JP6274792B2 - 建築物のラーメン架構 - Google Patents

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Description

この発明は、2本の柱と、これら柱に架け渡された梁とで構成される建築物のラーメン架構に関する。
建築物のラーメン架構として、図10のように柱52および梁53にH形鋼等の形鋼を用い、柱52,53の接合部にパネルゾーン54を形成したものや、図11のように、柱62および梁63に、それぞれ弦材62a,63aと斜材62b,63bとでトラス架構の組立柱,組立梁を用いた柱・梁組等がある。
なお、柱・梁の骨組み構造ではないが、壁を構成する耐力壁フレームとして、2本の平行に立てられる金属製の縦材と、これら縦材間に上下に並べて架設された複数本の横材とを備えるはしご形耐力壁フレーム(例えば特許文献1)が知られている。
特開2005−325637号公報
建築物の柱・梁により形成されるラーメン架構は、その柱や梁に図10の例などのようにH形鋼等の形鋼を用いた場合、大地震等で損傷するときに、柱または梁崩壊形となり、地震後は建築物を大幅に補修する必要がある。また、局部座屈により脆性的に終局に至ることもある。
また、図11の例のようなトラス形状の組立柱,組立梁によりラーメン架構を構成する場合は、建築物の自重は上下の弦材62a,62aで支持されているが、終局的には柱頭柱脚位置での上下弦材62a,62aの端部の座屈による脆性的な破壊となる。トラスについては、上下弦材62a,62aの端部での座屈による場合、その径厚比および細長比によっては、エネルギー吸収能力を得ることが既往の研究で示されているが、これについても座屈による床および外壁への影響が懸念される。そのため、トラス状の組立柱,組立梁でラーメン架構を構成する場合も、地震後は建築物を大幅に補修する必要がある。
この発明の目的は、大地震等により損傷を生じる場合に、損傷箇所が一部の限られた箇所となって、上部荷重の支持能力が下がらず、地震後の補修も容易となり、また軽量化が図れ、さらに外形を変えることなく各種の強度に設計できる建築物のラーメン架構を提供することである。
この発明の第1の建築物のラーメン架構は、2本の柱と、両柱に架け渡された梁とで構成される建築物のラーメン架構であって、前記各柱が、これら柱の並び方向に並ぶ互いに平行な角形鋼管からなる2本の縦材と、これら縦材間に上下に並べて架設された複数本の金属製の横材とを有するはしご形であり、前記横材が上下に位置するフランジ部とこれらフランジ部に繋がるウェブ部とを有する溝形であり、前記ウェブ部と、前記角形鋼管からなる縦材の4側面の板部のうちの前記横材の長手方向に沿う片方の側面の板部とが互いに近接していることを特徴とする。
この発明の第2の建築物のラーメン架構は、2本の柱と、両柱に架け渡された梁とで構成される建築物のラーメン架構であって、前記各柱が、これら柱の並び方向に並ぶ互いに平行な2本の金属製の縦材と、これら縦材間に上下に並べて架設された複数本の金属製の横材とを有するはしご形であり、前記横材が上下に位置するフランジ部とこれらフランジ部に繋がるウェブ部とを有する溝形であり、前記各横材は両端が当て板を介して前記縦材に溶接されていることを特徴とする。
これら第1および第2の建築物のラーメン架構において、前記溝形の横材におけるウェブ部における前記上下のフランジ部の近傍にせん断降伏誘発用の孔を有していてもよい。
この構成のラーメン架構によると、各柱が2本の縦材とこれらの縦材間に上下に並べて架設された複数本の横材とでなるはしご形であるため、大地震等による過大な荷重で損傷を生じる場合に、柱の縦材や梁ではなく、柱の縦材間の綴り材となる横材が降伏する構成とできる。そのため、地震等による損傷後も上部荷重の支持能力が下がらず、地震後の補修完了までの建築物の自重にも耐えることができる。また、前記綴り材となる横材の変形は、面内変形のみとなり、その変形による内装材や外装材への影響がない。これらのため、前記綴り材となる横材の交換等による補修だけで復旧でき、地震後の補修が容易となる。また、柱が2本の縦材とその間の綴り材となる横材とでなるため、柱を構成する鋼材等の重量が、形鋼の曲げ剛性によるラーメン架構に比べて、同じ剛性を持つ構成としても軽量になる。さらに、柱が2本の縦材とその間の綴り材となる横材とで構成されるため、柱断面の大小によらずに、綴り材となる横材の断面や本数で強度設計することができ、そのためラーメン架構の外形を変えることなく、各種の強度に設計することができる。
