JP6295573B2 - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Description
このような状況下、本発明は、残留溶剤量の少ない加飾シートを提供することを主な目的とする。
項1. 少なくとも、基材層と、表面保護層と、着色層と、接着層とをこの順に有し、
前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、
前記接着層が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、
前記接着層において、前記フィラーが、前記樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれる、加飾シート。
項2. 前記接着層において、前記フィラーの平均粒子径が、1〜10μmである、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記接着層において、前記フィラーが、多孔質粒子である、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記接着層の厚みが、6μm以下である、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記接着層において、前記樹脂が、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記着色層の厚みが、0.5〜40μmである、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜25万の熱可塑性樹脂とを含有する、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記多官能(メタ)アクリレートモノマーが、3〜8個の官能基を有する、項7に記載の加飾シート。
項9. 前記熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位とするアクリル樹脂である、項7または8に記載の加飾シート。
項10. 少なくとも、成形樹脂層と、接着層と、着色層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、
前記接着層が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、
前記接着層において、前記フィラーが、前記樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれる、加飾樹脂成形品。
項11. 項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを金型の内面形状に沿うようにして、前記金型の内面に密着させて型締する工程と、
射出樹脂を前記金型内に射出し、前記接着層を介して前記加飾シートと前記射出樹脂とを一体化する工程と、
前記射出樹脂を冷却した後に、前記金型内から加飾樹脂成形品を取り出す工程と、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
項12. 前記金型内から加飾樹脂成形品を取り出す工程と同時に、前記加飾樹脂成形品から前記基材層を剥離する工程をさらに備える、項11に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、表面保護層と、着色層と、接着層とをこの順に有し、表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、接着層が樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、接着層において、フィラーが、樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれることを特徴とする。本発明の加飾シートは、接着層において、フィラーが樹脂100質量部に対して1質量部以上含まれることにより、接着層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂組成物により形成された表面保護層を備えているにも拘わらず、残留溶剤量の少ない加飾シートとすることができる。本発明の加飾シートにおいて、このような優れた効果が奏される機序の詳細は、必ずしも明らかではないが、例えば次のように考えることができる。すなわち、上述の通り、着色層などに使用されるインキに含まれる溶剤の揮発が接着層や硬化した表面保護層によって阻害されており、これが加飾シートの残留溶剤量が多くなることの主な要因となっているが、本発明の加飾シートにおいては、当該接着層にフィラーが1質量部以上含まれている。このため、接着層の表面部分において、少なくとも一部のフィラーが接着層の表面部分から突出して、接着層の表面積が大きくなっており、表面積の大きな接着層からの溶剤の揮発が促進されているものと考えられる。さらに、当該フィラーが多孔質である場合には、当該多孔を介して溶剤が揮発しやすくなるため、接着層からの溶剤の揮発がより一層促進されるものと考えられる。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、表面保護層2と、着色層3と、接着層4とがこの順に積層された積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいて、表面保護層2の着色層3側には、表面保護層2と隣接する層(例えば着色層3)との密着性を向上させることなどを目的として、プライマー層5を設けてもよい。また、本発明の加飾シートが加飾樹脂成形品に転写された後に、基材層1を剥離しやすくするために、基材層1と表面保護層2との間に離型層6を設けてもよい。
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂;ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート、ポリウレタン系などのエラストマー系樹脂などによるものが利用される。これらのうち、成形性及び剥離性が良好である点から、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という。)が好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
