(第1の実施形態)
本実施形態の空気調和機は、室内機と室外機とを有するセパレート型である。図1、2に示すように、室内機1は、室内熱交換器2および室内ファン3を備え、これらがキャビネット4に内装されている。キャビネット4は、室内の壁の上部に、天井との間に隙間ができるように取り付けられる。
キャビネット4の上面に、吸込口5が形成される。キャビネット4の前面から底面にかけての湾曲面に吹出口6が形成される。キャビネット4の内部には、吸込口5から吹出口6に至る送風路7が形成され、送風路7に、室内熱交換器2と室内ファン3とが配される。吸込口5と室内熱交換器2との間に、フィルタ8が着脱可能に設けられる。室内熱交換器2は、室内ファン3の前方および上方を取り囲む。
キャビネット4は、背面板10、前面パネル11によって構成される。背面板10に、室内熱交換器2および室内ファン3が装着される。前面パネル11は、背面板10に着脱可能に取り付けられる。前面パネル11の上面、前面および湾曲面は開口しており、上面の開口が吸込口5とされる。
前面パネル11の前面の開口を覆う前カバー12が前面パネル11に開閉可能かつ着脱可能に取り付けられる。前カバー12が開いたとき、フィルタ8が露出し、フィルタ8を着脱することができる。
湾曲面の開口には、ドレンパンユニット13が設けられる。ドレンパンユニット13は背面板10に取り付けられる。吹出口6はドレンパンユニット13に形成され、ドレンパンユニット13に、吹出口6を開閉する導風パネル14が開閉可能に設けられるとともに、風向板15も設けられる。
空気調和機の図示しない室外機は、室内機1と配管および配線により接続される。室外機は、圧縮機16、四方弁、室外熱交換器、絞り装置、室外ファン17を備える。圧縮機16、四方弁、室外熱交換器、絞り装置、室内熱交換器2により冷凍サイクルが形成される。
そして、図3に示すように、空気調和機は、冷凍サイクルを制御して、冷房運転モード、暖房運転モード、除湿運転モードなどの空調運転を行う制御装置20を備えている。室内機1に、室温検出器21が設けられ、室外機に、外気温検出器22が設けられる。また、室内熱交換器2の温度を検出する室内熱交換器温度検出器23が設けられる。各温度検出器21〜23は、サーミスタなどの温度センサを用いる。
空気調和機は、制御装置20と通信可能なリモコン24等の操作機器を有する。ユーザは、リモコン24を操作して、空気調和機に各種の指示を行う。リモコン24と制御装置20とは、赤外線による無線通信を行う。なお、操作機器は、スマートホン、タブレット、PCなどであってもよく、無線LANなどの無線通信、あるいはケーブル、電力線などの通信回線を利用して、制御装置20と通信する。
制御装置20は、リモコン24からの指示にしたがって所定の運転モードを実行するように冷凍サイクルを制御する。圧縮機16、絞り装置および室内外のファンがそれぞれ駆動される。すなわち、ユーザが、リモコン24を操作して、設定温度および暖房運転モード、冷房運転モード、除湿運転モード、自動運転モードなどの運転モードを選択する。リモコン24は、ユーザの操作に基づく制御信号を室内機1に送信する。制御装置20は、リモコン24からの制御信号を受け取ると、指示された運転モードにおいて、設定温度と検出された室温、外気温とに基づいて圧縮機16の運転周波数を決め、圧縮機16の運転周波数に応じて室内ファン3の回転数を決定する。
圧縮機16の運転周波数(運転回転数)は、周波数コード(FD)に基づいて段階的に制御される。周波数コードは、運転周波数毎に複数段設定されている。周波数コードが高いほど、運転周波数が高くなる。例えば、周波数コードが1〜9段階とされるとき、周波数コード1は800rpm、周波数コード2は1200rpm・・・周波数コード9は5000rpmといったように、それぞれの周波数コードに運転周波数(運転回転数)が対応している。制御装置20は、室温と設定温度から決められた制御温度に応じて周波数コードを選択して、周波数コードを圧縮機16のドライバに出力する。ドライバは、周波数コードに応じた運転周波数で圧縮機16を駆動する。
ここで、制御装置20は、空調運転時に、人がいる床付近を快適な状態にするために、床温度が設定された床温度になるように床温度制御を行う。例えば、暖房運転モードで空調運転が行われているとき、室温は設定温度になっているが、ユーザの足元の床温度が設定温度よりも低いことがある。このような場合に、床温度制御が行われることにより、床付近の温度が設定温度よりも高い状態になる。人は冷たさを感じず、人を快適にすることができる。
室内機1に、床温度を検出する床温度検出器25が設けられる。床温度検出器25は、キャビネット4の前面に配置され、室内機1の前方かつ斜め下方向に臨むように前面パネル11に取り付けられる。床温度検出器25は、受光素子が2次元配列されたサーモパイルアレイを用いたものであり、床、壁、人から放射される赤外線を吸収し、吸収した赤外線に応じた熱起電力を発生し、この熱起電力に基づいて温度を検出する。床温度検出器25は、検出した温度に応じた検出信号を制御装置20に出力し、制御装置20は、床温度検出器25の検出範囲における温度を検知する。