この発明において、前記梁は、前記各柱の2本の前記縦材の両方と接合すると良い。
各柱の両方の縦材に梁を接合することで、梁の荷重が両方の縦材に直接に伝わり、2本の縦材と横材とでなる組立柱である柱の機能を効果的に発揮させることができる。
この発明において、前記柱と梁とは、中ボルトで接合することが好ましい。
従来、中ボルトによるラーメン架構は存在せず、高力ボルトが用いられているが、住宅で標準的に用いられているボルトである中ボルトによると、高力ボルトに比べて、接合作業の管理が容易で、専用の工具が不要も不要となり、材料コストも低減される。中ボルトを用いても、この発明は、柱が上記のように2本の縦材と綴り材となる複数本の横材とで構成され、損傷を綴り材となる横材に集中させるため、地震の挙動が、柱と梁とのボルト接合部分の滑りによるスリップ等の履歴にはならず、紡錘形履歴が実現できる。
この発明において、前記柱の前記横材の両端部が、それぞれこの横材を補剛する補剛部材を介して前記両縦材に接合られ、前記補剛部材は、前記縦材の表面に面接触して接合される板部と、前記横材の側面に面接触して接合される板部とを有するものであっても良い。
この構成の場合、柱の横材の両端部を、それぞれこの横材を補剛する補剛部材を介して両縦材に接合するので、横材の端部に剛域が形成され、その端部および端部近傍の耐力と剛性を確保することができる。2本の縦材の間隔が広い場合でも、上記のように補剛部材を介して横材の両端部を縦材に接合することから、横材の端部に剛域が形成されて、横材のせん断スパン比を小さくすることができ、簡易にせん断降伏させることができる。すなわち、横材が曲げ降伏する場合は、繰り返し荷重により圧縮フランジの座屈等で耐力が低下するため、せん断降伏とすることが好ましいが、せん断降伏とする場合は横材のせん断スパン比が課題となる。しかし、上記のように剛域が形成されて容易にせん断スパン比が小さくなることで、せん断降伏となる。せん断降伏となることで、曲げ降伏の場合に比べて安定したエネルギー吸収となり易い。
前記横材の両端部を、前記補剛部材を介して前記両縦材に接合する場合、以下の各構成としても良い。
すなわち、前記補剛部材が平板形状であって、この補剛部材の前記両板部が同一平面で続き、前記縦材におけるこのラーメン架構の構面に対して平行となる表面と、この表面と同一平面に揃えられる前記横材の側面とにそれぞれ接合されるようにしても良い。
この構成の場合、縦材の補剛部材が接合される箇所が、横材の長手方向に沿う表面となるため、横材の長手方向に垂直となる表面に接合する場合と異なり、縦材の接合部における面外変形の問題がなくなり、より一層、耐力、剛性が向上する。
また、前記補剛部材が、前記縦材におけるこのラーメン架構の構面に対して垂直となる表面に面接触する板部と、前記横材の前記側面に面接触する板部とでなるL字形状であっても良い。この構成の場合、縦材の壁面と平行な表面に補剛部材が突出せず、納まりが良くなる。
さらに、せん断降伏誘発用の孔は、前記横材の両端部における前記補剛部材との接合部から外れる箇所設けられても良い。この場合に、前記横材の両端部となる各箇所に設けられる前記せん断降伏誘発用の孔がそれぞれ複数であっても良い。
前記補剛部材により横材のせん断スパンが小さくなりせん断降伏し易くなっているうえに、このように横材の両端部にせん断降伏誘発用の孔を設けた場合、横材のせん断降伏をさらに助長させることができる、また、前記孔が横材の両端部に設けられていると、横材の端部に塑性ヒンジが形成され、塑性変形領域が大きくなる。その結果、大変形時における変形代を稼ぎ塑性変形能力を向上させることができる。
