JP6264642B2 - エンジンの燃料噴射システム - Google Patents
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Description
従って、吸気ポートインジェクタだけによって、低負荷運転から高負荷運転までの燃料量を噴射できるようにすると、一つのインジェクタによって高負荷域の燃料量まで噴射する必要があるためインジェクタが大型化する問題や、微粒化させようとすると噴射孔が小さくなり必要な燃料量の確保が困難となり、微粒化促進による燃焼改善効果が得られ難い問題を有している。
従って、サージタンクインジェクタからサージタンク内に噴射される燃料は、サージタンク内での霧化および、サージタンクから燃焼室内に導入される区間が吸気ポートインジェクタから燃焼室までの距離より長いため、気化が促進されて、安定燃焼に寄与する。
また、冷態始動時には前記吸気ポートインジェクタが設けられた一方の吸気ポートの閉塞弁を閉じることで、クランキング前に今までに吸気ポートインジェクタによって噴射されて吸気ポート壁面等に付着していた燃料が、燃焼室内に投入されることで始動性が悪化することを防止できる。なお、冷態始動時は吸気ポートインジェクタからではなく、吸気ポートインジェクタに比べて助走区間(気化区間)の長いサージタンクインジェクタから燃料噴射とすることで、燃料を充分に微粒化し始動性および燃焼性が良好に得られる。
温態時の再始動に際しては、吸気ポート壁面に付着している燃料は蒸発によって少なくなっているため、前記冷態始動時のような、壁面付着の燃料を考慮するよりも、燃料の気化を促進する意味で、空気と燃料との混合を促進するために、吸気ポートインジェクタが設けられていない側の閉塞弁を閉じて、吸気ポートインジェクタが設けられている側の吸気流速を高めるようにすることで、気化を促進して、再始動性を高めることができる。
図1は、本発明の燃料噴射システム1の全体構成図を示す。車両用のガソリン多気筒エンジンへの適用を示している。
エンジン3は、吸気通路5の上流端部には、エアクリーナ7が設けられて、該エアクリーナ7を通って外気が導入されるようになっている。吸気通路5には、吸気上流側から吸気温度を検出する吸気温度センサ9、吸気流量を検出するエアーフローメータ(吸気量計)11、吸入空気量を調整するスロットルバルブ13が配置されている。
また、第1吸気ポート19aには、吸気弁25に向かうと共に燃焼室27内に向って燃料を噴射するように取り付けられた吸気ポートインジェクタ(以下MPIという)23が設けられている。
また、燃料ポンプ33による燃料の加圧圧力は、SPI備えていない、従来のMPIだけを備えたシステムに比べて、本願発明においては高燃圧化による微粒化と流量確保のために、従来に比べて高く設定されており、例えば最大700KPa程度まで高められている。
図1、3に示すように、制御装置61には、スロットルバルブ13の開度信号、クランク角センサ62の信号等から求められるエンジン回転数信号、吸気温度センサ9からの吸気温信号、エアーフローメータ11からの吸気流量信号、空燃比センサ55からの空燃比信号、冷却水温度センサ53からの冷却水温信号、エンジンが始動されたか判定するための信号として、エンジンのスタータの回転数や、スタータスイッチのエンジンスタート位置信号等が、それぞれ入力されている。ここで、エンジン負荷はスロットルバルブ13の開度信号、エアーフローメータ11の吸気流量信号あるいは吸気温度センサ9からの吸気温信号等を考慮して求められる。
まず、ステップS1で、エンジン始動時か否かを判定する。前述のように、エンジンのスタータの回転数や、スタータスイッチのエンジンスタート位置信号等を基にエンジンの始動時か否かが判定される。
始動時ではないと判定された場合は、ステップS2で、暖機完了水温に達しているか否かが判定される。具体的には、エンジン出口の冷却水温度が約80℃に達している場合には、暖機が完了したと判定する。
