JP6293988B2 - 食品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数相構造を有する食品およびその製造方法に関する。
従来、ゼリーやプリンなどの食品が多く市販されている。一方、このような食品の市場価値を高めるべく、食品自体を複数相化した例も多い。また、そのような食品の中には、泡状物を含んだ食品もある。例えば、冷却したゲル化物、または冷却したゲル化性溶液と泡状物を接触させることにより、ゼリー上にクリームをトッピングしたデザートを製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。また、カチオンを含有する下層のデザート上に、カチオン反応性を有するゲル化剤、ガム類、および低温ゲル化性ゲル化剤を含有するホイップ製品を載せた食品も開示されている(特許文献2参照)。また、水可溶性カラギナンおよび起泡性素材を含有する泡状食品からなる層とネイティブジェランガムを含有する食品からなる層を積層した食品も開示されている(特許文献3参照)。さらに、乳原料およびゲル化剤を含む食品であって、発酵セルロースを含有する食品も開示されており、この食品としてムース、ババロアが開示されている(特許文献4参照)。これらのような泡状物を含んだ食品は、外観的にも興味を引き、また独特の食感を有するところに特徴がある。
特開昭64−27439号公報 特開平11−221030号公報 特開2004−236542号公報 特開平11−178520号公報
しかしながら、上述した食品は、泡状物自体が必ずしも安定ではないため、流通段階あるいはユーザーが食する段階で不都合を生じる場合もある。例えば、泡状物が崩れたり、泡状物とゲル化物との境界ににじみが生じたりすると著しく商品価値を損なってしまう。
また、複数相構造を有する食品は、後に充填した溶液により、先に充填した溶液が容器壁面に沿って競り上がり、側面から見た界面が不明瞭になり商品価値を損なってしまう。
特許文献4には、発酵セルロースを含有したムースやババロア等のチルドデザートが記載されているが、一般的なチルドデザートの製造方法が開示されているのみであり、本発明の特徴である気泡を含有させた泡状物や混合した原材料を高温に保持したまま気泡を含有させる含気・充填工程についての開示や示唆はなされていない。また、積層プリンについて例示されているが、いずれの層も含気工程を有する泡状物ではなく、その製造方法も殺菌後に常温で放冷するため、生産効率を上げるためには特別な冷却装置が必要であり、本発明とは製造方法および製造物は異なると言える。なお、特許文献4は、急冷しなくても荒れのないきめ細やかな食品を製造することを課題とするものであり、本発明の課題である複数相を有する食品における泡状物の保型性向上については一切開示や示唆はなされておらず、目的、課題及び効果は全く異なると言える。
本発明の目的は、泡状物を含み、かつ当該泡状物が安定な食品およびその簡便な製造方法を提供することにある。
前記課題を解決すべく、本発明は、以下のような食品およびその製造方法を提供するものである。
(1)複数相構造を有する食品であって、前記複数相構造のうち少なくとも1相が泡状物であり、前記泡状物に発酵セルロースが含有されていることを特徴とする食品。
(2)上記(1)に記載の食品において、前記発酵セルロースが前記泡状物に0.01質量%以上1.0質量%以下含有されていることを特徴とする食品。
(3)上記(1)または(2)に記載の食品において、さらに、前記泡状物にカルボキシメチルセルロース塩およびキサンタンガム、または、カルボキシメチルセルロース塩およびグァーガムの少なくとも1種以上が含有されていることを特徴とする食品。
(4)上記(1)〜(3)に記載の食品において、さらに、前記複数相構造のうち少なくとも1相がゲル化物であることを特徴とする食品。
(5)上記(4)に記載の食品において、前記ゲル化物と前記泡状物の比重差(泡状物−ゲル化物)が−0.5以上+0.5以下であることを特徴とする食品。
(6)複数相構造を有する食品の製造方法であって、ゲル化性溶液を容器に充填する第1充填工程と、発酵セルロースを配合した原料に気泡を含有させる含気工程と、前記含気工程後に、前記含気された原料を前記容器に充填する第2充填工程と、前記第2充填工程後に、充填された前記ゲル化性溶液と前記含気された原料を冷却する工程とを備えることを特徴とする食品の製造方法。
(7)複数相構造を有する食品の製造方法であって、発酵セルロースを配合した原料に気