離型層6は、加飾シートが加飾樹脂成形品に成形された後に、加飾樹脂成形品の表面保護層2から基材層1を容易に剥離するために、必要に応じて設けられる層である。すなわち、離型層6は、加飾シートが加飾樹脂成形品に成形された後に、基材層1と共に、表面保護層2から剥離される層である。本発明の加飾シートが離型層6を有することにより、本発明の加飾シートが加飾樹脂成形品に成形された後に、基材層1と離型層6を表面保護層2から確実に剥離することができる。離型層6は、図2に示すように、全面を被覆(全面ベタ状)しているベタ離型層であってもよいし、一部に設けられるものであってもよい。通常は、剥離性を考慮して、ベタ離型層であることが好ましい。
表面保護層2は、本発明の加飾シートを用いた加飾樹脂成形品に耐傷付き性、耐汚染性などの表面特性を付与する層であり、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されている。表面保護層2の形成に好適に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂である。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層2の形成において好適に使用される。
分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマーは、その官能基数が2以上であり、かつ分子量が175〜1000の(メタ)アクリレートモノマーのことをいう。多官能(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は、加飾樹脂成形品に優れた耐汚染性及び成形性を付与する観点からは、官能基数が3以上であることが好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。また、多官能(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、加飾樹脂成形品に優れた耐汚染性及び成形性を付与する観点からは、200〜800が好ましく、250〜600がより好ましく、250〜400がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂は、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜25万のものであることが好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された値であり、標準サンプルにポリスチレンを用いた条件で測定された値である。
0の範囲であることが好ましい。多分散度がこの範囲内であると、優れた成形性及び耐汚染性の他、耐摩耗性、耐擦傷性などの表面特性が得られる。これと同様の観点から、多分散度は、1.5〜2.5の範囲であることがより好ましい。
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂との質量比は、10:90〜75:25の範囲にあることが好ましい。この質量比が10:90よりも小さい、すなわち樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10よりも少ないと、優れた表面特性が得られず、印刷適性が低下する場合があり、一方、この質量比が75:25よりも大きい、すなわち樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が75よりも多いと、優れた成形性が得られない場合があり、またそれに加えて、成形後の転写層と樹脂成形体との密着性が低くなることがある。また、本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が10万〜25万の熱可塑性樹脂との質量比は、25:75〜75:25の範囲にあることが好ましい。この質量比が25:75よりも小さい、すなわち樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が25よりも少ないと、優れた表面特性が得られず、印刷適性が低下する場合があり、一方、この質量比が75:25よりも大きい、すなわち樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が75よりも多いと、優れた成形性が得られない場合があり、またそれに加えて、成形後の転写層と樹脂成形体との密着性が低くなることがある。標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜10万未満の熱可塑性樹脂と、当該重量平均分子量が10万〜25万の熱可塑性樹脂のいずれを用いる場合にも、加飾樹脂成形品に優れた表面特性を付与する観点から、当該質量比は、30:70〜70:30が好ましく、35:65〜65:35がより好ましい。
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記の多官能(メタ)アクリレートモノマーや熱可塑性樹脂以外の成分を含有することができる。例えば、本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーなどの多官能(メタ)アクリレートオリゴマーや、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレートを含有することができる。
本発明の加飾シートは、表面保護層2と、表面保護層2と隣接する層(例えば着色層3)との間に、必要に応じてプライマー層5を有していてもよい。プライマー層5を設けることにより、表面保護層2とこれに隣接する層との密着性をさらに向上させることができる。プライマー層5は透明又は半透明な層であることが好ましく、プライマー層5の形成にはポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの樹脂の1種単独又は2種以上の混合物が用いられるが、特にポリウレタン系2液硬化型樹脂を用いることが好ましい。
ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系などのポリマーポリオール単独、又はそれらの混合物に対して、使用直前に硬化剤を添加したものが用いられる。ポリマーポリオールとしては、アクリル系ポリマーポリオール、あるいはポリエステル系ポリマーポリオールが好ましく、アクリル系ポリマーポリオールがより好ましい。アクリル系ポリマーポリオールとしては、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアクリレートを共重合させて複数の水酸基を導入したものが好ましく挙げられる。また、ポリエステル系ポリマーポリオールとしては、例えばポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクトンなどが用いられる。
