JP6277043B2 - アルミナ粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミナ粒子の製造方法に関する。
近年の電子機器(電子部品も含む)の微細化は止まる所を知らない。そのような電子機器に採用される材料はその大きさに応じた非常に高い性能が求められることになる。例えば、電機部品の1つである半導体デバイスは半導体素子を封止材にて封止して製造する方法が一般的である。封止材は半導体素子を外部から隔離したり、放熱を確保したりなどの多岐にわたる性能が求められているが、半導体デバイスの微細化に伴い非常に高い性能が要求される。
封止材としては物理的、化学的な安定性が高く、熱変動による体積変動を小さくするために、シリカをフィラーとして分散させたものが汎用されている。
特開2011−195448号公報
ところで、本願出願人は封止材のフィラーとしてシリカに代えてアルミナを用いることを検討している。フィラーとして好適な粒径をもつアルミナを従来の方法(アルミニウム粉末と酸素とを反応させる方法(いわゆるVMC法)や熔融法)により製造すると、樹脂材料に分散させたときに粘度特性が充分で無い場合があった。
そこで、本発明者らは上記実情に鑑み、樹脂材料中に分散させたときに粘度特性に優れたアルミナ粒子の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
(A)上記課題を解決する本発明のアルミナ粒子は、一次粒子の粒度分布が体積基準で0.3μm以上1.5μm以下に極大値Aを、3μm以上10μm以下にモード径である極大値Bをもち、
25μm以上の粗粒が1ppm以下、
レーザ回折/散乱式粒度分布計における(最大値)/(極大値B)が1.5以上5以下である。
アルミナ粒子の粒度分布をこの範囲に設定することにより流動性に優れ、単独でも取り扱い性に優れると共に、樹脂材料中に分散させて得られる樹脂組成物の粘度特性も優れたものになる。
(B)(1)上記課題を解決する本発明のアルミナ粒子の製造方法は、体積平均粒径が0.5μm以上20μm以下でありアルミニウム粉末と酸素とを反応させて製造される原料アルミナ粒子を塩基性水溶液中に分散して分散物とする分散工程と、
前記分散物を分級して分級済分散物とする分級工程と、
前記分級済分散物から塩基性水溶液を除去する乾燥工程と、
一次粒子の粒度分布が体積基準で0.3μm以上1.5μm以下に極大値Aを、3μm以上10μm以下にモード径である極大値Bをもち、25μm以上の粗粒が1ppm以下、レーザ回折/散乱式粒度分布計における(最大値)/(極大値B)が1.5以上5以下になるまで解砕する解砕工程とを有する。
アルミナを塩基性水溶液に分散させることにより湿式分級を容易に行うことができる。そして、塩基性水溶液を除去した後、粒子が凝集して解砕できないことが抑制できる。また、この製造方法は上述の(1)に開示のアルミナ粒子を製造するための好適な製造方法でもある。
上述の(1)に記載のアルミナ粒子の製造方法は以下に開示の(2)〜(4)、及び(6)のうちの1つ以上の構成要素を加えて採用できる。そして(4)の構成を採用した場合には下記の(5)の構成要素を加えて採用できる。
(2)前記解砕工程は、解砕後の粒子と新日鉄住金化学株式会社製の液状BPA型・BPF型高純度エポキシ樹脂ZX−1059とを1:4の質量比で混合したときにE型粘度計での1/sシェア時の粘度が400Pa・s以下である。
(3)前記解砕工程は、200μm以上の粗粒が1ppm未満、10μm以上の粗粒が100ppm以下である。
(4)前記原料アルミナ粒子は、
水を含む液状媒体中でシランカップリング剤およびオルガノシラザンによって表面処理する表面処理工程と、
前記液状媒体を除去する工程と、
をもつ前処理工程にて処理されており、
該シランカップリング剤は、2〜9個のアルコキシ基と、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、オルガノアミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含むがこれに限らない)、アルキルカルボキシル基、アルケニルカルボキシル基(アクリル基、メタクリル基を含むがこれに限らない)、アシル基、エポキシ基、ウレイド基、メルカプト基、マルチスルフィド基(スルフィド基、ジスルフィド基、テトラスルフィド基を含むがこれに限らない)、イソシアネート基、及び、チオイソシアネート基のうちの少なくとも1つと、を持ち、
該オルガノシラザンと該シランカップリング剤とのモル比は、該オルガノシラザン:該シランカップリング剤=1:3〜1:60である。
(5)前記表面処理工程は、
前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
該第2の処理工程は、該第1の処理工程後に行う請求項4に記載のアルミナの製造方法。
(6)前記原料アルミナ粒子は、式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とを表面にもつ。