泡を含有させる含気工程と、前記含気工程後に、前記含気された原料を容器に充填する第
1充填工程と、前記第1充填工程後に、ゲル化性溶液を前記容器に充填する第2充填工程
と、前記第2充填工程後に、充填された前記含気された原料と前記ゲル化性溶液を冷却す
る工程とを備えることを特徴とする食品の製造方法。
(8)前記含気工程において、発酵セルロースを配合した原料の温度が50℃以上90℃
以下であることを特徴とする上記(6)または(7)に記載の食品の製造方法。
泡状物を含む本発明の食品によれば、当該泡状物が発酵セルロースを配合してなるので、泡状物が安定な食品および製造方法を提供することができる。
本実施形態における食品の例1(食品を上から見た図および断面図を示した図である。以下同様である) 本実施形態における食品の例2 本実施形態における食品の例3 本実施形態における食品の例4 本実施形態における食品の例5 本実施形態における食品の例6
以下、本発明の食品およびその製造方法について詳細に説明する。
〔食品の構成〕
本発明の食品は、複数相構造を有し、この複数相構造のうち少なくとも1相が泡状物であって発酵セルロースを配合してなる食品である。
このような食品としては、ゲル化物からなるマトリックス相中に泡状構造(泡状物)が塊状に分散した構造でもよく、あるいはマトリックス相と泡状物が互いに層状に積層した構造でもよい。例えば、図1から図6までの概略断面図に示すように種々の態様が挙げられる。具体的には、ゲル化物Gからなるマトリックスの内部に泡状物Fが完全にあるいは部分的に内包されているもの(例えば、図1、2)、ゲル化物Gの上に泡状物Fが積層されているもの(例えば、図3、4)、逆にゲル化物Gの下に泡状物Fが積層されているもの(例えば、図5)、ゲル化物Gと泡状物Fが交互に積層されているものなどが挙げられる(例えば、図6)。なお、図3、6の泡状物は、充填されたゲル化物の上に泡状物を載せた状態であり、該泡状物は泡状物の絞った跡が残っている態様である。
上述した泡状物の具体例としては、ホイップクリーム、凍結ホイップクリーム、バタークリーム、ムース、ババロア、ホイップヨーグルト、アイスクリーム、メレンゲ、マシュマロ、およびホイップチーズ等、含気されている食品が挙げられる。なお、本発明における泡状物は、気泡を泡状物に対する体積比率(オーバーラン)で10%以上350%以下含有するものをいう。
また、ゲル化物の具体例としては、プリン、ゼリー、ムース、ババロア、ヨーグルト、酸性プリン、飲むプリン、飲むゼリー、およびドリンクヨーグルト等が挙げられる。
これらのゲル化物とするためのゲル化性溶液の調製方法であるが、上述したゲル化物を調製するために一般的に用いることができる油脂、乳製品、砂糖等の原材料や乳化剤、増粘剤、ゲル化剤等を用いることができるし、特に限定されるものではない。
上述の食品には、他に、カラメルソース、フルーツソース、コーヒーソース、チョコソース、ココアソース、クリーム、練乳、ジャム、シロップ、コーヒー、紅茶、牛乳、緑茶、抹茶、ウーロン茶、ココア飲料、果汁、果汁入りミルク、炭酸飲料等の流動食品や果実、さのう、ハーブ、野菜、チーズ、餡、チョコレート、スポンジケーキおよびその他の固形物等が含まれていてもよい。
このような食品を食する際は、スプーンを用いるだけでなく、その性状に応じて容器の開口部から直接飲用したり、あるいはストローにより吸引してもよい。
上述の発酵セルロースとしては、セルロース生産菌が生産するセルロースであれば特に限定されないが、例えばアセトバクター属、シュードモナズ属、アグロバクテリウム属等に属する菌が生産する発酵セルロースを用いることができるが、特にアセトバクター属(Acetobacter aceti ssp.xylinum)が生産した発酵セルロースが好ましい。
本発明で用いられる発酵セルロースは、水に膨潤させた場合には、溶液中で非常に細い不溶性の繊維として存在し、この繊維状の発酵セルロースが連続的な三次元網目構造を形成している。発酵セルロースとしては、膨潤しやすいようにカルボキシメチルセルロース塩、グァーガム、キサンタンガムの1種もしくは2種以上と複合化もしくはカルボキシメチルセルロース塩、グァーガム、キサンタンガムの1種もしくは2種以上でコーティング化されたものが好ましく、より好ましくはカルボキシメチルセルロース塩、グァーガムの組み合わせもしくはカルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガムの組み合わせを挙げることができる。