JP6300847B2 - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クランク式の無段変速機の変速比を変更すべく、入力軸および変速軸間に差回転を発生させる差動機構を備える車両用動力伝達装置に関する。
クランク式の無段変速機の変速比を変更する差動機構を、シングルピニオン型の第1遊星歯車機構および第2遊星歯車機構よりなる切り離し機構と、段付きピニオンを有するシングルピニオン型の第3遊星歯車機構よりなる減速機構とで構成し、電動モータの駆動により切り離し機構で発生した差回転を減速機構で減速して入力軸および変速軸に伝達することで、入力軸および変速軸を相対回転させて変速比を変更するものが、下記特許文献1により公知である。
特開2014−156899号公報
ところで、上記従来のものは、差動機構の減速機構が段付きピニオンを有するシングルピニオン型の遊星歯車機構で構成されるため、減速機構の体格が大きくなって差動機構の小型軽量化を妨げる問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、クランク式の無段変速機の変速比を変更する差動機構の小型軽量化を図ることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、駆動源に接続された入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する複数の伝達ユニットを軸方向に並置し、前記伝達ユニットの各々は、前記入力軸と一体に回転する偏心カムと、前記偏心カムの外周に相対回転自在に嵌合するリングギヤが形成された偏心部材と、前記入力軸と同軸に配置された変速軸と、前記変速軸に設けられて前記リングギヤに噛合するピニオンと、電動モータにより作動して前記変速軸を前記入力軸に対して相対回転させる差動機構と、前記出力軸に設けたワンウェイクラッチと、前記偏心部材および前記ワンウェイクラッチのアウター部材に接続されて往復運動するコネクティングロッドとを備え、前記差動機構で前記変速軸を前記入力軸に対して相対回転させて前記偏心カムに対する前記偏心部材の位相を変化させることで、前記入力軸の軸線からの前記偏心部材の偏心量を変化させて変速比を変更する車両用動力伝達装置であって、前記差動機構は、第1遊星歯車機構および第2遊星歯車機構からなるとともに前記電動モータの停止時に前記変速軸を前記入力軸と同一速度で回転させ、前記電動モータの駆動時に前記変速軸および前記入力軸間に差回転を発生させる切り離し機構と、偏心遊星歯車機構からなるとともに前記差回転を減速する減速機構とを備え、前記電動モータは前記切り離し機構に接続され、前記入力軸は前記減速機構のリングギヤに接続され、前記変速軸は前記減速機構のサンギヤに接続されることで、前記減速機構のキャリヤがケーシングの内部で偏心回転することを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項に記載された発明によれば、請求項の構成に加えて、前記第1遊星歯車機構のリングギヤが前記入力軸に接続され、前記第1遊星歯車機構のキャリヤおよび前記第2遊星歯車機構のキャリヤが一体に接続され、前記第2遊星歯車機構のリングギヤが前記減速機構のキャリヤを偏心支持する偏心クランク軸に接続され、前記第1遊星歯車機構のサンギヤが前記電動モータに接続され、前記第2遊星歯車機構のサンギヤが固定され、前記第2遊星歯車機構のリングギヤの側面に、前記偏心クランク軸の偏心方向に対して逆方向に偏心するカウンタバランスが設けられることを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
なお、実施の形態の偏心ディスク19は本発明の偏心部材に対応し、実施の形態のエンジンEは本発明の駆動源に対応し、実施の形態の第1遊星歯車機構PGS1および第2遊星歯車機構PGS2は本発明の切り離し機構に対応し、実施の形態の偏心遊星歯車機構PGS3は本発明の減速機構に対応する。
