JP6276778B2 - ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンの塩を生成する方法 - Google Patents
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Description
本出願は、2012年11月16日付けで出願された米国仮出願第61/727616号の出願日の利益を主張する。ここでその全体を参照により組み込む。
本発明の対象(目的)は、非プロトン性塩基の存在下でのフッ化スルフリル(SO2F2)の溶液の上のヘッド・スペース(上部空間)に対するアンモニア(NH3)のゆっくりとした持続的な一定の投入または導入が0.01MPaより低い圧力で安全にかつ商業的規模で達成することができる方法(の実現)である。このプロセスによる[(FSO2)2N]−塩の収率は、森中氏によって報告された収率以上である(よりも高くまたは等しい)。さらに、反応器の汚染は、これらのより低い圧力での工程または処理によって除去される。
密閉または密封された反応器内の圧力を0.01MPa(75Torr)より低く維持しつつ、その密閉された反応器における溶媒中のフッ化スルフリル(SO2F2)の溶液に非プロトン性塩基の存在下でアンモニア(NH3)を加えて、生成物(プロダクト)イオン(product ion)[(FSO2)2N]−(“FSI”)を含む溶液を生成すること、
生成物イオン[(FSO2)2N]−(“FSI”)を含むその溶液を、M+の塩を含む溶液に加えること、および
ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン([(FSO2)2N]−)を含むその結果として得られる塩を分離すること、
を含む。
NH3ガスの溶解SO2F2との反応は高度に発熱性の反応で極端に速く、NH3ガスを加える(供給する)速度は慎重に制御されなければならない。好ましい実施形態において、NH3ガスは、少なくとも90分またはより好ましくは2時間かまたはそれより長い期間にわたってゆっくりと、激しく撹拌されたSO2F2溶液中に加えられる。その加える(供給の)速度は、典型的には、開始温度より高い温度への上昇によって調整される。幾つかの実施形態では、開始時の静的温度からの温度の上昇は、NH3を加える期間中、±5℃以内に、より好ましくは±2℃以内に維持される。反応器の効果的な冷却は、反応熱を除去するのに必要である。
本発明の別の好ましい実施形態において、汚染は、アンモニウム塩としてのNH3(例えば、NH4F)を投入または導入することによって抑制される。追加的な等価重量(当量)の塩基が必要である。この実施形態において、反応器圧力は、0.1MPaより大きく、最高で約0.3MPaであり得るが、安全のために、0.1MPaより低い反応器圧力であることが好ましい。大気圧より僅かに低い圧力が最も好ましい。副生成物は一般的に処理溶媒においてより可溶性が高いので、フッ化アンモニウムが他の塩より好ましい。例えば、それにもかかわらず、本発明の範囲内では、例えば、塩化アンモニウムはあまり好ましくなく、これによって不溶性の副生成物および汚染された生成物が生じた(比較例1)。
例1
1リットル(L)の4ツ口丸底フラスコは、攪拌卵、ガス注入口、圧力補償付き滴下漏斗、および温度計を備え、ACS(American Chemical Society)グレードのフッ化アンモニウム(16.06g、0.43モル)および1−メチル−2−ピロリジノン(NMP、462g)が充填された。滴下漏斗には、1,3−ビス(ジメチルアミノ)プロパン(TMPDA、120g、0.92モル)が充填された。次いで、フラスコは密閉され、電磁撹拌しながら、動的真空下で排気(真空引き)された。すると、TMPDAとNMPの双方は、脱ガス(ガス放出)を生じた。数秒後に20Torrで、真空引きが停止され、フラスコには、700Torrの安定した圧力に達するまで、SO2F2ガスが充填された。次いで、TMPDAは、10秒の期間にわたって、撹拌されたフラスコ内容物中に滴下され、フラスコ内容物は、25℃の水槽中で、設定圧力(700Torr)でSO2F2が連続的に加えられて撹拌された。21時間後、計算量のSO2F2(87.7g、0.86モル)は全て加えられてしまい、反応器圧力は347Torrであった。ヘッドスペース内に固形分は見られなかった。次いで、フラスコは減圧蒸留に適するよう装備され、溶媒および幾分かの塩基が留去された(1.6Torr、65℃の水槽、53℃のヘッド)。次いで、フラスコ内容部(203g)は、透明な黄色のオイル(油)であり、温水(1.5kg)中のテトラブチルアンモニウムブロミド(161g、0.5モル)の撹拌溶液中にゆっくりと注がれた。そのようにして得られた固形分は吸引濾過され、ラバー(ゴム製)ダムで圧縮され(加圧され、固められ)、高温(熱)メタノール中で溶解された。その溶液は、ポリッシュ(仕上げ)濾過され、水(40mL)で希釈されて、熱い状態で合計の体積1リットル(L)となり、−25℃に冷却された。そのようにして得られた結晶は、濾過により回収され、一定重量になるまで真空オーブン中で45℃で乾燥された。収量154.3g(0.36モル、85%)、融点(mp)=97〜99℃であった。
