以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るコネクタ100は、バッテリユニット200に取り付けられたソケットコネクタ10と、当該バッテリユニット200が装着される給電装置の装着部300に取り付けられたベースコネクタ30とで構成されている。
ここで、本実施形態における方向の定義について説明する。図1に示すように、装着部300の支持板301の上面301a(第1取付面)に対して垂直な方向(第1方向)、つまり支持板301からコネクタ1に向かう方向及びその反対方向をそれぞれ上方及び下方とし、装着部300の取付板303の前面303a(第2取付面)に対して垂直な方向(第2方向)、つまりベースコネクタ30から電力ケーブル44を引き出す方向及びその反対方向をそれぞれ後方及び前方とし、上下方向及び前後方向と直交する方向(第3方向)、つまり右方及び左方が定義される。
バッテリユニット200は、図1に示すように、略直方体形状を有し、内部には、例えば、リチウムイオン蓄電池を有する。なお、蓄電池としては、リチウムイオン蓄電池に代えて、例えば、鉛蓄電池、ニッカド蓄電池、ニッケル水素蓄電池などを有していてもよい。バッテリユニット200の後壁202には、ユーザが当該バッテリユニット200を把持するための取手201が設けられている。後壁202の下端であって幅方向中央には、切り欠き部203が形成されている。ソケットコネクタ10は、切り欠き部203内において、下方に向かって突出するように配置されている。
本実施形態における装着部300は、例えば、電動バイクなどの給電装置に設けられており、支持板301と、側壁302と、取付板303とを有する。支持板301は、矩形平面形状を有する。側壁302は、支持板301の前方端部において、コの字状に立設されており、側壁302によって囲まれた領域にバッテリユニット200の取手201とは反対側端部が載置される。支持板301の後方端部には、左右方向に離隔して配置された一対の固定部304が形成されている。取付板303は、その左右方向の両端が一対の固定部304に固定された状態で、支持板301に対して垂直に立設されている。取付板303には、前後方向に貫通し左右方向に長尺な長孔305と、前後方向に貫通する一対の孔306とが形成されている。一対の孔306は、左右方向に関して、長孔305を挟む位置に配置されている。ベースコネクタ30は、支持板301の上面301a上であって、取付板303の前面303aに取り付けられている。
バッテリユニット200を装着部300に装着する際は、先ずは、ユーザが取手201を介してバッテリユニット200を把持し、バッテリユニット200の取手201とは反対側端部を側壁302によって囲まれた領域に配置する。そして、図1において、ユーザが取手201を下げることで、バッテリユニット200の前方下部(すなわち、バッテリユニット200と支持板301との接触点)を支点として、バッテリユニット200を下方に回動させる。このとき、ソケットコネクタ10及びベースコネクタ30は、バッテリユニット200及び装着部300のそれぞれにおいて、上下方向に沿って互いに対向する位置に配置されている。このため、ソケットコネクタ10がベースコネクタ30に嵌合し、ソケットコネクタ10内に設けられたソケットコンタクト21,25(図3及び図4参照)と、ベースコネクタ30内に設けられたベースコンタクト41,45(図5及び図10参照)とが接触し、両コネクタ10,30が電気的に接続される。こうして、給電装置から電動バイクの動力部へと電流を供給することが可能な状態となる。
次に、ソケットコネクタ10について、図2〜図4を参照して説明する。ソケットコネクタ10は、ソケットハウジング11と、電流供給用の一対のソケットコンタクト21と、信号用の3つのソケットコンタクト25とを有する。ソケットハウジング11は、絶縁性の樹脂からなり、内部に一対のソケットコンタクト21と3つのソケットコンタクト25とを収容する。