暖機が完了していない場合には、ステップS3に進んで、エンジン負荷を判定する。また、暖機が完了したと判定した場合には、ステップS6に進んで、エンジン負荷を判定する。
暖機が完了していない場合には、ステップS3で低負荷かどうかを判定して、低負荷状態であると判定した場合には、ステップS5に進んでSPI29による燃料噴射を実施する。
冷態時には、MPI23からの燃料は、気化しきれていない(微粒化していない)状態で燃焼室27内に導入するため、このようなMPI23からの燃料の燃焼室27内への導入を制限し、SPI29の噴射量を増加する。このとき、MPI23からの燃料の導入を禁止して、SPI29だけにすることが好ましい。これにより、サージタンク15内に噴射される燃料は、サージタンク15内での霧化および、サージタンク15から燃焼室27内に導入される区間がMPI23から燃焼室27までの距離より長いため、気化が促進されて、燃焼が良好に得られる。
なお、冷態時かつ図示しないアクセルがオフ状態の際は、触媒昇温要求があるとして、MPI23の噴射禁止を解除して、MPI噴射を実施するようにしてもよい。このとき、MPI噴射はバルブオーバーラップ中に行われることが望ましい。これにより、未燃燃料が排気と共に排気管内に導入され、排気の熱によって自着火した未燃燃料が排気管内の触媒近傍で燃焼することによって、触媒が早期に昇温する。
但し、ステップS12では、冷却水温が閾値、例えば60℃(エンジン出口温度)を超えるまでは、エンジン保護のためエンジンの出力を制限し、全体の燃料噴射量を制限する。このとき、MPI23の負担割合を優先的に制限することが好ましい。
これにより、助走区間(気化区間)の短いMPI23の噴射量を制限しつつ、噴射燃料の助走区間(気化区間)を長く取れるサージタンクインジェクタからの噴射を中心とすることで、燃焼性への影響を抑えつつエンジンの保護を図ることが出来る。
また、暖機が完了した場合には、ステップS6で低負荷かどうかを判定して、低負荷状態であると判定した場合には、ステップS8に進んでSPI29による燃料噴射を実施する。
この場合、MPI23の燃料噴射を制限するとともに、主にSPI29による燃料噴射を行う。このとき、MPI23を禁止し、SPI29のみによる運転を行うことが好ましい。高燃料圧力化による微粒化促進、及びSPI29だけにすることによって、サージタンク15内に噴射される燃料は、サージタンク15内での霧化および、サージタンク15から燃焼室27内に導入される区間がMPI23から燃焼室27までの距離より長いため、気化が促進されて、燃焼が良好に得られる。
但し、ステップS13では、SPI29だけでそのまま流量を上げると、ポート付着が大きくなり燃焼室27へ供給される燃料量が不安定化するため、高負荷域では予め設定した閾値の流量ラインをSPI29の噴射燃料の上限として、それ以上の燃料要求分はMPI23によって噴射にする。この場合、MPI23はシリンダ直入形態とすることが可能であり、このように燃焼室27への直入形態とすることで、図示しない吸気バルブや吸気ポートへの燃料の付着を防ぐと共に、気化潜熱により燃焼室27内を冷却しノックを抑制することも可能となる。
次に、ステップS1で、始動時であると判定された場合は、ステップS9へ進む。
このステップS9では、本始動(冷態時の始動)の場合か、再始動(温態時の再始動)の場合かを判定する。冷却水温が閾値tw、例えば60℃を超えるか否かによって判定される。
再始動時は直前までアイドルストップしているケースが大半であるため、ステップS2におけるは暖機完了の判定(エンジン出口の冷却水温度が約80℃に達している場合には、暖機が完了したと判定)よりも、低い温度に設定して判定している。
次に、図5を参照して、制御装置61の他の例を示す第2実施形態を説明する。
第2実施形態は、第1実施形態に対して第1ポート閉塞弁(V1)39aと、第2ポート閉塞弁(V2)39bとの開閉制御が加わったものである。
図5のフローチャートより、ステップS21〜ステップS33までは、第1実施形態のステップS1〜ステップS13と同様であるため、同様のステップについては説明を省略し、異なるステップS41〜S50(図5のA部)について以下に説明する。