床温度検出器25は、図4,5に示すように、所定の視野角、例えば60°を有する。そして、床温度検出器25は室内の端の上部に位置するので、床温度検出器25の検出範囲30は図6に示すようになる。この床温度検出器25は、検出範囲30内の複数の個別エリア31における温度を検出することができる。例えば左右8エリア、前後8エリアの合計64個の個別エリア31での温度が検出される。
室内機1の設置位置は、部屋の形状によって異なる。室内の左右方向の中央、右側、左側のように、いずれかの位置に室内機1が設置される。床温度検出器25において、受光素子が搭載されたセンサ部は、左右方向および斜め下方向の角度を変更可能とされる。例えば、正面から見て室内機1が室内の右側に設置された場合、センサ部が右側を向くようにセンサ部の角度が変えられる。室内機1の設置位置に応じてセンサ部の角度を調整することにより、床温度検出器25の検出範囲30の中心を室内の中央に合わせることができる。
ところで、部屋の形状や室内機1の設置位置によって、床温度検出器25の検出範囲30が床だけでなく壁にも及ぶことがある。そこで、制御装置20は、床温度を検出可能な検知エリア32を設定する。検知エリア32の設定において、部屋形状、室内機1の設置位置、空調運転の能力クラスといった情報が制御装置20に入力され、制御装置20は、これらの情報と床温度検出器25の検出範囲30とに基づいて床温度制御の対象とする検知エリア32を決める。
図6に示すように、検出範囲30を構成する複数の個別エリア31のうち、床に対応する個別エリア31から構成される検知エリア32が決められる。制御装置20は、設定された検知エリア32の情報をメモリに記憶する。なお、室内に家具等があると、床が隠れるが、このような床が隠れて床温度を検出できない個別エリア31を検出除外の個別エリア31として部屋形状に関する情報に予め登録される。
床温度制御では、ユーザの所望する床温度が設定される。ユーザは、リモコン24を操作して、床温度を設定する。制御装置20は、リモコン24から入力された設定床温度と検出された床温度とに基づいて圧縮機16および室内ファン3を制御する床温度制御モードを実行する。
制御装置20は、暖房運転モードの実行中に床温度制御モードを実行する。すなわち、制御装置20は、暖房運転モードの実行中、室温が設定温度になったかを監視する。室温が設定温度となる安定時に、制御装置20は、床温度制御モードを開始する。床温度制御モードでは、風量が自動、風向きが下向きの運転条件で暖房運転モードが実行される。圧縮機16の運転周波数等の他の運転条件は、安定時の暖房運転モードの運転条件と同じである。なお、風量は変更可能、風向きは変更不可とされる。このように、床温度制御モードは、暖房運転モードの1つとされる。
床温度制御モードでは、上下の風向きが、斜め前方下向きや下向きとされ、床面に温風が届くように室内機1から吹き出される。ここでは、上下の風向きが下向きの場合について説明する。風向きが下向きのとき、コアンダ効果により、室内機1から吹き出された風が壁に沿って床に達するように流れ、床付近の温度を調整することができる。なお、暖房運転モードにおいて、風向きが自動に設定されているとき、室温が設定温度になった安定時には、風向きは自動的に下向きになっている。風向きが自動に設定されていない場合、室温が設定温度になったとき、風向きが下向きになっていなくても、床温度制御モードが開始されるとき、制御装置20は、風向きを下向きに変更する。
制御装置20は、床温度制御モードを実行中、検知エリア32内の各個別エリア31の床温度から平均床温度を算出する。この平均床温度が検知エリア32における床温度とされる。また、制御装置20が検出範囲30内での各個別エリア31の温度の変化を検知することにより、床温度検出器25を利用して室内の人の有無を検出することができる。
制御装置20が床温度を検知するとき、室内に、人がいたり、暖房器具、家具などの障害物が置かれていると、検知エリア32の床温度の正確な検知が阻害される。そこで、床温度の検知精度を高めるために、以下のようなケースにおける床温度のデータは、平均床温度を算出するためのデータとして採用しない。
検知エリア32の床温度は定期的、例えば1秒毎に検知される。最新の床温度において、前回の床温度と比べて急激な温度変化、例えば1℃以上の変化がある場合、温度変化があった個別エリア31に人がいると判断される。平均床温度を算出するとき、該当する個別エリア31の床温度は除外される。
床温度が高温、例えば50℃以上となる個別エリア31では、暖房器具、家具、壁等が存在する可能性がある。また、床温度が平均床温度より所定値(例えば10℃)以上高い個別エリア31でも、暖房器具、家具、壁等が存在する可能性がある。このような個別エリア31の床温度は除外される。
室内機1の設置位置に応じて床温度検出器25のセンサ部の向きが検知エリア32の中央を向くように調整されなかった場合、検知エリア32の一部が壁になる。そのため、壁に該当する個別エリア31では、床温度の変化幅や周囲との温度差が所定値(10℃)以上と大きくなる。このような個別エリア31の床温度は除外される。
検知エリア32の床温度が室温よりも所定値(10℃)以上高い場合、室内機1以外の暖房機器、例えば石油ファンヒータやガスファンヒータなどの床方向に向けて温風を吹き出す暖房機器が併用されているとみなされる。このような場合、床温度制御が無効とされ、床温度制御モードは実行されない。