ソケットハウジング11は、図2及び図3に示すように、ベース部12と、ベース部12から下方に突出する嵌合部13と、ベース部12から上方に突出する突出部14とを有する。これらベース部12、嵌合部13及び突出部14は、互いにサイズは異なるもののいずれも略直方体形状に形成されている。また、ソケットハウジング11は、上方に向かって開口する2つの凹部15と、2つの凹部15間に配置され上方に向かって開口する3つの凹部16とを有する。これら凹部15,16は、左右方向に並んで配置されている。凹部15の開口15a及び凹部16の開口16aは、突出部14の上面に形成されている。これら凹部15,16は、上下方向に延在し、突出部14、ベース部12及び嵌合部13に跨っている。各凹部15には、開口15aからソケットコンタクト21が挿入されている。また、各凹部16には、開口16aからソケットコンタクト25が挿入されている。
嵌合部13の先端部には、図3(a)に示すように、陥没部13dが形成されている。陥没部13dは、嵌合部13の左右方向中央に形成されており、左右方向に長尺に形成されている。嵌合部13の先端部には、図3に示すように、左右方向に関して陥没部13dを挟む位置に配置された2つのスリット17と、これらスリット17間に配置された3つのスリット18とが形成されている。2つのスリット17は、前後及び上下方向に延在し、凹部15にそれぞれつながっている。このため、凹部15に挿入されたソケットコンタクト21の一部(接触部21b)がスリット17を介して外部に露出する。3つのスリット18も、前後及び上下方向に延在し、凹部16にそれぞれつながっている。このため、凹部16に挿入されたソケットコンタクト25の一部(接触部25c)がスリット18を介して外部に露出する。また、3つのスリット18は、陥没部13dの底部に配置されている。このため、スリット18を介して外部に露出されるソケットコンタクト25の接触部25cは、ソケットコンタクト21の接触部21bよりも上方に位置する。
嵌合部13の外周壁面には、環状の溝13aが形成されている。溝13aには、環状の弾性シール部材13b(第3弾性シール部材)が配置されている。本実施形態における弾性シール部材13bは、ゴムから構成されているが、嵌合部13と凹部36の内周壁面36b(図7参照)との間を封止することが可能であれば、ゴム以外の弾性材料から構成されていてもよい。図2及び図3(b)に示すように、嵌合部13の外周壁面のうちの前方壁面には、前方に突出し且つ上下に延在する一対のガイド部13cが形成されている。一対のガイド部13cは、図3(b)に示すように、嵌合部13の先端からベース部12に近づくに連れて、前方への突出量が大きくなるように、傾斜している。なお、ガイド部13cは、上述の溝13aによって分断され、その分断部分には弾性シール部材13bが配置されている。
ベース部12には、図2及び図3(a)に示すように、取付部19が設けられている。取付部19は、ベース部12の左壁面から左方向に突出した突出部19aと、ベース部12の右壁面から右方に突出した突出部19bとを有する。各突出部19a,19bには、上下方向に貫通する孔(不図示)が形成されている。各突出部19a,19bの孔には、公知のフローティングブッシュ19cが設けられている。このフローティングブッシュ19cは、突出部19a,19bの孔内に配置された円筒部と、当該円筒部の両端に形成され、突出部19a,19bを上下方向に挟む位置に配置された一対のフランジ部とを有する。フランジ部は、当該孔の内径よりも大きい外径を有する。円筒部の外径は、円筒部の外周壁面と当該孔の内周壁面との間に隙間が生じる程度の大きさである。ソケットコネクタ10は、フローティングブッシュ19cに下方から通されたネジ(不図示)と、このネジを取り付けるためのナット(不図示)とにより、バッテリユニット200に取り付けられる。このような取付部19の構成により、ソケットコネクタ10とベースコネクタ30との嵌合時において、ソケットコネクタ10がバッテリユニット200に対して前後及び左右に移動可能となる。
