JP6258919B2 - 歯科用充填修復材料キット - Google Patents

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Description

本発明は、歯科用充填修復材料キットに関する。
齲蝕や破折等により損傷をうけた歯牙の修復は、コンポジットレジンと呼ばれる、ペースト状の重合性組成物(通常は光硬化性)からなる修復材料が操作の簡便さから広く用いられている。重合性組成物は、近年、機械的強度の向上や、歯牙との接着力の向上から、前歯部の修復のみならず、高い咬合圧が加わる臼歯部に対しても使用されている。歯科用修復材料を用いての歯牙の修復は、
1)齲蝕などの損傷を受けた歯牙(以下、「修復歯牙」とも言う)を切削によって窩洞を形成する。
2)上記窩洞に接着材を介して(一般には、ボンディング材と呼ばれる接着材を窩洞に塗布し、必要に応じてエアーブローを行なった後に光照射を行なって接着材で窩洞を覆う)重合性組成物を築盛し、光硬化させて窩洞を封鎖する。
3)仕上げとして、窩洞に充填された複合充填修復材料の硬化体に対して、形態修正、研磨を行なう。
方法により行なうのが一般的である。
歯牙の修復では、操作性や機械的強度等の他に、審美性の良好さも要求される。天然歯は、象牙質およびエナメル質からなり、その色調のほとんどが象牙質に由来し、透明なエナメル質を通して観察される。ただし、歯頚部から切端部に向かって、エナメル質が増加しており、各部位で色調(色相、彩度および明度から選択される少なくとも1種の要素)が異なる。例えば、歯頚部は象牙質層が厚いため、不透明であり、切端部と比較し、明度(色の濃淡)、彩度(色の鮮やかさ)が高い。逆に、切端部は象牙質層が薄くほとんどエナメル質となるため透明性が高い。このように、歯牙は部位によって色調が異なる。このため、歯牙の修復において、高い審美性を得るには、重合性組成物は色調が異なる複数種を用意し、この中から、実際の修復歯牙及びその隣接歯牙(以下、「修復歯牙の周辺」とも言う)と色調が最も良く適合したものを選定して使うことが大切になる(非特許文献1)。
こうした色調の選定は、歯科医師が、用意された重合性組成物の各硬化体サンプルが集められたシェードガイド(色見本)を用い、それぞれの色調と、口腔内を覗き込んで確認される修復歯牙周辺の色調とを見比べて、最も近いと感じられるものを選ぶことにより行なわれる。
また、修復歯牙の損傷が軽く、窩洞が浅い場合でなければ、上記色調の適合を、単一種の重合性組成物の充填で実現することは困難になる。すなわち、窩洞が深い(例えば、IV級窩洞など)と、歯牙の色調は、単に歯面部(エナメル質部分)の色調だけでなく、透けて見える深層部(象牙質部分)までの色調も融合してグラデーションに富む状態で観取される。このため、一定の深さごとに、充填する重合性組成物の色調を変え、積層充填して、この微妙な色調を再現している。通常は、最深部から、象牙質部分の色調を再現した象牙質部分修復材用の重合性組成物の複数種を用いて積層し(通常は、層ごとに硬化させながら積層していく)、最後の表層部に、エナメル質部分修復材用の重合性組成物を積層することにより実施されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
さらに、色調だけではなく、天然歯の光学特性に合わせた材料も提案されている((特許文献1)。光拡散性に着目し、象牙質が多い部分には光拡散性が高い材料を、エナメル質が多い部分には光拡散性が低く、透過性が高い材料を用いることで審美性が良い修復ができることが報告されている。
また、屈折率を調整した歯科修復材料についての報告もあり、特許文献2では象牙質修復材、及びエナメル質修復材の屈折率を同等に調整している。特許文献3では、天然歯の光学的特性を再現すべくエナメル質修復材を高屈折率に調整している。
特開平9−169613号公報 特開2007−82679号公報 特表2009−508930号公報
松村英雄、田上順次監修,「接着YEARBOOK 2006」,第1版,クインテッセンス出版株式会社,2006年8月,p.129−137 宮崎真至著,「コンポジットレジン修復のサイエンス&テクニック」,第1版,クインテッセンス出版株式会社,2010年1月,p.48−49
しかしながら、一般に、より高度な審美性を達成するためには、天然歯との色調適合性を良好にすると同時に、エナメル質修復材を象牙質修復材上に積層した場合に、口腔内の背景色の影響を受けて暗くなるのを防止することが必要である。エナメル質修復材が背景色の影響を受け、暗く見えることで審美性が低下したり、暗く見えることで、象牙質特有の構造が見難くなり、結果審美性が低下するという問題がある。
