JP6295573B2 - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、残留溶剤量の少ない加飾シートに関する。さらに、本発明は、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品に関する。
従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。例えば、三次元曲面などの複雑な表面形状を有する加飾樹脂成形品の成形法として、射出成形同時転写加飾方法が知られている。射出成形同時転写加飾方法によれば、基材層/表面保護層/着色層/接着層などの積層構造を有する加飾シートを金型内面に密着させて型締した後、キャビティ内に溶融した射出樹脂を接着層側に射出して、加飾シートと射出樹脂とを接着層を介して一体化し、次いで加飾樹脂成形品を冷却して型開きしたと同時に、表面に位置する基材層を剥離することにより、加飾シートを転写した加飾樹脂成形品を得ることができる。
例えば、特許文献1には、射出成形同時転写加飾方法に用いられる加飾シートであって、基材シートの片面に離型層及び表面保護層をこの順に有し、該表面保護層が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマー及び標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物からなり、該樹脂組成物中の該多官能(メタ)アクリレートモノマーと該熱可塑性樹脂との質量比が10:90〜75:25である加飾シートが開示されている。
特開2012−91498号公報
近年、このような加飾シートの高意匠化に伴い、単色柄や木目柄だけでなく、幾何学柄や、高艶部分(グロス)と低艶部分(マット)とを組み合わせた柄(いわゆるグロスマット)など、インキを用いて積層させる層(例えば着色層)なども増加傾向にある。インキにはバインダー樹脂などを希釈するための溶剤が用いられているため、加飾シートにおいて、インキを用いて形成される層が増加すると、加飾シートの製造過程で積層される溶剤量も増加する。このため、インキを用いて積層させる層の割合が多い加飾シートにおいては、加飾シートに溶剤が残留しやすく、当該加飾シートの製造時や、当該加飾シートを用いて製造される加飾樹脂成形品において、加工不良、においの発生などが生じる場合がある。本発明者が検討したところ、特に、射出成形同時転写加飾方法に用いられる加飾シートにおいては、加飾シートからの溶剤の揮発が、接着層によって阻害され、上記のような課題が顕著に生じることが明らかとなった。
また、このような加飾シートの表面保護層は、転写した後に加飾樹脂成形品の最表層に位置する。よって、表面保護層としては、加飾樹脂成形品に耐傷付き性、耐汚染性などを付与する観点から、紫外線、電子線などの電離放射線により架橋して硬化する、電離放射線硬化性樹脂を用いて形成されることがある。表面保護層に電離放射線硬化性樹脂を用いた加飾シートを転写して、加飾樹脂成形品とする場合、未硬化の表面保護層を有する加飾シートを転写した後に、加飾樹脂成形品に電離放射線を照射して表面保護層を硬化させる方法(後硬化)と、予め表面保護層が硬化された加飾シートを用いて転写を行なう方法(先硬化)がある。
未硬化の表面保護層を有する加飾シートは、転写時に適度な柔軟性を保持しているため、三次元成形に適用しやすい。このため、未硬化の表面保護層を有する加飾シートは広く採用されている。しかしながら、このような加飾シートを用いた場合、成形後の加飾樹脂成形品に対して電離放射線を照射する必要があり、工程が煩雑となるという問題がある。
一方、予め表面保護層が硬化された加飾シートは、加飾シートの生産過程において電離放射線の照射工程を完了できるため、前記の後硬化に比して、大量生産に適しているといえる。しかしながら、本発明者が検討したところ、予め表面保護層の電離放射線硬化性樹脂が硬化された加飾シートでは、未硬化である場合に比して、表面保護層のガスバリア性が高まっているため、加飾シートの表面保護層からの溶剤の揮発が生じ難く、上述の接着層による溶剤の揮発の阻害と相まって、加飾シートの残留溶剤量の増加がより顕著になることが明らかとなった。
このような状況下、本発明は、残留溶剤量の少ない加飾シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層と、表面保護層と、着色層と、接着層とをこの順に有し、表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、接着層が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、接着層において、フィラーが、樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれる加飾シートは、接着層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂組成物により形成された表面保護層を備えているにも拘わらず、残留溶剤量が少ないことを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層と、表面保護層と、着色層と、接着層とをこの順に有し、
前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、
前記接着層が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、
前記接着層において、前記フィラーが、前記樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれる、加飾シート。
項2. 前記接着層において、前記フィラーの平均粒子径が、1〜10μmである、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記接着層において、前記フィラーが、多孔質粒子である、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記接着層の厚みが、6μm以下である、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記接着層において、前記樹脂が、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記着色層の厚みが、0.5〜40μmである、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜25万の熱可塑性樹脂とを含有する、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記多官能(メタ)アクリレートモノマーが、3〜8個の官能基を有する、項7に記載の加飾シート。
項9. 前記熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位とするアクリル樹脂である、項7または8に記載の加飾シート。
項10. 少なくとも、成形樹脂層と、接着層と、着色層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、
前記接着層が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、
前記接着層において、前記フィラーが、前記樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれる、加飾樹脂成形品。
項11. 項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを金型の内面形状に沿うようにして、前記金型の内面に密着させて型締する工程と、
射出樹脂を前記金型内に射出し、前記接着層を介して前記加飾シートと前記射出樹脂とを一体化する工程と、
前記射出樹脂を冷却した後に、前記金型内から加飾樹脂成形品を取り出す工程と、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