(上記式(1)、(2)中;Xはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、オルガノアミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含むがこれに限らない)、アルキルカルボキシル基、アルケニルカルボキシル基(アクリル基、メタクリル基を含むがこれに限らない)、アシル基、エポキシ基、ウレイド基、メルカプト基、マルチスルフィド基(スルフィド基、ジスルフィド基、テトラスルフィド基を含むがこれに限らない)、イソシアネート基、及び、チオイソシアネート基のうちの少なくとも1つであり;X、Xは−OSiR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択され;YはRであり;Y、YはR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択される。YはRであり;Y及びYは、R及び−OSiRからそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。)
(C)上記課題を解決する本発明の樹脂組成物は、上述の(A)に開示のアルミナ粒子、及び/又は、(B)に開示のアルミナ粒子の製造方法により製造されたアルミナ粒子と、そのアルミナ粒子を分散する樹脂材料とを有する。この樹脂組成物はモールドアンダーフィルの用途に好適に利用できる。
本発明のアルミナ粒子は単体でも流動性に優れると共に樹脂材料中に分散させた樹脂組成物についても優れた粘度特性を示す。本発明のアルミナ粒子の製造方法はそのような優れたアルミナ粒子を簡易に提供できる。例えば、粒度分布を本発明のアルミナ粒子が備える粒度分布にするために乾式の操作にて行うことも不可能ではないが処理速度は本発明の方法に比べて充分なものではない。従来、乾式で分級操作が行われているがフィルタを利用したりジェットミルを用いた分級を利用したり(特許文献1)している。
本発明のアルミナ粒子及びその製造方法、並びに樹脂組成物について以下の実施形態に基づき説明を行う。本実施形態のアルミナ粒子の用途は特に限定されないが、例えば樹脂材料と混合して半導体デバイスにおける封止材などに好適な樹脂組成物を得ることができる。封止材の中でもモールドアンダーフィルに適用することが望ましい。
(アルミナ粒子)
本実施形態のアルミナ粒子は、一次粒子の粒度分布が体積基準で極大値Aと極大値Bとの少なくとも2つの極大値を持つ。極大値Aは0.3μm以上1.5μm以下の範囲にある。極大値Aの上限値としては1.5μm、1.2μm、1.0μmが例示できる。下限としては0.3μm、0.5μm、0.6μmが例示できる。上限値下限値は任意に組み合わせ可能である。
極大値Bは3μm以上10μm以下の範囲にあり、モード径である。極大値Bの上限値としては10μm、9μm、7μmが例示できる。下限としては4μm、5μm、6μmが例示できる。上限値下限値は任意に組み合わせ可能である。
アルミナ粒子の流動性向上及び樹脂組成物に応用する際の粘度特性向上の観点からは球形度は高い方が望ましい。例えば0.9以上、0.95以上、0.99以上であることが望ましい。球形度はSEMでの観察結果から所定数の粒子について、その投影面積と周囲長とを測定し、(球形度)={4π×(投影面積)÷(周囲長)}にて算出する。球形度は100個測定した上で平均値として求める。
アルミナ粒子は25μm以上の粗粒が1ppm以下である。更には20μm以上粗粒が1ppm以下であることが望ましい。また、10μm以上の粗粒が100ppm以下であることが望ましい。ここで「粗粒」とは一次粒子、二次粒子を問わず実際に存在する粒子の粒径が上述の範囲にあるものを意味する。
粒度分布としては(最大値)/(極大値B)が1.5以上5以下である。粒度分布はレーザ回折/散乱式粒度分布計にて測定する。最大値はレーザ回折/散乱式粒度分布計(HORIBA製LA−750, 500 MODE測定時)で算出される最大粒径である。(最大値)/(極大値B)の下限としては1.6、1.7、1.8、2.0、2.1、2.2が例示できる。(最大値)/(極大値B)の上限としては5、4、3.5、3.0、2.7、2.5が例示できる。上限下限については任意に組み合わせ可能である。
(アルミナ粒子の製造方法)
本実施形態のアルミナ粒子の製造方法は分散工程と分級工程と乾燥工程と解砕工程とをこの順に有する。更にその他の工程を任意に組み合わせることができる。
・分散工程
分級工程は原料アルミナ粒子を塩基性水溶液に分散させて分散物とする工程である。分散物を調製した後にそのまま次の分級工程に供しても良いし、しばらく放置してから分級工程に供しても良い。分散物の状態で放置する時間としては5分程度、15分程度、1時間程度、1日程度を採用することができる。放置する時間は15分程度以上が望ましい。原料アルミナ粒子を塩基性水溶液に分散させる方法としては特に限定しないが撹拌機、ホモジナイザーや超音波照射機などの物理的な手法により分散を実現する装置が例示できる。分散物中の原料アルミナ粒子の含有量は特に限定しない。例えば全体の質量を基準として下限値としては30%、40%、50%が、上限値としては80%、75%、70%がそれぞれ例示でき、これらの上限値下限値は任意に組み合わせることができる。
原料アルミナ粒子は粒径が0.5μm以上20μm以下である。原料アルミナ粒子の粒径の下限は0.5μm、0.6μm、0.7μmが例示でき、上限は8μm、11μm、13μmが例示できる。上限下限については任意に組み合わせ可能である。原料アルミナ粒子はアルミニウム粉末と酸素とを反応させて製造される。アルミニウム粉末と酸素とを反応させる方法は、酸素を含む雰囲気中でバーナーにより化学炎を形成し、この化学炎中にアルミニウムの粉末を粉塵雲が形成される程度の量投入し、爆燃を起こして球状の酸化物粒子を得る方法である。アルミニウム粉末以外にもアルミナ粒子を適正な量投入することもできる。アルミニウム粉末は特に限定しないが、粒度分布、投入速度などを変化させることにより得られるアルミナ粒子の粒度分布が変動するため、適正な範囲を選択する。また、アルミニウム粉末の純度がそのまま製造されるアルミナ粒子の純度に影響を与えるため適正な純度をもつアルミニウム粉末を採用する。