特に前歯IV級窩洞のような唇側から舌側に突き抜ける大きな窩洞では、切端部に見られるマメロンと呼ばれる光学特性を再現することが審美性修復の観点から非常に重要であり、光拡散性をコントロールした材料を用いても審美性の良好な修復が難しく、象牙質部分修復材とエナメル質部分修復材とそれぞれについて色調が異なる複数種類の重合性組成物を用いて積層する等煩雑な作業工程が必要とされていた。なお、マメロンとは、切端部に見られる象牙質で構成される内部構造であり、指状構造として見られる。象牙質層の切端側がギザギザした形状が表層のエナメル質を透過して確認される。
つまり、切端部における高い審美性の修復を行うためには、2mm以下の限られた厚さの中で、色調が異なる複数種類の重合性組成物(例えば、象牙質修復材用重合性組成物2種類とエナメル質修復材用重合性組成物2種類の合計4種類の重合性組成物)を充填する必要があり、術者に充填に関する高い技術が要求される。
一方、修復歯牙と修復材の色調適合性を良好とするためには、象牙質修復材とエナメル質修復材について、それぞれ一定の範囲の色調とする必要がある。特に天然歯の色調に合わせて、色調の一要素であるコントラスト比を、象牙質修復材は高く(不透明)、エナメル質修復材は低く(透明)調整することで、修復歯牙との色調適合性が高く、透明感のある生き生きとした修復物とすることができる。しかし、特に切端部においては、透明性を高くしたエナメル質修復材は、口腔内の背景色の影響等により、暗くなりやすく(明度の低下)、結果、下層の象牙質修復材の色調が遮られ、象牙質の特徴的構造が再現し難くなり、審美性に劣ってしまう。すなわち、充填する重合性組成物の種類が少ないにも関わらず、天然歯の色調適合性を良好にし、かつ明度の低下を抑制した修復材料の開発が望まれていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、歯牙の修復において、色調適合性が良好であり、かつ明度の低下が少ない修復を行うことができるため、審美性の高い修復を可能とする歯科用充填修復材料キットを提供すること、特に、背景の色調が透けて見えるような窩洞であっても、象牙質の特徴的な構造をも再現できることができる歯科用充填修復材料キットを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記技術課題を解決するべく、鋭意研究を続けてきた。
その結果、象牙質修復材用重合性組成物とエナメル質修復材用重合性組成物のそれぞれに含まれる重合性単量体のポリマーの屈折率を特定の関係とすることにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の歯科用充填修復材料キットは(A)象牙質部分を修復するための象牙質修復材用重合性組成物と、(B)象牙質修復材の上に積層されるエナメル質修復材用重合性組成物とを含み、(A)象牙質修復材用重合性組成物と(B)エナメル質修復材用重合性組成物との色調が異なり、かつ、(A)象牙質修復材用重合性組成物中の(a)重合性単量体のポリマーの屈折率n と(B)エナメル質修復材用重合性組成物中の(b)重合性単量体のポリマーの屈折率n との差(n −n )が0.005以上であることを特徴とする。
本発明の歯科用充填修復材料キットの一実施形態は、(A)象牙質修復材用重合性組成物と(B)エナメル質修復材用重合性組成物とからなることが好ましい。
本発明の歯科用充填修復材料キットの他の実施形態は、(A)象牙質修復材用重合性組成物の1mm硬化体のコントラスト比が0.55〜0.75であり(B)エナメル質修復材用重合性組成物の1mm硬化体のコントラスト比が0.30〜0.54であることが好ましい。
本発明の歯科用充填修復材料キットを用いれば、歯牙の修復において、色調適合性が良好であり、かつ明度の低下が少ない修復を行うことができるため、審美性の高い修復が可能となる。特に、背景の色調が透けて見えるような窩洞であっても、象牙質の特徴的な構造をも再現することができる。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットは、(A)象牙質部分を修復するための象牙質修復材用重合性組成物と、(B)象牙質修復材の上に積層されるエナメル質修復材用重合性組成物とを含む。そして、(A)象牙質修復材用重合性組成物と(B)エナメル質修復材用重合性組成物との色調が異なり、かつ、(A)象牙質修復材用重合性組成物中の(a)重合性単量体のポリマーの屈折率n と(B)エナメル質修復材用重合性組成物の(b)重合性単量体のポリマーの屈折率n との差(n −n )が0.005以上であることを特徴とする。なお、本実施形態の歯科用充填修復材料キットに用いる(A)象牙質修復材用重合性組成物中には(a)重合性単量体が含まれ、(B)エナメル質修復材用重合性組成物中には(b)重合性単量体が含まれ、屈折率に関しては、それぞれの重合性単量体を重合させた後のポリマーの屈折率n 、で規定している。
