JP6269010B2 - シリコン基板の加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶性を有するシリコン基板の加工方法に関するものであり、特に液体を噴射する液体噴射ヘッドに用いられるシリコン基板の加工方法に関するものである。
液体噴射ヘッドは、ノズルから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射ヘッドとしては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置に用いられるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置等に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
上記のような液体噴射ヘッドは、液体が貯留された液体貯留源からノズルに至るまでの液体流路内を液体で満たし、その途中に設けられた圧力室の容積を変化させて、ノズルからインク滴を噴射するように構成されている。このような液体噴射ヘッドは、液体流路の一部を構成する流路部を備えた複数の部材(基板)から構成されている。そして、これらの部材としては、エッチングによって微細な形状が形成可能なため、結晶性を有するシリコン基板(シリコン単結晶基板)が用いられている(例えば、特許文献1)。なお、エッチングとしては、比較的安価であり、加工速度も速いことから、ウェットエッチングが好適である。
特開2009−23097号公報
ところで、上記のような液体噴射ヘッドを構成する基板には、当該基板を板厚方向に貫通し、その内部に段差部を形成した流路部を備えたものがある。例えば、図6(c)に示すように、液体噴射ヘッドの液体流路の一部を構成する第1の液体流路部90、及び、第1の液体流路部90と連通する第1の液体流路部90よりも幅が広い第2の液体流路部91を備え、この第1の液体流路部90と第2の液体流路部91との間に段差部92を形成したものがある。従来、シリコンウェハー94(シリコン単結晶基板)をウェットエッチングすることによって、このような形状を形成しようとすると、図6(c)に示すように、段差部92の角部に傾斜面93が形成されていた。
具体的に説明すると、図5(a)に示すように、まずフォトリソグラフィー法によって、表面94aの結晶面方位が(110)面のシリコンウェハー94の表面94a及び裏面94bのうち、第1の液体流路部90に対応する部分以外にシリコン酸化膜95(SiO)をパターニングする。そして、図5(b)に示すように、水酸化カリウム(KOH)水溶液からなるエッチング溶液を用いてシリコンウェハー94を両面からウェットエッチングし、貫通孔96を形成する。次に、図6(a)に示すように、フォトリソグラフィー法によって、表面のうち、第2の液体流路部91に対応する部分(詳しくは段差92に対応する部分)のシリコン酸化膜95(SiO)をパターニングする。その後、図6(b)に示すように、シリコンウェハー94を表面94aからウェットエッチングする。このとき、第2の液体流路部91に対応する部分が表面94aから徐々に削られ、表面94aと平行な(110)面からなる段差92′が形成されると共に、この段差92′の内側の端部に結晶面或いはシリコンの結晶性に起因する面(例えば(111)面)からなる傾斜面93′が形成される。そして、この状態から所定時間エッチング溶液の浸食が進むと、図6(c)に示すように、第2の液体流路部91および段差部92が形成されると共に、傾斜面93の浸食がさらに進行する。このような傾斜面93はエッチング溶液による浸食の速度が比較的速いため、大きくなり易い。すなわち、段差部92に欠損が生じる。このような欠損が生じると、段差部92の強度を十分に確保できなくなるだけでなく、液体噴射ヘッドの組立後において欠損(チッピング)により発生した異物が液体流路内に混入する虞がある。その結果、液体噴射ヘッドの信頼性が低下する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体噴射ヘッドの信頼性の低下を抑制することができるシリコン基板の加工方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体流路内の液体を噴射する液体噴射ヘッドの一部を構成すると共に、前記液体流路の一部を構成する第1の液体流路部及び該第1の液体流路部と連通する当該第1の液体流路部よりも幅が広い第2の液体流路部を備え、第1の液体流路部と第2の液体流路部との間に段差部を形成するシリコン基板の加工方法であって、
シリコンウェハーの(110)面である第1面側から板厚方向の途中までウェットエッチングして前記第1の液体流路部を形成する第1の工程と、
シリコンウェハーの前記第1面とは反対側の第2面側から前記第1の液体流路部と連通する位置までウェットエッチングして前記第2の液体流路部および前記段差部を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする。