塩基性水溶液はpHが7超の水溶液である。pHの下限値は8、10、12を採用することもできる。塩基性水溶液は塩基性の状態にて原料アルミナ粒子を分散させることができるのはもちろん、塩基性でない状態で原料アルミナ粒子を分散させることもできる。更には原料アルミナ粒子を分散させた後にpHを変動させることもできる。なお、アルミナは強い酸性では溶解することも考えられるため、塩基性の状態にてアルミナ粒子を分散させるとアルミナ粒子の溶解を確実に防ぐことができる。
ここで「塩基性水溶液」とは水を主成分とする溶液で有り、溶媒としては水だけであってもよいし、水以外にも水と混合可能な溶媒を含有していても良い。水以外の溶媒を含有する場合には水が質量基準で40%以上、50%以上、60%以上が例示できる。また、混合前の液体の体積を基準に40%以上、50%以上、60%以上が例示できる。塩基性を示すために塩基性物質を添加することができる。塩基性物質としては水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの一般的な塩基性の物質も採用できるが、特に揮発性の物質が望ましい。例えばアンモニア、有機アミン、水酸化四級アンモニウムが挙げられる。
有機アミンは、アルキルアミン類(トリアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノアルキルアミンなど(アルキルとしては炭素数1〜18)や、ジアミン類(エチレンジアミンなど)が例示できる。水酸化四級アンモニウムとしては4つのアルキル基(炭素数1〜5程度)をもつ化合物が挙げられる。これらの塩基性材料の中でも特に水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムを採用することが望ましい。
・分級工程
分級工程は分散工程により得られた分散物を分級して分級済分散物とする工程である。分級の手法は特に限定しない。例えば適正な目開きをもつフィルタを通過させる方法、遠心分離を用いる方法などが挙げられる。分級条件は最終的に得られるアルミナ粒子の粒度分布に応じて適正に選択できる。例えば用いる分級手段における分級効率を考慮して適正な目開きを選択する。適正な目開きの選択としては除去したい粗粒が存在しないように(例えば1ppm以下になるように)分級するには除去したい粗粒の粒径よりも小さな目開き(例えば除去したい粗粒が25μmである場合には分級工程における目開きを20μmにし、20μmの粗粒を除去したいときには目開き10μm)を採用する。
ここで、湿式にてフィルタを用いた分級を行う利点としては乾式でフィルタを用いる場合と比べてフィルタを通過する速度を向上することが可能な点である。また、フィルタを通過する速度が速い上にフィルタの寿命を延ばすことができるという利点もある。
・乾燥工程
乾燥工程は分級済分散物から分散媒(塩基性水溶液に由来するもの)を除去し更には乾燥させる工程である。乾燥工程の終期は分散媒の量が適正な範囲になれば充分である。例えば分散媒が全体の質量を基準として上限値が0.5%、0.3%、0.1%になるまで除去できれば乾燥工程を終了することが好ましい。
分散媒の除去は分散媒を蒸発させる方法、ろ過などにより分散媒と分級済分散物とを分離した後に分級済分散物に付着した分散媒を蒸発・除去する方法が挙げられる。分散媒を蒸発除去する方法としては分級済分散物に含まれる原料アルミナ粒子由来の粒子が溶解、焼結などしない温度であってできるだけ高い温度にて行うことが望ましい。また、分散媒の沸点よりも高くすることが望ましい。例えば下限値としては120℃、200℃、270℃が、上限値としては500℃、650℃、800℃が採用できる。上限下限については任意に組み合わせ可能である。
・解砕工程
解砕工程は乾燥工程により得られた物を所定の状態になるまで解砕する工程である。解砕工程は乾式で行う粉砕に類似の手法で行うことができる。具体的にはピンミル、ジェットミル、ボールミル、振動ボールミルなどである。
解砕工程にて目的とする所定の状態とは一次粒子の粒度分布が体積基準で0.3μm以上1.5μm以下に極大値Aを、3μm以上10μm以下にモード径である極大値Bをもち、25μm以上の粗粒が1ppm以下、レーザ回折/散乱式粒度分布計における(最大値)/(極大値B)が1.5以上5以下になることである。また、上述のアルミナ粒子において好ましいとされる範囲にすることができる。
これらの状態を実現するためには一次粒子の粒度分布が重要である。すなわち、解砕工程は最も進行しても凝集物や二次粒子を構成する一次粒子を分離することを理想とする工程で有り、一次粒子を粉砕することを目指す工程ではない。そのため、上述の所定の状態を実現するためには解砕工程での処理条件の選択に加え、原料アルミナ粒子の製造条件や、分級工程における分級工程を適正に制御することによりある程度の粒度分布を調整することが必要である場合が想定される。
解砕工程は、解砕後の粒子と新日鉄住金化学株式会社製の液状BPA型・BPF型高純度エポキシ樹脂ZX−1059とを1:4の質量比で混合したときにE型粘度計での1/sシェア時の粘度が400Pa・s以下になるまで行うことが望ましい。
・その他の工程