ソケットコンタクト21は、図4(a)に示すように、導電性の金属板を打ち抜き曲げ加工して製造されており、接続部21aと、接触部21bとを有する。接続部21aは、曲げ加工によって前後方向に立設された接続片21a1を有する。接続片21a1は、上下方向に貫通する孔21a2が形成されている。この接続片21a1は、図3(b)に示すように、凹部15内にソケットコンタクト21が挿入されることで凹部15内に配置されたナット22の抜け止めにもなる。そして、ナット22との間にバッテリユニット200の電流供給用端子(不図示)と接続片21a1とを挟んだ状態で、取付ネジ(不図示)をナット22にねじ込むことで、ソケットコンタクト21と当該電流供給用端子とが電気的に接続される。これにより、ソケットコンタクト21を介してバッテリユニット200の電力を供給することが可能となる。接触部21bは、左右方向に対向する一対の接触片21b1を有する。この一対の接触片21b1は、図3(a)に示すように、スリット17から外部に露出されており、ソケットコネクタ10とベースコネクタ30との嵌合時に、後述のベースコンタクト41の接触片41c1と接触する。一対の接触片21b1は、左右方向に関して、先端(下端)ではベースコンタクト41の接触片41c1の厚みよりも大きな間隔で、先端よりも上方部分ではベースコンタクト41の接触片41c1の厚みよりも小さい間隔で互いに離隔されている。また、一対の接触片21b1は、先端が自由端となる片持ち状に構成されている。このため、接触片21b1間に接触片41c1が挿入されたときに、当該接触片41c1を弾性的に挟持する。これにより、接触片21b1,41c1同士の電気的接続が達成される。
ソケットコンタクト25は、図4(b)に示すように、導電性の金属板を打ち抜き曲げ加工して製造され、それぞれ信号線26が接続されている。なお、信号線26は、バッテリユニット200のコントローラ(不図示)に接続されている。具体的には、ソケットコンタクト25は、2対のグリップ25a,25bを有しており、信号線26の被覆領域及び心線領域のそれぞれにおいてグリップ25a,25bがかしめ加工で信号線26に圧着固定されている。そして、2対のグリップ25a,25bよりも下方に、曲げ加工によって接触部25cが形成されている。接触部25cは、左右方向に対向する一対の接触片25c1を有する。この一対の接触片25c1は、図3(a)に示すように、スリット18から外部に露出されており、ソケットコネクタ10とベースコネクタ30との嵌合時に、後述のベースコンタクト45の接触片45b1と接触する。一対の接触片25c1は、左右方向に関して、先端ではベースコンタクト45の接触片45b1の厚みよりも大きな間隔で、先端よりも上方部分ではベースコンタクト45の接触片45b1の厚みよりも小さい間隔で互いに離隔されている。また、一対の接触片25c1は、先端が自由端となる片持ち状に構成されている。このため、接触片25c1間に接触片45b1が挿入されたときに、当該接触片45b1を弾性的に挟持する。これにより、接触片25c1,45b1同士の電気的接続が達成される。
次に、ベースコネクタ30について、図2、図5〜図10を参照して説明する。ベースコネクタ30は、第1ベースハウジング31と、第2ベースハウジング32と、第1取付部33と、第2取付部34と、組み付け部35と、一対のベースコンタクト41と、3つのベースコンタクト45とを有する。なお、ベースコネクタ30は、電流供給用ケーブル44をベースコネクタ30から後方に引き出すことが可能なように、第1ベースハウジング31と第2ベースハウジング32とに分けて構成されている。第1ベースハウジング31は、絶縁性の樹脂からなり、図5及び図6に示すように、略直方体形状を有する。また、第1ベースハウジング31は、上方に向かって開口する凹部36を有する。
凹部36は、その開口36aが第1ベースハウジング31の上壁31aに形成されている。凹部36は、左右方向に延在しており、ソケットハウジング11の嵌合部13と嵌合可能な大きさを有している。図7に示すように、凹部36の内周壁面36bのうちの前方壁面36b1は、上方になるに連れて前方へ僅かに傾斜している。ソケットコネクタ10とベースコネクタ30は、上述したようにバッテリユニット200の装着部300に対する回動動作により、嵌合する。このときのソケットハウジング11の嵌合部13と第1ベースハウジング31の凹部36との嵌合時に、前方壁面36b1が前方に傾斜していることで、嵌合部13が凹部36内に入り込みやすくなる。そして、嵌合部13には前方壁面36b1に対応して傾斜する一対のガイド部13cが形成されており、これら前方壁面36b1と一対のガイド部13cとが接触することで、前後方向に関して、ソケットハウジング11と第1ベースハウジング31の位置が所定位置に位置付けられる。