項12. 前記金型内から加飾樹脂成形品を取り出す工程と同時に、前記加飾樹脂成形品から前記基材層を剥離する工程をさらに備える、項11に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
本発明の加飾シートによれば、残留溶剤量の少ない加飾シートを提供することができる。本発明の加飾シートは、残留溶剤量が少ないため、当該加飾シートの製造時や、当該加飾シートを用いて製造される加飾樹脂成形品において、加工不良、においの発生などを効果的に抑制することができる。また、本発明よれば、当該加飾シートを利用した、残留溶剤量の少ない加飾樹脂成形品を提供することができる。
本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾樹脂成形品の一例の略図的断面図である。
1.加飾シート
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、表面保護層と、着色層と、接着層とをこの順に有し、表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、接着層が樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、接着層において、フィラーが、樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれることを特徴とする。本発明の加飾シートは、接着層において、フィラーが樹脂100質量部に対して1質量部以上含まれることにより、接着層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂組成物により形成された表面保護層を備えているにも拘わらず、残留溶剤量の少ない加飾シートとすることができる。本発明の加飾シートにおいて、このような優れた効果が奏される機序の詳細は、必ずしも明らかではないが、例えば次のように考えることができる。すなわち、上述の通り、着色層などに使用されるインキに含まれる溶剤の揮発が接着層や硬化した表面保護層によって阻害されており、これが加飾シートの残留溶剤量が多くなることの主な要因となっているが、本発明の加飾シートにおいては、当該接着層にフィラーが1質量部以上含まれている。このため、接着層の表面部分において、少なくとも一部のフィラーが接着層の表面部分から突出して、接着層の表面積が大きくなっており、表面積の大きな接着層からの溶剤の揮発が促進されているものと考えられる。さらに、当該フィラーが多孔質である場合には、当該多孔を介して溶剤が揮発しやすくなるため、接着層からの溶剤の揮発がより一層促進されるものと考えられる。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
加飾シートの積層構造
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、表面保護層2と、着色層3と、接着層4とがこの順に積層された積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいて、表面保護層2の着色層3側には、表面保護層2と隣接する層(例えば着色層3)との密着性を向上させることなどを目的として、プライマー層5を設けてもよい。また、本発明の加飾シートが加飾樹脂成形品に転写された後に、基材層1を剥離しやすくするために、基材層1と表面保護層2との間に離型層6を設けてもよい。
本発明の加飾シートの積層構造として、基材層/表面保護層/着色層/接着層がこの順に積層された積層構造;基材層/離型層/表面保護層/着色層/接着層がこの順に積層された積層構造;基材層/表面保護層/プライマー層/着色層/接着層がこの順に積層された積層構造;基材層/離型層/表面保護層/プライマー層/着色層/接着層がこの順に積層された積層構造などが挙げられる。図1に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/表面保護層/着色層/接着層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図2に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層/離型層/表面保護層/プライマー層/着色層/接着層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
加飾シートを形成する各層の組成
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂;ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート、ポリウレタン系などのエラストマー系樹脂などによるものが利用される。これらのうち、成形性及び剥離性が良好である点から、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という。)が好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
基材層1は、隣接する層との密着性を向上させることなどを目的として、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。基材層1の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、基材層1の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材層1を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
基材層1は、隣接する層との密着性を向上させることなどを目的として、易接着層を形成するなどの処理が施されていても。なお、基材層1として市販のものを用いる場合には、該市販品は予め上記のような表面処理が施されたものや、易接着層が設けられたもの、または後述する離型層6が形成されたものも用いることができる。
また、基材層1には、着色剤などを配合した着色、色彩を整えるための塗装、デザイン性を付与するための模様の形成などがなされていてもよい。
基材層1の厚みは、特に制限されず、加飾シートの用途等に応じて適宜設定されるが、通常10〜150μm程度、好ましくは10〜125μm程度、さらに好ましくは100〜80μm程度が挙げられる。基材層1の厚みが上記範囲内であると、成形性、形状追従性が高められ、取り扱いも容易である。
[離型層6]
離型層6は、加飾シートが加飾樹脂成形品に成形された後に、加飾樹脂成形品の表面保護層2から基材層1を容易に剥離するために、必要に応じて設けられる層である。すなわち、離型層6は、加飾シートが加飾樹脂成形品に成形された後に、基材層1と共に、表面保護層2から剥離される層である。本発明の加飾シートが離型層6を有することにより、本発明の加飾シートが加飾樹脂成形品に成形された後に、基材層1と離型層6を表面保護層2から確実に剥離することができる。離型層6は、図2に示すように、全面を被覆(全面ベタ状)しているベタ離型層であってもよいし、一部に設けられるものであってもよい。通常は、剥離性を考慮して、ベタ離型層であることが好ましい。
離型層6は、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル−メラミン系樹脂が含まれる。)、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、硝化綿などの熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を形成するモノマーの共重合体、あるいはこれらの樹脂を(メタ)アクリル酸やウレタンで変性したものを、単独で又は複数を混合した樹脂組成物を用いて形成することができる。なかでも、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、これらの樹脂を形成するモノマーの共重合体、及びこれらをウレタン変性したものが好ましく、より具体的には、アクリル−メラミン系樹脂単独、アクリル−メラミン系樹脂含有組成物、ポリエステル系樹脂とエチレン及びアクリル酸の共重合体をウレタン変性したものとを混合した樹脂組成物、アクリル系樹脂とスチレン及びアクリルとの共重合体のエマルションとを混合した樹脂組成物などが挙げられる。これらの内、アクリル−メラミン系樹脂単独又はアクリル−メラミン系樹脂を50質量%以上含有組成物で離型層6を構成することが特に好ましい。