本実施形態のアルミナ粒子の製造方法はその他の工程を有することができる。その他の工程としては限定しない。例えば原料アルミナ粒子に対して行う工程である表面処理工程及び液状媒体を除去する工程とを有することができる。表面処理工程は水を含む液状媒体中でシランカップリング剤およびオルガノシラザンによって表面処理する工程である。液状媒体を除去する工程は表面処理工程を行った際に存在する液状媒体を除去する工程である。ここで表面処理工程は前述の分散工程から乾燥工程に至るまでの何れかの工程中や工程間において行うこともできる。その場合に液状媒体としては分散工程における分散媒である塩基性水溶液が相当し、液状媒体を除去する工程としては先述の乾燥工程が相当する。表面処理工程を分散工程前に行い、液状媒体を除去する工程と乾燥工程とが異なるとしても液状媒体を除去する工程は乾燥工程と類似の工程が採用できる。以下、表面処理工程について詳述する。
表面処理工程は水を含む液状媒体(水、水の他にアルコールなどを含むもの)中でシランカップリング剤およびオルガノシラザンによって表面処理する工程である。シランカップリング剤は、2〜9個のアルコキシ基と、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、オルガノアミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含むがこれに限らない)、アルキルカルボキシル基、アルケニルカルボキシル基(アクリル基、メタクリル基を含むがこれに限らない)、アシル基、エポキシ基、ウレイド基、メルカプト基、マルチスルフィド基(スルフィド基、ジスルフィド基、テトラスルフィド基を含むがこれに限らない)、イソシアネート基、及び、チオイソシアネート基のうちの少なくとも1つとをもつ。シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比は、(オルガノシラザン):(シランカップリング剤)=1:3〜1:60である。
表面処理工程は、前述のシランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、その後、オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、をもつことができる。
表面処理工程は、上述の方法にて得られた原料アルミナ粒子に対して、式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とが表面に結合した原料アルミナ粒子を得る工程である。以下、式(1)で表される官能基を第1の官能基と呼び、式(2)で表される官能基を第2の官能基と呼ぶ。
第1の官能基におけるXは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、オルガノアミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含むがこれに限らない)、アルキルカルボキシル基、アルケニルカルボキシル基(アクリル基、メタクリル基を含むがこれに限らない)、アシル基、エポキシ基、ウレイド基、メルカプト基、マルチスルフィド基(スルフィド基、ジスルフィド基、テトラスルフィド基を含むがこれに限らない)、イソシアネート基、及び、チオイソシアネート基のうちの少なくとも1つである。X、Xは、それぞれ、−OSiR又は−OSiYである。YはRである。Y、Yは、それぞれ、R又は−OSiRである。
第2の官能基におけるYはRである。Y、Yは、それぞれ、−OSiR又は−OSiYである。
第1の官能基および第2の官能基に含まれる−OSiRが多い程、原料アルミナ粒子の表面にRを多く持つ。第1の官能基および第2の官能基に含まれるR(炭素数1〜3のアルキル基)が多い程、原料アルミナ粒子は凝集し難い。
第1の官能基に関していえば、X、Xがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最小となる。また、XおよびXがそれぞれ−OSiYであり、かつ、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最大となる。
第2の官能基に関していえば、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最小となる。また、YおよびYがそれぞれ−OSiYであり、かつ、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最大となる。
第1の官能基に含まれるXの数、第1の官能基に含まれるRの数、第2の官能基に含まれるRの数は、RとXとの存在数比や、原料アルミナ粒子の粒径や用途に応じて適宜設定すれば良い。
なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。例えば、第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかが、この第1の官能基に隣接する第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。同様に、第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかが、この第2の官能基に隣接する第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。さらには、第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかが、この第1の官能基に隣接する第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。