請求項1の構成によれば、偏心部材が入力軸と一体に偏心回転すると、偏心部材に一端を接続されたコネクティングロッドが往復運動し、コネクティングロッドの他端が接続されたアウター部材が往復揺動する。アウター部材が一方向に揺動したときにワンウェイクラッチが係合し、アウター部材が他方向に揺動したときにワンウェイクラッチが係合解除することで、入力軸の回転が変速されて出力軸に伝達される。差動機構で偏心部材の偏心量を変化させると、コネクティングロッドの往復ストロークが変化して動力伝達装置の変速比が変更される。
差動機構は、第1遊星歯車機構および第2遊星歯車機構からなる切り離し機構と、偏心遊星歯車機構からなる減速機構とを備え、切り離し機構は電動モータの停止時に変速軸を入力軸と同一速度で回転させるとともに、電動モータの駆動時に変速軸および入力軸間に差回転を発生させ、減速機構は差回転を減速するので、電動モータを停止することで動力伝達装置の変速比を一定に維持し、電動モータを駆動することで動力伝達装置の変速比を変更することができる。偏心遊星歯車機構よりなる減速機構は、段付きピニオンを有するシングルピニオン型の遊星歯車機構よりなる減速機構よりも小型・軽量であるため、差動機構を小型・軽量化できるだけでなく、差動機構を潤滑するオイルの攪拌抵抗を小さくしてエネルギーロスを低減することができる。
た、電動モータは切り離し機構に接続され、入力軸は減速機構のリングギヤに接続され、変速軸は減速機構のサンギヤに接続されることで、減速機構のキャリヤがケーシングの内部で偏心回転するので、入力軸の回転に連動して偏心回転するキャリヤで減速機構の内部のオイルを排出して攪拌抵抗を低減することができる。
また請求項の構成によれば、第1遊星歯車機構のリングギヤが入力軸に接続され、第1遊星歯車機構のキャリヤおよび第2遊星歯車機構のキャリヤが一体に接続され、第2遊星歯車機構のリングギヤが減速機構のキャリヤを偏心支持する偏心クランク軸に接続され、第1遊星歯車機構のサンギヤが電動モータに接続され、第2遊星歯車機構のサンギヤが固定され、第2遊星歯車機構のリングギヤの側面に、偏心クランク軸の偏心方向に対して逆方向に偏心するカウンタバランスが設けられるので、入力軸の軸線まわりに偏心回転するキャリヤのアンバラスをカウンタバランスで打ち消して振動の発生を防止することができる。
車両用動力伝達装置の縦断面図。(第1の実施の形態) 図1の2−2線断面図。(第1の実施の形態) 偏心ディスクの正面図および断面図。(第1の実施の形態) 偏心ディスクの偏心量と変速比との関係を示す図。(第1の実施の形態) 差動機構のスケルトン図。(第1の実施の形態) 差動機構の速度線図。(第1の実施の形態) 偏心遊星歯車機構の作用説明図(その1)。(第1の実施の形態) 偏心遊星歯車機構の作用説明図(その2)。(第1の実施の形態) 差動機構のスケルトン図。(第2の実施の形態) 差動機構のスケルトン図。(参考形態) 差動機構のスケルトン図。(比較例)
第1の実施の形態
以下、図1〜図8に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1〜図3に示すように、自動車用のクランク式の無段変速機Tのミッションケース11の一対の側壁11a,11bに入力軸12および出力軸13が相互に平行に支持されており、エンジンEに接続された入力軸12の回転が6個の伝達ユニット14…、出力軸13および図示せぬディファレンシャルギヤを介して図示せぬ駆動輪に伝達される。中空に形成された入力軸12の内部に、その入力軸12と軸線Lを共有する変速軸15が7個のニードルベアリング16…を介して相対回転可能に嵌合する。
6個の伝達ユニット14…の構造は実質的に同一構造であるため、以下、一つの伝達ユニット14を代表として構造を説明する。
伝達ユニット14は変速軸15の外周面に設けられたピニオン17を備えており、このピニオン17は入力軸12に形成した開口12a(図2参照)から露出する。ピニオン17を挟むように、入力軸12の外周に軸線L方向に2分割された円板状の偏心カム18がスプライン結合される。偏心カム18の中心O1は入力軸12の軸線Lに対して距離dだけ偏心している。また6個の伝達ユニット14…の6個の偏心カム18…は、その偏心方向の位相が相互に60°ずつずれている。
偏心カム18の外周面には、円板状の偏心ディスク19の軸線L方向両端面に形成した一対の偏心凹部19a,19aが、一対のニードルベアリング20,20を介して回転自在に支持される。偏心ディスク19の中心O2に対して偏心凹部19a,19aの中心O1(つまり偏心カム18の中心O1)は距離dだけずれている。すなわち、入力軸12の軸線Lおよび偏心カム18の中心O1間の距離dと、偏心カム18の中心O1および偏心ディスク19の中心O2間の距離dとは同一である。
