JP6274619B2 - 細片および偽造防止用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、応力発光機能が備えられている細片、および真贋判定機能を有する偽造防止用紙に関するものである。特に、外力により発光することで、真贋の判定を容易かつ高度にすることが可能な細片、および、それを使用した偽造防止用紙に関するものである。
紙幣、商品券、株券、債券、小切手、入場券、宝くじ等の金銭的価値を有する有価証券類には、容易に偽造または変造されない様に多種多様の偽造防止対策を施してある。また、オリンピック等の入場券やパスポート、その他各種の身分証明書についても同様である。
ところで、近年の技術の進歩により、上記した有価証券類が、多色印刷機により印刷されるという方法、カラーコピー機により複写されるという方法、或いはパソコンに連動したデジタルスキャナーで画像を取り込みカラープリンターでプリントする方法等で偽造されることが多くなっている。最近では家庭用プリンターであっても、解像度や色相等が本物と見分けがつかないほど精巧に再現できるようになっているため、比較的簡単に偽造品を作製できるようになってきた。このようにデジタル機器を用いた偽造の増加が問題となっており、その偽造による被害が身近なものになっている。
以上のような背景から、デジタル機器を使用した偽造を防止する技術として様々な提案がなされている。例えば特許文献1では、カラーコピー機等での複製が困難な中間色の色相を有し、かつ紫外線照射で発色する細片を有する偽造防止用紙が提案されている。特許文献2には、見る角度によって色の変化が生じる層が積層された細片を抄き込む偽造防止用紙が提案されている。特許文献3では、ホログラムを施したセキュリティ素子が提案されている他、真珠顔料印刷、紫外蛍光印刷や、これらを施した基材を加工してスレッドとして用いた偽造防止用紙の提案がなされている。
また、ホログラムや真珠顔料は金属光沢や真珠光沢を有しており、カラーコピー機による印刷や、デジタルスキャナーで読み込んだ画像をカラープリンターにより出力する方法では金属光沢感や真珠光沢感を再現する事ができないため、偽造を防止する効果がある。例えば、本出願人は特許文献4において、基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層を形成し偽造防止用紙を得ること、この用紙を使用して印刷を施し、偽造防止印刷物を得ることを提案した。また、特許文献5では、真珠光沢を付与した細片について提案した。さらに本出願人は特許文献6で、温度の変化による細片の変色効果を目視することにより容易に真贋判定できる偽造防止用紙を提案した。
以上のように偽造を防止する技術として様々なものが提案され、採用されている。しかしながら、偽造防止の技術を確立したとしても、新たな偽造の手段が次々と生み出されているのが現状であるため、新たに出現する偽造手段に対抗すべく、新規の偽造防止技術が常に求められている。さらには、前記のような印刷機やスキャナー等を用いた方法で容易に偽造できる結果、その偽造による被害も身近になっている。そのため特別な器具を使わずとも簡易的に真贋を判定できる偽造防止技術が必要とされている。例えば、商品券等を買い取る店において、持ち込まれた商品券を店員がその場で容易に真贋判定できるような技術が要求されている。
一方、機械的な外力によって発光する材料が知られている。これは応力発光体と呼ばれ、主に弾性領域や塑性領域での変形により繰り返し発光する現象であり、破壊を伴わない微少な応力によって光が放出されるものである。応力発光機能を示す材料としては、ユーロピウムを発光中心として添加させたアルミン酸ストロンチウム(SrAl:Eu)やマンガンを発光中心として添加させた硫化亜鉛(ZnS:Mn)等が知られている。
特許文献7では、応力発光体を含む印刷インキにより印刷された偽造防止用紙が提案されている。前記特許文献は目視で簡易的に真贋判定できる利便性を有した新規の偽造防止技術である。
特開2000−73298号公報 特開2005-15963号公報 特表2006-528369号公報 特開平6-313298号公報 特開平7−243193号公報 特開2010−65336号公報 特許第5182142号公報
本発明は、偽造防止用の新たな材料を提供することを課題とする。特に本発明は、ブラックライト、磁気検出装置等の特別な器具を使わない簡易的な真贋判定を可能とする偽造防止用材料を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題について鋭意研究した結果、応力発光機能を有する基材を小片化することで本発明の完成に至った。また、後述する他の機能を付与することで高い偽造防止効果を得ることができ、さらには当該細片を紙に抄きこむことで、今までに無い効果を有する偽造防止用紙を得ることができた。
本発明の第一の態様は、基材の少なくとも一部に、応力発光機能を有する細片である。
前記細片は、少なくとも1種の応力発光材料の微粒子およびバインダー高分子を含むことが好ましい。
前記バインダー高分子は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ナイロン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール、フッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記バインダー高分子は、ポリウレタン樹脂および/またはポリエステル樹脂であることが好ましい。
前記ポリウレタン樹脂は、ポリエステル系ポリウレタンであることが好ましい。
前記細片は、可逆的に発光することが好ましい。
前記基材は、紙、布、フィルム、金属であることが好ましい。
前記基材は、透明多層膜であることが好ましい。
前記細片は、少なくとも一部に真珠光沢を有することが好ましい。
前記基材に紫外線吸収層を設けることが好ましい。
前記細片は、2種類以上の波長で発光することが好ましい。
本発明の第二の態様は、前記細片を少なくとも一部に有する偽造防止用紙である。
前記偽造防止用紙は、発光の波長が異なる2種類以上の細片が用いられていることが好ましい。
本発明の第一の態様の細片は、外力により自ら発光する応力発光機能を備えているので、ブラックライト、磁気検出装置等の特別な器具を使わない簡易な真贋判定を可能とし、また、高い偽造防止効果を提供することができる。