すなわち、本実施形態の歯科用充填修復材料キットでは、このように、象牙質修復材を構成するポリマーの屈折率をエナメル質修復材を構成するポリマーの屈折率より0.005以上大きくしていることが特徴である。一方で、天然歯の場合は象牙質の屈折率(1.55程度)よりもエナメル質の屈折率(1.63程度)の方が大きい関係にあり、この関係は、本実施形態の歯科用充填修復材料キットとは全く逆となっている。天然歯は象牙質とエナメル質とが明確に区分けされているわけではなく、象牙質とエナメル質との間に移行的な境界層が形成されており、該境界層が審美性に対して重要な働きをしているものと考えられる。したがって、天然歯を完全に模倣するならば、境界層も含めて模倣しなければならないが、このような系は複雑であり、境界層自体の模倣も困難である。また、境界層を除いた象牙質修復材とエナメル質修復材の屈折率を単に天然歯に近づけても、天然歯のような審美性は得られ難かった。このような背景のもと、象牙質修復材の屈折率をエナメル質修復材の屈折率よりも大きくするという天然歯模倣の観点からは全く逆の発想により、審美性のよい修復物が得られることを見出した。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットを用いた場合に審美性の良い修復物が得られるという効果を発現する機構は、以下の通り推定している。
まず、本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成するそれぞれの重合性単量体のポリマーの屈折率につき上記した一定の関係がある。このため、エナメル質修復材表面から透過してきた光が、エナメル質修復材と象牙質修復材の両材料の界面で反射し、その反射光が再びエナメル質修復材を透過し目視される。そして、この結果、エナメル質修復材による明度の低下が抑制され、また象牙質の特徴的構造も視認できることとなり、結果審美性が良好な修復を可能にしているものと推定している。
また本実施形態の歯科用充填修復材料キットでは、エナメル質修復材の屈折率が相対的に低く、象牙質修復材の屈折率が相対的に高く設定されることとなる。一方、一般に、光は物体の屈折率が高いほど反射率が高くなる。このため、エナメル質修復材の屈折率を低めに設定することで、エナメル質修復材表面での光の反射が低減され、結果、エナメル質修復材内部へと透過していく光量が増加する。それゆえ、結果として上記したエナメル質修復材と象牙質修復材の両材料の界面で反射する光が増加し、審美性が良好になるものと考えられる。
次に、本実施形態の歯科用充填修復材料キットにおいて用いる、色調に関する各物性値について説明する。
<明度(L*)>
明るさを表す尺度であり、JIS Z8729に規定にしたがって測定される。具体的には、1.0mm厚の試料板に黒背景を接触させ、標準光Cを照射した際の反射光における、CIELab表色系で表されるL*値を読み取る。L*値は100に近いほど明るく、0に近いほど暗い材料であることを示す。
<色度(a*)(b*)>
色相及び彩度を表す指標であり、JIS Z8729の規定にしたがって各測定される。具体的には1.0mm厚の試料板に黒背景を接触させ、標準光Cを照射した際の反射光における、CIELab表色系で表されるa*値及びb*値を読み取る。a*及びb*は、色の方向を示しており、a*は赤方向、−a*は緑方向、b*は黄方向、−b*は青方向を示し、それぞれ数値が大きいほど、鮮やかな色を示し、数値が小さいほどくすんだ色を示す。
<コントラスト比>