軸線L方向に2分割された偏心カム18の割り面の外周には、その偏心カム18の中心O1と同軸に一対の三日月状のガイド部18a,18aが設けられており、偏心ディスク19の一対の偏心凹部19a,19aの底部間を連通させるように形成されたリングギヤ19bの歯先が、偏心カム18のガイド部18a,18aの外周面に摺動可能に当接する。そして変速軸15のピニオン17が、入力軸12の開口12aを通して偏心ディスク19のリングギヤ19bに噛合する。
入力軸12の右端側はボールベアリング21を介してミッションケース11の右側の側壁11aに直接支持される。また入力軸12の左端側に位置する1個の偏心カム18に一体に設けた筒状部18b(図1参照)が、ボールベアリング22を介してミッションケース11の左側の側壁11bに支持されており、その偏心カム18の内周にスプライン結合された入力軸12の左端側はミッションケース11に間接的に支持される。
コネクティングロッド33は、大端部33a、ロッド部33bおよび小端部33cを備えるもので、大端部33aがローラベアリング32を介して偏心ディスク19の外周に支持される。
出力軸13はミッションケース11の一対の側壁11a,11bに一対のボールベアリング34,35で支持されており、その外周にワンウェイクラッチ36が設けられる。ワンウェイクラッチ36は、コネクティングロッド33の小端部33cにピン37を介して枢支された揺動リンク42と、揺動リンク42の内周に固定されたリング状のアウター部材38と、アウター部材38の内部に配置されて出力軸13に固定されたリング状のインナー部材39と、アウター部材38の内周面とインナー部材39の外周面との間に形成された楔状の空間に配置されて複数個のスプリング40…で付勢された複数個のローラ41…とを備える。
図5に示すように、入力軸12に対して変速軸15を相対回転させて無段変速機Tの変速比を変更するための差動機構23は、入力軸12の軸線L上に配置された第1遊星歯車機構PGS1、第2遊星歯車機構PGS2および偏心遊星歯車機構PGS3を備える。
シングルピニオン型の第1遊星歯車機構PGS1は、サンギヤSaと、リングギヤRaと、キャリヤCaと、キャリヤCaに回転自在に支持されてサンギヤSaおよびリングギヤRaに同時に噛合する複数のピニオンPa…とを備える。シングルピニオン型の第2遊星歯車機構PGS2は、サンギヤSbと、リングギヤRbと、キャリヤCbと、キャリヤCbに回転自在に支持されてサンギヤSbおよびリングギヤRbに同時に噛合する複数のピニオンPb…とを備える。第1遊星歯車機構PGS1のキャリヤCaおよび第2遊星歯車機構PGS2のキャリヤCbは一体に結合された第1結合体Ca−Cbを構成する。本実施の形態では、サンギヤSaおよびサンギヤSbの歯数は同一であり、リングギヤRaおよびリングギヤRbの歯数は同一であり、ピニオンPaおよびピニオンPbの歯数は同一である。第1遊星歯車機構PGS1および第2遊星歯車機構PGS2は本発明の切り離し機構を構成する。
差動機構23の電動モータ24の出力軸に設けた駆動ギヤ25は中間ギヤ26を介して第1遊星歯車機構PGS1のサンギヤSaの軸に設けた従動ギヤ27に噛合する。一方、第2遊星歯車機構PGS2のサンギヤSbの軸はケーシングに回転不能に固定される。
本発明の減速機構を構成する偏心遊星歯車機構PGS3は、サンギヤScと、リングギヤRcと、入力軸12と同軸に配置されて中間部がクランク状に偏心した偏心クランク軸Ecと、偏心クランク軸Ecの偏心部に回転自在に支持されたキャリヤCcと、キャリヤCcに設けられてリングギヤRcに噛合するキャリヤ外歯ギヤCc1と、キャリヤCcに設けられてサンギヤScに噛合するキャリヤ内歯ギヤCc2とを備える。偏心クランク軸Ecに支持されたキャリヤCcはサンギヤScおよびリングギヤRcに対して偏心しているため、キャリヤ外歯ギヤCc1およびリングギヤRcの噛合部と、キャリヤ内歯ギヤCc2およびサンギヤScの噛合部とは、入力軸12の軸線Lを挟んで位相が相互に180°ずれている。