本発明の第二の態様の偽造防止用紙は、ブラックライト、磁気検出装置等の特別な器具を使わない簡易な真贋判定を可能とし、また、高い偽造防止効果を提供することができる。
本発明の細片および偽造防止用紙は以下に記載する効果を奏するため、紙幣、商品券、パスポート、株券、身分証明書、カード、入場券、株券、小切手等の偽造防止対策として好ましく使用することができる。
(1)爪で引っ掻く、指で折り曲げる等により細片に外力を与えることで生じる発光を目視で確認することで、容易に真贋判定が可能となる。
(2)真珠光沢を有する細片は、可視光下で見る角度により色相が連続して変化するカラーシフト効果を有しており、目視により更に容易に真贋判定することができる。
(3)上記(1)と(2)の効果を同時に発揮することが可能であり、その効果の確認には特別な器具を要しないため、特に容易に真贋判定が可能である。
本発明の第一の態様は、基材の少なくとも一部に、応力発光機能を備える。応力発光機能は、基材の両面に備えられていても、片面に備えられてもよい。また、側面に備えられていてもよい。それらの面の全体的に備えられていてもよく、部分的に備えられていてもよい。また、基材の表面でなく基材中に混練等の手法で含まれていてもよい。
応力発光機能を発現する材料としては、応力発光材料が用いられる。用語「応力発光材料」は、外部から加えられた力によって発光する材料であり、「応力発光性材料」または「応力発光性物質」と同義である。すなわち、応力発光材料は、外部から加えられた力を受けて材料自体が発光するという性質を有し、かつその力に比例して発光強度が変化する。
応力発光機能は、可逆的な発光であることが好ましい。いったん発光した場合でも、繰り返し使用することができ実用的であるからである。
本発明の細片は、少なくとも1種の応力発光材料の微粒子、並びに、バインダー高分子を含むことが好ましい。応力発光材料の微粒子およびバインダー高分子を、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ガソリン等の石油系溶剤等の有機溶媒またはアルコール、水などの溶媒に溶解・分散し、得られた塗料を、後述する基材上に塗布し、その後、溶媒を乾燥等により除去した後、小片化する方法によって製造することができる。
応力発光機能を発現する応力発光材料としては、無機蓄光材料と同様に、例えば、ユーロピウム添加アルミン酸ストロンチウムなどの基本構造式を有するが、この無機蓄光材料と異なる点はSrへの格子欠陥の与え方など構造を高度に制御した無機結晶骨格の中に発光中心となる元素を添加することにより発光強度の高い応力発光現象が発現されるというものである。応力発光材料としては、例えば、発光中心の元素としてユーロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl:Eu、緑色に発光)、発光中心としてスズを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl:Sn、青色に発光)、発光中心としてマンガンを添加した硫化亜鉛(ZnS:Mn、黄緑色に発光)、特開2004−43656号公報に開示されているウルツ鉱型構造とせん亜鉛鉱型構造との共存構造を有する複合半導体結晶、特開2004−059746号公報に開示されているストロンチウムおよびアルミニウム含有複合金属酸化物、特開2006−124725号公報に開示されているバリウムの複合酸化物等などが挙げられる。特に、10〜200nm程度の粒子径である、いわゆるナノ粒子の形状であることが好ましい。また、可視光領域の中で特に人間の視感度が高い400〜600nmの領域で発光するSrAl:EuやSrAl:Sn等を用いると肉眼でも確認しやすいので好ましい。
本発明では、前記応力発光材料を単独で用いることもできるが、異なる2種類以上の応力発光材料を用いると、発光の色や強度等が複雑となり、偽造防止効果が高まるので好ましい。
前記バインダー高分子としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ナイロン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール、フッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
応力発光材料およびバインダー高分子を含む前記塗料は公知の塗工技術を用いて基材へ塗布し、応力発光層を形成することができる。公知の塗工技術としては、例えば、ロッドコーター、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、ゲートロールコーター等の塗工方法および各種印刷技術が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の細片において、応力発光材料の微粒子:バインダー高分子の配合重量比は特に限定されるものではないが、1:100〜3:1が好ましく、1:50〜3:1がより好ましく1:20〜3:1が更により好ましく、1:2〜3:1が更により好ましい。
本発明の細片は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ナイロン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール、フッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のバインダー高分子を含むので、応力発光材料に外力を効率的に伝達することができ、鮮やかな応力発光を実現することができる。
バインダー高分子としては、ポリウレタン樹脂および/またはポリエステル樹脂が好ましく、熱可塑性ポリウレタン樹脂が好ましく、ポリエステル系ポリウレタンが特に好ましい。
ポリウレタン樹脂、特に熱可塑性ポリウレタン樹脂は、例えば、ジイソシアネート等のポリイソシアネートとジオール等のポリオールと必要により鎖伸長剤との反応により得ることができる。
ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロアルキルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネート;フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等が例示できる。ジイソシアネートとして、アルキル基(例えば、メチル基)が主鎖または環に置換した化合物を使用してもよい。ジイソシアネートは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