上記方法において、形成される前記段差部の板厚が260μm以下であることが望ましい。
この方法によれば、段差部に結晶面からなる傾斜面(第1面に対して傾斜した面)が形成されないため、第1の液体流路部、第2の液体流路部及び段差部を狙い通りの形状に作製することができる。これにより、段差部の強度が低下することを抑制できる。また、チッピングにより液体噴射ヘッドの液体流路内に異物が混入することを抑制できる。その結果、液体噴射ヘッドの信頼性を向上させることができる。
プリンターの構成を説明する斜視図である。 記録ヘッドの断面図である。 第1の工程を説明する模式図である。 第2の工程を説明する模式図である。 従来のシリコンウェハーのウェットエッチングを説明する模式図である。 従来のシリコンウェハーのウェットエッチングを説明する模式図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の説明では、本発明の液体噴射装置として、液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッド)を搭載したインクジェット式プリンター(以下、プリンター)を例に挙げる。
プリンター1の構成について、図1を参照して説明する。プリンター1は、記録紙等の記録媒体2(着弾対象の一種)の表面に対して液体状のインクを噴射して画像等の記録を行う装置である。このプリンター1は、記録ヘッド3、この記録ヘッド3が取り付けられるキャリッジ4、キャリッジ4を主走査方向に移動させるキャリッジ移動機構5、記録媒体2を副走査方向に移送する搬送機構6等を備えている。ここで、上記のインクは、本発明の液体の一種であり、液体供給源としてのインクカートリッジ7に貯留されている。このインクカートリッジ7は、記録ヘッド3に対して着脱可能に装着される。なお、インクカートリッジがプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジからインク供給チューブを通じて記録ヘッドに供給される構成を採用することもできる。
上記のキャリッジ移動機構5はタイミングベルト8を備えている。そして、このタイミングベルト8はDCモーター等のパルスモーター9により駆動される。従ってパルスモーター9が作動すると、キャリッジ4は、プリンター1に架設されたガイドロッド10に案内されて、主走査方向(記録媒体2の幅方向)に往復移動する。キャリッジ4の主走査方向の位置は、位置情報検出手段の一種であるリニアエンコーダー11によって検出される。リニアエンコーダー11は、その検出信号、即ち、エンコーダーパルス(位置情報の一種)をプリンター1の制御部に送信する。
また、キャリッジ4の移動範囲内における記録領域よりも外側であって、一方(図1における右側)の端部領域には、キャリッジ4の走査の基点となるホームポジションが設定されている。このホームポジションには、記録ヘッド3のノズル面(ノズルプレート19)を封止するキャップ12、および、ノズル面を払拭するためのワイパー13等が配置されている。そして、プリンター1は、このホームポジションから反対側の端部へ向けてキャリッジ4が移動する往動時と、反対側の端部からホームポジション側にキャリッジ4が戻る復動時との双方向で記録媒体2上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録を行う。
次に記録ヘッド3について説明する。図2は記録ヘッド3の概略断面図である。なお、図2では、他方のノズル列に対応する主要部分の構成が、図示されたものと左右方向に対称であるため省略されている。本実施形態における記録ヘッド3は、図2に示すように、圧力発生ユニット17および流路ユニット18を備え、これらの部材が積層された状態でケース23に取り付けて構成されている。
ケース23は、合成樹脂等によって形成される箱体状部材である。図2に示すように、このケース23の中心部分にはノズル列方向に沿って長尺な貫通空部34が、ケース23の高さ方向を貫通する状態で形成されている。そして、この貫通空部34には、図示しないフレキシブルケーブルの一端部が収容される。また、ケース23には、インク導入路35が形成されている。このインク導入路35は、その上端が上流側の流路と接続され、下端が流路ユニット18の共通液室29(リザーバー)に接続されている。これによりインクカートリッジ7からのインクは、インク導入路35を介して共通液室29に導入される。
流路ユニット18は、複数のノズル24を直線状(列状)に開設したノズルプレート19(ノズル形成部材の一種)、及び、共通液室29が設けられた連通基板20を有している。本実施形態のノズルプレート19及び連通基板20は、結晶性を有するシリコン基板(シリコン単結晶基板)から作製されている。また、本実施形態の連通基板20の板厚は、約400μmに設定されている。なお、連通基板20の作製方法(加工方法)については後述する。列設された複数のノズル24は、一端側のノズル24から他端側のノズル24までドット形成密度に対応したピッチで等間隔に設けられている。本実施形態では、ノズルプレート19に2列のノズル列が形成されている。