第1遊星歯車機構PGS1のリングギヤRaおよび偏心遊星歯車機構PGS3のリングギヤRcは一体に結合された第2結合体Ra−Rcを構成し、その第2結合体Ra−Rcは入力軸12に一体に接続される。また第2遊星歯車機構PGS2のリングギヤRbおよび偏心遊星歯車機構PGS3の偏心クランク軸Ecは一体に結合された第3結合体Rb−Ecを構成する。そして偏心遊星歯車機構PGS3のサンギヤScは変速軸15に一体に接続される。
第2遊星歯車機構PGS2のリングギヤRbの側面にはカウンタバランスMが設けられる(図5参照)。カウンタバランスMは、軸線Lに対して偏心している偏心遊星歯車機構PGS3のキャリヤCcによるアンバランスを補正するためのもので、軸線Lに対するキャリヤCcの偏心方向に対して位相が180°ずれた位置に設けられる。
図6は第1遊星歯車機構PGS1、第2遊星歯車機構PGS2および偏心遊星歯車機構PGS3の速度線図であり、太い実線は電動モータ24が停止した状態、太い破線は電動モータ24を駆動した状態を示している。細い破線で示すように、第1結合体Ca−Cbを構成する第1遊星歯車機構PGS1のキャリヤCaおよび第2遊星歯車機構PGS2のキャリヤCbの回転数は常に同一であり、第2結合体Ra−Rcを構成する第1遊星歯車機構PGS1のリングギヤRaおよび偏心遊星歯車機構PGS3のリングギヤRcの回転数は常に同一であり、第3結合体Rb−Ecを構成する第2遊星歯車機構PGS2のリングギヤRbおよび偏心遊星歯車機構PGS3の偏心クランク軸Ecの回転数は常に同一である。
次に、無段変速機Tの一つの伝達ユニット14の作用を説明する。
図2および図4(A)〜図4(D)から明らかなように、入力軸12の軸線Lに対して偏心ディスク19の中心O2が偏心しているとき、エンジンEによって入力軸12が回転するとコネクティングロッド33の大端部33aが軸線Lまわりに偏心回転することで、コネクティングロッド33が往復運動する。
その結果、コネクティングロッド33が往復運動する過程で図中右側に押されると、揺動リンク42と共にアウター部材38が図2において反時計方向に揺動し、スプリング40…に付勢されたローラ41…がアウター部材38およびインナー部材39間の楔状の空間に噛み込み、アウター部材38およびインナー部材39がローラ41…を介して結合されることで、ワンウェイクラッチ36が係合してコネクティングロッド33の動きが出力軸13に伝達される。逆にコネクティングロッド33が往復運動する過程で図中左側に引かれると、揺動リンク42と共にアウター部材38が図2において時計方向に揺動し、ローラ41…がスプリング40…を圧縮しながらアウター部材38およびインナー部材39間の楔状の空間から押し出され、アウター部材38およびインナー部材39が相互にスリップすることで、ワンウェイクラッチ36が係合解除してコネクティングロッド33の動きが出力軸13に伝達されなくなる。
このようにして、入力軸12が1回転する間に、入力軸12の回転が所定時間だけ出力軸13に伝達されるため、入力軸12が連続回転すると出力軸13は間欠回転する。6個の伝達ユニット14…の偏心ディスク19…の偏心量εは全て同一であるが、偏心方向の位相が相互に60°ずつずれているため、6個の伝達ユニット14…が入力軸12の回転を交互に出力軸13に伝達することで、出力軸13は連続的に回転する。
このとき、偏心ディスク19の偏心量εが大きいほど、コネクティングロッド33の往復ストロークが大きくなって出力軸13の1回の回転角が増加し、無段変速機Tの変速比が小さくなる。逆に、偏心ディスク19の偏心量εが小さいほど、コネクティングロッド33の往復ストロークが小さくなって出力軸13の1回の回転角が減少し、無段変速機Tの変速比が大きくなる。そして偏心ディスク19の偏心量εがゼロになると、入力軸12が回転してもコネクティングロッド33が移動を停止するために出力軸13は回転せず、無段変速機Tの変速比が最大(無限大)になる。
入力軸12に対して変速軸15が相対回転しないとき、つまり入力軸12および変速軸15が同一速度で回転するとき、無段変速機Tの変速比は一定に維持される。差動機構23により入力軸12に対して変速軸15を相対回転させると、各伝達ユニット14のピニオン17にリングギヤ19bを噛合させた偏心ディスク19の偏心凹部19a,19aが、入力軸12と一体の偏心カム18のガイド部18a,18aに案内されて回転し、入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εが変化する。