ジオールとしては、ポリエステルジオール[脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸等のC4−12脂肪族ジカルボン酸等)、脂肪族ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等のC2−12脂肪族ジオール等)、ラクトン成分(ε−カプロラクトン等のC4−12ラクトン等)等から得られるポリエステルジオール(脂肪族ポリエステルジオール)、例えば、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−ヘキシレンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン等]、ポリエーテルジオール[脂肪族ポリエーテルジオール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(オキシトリメチレン)グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等のポリ(オキシC2−4アルキレン)グリコール、これらのポリ(オキシアルキレン)グリコールのブロック共重合体(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等);芳香族ポリエーテルジオール、例えば、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体等の芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加体(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のC2−4アルキレンオキサイド付加体等)等];ポリエステルエーテルジオール(ジオール成分の一部として上記ポリエーテルジオールを用いたポリエステルジオール);ポリカーボネートジオール等が利用できる。これらのジオールは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのジオールのうち、ポリエステルジオールや、ポリエーテルジオール(ポリテトラメチレンエーテルグリコール等)(例えば、ポリエステルジオール)を用いる場合が多い。ポリエステルジオールが好ましい。
鎖伸長剤としては、グリコール類[短鎖グリコール類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のC2−10アルカンジオール;ビスヒドロキシエトキシベンゼン(BHEB)等]の他、ジアミン類[エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC2−10アルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン類;イソホロンジアミン等の脂環族ジアミン;フェニレンジアミン、キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン類等]も使用できる。鎖伸長剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性ポリウレタン系樹脂のうち、特に、ジオール[ポリエステル単位やポリエーテル単位を有するジオール(前記ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール)等]と、ジイソシアネートと、鎖伸長剤としてのグリコール類(短鎖グリコール類等)とを用いて得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましい。この熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、グリコール類とジイソシアネートとのポリウレタンで構成されたハードセグメント(ハードブロック)と、ポリエーテルジオール[ポリ(オキシエチレン)グリコール等の脂肪族ポリエーテルジオール等]、ポリエステルジオール(脂肪族ポリエステルジオールなど)等で構成されたソフトセグメント(ソフトブロック)とを含んでいる。ポリウレタンエラストマーには、ソフトセグメントの種類に応じて、例えば、ポリエステルウレタンエラストマー、ポリエステルエーテルウレタンエラストマー、ポリエーテルウレタンエラストマー、ポリカーボネートウレタンエラストマー等が含まれる。ポリウレタンエラストマーのうち、ポリエステルウレタンエラストマー、ポリエステルエーテルウレタンエラストマー、ポリエーテルウレタンエラストマー等が好ましい。なお、前記ポリエーテル(ポリオキシアルキレングリコール)の分子量(または重量平均分子量)は、例えば、100〜10,000程度の範囲から選択でき、好ましくは300〜6,000(例えば、300〜5,000)、さらに好ましくは500〜4,000(例えば、500〜3,000)程度であってもよい。
ポリウレタン樹脂としては、一液型または二液型が挙げられるが、二液型が好ましい。二液型としては、例えば、「サンプレンIB」(三洋化成工業(株)製)、「オレスターQ」(三井化学(株)製)、「クリスボン」(DIC(株)製)、「ニッポラン」(日本ポリウレタン工業(株)製)等を「コロネートHL」(日本ポリウレタン工業(株)製)、「スミジュールN」(住化バイエルウレタン(株)製)の脂肪族多官能イソシアネートからなる硬化剤で硬化させたものを好適に使用することができる。
ポリエステル樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂の他に、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等の熱可塑性樹脂、或いは、(ポリ)ウレタン変性ポリエステル樹脂のような変性ポリエステル樹脂を挙げることができる。