図6に示すように、第1ベースハウジング31の後壁31b(第2ベースハウジング32と前後方向に対向する端面)には、孔部31b1が形成されている。孔部31b1は、前後方向に延在し、凹部36と連通する。また、後壁31bには、前後方向に延在する4つの穴部31b2が形成されている。これら穴部31b2は、孔部31b1を左右方向に挟んで2つずつ配置されている。また、左側及び右側にそれぞれ配置された2つの穴部31b2は、上下方向に並んで配置されている。
第1ベースハウジング31の左壁31c及び右壁31dには、図5に示すように、2つの溝31c1,31d1がそれぞれ形成されている。2つの溝31c1及び2つの溝31d1のそれぞれは、上下方向に並んで配置されている。これら4つの溝31c1,31d1は、前後方向に延在し、後方部が穴部31b2にそれぞれ連通している。つまり、各穴部31b2は、前方部が溝31c1,31d1を介して外部に連通している。
第1ベースハウジング31の下壁31fには、図5に示すように、陥没部31f1が形成されている。陥没部31f1は、下壁31fのほぼ全体に形成されている。陥没部31f1の底部には、下方に突出し且つ前後方向に延在する3つのガイド部31f2が形成されている。これら3つのガイド部31f2は、左右方向に関して、互いに離隔してほぼ等間隔に配置されている。
第1取付部33は、第1ベースハウジング31の左壁31cの下端から左方向に突出した突出部33aと、第1ベースハウジング31の右壁31dの下端から右方に突出した突出部33bとを有する。各突出部33a,33bは、上下方向に貫通する孔(不図示)が形成されている。各突出部33a,33bの孔には、上述のフローティングブッシュ19cと同様の構成を有する公知のフローティングブッシュ33cが設けられている。つまり、フローティングブッシュ33cも、突出部33a,33bの孔内に配置された円筒部と、当該円筒部の両端に形成され、突出部33a,33bを上下方向に挟む位置に配置された一対のフランジ部とを有する。フランジ部は、当該孔の内径よりも大きい外径を有する。円筒部の外径は、円筒部の外周壁面と当該孔の内周壁面との間に隙間が生じる程度の大きさである。第1ベースハウジング31は、フローティングブッシュ33cに上方から通されたネジ(不図示)と、このネジを取り付けるためのナット(不図示)とにより、装着部300の支持板301に取り付けられる。このような第1取付部33の構成により、第1ベースハウジング31が支持板301の上面301aに対して前後及び左右に移動可能となる。なお、第1ベースハウジング31を上面301aに対して、少なくとも前後及び左右に移動させることが可能であれば、フローティングブッシュ33c以外の構成部材を採用してもよい。
第2ベースハウジング32は、絶縁性の樹脂からなり、図5及び図6に示すように、ベース部32aと、前方突出部32bと、後方突出部32cと、後方に向かって開口する2つの凹部32dと、2つの凹部32d間に配置され後方に向かって開口する1つの凹部32eとを有する。ベース部32aは、左右方向に長尺な矩形平面形状を有する板状部材である。図6〜図8に示すように、ベース部32aの後壁面32a2には、後方突出部32cを取り囲む環状の溝32a3が形成されている。溝32a3内には、環状の弾性シール部材32a4(第2弾性シール部材)が配置されている。弾性シール部材32a4が、溝32a3に配置されていることで、弾性シール部材32a4が上下及び左右方向にずれにくくなる。また、弾性シール部材32a4は、第2ベースハウジング32を取付板303に取り付けた状態において、後壁面32a2と取付板303の前面303aとの間の隙間を埋めることが可能な厚みを有する。本実施形態における弾性シール部材32a4は、ゴムから構成されているが、後壁面32a2と前面303aとの間を封止することが可能であれば、ゴム以外の弾性材料から構成されていてもよい。また、弾性シール部材32a4は、後方から見て、凹部32d,32eを内包している。