図4(A)は変速比が最小の状態(変速比:TD)を示すもので、このとき入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εは、入力軸12の軸線Lから偏心カム18の中心O1までの距離dと、偏心カム18の中心O1から偏心ディスク19の中心O2までの距離dとの和である2dに等しい最大値になる。入力軸12に対して変速軸15が相対回転すると、入力軸12と一体の偏心カム18に対して偏心ディスク19が相対回転することで、図4(B)および図4(C)に示すように、入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εは最大値の2dから次第に減少して変速比が増加する。入力軸12に対して変速軸15が更に相対回転すると、入力軸12と一体の偏心カム18に対して偏心ディスク19が更に相対回転することで、図4(D)に示すように、ついには入力軸12の軸線Lに偏心ディスク19の中心O2が重なり合って偏心量εがゼロになり、変速比が最大(無限大)の状態(変速比:UD)になって出力軸13に対する動力伝達が遮断される。
次に、差動機構23の作用を説明する。
図5および図6の太い実線から明らかなように、電動モータ24が停止した状態では第1遊星歯車機構PGS1のサンギヤSaが停止し、また第2遊星歯車機構PGS2のサンギヤSbもケーシングに固定されて停止している。この状態で入力軸12に接続された第1遊星歯車機構PGS1のリングギヤRaが入力軸12の回転数であるN1で回転すると、第2遊星歯車機構PGS2のリングギヤRbもN1で回転する。その結果、入力軸12に接続された偏心遊星歯車機構PGS3のリングギヤRcおよび第2遊星歯車機構PGS2のリングギヤRbに接続された偏心遊星歯車機構PGS3の偏心クランク軸Ecは共にN1で回転するため、偏心遊星歯車機構PGS3はロック状態になってキャリヤCcおよびサンギヤScもN1で回転する。このように、電動モータ24が停止した状態では、入力軸12および変速軸15は共にN1で回転して相対回転が発生しないため、偏心ディスク18の偏心量εは変化せず、変速比は一定に維持される。
図5および図6の太い破線から明らかなように、電動モータ24を駆動して回転数がゼロから変化すると、第1遊星歯車機構PGS1のキャリヤCaおよび第2遊星歯車機構PGS2のキャリヤCbを一体に結合する第1結合体Ca−Cbの回転数が変化するため、第2遊星歯車機構PGS2のリングギヤRbおよび偏心遊星歯車機構PGS3の偏心クランク軸Ecを一体に結合する第3結合体Rb−Ecの回転数がN1から変化し、これに伴って偏心遊星歯車機構PGS3のサンギヤScの回転数、つまり変速軸15の回転数がN1から変化する。その結果、入力軸12および変速軸15間に電動モータ24の回転数に応じた差回転が発生し、偏心ディスク18の偏心量εが変化することで変速比が変化する。
図7および図8は偏心遊星歯車機構PGS3の作用を説明するためのもので、図7(B)は、図7(A)に示す偏心遊星歯車機構PGS3のリングギヤRcおよびキャリヤCcのキャリヤ外歯ギヤCc1の位相の関係を表しており、★印はリングギヤRcおよびキャリヤ外歯ギヤCc1の歯合点であり、●印はキャリヤ外歯ギヤCc1(キャリヤCc)の位相を示す目印であり、LはリングギヤRcおよびサンギヤScの軸線であり、Leは偏心クランク軸Ecの偏心部の軸線(すなわち、キャリヤCcの中心)である。図7(C)は、図7(A)に示す偏心遊星歯車機構PGS3のサンギヤScおよびキャリヤCcのキャリヤ内歯ギヤCc2の位相の関係を表しており、★印はサンギヤScおよびキャリヤ内歯ギヤCc2の歯合点であり、●印はキャリヤ内歯ギヤCc2(キャリヤCc)の位相を示す目印であり、○印はサンギヤScの位相を示す目印である。
なお、キャリヤ外歯ギヤCc1はキャリヤ内歯ギヤCc2よりも大径であるが、ここでは便宜的に同じ直径で示している。