離型層6の厚みとしては、特に制限されないが、通常0.01〜5μm程度、好ましくは0.05〜3μm程度である。
[表面保護層2]
表面保護層2は、本発明の加飾シートを用いた加飾樹脂成形品に耐傷付き性、耐汚染性などの表面特性を付与する層であり、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されている。表面保護層2の形成に好適に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂である。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層2の形成において好適に使用される。
なお、表面保護層2は、電離放射線硬化性樹脂組成物が完全に硬化したものであってもよいし、半硬化したものであってもよいが、完全硬化物であることにより、表面性能が良好となる。また、完全硬化物であることにより、加飾シートの生産過程において電離放射線の照射工程を完了できるため、加飾樹脂成形品を簡便に製造することが可能となる。なお、本発明の加飾シートでは、表面保護層2がガスバリア性の高い電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されているが、後述の通り、接着層4においてフィラーが樹脂100質量部に対して1質量部以上含まれていることにより、残留溶剤量が効果的に低減されている。
表面保護層2の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物としては、好ましくは、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜25万の熱可塑性樹脂とを含有するものが挙げられる。以下、本発明の表面保護層2の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物の好ましい態様について詳述する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
<多官能(メタ)アクリレートモノマー>
分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマーは、その官能基数が2以上であり、かつ分子量が175〜1000の(メタ)アクリレートモノマーのことをいう。多官能(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は、加飾樹脂成形品に優れた耐汚染性及び成形性を付与する観点からは、官能基数が3以上であることが好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。また、多官能(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、加飾樹脂成形品に優れた耐汚染性及び成形性を付与する観点からは、200〜800が好ましく、250〜600がより好ましく、250〜400がさらに好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートがより好ましい。本発明においては、上記の多官能(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂は、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜25万のものであることが好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された値であり、標準サンプルにポリスチレンを用いた条件で測定された値である。
熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール(ブチラール樹脂)、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン,ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン,α−メチルスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオキシメチレンなどのアセタール樹脂、エチレン−4フッ化エチレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリビニルアセタール樹脂、液晶性ポリエステル樹脂などが挙げられ、これらは1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせる場合は、これらの樹脂を構成するモノマーの共重合体でもよいし、それぞれの樹脂を混合して用いてもよい。
上記の熱可塑性樹脂の中でも、アクリル樹脂が好ましく、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位とするアクリル樹脂がより好ましい。より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、あるいは(メタ)アクリル酸エステルモノマーと他のモノマーとの共重合体が好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸セカンダリーブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられ、これらのうち(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体としては、上記例示されたものから選ばれる2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が例示され、これらの共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合体を形成する他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なものであれば特に限定されないが、本発明では、(メタ)アクリル酸、スチレン、(無水)マレイン酸、フマル酸、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルアルコール、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタジエン、イソプレン、イソブテン、1−ブテン、2−ブテン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ノルボルネン類などの脂環式オレフィンモノマー、ビニルカプロラクタム、シトラコン酸無水物、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド類、ビニルエーテル類などが好ましく挙げられ、特にスチレン及び(無水)マレイン酸が共重合成分として好適である。すなわち、(メタ)アクリル酸エステルとスチレン又は(無水)マレイン酸の二元共重合体、(メタ)アクリル酸エステルとスチレン及び(無水)マレイン酸の三元共重合体が好適である。なお、(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
アクリル樹脂の多分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.1〜3.
0の範囲であることが好ましい。多分散度がこの範囲内であると、優れた成形性及び耐汚染性の他、耐摩耗性、耐擦傷性などの表面特性が得られる。これと同様の観点から、多分散度は、1.5〜2.5の範囲であることがより好ましい。
<多官能(メタ)アクリレートモノマーと熱可塑性樹脂との質量比>