原料アルミナ粒子において、第1の官能基と第2の官能基との存在数比が1:12〜1:60であれば、原料アルミナ粒子の表面にXとRとがバランス良く存在する。このため、第1の官能基と第2の官能基との存在数比が1:12〜1:60である原料アルミナ粒子は、樹脂に対する親和性および凝集抑制効果に特に優れる。また、Xが原料アルミナ粒子の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個であれば、原料アルミナ粒子の表面に充分な数の第1の官能基が結合し、第1の官能基および第2の官能基に由来するRもまた充分な数存在する。したがってこの場合にも、樹脂に対する親和性および原料アルミナ粒子の凝集抑制効果が充分に発揮される。
何れの場合にも、原料アルミナ粒子の単位表面積(nm)あたりのRは、1個〜10個であるのが好ましい。この場合には、原料アルミナ粒子の表面に存在するXの数とRの数とのバランスが良くなり、樹脂に対する親和性および原料アルミナ粒子の凝集抑制効果との両方がバランス良く発揮される。
原料アルミナ粒子においては、アルミナ粒子の表面に存在していた水酸基の全部が第1の官能基または第2の官能基で置換されているのが好ましい。第1の官能基と第2の官能基との和が、原料アルミナ粒子の単位表面積(nm)あたり2.0個以上であれば、原料アルミナ粒子において、アルミナ粒子の表面に存在していた水酸基のほぼ全部が第1の官能基または第2の官能基で置換されているといえる。
原料アルミナ粒子は、表面にRを持つ。これは、赤外線吸収スペクトルによって確認できる。詳しくは、原料アルミナ粒子の赤外線吸収スペクトルを固体拡散反射法で測定すると、2962±2cm−1にC−H伸縮振動の極大吸収がある。
また、上述したように原料アルミナ粒子は凝集し難い。
なお、原料アルミナ粒子は、例え僅かに凝集した場合にも、超音波処理することによって再度分散可能である。詳しくは、原料アルミナ粒子をメチルエチルケトンに分散させたものに、発振周波数39kHz、出力500Wの超音波を照射することで、原料アルミナ粒子を実質的に一次粒子にまで分散できる。このときの超音波照射時間は10分間以下で良い。原料アルミナ粒子が一次粒子にまで分散したか否かは、粒度分布を測定することで確認できる。詳しくは、この原料アルミナ粒子のメチルエチルケトン分散材料をマイクロトラック装置等の粒度分布測定装置で測定し、原料アルミナ粒子の粒度分布があれば、原料アルミナ粒子が一次粒子にまで分散したといえる。
原料アルミナ粒子は、凝集し難いため、水やアルコール等の液状媒体に分散されていない原料アルミナ粒子として提供できる。この場合、液状媒体の持ち込みがないために、樹脂材料用のフィラーとして好ましく用いられる。
また、原料アルミナ粒子は凝集し難いために、水で容易に洗浄できる。
原料アルミナ粒子は、水を含む液状媒体中で、シランカップリング剤およびオルガノシラザンによってアルミナ粒子を表面処理する工程(表面処理工程)にて処理される。シランカップリング剤は、2〜9個のアルコキシ基と、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、オルガノアミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含むがこれに限らない)、アルキルカルボキシル基、アルケニルカルボキシル基(アクリル基、メタクリル基を含むがこれに限らない)、アシル基、エポキシ基、ウレイド基、メルカプト基、マルチスルフィド基(スルフィド基、ジスルフィド基、テトラスルフィド基を含むがこれに限らない)、イソシアネート基、及び、チオイソシアネート基のうちの少なくとも1つ(すなわち上記のX)とを持つ。
シランカップリング剤で表面処理することで、アルミナ粒子の表面に存在する水酸基がシランカップリング剤に由来する官能基で置換される。シランカップリング剤に由来する官能基は式(3);−OSiXで表される。式(3)で表される官能基を第3の官能基と呼ぶ。第3の官能基におけるXは式(1)で表される官能基におけるXと同じである。X、Xは、それぞれ、アルキコキシ基である。オルガノシラザンで表面処理することで、第3の官能基のX、Xがオルガノシラザンに由来する−OSiY(式(2)で表される官能基、第2の官能基)で置換される。アルミナ粒子の表面に存在する水酸基の全てが第3の官能基で置換されていない場合には、アルミナ粒子の表面に残存する水酸基が第2の官能基で置換される。このため、表面処理された原料アルミナ粒子の表面には、式(1):−OSiXで表される官能基(すなわち第1の官能基)と、式(2):−OSiYで表される官能基と(すなわち第2の官能基)が結合する。なお、シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比は、オルガノシラザン:シランカップリング剤=1:3〜1:60であるため、得られた原料アルミナ粒子における第1の官能基と第2の官能基との存在数比は理論上1:12〜1:60となる。
表面処理工程においては、アルミナ粒子をシランカップリング剤及びオルガノシラザンで同時に表面処理しても良い。または、先ずアルミナ粒子をシランカップリング剤で表面処理し、次いでオルガノシラザンで表面処理しても良い。または、先ずアルミナ粒子をオルガノシラザンで表面処理し、次いでシランカップリング剤で表面処理し、さらにその後にオルガノシラザンで表面処理しても良い。何れの場合にも、アルミナ粒子の表面に存在する水酸基全てが第2の官能基で置換されないように、オルガノシラザンの量を調整すれば良い。なお、アルミナ粒子の表面に存在する水酸基は、全てが第3の官能基で置換されても良いし、一部のみが第3の官能基で置換され、他の部分が第2の官能基で置換されても良い。第3の官能基に含まれるX、Xは、全て第2の官能基で置換されるのが良い。