図8(A)は、偏心クランク軸Ecの偏心部の軸線Le(以下、偏心軸線Leという)が軸線Lの真上にあり、リングギヤRcおよびキャリヤ外歯ギヤCc1の歯合点と、サンギヤSおよびキャリヤ内歯ギヤCc2の歯合点とが共に軸線Lの真上および真下にある状態を示している。この状態から偏心クランク軸Ecが例えば時計方向に回転すると、図8(B)に示すように、偏心クランク軸Ecの偏心軸線Leが時計方向に回転し、リングギヤRcおよびキャリヤ外歯ギヤCc1の歯合点と、サンギヤSおよびキャリヤ内歯ギヤCc2の歯合点とが共に時計方向に回転するが、キャリヤCcは偏心軸線Leに対して僅かに反時計方向に回転し(●印参照)、サンギヤScは軸線Lに対して僅かに時計方向に回転する(○印参照)。
偏心クランク軸Ecが、図8(C)〜図8(E)に示すように更に回転すると、それに応じてキャリヤCcは偏心軸線Leに対して更に反時計方向に回転し、サンギヤScは軸線Lに対して更に時計方向に回転する。そして図8(E)に示すように、偏心クランク軸Ecが360゜回転したとき、サンギヤScはリングギヤRcおよびサンギヤScの歯数に応じた角度θだけ軸線Lに対して時計方向に回転する。すなわち、偏心遊星歯車機構PGS3の入力軸である偏心クランク軸Ecが360°回転すると、偏心遊星歯車機構PGS3の出力軸であるサンギヤScは360°よりも遥かに小さい角度θだけ回転するため、大きな減速比を得ることができる。
図11には上記特許文献1に記載された差動機構23が比較例として示されており、その差動機構23はシングルピニオン型の第1遊星歯車機構PGS1および第2遊星歯車機構PGS2よりなる切り離し機構と、段付きピニオンを有するシングルピニオン型の第3遊星歯車機構PGS3よりなる減速機構とで構成されている。比較例の段付きピニオンを有するシングルピニオン型の第3遊星歯車機構PGS3は体格が大きいため、差動機構23の寸法および重量の増加を招く問題があったが、本実施の形態の偏心遊星歯車機構PGS3よりなる減速機構は体格が小さいため、差動機構23の寸法および重量の低減が可能になる。
また偏心遊星歯車機構PGS3の外径が小さくなることで、差動機構23のケーシングの内部で偏心遊星歯車機構PGS3が回転する際のオイルの攪拌抵抗も低減する。特に、偏心遊星歯車機構PGS3のキャリヤCcはケーシングの内部で入力軸12と略同一速度で偏心回転するため、キャリヤCcがトロコイドポンプのロータのように機能してケーシング内のオイルを排出することで、オイルの攪拌抵抗が一層低減する。
また偏心遊星歯車機構PGS3のキャリヤCcは偏心クランク軸Ecまわりに偏心回転するために振動が発生するが、偏心クランク軸Ecと一体に接続された第2遊星歯車機構PGS2のリングギヤRbの側面にキャリヤCcと位相が180°ずれたカウンタバランスMを設けたので、キャリヤCcのアンバランスをカウンタバランスMで打ち消して振動の発生を防止することができる。このとき、第2遊星歯車機構PGS2のリングギヤRbは偏心クランク軸Ecよりも直径が大きいので、軸線LからカウンタバランスMまでの距離を大きく確保し、カウンタバランスMを小型化することができる。
第2の実施の形態
次に、図9に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
図9を図5(第1の実施の形態)と比較すると明らかなように、第2の実施の形態の差動機構23は偏心遊星歯車機構PGS3の構造が第1の実施の形態と異なっている。すなわち、第2の実施の形態の偏心遊星歯車機構PGS3のサンギヤScは内歯に形成され、外歯に形成されたキャリヤ外歯ギヤCc2の外周に噛合している。これにより、サンギヤScの歯数を増加させてキャリヤ外歯ギヤCc2の歯数を減少させ、減速機構としての偏心遊星歯車機構PGS3の減速比を大きく稼ぐことができる。
第3の実施の形態
次に、図10に基づいて本発明の参考形態を説明する。
図10を図5(第1の実施の形態)と比較すると明らかなように、参考形態は、第1遊星歯車機構PGS1および第2遊星歯車機構PGS2の位置と、偏心遊星歯車機構PGS3の位置とを入れ換えたものに相当する。すなわち、電動モータ24の駆動力は偏心遊星歯車機構PGS3の偏心クランク軸Ecに入力され、偏心遊星歯車機構PGS3のサンギヤScは第1遊星歯車機構PGS1のサンギヤSaに接続され、偏心遊星歯車機構PGS3のリングギヤRcはケーシングに固定され、第1遊星歯車機構PGS1のリングギヤRaは入力軸12に接続され、第2遊星歯車機構PGS2のリングギヤRbは変速軸15に接続される。参考形態の差動機構23も、第1の実施の形態の差動機構23と同様の機能を発揮する。