熱可塑性ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を使用する場合は、そのガラス転移温度は100℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、20℃以下が更により好ましく、0℃以下が更により好ましく、−10℃以下が更により好ましく、−30℃以下が更により好ましい。
前記バインダー高分子の「伸び」は60%以上が好ましく、100%以上がより好ましく、150%以上が更により好ましく、200%以上が更により好ましく、400%以上900%以下が更により好ましい。
前記バインダー高分子の引張強さは20MPa以上が好ましく、30MPa以上がより好ましく、40MPa以上が更により好ましく、50MPa以上が更により好ましい。
本発明の細片で用いられる基材の材質は特に限定されるものではなく、無機系または有機系の各種の材料を単独で、或いは、複数種類組み合わせて使用することができる。無機系材料としては、例えば、耐熱性ガラス等の透明若しくは半透明ガラス、インジウムスズ酸化物(ITO)等の金属酸化物、金属、粘土、セラミックス、炭素等が挙げられる。また、有機系材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ボリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、および、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。耐熱性の点では無機系材料が好ましく、柔軟性の点では有機系材料が好ましい。セルロースおよびその誘導体も好適に使用できる。
前記基材は、その一部または全部が繊維から構成されていてもよい。繊維としては、公知の繊維が使用でき、既述した各種の無機系または有機系材料からなる繊維を使用することもできる。例えば、木材パルプ、木綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の無機繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等の再生繊維、各種樹脂繊維等を使用することができる。
以上のように、本発明で用いる基材は、紙、合成紙、不織布、フィルム、金属等が用いられる。特に、後述する偽造防止用紙の製造において細片を抄き込む場合、基材として紙を用いると、細片が用紙と高い接着力を示すので好ましい。一方で、基材として不織布やフィルムを用いた場合は、厚みの薄いものを採用できる点で好ましい。
基材として紙を採用する場合は、製紙用として一般的に用いられている木材パルプを主体にして、これに必要に応じて非木材パルプやカチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ、ミクロフィブリル化パルプ、レーヨン、ビニロン、ナイロン、アクリル、ポリエステル等の再生繊維、半合成繊維、合成繊維を適宜混合し、これに填料、紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、消泡剤、染料、顔料等の一般的な製紙用薬品を適宜添加して抄紙したものを用いることができる。特に細片を製造する際の外力を与えることにより発光する材料や真珠顔料等の塗料の塗工適性や耐水性を考慮して、サイズ度や湿潤紙力強度が大きいことが好ましい。基材に用いる合成紙としては、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレンープロピレン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド等を原材料とし、延伸法により製造した物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。基材に用いる不織布としては、例えばレーヨン、ビニロン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、綿、パルプ、麻、羊毛、ガラス繊維等の材料を使用して乾式、湿式、直接式で製造したものが挙げられるが、これらに限定されない。基材に用いるフィルムとしては例えば、PET、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等のフィルムが用いられるが、これらに限定されるものではない。なお、基材としては、各塗料を塗工する際に必要な強度や剛度が必要であり、紙や合成の場合は20〜50g/m程度のものが好ましい。フィルムや不織布の場合は、6〜45g/m程度のものが好ましい。
基材には必要に応じて種々の処理を施しておいてもよい。例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー塗工処理、エンボス処理、透明着色層の設置等を適宜行うことができる。
なお、基材にも応力発光材料が含まれてもよい。この場合は基材を構成する材料中に応力発光材料を混合・混練し、従来公知の方法により、例えば、フィルム、不織布又は紙の形態とすることが好ましい。
基材へ設ける応力発光層の塗工量としては、塗料の成分にもよるが、0.5〜40g/mが好ましく、2〜19g/mがより好ましい。0.5g/m未満だと発光が弱いため変化を確認することが困難であり、40g/mを越えて塗工して発光の強さが増加しないため無駄である。
基材は、本発明の性能に影響を及ぼさない程度に着色されていてもよい。当該着色された基材からなる細片を後述する偽造防止用紙に適用した場合、細片の存在する箇所を見つけやすく、その結果真贋判定が容易となる。基材を着色する方法は特に限定はなく、既存の染料や着色顔料を用いることができる。ただし、基材を濃色に着色した場合、偽造防止用紙の印刷情報や金額情報等と位置が重複することで必要な情報が判別できなくなる恐れがあるため好ましくない。
本発明では、応力発光機能を設けた基材を小片化することで細片が得られる。細片は、目的に応じた形状、長さ、面積になるように小片化すればよい。形状としては、例えば、円、楕円、正方形、長方形、ひし形、三角形、星型、三日月形、多角形など任意の形状が選択可能である。小片化の方法としては、特に指定は無いが、シュレッダーを使用する方法、前記形状の歯形を使用して打ち抜く方法、またはマイクロスリッターで基材を細長く切ってそれをさらに細かく切断する方法等が採用できる。細片の大きさの目安は、長さとして0.2〜10mm程度がよいが、発光を容易に判別するためには細片は大きい方がよい。