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂との質量比は、10:90〜75:25の範囲にあることが好ましい。この質量比が10:90よりも小さい、すなわち樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10よりも少ないと、優れた表面特性が得られず、印刷適性が低下する場合があり、一方、この質量比が75:25よりも大きい、すなわち樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が75よりも多いと、優れた成形性が得られない場合があり、またそれに加えて、成形後の転写層と樹脂成形体との密着性が低くなることがある。また、本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が10万〜25万の熱可塑性樹脂との質量比は、25:75〜75:25の範囲にあることが好ましい。この質量比が25:75よりも小さい、すなわち樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が25よりも少ないと、優れた表面特性が得られず、印刷適性が低下する場合があり、一方、この質量比が75:25よりも大きい、すなわち樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が75よりも多いと、優れた成形性が得られない場合があり、またそれに加えて、成形後の転写層と樹脂成形体との密着性が低くなることがある。標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂と、当該重量平均分子量が10万〜25万の熱可塑性樹脂のいずれを用いる場合にも、加飾樹脂成形品に優れた表面特性を付与する観点から、当該質量比は、30:70〜70:30が好ましく、35:65〜65:35がより好ましい。
<その他の添加物>
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記の多官能(メタ)アクリレートモノマーや熱可塑性樹脂以外の成分を含有することができる。例えば、本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーなどの多官能(メタ)アクリレートオリゴマーや、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレートを含有することができる。
その他の添加物としては、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チキソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などの樹脂組成物に常用される各種添加剤も挙げられる。
表面保護層2の厚みとしては、特に制限されないが、通常1〜50μm程度、好ましくは3〜20μm程度である。表面保護層2の厚みが上記範囲内であると、加飾樹脂成形品に優れた表面特性とともに、優れた成形性をも付与できる。
表面保護層2には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐傷付き性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。また、表面保護層2は、必要に応じて設けられる後述のプライマー層5との密着性を向上させる目的で、その表面に必要に応じてコロナ放電処理又はプラズマ処理を施すことができる。
[プライマー層5]
本発明の加飾シートは、表面保護層2と、表面保護層2と隣接する層(例えば着色層3)との間に、必要に応じてプライマー層5を有していてもよい。プライマー層5を設けることにより、表面保護層2とこれに隣接する層との密着性をさらに向上させることができる。プライマー層5は透明又は半透明な層であることが好ましく、プライマー層5の形成にはポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの樹脂の1種単独又は2種以上の混合物が用いられるが、特にポリウレタン系2液硬化型樹脂を用いることが好ましい。
ポリウレタン系2液硬化型樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、
ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系などのポリマーポリオール単独、又はそれらの混合物に対して、使用直前に硬化剤を添加したものが用いられる。ポリマーポリオールとしては、アクリル系ポリマーポリオール、あるいはポリエステル系ポリマーポリオールが好ましく、アクリル系ポリマーポリオールがより好ましい。アクリル系ポリマーポリオールとしては、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアクリレートを共重合させて複数の水酸基を導入したものが好ましく挙げられる。また、ポリエステル系ポリマーポリオールとしては、例えばポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクトンなどが用いられる。
また、本発明においては、上記のアクリル系ポリマーポリオールとウレタン樹脂との混合物を用いることも好ましい。この場合、アクリル系ポリマーポリオールとウレタン樹脂との配合比(質量比)は、40:60〜95:5が好ましく、60:40〜90:10がより好ましい。配合比が上記範囲内であると、優れた密着性が得られる。
硬化剤としては、多価イソシアネートが好ましく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート;を用いることができ、あるいは、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)なども用いることができる。
また、本発明において、ポリウレタン系2液硬化型樹脂として用いられるポリマーポリオール(未硬化時)のガラス転移温度Tgは、65℃以上であることが好ましく、該ガラス転移温度Tgの上限に特に制限はないが、通常110℃程度であり、好ましいTgは70〜100℃の範囲である。ガラス転移温度Tgが上記範囲内であると、優れた密着性が得られ、また着色層3などの転移性も良好となる。
プライマー層5は、上記樹脂を溶媒に溶解した塗布液を、公知の方法で塗布、乾燥して得ることができる。プライマー層5の厚みとしては、特に制限されないが、通常0.5〜20μm程度、好ましくは1〜5μmとすることができる。
[着色層3]
本発明における着色層3は、通常、絵柄層及び隠蔽層の少なくとも一方により構成される。絵柄層は、模様や文字などとパターン状の絵柄を表現するために設けられる層である。絵柄層の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字などからなる絵柄を挙げることができる。また、隠蔽層は、通常、全面ベタ層であり、後述の射出樹脂などの着色などを隠蔽するために設けられる層である。隠蔽層には、絵柄層の絵柄を引き立てるために絵柄層の内側に設けられる場合のほか、それ単独で装飾層を形成する場合がある。また、当該装飾層は、透明転写箔であってもよいし、色付き転写箔であってもよい。
着色層3は、前述した表面保護層2または必要に応じて設けられるプライマー層5に印刷インキでグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷法により形成することで、例えば図1または図2に示すように表面保護層2と接着層4との間に形成される。