連通基板20の共通液室29は、ノズル列方向に沿って一連に形成された空部であり、2列のノズル列に対応して、2列形成されている。本実施形態の共通液室29は、インク導入路35側に開口する第1の液体流路部38と、この第1の液体流路部38と上端側が連通すると共に、下端側がノズルプレート19側に開口して当該ノズルプレート19に封止される第2の液体流路部39とから構成されている。第2の液体流路部39は、第1の液体流路部38よりも幅(ノズル列に直交する方向の寸法)が広く形成されている。そして、この第2の液体流路部39と第1の液体流路部38との間には、段差部40が形成されている。段差部40は、ケース23側の上面から板厚方向の途中まで薄肉部40′を残すことにより形成されている。また、段差部40の内側(圧力室28側)寄りには、圧力室28と連通する液体導入口30が各圧力室28に対応して複数開設されている。さらに、薄肉部40′に対応する連通基板20の上面には、ケース23のインク導入路35を挟んだ内側(貫通空部34側)の隔壁の下端部及び圧力室形成基板26の圧力室28よりも外側(インク導入路35側)の端部が接合されている。また、連通基板20の内側(中央側)には、圧力室28とノズル24との間を接続するノズル連通路32が形成されている。
圧力発生ユニット17は、圧力室28が形成された圧力室形成基板26(圧力室形成部材の一種)、弾性膜27、圧電素子31、および保護基板21が積層されてユニット化されている。そして、共通液室29から液体導入口30を介して圧力室28にインクを導入し、制御部41からの駆動信号を、フレキシブルケーブルを介して圧電素子31に供給することで、圧電素子31を駆動させて圧力室28に圧力変動を生じさせる。この圧力変動を利用することで、連通基板20に貫通したノズル連通路32を介してノズル24からインク滴を噴射させている。なお、記録ヘッド3内のインクが流れる流路が本発明における液体流路に相当し、本実施形態では、導入路35、共通液室29(第1の液体流路部38及び第2の液体流路部39)、液体導入口30、圧力室28、ノズル連通路32及びノズル24からなるインク流路がこの液体流路に相当する。
次に、連通基板20(本発明におけるシリコン基板に相当)の加工方法、特に第1の液体流路部38及び第2の液体流路部39を形成する方法について説明する。本実施形態の連通基板20は、板厚が約400μmであり、表面42a(又は裏面42b)が(110)面のシリコンウェハー42(シリコン単結晶基板)をウェットエッチング(異方性エッチング)して、複数の連通基板20に対応する流路をそれぞれ形成した後、個々の連通基板20に分断することで作製される。図3は、本発明における第1の工程を説明する模式図であり、図4は、本発明における第2の工程を説明する模式図である。なお、以下の説明では、第1の液体流路部38及び第2の液体流路部39の形成について着目し、ブレイクパターン、液体導入口30及びノズル連通路32等のその他の流路及びパターンの形成については省略している。
まず、第1の工程について説明する。表面42a(本発明における第2面)が(110)面のシリコンウェハー42の両面94a、94bに熱酸化処理等によって、シリコン酸化膜43(SiO、以下、単に酸化膜という。)を形成する。なお、シリコン酸化膜に限らず、エッチングに対するマスクとなるものであればよい。その後、フォトリソグラフィー法によって、裏面42b(本発明における第1面)側の酸化膜43上にレジストパターンを設け、水溶液などのエッチング溶液によって酸化膜43を部分的に除去することで、図3(a)に示すようなエッチングに対するマスクパターンを形成する。本実施形態では、裏面42b側の第1の液体流路部38に対応する部分に、酸化膜43が除去されたパターンが形成される。
酸化膜43によるマスクパターンを形成したならば、例えば、温度78℃、濃度20重量%に調整された水酸化カリウム(KOH)水溶液からなるエッチング溶液を用いて、シリコンウェハー42を裏面42b((110)面)側からウェットエッチングする。これにより、第1の液体流路部38に対応する部分が裏面42bから裏面42bに垂直な方向(板厚方向)に向けて徐々に削られていく。そして、板厚方向の途中の所定位置まで削られたところで、第1の工程におけるウェットエッチングを終了する。本実施形態では、裏面42bから約160μmの深さまで削っている。これにより、第1の液体流路部38が形成される。