また本発明では、基材または塗工層として、真珠光沢顔料を含むものが好ましい。このような基材を用いると、反射光下におけるカラーシフト効果と外力による発光の効果の両方を組み合わせる事ができ、その複雑な変化を偽造するのが困難となる。カラーシフト効果とは、対象物との視野角を変化させていくと、反射光が徐々にシフトすることで色が変化するこという。たとえば、透明多層膜を使用すると、より高い偽造防止効果を得ることができる。
前記の真珠光沢を内包する基材としては、例えば天然パールエッセンスや雲母粉末、塩基性炭酸塩、酸化チタンコート雲母粉末、金属酸化物被覆雲母粉末、ベンガラ被覆雲母粉末等を内添した紙が利用できる。または、特開平5−222700公報で紹介されているような基紙に真珠顔料をスプレー装置により散布した真珠光沢紙が挙げられる。これらのような真珠顔料の製造方法は特に限定されるものではなく、従来から既知の製造方法(例えば、特公昭53−47375号、特公昭54−34010号、特開昭58−149959号等の公報に記載されている方法)で得られたものが使用できる。これ以外にも、真珠光沢を内包する基材としては、真珠顔料を樹脂に練りこんでフィルム化したもの等が挙げられる。
また、前記の透明多層膜とは、2種類以上の屈折率の異なるポリマーを複数積層させたものであり、光干渉現象により真珠光沢を呈するフィルムである。例えば、高屈折率と低屈折率のポリマーを繰り返し100層以上積層させたものを用いることができる。真珠光沢は、正反射光で見ると虹彩色に輝いて見えるという特徴があるため、カラーコピーやデジタルスキャナーで読み込んでプリンターで出力するなどの複写方法では再現できない事が知られている。そのため、透明多層膜を用いることにより、カラーシフト効果のみならずこのような複写防止効果をも付与することができる。さらには、真珠光沢を有する透明多層膜のフィルム上に設けられた着色塗工層を、フィルムを介して見ることで、フィルム本来の色相が混合された新たな色相が生み出される。そして、既述のように本発明では更に発光により着色塗工層の色相も変化するため、そのカラーシフト効果は非常に複雑なものとなり、その結果、高度な偽造防止効果が得られる。
また本発明においては、真珠光沢を有する塗工層を基材上に設けることでもカラーシフト効果を発揮するため、前記の真珠光沢紙や透明多層膜を使用したときと同様の偽造防止効果を得ることができる。前述の真珠光沢を有する透明多層膜を用いた場合、その色相は各層の厚さおよび総厚により変化するため、小ロットでの生産はコスト面での懸念があるが、真珠光沢を有する塗工層を設ける方法では、顔料を変える事でフィルムの生産に比べ低いコストで多岐にわたるバリエーションを増やせるという利点もある。
真珠光沢を有する塗工層に用いることのできる顔料としては、天然パールエッセンスや雲母粉末、塩基性炭酸塩、酸化チタンコート雲母粉末、金属酸化物被覆雲母粉末、ベンガラ被覆雲母粉末等が挙げられる。このような真珠顔料の製造方法は特に限定されるものではなく、従来から既知の製造方法(例えば、特公昭53−47375号、特公昭54−34010号、特開昭58−149959号等の公報に記載されている方法)で得られたものが使用できる。当該真珠顔料は接着剤と混合して基材に塗工される。接着剤としては、真珠顔料を基材に固着可能にするものであれば特に限定はないが、例えば超微細なフィラーにより複合化されたバインダー粒子の水性分散液が使用できる。超微細なフィラーとしてはコロイダルシリカ、アルミナゾル等が使用でき、バインダーとしてはアクリル系重合体エマルジョン、シラン基付加オレフィン系重合体エマルジョン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン等が使用できる。真珠光沢を有する塗工層は、前述したような公知の塗工技術を用いて設けることができ、その塗工量は本発明の性能を損なわない程度が好ましく、0.5〜12g/m程度がよい。0.5g/m未満では真珠光沢の効果を得られにくく、また12g/mを超えて塗工した場合には、相応の効果が得られないため無駄である。ただし、応力発光機能を有する基材上に真珠光沢を有する塗工層を設ける際には、本発明の発光効果に影響を与えないように注意する必要がある。例えば、応力発光機能を有する基材上に真珠光沢を有する塗工層を設ける場合は、その塗布量を必要に応じて調整すべきであり、塗工量としては例えば0.5〜5g/m程度がよい。
本発明では、基材に紫外線吸収能を持った樹脂層を設ける事ができる。これを設けることにより、応力発光材料の耐光性を向上させることができるため、長期間にわたり流通あるいは保管されるような使用方法をする場合にも好適に使用することができる。当該紫外線吸収能を持った樹脂層は応力発光材料の光劣化を防ぐ目的で設けるため、応力発光層よりも光が当たる側に当該紫外線吸収層が存在するように使用するとよい。例えば光が当たる側から、紫外線吸収層、応力発光層、基材の順になるように使用する。あるいは、紫外線吸収層、基材、応力発光層の順でもよく、基材、紫外線吸収層、応力発光層の順でもよい。ただし、該基材を細片化して紙に抄き込む場合に、基材の一方の面のみを光が当たる側へと抄き込むことが困難なので、両面の最外層に紫外線吸収層を設けることが好ましい。
紫外線吸収能を持った樹脂層に用いられる樹脂は、公知のものを用いることができる。特に、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の透明樹脂が好ましく用いられる。その理由は、紫外線吸収層がその機能上応力発光層よりも光が当たる側に配置されているためである。よって、酸化チタンのような紫外線吸収能と同時に不透明性も付与するようなものを用いると、発光効果の視認性を妨げる可能性があるため好ましくない。紫外線吸収層は本発明の性能を阻害しない程度に設けるべきであるため、その塗工量は0.4〜3.0g/mとする。塗工方法は前述の公知技術を用いるとよい。