また、せん断降伏誘発用の孔を設けた場合、前記補剛部材の大きさの設計による横材のせん断耐力、剛性の調整に加え、前記孔の大小や数により、せん断耐力、剛性の調整が可能になる。
この発明の第1の建築物のラーメン架構は、2本の柱と、両柱に架け渡された梁とで構成される建築物のラーメン架構であって、前記各柱が、これら柱の並び方向に並ぶ互いに平行な角形鋼管からなる2本の縦材と、これら縦材間に上下に並べて架設された複数本の金属製の横材とを有するはしご形であり、前記横材が上下に位置するフランジ部とこれらフランジ部に繋がるウェブ部とを有する溝形であり、前記ウェブ部と、前記角形鋼管からなる縦材の4側面の板部のうちの前記横材の長手方向に沿う片方の側面の板部とが互いに近接しているため、大地震等により損傷を生じる場合に、損傷箇所が一部の限られた箇所となって、上部荷重の支持能力が下がらず、地震後の補修も容易となり、また軽量化が図れ、さらに外形を変えることなく各種の強度に設計できる。
この発明の第2の建築物のラーメン架構は、2本の柱と、両柱に架け渡された梁とで構成される建築物のラーメン架構であって、前記各柱が、これら柱の並び方向に並ぶ互いに平行な2本の金属製の縦材と、これら縦材間に上下に並べて架設された複数本の金属製の横材とを有するはしご形であり、前記横材が上下に位置するフランジ部とこれらフランジ部に繋がるウェブ部とを有する溝形であり、前記各横材は両端が当て板を介して前記縦材に溶接されているため、大地震等により損傷を生じる場合に、損傷箇所が一部の限られた箇所となって、上部荷重の支持能力が下がらず、地震後の補修も容易となり、また軽量化が図れ、さらに外形を変えることなく各種の強度に設計できる。
この発明の第1の実施形態に係るラーメン架構を備えた建築物の正面図である。 (A)は同ラーメン架構の柱の部分拡大図、(B)はそのIIB−IIB断面図である。 (A)は図1のIII 部の拡大図、(B)はその側面図、(C)はそのIII C−III C断面図である。 (A)は図1のIV部の拡大図、(B)はそのIVB−IVB断面図、(C)はそのIVC−IVC断面図である。 (A)は図1のV部の拡大図、(B)はその平面図、(C)はそのVC−VC断面図である。 (A)はこの発明の他の実施形態における異なるはしご形の柱の正面図、(B)はその側面図である。 同柱における縦材と横材の接合部の正面図、平面図、側面図、および背面図である。 同柱に横材における孔位置の違いにより塑性変形能力の変化を示す説明図である。 さらに異なる実施形態におけるはしご形の柱における縦材と横材の接合部の正面図、平面図、側面図、および背面図である。 従来のラーメン架構の一例を示す説明図である。 従来のラーメン架構の異なる例を示す説明図である。
この発明の第1の実施形態を図面と共に説明する。図1に示すように、この建築物のラーメン架構1は、2本の柱2,2と、これら柱2,2に架け渡された梁3とで構成される。図示の例では、2階建て鉄骨造の建築物における1階外壁部の中央部分に、この実施形態のラーメン架構1が適用されている。このラーメン架構1は、外壁部の端部分に適用しても良く、建築物の内壁部に適用しても良い。また、このラーメン架構1は、建築物の2階部分にも適用することができ、さらに建築物が3階建て以上である場合に、3階以上の階にも適用することができる。
このラーメン架構1は、前記各柱2に、これら柱2の並び方向に並ぶ互いに平行な2本の金属製の縦材4,4と、これら縦材4,4間に上下に並べて架設された綴り材となる複数本(図1では6本)の金属製の横材5とを有するはしご形である。
図2に示すように縦材4には角形鋼管が用いられている。縦材4は、角形鋼管以外に、円形鋼管、H形鋼等の他の断面形状をした形鋼等の鋼材であっても良い。横材5は、このラーメン架構の構面に対して平行となり、上下縁に沿う座屈補剛部を有する鋼材を用いる。横材5は、具体的には上下に位置するフランジ部とこれらフランジ部に繋がるウェブ部とを有する溝形の部材とされ、そのウェブ部は、同図(B)に示されるように前記角形鋼管からなる縦材4の4側面の板部のうちの前記横材5の長手方向に沿う片方の側面の板部とが互いに近接している。横材5は、細長比の大きなものではなく、例えばB/tが30〜45程度(B=鋼材断面の高さ、t=鋼材の厚み)の細幅の鋼材、特に上下の縁を座屈補剛した鋼材が好ましく、この例では断面形状を溝形に折り曲げてフランジ部5bとした鋼材が用いられている。フランジ部5bは、前記座屈補剛部となる。