次に、第2の工程により第2の液体流路部39および段差部40を作成する。具体的には、まず、第1の工程と同様にフォトリソグラフィー法によって、表面42a側の酸化膜43上にレジストパターンを設け、エッチング溶液によって酸化膜43を部分的に除去する。これにより、図4(a)に示すように、表面42a側の第2の液体流路部39に対応する部分に、酸化膜43が除去されたパターンが形成される。次に、エッチング溶液を用いて、シリコンウェハー42を表面42a((110)面)側からウェットエッチングする。これにより、図4(b)に示すように、第2の液体流路部39に対応する部分が表面42aから表面42aに垂直な方向(板厚方向)に向けて徐々に削られていく。そして、第1の液体流路部38と連通する位置(本実施形態では、表面42aから約240μmの深さ)まで削られたところで、第2の工程におけるウェットエッチングを終了する。これにより、図4(c)に示すように、第2の液体流路部39及び段差部40が形成される。
なお、シリコンウェハー42には、上記の第1の液体流路部38及び第2の液体流路部39の他に、シリコンウェハー42を個々の連通基板20に切断(分断)するためのブレイクパターン(図示せず)や、液体導入口30及びノズル連通路32等がウェットエッチングによって形成されている。これらのブレイクパターン、液体導入口30及びノズル連通路32等は、上記の第1の工程及び第2の工程で、第1の液体流路部38及び第2の液体流路部39と同様に形成することができる。あるいは、第1の工程及び第2の工程の後で、フォトリソグラフィー法によって再度エッチングに対するマスクパターンを形成し、シリコンウェハー42を板厚方向に貫通するようにウェットエッチングすることで形成することができる。そして、ウェットエッチングが終了すると、エキスパンドブレイク等の方法によって、シリコンウェハー42をブレイクパターンに沿って個々の連通基板20に分断する。
このように、本発明における連通基板20の作製方法では、第1の工程によってシリコンウェハー42の裏面42b側から板厚方向の途中までウェットエッチングして第1の液体流路部38を形成した後、第2の工程によってシリコンウェハー42の表面42a側から第1の液体流路部38と連通する位置までウェットエッチングして第2の液体流路部39および段差部40を形成するので、段差部40に結晶面或いはシリコンの結晶性に起因する面(例えば(111)面)からなる傾斜面(表面42aに対して傾斜した面)が形成されない。このため、第1の液体流路部38、第2の液体流路部39及び段差部40を狙い通りの形状に作製することができる。これにより、段差部40の強度が低下することを抑制でき、例えば、連通基板20にケース23や圧力室形成基板26を接合する際に破損することを抑制できる。また、チッピング(欠損)により液体噴射ヘッドの液体流路内に異物が混入することを抑制できる。その結果、液体噴射ヘッドの信頼性を向上させることができる。
しかしながら、上記のような方法で連通基板20を作製する場合、第1の工程及び第2の工程では、板厚方向に貫通しないように、板厚方向の途中までウェットエッチングするため、ウェットエッチング条件の管理が難しくなる。また、第1の工程では、裏面42bに酸化膜43によるマスクパターンを形成し、第2の工程では、これとは反対側の面(表面42a)に酸化膜43によるマスクパターンを形成するので、作業が煩雑になり易い。このため、目標とする段差部の板厚が240μmよりも厚く、段差部に結晶面からなる傾斜面が形成されたとしても十分に段差部の強度を確保できる場合には、従来の方法で連通基板を作製することが望ましい。さらに、ウェットエッチングのバラつきに対するマージン確保の観点から、目標とする段差部の板厚が260μmよりも厚い場合に従来の方法で連通基板を作製することがより望ましい。すなわち、上記した第1の工程及び第2の工程は、形成される段差部の板厚が260μm以下の場合に行われることが望ましく、形成される段差部の板厚が260μmよりも厚い場合、板厚を貫通する状態までウェットエッチングして第1の液体流路部を形成した後、当該第1面側から板厚方向の途中までウェットエッチングして第2の液体流路部及び段差部を形成することが望ましい。
形成される段差部の板厚が260μmよりも厚い場合における連通基板の加工方法についてより詳しく説明する。図5は、第1の液体流路部90を形成する工程を説明する模式図であり、図6は、第2の液体流路部91及び段差部92を形成する工程を説明する模式図である。なお、以下の説明では、第1の液体流路部90及び第2の液体流路部91の形成について着目し、ブレイクパターン、液体導入口及びノズル連通路等のその他の流路及びパターンの形成については省略している。
まず、板厚が約400μmであり、表面94aが(110)面のシリコンウェハー94の両面94a、94bに熱酸化処理等によって、酸化膜95を形成する。その後、フォトリソグラフィー法によって、表面94a側及び裏面94b側の酸化膜95上にレジストパターンを設け、水溶液などのエッチング溶液によって酸化膜95を部分的に除去することで、図5(a)に示すようなエッチングに対するマスクパターンを形成する。本実施形態では、表面94a側及び裏面94b側の第1の液体流路部90に対応する部分に、酸化膜95が除去されたパターンが形成される。そして、エッチング溶液を用いて、シリコンウェハー94の両面94a、94bをウェットエッチングし、図5(b)に示すように、板厚方向に貫通した貫通孔96を形成する。この貫通孔96の下側の部分が、第1の液体流路部90に相当する。このように、板厚を貫通する状態までウェットエッチングして第1の液体流路部90を形成するので、ウェットエッチング条件の管理が容易になる。その結果、シリコンウェハー94の加工がし易くなり、記録ヘッド3の製造が容易になる。