なお、オルガノシラザンの一部を、第2のシランカップリング剤で置き換えても良い。第2のシランカップリング剤としては、3つのアルコキシ基と、1つのアルキル基とを持つものを用いることができる。この場合には、第3の官能基に含まれるX、Xが、第2のシランカップリング剤に由来する第4の官能基で置換される。第4の官能基は式(4);−OSiYで表される。Yは第2の官能基におけるYと同じRであり、X、Xはそれぞれアルコキシ基または水酸基である。第4の官能基に含まれるX、Xは、オルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換されるか、または、別の第4の官能基で置換される。この場合には、原料アルミナ粒子の表面に存在するRの量をさらに多くする事ができる。なお、オルガノシラザンの一部を、第2のシランカップリング剤に置き換える場合、第2のシランカップリング剤で表面処理した後に、再度オルガノシラザンで表面処理する必要がある。第4の官能基に含まれるX、Xを、最終的にはオルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換するためである。
オルガノシラザンの一部を第2のシランカップリング剤で置き換える場合、上述した第1の官能基に含まれるX、Xは、オルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換されるか、第2のシランカップリング剤に由来する第4の官能基で置換される。X、Xが第4の官能基で置換された場合、第4の官能基に含まれるX、Xは、第2の官能基で置換されるか、別の第4の官能基によって置換される。第4の官能基に含まれるX、Xが別の第4の官能基によって置換された場合、第4の官能基に含まれるX、Xは、第2の官能基で置換される。このため第2のシランカップリング剤は、第1のカップリング剤及びオルガノシラザンのみで表面処理する場合(オルガノシラザンを第2のシランカップリング剤で置き換えなかった場合)に設定されるオルガノシラザンの量(a)molに対して、最大限5a/3mol置き換えることができる。この場合に必要になるオルガノシラザンの量は、8a/3molである。
シランカップリング剤および第2のシランカップリング剤のアルコキシ基は特に限定しないが、比較的炭素数の小さなものが好ましく、炭素数1〜12であることが好ましい。アルコキシ基の加水分解性を考慮すると、アルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基の何れかであることがより好ましい。
シランカップリング剤として、具体的には、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
オルガノシラザンとしては、アルミナ粒子の表面に存在する水酸基およびシランカップリング剤に由来するアルコキシ基を、上述した第2の官能基で置換できるものであれば良いが、分子量の小さなものを用いるのが好ましい。具体的には、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン等が挙げられる。
第2のシランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
なお、表面処理工程において、シランカップリング剤の重合や第2のシランカップリング剤の重合を抑制するため、重合禁止剤を加えても良い。重合禁止剤としては、3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、p−メトキシフェノール(メトキノン)等の一般的なものを用いることができる。
原料アルミナ粒子は、表面処理工程後に固形化工程を備えても良い。固形化工程は、表面処理後の原料アルミナ粒子を鉱酸で沈殿させ、沈殿物を水で洗浄・乾燥して、原料アルミナ粒子の固形物を得る工程である。上述したように、一般的なアルミナ粒子は非常に凝集し易いため、一旦固形化したアルミナ粒子を再度分散するのは非常に困難である。しかし、原料アルミナ粒子は凝集し難いため、固形化しても凝集し難く、また、例え凝集しても再分散し易い。なお、洗浄工程においては、原料アルミナ粒子の抽出水(詳しくは、アルミナ粒子を121℃で24時間浸漬した水)の電気伝導度が50μS/cm以下となるまで、洗浄を繰り返すことが好ましい。
固形化工程で用いる鉱酸としては塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などが例示でき、特に塩酸が望ましい。鉱酸はそのまま用いても良いが、鉱酸水溶液として用いるのが好ましい。鉱酸水溶液における鉱酸の濃度は0.1質量%以上が望ましく、0.5質量%以上が更に望ましい。鉱酸水溶液の量は、洗浄対象である原料アルミナ粒子の質量を基準として6〜12倍程度にすることができる。
鉱酸水溶液による洗浄は複数回数行うことも可能である。鉱酸水溶液による洗浄は原料アルミナ粒子を鉱酸水溶液に浸漬後、撹拌することが望ましい。また、浸漬した状態で1時間から24時間、更には72時間程度放置することができる。放置する際には撹拌を継続することもできるし、撹拌しないこともできる。鉱酸含有液中にて洗浄する際には常温以上に加熱することもできる。