横材5は、そのウェブ部5aが垂直となる姿勢で両縦部材4,4間に架設され、その両端が、当て板6を介して縦材4に溶接により固定されている。図示の例では、ウェブ部5aの外面となる側面が屋外側に向けられているが、屋内側に向けられていても良い。例えば、横材5にウェブ部5aの幅が100mm、フランジ部5bの幅が40mm、厚さが2.3mmの溝形鋼を用いる場合、横材5の長さは100〜150mmとする。各横材5は、そのウェブ部5aでせん断力を負担し、上下のフランジ部5bで曲げモーメントを負担する。
横材5のウェブ部5a両端部には、せん断降伏誘発用の孔7が設けられている。図示の例では、2つのせん断降伏誘発用の孔7が縦に並べて設けられている。これにより、柱2に地震等の荷重が作用した場合、縦材4に先行して横材5がより一層せん断降伏し易くなる。せん断降伏誘発用の孔7は、1つでも3つ以上でも良い。また、複数のせん断降伏誘発用の孔7を、横に並べて設けても良く、縦横に並べて設けても良い。
図1のように、2本のはしご形の柱2はそれぞれ基礎11の上に建てられ、両柱2の上端に梁3の両端が接合される。梁3はH形鋼からなり、図4に示すように、ウェブ部3aが垂直となる姿勢で設置される。柱2間の距離が長い場合は、複数本のH形鋼を継ぎ合わせて必要長さの梁3とする。梁3は、建築物の大梁の一部となる。
図3は、基礎11への柱2の建込み部を示す。基礎11に、ねじ部が基礎11の天端から上方に突出するように複数本のアンカーボルト12がラーメン架構1(図1)の構面に沿って並んで設けられており、これらアンカーボルト12のねじ部に、柱2の各縦材4の下端に設けられた柱脚部13が結合される。柱脚部13は、角形鋼管である縦材4の下端面に溶接された水平状のエンドプレート13aと、このエンドプレート13aの底面に溶接された平面形状コ字形のコ字形支持プレート13bと、このコ字形支持プレート13bの側面に溶接された一対の側面形状三角形の三角支持プレート13cと、これらコ字形支持プレート13bおよび三角支持プレート13cの下端に溶接された水平状のベースプレート13dとでなる。コ字形支持プレート13bは一体ものであっても良く、または複数枚の板材を組み合わせて形成されたものであっても良い。そして、ベースプレート13dに開けられた孔にアンカーボルト12が挿通され、そのアンカーボルト12にベースプレート13dの上側からナット14を締め付けることで、柱2の各縦材4が基礎11に固定される。
図4は、柱2と梁3の接合部を示す。柱2の各縦材4の上端には、それぞれ柱頭部15が設けられている。柱頭部15は、角形鋼管である縦材2の上端面に溶接された水平状のエンドプレート15aと、このエンドプレート15aの上面に溶接されて上方へ延びる複数枚の支持プレート15bと、これら支持プレート15bの上端に溶接された水平状の天端プレート15cとでなる。柱2の2本の縦材4のうち一方の縦材4の上端に設けられた柱頭部15は、梁3の一端を構成する接合ボックス16の下面にボルト17で接合され、もう一方の縦材4の上端に設けられた柱頭部15は、梁3を構成するH形鋼の下側のフランジ部3cにボルト17およびナット18で接合される。これにより、柱2と梁3が接合される。この接合部には、後述するようにすべりによるスリップ等の履歴が残らないため、前記ボルト17として標準的な中ボルトが使用される。
なお、前記接合ボックス16は、梁3を構成する溝形鋼の端面に溶接により接合されている。前記接合ボックス16におけるラーメン架構1の梁3と反対側の側面には、梁3と共に大梁を構成する梁20が接合される。図示の例では、この梁20もH形鋼からなる。また、接合ボックス16の上面には、建築物の2階部分を支える軸柱21が接合される。図示の例では、この軸柱21は、1本の角形鋼管からなる。