前方突出部32bは、図5に示すように、ベース部32aの前壁面32a1から前方に突出する基部32b1と、ベースコンタクト41,45を支持する支持部32b2と、案内板32b3と、4本のガイド板32b4とを有する。基部32b1は、左右方向に長尺な略直方体形状を有する。支持部32b2は、基部32b1の前壁面32b5の中央から前方に突出している。また、支持部32b2は、左右方向に長尺に形成されており、孔部31b1に挿通可能な形状を有する。支持部32b2の外周壁面には、環状の溝32b6(図7参照)が形成されている。溝32b6には、環状の弾性シール部材36b7(第1弾性シール部材)が配置されている。弾性シール部材36b7が、溝32b6に配置されていることで、弾性シール部材36b7が前後方向にずれにくくなる。また、弾性シール部材36b7は、支持部32b2を孔部31b1に挿通させた状態において、支持部32b2の外周壁面と孔部31b1の内周壁面との間の隙間を埋めることが可能な厚みを有する。本実施形態における弾性シール部材36b7は、ゴムから構成されているが、支持部32b2の外周壁面と孔部31b1の内周側壁との間を封止することが可能であれば、ゴム以外の弾性材料から構成されていてもよい。また、支持部32b2の前壁面32b11には、図5に示すように、2つの孔32b12と、3つの孔32b13とが形成されている。2つの孔32b12は、凹部32dと前後方向に対向する位置に配置され、当該凹部32dとそれぞれ連通する。3つの孔32b13は、凹部32eと前後方向に対向する位置に配置され、当該凹部32eとそれぞれ連通する。
案内板32b3は、矩形平面形状を有し、基部32b1の前壁32b5の下端から前方に突出している。案内板32b3は、図5に示すように、厚み方向(上下方向)に貫通する孔部32b8が形成されている。孔部32b8は、案内板32b3の前後方向の中央から後端にかけて形成されている。案内板32b3の前方部分には、3つの溝32b9が形成されている。これら3つの溝32b9は、第1ベースハウジング31と第2ベースハウジング32とが組み付けられたときに、ガイド部31f2が溝32b9に配置されるように構成されている。また、溝32b9は、前後方向に延在しており、左右方向の幅がガイド部31f2よりも若干大きく形成されている。このような案内板32b3とガイド部31f2との構成により、第1ベースハウジング31と第2ベースハウジング32とを組み付けた状態において、第1ベースハウジング31を第2ベースハウジング32に対して前後方向に移動させやすくなる。
ガイド板32b4は、図5に示すように、基部32b1の前壁面32b5の左右両端部のそれぞれから2本ずつ前方に突出している。左側及び右側にそれぞれ配置された2つのガイド板32b4は、上下方向に並んで配置されている。4つのガイド板32b4は、第1ベースハウジング31と第2ベースハウジング32とが組み付けられる際に、対応する穴部31b2に挿通される。これにより、第1ベースハウジング31が第2ベースハウジング32に対して前後方向に移動可能に構成される。また、各ガイド板32b4の先端には、外側に張り出した抜け止め用のフック32b4aが形成されており、ガイド板32b4が穴部31b2から抜けにくくされている。このようにガイド板32b4と穴部31b2とによって、第1ベースハウジング31と第2ベースハウジング32とを組み付けるための組み付け部35が構成されている。この組み付け部35及び第1取付部33により、第1ベースハウジング31が、図9(a)に示す第1位置から図9(b)に示す第2位置との間において、第2ベースハウジング32に対して前後方向に移動可能となる。第1位置は、第1ベースハウジング31の後壁31bと第2ベースハウジング32の基部32b1とが接触する位置であり、第2位置は、第1ベースハウジング31の後壁31bと第2ベースハウジング32の基部32b1とが離隔しつつフック32b4aが溝31c1,31d1の後壁面に接触する位置である。
また、図8に示すように、左右方向に関して、ガイド板32b4と穴部31b2との間のそれぞれには、隙間35aが形成されている。このように隙間35aが形成されていることで、第1ベースハウジング31がこの隙間35a分だけ、第2ベースハウジング32に対して左右方向に移動することが可能となる。さらに、第1ベースハウジング31が、前後及び左右方向に移動可能となるため、第2ベースハウジングに対して左右方向に傾きやすくなる。このため、ソケットコネクタ10の嵌合部13をベースコネクタ30の凹部36により嵌合しやすくなる。