カルボキシメチルセルロース塩、グァーガムの組み合わせは、発酵セルロースの膨潤効果が高く、酸性乳成分入り食品でも中性乳成分入り食品でも使用することができる。また、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガムの組み合わせは、発酵セルロースの膨潤効果が高く、中性乳成分入り食品に使用することができるが、酸性乳成分入り食品では乳成分が凝集する場合がある。なお、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロース塩、グァーガムの配合比であるが、発酵セルロース1に対して、カルボキシメチルセルロース塩を0.01〜3、グァーガム0.01〜3の比率にすることにより、保型性を高めることができる。また、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガムの配合比であるが、発酵セルロース1に対して、カルボキシメチルセルロース塩を0.01〜3、キサンタンガムを0.01〜3の比率にすることにより、保型性を高めることができる。
本発明における発酵セルロースの配合量は、泡状物基準で、0.01質量%以上1.0質量%以下が好ましく、0.02質量%以上0.4質量%以下がより好ましい。発酵セルロースの配合量が1.0質量%を超えると粘度が高くなりすぎて均一に膨潤させることが困難となる場合がある。一方、配合量が0.01質量%未満であると含気保持の効果が十分に発揮されず、泡状物の安定性が十分ではなくなる場合がある。
本発明の複数相構造を有する食品を製造する場合、ゲル化物を充填して冷却した後に泡状物を充填する場合、比重差は重大な問題にならないが、泡状物を先に充填する場合やゲル化物を同時に充填する場合には、比重差が大きく影響する場合がある。例えば 本発明のゲル化物と泡状物の比重差(泡状物−ゲル化物)は、−0.5以上+0.5以下が好ましく、−0.2以上+0.2以下がより好ましい。比重差が+0.5を超えると2相が混ざり合い、境界が不明瞭となる場合がある。一方、−0.5未満であると2相が混ざり合い、界面が不明瞭となる場合がある。なお、比重差を調整することにより、泡状物の分布をゲル化物の上部にしたり、下部にしたり、または内包させる等、任意に配置することができる。なお、泡状物の比重は、含気工程前のミックスの比重である。
発酵セルロースを配合する際は、膨潤目的の複合化剤やコーティング剤以外を併せて他のゲル化剤や増粘剤を配合してもよく、必要に応じて乳化剤を配合してもよい。
このようなゲル化剤や増粘剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース塩、メチルセルロース、結晶セルロース、微小繊維状セルロース、発酵セルロース、ナタデココ、アラビアガム、ガティガム、カードラン、カラギナン、キサンタンガム、グァーガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、酵素処理タマリンドシードガム、タラガム、ペクチン、ダイズ多糖類、デンプン、加工デンプン(アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン)、寒天、ゼラチン、プルランおよびマンナンなどを挙げることができる。
乳化剤としては特に限定されるものではないが、例えば、キラヤ抽出物、グリセリン脂肪酸エステル(グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、グリセリン酢酸エステル)、酵素処理レシチン、酵素分解レシチン、植物性ステロール、植物レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、分別レシチン、卵黄レシチン、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、およびポリソルベート80など一般に市販されているものが挙げることができる。
〔食品の製造方法〕
本発明の食品の製造方法は、ゲル化性溶液を充填する第1充填工程と、前記工程後に発酵セルロースを配合した原料に気泡を含有させる含気工程と、前記含気工程後に、前記含気された原料を前記容器に充填する第2充填工程と、前記第2充填工程後に、充填された前記ゲル化性溶液と前記含気された原料を冷却する工程とを備えている。
例えば、図1から図6までに挙げたような相構造を有する食品を製造する場合、まず、ゲル化物Gとするためのゲル化性溶液(以下、「1液」ともいう。)と、泡状物Fとするための溶液(発酵セルロースを含んでいる。以下、「2液」ともいう)とを発酵セルロースを用いる以外は食品を調製する一般的な方法に従って調製する。なお、2液はさらにミキサー等により泡状化処理を行い泡状物Fとする。