着色層3の形成に用いられる印刷インキのバインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂などを好ましく挙げることができるが、アクリル系樹脂単独又はアクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂との混合物を主成分とするのが好ましい。これらの中では、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂又は別のアクリル系樹脂を混合すると印刷適性、成形適性がより良好となり好ましい。ここで、アクリル系樹脂としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体などのアクリル系樹脂、フッ素などによる変性アクリル樹脂が挙げられ、これらを1種又は2種以上の混合物として用いることができる。この他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオールを用いることもできる。また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂としては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20質量%程度、平均重合度350〜900程度のものが用いられる。必要に応じ、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂にさらにマレイン酸、フマル酸などのカルボン酸を共重合させてもよい。アクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂との混合比は、アクリル系樹脂/塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂=1/9〜9/1(質量比)程度である。この他、副成分の樹脂として、必要に応じて、適宜その他の樹脂、例えば、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィン系樹脂などの樹脂を混合してもよい。
着色層3に用いられる着色剤としては、アルミニウム、クロム、ニッケル、錫、チタン、リン化鉄、銅、金、銀、真鍮などの金属、合金、又は金属化合物の鱗片状箔粉からなるメタリック顔料、マイカ状酸化鉄、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、二酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、着色二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸バリウム、硫化亜鉛、硫化カルシウムなどの蛍光顔料、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモンなどの白色無機顔料、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラックなどの無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラックなどの有機顔料(染料も含む)を1種又は2種以上混合して用いることができる。
このような着色層3は、本発明の加飾シートに意匠性を付与するために設けられる層であるが、意匠性を向上させる目的で、さらに金属薄膜層などを形成してもよい。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅などの金属を用いて、真空蒸着、スパッタリングなどの方法で製膜することができる。この金属薄膜層は全面に設けても、部分的にパターン状に設けてもよい。
印刷インキは、上記成分を、通常溶剤に溶解又は分散した態様で提供される。すなわち、着色層3の形成に用いられる印刷インキは、さらに溶剤を含む。溶剤としては、バインダー樹脂を溶解又は分散させるものであればよく、有機溶剤及び/又は水を使用することができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのエステル類、アルコール類が挙げられる。上述の通り、本発明の加飾シートにおいは、加飾シートの製造過程において、溶剤を含むインキを用いて形成される着色層などが積層された際にも、後述の接着層4においてフィラーが樹脂100質量部に対して1質量部以上含まれていることにより、残留溶剤量が効果的に低減されている。本発明の加飾シートの残留溶剤量をより低下させる観点からは、これらの溶剤の中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどが好ましい。
着色層3の形成に用いられる印刷インキにおいて、溶剤の含有量は、バインダー樹脂などを溶剤中に溶解又は分散させることができれば、特に制限されないが、バインダー樹脂100質量部に対して、例えば100〜1000質量部程度、好ましくは300〜600質量部程度が挙げられる。
着色層3の形成に用いられる印刷インキは、樹脂バインダー、溶剤などの上記成分の他に、沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、滑剤などを適宜添加することができる。
着色層3の厚みとしては、特に制限されないが、意匠性の観点からは、好ましくは0.5〜40μm程度、より好ましくは1〜10μm程度が挙げられる。
[接着層4]
接着層4は、本発明の加飾シートと後述の射出樹脂とを接着し、加飾樹脂成形品を得るために形成される層である。
接着層4としては、感熱接着剤や加圧接着剤などで構成されるものが挙げられるが、本発明においては、必要に応じて加熱及び加圧によって、加飾樹脂成形品に対する密着性を発現するヒートシール層であることが好ましい。
接着層4は、樹脂及びフィラー4aを含む樹脂組成物により形成されている。さらに、本発明では、接着層4を形成する樹脂組成物中において、樹脂100質量部に対して、フィラーが1質量部以上含まれる。上述の通り、本発明の加飾シートにおいは、加飾シートの製造過程において、溶剤を含むインキを用いて形成される着色層が積層された際にも、接着層4においてフィラー4aが樹脂100質量部に対して1質量部以上含まれていることにより、残留溶剤量が効果的に低減されている。
接着層4を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
フィラー4aの形状としては、特に制限されないが、加飾シートの残留溶剤量をより効果的に低減する観点からは、好ましくは多孔質粒子であることが好ましい。
また、フィラー4aの平均粒子径としては、特に制限されないが、好ましくは1〜10μm程度、より好ましくは2〜7μm程度、さらに好ましくは2〜5μm程度が挙げられる。なお、本発明において、フィラーの平均粒子径は、島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2100を使用し、圧縮空気を利用してノズルから測定対象となる粉体を噴射し、空気中に分散させて測定する、噴射型乾式測定方式により測定される値である。
加飾シートの残留溶剤量をより効果的に低減する観点からは、フィラー4aの吸油量としては、好ましくは100mL/100g以上、より好ましくは200〜400mL/100gが挙げられる。なお、フィラーの吸油量は、JIS K 5101−13−1:2004に準拠する方法により測定された値である。
フィラー4aとしては、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよいが、無機フィラーがより好ましい。無機フィラーとしては、無機化合物により形成された無機粒子であれば、特に制限されず、例えば、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、アルミナ粒子、ガラスバルーン粒子などが挙げられ、これらの中でも好ましくはシリカ粒子、特に好ましくはコロイダルシリカが挙げられる。また、有機フィラーとしては、例えば、合成樹脂により形成された合成樹脂粒子が挙げられる。合成樹脂粒子としては、特に制限されず、例えば、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコーンビーズ、スチレンビーズ、メラミンビーズ、ウレタンアクリルビーズ、ポリエステルビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。フィラーは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
フィラー4aの含有量としては、接着層4を形成する樹脂組成物中において、樹脂100質量部に対して、フィラーが1質量部以上含まれればよいが、好ましくは1〜50質量部程度、より好ましくは3〜30質量部程度、さらに好ましくは5〜20質量部程度が挙げられる。