床温度制御モードが実行されると、制御装置20は、検知エリア32の床温度が設定床温度になるように、上記のように検出された床温度に基づいて圧縮機16の運転周波数および室内ファン3の回転数の少なくとも一方を変える。
制御装置20は、床温度が設定床温度より低く、床温度と設定床温度との温度差が許容値を超えているとき、室内ファンの回転数を上げる、あるいは圧縮機の運転周波数を上げる。温度差が許容値を超えていないとき、すなわち、床温度が設定床温度から許容値を引いた温度よりも高いとき、制御装置20は、床温度制御を実行せず、床温度を監視する。
ここで、制御装置20は、床温度制御モードの実行中、室内ファン3を制御するか、あるいは圧縮機16を制御するかを室内熱交換器2の温度に応じて決める。室内熱交換器2の温度が所定温度以上のとき、制御装置20は、室内ファン3の回転数を上げる。室内熱交換器2の温度が所定温度未満のとき、制御装置20は、圧縮機16の運転周波数を上げる。
そして、制御装置20は、床温度制御モードの実行中、床温度と設定床温度との温度差が制御停止値より小さくなったとき、床温度制御モードを停止して暖房運転モードを実行し、床温度を監視する。すなわち、床温度が設定床温度に制御停止値を加えた温度より高くなったとき、床温度制御モードが停止される。ただし、床温度制御モードは終了していない。制御装置20は、床温度を監視し、床温度が設定床温度よりも許容値以上低くなったとき、再び床温度制御モードを実行する。
床温度制御モードでは、上下の風向きは下向きに設定されるが、左右の風向きは中央に設定される。ところで、ユーザは、室内の検知エリア32において、中央にいるとは限らない。検知エリア32の左右方向に温度むらがあると、ユーザがいる場所では快適な状態にならないおそれがある。そこで、検知エリア32が複数の特定エリア33に分けられ、制御装置20は、各特定エリア33の床温度を監視して、それぞれの特定エリア33の床温度に温度差があるとき、温度差がある特定エリア33に向かって送風するように風向板15を制御する。
ここでは、図7に示すように、検知エリア32において、左右方向の2つの特定エリア33が設定される。特定エリア33は、複数の個別エリア31、例えば左右2エリア、前後4エリアの合計8個の個別エリア31から構成され、2つの特定エリア33は左右方向の中心を境にして隣り合っている。
検知エリア32における左右方向の温度むらのチェックは、床温度制御モードが停止中に行われる。制御装置20は、左右の特定エリアの床温度を検知し、その温度差が均一許容値以上あるか監視する。なお、特定エリア33の床温度は、8個の個別エリア31の平均床温度である。温度差が均一許容値より大きいとき、制御装置20は、床温度が低いほうの特定エリア33に向かって温風が吹き出すように風向板15の左右方向の向きを変える。温度差が均一許容値以下のとき、制御装置20は、左右方向の風向きを変更しない。
また、左右方向の風向きが変更された後、制御装置20は、左右の特定エリアの床温度を監視する。左右の特定エリア33の床温度の温度差が変更停止値以下になると、制御装置20は、風向きが元に戻るように風向板15を制御する。
次に、具体的な床温度制御の手順を図8〜10に示す。ユーザが操作するリモコン24には、各種空調を開始するためのボタン(冷房運転モードを開始するための冷房ボタン、暖房運転モードを開始するための暖房ボタン、除湿運転モードを開始するための除湿ボタン)、実行中の運転モードを停止するための停止ボタン、床温度制御用の足元ボタンおよび表示部が設けられている。表示部では、設定温度や運転モードなどが表示される。空気調和機が暖房運転モードを実行しているとき、ユーザが足元ボタンを押すと、床温度の設定画面が表示部に表示される。ユーザの所望の床温度を設定することができる。ユーザが床温度を設定すると、リモコン24は設定床温度情報や床温度制御モードのオン信号を含む制御信号を室内機1に送信する(S1)。
制御装置20は、リモコン24からの制御信号を受け取ると、床温度制御モードを実行する。まず、制御装置20は、床温度制御の対象とする検知エリア32を設定する。そして、制御装置20は、床温度制御の開始条件を満たしているかをチェックする(S2)。室温が設定温度になったとき、開始条件が満たされる。さらに、風向きが自動に設定されている場合、風向きが下向きになっているときに開始条件が満たされる。制御装置20は、開始条件が満たされていることを確認すると、床温度制御モードを開始する。
制御装置20は、床温度検出器25からの検出信号に基づいて検知エリア32の床温度を監視するとともに、室内熱交換器2の温度も監視する。制御装置20は、床温度と設定床温度との温度差が許容値(例えば−1℃)を超えているか(床温度−設定床温度≦−1℃)をチェックする(S3)。このチェックには、ヒステリシスが持たせられる。すなわち、制御装置20は、温度差が許容値以下の状態が規定時間(例えば30秒)続くかをチェックする。各個別エリア31の床温度の検出のばらつきによる床温度の誤検知を防ぐことができる。
温度差が許容値より大きい状態、すなわち床温度>設定床温度−1℃が規定時間続いたとき、制御装置20は、床温度制御は不要と判断し、暖房運転モードを継続し、床温度を監視する(S4)。