本発明では、発酵セルロースを配合した原料を調製し、その後に気泡を含有させるが、本発明においては、発酵セルロースを配合した原料を調製後、いつでも気泡を含有させることができる。例えば、発酵セルロースを配合した原料を調製した後直ぐに気泡を含有させ、直ちに充填してもよい。それ故、本発明によれば、従来の泡状物を含んだ食品の製造方法に比べて製造時間を短縮することができるし、製造工程を簡便化することができる。
気泡を含有させる方法であるが、ミキサー、ホイッパー、ホイッピングマシーン、連続式発泡機等、一般的な含気させる装置により泡状化処理を行い泡状物とする。泡状物に含有する気泡量の調整は、含気工程にてバッチ式では、回転数、時間、羽根の形状等、連続式では、流速、回転数、背圧、供給するガス量等を適宜変更しながら含気率を調整することができる。なお、発酵セルロースを配合した原料を殺菌した後に、気泡を含有させることができる。
本発明では、1液の充填時における1液の温度は、ゲル化温度以上であることが好ましい。ゲル化温度未満では、1液の充填直後に2液を充填すると2液がにじみ任意の形状としにくくなるからである。
本発明における2液の含気条件であるが、含気する際の概溶液の温度が50℃以上90℃以下に調整することができる。50℃未満や90℃を超えると、うまく含気ができない場合があるからである。
なお、発酵セルロースを配合してなる原料を含気させる含気工程と、含気された原料を充填する第1充填工程と、ゲル化性溶液を充填する第2工程と、充填された前記含気された原料と前記ゲル化性溶液を冷却する冷却工程とを備えることを特徴とする食品の製造方法とすることもできる。
上述したように本発明によれば、安定な泡状物を含んだ食品を提供できるので、外観を損ねることなく、しかも、色彩、風味、食感ともに従来品より商品価値の高い食品を提供できる。また、本発明によれば、泡状物とゲル化物との界面が安定なので、輸送中に泡状物がゲル化物から剥離するおそれが少ない。さらに、本発明の食品は、簡便な方法で製造可能である。
なお、全ての図面は円形容器を用いた例としているが、あくまで一例である。三角形、四角形、五角形等の多角形の容器や壷のような形態の容器等を用いたとしても、各相の境界が明瞭である食品を提供することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。具体的には、図4に示すようなプリン(ゲル化物G)とムース(泡状物F)とからなる複数相の食品を製造し、ムースの安定性(保型性)を評価した。
〔1液の調製〕
精製ヤシ油5.0質量%、脱脂粉乳5.0質量%、砂糖混合異性化糖12.0質量%、粉末水飴6.0質量%、グリセリン脂肪酸モノエステル0.1質量%、ペクチン0.15質量%、デン粉0.4質量%、ゼラチン0.15質量%、および香料と着色料を若干量配合して温水に溶解し、均質機を用いて均質圧10MPa・sで均質処理を行った後、125℃で2秒間殺菌し、55℃で保持した。また、得られた1液のゲル化温度は50℃であった。
〔2液の調製〕
牛乳15.0質量%、生クリーム5.0質量%、脱脂粉乳3.0質量%、グラニュー糖8.0質量%、粉末水飴7.6質量%、カラギナン0.1質量%、ジェランガム0.1質量%、ゼラチン0.05質量%、発酵セルロース0%(無配合)、0.009%、0.01質量%、0.02質量%、0.12質量%、0.4質量%、0.5質量%、1.0質量%、1.1質量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム所定量、キサンタンガム所定量、カゼインナトリウム0.1質量%、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=16)0.1質量%、および香料と着色料を若干量配合して温水に溶解し、均質機を用いて均質圧15MPa・sで均質処理を行った後、125℃で2秒間殺菌し、7種の温度(45℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、95℃)で各々ハンドミキサーでホイップして泡状物を調製し、各含気温度で保持した。この泡状物のオーバーランは70質量%であった。なお、オーバーランは、常法により測定した。また、含気前の2液の比重と1液の比重差(泡状物−ゲル化物)は−0.03であった。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびキサンタンガムは、発酵セルロース:カルボキシメチルセルロースナトリウム:キサンタンガム=20:3.3:10となるように配合する。
