ295bは、第2隣接領域A2に当接するとともに、インクNvに接触する。その結果、第1隣接領域A1及び/又は第2隣接領域A2に付着するインクNvは、第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bに浸透されている液体によって増粘が抑制される。
以上、図1〜図4を参照して説明したように、本実施形態によれば、ノズル11はキャップ297によってキャッピングされ、第1隣接領域A1には液体を浸透させた第1スポンジ295aが当接し、第2隣接領域A2には液体を浸透させた第2スポンジ295bが当接する。その結果、インク吐出面17に付着するインクの増粘が抑制される。インク吐出面17に付着したインクの増粘を抑制することによって、例えば、増粘したインクNvを拭き取る際のワイパーブレード20にかかる負荷が抑制され、ワイパーブレード20が損傷することを防止できる。また、例えば、増粘を抑制されたインクNv、すなわち粘度の低いインクをワイパーブレード20が拭き取ることによって、インク吐出面17の汚染が抑制される。
また、本実施形態によれば、スポンジ295には、水より低い揮発性を有する液体が浸透されている。従って、スポンジ295に水を浸透させた場合と比較して、スポンジ295の乾きが抑制される。その結果、スポンジ295に水を浸透させた場合よりも、スポンジ295の使用期間を延長することができる。
さらに、本実施形態によれば、ノズル11はキャップ297にキャッピングされる。従って、ノズル11の内部に存在するインクの増粘が抑制される。その結果、ノズル11から吐出されるインクの吐出方向がずれたり、ノズル11が詰まることを防止できる。
さらに、本実施形態によれば、キャップ297がインク吐出面17のうちノズル領域ANに当接し、第1隣接領域A1及び第2隣接領域A2には、液体を浸透させたスポンジ295が当接する。従って、キャップ297がインク吐出面17のうちノズル領域AN、第1隣接領域A1及び第2隣接領域A2に当接する場合と比較してキャップ297を小型化できる。その結果、インク吐出面17に付着するインクNvの乾燥又は増粘を抑制しつつキャップ297の製造コストを抑制できる。
(実施形態2)
図5を参照して、本発明の実施形態2に係るインクジェット記録装置1について説明する。実施形態2に係るインクジェット記録装置1の構成は、実施形態1に係るインクジェット記録装置1の構成と同様である。ただし、実施形態2に係るインクジェット記録装置1のキャップユニット290は、移動機構291に代えて、第1移動機構291a及び第2移動機構291bを有する。以下、主に実施形態2と実施形態1との相違点を説明する。
図5(a)は、キャップユニット290を示す側面図である。図5(b)は、キャップユニット290を示す平面図である。第1移動機構291aは、キャップ297を移動させる。例えば、第1移動機構291aは、キャップ297を上昇方向D3又は下降方向D4に移動させる。第1移動機構291aが記録ヘッド10に向かってキャップ297を上昇方向D3へ移動させることによって、キャップ297は、ノズル領域ANに当接する。すなわち、キャップ297は、ノズル11をキャッピングする。
一方、第2移動機構291bは、第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを移動させる。例えば、第2移動機構291bは、第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを上昇方向D3又は下降方向D4に移動させる。第2移動機構291bが記録ヘッド10に向かって第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを上昇方向D3へ移動させることによって、第1スポンジ295aは、第1隣接領域A1に当接し、第2スポンジ295bは、第2隣接領域A2に当接する。
第1移動機構291aがキャップ297を上昇方向D3に移動させるタイミングと、第2移動機構291bが第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを上昇方向D3に移動させるタイミングとは、同時でもよいし異なっていてもよい。また、第1移動機構291aがキャップ297を上昇方向D3又は下降方向D4に移動させる距離と、第2移動機構291bが第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを上昇方向D3又は下降方向D4に移動させる距離とは、同じでもよいし異なっていてもよい。ユーザーは、第1移動機構291aがキャップ297を上昇方向D3又は下降方向D4に移動させる距離と、第2移動機構291bが第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを上昇方向D3または下降方向D4に移動させる距離とをそれぞれ任意に設定できる。
以上、図5を参照して説明したように、実施形態2によれば、第1移動機構291aがキャップ297を上昇方向D3に移動させるタイミングと、第2移動機構291bがスポンジ295を上昇方向D3に移動させるタイミングとは異なっていてもよい。従って、第1移動機構291aがキャップ297を上昇方向D3に移動させてノズル領域ANに当接させた後に、第2移動機構291bが第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bのそれぞれを第1隣接領域A1及び第2隣接領域A2のそれぞれに当接させてもよい。その結果、第1スポンジ295a又は第2スポンジ295bが、キャップ297と記録ヘッド10とに挟まれることを抑制でき、キャップ297と記録ヘッド10との密着性が向上する。
また、本実施形態によれば、ユーザーは、第1移動機構291aがキャップ297を上昇方向D3に移動させる距離と、第2移動機構291bが第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを上昇方向D3に移動させる距離とをそれぞれ任意に設定できる。従って、スポンジ295の厚みが薄くなった場合、ユーザーは、第2移動機構291bのスポンジ295を上昇方向D3に移動させる距離を、第1移動機構291aがキャップ297を上昇方向D3に移動させる距離よりも長くすることができる。その結果、ユーザーは、スポンジ295の厚みが薄くなった場合、キャップ297をノズル11にキャッピングさせる高さを維持させつつ、スポンジ295をインク吐出面17に当接させることができる。