後方突出部32cは、図6に示すように、ベース部32aの後壁面32a2から後方に突出して形成されている。後方突出部32cは、左右方向に長尺な略直方体形状を有している。また、後方突出部32cは、図1に示すように、取付板303の長孔305よりも若干小さいサイズを有しており、当該長孔305に挿入可能に構成されている。凹部32dの開口32d1及び凹部32eの開口32e1は、図6に示すように、後方突出部32cの後壁面32c1に形成されている。これら凹部32d,32eは、前後方向に延在し、後方突出部32c、ベース部32a、前方突出部32bに跨っている。各凹部32dには、図6及び図7に示すように、開口32d1からベースコンタクト41が挿入され、ベースコンタクト41の接触部41cの一部(接触片41c1)が孔32b12から第2ベースハウジング32の外部に露出される。なお、孔32b12は、ソケットコネクタ10をベースコネクタ30に嵌合させる際に、孔32b12から露出する接触片41c1がソケットコンタクト21の接触片21b1間と上下方向に対向するように、形成されている。凹部32eには、開口32e1から3つのベースコンタクト45が挿入され、ベースコンタクト45の接触部45bの一部(接触片45b1)が孔32b13から第2ベースハウジング32の外部に露出される。なお、孔32b13は、ソケットコネクタ10をベースコネクタ30に嵌合させる際に、孔32b13から露出する接触片45b1がソケットコンタクト25の接触片25c1間と上下方向に対向するように、形成されている。また、ベースコンタクト45は、図6に示す信号線49に接続されたコネクタ50と電気的に接続される。また、第2ベースハウジング32に挿入されて固定されたベースコンタクト41のグリップ41a,41b及びベースコンタクト45の接続部45aは、弾性シール部材32a4によって内包されている。
第2取付部34は、ベース部32aの左壁面から左方向に突出した突出部34aと、第ベース部32aの右壁面から右方に突出した突出部34bとを有する。これら突出部34a,34bは、ベース部32aの左壁面及び右壁面全体から突出しており、ベース部32aと一体的に形成されている。各突出部34a,34bは、前後方向に貫通する孔(不図示)が形成されている。各突出部34a,34bの孔には、上述のフローティングブッシュ33cと同様の構成を有する公知のフローティングブッシュ34cが設けられている。つまり、フローティングブッシュ34cは、突出部34a,34bの孔内に配置された円筒部と、当該円筒部の両端に形成され、突出部34a,34bを前後方向に挟む位置に配置された一対のフランジ部とを有する。フランジ部は、当該孔の内径よりも大きい外径を有する。円筒部の外径は、円筒部の外周壁面と当該孔の内周壁面との間に隙間が生じる程度の大きさである。第2ベースハウジング32は、フローティングブッシュ34cに前方から通されたネジ(不図示)と、このネジを取り付けるためのナット(不図示)とにより、取付板303に取り付けられる。このとき、後方突出部32cが長孔305に通され、ネジが取付板303の孔306に通された状態で、第2ベースハウジング32が取付板303に取り付けられる。このような第2取付部34の構成により、第2ベースハウジング32が取付板303の前面303aに対して上下及び左右に移動可能となる構成を簡単に実現できる。なお、第2ベースハウジング32を前面303aに対して、少なくとも上下及び左右に移動させることが可能であれば、フローティングブッシュ34c以外の構成部材を採用してもよい。