本発明における着色層3は、通常、絵柄層及び隠蔽層の少なくとも一方により構成される。絵柄層は、模様や文字などとパターン状の絵柄を表現するために設けられる層である。絵柄層の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字などからなる絵柄を挙げることができる。また、隠蔽層は、通常、全面ベタ層であり、後述の射出樹脂などの着色などを隠蔽するために設けられる層である。隠蔽層には、絵柄層の絵柄を引き立てるために絵柄層の内側に設けられる場合のほか、それ単独で装飾層を形成する場合がある。また、当該装飾層は、透明転写箔であってもよいし、色付き転写箔であってもよい。
接着層4は、本発明の加飾シートと後述の射出樹脂とを接着し、加飾樹脂成形品を得るために形成される層である。
本発明の加飾シートは、例えば、以下の[1]〜[4]の工程により製造することができる。
[1]基材層1上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を積層する工程、
[2]該電離放射線硬化性樹脂組成物層に電離放射線を照射し該電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化又は半硬化して表面保護層2を形成する工程、
[3]該表面保護層2上に着色層3を積層する工程、及び
[4]該着色層3上に接着層4を積層する工程。
[1−1]工程[1]において、基材層1上に離型層6を積層し、離型層6上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を積層する工程
[2−1]工程[2]と[3]との間において、表面保護層2の表面にコロナ放電処理又はプラズマ処理を施す工程
[3−1]工程[3]において、表面保護層2上に、プライマー層5を積層し、プライマー層5上にする着色層3を積層する工程
本発明の加飾シートは、残留溶剤量が低減されているため、当該加飾シートの製造時や、当該加飾シートを用いて製造される加飾樹脂成形品において、加工不良、においの発生などを効果的に抑制することができる。このため、本発明の加飾シートは、家庭用電化製品、自動車内装品などの分野や、パソコンの分野、とりわけパソコンの筐体など、幅広い分野で用いられる部材の加飾に好適に使用することができる。
本発明の加飾シートは、射出成形同時転写加飾に好適に用いられる。そして、本発明の加飾樹脂成形品は、例えば本発明の加飾シートを用いて、射出成形同時転写加飾により製造することができる。より具体的には、本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、以下の工程(1)〜(3)により製造することができる。
(1)本発明の加飾シートを金型の内面形状に沿うようにして、金型の内面に密着させて型締する工程、
(2)射出樹脂を金型内に射出し、接着層を介して加飾シートと射出樹脂とを一体化する工程、
(3)記射出樹脂を冷却した後に、金型内から加飾成形品を取り出す工程。
本発明の加飾樹脂成形品の成形樹脂層7に用いられる樹脂としては、特に制限されず、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)など、様々な樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂材料としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、2液反応硬化型のポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、基材層1が剥離される前の加飾樹脂成形品は、例えば上記のように本発明の加飾シートを用いて製造することができ、例えば上記の工程(1)〜(3)を経ることにより得られる。その構成は、少なくとも、成形樹脂層7、接着層4、着色層3、表面保護層2、及び基材層1を順に有し、該表面保護層2が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、接着層4が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、接着層4において、フィラーが、樹脂100質量部に対して1質量部以上含まれることを特徴とするものである。すなわち、当該加飾樹脂成形品では、表面保護層2の上に基材層1が形成されている。ここで、基材層1は保護シート(マスキングフィルム)としての機能を有するため、剥離してもよいし、剥離することなくそのまま保管しておき、使用する直前に剥離してもよい。また基材層1を保護シートとして用いると、輸送時などに発生する擦れなどによる傷の発生から表面保護層を保護するための層として使用できるというメリットがある。
(加飾シートの作製)
2軸延伸PETシート(厚み:75μm)上に、アクリル−メラミン系樹脂をコートし、離型層(厚み:0.1μm)を形成した。次いで、多官能(メタ)アクリレートモノマー(ペンタエリスリトールトリアクリレート,分子量:298)40質量部、重量平均分子量Mw15万の熱可塑性樹脂(アクリル樹脂(メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体,ガラス転移温度Tg:95℃)60質量部、その他紫外線吸収剤1.1質量部、光安定剤0.6質量部、及びレベリング剤0.2質量部を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を、上記離型層上にバーコーターで塗布して、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して架橋硬化させて、表面保護層(厚み:6μm)を形成した。次に、表面保護層表面にコロナ放電処理を施した後、その上に、ポリウレタン系2液硬化型樹脂(アクリル系ポリマーポリオールと硬化剤としてキシリレンジイソシアネートとを、NCO当量とOH当量とが同量になるように含む組成物,ガラス転移温度Tg(ポリオールの未硬化時):100℃)の溶液をグラビア印刷により塗布して、プライマー層(厚み1.0μm)を形成した。次いで、上記プライマー層の上に、アクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂とをバインダー樹脂とした黒色系印刷インキ(アクリル樹脂:50質量%、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂:50質量%)を塗布量2g/m2でグラビア印刷を施して全面ベタ層の着色層を形成した。さらにこの上に、アクリル系樹脂(軟化温度:125℃)とシリカ粒子(平均粒子径2〜3μm程度、吸油量250mL/100g)と希釈溶媒メチルエチルケトン:酢酸エチル=1:1を表1に記載の質量比となるようにして含む樹脂組成物を塗布量1.5g/m2でグラビア印刷を施して接着層を形成した。次に実施例1〜2及び比較例1で得られた加飾シートにおける残存溶剤量を、以下のようにして測定した。