2リットル(L)のステンレス鋼反応器(パーインストゥルメント社(Parr Instrument Company)、イリノイ州、モリーン)には、ACSグレードのフッ化アンモニウム(NH4F、36.2g、0.98モル)、TMPDA(327g、2.5モル)およびアセトニトリル(842g)が充填された。反応器は、密閉され、圧力57Torrに真空引きされ、その後、撹拌が開始された。フッ化スルフリル(208.8g、2.05モル)が、中程度で攪拌しつつ650乃至750Torrの設定圧力で連続的に加えられた(供給された)。温度はゆっくりと12℃から25℃に上昇し、SO2F2を加える残り約24時間を通して25〜27℃の温度が維持された。過剰なガスが排気され、反応器が開かれた。反応器のヘッドスペース内に固形分は見られなかった。内容物はアンモニア・ガスで飽和し、結果として得られた固形分が濾過により除去され、アセトニトリルで洗浄された。合わせた(混合した)濾液は、透明な黄色いオイル(油)(306g)に濃縮され、前述のようにテトラブチルアンモニウムブロミドで処理されて、メタノールから2群(crops)の生成物、360.6g(0.85モル、87%)、融点(mp)= 98.5〜99.5℃が得られた。
2リットル(L)のステンレス鋼反応器は、TMPDA(375g、2.88モル)およびアセトニトリル(750g)が充填され、−10℃に冷却され、撹拌しながら19Torrに真空引きされた。次いで、反応器は、SO2F2で平衡化されて、70Torrのゲート制御された圧力にされ、アンモニア・ガス(23.4g、1.37モル)がこの圧力と温度で2時間の期間にわたって投入または導入された。アンモニアを加える終了時点で(までに)、117g(1.15モル)のSO2F2が加えられていた。次いで、反応器の温度は、25℃まで上昇され、250〜500Torrの圧力でさらに165gのSO2F2が加えられ、反応器内容物が一晩攪拌された。過剰なガスが排出され、反応器が開かれた。少量の固形分が露出した冷却コイル上に見られたが、それ以外に、ヘッドスペースには固形分がなかった。生成物は、前述のように、テトラブチルアンモニウムブロミドで処理され、徐々に処理が進んで、1群の生成物(487g、1.15モル、84%)、融点(mp)=97〜101℃が得られた。
2リットル(L)のステンレス鋼反応器(パーインストゥルメント社(Parr Instrument Company)、イリノイ州、モリーン)には、塩化アンモニウム(NH4Cl、43g、0.8モル)、TMPDA(259g、1.99モル)およびアセトニトリル(838g)が充填された。反応器は、密閉され、圧力122Torrに真空引きされ、その後、撹拌が開始された。反応器は、25℃にされて、フッ化スルフリル(162.4g、1.59モル)が、18時間かけて25〜27℃で中程度で攪拌しつつ650〜750Torrの設定圧力で連続的に加えられた(供給された)。過剰なガスが排気され、反応器が開かれた。反応器のヘッドスペースは、界面に幾分かの蓄積された固形分を有していた。或る量の沈殿した固形分が濾過により除去され、アセトニトリルで洗浄された。合わせた(混合した)濾液は、透明な黄色いオイル(油)(321g)に濃縮され、前述のようにテトラブチルアンモニウムブロミドで処理されて、メタノールから生成物が得られた。汚染を表す拡大された溶融点範囲98〜120+℃の1群の生成物だけが回収された(226g)
2ガロン(7.57L)のステンレス鋼高圧反応器(パーインストゥルメント社(Parr Instrument Company)、イリノイ州、モリーン)には、アセトニトリル(3.72kg)およびテトラメチル−1,3−プロパンジアミン(TMPDA、1.50kg、11.5モル)が充填された。反応器は、10℃で43〜45Torrの静的な真空状態が少なくとも10分間持続するまで、媒体を攪拌しながら真空引きされた。フッ化スルフリル(SO2F2)は、設定値の圧力760Torrが達成されるまで、圧力ゲート制御された浸漬管を通して反応器に投入された。その加え終わった時点で、合計227.5gのSO2F2が加えられていた。反応器温度は11℃から14℃に上昇した。次いで、撹拌速度が最大値の80%に設定されて、NH3ガス(96g、5.63モル)が3時間の期間にわたって一定速度(流量)で加えられて、それによって温度が23〜25℃に上昇し、次いで必要に応じてこの温度範囲を維持するように冷却された。設定値圧力でのSO2F2を加えるプロセスが、この時間を通して継続された。NH3を加えることが完了した後、SO2F2を加えるプロセスが、理論的重量(1.14kg、11.2モル)が加えられてしまうまで、継続された。次いで、反応器は、減じられた速度で10時間攪拌され、圧力は760Torrから123Torrへ低下し、この時間の間に温度は25℃から15℃に低下した。反応器の内容物は、透明な淡黄色の液体であり、浸漬管を通して減圧下で大型のロータリ蒸発器に移送されて、密閉された反応器は再び浸漬管を通して1kgのアセトニトリルで洗浄された。60℃/80Torr乃至60℃/150Torrの合せた(混合)液体の濃度は、2.886kgの粘性液体残留物を生じさせ、これが、温(31℃)水(10kg)中のテトラブチルアンモニウムブロミド(2kg、6.2モル)の激しく撹拌された溶液に14分かけて一定速度で加えられた。ガラス容器(receptacle)は3×25mLのメタノールで洗浄されて、攪拌ポットに加えられた。