温度差が許容値以下の状態、すなわち床温度≦設定床温度−1℃が規定時間続いたとき、制御装置20は、床温度制御の実行が必要と判断し、室内熱交換器2の温度を確認する(S5)。このとき、制御装置20は、室内熱交換器2の温度をヒステリシスを持って確認する。すなわち、制御装置20は、規定時間(例えば30秒)以上、確認を続ける。このように長い時間確認することにより、冷凍サイクルの温度変動による誤った判断を防ぐことができる。
室内熱交換器2の温度が規定時間続けて所定温度(例えば40℃)以上のとき、制御装置20は、圧縮機16の運転周波数を変えずに、室内ファン3の回転数を上げる(S6)。室内ファン3の回転数は、例えば100rpm上げられる。室内機1から壁伝いに吹き下ろされた暖かい風が床に沿って流れ、床温度が上がる。
制御装置20は、床温度と設定床温度との温度差が制御停止値(例えば0.5℃)以上になったか(床温度−設定床温度≧0.5℃)をチェックする(S7)。このとき、制御装置20は、室内熱交換器2の温度が所定温度以上であることも確認する。
床温度が上がって、設定床温度よりも高くなると、床付近が快適な状態になり、ユーザは冷たさを感じなくなる。このような状態になっているとき、床温度と設定床温度との温度差は制御停止値以上、すなわち床温度≧設定床温度+0.5℃となる。制御装置20は、温度差が制御停止値以上かつ室内熱交換器2の温度が所定温度以上である状態が規定時間続いていることを確認すると、床温度制御モードを停止する。そして、制御装置20は、暖房運転モードの運転条件に基づいて室内ファン3の回転数を元に戻し、床温度を監視しながら暖房運転モードを継続する(S8)。
床温度が設定床温度まで上昇していないとき、床温度がさらに上がるように床温度制御が行われる。すなわち、制御装置20は、床温度と設定床温度との温度差が制御停止値未満のとき、圧縮機16の運転周波数を上げる(S9)。
また、S5において、床温度と設定床温度との温度差が許容値以下であって、室内熱交換器2の温度が規定時間続けて所定温度未満のとき、制御装置20は、圧縮機16の運転周波数を上げる(S9)。
制御装置20は、安定時の制御温度から所定温度(例えば1℃)上げるように制御温度を変更し、変更後の制御温度に応じて周波数コードを1段上げる。圧縮機16は、変更された周波数コードに応じた運転周波数で駆動される。圧縮機16の回転数が上がることにより、室内熱交換器2の温度が上がり、室内機1から吹き出される風の温度が上がる。これにより、床付近に暖かい風が流れ、床温度が上昇する。
制御装置20は、室内熱交換器2の温度が所定温度以上であるかを確認する(S10)。室内熱交換器2の温度が所定温度未満のとき、制御装置20は、圧縮機16の運転周波数を上げたままの状態で床温度制御モードによる暖房運転を継続する(S11)。
室内熱交換器2の温度が規定時間続けて所定温度(例えば40℃)以上になると、制御装置20は、室内ファン3の回転数を上げる(S12)。暖められた風が室内機1から床に向かって吹き出す。
制御装置20は、床温度と設定床温度との温度差が制御停止値以上になったかをチェックする(S13)。床温度と設定床温度との温度差が制御停止値未満のとき、制御装置20は、圧縮機16の運転周波数および室内ファン3の回転数を上げたままの状態で床温度制御モードによる暖房運転を継続する(S14)。
温度差が制御停止値以上であり、室内熱交換器2の温度が所定温度以上である状態が規定時間続いているとき、制御装置20は、床温度制御モードを停止する。そして、制御装置20は、暖房運転モードの運転条件に基づいて室内ファン3の回転数を元に戻すとともに圧縮機16の運転周波数も元に戻し、床温度を監視しながら暖房運転モードを継続する(S15)。
床温度制御モードの停止中は、暖房運転モードが実行される。この間、検知エリア32内の床温度の均一化が図られる。左右方向の風向きが中央に設定されているので、左右方向での温度むらが生じるおそれがある。そのため、左右方向の温度むらの有無が検知される。
図10に示すように、制御装置20は、左右の特定エリア33の床温度を検知して、両者の床温度の温度差をチェックする(S20)。左右の特定エリア33の床温度の温度差が均一許容値(例えば1℃)未満のとき、制御装置20は、床温度を監視しながら暖房運転モードを継続する(S21)。
温度差が均一許容値以上のとき、制御装置20は、床温度が低いほうの特定エリア33に向かう風向きとなるように風向板15を動作させる(S22)。室内機1から吹き出された風は、床温度が低い特定エリア33がある左右方向のいずれか一方に向かって多く流れる。左右方向の一方の特定エリア33の床温度が他方の特定エリア33の床温度よりも上り、左右方向の温度バランスが均一になる。
制御装置20は、左右の特定エリア33の床温度の温度差が変更停止値(0.5℃)以下になったかをチェックする(S23)。温度差が変更停止値より大きいとき、制御装置20は、風向きをそのままで暖房運転モードを継続する(S24)。
左右方向の温度むらがなくなると、温度差が変更停止値以下になる。制御装置20は、温度差が変更停止値以下になったことを検知すると、風向きを中央に戻して、床温度を監視しながら暖房運転モードを継続する(S25)。
暖房運転モードが継続中、制御装置20は、床温度制御モードを実行している。床温度が監視され、床温度が下がったとき、ユーザが所望する床温度になるように、室内ファン3の回転数が上げられる、あるいは圧縮機16の運転周波数が上げられる。