そして、ステップS47で、空燃比センサ55の検出信号を基に気筒間の空燃比のバラツキσを算出する。このσ(A/F値)が設定した閾値σaより大きいか否かを判定して、大きい場合には、バラツキがあると判定して、ステップS49に進む。
また、第1ポート閉塞弁39aを閉じることによって、クランキング前に吸気ポート内壁面に付着した燃料が燃焼室27内へ投入されて、始動性が悪化することが防止される。
さらに、第2ポート閉塞弁39bを閉として、MPI23側の第1吸気ポート19aだけに吸気を流すとともに、該第1吸気ポート19a側に燃料噴射して、空気と燃料との混合を吸気ポート内で行わせるようにし、しかも、燃焼室27へ短時間で到達できるため、再始動を良好に行うことができる。
3 エンジン
5 吸気通路
9 吸気温度センサ
11エアーフローメータ
13 スロットルバルブ
15 サージタンク
19 吸気ポート
19a 第1吸気ポート
19b 第2吸気ポート
23 吸気ポートインジェクタ(MPI)
27 燃焼室
29 サージタンクインジェクタ(SPI)
39a 第1ポート閉塞弁
39b 第2ポート閉塞弁
53 冷却水温センサ
55 空燃比センサ
57 排気通路
61 制御装置
63 ポート閉鎖弁制御部
65 インジェクタ負担割合制御部
67 燃料噴射制御部
69 空燃比バラツキ判定部
71 エンジン始動判定部
73 エンジン状態判定部
Claims (3)
- エンジンの燃焼室内へ吸気を導入する吸気ポートと、
前記吸気ポートの上流側に設けられたサージタンクと、
前記吸気ポート内に燃料を噴射する吸気ポートインジェクタと、
前記サージタンク内に燃料を噴射するサージタンクインジェクタと、
前記エンジンの冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、を備え、
前記吸気ポートは、2つの吸気ポートからなり、一方の吸気ポートに前記吸気ポートインジェクタと該吸気ポートを開閉する閉塞弁が設けられ、他方の吸気ポートにも該吸気ポートを開閉する閉塞弁が設けられ、
それぞれの吸気ポートの前記閉塞弁の開閉及び前記吸気ポートインジェクタと前記サージタンクインジェクタとの燃料噴射分担割合を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、冷却水温度が所定値以下の冷態状態における前記エンジンの始動時には前記一方の吸気ポートの閉塞弁を閉じるとともに、前記他方の吸気ポートの閉塞弁を開き、前記吸気ポートインジェクタの燃料噴射分担割合を制限してゼロにし、前記サージタンクインジェクタの燃料噴射割合を増加させて前記サージタンクインジェクタのみによって燃料噴射を行うことを特徴とするエンジンの燃料噴射システム。 - 前記制御装置は、冷却水温度が所定値を超える温態状態における前記エンジンの始動時には、前記他方の吸気ポートの閉塞弁を閉じるとともに前記一方の吸気ポートを開き、前記吸気ポートインジェクタのみの燃料噴射を行うことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射システム。
- 前記エンジンのエンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段を備え、
前記制御装置は、冷却水温度が所定値を超える温態状態かつ中高負荷時には、前記一方の吸気ポートの閉塞弁及び前記他方の吸気ポートの閉塞弁を共に開き、前記吸気ポートインジェクタによる噴射と前記サージタンクインジェクタによる噴射とを行うとともに、前記サージタンクインジェクタの噴射を制限して前記吸気ポートインジェクタによる噴射を主体とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの燃料噴射システム。
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