その後、洗浄して懸濁させた原料アルミナ粒子をろ取した後、水にて洗浄する。使用する水はアルカリ金属などのイオンを含まない(例えば質量基準で1ppm以下)ことが望ましい。例えば、イオン交換水、蒸留水、純水などである。水による洗浄は鉱酸水溶液による洗浄と同じく、原料アルミナ粒子を分散、懸濁させた後、ろ過することもできるし、ろ取した原料アルミナ粒子に対して水を継続的に通過させることによっても可能である。水による洗浄の終了時期は、上述した抽出水の電気伝導度で判断しても良いし、原料アルミナ粒子を洗浄した後の排水中のアルカリ金属濃度が1ppm以下になった時点としても良いし、抽出水のアルカリ金属濃度が5ppm以下になった時点としても良い。なお、水で洗浄する際には常温以上に加熱することもできる。
原料アルミナ粒子の乾燥は、常法により行うことができる。例えば、加熱や、減圧(真空)下に放置する等である。
(樹脂組成物)
本実施形態の樹脂組成物は上述のアルミナ粒子と樹脂材料とを有する。この樹脂組成物は半導体素子の封止材、特に、モールドアンダーフィルに好適に利用できる。モールドアンダーフィル(MUF)について以下に説明する。一般に、基板に実装された半導体チップが樹脂によって封止された半導体装置が周知である。このような半導体装置のさらなる小型化、薄型化、高密度化の要求に対応する技術として、フリップチップ接続方式が知られている。この接続方式は、半導体チップの回路面に突起電極(バンプ)を形成し、フェイスダウンで基板の電極端子に直接接続する方式である。このフリップチップ接続方式によれば、半導体チップの実装エリアが小さくて済み、かつワイヤボンディング接続のようにワイヤまで樹脂封止する必要がないので半導体装置の厚みを薄くできる利点がある。 フリップチップ接続方式の場合、実装された半導体チップと基板との間に数10μmの電極の厚み分の狭ギャップが発生する。従来、このチップ下の狭ギャップは、キャピラリーを用いて液状の樹脂組成物で充填(アンダーフィル)されていた。そして、その後、トランスファー成形によってチップ全体が非液状のエポキシ樹脂組成物で樹脂封止(オーバーモールド)されていた。しかし、狭ギャップのアンダフィルとチップ全体のオーバーモールドとの2工程が必要なので、非液状の樹脂組成物のみでチップ下の狭ギャップの充填とチップ全体の封止とを一括して行う技術として「MUF」の開発が進められている。
樹脂材料は最終的な樹脂組成物の状態で流動性を発現できるものが採用できる。樹脂材料は1以上の化合物を含み、加熱により溶融して流動性を発現するもの(熱可塑性樹脂など)、最初は液状であって反応により固化するもの(熱硬化性樹脂など)の何れであっても良い。好ましい樹脂材料としてはエポキシ樹脂と硬化剤との組み合わせが例示できる。
アルミナ粒子と樹脂材料との混合割合としては特に限定しないが、表面処理による流動性向上の結果、大量のフィラーを含有させることが可能になった。例えば全体の質量を基準としてフィラーが60%以上、更には75%以上、80%以上含有させることができる。上限としては特に限定しないが95%、90%、85%程度が挙げられる。これらの上限値下限値は任意に組み合わせることができる。
本発明のアルミナ粒子及びその製造方法について実施例に基づき詳細に説明を行う。
(試験1)
・分散工程:アルミニウム粉末と酸素とを反応させて製造された原料アルミナ粒子(体積平均粒径6μm)を塩基性水溶液(0.5質量%アンモニア水溶液)中に全体の質量を基準として75%になるように分散させた(分散工程)。
・分級工程:得られた分散物をそのまま目開き20μmのフィルタに通過させた(本発明)。比較のために乾燥状態のアルミナ粒子を同じフィルタに通過させた(参考試験)。その結果、本発明では参考試験に比べて15倍の速さでフィルタを通過させることができた。また、参考試験ではフィルタを通過させる速さが遅い上に発熱が著しく、フィルタへのダメージが大きいことが観察された。また、参考試験の条件ではフィルタの目開きを10μmにすると殆どフィルタを通過させることができなかったが、本発明ではフィルタの目開き20μmで行った参考試験の2倍の速さで目開き10μmのフィルタを通過させることができた。このように速やかに分級が実現できる上に25μm以上の粗粒を測定すると1ppm以下であった。粗粒の測定は25μmの目開きをもつフィルターにアルミナ粒子を通過させたときにフィルタ上に残存する粒子の質量を測定することにより行った。
・乾燥工程及び解砕工程
分級工程において分級した分級済分散物について分散しているアルミナ粒子をろ取した後、200℃で乾燥した。乾燥後、衝撃式解砕機にて解砕した。
・塩基性水溶液について
本発明の製造方法において塩基性水溶液に代えて純水を用いた試験を行った。その結果、分散工程における原料アルミナ粒子の分散が不十分で、フィルタを通過させること自体が困難であった。従って、塩基性水溶液を用いることで湿式での分級が可能になることが分かった。
(試験2)
アルミニウム粉末と酸素とを反応させて製造した種々のアルミナ粒子を試験例1の塩基性水 溶液に試験例1の濃度で分散させて所定の目開きのフィルタを通過させた。その後、アルミナ粒子をろ別して乾燥した。得られた乾燥物を解砕して本試験のアルミナ粒子とした。得られたアルミナ粒子についてメジアン径(体積基準)、極大値A及びB(体積基準)、最大粒子径DMAX、極大値A及びBの間の粒径をもつ極小値C、並びにDMAX/極大値Bを測定し表1に示す。分級操作を湿式での分級から乾式での分級(篩分け)に変更した操作を採用して得られた試料についても測定して表1に示した(試料9及び10)。
Figure 0006277043