以上のようにして、床付近が快適な状態にされる。また、床温度の左右方向の温度バランスを調整することができ、床付近の快適さを損なわない。設定床温度を室内の設定温度よりも高い温度に設定しておけば、頭寒足熱を実現でき、快適な室内環境が得られる。
床温度制御は、ユーザが停止操作するまで続行される。ユーザがリモコン24の停止ボタンを操作すると、制御装置20は、床温度制御モードを停止するとともに、暖房運転モードも停止する。この場合、あるいは、ユーザがリモコン24の足元ボタンを操作したとき、制御装置20は、床温度制御モードを解除する。この場合、暖房運転モードは継続される。
(第2の実施形態)
上記の空気調和機に使用される床温度検出器25は、室内の検出範囲30内の複数の個別エリア31の温度を検出する。ところで、検出範囲30に人がいるとき、人の存在により影響を受ける個別エリア31では、床温度が検出されず、人がいない個別エリア31で検出される床温度とは異なる温度が検出される。そして、人の動きに応じて各個別エリア31で検出される温度が変化する。したがって、個別エリア31の温度変化を検出することにより、人の有無を検知することができる。
そこで、空気調和機の制御装置20は、床温度検出器25によって検出された個別エリア31の温度に基づいて各個別エリア31の温度変化を検知して、室内の人の有無を判断する。人の有無を判断するときには、検出範囲30の全ての個別エリア31が検知エリア32とされる。
床温度検出器25は、全ての個別エリア31の温度を検出する。制御装置20は、一定のタイミングで、例えば1秒毎に床温度検出器25により検出された温度を取得してメモリに記憶し、前回検出された温度と今回検出された温度とを比較して、各個別エリア31の温度およびその変化を監視する。
人がいる場合、人の体温の影響を受ける一部の個別エリア31の温度は、他の個別エリア31の温度とは異なる。図11に示すように、他の個別エリア31とは温度の異なる個別エリア31があるとき、人が動くと、温度が異なっていた個別エリア31では温度は下がり、別の個別エリア31の温度が上がる。このように、人がいると、一部の個別エリア31で温度が上下して、検出するタイミング毎に、温度が上がる個別エリア31と温度が下がる個別エリア31とが現れる。制御装置20は、複数の個別エリア31で温度が上下する変化を検知したとき、人がいると判断する。
ただし、図12(a)に示すように、温度が変化した複数の個別エリア31が離れている場合、制御装置20は、人がいないと判断する。図12(b)に示すように、温度が変化した複数の個別エリア31が近接している場合、制御装置20は、人がいると判断する。
温度の検出は一定のタイミングで行われる。検出の間に人が動く距離は限られている。したがって、短時間で移動できる距離に基づいて所定距離が決められ、温度が変化した個別エリア31から所定距離内の個別エリア31が近接エリア34として設定される。制御装置20は、温度が変化した各個別エリア31が近接エリア34内にあるかを検知して、人の有無を判断する。図12(b)に示すように、複数の個別エリア31が近接エリア34内にあるとき、人がいると判断され、図12(a)に示すように、近接エリア34内に他の個別エリア31がないとき、人がいないと判断される。
人がいると、温度が上がる個別エリア31と温度が下がる個別エリア31が現れる。一方、暖房機器がある場合や太陽光等の外光が床を照射した場合、一部の個別エリア31では温度変化が生じる。しかし、同じ温度変化でも上記のような場合、温度変化があった複数の個別エリア31において、全ての個別エリア31の温度が上がる。そこで、制御装置20は、温度変化があった個別エリア31の全てで温度が上がる、あるいは下がることを検知したとき、人がいないと判断する。
床温度検出器25は、物体から発せられる赤外線に基づいて温度を検出する。人から検出される温度は体温より高くはならない。そのため、制御装置20は、検出された温度が規定温度以上の個別エリア31で温度が上下する変化を検知したとき、人がいないと判断する。規定温度は体温よりも高い温度、例えば40℃に設定される。規定温度以上の温度が検出された個別エリア31において、温度変化があっても、この変化は人の動きによるものではない。
以上のように、各個別エリア31での温度変化を監視することにより、人の有無を確実に検知することができる。そこで、この床温度検出器25が第1の実施形態の空気調和機に搭載されると、空気調和機は、床温度を検知しながら人の有無も検知して、空調運転を行う。
空調運転時に、床温度検出器25が各個別エリア31の温度を検出すると、制御装置20は、人の有無を判断する。室内に人がいるとき、制御装置20は、空調運転を継続する。室内に人がいないとき、制御装置20は、所定時間、人がいない状態が続いたことを確認すると、不在と判断する。そして、制御装置20は、実行中の運転モードを省エネ運転モードに変更する。これにより、人の有無に合っていない無駄な空調運転を減らすことができ、省エネを図ることができる。
また、人の存在により床温度の検出に影響を受ける個別エリア31が特定される。床温度制御モードが実行されているとき、制御装置20は、床温度以外の温度を検出する個別エリア31を除外して、検知エリア32の平均床温度を算出し、床温度制御を行う。これにより、床温度を正確に検知することができるので、床付近をユーザの所望する床温度に確実にすることができ、ユーザに快適な環境を提供することができる。