〔複数相食品(プリン/ムース)の製造および評価〕
上述の1液(55℃)を容器に59.5g充填した後、上述の泡状物(各温度)を含気工程後直ちに25.5g充填した。冷却後、食品を上から見た場合および食品の上面に対し垂直方向に割った断面図の様子を目視にて観察した(図4参照)。以下の基準で泡状物の安定性(保型性)を評価した。ここで、保型性がよいとは、含気状態が保たれており、またゲル化物(プリン)との界面が明瞭であることを意味する。なお、後述する実施例でも同じ基準を用いた。結果を表1に示す。
◎:泡状物の保型性は良好
○:泡状物の保型性はやや良好
△:泡状物の保型性は普通
×:泡状物の保型性が悪い
Figure 0006293988
〔評価結果〕
表1より、発酵セルロースを泡状物に配合してなる本発明の食品では、2液の含気工程の温度によらず、いずれも泡状構造の保型性(安定性)が高いが、50℃以上90℃以下までの範囲がより好ましい。発酵セルロースの配合量が泡状物基準で0.01質量%から1.0質量%までの範囲がより好ましく、0.02質量%から0.4質量%までの範囲がさらに好ましかった。また、比重差を−0.03としたため、ゲル化物が容器壁面に沿って競り上がり、側面から見た界面が不明瞭になるという問題も認められなかった。
一方、泡状物に発酵セルロースが配合されていない場合は、泡状物が溶解して泡を保持していない状態であり、界面も不明瞭であった。
図3、5、6に示すようなゼリー(ゲル化物G)とムース(泡状物F)とからなる複数相の食品を製造し、ムースの安定性(保型性)を評価した。
〔1液の調製〕
砂糖混合異性化糖20.0質量%、グラニュー糖5.0質量%、粉末水飴7.0質量%、寒天0.11質量%、ペクチン0.35質量%、乳酸カルシウム0.15質量%、ジェランガム0.07質量%、ローカストビーンガム0.08質量%、キサンタンガム0.08質量%、クエン酸三ナトリウム0.5質量%を温水に溶解し、これにラズベリー果汁3.0質量%、および香料、酸味料、着色料を若干量配合して溶解し、105℃で2秒間殺菌した後、均質機を用いて均質圧10MPa・sで均質処理を行い、51℃に保持した。また、得られた1液のゲル化温度は50℃であった。
〔2液の調製〕
生クリーム13.0質量%、発酵セルロース製剤(発酵セルロース0.12質量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.04質量%、グァーガム0.04質量%)、ペクチン0.24質量%、グリセリン脂肪酸エステル0.24質量%、プロピレングリコール脂肪酸エステル0.15質量%、ピロリン酸ナトリウム0.1質量%、カゼインナトリウム0.06質量%、レシチン(大豆由来)0.03質量%、ゼラチン1.3質量%、糖類を温水に溶解し、120℃3秒の加熱殺菌を行う。これに発酵乳(SNF17%)45.0質量%、および香料を若干量配合して、均質機を用いて均質圧15MPa・sで均質処理を行った後、50℃で連続ホイッピングマシーンにて含気し、泡状物を調製し、50℃に保持した。2液は、糖類の組み合わせと配合量により比重差(2液の泡状物と1液のゲル化物の比重の差、泡状物−ゲル化物)について、−0.6、−0.5、−0.3、−0.2、−0.05、+0.05、+0.2、+0.3、+0.5および+0.6の計10種類を設定し、各比重差を満たすように調製した。この泡状物のオーバーランは60質量%であった。
〔複数相食品(ゼリー/ヨーグルトホイップムース)の製造および評価〕
上述の1液(51℃)を容器に59.5g充填した後、上述の泡状物(50℃)を1液を充填した容器を回転させながら、1液の表面から1cmの高さより口金絞り袋で25.5g充填した。冷却後、食品を上から見た場合および食品の上面に対し垂直方向に割った断面図の様子を目視にて観察した(図3、5、6参照)。結果を表2に示した。

Figure 0006293988
〔評価結果〕
表2より、発酵セルロースを泡状物に配合してなる本発明の食品では、ゲル化物と泡状物の比重差(泡状物−ゲル化物)によらず、いずれも泡状構造の保型性(安定性)が高い、つまり、含気状態が保たれており、またゲル化物との界面が明瞭であるが、比重差−0.5以上+0.5以下の範囲がより好ましく、比重差−0.02以上+0.4以下の範囲がさらに好ましいことがわかる。また、比重差を調整することにより泡状物の分布状態を任意に調整することができる。また、輸送中に泡状物が崩れたり、泡状物とゲル化物が剥離するという問題もなかった。さらに、図6は泡状物が、一部内包されており、見た目にも美しいだけでなく、食する際には最初だけでなく最後までゼリーとヨーグルトホイップムースが同時に食せる形状であった。