表1より明らかなように、本発明のアルミナ粒子の製造方法にて製造したアルミナ粒子である試料5〜8は25μm以上の粗粒が検出限界以下になるまで分級することができることが分かった。それに対して分級方法を乾式にした試料9及び10は25μm以上の粗粒の残存が確認された。また、試験1にて説明したように塩基性水溶液を用いない場合には湿式にて分級を行うことができなかった。
更に、本発明方法によればフィルタ目開きが10μmにしても分級を行うことが可能になることが分かった。なお、試料1〜8については極大Aと極大Bとの間に極小値が存在すると共に極大値Bがモード径であった。
また詳細は説明しないが、pHが高い方が安定的に分級を行うことができた。更に火炎熔融法にて作成したアルミナ粉末についても同様の試験を行ったが極大値は1つだけ認められ、極大値Bに相当する極大値しか認められなかった。そして各試料と液状BPA型・BPF型高純度エポキシ樹脂ZX−1059(新日鉄住金化学株式会社製)とを質量比で混合したときにE型粘度計での1/sシェア時の粘度は、極大値が極大値A及びBの2つ以上あるときに、Dmax/Bの値が大きくなると同様に大きくなることが分かった。特にDmax/Bの値が5以下であるとE型粘度計での1/sシェア時の粘度が400Pa・s以下になることが分かった。なお、極大値Aが存在しないときには粘度は高かった。
表面処理工程については前述の官能基をもつシランカップリング剤(フェニルトリメトキシシラン:信越化学工業株式会社製、KBM103)とオルガノシラザン(ヘキサメチルジシラザン)とで処理を行うことにより粒子の凝集が抑制された。

Claims (5)

  1. 体積平均粒径が0.5μm以上20μm以下であり、アルミニウム粉末と酸素を反応させて製造される原料アルミナ粒子を塩基性水溶液中に分散して分散物とする分散工程と、
    前記分散物を分級して分級済分散物とする分級工程と、
    前記分級済分散物から塩基性水溶液を除去する乾燥工程と、
    一次粒子の粒度分布が体積基準で0.3μm以上1.5μm以下に極大値Aを、3μm以上10μm以下にモード径である極大値Bをもち、25μm以上の粗粒が1ppm以下、レーザ回折/散乱式粒度分布計における(最大値)/(極大値B)が1.5以上5以下になるまで解砕する解砕工程とを有する、
    アルミナ粒子の製造方法。
  2. 前記解砕工程は、20μm以上の粗粒が1ppm未満、10μm以上の粗粒が100ppm以下である請求項1に記載のアルミナ粒子の製造方法。
  3. 前記原料アルミナ粒子は、
    水を含む液状媒体中でシランカップリング剤およびオルガノシラザンによって表面処理する表面処理工程と、
    前記液状媒体を除去する工程と、
    をもつ前処理工程にて処理されており、
    該シランカップリング剤は、2〜9個のアルコキシ基と、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、オルガノアミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含むがこれに限らない)、アルキルカルボキシル基、アルケニルカルボキシル基(アクリル基、メタクリル基を含むがこれに限らない)、アシル基、エポキシ基、ウレイド基、メルカプト基、マルチスルフィド基(スルフィド基、ジスルフィド基、テトラスルフィド基を含むがこれに限らない)、イソシアネート基、チオイソシアネート基、を持ち、
    該オルガノシラザンと該シランカップリング剤とのモル比は、該オルガノシラザン:該シランカップリング剤=1:3〜1:60である、
    請求項1又は2に記載のアルミナ粒子の製造方法。
  4. 前記表面処理工程は、
    前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
    前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
    該第2の処理工程は、該第1の処理工程後に行う請求項に記載のアルミナ粒子の製造方法。
  5. 前記原料アルミナ粒子は、式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とを表面にもつ請求項1〜のうちの何れか1項に記載のアルミナ粒子の製造方法。
    (上記式(1)、(2)中;Xは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリール基、オルガノアミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含むがこれに限らない)、アルキルカルボキシル基、アルケニルカルボキシル基(アクリル基、メタクリル基を含むがこれに限らない)、アシル基、エポキシ基、ウレイド基、メルカプト基、マルチスルフィド基(スルフィド基、ジスルフィド基、テトラスルフィド基を含むがこれに限らない)、イソシアネート基、チオイソシアネート基であり;X、Xは−OSiR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択され;YはRであり;Y、YはR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択される。YはRであり;Y及びYは、R及び−OSiRからそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。)
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