(第3の実施形態)
部屋に窓があると、窓から室内に太陽光が差し込む。太陽光が床に当たると、床温度が上がる。床温度検出器25は室内の床温度を検出するが、太陽光等の外光があるとき、一部の個別エリア31の床温度が変化する。床温度検出器25が外光の入射を受けた前後の床温度を検出すると、制御装置20は、床温度の変化を検知する。このとき、人がいないのにもかかわらず、人がいると誤った判断がされるおそれがある。
そこで、図13に示すように、空気調和機は、外光を検出する外光検出器26を備え、制御装置20は、床温度検出器25の検出信号と外光検出器26の検出信号とに基づいて、室内の人の有無を判断する。その他の構成は、第1および第2の実施形態と同じである。
外光検出器26は、キャビネット4の前面に設けられ、太陽光やハロゲンランプから放射される赤外光などの外光が照射されるエリアを検出範囲とするように配置される。外光検出器26は、床、壁などから放射された赤外線を受光して、赤外線量に応じた熱起電力を出力する赤外線センサである。
検出範囲に外光が入射していないとき、外光検出器26の検出信号のレベルは0である。外光が入射したとき、外光の光量に応じて外光検出器26の検出信号のレベルが上がる。制御装置20は、外光検出器26からの検出信号のレベルに基づいて外光量を検知する。そして、制御装置20は、信号レベルが所定値以上のとき、外光の入射があると判断する。
ここで、人がいないときに太陽光などの外光が室内に入射して、人がいると誤判断されることを防ぐために、制御装置20は、床温度検出器25により検出された温度に基づいて室内に人がいることを検知したときに外光を検知すると、人の有無の判断を延期する。そして、制御装置20は、判断を延期したとき、一定時間経過した後に人の有無を判断する。このとき、制御装置20は、外光の有無を確認して、人の有無の検知を行う。
すなわち、図14に示すように、床温度検出器25は、検知エリア32の温度を検出する。制御装置20は、床温度検出器25の検出信号に基づいて人の有無の検知を行う(S30)。制御装置20は、複数の個別エリア31に温度変化があることを検知すると、外光検出器26の検出信号に基づいて外光の入射の有無を判断する(S31)。外光の入射がないとき、制御装置20は、外光がないことを確認して、人がいると判断する(S32)。
一方、室内に人がいなくても、室内の床に太陽光などの外光が入射すると、外光検出器26の検出範囲内の床の温度が上がる。この場合、床温度検出器25は、外光が入射したエリアに該当する複数の個別エリア31の温度を検出する。制御装置20は、床温度検出器25の検出信号に基づいて、複数の個別エリア31に温度変化があることを検知する(S30)。また、外光検出器26は、検出範囲の温度を検出する。外光の入射があると、外光検出器26の信号レベルは上がるので、制御装置20は、外光検出器26の検出信号に基づいて外光の入射があることを検知する(S31)。このとき、制御装置20は、人の有無の判断を行うことを一定時間延期する(S33)。
一定時間、例えば数十秒待機した後、制御装置20は、床温度検出器25の検出信号に基づいて、再度人の有無の検知を行う(S34)。人はいないが、外光が入射し続けている場合、床温度は上昇するが、床温度が上下する変化は生じない。制御装置20は、人がいないと判断する(S35)。
床温度の変化があるとき、制御装置20は、外光検出器26の信号レベルを確認する(S36)。信号レベルの変化がないとき、制御装置20は、人がいると判断する(S37)。すなわち、外光が入射し続けているので、外光検出器26の信号レベルの上昇はない。床温度の変化は、人の動きによって生じたものとなる。信号レベルの変化があるとき、例えば外光の入射が変化したとき、制御装置20は、人の有無の判断を行わず、一定時間待機する(S33)。
太陽光などの外光が床温度の検出に影響を与える場合、人の有無を判断するタイミングを一定時間延期することにより、外光による温度変化の影響を低減することができ、人の有無を正確に判断することができる。したがって、人がいないときに、人がいると誤判断されて、省エネ運転が解除されることを防止できる。
以上の通り、本発明の空気調和機は、室温が設定温度になるように圧縮機16および室内ファン3を制御して空調運転を行う制御装置20と、室内の床温度を検出する床温度検出器25とを備えたものであり、制御装置20は、所望の床温度が設定されると、検出された床温度が設定床温度になるように圧縮機16および室内ファン3の少なくとも一方を制御する床温度制御を行う。
床温度制御が行われると、床付近の温度がユーザが所望する温度になる。これにより、床付近をユーザにとって快適な状態にすることができ、足元の冷え過ぎなどを防止できる。
空調運転中に室温が設定温度になったとき、制御装置20は、床温度制御を開始する。床温度制御は、空調運転の1つの運転モードとして実行される。例えば、暖房運転モード時、室温が設定温度になったとき、制御装置20は、床温度制御モードを開始する。
室温が設定温度になったとき、暖房運転モード時には、床付近の温度は室温よりも低くなる。また、冷房運転モード時にも、床付近の温度は室温よりも低くなる。そこで、設定床温度を室温の設定温度よりも高くすることにより、足元が冷えることを防げる。