本発明において、前記基材は異なる2種類以上の応力発光材料を含むことが好ましい。これにより、各応力発光材料の効果を合わせることができるため、複雑な発光変化が得られる。当該2種類以上の応力発光の機能は基材の片面に設けてもよい。例えば、基材の片面において、2種類以上の応力発光層が任意の模様を形成するように設けるとよい。これにより、色の異なる発光が視認できるという効果等が得られる。具体的には、応力発光機能を有する細片に圧力を加えた際に異なった波長を示す2種類以上の発光をストライプを形成するように基材上に配することで、通常では同一色に見えるが圧を加えることによって初めてストライプの模様を確認する事ができるようになる。このように、単に発光が変化するだけでなく、模様の種類によりさまざまな意匠性を与える事ができるようになる。そのため、用途や使用者に応じて個性のある特徴を与える事ができるようになるので、実用性に優れ、且つ偽造防止効果の高い細片を得ることができる。このような任意の模様を形成する場合は、印刷機を用いることが好ましい。
あるいは、基材の表裏に異なる応力発光層を1種類以上ずつ設けてもよい。当該層を設けた基材を細片化して紙に抄き込む場合に、基材の一方の面のみを人間が視認できる側になるように抄き込むことが困難なので、基材の表裏に異なる応力発光層を設けて紙に抄き込むことで、いずれの面も人間が視認可能となり、偽造防止効果としても好ましい。
前記基材上には、ホログラムパターン層、磁気情報を記録した磁気層、微小な文字を形成した金属蒸着層またはインク層、等の様々な機能層を用途に応じて形成することができる。これらの機能層によって、前記細片は偽造防止機能を発揮することができる。
前記基材上に金属蒸着層からなるマイクロ文字やマイクロ画像を形成する場合には、パスター加工法が好ましく使用できる。パスター加工法そのものはよく知られた方法であり、例えば金属アルミニウムを真空蒸着したポリエステルフィルムの蒸着面に、耐アルカリ性を有するインキで文字や画像を印刷し、次いで水酸化ナトリウム水溶液にフィルムを浸漬して印刷部分以外の露出しているアルミニウム蒸着層を溶解し、次いでフィルムを水洗して水酸化アルミニウムを除去してから乾燥する方法が代表的な例である(特開昭63−216795号公報等を参照)。こうすることで、印刷部分と、印刷部分に同調した下層の金属蒸着部分はフィルム上にそのまま残り、それ以外の部分ではフィルムが露出する。
本発明の第二の形態は、本発明の第一の形態である細片を少なくとも一部に有する偽造防止用紙である。当該細片を偽造防止用紙に付与するためには、細片と該用紙とが接着する必要がある。そのためには、細片の基材に設けられた応力発光層と反対側の面および/または応力発光層の上に接着剤層を設けることが好ましい。接着剤層としては、冷水には不要であるが熱水に可溶な接着剤を用いることが好ましい。これは、抄紙機のウェットパートで溶解すると応力発光層が溶出する恐れがあるので冷水に不溶であり、また、乾燥工程の熱で膨潤または溶解して用紙と接着する性質を有することで接着が用意となるからである。そのような性質を持つものとしては水溶性バインダーが好ましく、例えば澱粉系、メチルセルロース系、カルボキシル化セルロース系、ヒドロキシエチルセルロース系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルピロリドン系、ビニルエチルエーテル−無水マレイン酸共重合体系、ポリアクリル酸系、ポリエチレンオキサイド系等のうち、冷水には不溶で熱水で溶解するものを使用するとよい。この接着剤層はエアナイフコーターやロールコーター等の公知の塗工機を用いて、片面あたり2〜10g/mの塗工量を設ける。この接着剤層は基材の片面に設ければよいが、細片が用紙から脱落するのを防ぐためにも基材の両面に設けておくと効果的である。当該接着剤層を設ける場合、細片に直接設けてもよいが、小片化する前の基材に設ける方が作業の効率がよい。
細片を紙中に付与する方法としては公知の手法が採用される。例えば、細片を水に懸濁させて紙料に添加し、これを一般の抄紙工程で抄紙してもよい。しかしながら、細片が紙の内部ではなく紙の表面近くに広く偏在するように抄き込む方が効率的かつ実用的である。細片を表面近くに広く偏在させる方法としては、例えば、特開平7−145600で提案されている装置を用いて長網抄紙機上の紙匹に細片を均一に振りかける方法や、特開平7−207599で提案されているように多層抄き紙の最外層に細片を含ませる方法が挙げられる。
本発明において、細片を付与する紙の原料には特に限定はなく、例えば木材パルプや麻、綿、藁等の非木材パルプ等を適宜配合して叩解し、これに必要に応じて合成繊維、半合成繊維、無機繊維等を混合したものが使用できる。これに填料、紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、消泡剤、染料、顔料等といった一般的に使用される製紙用薬品を適宜添加し、紙料を調製する。叩解度は150〜580mlC.S.F.程度で抄紙するとよい。抄紙方法は一般的な抄紙機を用いればよく、坪量は使用目的にもよるが30〜160g/m程度がよい。
本発明では、2種類以上の細片を用いた偽造防止用紙としてもよい。その際、本発明の細片が少なくとも1種類含まれる。異なる2種類以上の細片を抄き込んだり、異なる応力発光強度を有する2種類以上の細片を抄き込んだり、異なる応力発光の波長を示す2種類以上の細片を抄き込んだりすることで、複数の偽造防止効果が発現するので、偽造がさらに困難となる。
本発明の第一の形態である細片を得る際に用いられる前記塗料は、好ましくは基材の両面に設けることが好ましい。一般に、細片を偽造防止用紙に付与した場合、該用紙の表面において細片のいずれの面が露出するかが予測できないため、基材の両面に応力発光層を設けた細片を使用することが効率的である。
[実施例1]
針葉樹晒クラフトパルプ40質量部、広葉樹晒クラフトパルプ60質量部を380mlC.S.F.に叩解し、これに紙力増強剤(商品名「ポリストロン117」、荒川化学工業(株)製)0.4質量部、サイズ剤(商品名「サイズパインG−F」、荒川化学工業(株)製)1.0質量部、硫酸バンド2.0質量部を加えて紙料を調製し、長網抄紙機を使用して坪量35g/mの基材(基紙)を抄造した。この基紙の両面に応力発光材料を含む塗工層として、発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl :Eu)の粉体をポリビニルアルコール(商品名「クラレポバール117」、クラレ(株)製)とともに水に分散させ、エアナイフコーターで基紙のそれぞれの面に8g/m塗工した。さらに基紙の両面に接着剤層として、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバール117」、クラレ(株)製)の5質量部%水溶液を、エアナイフコーターで片面当たり2g/m塗工した。これを打ち抜き機で5mm×6mmの長方形に打ち抜き、細片を得た。