図5は、ラーメン架構1の梁3における2本のH形鋼の継ぎ合わせ部を示す。同図に示すように、2本のH形鋼3A,3Bを互いに若干の隙間を開けて突き合わせ、各H形鋼3A,3Bのウェブ部3Aa,3Ba同士をこれらウェブ部3Aa,3Baの両側に配したウェブ継手板22を介して接合する。また、上のフランジ部3Ab,3Bb同士をこれらフランジ部3Ab,3Bbの上側に配したフランジ継手板23を介して接合し、かつ下のフランジ部3Ac,3Bc同士をこれらフランジ部3Ac,3Bcの下側に配したフランジ継手板24を介して接合する。ウェブ部3Aa,3Baとウェブ継手板22の固定、上のフランジ部3Ab,3Bbとフランジ継手板23の固定、および下のフランジ部3Ac,3Bcとフランジ継手板24の固定には、高力ボルト26およびナット27が使用される。
図1において、ラーメン架構1の柱2の上に建てられた前記軸柱21の上端には、複数本のH形鋼を継ぎ合わせた軸桁30が設置される。また、強度等の必要に応じて、軸桁30とラーメン架構1の梁3との間に、中間軸柱31が設けられる。
上記構成のラーメン架構1によると、各柱2が2本の縦材4とこれら縦材間に上下に並べて架設された複数本の横材4とでなるはしご形であるため、大地震等による過大な荷重で損傷を生じる場合に、柱2の縦材4や梁3ではなく、柱2の縦材4間の綴り材となる横材5が降伏する構成とできる。そのため、地震等による損傷後も上部荷重の支持能力が下がらず、地震後の補修完了までの建築物の自重にも耐えることができる。また、前記綴り材となる横材5の変形は、面内変形のみとなり、その変形による建築物の内装材や外装材(図示せず)への影響がない。これらのため、前記綴り材となる横材5の交換等による補修だけで復旧でき、地震後の補修が容易となる。また、柱2が2本の縦材4とその間の綴り材となる横材5とでなるため、柱2を構成する鋼材等の重量が、形鋼の曲げ剛性によるラーメン架構に比べて、同じ強度を持つ構成としても軽量になる。さらに、柱2が2本の縦材4とその間の綴り材となる横材4とで構成されるため、柱断面の大小によらずに、綴り材となる横材4の断面や本数で強度設計することができ、そのためラーメン架構の外形を変えることなく、各種の強度に設計することができる。
この例では、梁3は、各柱2の2本の縦材4の両方とそれぞれ接合されているため、梁3の荷重が各柱2の両方の縦材4に直接に伝わり、2本の縦材4と横材5とでなる組立柱である柱2の機能を効果的に発揮させることができる。
柱2と梁3とは、中ボルトで接合しているため、次の各利点が得られる。従来、中ボルトによるラーメン架構は存在せず、高力ボルトが用いられているが、住宅で標準的に用いられているボルトである中ボルトによると、高力ボルトに比べて、接合作業の管理が容易で、専用の工具が不要も不要となり、材料コストも低減される。中ボルトを用いても、この実施形態のラーメン架構1は、柱2が上記のように2本の縦材4と綴り材となる複数本の横材5とで構成され、損傷を綴り材となる横材5に集中させるため、地震の挙動が、柱2と梁3とのボルト接合部分の滑りによるスリップ等の履歴にはならず、紡錘形履歴が実現できる。
前記各柱2の前記綴り材となる横材5は、細長比の大きいものではなく、細幅の鋼材を用いているため、せん断降伏する部材となって、安定した復元力特性が得られ、繰り返しの地震にも耐える架構となる。
つぎに、この発明の他の実施形態における、はしご形の柱2の異なる構成について説明する。
図6に示すはしご形の柱2は、前記実施形態のものと同様に、互いに平行な2本の金属製の縦材4,4と、これら縦材4,4間に上下に並べて架設された複数本の金属製の横材5とを有する。縦材4には角形鋼管が用いられ、横材5には前記と同様に溝形に折り曲げ加工した鋼材が用いられている。横材5は、図7(C)に示すように、そのウェブ部5aが垂直となる姿勢で両縦部材4,4間に架設され、ウェブ部5aの外面となる側面が縦材4の屋内側の表面4aと同一平面に揃えられる。