接着層4は、上記の樹脂、フィラー4aなどを、溶剤と混合し、溶液あるいはエマルジョンなどとして塗布可能な形にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法などの手段により塗布、乾燥して形成することができる。
接着層4を形成する樹脂組成物に用いられる溶剤としては、上記の樹脂、フィラー4aなどを、溶剤と混合し、溶液あるいはエマルジョンなどとして塗布可能にするものであれば、特に制限されないが、好ましくはメチルエチルケトン、酢酸エチルなどが挙げられる。これらの溶剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。溶剤の量は、特に制限されないが、樹脂組成物中のフィラー4aの量が多くなるほど、樹脂組成物の粘度が上昇し、塗布しにくくなるため、溶剤の含有量が多くなる傾向にある。溶剤の含有量としては、接着層4を形成する樹脂組成物中において、フィラー4aを100質量部に対して、好ましくは500〜3000質量部程度、より好ましくは1000〜2500質量部程度が挙げられる。
接着層4には、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物などの有機系の紫外線吸収剤や、亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄などの酸化物のような無機系の紫外線吸収能を有する微粒子の添加剤を含有させることができる。また、添加剤として、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤なども適宜、必要に応じて含有させることができる。
接着層4の厚みとしては、加飾シートを接着性良く、かつ効率的に加飾樹脂成形品に転写し得るという点から、好ましくは6μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1〜1.5μm以下が挙げられる。なお、接着層4と成形樹脂層7との密着性を担保する観点から、接着層4の厚みは、0.1μm以上であることが好ましい。
[加飾シートの製造方法]
本発明の加飾シートは、例えば、以下の[1]〜[4]の工程により製造することができる。
[1]基材層1上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を積層する工程、
[2]該電離放射線硬化性樹脂組成物層に電離放射線を照射し該電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化又は半硬化して表面保護層2を形成する工程、
[3]該表面保護層2上に着色層3を積層する工程、及び
[4]該着色層3上に接着層4を積層する工程。
上記の[1]〜[4]の工程に加えて、所望により、以下の工程をさらに有していてもよい。
[1−1]工程[1]において、基材層1上に離型層6を積層し、離型層6上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を積層する工程
[2−1]工程[2]と[3]との間において、表面保護層2の表面にコロナ放電処理又はプラズマ処理を施す工程
[3−1]工程[3]において、表面保護層2上に、プライマー層5を積層し、プライマー層5上にする着色層3を積層する工程
基材層1上に積層される離型層6、表面保護層2、プライマー層5、着色層3、及び接着層4の積層方法は、グラビア印刷、ロールコートなどの公知の印刷又は塗布手段が用いられる。なお、着色層3を例えば上記のように絵柄層と隠蔽層との組み合わせとする場合は、一層を積層した後、乾燥し、その後、次の層を積層すればよい。
本発明における表面保護層2を形成する工程において、離型層6上に積層された電離放射線硬化性樹脂組成物層を半硬化させてもよいし、完全硬化させてもよいが、完全硬化物であると表面性能が良好となり、該樹脂組成物を後述する所定のものとすることで、硬化物であっても成形性が良好となるため、完全硬化させることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させる場合には、該樹脂組成物層に電子線、紫外線などの電離放射線を照射して硬化させることができる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材層1として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと表面保護層2の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材層1への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。また、照射線量は、樹脂組成物層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜70kGy(1〜7Mrad)の範囲で選定される。さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
[加飾シートの用途]
本発明の加飾シートは、残留溶剤量が低減されているため、当該加飾シートの製造時や、当該加飾シートを用いて製造される加飾樹脂成形品において、加工不良、においの発生などを効果的に抑制することができる。このため、本発明の加飾シートは、家庭用電化製品、自動車内装品などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野で用いられる部材の加飾に好適に使用することができる。
[加飾樹脂成形品の製造方法]
本発明の加飾シートは、射出成形同時転写加飾に好適に用いられる。そして、本発明の加飾樹脂成形品は、例えば本発明の加飾シートを用いて、射出成形同時転写加飾により製造することができる。より具体的には、本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、以下の工程(1)〜(3)により製造することができる。
(1)本発明の加飾シートを金型の内面形状に沿うようにして、金型の内面に密着させて型締する工程、
(2)射出樹脂を金型内に射出し、接着層を介して加飾シートと射出樹脂とを一体化する工程、
(3)記射出樹脂を冷却した後に、金型内から加飾成形品を取り出す工程。
上記工程(1)において、加飾シートを金型の内面形状に沿うようにして、金型の内面に密着させる方法としては、(i)加飾シートを熱盤で加熱し、真空引きして行う方法、(ii)常温で真空引きして行う方法などが挙げられる。上記(i)の方法の場合、加熱する温度は、基材層1のガラス転移温度近傍以上で、かつ、溶融温度(又は融点)未満の範囲であることが好ましい。通常はガラス転移温度近傍の温度で行うことが、より好ましい。なお、上記のガラス転移温度近傍とは、ガラス転移温度±5℃程度の範囲を指し、基材層1として好適なポリエステルシートを使用する場合には、一般に70〜130℃程度である。
本発明者の知見によれば、特に上記(ii)の方法を採用する場合において、加飾樹脂成形品への加工後において残留溶剤の問題が生じやすい傾向がある。これは(i)の方法においては、加熱の工程により、加飾成形前の加飾シートに残存する溶剤を揮発させることができるのに対し、(ii)の方法では、成形前の加飾シート中の溶剤が加飾樹脂成形品にほぼそのまま残留してしまうという相違に基づくものと考えられる。すなわち、特に(ii)の方法を採用する場合において、成形前の残留溶剤量を減らすことができる本発明の加飾シートによる効果がより一層好適に発揮される。
上記工程(2)において、後述する射出樹脂を溶融させて、キャビティ内に射出して、接着層4を介して加飾シートと射出樹脂とを一体化する。射出樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、加熱溶融によって流動状態にして、また、射出樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、未硬化の液状組成物を室温又は適宜加熱して流動状態で射出して、冷却して固化させる。これによって、加飾シートが、形成された樹脂成形体と一体化して貼り付き、加飾樹脂成形品となる。射出樹脂の加熱温度は、射出樹脂によるが、一般に180〜320℃程度である。