このようにして得られた細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に鮮明な発光が細片の両面で確認された。
[実施例2]
応力発光材料を含む塗工層として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl :Eu)の粉体をポリエステル樹脂(商品名「バイロン、東洋紡(株)製」とともにトルエンに分散させて塗料を調製した。この塗料を実施例1の基紙の両面にグラビアコーターで片面当たり8g/m塗工した。さらに基紙の両面に接着剤層として、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバール117」、クラレ(株)製)の5質量部%水溶液を、エアナイフコーターで片面当たり2g/m塗工した。これを打ち抜き機で5mm×6mmの長方形に打ち抜き、細片を得た。
このようにして得られた細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に鮮明な発光が細片の両面で確認された。
[実施例3]
応力発光材料を含む塗工層として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl :Eu)の粉体をポリウレタン樹脂(商品名「サンプレンIB」三洋化成工業(株)製)及びイソシアネート系硬化剤(商品名「コロネート」日本ポリウレタン工業(株)製)と共にトルエンに分散させて塗料を調製した。この塗料を実施例1の基紙の両面にグラビアコーターで片面当たり8g/m塗工した。さらに基紙の両面に接着剤層として、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバール117」、クラレ(株)製)の5質量部%水溶液を、エアナイフコーターで片面当たり2g/m塗工した。これを打ち抜き機で5mm×6mmの長方形に打ち抜き、細片を得た。
このようにして得られた細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に鮮明な発光が細片の両面で確認された。
[実施例4]
応力発光材料を含む塗工層として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl :Eu)の粉体をポリウレタン樹脂(商品名「サンプレンIB」三洋化成工業(株)製)及びイソシアネート系硬化剤(商品名「コロネート」日本ポリウレタン工業(株)製)と共にトルエンに分散させて塗料を調製した。基材として厚さ16μmの透明PETフィルム(商品名「ルミラー16S28」、東レ(株)製)を用意し、前記塗料を基材の片面にグラビアコーターで8g/m塗工した。さらに基紙の両面に接着剤層として、エチレン−酢酸ビニル系感熱接着剤を5μmの厚みで塗工した。これを打ち抜き機で5mm×6mmの長方形に打ち抜き、細片を得た。
このようにして得られた細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に鮮明な発光が確認された。特に、基材として透明フィルムを用いることで、片面のみに応力発光層を塗工していても、細片の両面で発光が確認できるので、実質的に応力発光材料の量を削減することが判った。
[実施例5]
ウレタン樹脂バインダー(商品名「ラミックF220」、大日精化工業(株)製)を固形分15%になるように希釈した。この溶液に真珠顔料(商品名「イリオジン225」、メルク(株)製)を総固形分が25%になるように添加、分散した塗料を作成した。この塗料を厚さ16μmの透明PETフィルム(商品名「ルミラー16S28」、東レ(株)製)の片面にグラビアコーターにて10g/m塗工して真珠光沢層を有するフィルムを作成した。これを基材とする。
応力発光材料を含む塗工層として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl :Eu)の粉体をポリウレタン樹脂(商品名「サンプレンIB」三洋化成工業(株)製)及びイソシアネート系硬化剤(商品名「コロネート」日本ポリウレタン工業(株)製)と共にトルエンに分散させて塗料を調製した。この塗料を前記基材の片面にグラビアコーターで8g/m塗工した。さらに、この両面に接着剤層として、エチレン−酢酸ビニル系感熱接着剤を5μmの厚みで塗工した。これを打ち抜き機で5mm×6mmの長方形に打ち抜き、細片を得た。
このようにして得られた細片は、青色の真珠光沢が見えた。さらに、この細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に鮮明な発光が細片の両面で確認された。
[実施例6]
応力発光材料を含む塗工層として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl :Eu)の粉体をポリウレタン樹脂(商品名「サンプレンIB」三洋化成工業(株)製)及びイソシアネート系硬化剤(商品名「コロネート」日本ポリウレタン工業(株)製)と共にトルエンに分散させて塗料を調製した。基材として、厚さ16μmの透明多層膜(商品名「MLF16.5」、帝人デュポンフィルム(株)製)を用意し、この片面に前記塗料をグラビアコーターで8g/m塗工した。さらに基材の両面に接着剤層として、エチレン−酢酸ビニル系感熱接着剤を5μmの厚みで塗工した。これを打ち抜き機で5mm×6mmの長方形に打ち抜き、細片を得た。
このようにして得られた細片は、角度によって緑から赤に変化するカラーシフト効果が見えた。さらに、この細片を爪で外力を加えたところ、前記カラーシフト効果に加えて、外力の加圧箇所に鮮明な発光が細片の両面で確認された。
[実施例7]
応力発光材料として発光中心としてスズを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl:Sn)の粉体を用いた以外は実施例1と同様にして、細片を得た。このようにして得られた細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に鮮明な発光が細片の両面で確認された。
このようにして得られた細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に鮮明な発光が細片の両面で確認された。