そのポットはさらに20分間撹拌された。そのようにして得られた固形分は、吸引濾過により回収され、ラバー・ダムで圧縮された(固められた)。湿った固形分(3.245kg)は、温かいメタノール(4.93kg)に取り込まれて、ポリッシュ濾過されて、−20℃に冷却された。結晶生成物が濾過によって回収され、そのケーキは、冷却されたメタノールで2回洗浄されて、45℃で一定重量になるまで動的に真空引きされて乾燥された。収量1.992kg(4.71モル、84.4%)の白色の結晶生成物、融点(mp)=99℃〜97℃が得られた。第2の群の生成物(208.2g、0.49モル、8.8%)、融点(mp)=99℃〜97℃が、濾液の濃縮によって得られた。残りの濾液は、生成物の最初の単離による水性残留物と合わ(混合)されて、さらに低い60℃で回転蒸発された。その結果得られた固形分質量は、前述のようにメタノールから分離されて再結晶化され、第3の群(44.6g、0.1モル、1.9%)、融点(mp)=99℃〜97℃が生成された。合計の収量は、2.245kg(5.31モル、95.1%)であった。反応器は内容物の移送後に開かれ、反応器ヘッドスペース、注入管および逆止弁に固形分の広い堆積が見られた。
Claims (15)
- ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンの塩Mx+ m[(FSO2)2N−]nを生成する方法であって、
ここで、M+は無機または有機カチオンであり、x、nおよびmは1乃至4の整数であり、
密閉された反応器において溶媒中で非プロトン性塩基の存在下で固形のフッ化アンモニウムにフッ化スルフリル(SO2F2)を加え、
前記塩を単離すること、
を含む方法。 - 密閉された反応器において溶媒中で非プロトン性塩基の存在下で固形のフッ化アンモニウムにフッ化スルフリル(SO2F2)を加える工程が、
前記密閉された反応器において前記溶媒に固形のフッ化アンモニウムを供給し、
前記密閉された反応器内に前記非プロトン性塩基および最初の量のフッ化スルフリル(SO2F2)を供給し、
所定の化学量論的量に達するように別の量のフッ化スルフリル(SO2F2)を連続的に加えること、を含むものである、請求項1に記載の方法。 - さらに、前記密閉された反応器に対して真空引きを行うことを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ブチロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、テトラメチル尿素、ジメチルプロピレン尿素、ジメチルエチレン尿素、およびこれらの組合せからなる群から選択されたものである、請求項1に記載の方法。
- 前記非プロトン性塩基がN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミンである、請求項1に記載の方法。
- フッ化アンモニウム対フッ化スルフリル(SO2F2)の所定の化学量論比が1:3乃至1.1:2の範囲のモル比である、請求項1に記載の方法。
- 前記溶媒中で、懸濁液、ペレットまたはその他の形態の固形のフッ化アンモニウムに、フッ化スルフリル(SO2F2)が加えられる、請求項1に記載の方法。
- 前記密閉された反応器における反応は、フッ化スルフリル(SO2F2)を加える工程の期間中に−30℃乃至+50℃の範囲の温度に維持されるものである、請求項1に記載の方法。
- 前記密閉された反応器内の圧力が、フッ化スルフリル(SO2F2)を加える工程の期間において、0.3MPa以下である、請求項1に記載の方法。
- 結果的に得られた前記塩を単離する工程は、有機カチオンを含む塩の溶液を加えることを含むものである、請求項1に記載の方法。
- ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンの塩Mx+ m[(FSO2)2N−]nを生成する方法であって、
ここで、M+は無機または有機カチオンであり、x、nおよびmは1乃至4の整数であり、
密閉された反応器においてフッ化スルフリル(SO2F2)、固形のフッ化アンモニウム、溶媒、および非プロトン性塩基を混合し、
前記塩を単離すること、
を含む方法。 - 密閉された反応器においてフッ化スルフリル(SO2F2)、固形のフッ化アンモニウム、溶媒、および非プロトン性塩基を混合する工程が、
前記密閉された反応器において前記溶媒に固形のフッ化アンモニウムを供給し、
前記密閉された反応器内に前記非プロトン性塩基および最初の量のフッ化スルフリル(SO2F2)を供給し、
所定の化学量論的量に達するように別の量のフッ化スルフリル(SO2F2)を連続的に加えること、を含むものである、請求項11に記載の方法。 - 前記非プロトン性塩基がN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミンである、請求項11に記載の方法。
- さらに、前記溶媒を蒸留する工程を含む、請求項11に記載の方法。
- 結果的に得られた前記塩を単離する工程は、有機カチオンを含む塩の溶液を加えることを含むものである、請求項11に記載の方法。
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