空気調和機は、空気調和機を遠隔操作可能な操作機器を備え、操作機器の操作により床温度が設定され、制御装置20は、操作機器からの制御信号に応じて床温度制御を行う。
ユーザは、手元にあるリモコン24などの操作機器において床温度を設定したり、必要に応じて床温度制御を実行させることができる。したがって、床付近をユーザの所望の状態にいつでも簡単にすることができる。
制御装置20は、検出された床温度と設定床温度との温度差が許容値を超えているとき、室内ファン3の回転数を変える、あるいは圧縮機16の運転周波数を変えて、床温度制御を実行し、温度差が許容値を超えていないとき、床温度制御を実行せず、床温度を監視する。
床温度と設定床温度との温度差が許容値を超えているとき、床温度制御が必要な状態にある。温度差が許容値を超えていないとき、床付近の温度はほぼ設定床温度にあるので、床温度制御は不要である。床温度制御が実行されると、床付近の温度を変えるために調整された温度の風が床に向かって吹き出される。床付近の温度が設定床温度に近づき、温度差が許容値を超えなくなると、床温度制御は停止される。また、床温度の監視中、温度差が許容値を超えると、床温度制御が実行される。
制御装置20は、暖房運転モード時に床温度制御を実行するとき、検出された床温度が設定床温度より低く、床温度と設定床温度との温度差が許容値以上あるとき、室内ファン3の回転数を上げる、あるいは圧縮機16の運転周波数を上げて、床温度制御を実行し、温度差が許容値より小さいとき、床温度制御を実行せず、床温度を監視する。
暖房運転モード時に床温度制御モードが開始されると、強い温風あるいは高温の温風が床付近に吹き出される。床付近の温度が上がり、足元の冷たさを解消できる。
室内熱交換器2の温度を検出する室内熱交換器温度検出器23が設けられ、制御装置20は、室内熱交換器2の温度が所定温度以上のとき、室内ファン3の回転数を変え、室内熱交換器2の温度が所定温度未満のとき、圧縮機16の運転周波数を変える。
例えば、暖房運転モード時に床温度制御が実行されるとき、制御装置20は、室内熱交換器2の温度が所定温度以上のとき、室内ファン3の回転数を上げ、室内熱交換器2の温度が所定温度未満のとき、圧縮機16の運転周波数を上げる。なお、室内ファン3の回転数と圧縮機16の運転周波数の両方を上げるようにしてもよい。
暖房運転モード時、室内熱交換器2の温度が低いと、床温度を上げるために必要な温風が得られない。そこで、圧縮機16の運転周波数を上げることにより、室内熱交換器2の温度が上がり、高温の温風を吹き出すことができる。室内熱交換器2の温度が所定温度以上のときには、温度的に十分な温風となっているので、風速を増すことにより、床付近に温風をすばやく供給することができる。
制御装置20は、床温度制御の実行中、検出された床温度と設定床温度との温度差が停止値より小さくなったとき、床温度制御を停止して、床温度を監視する。床温度制御が実行されると、床温度が設定床温度に近づく。温度差が小さくなり、温度差が停止値より小さくなると、床温度制御が停止される。しかし、床温度制御自体は解除されていないので、床温度と設定床温度との温度差が許容値を超えると、床温度制御は再び実行される。
室内の床において、床温度制御の対象とする検知エリア32が設定され、検知エリア32が複数の個別エリア31に分けられ、床温度検出器25は、各個別エリア31の床温度を検出し、制御装置20は、各個別エリア31の床温度から得られる平均床温度に基づいて圧縮機16の運転周波数および室内ファン3の回転数の少なくとも一方を制御する。
室内に設置される床温度検出器25は、所定の検出範囲30を有する。室内の壁や家具等は床温度の検出の障害となるので、これらを除いたエリアが検知エリア32として設定される。すなわち、検知エリア32は、床温度検出器25の検出範囲30を構成する複数の個別エリア31のうち、床に対応する複数の個別エリア31によって構成される。床温度検出器25が検知エリア32の床温度を検出することにより、正確な床温度が得られ、床温度制御を確実に行うことができる。
室内における床温度検出器25の検出範囲30が複数の特定エリア33に分けられ、制御装置20は、各特定エリア33の床温度を監視して、それぞれの特定エリア33の床温度に温度差があるとき、温度差がある特定エリア33に向かって送風するように風向きを制御する。
室内の形状や障害物などによって風の流れが一様にならないので、床温度がばらついて、室内の手前側から奥側の前後方向あるいは左右方向において、床温度に温度差が生じる。そこで、左右方向あるいは前後方向に分けられた特定エリア33のうち、温度差がある特定エリア33に向かうように左右方向の風向きあるいは上下方向の風向きを変更することにより、温度差がある特定エリア33に強制的に送風され、温度差を解消することができる。
床温度制御の対象とする検知エリア32が設定され、検知エリア32が左右方向の複数の特定エリア33に分けられ、制御装置20は、各特定エリア32の床温度と設定床温度との温度差が最大となる特定エリア33に向かって送風するように左右方向の風向きを変える。
このような温度差がある特定エリア33に向かうように風向きを変えることにより、温度差が大きい特定エリア33の床温度は温度差の小さい特定エリア33の床温度よりも大きく変化する。左右の特定エリア33の温度差が小さくなるとともに、それぞれの特定エリア33の床温度が設定床温度に近づく。したがって、検知エリア32における床温度を均一にすることができる。