次に、フォトリソグラフィー法によって、表面94a側の酸化膜95上にレジストパターンを設け、水溶液などのエッチング溶液によって酸化膜95を部分的に除去する。これにより、図6(a)に示すように、表面94a側の第2の液体流路部91に対応する部分に、酸化膜95が除去されたパターンが形成される。その後、エッチング溶液を用いて、シリコンウェハー94の表面94a((110)面)をウェットエッチングする。このとき、図6(b)に示すように、第2の液体流路部91に対応する部分が表面94aから徐々に削られ、表面94aと平行な(110)面からなる段差92′が形成されると共に、この段差92′の内側の端部に結晶面或いはシリコンの結晶性に起因する面(例えば(111)面)からなる傾斜面が形成される。そして、この状態から所定時間エッチング溶液の浸食が進むと、図6(c)に示すように、第2の液体流路部91および段差部92が形成される。本実施形態では、段差部92の板厚が240μmより厚い、例えば、約300μmとなるところで、ウェットエッチングを終了する。ここで、液体流路部内における段差部92の端部に傾斜面93(欠損)が生じるが、形成される段差部92の板厚が240μmよりも厚いため、この段差部92の強度は十分に確保される。その結果、記録ヘッド3の信頼性を保持することができる。なお、その他の構成及び工程は上記した実施形態と同じであるため説明を省略する。
ところで、上記実施形態では、シリコンウェハーをウェットエッチングして形成する部材として連通基板20を例示したが、これには限られず、記録ヘッド3を構成するその他の部材でもよい。また、記録ヘッドの構成やその内部の液体流路の構成も上記実施形態に限られない。要は、記録ヘッドの一部を構成する、シリコン基板で形成可能な部材であって、第1の液体流路部、当該第1の液体流路部よりも幅が広い第2の液体流路部及びこれらの間に形成された段差部を備えた部材であれば、本発明の加工方法を適用して作製することができる。また、上記実施形態では、段差部が液体流路部(共通液室)の一側(図2における右側)に形成された基板を例示したが、これには限られず、液体流路部(共通液室)の左右両側や周囲に段差部が形成された液体流路部を有する基板に本発明を適用することができる。
そして、上述した実施形態では、インクジェットプリンターに搭載されるインクジェット式記録ヘッドを例示したが、インク以外の液体を噴射するものにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。
1…プリンター,3…記録ヘッド,4…キャリッジ,5…キャリッジ移動機構,7…インクカートリッジ,17…圧力発生ユニット,18…流路ユニット,19…ノズルプレート,20…連通基板,21…保護基板,23…ケース,24…ノズル,26…圧力室形成基板,27…弾性膜,28…圧力室,29…共通液室,30…液体導入口,31…圧電素子,32…ノズル連通路,34…貫通空部,35…インク導入路,38…第1の液体流路部,39…第2の液体流路部,40…段差部,42…シリコンウェハー,43…酸化膜

Claims (2)

  1. 液体流路内の液体を噴射する液体噴射ヘッドの一部を構成すると共に、前記液体流路の一部を構成する第1の液体流路部及び該第1の液体流路部と連通する当該第1の液体流路部よりも幅が広い第2の液体流路部を備え、第1の液体流路部と第2の液体流路部との間に段差部を形成するシリコン基板の加工方法であって、
    シリコンウェハーの(110)面である第1面側から板厚方向の途中までウェットエッチングして前記第1の液体流路部を形成する第1の工程と、
    シリコンウェハーの前記第1面とは反対側の第2面側から前記第1の液体流路部と連通する位置までウェットエッチングして前記第2の液体流路部および前記段差部を形成する第2の工程と、を含み、
    前記段差部は、前記液体噴射ヘッドのノズル面の面内方向のうち前記ノズル面のノズル列に直交する方向において、前記第1の液体流路部から前記第2の液体流路部へ向けて前記液体流路の幅を広げ、
    前記段差部は、前記直交する方向において、前記液体噴射ヘッドの共通液室の前記ノズル列側に設けられ、反対側に設けられないことを特徴とするシリコン基板の加工方法。
  2. 前記第1の工程および前記第2の工程で、前記シリコンウェハーに、前記共通液室と、前記液体噴射ヘッドの複数の圧力室と前記共通液室とを連通し、前記圧力室毎の液体導入口とが形成されることを特徴とする請求項1に記載のシリコン基板の加工方法。
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