図2に示すようなゼリー(ゲル化物G)とムース(泡状物F)とからなる複数相の食品を製造し、ムースの安定性(保型性)を評価した。
〔1液の調製〕
砂糖混合異性化糖20.0質量%、グラニュー糖5.0質量%、粉末水飴7.0質量%、寒天0.11質量%、ペクチン0.35質量%、乳酸カルシウム0.15質量%、ジェランガム0.07質量%、ローカストビーンガム0.08質量%、キサンタンガム0.08質量%、クエン酸三ナトリウム0.5質量%を温水に溶解し、これにラズベリー果汁3.0質量%、および香料、酸味料、着色料を若干量配合して溶解し、105℃で2秒間殺菌した後、均質機を用いて均質圧10MPa・sで均質処理を行い、51℃に保持した。また、得られた1液のゲル化温度は50℃であった。
〔2液の調製〕
牛乳15.0質量%、生クリーム5.0質量%、脱脂粉乳3.0質量%、グラニュー糖8.0質量%、粉末水飴7.6質量%、カラギナン0.1質量%、ジェランガム0.1質量%、ゼラチン0.05質量%、発酵セルロース所定量(表3参照)、カルボキシメチルセルロースナトリウム所定量(表3参照)、キサンタンガム所定量(表3参照)、グァーガム所定量(表3参照)、カゼインナトリウム0.1質量%、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=16)0.1質量%、および香料と着色料を若干量配合して温水に溶解し、均質機を用いて均質圧15MPa・sで均質処理を行った後、125℃で2秒間殺菌し、60℃でハンドミキサーでホイップして泡状物を調製し、60℃に保持した。この泡状物のオーバーランは60質量%であった。なお、オーバーランは、常法により測定した。また、含気前の2液の比重と1液の比重差(泡状物−ゲル化物)は−0.03であった。
〔複数相食品(ゼリー/ムース)の製造および評価〕
上述の1液(51℃)を容器に90g充填した後直ちに、上述の泡状物(60℃)を10g充填した。冷却後、食品を上から見た場合および食品の上面に対し垂直方向に割った断面図の様子を目視にて観察した(図2参照)。結果を表3に示した。
Figure 0006293988
表3より、発酵セルロースを泡状物に配合してなる本発明の食品では、コーティング化剤の有無および種類によらず、いずれも泡状構造の保型性(安定性)が高かった。また、発酵セルロースに、さらにカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびグァーガム、もしくはカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびキサンタンガムを含有させることにより、発酵セルロースの膨潤効果が高く、ざらつきも感じられずより好ましい結果を示した。
G…ゲル化物
F…泡状物

Claims (2)

  1. 複数相構造を有する食品の製造方法であって、
    ゲル化性溶液を容器に充填する第1充填工程と、
    発酵セルロースを配合した原料に50℃以上90℃以下で気泡を含有させる含気工程と、
    前記含気工程後に、前記含気された原料を前記容器に充填する第2充填工程と、
    前記第2充填工程後に、充填された前記ゲル化性溶液と前記含気された原料を冷却する工程とを備え、
    前記含気された原料と前記ゲル化性溶液の比重差(含気された原料−ゲル化性溶液)が−0.2以上+0.2以下であることを特徴とする食品の製造方法。
  2. 複数相構造を有する食品の製造方法であって、
    発酵セルロースを配合した原料に50℃以上90℃以下で気泡を含有させる含気工程と、
    前記含気工程後に、前記含気された原料を容器に充填する第1充填工程と、
    前記第1充填工程後に、ゲル化性溶液を前記容器に充填する第2充填工程と、
    前記第2充填工程後に、充填された前記含気された原料と前記ゲル化性溶液を冷却する工程とを備え、
    前記含気された原料と前記ゲル化性溶液の比重差(含気された原料−ゲル化性溶液)が−0.2以上+0.2以下であることを特徴とする食品の製造方法。
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