以上、本発明の実施の形態および参考形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
12 入力軸
13 出力軸
14 伝達ユニット
15 変速軸
17 ピニオン
18 偏心カム
19 偏心ディスク(偏心部材)
19b リングギヤ
23 差動機構
24 電動モータ
33 コネクティングロッド
36 ワンウェイクラッチ
38 アウター部材
Ca キャリヤ
Cb キャリヤ
Cc キャリヤ
E エンジン(駆動源)
L 入力軸の軸線
M カウンタバランス
PGS1 第1遊星歯車機構(切り離し機構)
PGS2 第2遊星歯車機構(切り離し機構)
PGS3 偏心遊星歯車機構(減速機構)
Ra リングギヤ
Rb リングギヤ
Rc リングギヤ
Sa サンギヤ
Sb サンギヤ
Sc サンギヤ
ε 偏心部材の偏心量

Claims (2)

  1. 駆動源(E)に接続された入力軸(12)の回転を変速して出力軸(13)に伝達する複数の伝達ユニット(14)を軸方向に並置し、
    前記伝達ユニット(14)の各々は、
    前記入力軸(12)と一体に回転する偏心カム(18)と、
    前記偏心カム(18)の外周に相対回転自在に嵌合するリングギヤ(19b)が形成された偏心部材(19)と、
    前記入力軸(12)と同軸に配置された変速軸(15)と、
    前記変速軸(15)に設けられて前記リングギヤ(19b)に噛合するピニオン(17)と、
    電動モータ(24)により作動して前記変速軸(15)を前記入力軸(12)に対して相対回転させる差動機構(23)と、
    前記出力軸(13)に設けたワンウェイクラッチ(36)と、
    前記偏心部材(19)および前記ワンウェイクラッチ(36)のアウター部材(38)に接続されて往復運動するコネクティングロッド(33)とを備え、
    前記差動機構(23)で前記変速軸(15)を前記入力軸(12)に対して相対回転させて前記偏心カム(18)に対する前記偏心部材(19)の位相を変化させることで、前記入力軸(12)の軸線(L)からの前記偏心部材(19)の偏心量(ε)を変化させて変速比を変更する車両用動力伝達装置であって、
    前記差動機構(23)は、第1遊星歯車機構および第2遊星歯車機構からなるとともに前記電動モータ(24)の停止時に前記変速軸(15)を前記入力軸(12)と同一速度で回転させ、前記電動モータ(24)の駆動時に前記変速軸(15)および前記入力軸(12)間に差回転を発生させる切り離し機構(PGS1,PGS2)と、偏心遊星歯車機構からなるとともに前記差回転を減速する減速機構(PGS3)とを備え、
    前記電動モータ(24)は前記切り離し機構(PGS1,PGS2)に接続され、前記入力軸(12)は前記減速機構(PGS3)のリングギヤ(Rc)に接続され、前記変速軸(15)は前記減速機構(PGS3)のサンギヤ(Sc)に接続されることで、前記減速機構(PGS3)のキャリヤ(Cc)がケーシングの内部で偏心回転することを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記第1遊星歯車機構(PGS1)のリングギヤ(Ra)が前記入力軸(12)に接続され、
    前記第1遊星歯車機構(PGS1)のキャリヤ(Ca)および前記第2遊星歯車機構(PGS2)のキャリヤ(Cb)が一体に接続され、
    前記第2遊星歯車機構(PGS2)のリングギヤ(Rb)が前記減速機構(PGS3)のキャリヤ(Cc)を偏心支持する偏心クランク軸(Ec)に接続され、
    前記第1遊星歯車機構(PGS1)のサンギヤ(Sa)が前記電動モータ(24)に接続され、
    前記第2遊星歯車機構(PGS2)のサンギヤ(Sb)が固定され、
    前記第2遊星歯車機構(PGS2)のリングギヤ(Rb)の側面に、前記偏心クランク軸(Ec)の偏心方向に対して逆方向に偏心するカウンタバランス(M)が設けられることを特徴とする、請求項に記載の車両用動力伝達装置。
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