[実施例8]
応力発光材料として発光中心としてユーロピウムを添加したアルミン酸バリウム(BaAl:Eu)の粉体を用いた以外は実施例1と同様にして、細片を得た。このようにして得られた細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に鮮明な発光が細片の両面で確認された。
このようにして得られた細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に鮮明な発光が細片の両面で確認された。
[実施例9]
実施例4で得られた細片の打ち抜き前に、応力発光層の上から、紫外線吸収性能を有した樹脂(商品名「ULS−1935」、一方社油脂工業(株)製)をグラビアコーターで1g/m塗工した後、打ち抜き機で5mm×6mmの長方形に打ち抜いて、細片を得た。
このようにして得られた細片を共に耐光性試験機(ATLAS Ci4000、東洋精機(株)製)に供し、連続的に紫外線を照射した(波長340nm、ブラックパネル温度65℃、槽内温度25℃、相対湿度50%、照度0.50W/m)。6時間の紫外線照射後も細片に変化はなく、応力発光機能も失われていなかった。
参考例1
応力発光材料を含む塗工層として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl :Eu)の粉体をアクリル樹脂とともにトルエンに分散させて塗料を調製した。この塗料を実施例1の基紙の両面にグラビアコーターで片面当たり8g/m塗工した。さらに基紙の両面に接着剤層として、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバール117」、クラレ(株)製)の5質量部%水溶液を、エアナイフコーターで片面当たり2g/m塗工した。これを打ち抜き機で5mm×6mmの長方形に打ち抜き、細片を得た。
このようにして得られた細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に発光が細片の両面で確認された。ただし、実施例1〜9の細片よりも発光が微弱であった。
参考例2
応力発光材料を含む塗工層として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl :Eu)の粉体をポリスチレン樹脂とともにトルエンに分散させて塗料を調製した。この塗料を実施例1の基紙の両面にグラビアコーターで片面当たり8g/m塗工した。さらに基紙の両面に接着剤層として、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバール117」、クラレ(株)製)の5質量部%水溶液を、エアナイフコーターで片面当たり2g/m塗工した。これを打ち抜き機で5mm×6mmの長方形に打ち抜き、細片を得た。
このようにして得られた細片を爪で外力を加えたところ、外力の加圧箇所に発光が細片の両面で確認された。ただし、実施例1〜9の細片よりも発光が微弱であった。
[実施例10
<紙料の調整>
NBKP20質量部、LBKP80質量部を350mlC.S.F.に叩解し、これに白土10質量部、紙力増強剤(商品名「ポリストロン117」、荒川化学工業(株)製)0.4質量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE50」、荒川化学工業(株)製)1.0質量部、さらに硫酸バンドを2.0質量部加え、紙料を調製した。
<偽造防止用紙の抄造>
長網抄紙機を使用して坪量110g/mの基紙を抄造時に実施例1〜9の各細片を抄紙網上の紙層形成前の湿紙に対し、特開平7−145600記載の装置を使用して均一に振りかけた。細片の分散密度は用紙100cm当たり30〜40個となるように装置を調整した。後は常法に従い乾燥を行い、偽造防止用紙を得た。得られた各偽造防止用紙の細片は、抄紙工程における熱やこすれ等により応力発光機能は失われることはなく、実施例1〜9の各細片と同様の発光性能が確認された。
[実施例11
実施例1および実施例7の細片を同量混合し、用紙100cm当たり30〜40個となるように調整した以外は実施例10と同様にして偽造防止用紙を作成した。得られた偽造防止用紙は実施例10と同様に応力発光機能が認められた。特に、各細片に含まれる応力発光材料由来の色である緑色と青色の2色が発光時に確認された。

本発明の細片を用いた偽造防止用紙は、容易に偽造を判断できるという特徴を利用して、各種チケット、紙幣、小切手、株券、債券、商品券、入場券、カード、機密文書、パスポート、身分証明書等の偽造防止効果を要求される用途に好適に使用できる。

Claims (11)

  1. 基材、
    並びに、
    少なくとも1種の応力発光材料の微粒子、及び、
    ポリビニルアルコール、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のバインダー高分子を含む応力発光層
    を備えており、
    基材の少なくとも一部に、応力発光機能を有する細片。
  2. 前記バインダー高分子がポリウレタン樹脂および/ またはポリエステル樹脂である、請求項記載の細片。
  3. 前記ポリウレタン樹脂がポリエステル系ポリウレタンである、請求項記載の細片。
  4. 可逆的に発光することを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の細片。
  5. 基材が紙、布、フィルム、金属であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の細片。
  6. 基材が透明多層膜である、請求項1乃至のいずれかに記載の細片。
  7. 少なくとも一部に真珠光沢を有する、請求項1乃至のいずれかに記載の細片。
  8. 基材に紫外線吸収層を設けた、請求項1乃至のいずれかに記載の細片。
  9. 2種類以上の波長で発光する、請求項1乃至のいずれかに記載の細片。
  10. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の細片が用いられている偽造防止用紙。
  11. 発光の波長が異なる2種類以上の細片が用いられている、請求項10に記載の偽造防止用紙。
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