加飾シートの製造工程において、プライマー層、着色層、接着層を印刷するごとに、20cm離れたところから10秒間ドライヤーの熱風を当てた。次に、製造直後の加飾シートをガスクロマトグラフィー用の瓶に詰めて封をした。1時間経過後に、瓶内のガスについて、ガスクロマトグラフィー測定を行い、加飾シートから放出された溶剤量を測定した。結果を表1に示す。
加飾シートの製造工程において、プライマー層、着色層、接着層を印刷するごとに、20cm離れたところから10秒間ドライヤーの熱風を当てた。次に、製造直後の加飾シートを一週間室温下で放置した。次に、一週間放置した加飾シートを100℃で20秒加熱した後、加飾シートをガスクロマトグラフィー用の瓶に詰めて封をした。1時間経過後に、瓶内のガスについて、ガスクロマトグラフィー測定を行い、加飾シートから放出された溶剤量を測定した。結果を表1に示す。
実施例1〜2及び比較例1で得られた加飾シートを、射出成形の金型内形状に沿うように真空成形して、金型内面に密着させた。金型は、160×100mmの大きさで、絞り3mm、コーナー部が5Rの平板状である形状のものを用いた。一方、射出樹脂としてPC+ABS樹脂(「XCY620(商品名)」,CYCOLOY製)を用いて、これを265℃にて溶融状態にしてから、キャビティ内に射出した。温度60℃の金型から取り出すと同時に基材層を剥離し、表面保護層、プライマー層、着色層、接着層、及び成形樹脂層が順に積層された加飾樹脂成形品を得た。
次に、得られた加飾樹脂成形品の表面保護層側から、カッターを用いて1mm間隔で6本のクロスカットを形成し、その上から1inchセロハンテープ(ニチバン社製)を圧着した後、急激に剥離する手順を同一箇所で5回繰り返すことにより、加飾樹脂成形品の初期密着性を評価した。その結果、実施例1〜2及び比較例1で得られた加飾シートを用いたいずれの加飾樹脂成形品においても、剥離が全く認められず、初期密着性は良好であった。
BYKガードナー社製のマイクログロスを用い、実施例1〜2及び比較例1で得られた加飾シートを用いた加飾樹脂成形品の表面のグロス値(60°)を測定した。その結果、実施例1の加飾樹脂成形品のグロス値(60°)は、80.8、実施例2の加飾樹脂成形品のグロス値(60°)は、81.3、比較例1の加飾樹脂成形品のグロス値(60°)は、80.9であり、ほぼ同じ値となった。このことから、実施例1及び2の加飾シートでは、接着層にフィラーを含むことによって加飾樹脂成形品の艶を低下させて、意匠感を損ねることなく、残留溶剤の低減を図ることができたと言える。
2…表面保護層
3…着色層
4…接着層
4a…フィラー
5…プライマー層
6…離型層
7…成形樹脂層
Claims (11)
- 少なくとも、基材層と、表面保護層と、着色層と、接着層とをこの順に有し、
前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、
前記接着層が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、
前記フィラーが多孔質粒子であり、
前記フィラーの吸油量が200〜400mL/100gであり、
前記接着層において、前記フィラーが、前記樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれる、加飾シート。 - 前記接着層において、前記フィラーの平均粒子径が、1〜10μmである、請求項1に記載の加飾シート。
- 前記接着層の厚みが、6μm以下である、請求項1または2に記載の加飾シート。
- 前記接着層において、前記樹脂が、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記着色層の厚みが、0.5〜40μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、分子量が175〜1000の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が1万〜25万の熱可塑性樹脂とを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記多官能(メタ)アクリレートモノマーが、3〜8個の官能基を有する、請求項6に記載の加飾シート。
- 前記熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位とするアクリル樹脂である、請求項6または7に記載の加飾シート。
- 少なくとも、成形樹脂層と、接着層と、着色層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、
前記接着層が、樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物により形成されており、
前記フィラーが多孔質粒子であり、
前記フィラーの吸油量が200〜400mL/100gであり、
前記接着層において、前記フィラーが、前記樹脂100質量部に対して、1質量部以上含まれる、加飾樹脂成形品。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の加飾シートを金型の内面形状に沿うようにして、前記金型の内面に密着させて型締する工程と、
射出樹脂を前記金型内に射出し、前記接着層を介して前記加飾シートと前記射出樹脂とを一体化する工程と、
前記射出樹脂を冷却した後に、前記金型内から加飾樹脂成形品を取り出す工程と、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。 - 前記金型内から加飾樹脂成形品を取り出す工程と同時に、前記加飾樹脂成形品から前記基材層を剥離する工程をさらに備える、請求項10に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
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