横材5の両端部は、それぞれこの横材5を補剛する補剛部材40を介して縦材4に接合されている。ここでは補剛部材40として矩形の平板形状の鋼材が用いられる。具体的には、図7(A)〜(D)に横材5の端部の縦材4への接合部の正面図、平面図、側面図、および背面図を示すように、平板形状の補剛部材40は、ラーメン架構1の構面と平行となる垂直姿勢とされて、その左右の板部40a,40bのうちの一方の板部40aが、縦材4の前記縦材4の屋内側の表面4aに面接触して溶接により接合される。他方の板部40bは、横材5の側面となる前記ウェブ部5aの外面に面接触して溶接により接合される。
横材5の両端部には、ウェブ部5aにおける前記補剛部材4との接合部から外れる箇所に、せん断降伏誘発用の孔7が設けられている。横材5の両端部となる各箇所に設けられるせん断降伏誘発用の孔7は、それぞれ複数とされ、ここでは、2つの孔7を縦に並べて設けている。なお、孔7は、1つでも3つ以上でも良く、また必ずしも設けなくても良い。
この構成のはしご形の柱2によると、横材5の両端部を、この横材5の側面に面接触して接合されて横材5を補剛する補剛部材40を介し、縦材4に接合したので、その端部および端部近傍の耐力と剛性を確保することができる。また、補剛部材40は平板形状であって、縦材4の前記補剛部材40が接合される箇所が、横材5の長手方向に沿う表面4aとなるため、横材5の長手方向に垂直となる表面に当て板6(図2)を用いて接合する場合と異なり、縦材4の接合部における縦材フランジの面外変形の問題がなくなり、より一層、耐力が向上する。当て板6(図2)を用いる接合では、当て板6の周囲の全周溶接が必要となるが、この実施形態の補剛部材40では、全周溶接の回避によって製作性を向上させ、コストダウンを図ることができる。
また、平行に立てられる2本の縦材4の間隔が広い場合でも、上記したように補剛部材40を介して横材5の両端部を縦材4に接合していることから、横材5の端部近傍に剛域が設けられて、横材5のせん断スパンを小さくすることができ、簡易にせん断降伏させることができる。これにより、震動等に対する安定したエネルギー吸収が行える。
すなわち、曲げ降伏型では、横材5の上下フランジ部5bのうちの圧縮側フランジ部の座屈や溶接部での震動エネルギー吸収により、ループを繰り返すうちにエネルギー吸収能力が低下していく。一方、ウェブ部5aのせん断降伏型では、板要素の降伏が支配的となるため、安定したエネルギー吸収と成り易い。
また、この実施形態では、上記したように補剛部材40の介在で横材5のせん断スパンが小さくなりせん断降伏し易くなっているうえ、横材5の両端部にせん断降伏誘発用の孔7を設けたので、横材5のせん断降伏をさらに助長させることができる。せん断降伏誘発用の孔7は、せん断力を負担する横材3のウェブ部3aに設けられているので、せん断降伏の助長により効果的である。また、孔7の周辺に塑性域が形成されることから、最大耐力後の塑性変形能力が高められる。
また、前記孔7が横材5の両端部に設けられているため、横材5の両端部に塑性ヒンジが形成され、塑性変形領域が大きくなる。その結果、大変形時における変形代を稼ぎ、塑性変形能力を向上させることができる。
図8(A)は、前記せん断降伏誘発用の孔7(ここでは孔7が1つの例を示す)を両端部に設けた横材5と、その場合に形成される塑性ヒンジの模式図とを示している。図8(B)は、前記せん断降伏用の孔7を中央部に設けた横材5と、その場合に形成される塑性ヒンジの模式図とを示している。これらの図からわかるように、横材5の両端部に前記孔7を設けた図8(A)の場合には、横材5の両端部に塑性ヒンジが形成されて大変形時の変形代を稼ぐことができる。横材5の中央部に前記孔7を設けた図8(B)の場合には塑性変形領域が限定的となり、図8(A)の場合に比べて塑性変形能力が劣る。