次いで、冷却した後に金型から取り出すと(工程(3))、射出樹脂が成形されて硬化した成形樹脂層7、接着層4、着色層3、表面保護層2、及び基材層1を順に有する、本発明の基材層1付きの加飾樹脂成形品が得られる。さらに、(4)加飾樹脂成形品から基材層1を剥離する工程により、基材層1を剥離することによって、図3に示されるような、成形樹脂層7、接着層4、着色層3、及び表面保護層2を順に有する本発明の加飾樹脂成形品が得られる。なお、基材層1の下の離型層6を有する場合には、離型層6と共に基材層1が剥離される。
また、上記工程(4)は、上記工程(3)と同時に行なわれるものであってもよい。すなわち、成形された加飾樹脂成形品を金型内から取り出すと同時に基材層1を剥離することで、図3に示されるような、成形樹脂層7、接着層4、着色層3、及び表面保護層2を順に有する本発明の加飾樹脂成形品を得るものであってもよい。かかる方法によれば、基材層1を剥離する工程が簡略されると共に、加飾樹脂成形品を1つ製造するごとに加飾シートを切断するなどして加飾樹脂成形品単位で分離する必要がないので、使用後の加飾シートをそのまま巻き取る、いわゆるロールtoロールでの製造が可能となり、効率よく加飾樹脂成形品を製造できる。
また、本発明の加飾樹脂成形品は、真空圧着法等の、予め用意された立体的な樹脂成形体(成形樹脂層)上に、本発明の加飾シートを用いて転写により加飾する方法によっても作製することができる。
真空圧着法では、まず、上側に位置する第1真空室及び下側に位置する第2真空室からなる真空圧着機内に、本発明の加飾シート及び樹脂成形体を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形体が第2真空室側となるように、且つ加飾シートの接着層4側が樹脂成形体側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形体は、第2真空室側に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1の真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて成形体を加飾シートに押し当て、2つの真空室間の圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形体の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気圧に開放し、基材層1を剥離することで、本発明の加飾樹脂成形品を得ることができる。
真空圧着法においては、(i)上記の樹脂成形体を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるために加飾シートを加熱する方法と、(ii)常温のまま成形体を加飾シートに押し当てる方法とが考えられるが、上記の射出成形同時転写加飾の場合と同様の理由により、(ii)の方法を採用する場合において特に本発明による効果が顕著に発揮される。
[成形樹脂層7]
本発明の加飾樹脂成形品の成形樹脂層7に用いられる樹脂としては、特に制限されず、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)など、様々な樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂材料としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、2液反応硬化型のポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、これらの樹脂には、必要に応じて各種添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機物粉末、木粉、ガラス繊維などの充填剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤などを添加することができる。着色剤には、前述の基材層に用いることのできるものと同様の公知の着色剤を使用できる。加飾樹脂成形品を構成する射出樹脂層7の厚みについては特に制限はなく、当該加飾樹脂成形品の用途に応じて選定されるが、通常1〜5mm、好ましくは2〜3mmである。
[加飾樹脂成形品]
本発明において、基材層1が剥離される前の加飾樹脂成形品は、例えば上記のように本発明の加飾シートを用いて製造することができ、例えば上記の工程(1)〜(3)を経ることにより得られる。その構成は、少なくとも、成形樹脂層7、接着層4、着色層3、表面保護層2、及び基材層1を順に有し、該表面保護層2が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、接着層4が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、接着層4において、フィラーが、樹脂100質量部に対して1質量部以上含まれることを特徴とするものである。すなわち、当該加飾樹脂成形品では、表面保護層2の上に基材層1が形成されている。ここで、基材層1は保護シート(マスキングフィルム)としての機能を有するため、剥離してもよいし、剥離することなくそのまま保管しておき、使用する直前に剥離してもよい。また基材層1を保護シートとして用いると、輸送時などに発生する擦れなどによる傷の発生から表面保護層を保護するための層として使用できるというメリットがある。
また、基材層1が剥離された後の本発明の加飾樹脂成形品は、例えば上記のように本発明の加飾シートを用いて製造することができ、例えば上記の工程(1)〜(4)を経ることにより得られる。その構成は、例えば図3に示されるように、少なくとも、成形樹脂層7、接着層4、着色層3、及び表面保護層2を順に有し、該表面保護層2が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、接着層4が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、接着層4において、フィラーが、樹脂100質量部に対して1質量部以上含まれることを特徴とするものである。すなわち、当該加飾樹脂成形品では、表面保護層2が最表面に位置している。
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートを用いて製造されているため、残留溶剤量が低減されており、においの発生などが効果的に抑制されている。また、本発明の加飾シートの表面保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物が予め硬化されているため、本発明の加飾樹脂成形品は、生産性よく製造することができる。本発明の加飾樹脂成形品は、これらの優れた特性をいかして、家庭用電化製品、自動車内装品などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野において好適に使用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
<実施例1〜2及び比較例1>
(加飾シートの作製)