ベースコンタクト41は、図10(a)に示すように、導電性の金属板を打ち抜き曲げ加工して製造され、それぞれケーブル44が接続されている。具体的には、ベースコンタクト41は、2対のグリップ41a,41b(接続部)を有しており、ケーブル44の被覆領域及び心線領域のそれぞれにおいてグリップ41a,41bがかしめ加工でケーブル44に圧着固定されている。ケーブル44は、ベースコンタクト41から後方に引き出されている。つまり、電流供給用ケーブル44は、ソケットハウジング11の嵌合部13と第1ベースハウジング31の凹部36との嵌合方向(上下方向)に対して直交する方向に引き出されている。そして、2対のグリップ41a,41bよりも前方に、曲げ加工によって接触部41cが形成されている。接触部41cは、前後方向に延在する接触片41c1を有する。接触片41c1は、板状に折り畳まれて構成されており、図5に示すように、上下方向に立設された状態で孔32b12から外部に露出される。これにより、嵌合部13と凹部36との嵌合時に、凹部36内に突出したベースコンタクト41の接触片41c1がソケットコンタクト21の接触片21b1によって挟持され、両接触片21b1,41c1同士が電気的に接続される。
ベースコンタクト45は、図10(b)に示すように、導電性の金属板を打ち抜き曲げ加工して製造されており、接続部45aと、接触部45bとを有する。接続部45aは、前後方向に延在し、且つ左右方向に立設するように形成されている。接続部45aは、上述のコネクタ50が凹部32eに装着されたときに、当該コネクタ50のコンタクト(不図示)のそれぞれと電気的に接続される。このときのコネクタ50の信号線49もコネクタ50から後方に引き出される。接触部45bは、接続部45aと接続され、前後方向に延在する板状の接触片45b1を有する。接触片45b1は、図5に示すように、上下方向に立設された状態で孔32b13から外部に露出される。これにより、嵌合部13と凹部36との嵌合時に、凹部36内に突出したベースコンタクト45の接触片45b1がソケットコンタクト25の接触片25c1によって挟持され、両接触片25c1,45b1同士が電気的に接続される。なお、ベースコンタクト41,45の接触片41c1,45b1の上端は、上下方向に関してほぼ同じ位置にある。このため、ソケットコネクタ10とベースコネクタ30とを嵌合させたときに、ソケットコンタクト21とベースコンタクト41とが、ソケットコンタクト25とベースコンタクト45とよりも先に電気的に接続される。
ソケットコネクタ10(嵌合部13)とベースコネクタ30(凹部36)とを嵌合させる際の、第1ベースハウジング31及び第2ベースハウジング32の動作について、説明する。第1ベースハウジング31が、第1取付部33によって支持板301に前後方向に移動可能に取り付けられるとともに、第1ベースハウジング31が第2ベースハウジング32に対して前後方向に移動可能に構成されている。このため、両コネクタ10,30の嵌合時に、ソケットコネクタ10の嵌合部13がベースコネクタ30の凹部36に対して前後方向に若干ずれていても、嵌合部13と凹部36とが嵌合するように、第1ベースハウジング31が嵌合部13に追従して前後方向に移動する。
また、ガイド板32b4と穴部31b2との間のそれぞれには、隙間35aが形成されている。このため、ソケットコネクタ10の嵌合部13が凹部36に対して左右方向に若干ずれたり、嵌合部13の中心を通る上下方向に延在する軸周りに当該嵌合部13が若干回動していても、嵌合部13と凹部36とが嵌合するように、第1ベースハウジング31が嵌合部13に追従して第2ベースハウジング32に対して移動する。
さらに、第1ベースハウジング31が、第1取付部33によって支持板301に左右方向に移動可能に取り付けられるとともに、第2ベースハウジング32が、第2取付部34によって取付板303に左右方向に移動可能に取り付けられている。このため、ソケットコネクタ10の嵌合部13が凹部36に対して左右方向に若干ずれていても、嵌合部13と凹部36とが嵌合するように、第1ベースハウジング31とともに第2ベースハウジング32が嵌合部13に追従して左右方向に移動する。また、第1ベースハウジング31が第2ベースハウジング32に対して左右方向に移動可能となることで、ソケットコンタクト21,25とベースコンタクト41,45とが左右方向に若干ずれても、両コンタクト同士が接触するように、第2ベースハウジング32とともにベースコンタクト41,45もソケットコンタクト21,25に追従して左右方向に移動する。この結果、ベースコンタクト41,45とソケットコンタクト21,25とをスムーズに電気的に接続することが可能となる。