図9は、さらに異なる実施形態を示す。このはしご形の柱2は、図6〜図8に示した先の実施形態において、横材5を補剛する補剛部材40Aとして、縦材4の、構面に対して垂直となる表面4bに面接触する板部40Aaと、横材5の側面となるウェブ部5aの外面に面接触する板部40AbとでなるL字形状のものが用いられる。補剛部材40Aは、アングル材であっても、鋼板の曲げ加工品であっても良い。図9(A)〜(D)は、この場合の横材5の端部の縦材4への接合部の正面図、平面図、側面図、および背面図を示す。その他の構成は、先の実施形態の場合と同様である。また、作用についても、この実施形態では縦材4の面外変形の防止の効果は先の実施形態に比べて低く、かつ縦材4の構面と平行な表面に補剛部材40Aが突き出なくて納まりが良くなるという効果が得られるが、その他の作用効果は先の実施形態と同様に得られる。
1…ラーメン架構
2…柱
3…梁
4…縦材
4a,4b…表面
5…横材
5a…ウェブ部
7…せん断降伏誘発用の孔
17…ボルト(中ボルト)
40,40A…補剛部材
40a,40b,40Aa,40Ab…板部

Claims (10)

  1. 2本の柱と、両柱に架け渡された梁とで構成される建築物のラーメン架構であって、前記各柱が、これら柱の並び方向に並ぶ互いに平行な角形鋼管からなる2本の縦材と、これら縦材間に上下に並べて架設された複数本の金属製の横材とを有するはしご形であり、前記横材が上下に位置するフランジ部とこれらフランジ部に繋がるウェブ部とを有する溝形であり、前記ウェブ部と、前記角形鋼管からなる縦材の4側面の板部のうちの前記横材の長手方向に沿う片方の側面の板部とが互いに近接していることを特徴とする建築物のラーメン架構。
  2. 2本の柱と、両柱に架け渡された梁とで構成される建築物のラーメン架構であって、前記各柱が、これら柱の並び方向に並ぶ互いに平行な2本の金属製の縦材と、これら縦材間に上下に並べて架設された複数本の金属製の横材とを有するはしご形であり、前記横材が上下に位置するフランジ部とこれらフランジ部に繋がるウェブ部とを有する溝形であり、前記各横材は両端が当て板を介して前記縦材に溶接されていることを特徴とする建築物のラーメン架構。
  3. 請求項1または請求項2に記載の建築物のラーメン架構において、前記溝形の横材におけるウェブ部における前記上下のフランジ部の近傍にせん断降伏誘発用の孔を有する建築物のラーメン架構。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の建築物のラーメン架構において、前記梁は、前記各柱の2本の前記縦材の両方と接合される建築物のラーメン架構。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか1項の建築物のラーメン架構において、前記柱と梁とが中ボルトで接合された建築物のラーメン架構。
  6. 請求項1に記載の建築物のラーメン架構において、前記柱の前記横材の両端部が、それぞれこの横材を補剛する補剛部材を介して前記両縦材に接合され、前記補剛部材は、前記縦材の表面に面接触して接合される板部と、前記横材の側面に面接触して接合される板部とを有する建築物のラーメン架構。
  7. 請求項に記載の建築物のラーメン架構において、前記補剛部材が平板形状であって、この補剛部材の前記両板部が同一平面で続き、前記縦材におけるこのラーメン架構の構面に対して平行となる表面と、この表面と同一平面に揃えられる前記横材の前記側面とにそれぞれ接合される建築物のラーメン架構。
  8. 請求項に記載の建築物のラーメン架構において、前記補剛部材が、前記縦材におけるこのラーメン架構の構面に対して垂直となる表面に面接触する板部と、前記横材の前記側面に面接触する板部とでなるL字形状である建築物のラーメン架構。
  9. 請求項ないし請求項のいずれか1項に記載の建築物のラーメン架構において、前記横材の両端部における前記補剛部材との接合部から外れる箇所に、前記せん断降伏誘発用の孔が設けられた建築物のラーメン架構。
  10. 請求項に記載の建築物のラーメン架構において、前記横材の両端部に設けられる前記せん断降伏誘発用の孔がそれぞれ複数である建築物のラーメン架構。
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