制御装置20は、床温度の変化により室内の人の有無を判断する。室内に人がいるとき、床温度検出器25は、人の体温を検出する。人が動くと、床温度検出器25が検出する温度に変化が生じる。制御装置20は、この温度変化を検知すると、人がいると判断する。そこで、人の有無に応じて床温度制御を行うか否かを決めてもよい。人がいるときには、床温度制御を行い、人がいないときには、床温度制御を行わない。
また、空気調和機は、室内の床温度を検出する床温度検出器25と、検出された温度に基づいて室内の人の有無を判断して、空調運転を制御する制御装置20とを備えたものであり、室内における床温度検出器25の検出範囲30が複数の個別エリア31に分けられ、床温度検出器25は、各個別エリア31の温度を検出し、制御装置20は、一部の個別エリア31で温度が上下する変化を検知したとき、人がいると判断する。
検出範囲30内に人がいるとき、床温度検出器25は、床温度とは異なる人の体温を検出する。人の動きに応じて、床温度の温度が上がったり下がったりする。人がいないとき、個別エリア31の温度は変化しない。複数の個別エリア31において、温度が上下する変化を検知することにより、人がいることを確実に判断できる。
制御装置20は、温度が上がった個別エリア31と温度が下がった個別エリア31とを検知すると、人がいると判断する。人が動くことにより、人がいる個別エリア31では、温度が上がり、人がいなくなると、個別エリア31の温度は下がる。温度が上がった個別エリア31と温度が下がった個別エリア31とが存在すれば、人がいると確実に判断することができる。
制御装置20は、近接する複数の個別エリア31で温度が上下する変化を検知したとき、人がいると判断し、離れた個別エリア31で温度が上下する変化があったとき、人がいないと判断する。人の動く範囲は限られているので、温度変化があった個別エリア31が遠く離れている場合、温度変化が人によるものでないと判断できる。温度変化があった個別エリア31同士が近くにあれば、温度変化が人によるものであると確実に判断できる。
制御装置20は、温度変化があった個別エリア31の全てで温度が上がる、あるいは下がることを検知したとき、人がいないと判断する。一方的に温度が上がる、あるいは温度が下がるような変化は、暖房器具や冷房器具の動作によるものである。したがって、このような温度変化は、人の有無の判断では除外され、誤った判断を減らすことができる。
制御装置20は、検出された温度が規定温度以上の個別エリア31で温度が上下する変化を検知したとき、人がいないと判断する。例えば規定温度が人の体温より高い温度に設定されていると、規定温度以上の温度が検出されたとき、人によるものではないのが明らかである。したがって、このような温度変化があっても、人がいるとは判断されず、誤った判断を減らすことができる。
床温度検出器25は、複数の個別エリア31の温度を検出し、制御装置20は、一定のタイミングで床温度検出器25により検出された温度を取得し、前回検出された温度と今回検出された温度とを比較して、各個別エリア31の温度の変化を監視する。
一定の間隔で各個別エリア31の温度を検知することにより、各個別エリア31の温度を時系列に認識することができる。したがって、温度変化のある個別エリア31を正確に確認することができ、人の有無の判断の精度を高めることができる。
また、空気調和機は、外光を検出する外光検出器26を備え、制御装置20は、床温度検出器25により検出された温度に基づいて室内に人がいることを検知したときに外光を検知すると、人の有無の判断を延期する。
外光が入射したことによる床温度の変化が人によるものと判断されると、誤った判断となる。しかし、人がいることが検知されるとともに外光が検知されたとき、人の有無の判断を延期することにより、人がいないにもかかわらず人がいると誤った判断することを防止できる。
制御装置20は、判断を延期したとき、一定時間経過した後に人の有無を判断し、人がいることを再度検知したとき、人がいると判断する。一定時間経過すると、外光の入射による影響を受けなくなるので、人の有無を正しく判断することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。第4の実施形態として、床温度制御モードを冷房運転モードの実行中に行ってもよい。冷房運転モード時、床温度は設定された室温よりも低くなる。設定床温度を室温よりも高い温度に設定して、床温度制御を行う。この場合、室内ファン3の回転数を上げる、あるいは圧縮機16の運転周波数を下げる制御が行われる。これにより、床付近が冷え過ぎることを防止でき、ユーザに快適な環境を提供できる。
また、第5の実施形態として、床温度制御モードを他の運転モードとは独立して実行してもよい。運転モードとして床温度制御モードが選択されると、検出された床温度と設定床温度に応じて圧縮機16の運転周波数が決められ、風向きが下向きにされて、床温度制御モードが開始される。
第6の実施形態として、床温度検出器25は、室内機から離れた位置に設けられてもよい。例えば室内の天井に床温度検出器25が取り付けられる。床温度検出器25は、室内機1と無線あるいは有線による通信可能とされ、制御装置20は、床温度検出器25からの検出信号を受け取り、検知エリア32の各個別エリア31の床温度を検知する。