次に、表1を参照して本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。表1は、実施例1、2及び比較例1、2に係るインクジェット記録装置1のインク吐出精度の評価結果を示す。
実施例1、2及び比較例1、2では、8時間ごとに記録ヘッド10にパージ処理を行わせ、ワイパーブレード20に記録ヘッド10のインク吐出面17をワイピングさせた後、キャップユニット290をヘッド部3に装着させた。そして、1週間経過するごとに、記録ヘッド10に、インクを吐出しないノズル11及び/又はインクの吐出方向がずれたノズル11が存在するか否かを確認した。インク吐出精度の評価基準として、インクを吐出しないノズル11及び/又はインクの吐出方向がずれたノズル11が存在しない場合は○、存在する場合は×とした。なお、この確認を行う前に、記録ヘッド10のインク吐出面17は、ワイパーブレード20によってインク吐出面17をワイピングされている。
インクの吐出方向がずれたノズル11が存在するか否かを確認する方法は、例えば、ラインヘッド10Y、10M、10C、10Kのそれぞれにインクを吐出させてシートにベタ画像(ソリッド画像)を形成させ、ベタ画像に白筋が発生したか否かを目視で確認する。例えば、ベタ画像の用紙Pの搬送方向D0に沿った長さは5mmである。また、例えば、ベタ画像の用紙Pの搬送方向D0に直交する方向に沿った長さは、インクジェット記録装置1が用紙Pに画像を形成できる領域の用紙Pの搬送方向D0に直交する方向に沿った長さである。
比較例1では、第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを備えないキャップユニット290を使用した。表1に示すように、キャップユニット290が第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを備えない場合には、1週間経過後には、×となる結果が得られた。
また、比較例2では、液体を浸透させていない第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを備えるキャップユニット290を使用した。表1に示すように、比較例1と同様に、キャップユニット290が液体を浸透させていない第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを備える場合には、1週間経過後には、×となる結果が得られた。
実施例1では、第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bに、1,2−プロパンジオールを30質量%、2−ピロリドンを10質量%、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを15質量%、オルフィン(登録商標)E1010を1質量%、及び水を44質量%混合して得られる液体を浸透させた。その結果、表1に示すように1週間経過後には、○となる結果が得られ、2週間経過以降には、×となる結果が得られた。
実施例2では、第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bに、1,2−プロパンジオールを38質量%、2−ピロリドンを28質量%、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを33質量%、及びオルフィン(登録商標)E1010を1質量%混合して得られる液体を浸透させた。その結果、表1に示すように1週間経過後には、○となる結果が得られ、さらに4週間経過後であっても○となる結果が得られた。なお、実施例2で第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bに浸透させた液体は、実施例1で第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bに浸透させた液体より揮発性が低い。
上記結果から、キャップユニット290は、液体を浸透させた第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bを備えるほうが、インクジェット記録装置1のインク吐出精度の低下を防止することが判った。
また、上記結果から第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bには、揮発性の低い液体を浸透させているほうが第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bに浸透されている液体の蒸発が抑制されることが考えられる。従って、第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bには、揮発性の低い液体を浸透させる方が好ましいことが判った。
以上、図1〜図5を参照して説明したように、本発明の実施形態及び実施例によれば、記録ヘッド10のノズル11は、キャップ297にキャッピングされ、第1隣接領域A1には第1スポンジ295aが当接し、第2隣接領域A2には第2スポンジ295bが当接する。第1スポンジ295a及び第2スポンジ295bには液体が浸透されている。従って、ノズル11の内部に付着するインクが空気に触れることを抑制し、第1隣接領域A1及び/又は第2隣接領域A2に付着するインクの増粘が抑制される。その結果、記録ヘッド10に付着するインクの増粘が抑制される。
以上、図面(図1〜図5)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)〜(3))。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(1)図1を参照して説明したように、被記録媒体は、用紙Pであったが、これに限られず、記録ヘッド10によって画像が形成されるその他の媒体、例えば、封筒や布帛であってもよい。
(2)図1及び図2を参照して説明したように、ヘッド部3は、複数種類のラインヘッド10Y、10M、10C、10Kを備えるインクジェット記録装置1について説明した。ただし、インクジェット記録装置1は、シリアル型のヘッド部3を備えてもよい。
(3)図1を参照して説明したように、キャップユニット290が上昇することで、ヘッド部3にキャップユニット290が装着された。ただし、制御部50がキャップユニット290を第1搬送ユニット205に乗せて、第1搬送ユニット205を上昇させることによって、ヘッド部3にキャップユニット290が装着されてもよい。