以上のように、上述のコネクタ100によると、ベースコネクタ30が、ソケットハウジング11(嵌合部13)と嵌合可能な第1ベースハウジング31と、当該嵌合方向(上下方向)と直交する前後方向に沿って電流供給用ケーブル44を引き出すことが可能に構成された第2ベースハウジング32とに分けて構成されている。このため、ベースコネクタ30が嵌合方向に長く形成されないため、嵌合方向に小型化することが可能になる。さらにケーブル44がベースコネクタ30から前後方向に引き出されるため、ベースコネクタ30を取り付ける給電装置の嵌合方向における小型化に寄与することが可能となる。加えて、第1取付部33、第2取付部34、及び、組み付け部35によって、第1ベースハウジング31が前後及び左右方向に移動可能に構成されるため、ベースコネクタ30とソケットコネクタ10とを嵌合させる際に、ソケットハウジング11(嵌合部13)が第1ベースハウジング31の凹部36に嵌合しやすくなる。このように、ベースコネクタ30とソケットコネクタ10との良好な嵌合を実現しつつコネクタ100を嵌合方向に小型化するとともに、このコネクタ100を取り付ける装置の嵌合方向における小型化に寄与することが可能となる。
また、組み付け部35が、ガイド板32b4及び穴部31b2によって構成され、ガイド板32b4と穴部31b2との間に隙間35aが存在する。これにより、第1ベースハウジング31が第2ベースハウジング32に対して前後及び左右方向に移動可能となる構成を簡単に実現できる。変形例として、ガイド板32b4が第1ベースハウジング31に形成され、孔部31b2が第2ベースハウジング32に形成されてもよい。つまり、入れ替わったこれらガイド板32b4及び孔部31b2によって組み付け部35が構成されていてもよい。
また、支持部32b2の外周壁面に弾性シール部材36b7が設けられている。この弾性シール部材36b7は、ベースコンタクト41のグリップ41a,41b及びベースコンタクト45の接続部45aを内包する。これにより、液体などの異物が後壁面32a2と取付板303の前面303aとの間から浸入してベースコンタクト41のグリップ41a,41b及びベースコンタクト45の接続部45aに付着するのを抑制することが可能となる。
また、ソケットコンタクト21は、ソケットコネクタ10とベースコネクタ30との嵌合時にベースコンタクト41の接触片41c1を左右方向から挟持可能な一対の接触片21b1を有する。これにより、ベースコンタクト41の接触片41c1(接触部41c)とソケットコンタクト21の接触片21b1(接触部21b)とが、ソケットコネクタ10とベースコネクタ30との嵌合時に、前後方向にずれても、緩衝せずに良好に接触する。
また、ソケットハウジング11の嵌合部13の外周壁面には、弾性シール部材13bが設けられている。これにより、嵌合部13(ソケットハウジング11)と凹部36(第1ベースハウジング31)との嵌合状態において、液体などの異物が嵌合部13と凹部36の内周壁面との間から浸入して接触部21b,25c,41c,45bに付着するのを抑制することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、第2取付部34によって第2ベースハウジング32が取付部303の前面303aに対して左右方向に移動可能に取り付けられているが、当該前面303aに第2ベースハウジング32が移動不可能に固定されていてもよい。また、組み付け部35を構成するガイド板32b4と穴部31b2との間には隙間35aが設けられず、第1ベースハウジング31が第2ベースハウジング32に対して前後方向にのみ移動可能に構成されていてもよい。このように第2取付部34及び組み付け部35のいずれかによって、それぞれ第2ベースハウジング32を前面303a及び第1ベースハウジング31に対して、左右方向に移動可能に構成されておればよい。
また、上述の弾性シール部材13b,32a4,36b7は設けられていなくてもよい。また、ソケットコンタクト21は、ソケットコネクタ10とベースコネクタ30との嵌合時に、ベースコンタクト41の接触部41cと接触可能であれば、接触部41cを左右方向から挟んで接触していなくてもよい。