2軸延伸PETシート(厚み:75μm)上に、アクリル−メラミン系樹脂をコートし、離型層(厚み:0.1μm)を形成した。次いで、多官能(メタ)アクリレートモノマー(ペンタエリスリトールトリアクリレート,分子量:298)40質量部、重量平均分子量Mw15万の熱可塑性樹脂(アクリル樹脂(メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体,ガラス転移温度Tg:95℃)60質量部、その他紫外線吸収剤1.1質量部、光安定剤0.6質量部、及びレベリング剤0.2質量部を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を、上記離型層上にバーコーターで塗布して、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して架橋硬化させて、表面保護層(厚み:6μm)を形成した。次に、表面保護層表面にコロナ放電処理を施した後、その上に、ポリウレタン系2液硬化型樹脂(アクリル系ポリマーポリオールと硬化剤としてキシリレンジイソシアネートとを、NCO当量とOH当量とが同量になるように含む組成物,ガラス転移温度Tg(ポリオールの未硬化時):100℃)の溶液をグラビア印刷により塗布して、プライマー層(厚み1.0μm)を形成した。次いで、上記プライマー層の上に、アクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂とをバインダー樹脂とした黒色系印刷インキ(アクリル樹脂:50質量%、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂:50質量%)を塗布量2g/m2でグラビア印刷を施して全面ベタ層の着色層を形成した。さらにこの上に、アクリル系樹脂(軟化温度:125℃)とシリカ粒子(平均粒子径2〜3μm程度、吸油量250mL/100g)と希釈溶媒メチルエチルケトン:酢酸エチル=1:1を表1に記載の質量比となるようにして含む樹脂組成物を塗布量1.5g/m2でグラビア印刷を施して接着層を形成した。次に実施例1〜2及び比較例1で得られた加飾シートにおける残存溶剤量を、以下のようにして測定した。
<製造直後の加飾シートの溶剤残存量の測定>
加飾シートの製造工程において、プライマー層、着色層、接着層を印刷するごとに、20cm離れたところから10秒間ドライヤーの熱風を当てた。次に、製造直後の加飾シートをガスクロマトグラフィー用の瓶に詰めて封をした。1時間経過後に、瓶内のガスについて、ガスクロマトグラフィー測定を行い、加飾シートから放出された溶剤量を測定した。結果を表1に示す。
<製造から1週間経過後の加飾シートの溶剤残存量の測定>
加飾シートの製造工程において、プライマー層、着色層、接着層を印刷するごとに、20cm離れたところから10秒間ドライヤーの熱風を当てた。次に、製造直後の加飾シートを一週間室温下で放置した。次に、一週間放置した加飾シートを100℃で20秒加熱した後、加飾シートをガスクロマトグラフィー用の瓶に詰めて封をした。1時間経過後に、瓶内のガスについて、ガスクロマトグラフィー測定を行い、加飾シートから放出された溶剤量を測定した。結果を表1に示す。
表1に示されるように、接着層にシリカ粒子を配合した実施例1及び2の加飾シートにおいては、シリカ粒子を配合しなかった比較例1の加飾シートに比して、製造直後における溶剤残留量が少なく、さらに製造から1週間経過後の溶剤残留量もかなり低減されていた。
<初期密着性の評価>
実施例1〜2及び比較例1で得られた加飾シートを、射出成形の金型内形状に沿うように真空成形して、金型内面に密着させた。金型は、160×100mmの大きさで、絞り3mm、コーナー部が5Rの平板状である形状のものを用いた。一方、射出樹脂としてPC+ABS樹脂(「XCY620(商品名)」,CYCOLOY製)を用いて、これを265℃にて溶融状態にしてから、キャビティ内に射出した。温度60℃の金型から取り出すと同時に基材層を剥離し、表面保護層、プライマー層、着色層、接着層、及び成形樹脂層が順に積層された加飾樹脂成形品を得た。
次に、得られた加飾樹脂成形品の表面保護層側から、カッターを用いて1mm間隔で6本のクロスカットを形成し、その上から1inchセロハンテープ(ニチバン社製)を圧着した後、急激に剥離する手順を同一箇所で5回繰り返すことにより、加飾樹脂成形品の初期密着性を評価した。その結果、実施例1〜2及び比較例1で得られた加飾シートを用いたいずれの加飾樹脂成形品においても、剥離が全く認められず、初期密着性は良好であった。
<グロス値(60°)の測定>
BYKガードナー社製のマイクログロスを用い、実施例1〜2及び比較例1で得られた加飾シートを用いた加飾樹脂成形品の表面のグロス値(60°)を測定した。その結果、実施例1の加飾樹脂成形品のグロス値(60°)は、80.8、実施例2の加飾樹脂成形品のグロス値(60°)は、81.3、比較例1の加飾樹脂成形品のグロス値(60°)は、80.9であり、ほぼ同じ値となった。このことから、実施例1及び2の加飾シートでは、接着層にフィラーを含むことによって加飾樹脂成形品の艶を低下させて、意匠感を損ねることなく、残留溶剤の低減を図ることができたと言える。
1…基材層
2…表面保護層
3…着色層
4…接着層
4a…フィラー
5…プライマー層
6…離型層
7…成形樹脂層

Claims (11)

  1. 少なくとも、基材層と、表面保護層と、着色層と、接着層とをこの順に有し、
    前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、
    前記接着層が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、
    前記フィラーが多孔質粒子であり、
    前記フィラーの吸油量が200〜400mL/100gであり、
    前記接着層において、前記フィラーが、前記樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれる、加飾シート。
  2. 前記接着層において、前記フィラーの平均粒子径が、1〜10μmである、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記接着層の厚みが、6μm以下である、請求項1または2に記載の加飾シート。
  4. 前記接着層において、前記樹脂が、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1〜のいずれかに記載の加飾シート。
  5. 前記着色層の厚みが、0.5〜40μmである、請求項1〜のいずれかに記載の加飾シート。
  6. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜25万の熱可塑性樹脂とを含有する、請求項1〜のいずれかに記載の加飾シート。
  7. 前記多官能(メタ)アクリレートモノマーが、3〜8個の官能基を有する、請求項に記載の加飾シート。
  8. 前記熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位とするアクリル樹脂である、請求項またはに記載の加飾シート。
  9. 少なくとも、成形樹脂層と、接着層と、着色層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
    前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、
    前記接着層が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、
    前記フィラーが多孔質粒子であり、
    前記フィラーの吸油量が200〜400mL/100gであり、
    前記接着層において、前記フィラーが、前記樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれる、加飾樹脂成形品。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の加飾シートを金型の内面形状に沿うようにして、前記金型の内面に密着させて型締する工程と、
    射出樹脂を前記金型内に射出し、前記接着層を介して前記加飾シートと前記射出樹脂とを一体化する工程と、
    前記射出樹脂を冷却した後に、前記金型内から加飾樹脂成形品を取り出す工程と、
    を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
  11. 前記金型内から加飾樹脂成形品を取り出す工程と同時に、前記加飾樹脂成形品から前記基材層を剥離する工程をさらに備える、請求項10に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
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