透明性を表す尺度であり、JIS Z8701に規定されるXYZ表色系の三刺激値のうちの明るさに関するY値を用いて算出するものである。具体的には、1.0mm厚の試料板に黒背景、及び白背景を接触させ、標準の光Cを照射した際の反射光におけるY値を読み取る。黒背景の場合のYをYb、白背景の場合のYをYwとすると、コントラスト比(C)はYb/Ywから求められる。Cの値が1に近いほど不透明な材料であり、0に近いほど透明な材料であることを示す。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットは、(A)象牙質部分を修復するための象牙質修復材用重合性組成物(以降、単に象牙質修復材用重合性組成物とも称する)と、(B)象牙質修復材の上に積層されるエナメル質修復材用重合性組成物(以降、単にエナメル質修復材用重合性組成物とも称する)とを含むものであればよい。たとえば、本実施形態の歯科用充填修復材料キットには、象牙質修復材用重合性組成物およびエナメル質修復材用重合性組成物以外のその他の組成物がさらに含まれてもよい。しかしながら、本実施形態の歯科用充填修復材料キットは象牙質修復材用重合性組成物とエナメル質修復材用重合性組成物とのみから構成されるものであってもよい。
また、本実施形態の歯科用充填修復材料キットは、1種類の象牙質修復材用重合性組成物と、1種類のエナメル質修復材用重合性組成物とを含むものであってもよい。しかしながら、本実施形態の歯科用充填修復材料キットは、1種類以上の象牙質修復材用重合性組成物と、1種類以上のエナメル質修復材用重合性組成物とを含むものであることが好ましい。この場合、m種類の象牙質修復材用重合性組成物から選択される少なくとも1種類の象牙質修復材用重合性組成物Pと、n種類のエナメル質修復材用重合性組成物から選択される少なくとも1種類のエナメル質修復材用重合性組成物Qとが、下記<I>および<II>を満たせばよい。ここで、m、nは各々1以上の整数であり、mが2以上の場合においてm種類の象牙質修復材用重合性組成物は互いに色調が異なるものとされ、nが2以上の場合においてn種類のエナメル質修復材用重合性組成物は互いに色度が異なるものとされる。
<I>象牙質修復材用重合性組成物Pとエナメル質修復材用重合性組成物Qとの色調が異なる。
<II>象牙質修復材用重合性組成物P中の(a)重合性単量体のポリマーの屈折率n とエナメル質修復材用重合性組成物Q中の(b)重合性単量体のポリマーの屈折率n との差(n −n )が0.005以上である。
なお、mは、1〜20の範囲から選択される整数であることが好ましく、実用上は2〜20の範囲から選択される整数であることがより好ましく、nも、1〜20の範囲から選択される整数であることが好ましく、実用上は2〜20の範囲から選択される整数であることがより好ましい。また、m種類の象牙質修復材用重合性組成物と、n種類のエナメル質修復材用重合性組成物との組み合わせのうち、上記<I>および<II>を満たす組み合わせは、上述したように最低1組存在していればよい。しかし、m+nが3以上の場合において、上記<I>および<II>を満たす組み合わせは2組以上存在していることが好ましく、全組み合わせ(m×n組)において存在していることが特に好ましい。そして、このようにmおよびnの数、ならびに、<I>および<II>を満たす組み合わせの数が大きい程、患者の歯牙に合わせた審美性の高い修復が行い易くなる。
また、本実施形態の歯科用充填修復材料キットにおいて、象牙質修復材とは象牙質修復用重合性組成物を硬化させたものであり、エナメル質修復材とはエナメル質修復材用重合性組成物を硬化させたものである。本実施形態の歯科用充填修復材料キットにおいて積層される態様は特に限定されず、結果的に象牙質修復材の上にエナメル質修復材が配置されていればよいことを意味する。すなわち、象牙質修復材用重合性組成物を硬化させ象牙質修復材を形成させ、該象牙質修復材の上にエナメル質修復材用重合性組成物を充填、硬化させてもよいし、象牙質修復材用重合性組成物上にエナメル質修復材用重合性組成物を充填し、その後、双方の重合性組成物を硬化させてもよい。なお、これら2種類の重合性組成物はペースト状、液状、粉状、ゼリー状等、任意の形態を取りえるが、ペースト状であることが特に好ましい。
また、本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する象牙質修復材用重合性組成物とエナメル質修復材用重合性組成物とは色調が異なる。修復対象の人歯のエナメル質及び象牙質と適合させるためである。ここで色調が異なるとは、CIELab表色系におけるa*、b*、L*、コントラスト比のうち、いずれかの指標に差があることを意味し、例えば、象牙質修復材用重合性組成物の色調がa*:−2、b*:12、L*:60に対し、エナメル修復材用重合性組成物の色調がa*:−2、b*:12、L*:48である場合、a*、b*は差がなく、L*のみ差がある関係であるが、異なる色調として認識される。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する象牙質修復材用重合性組成物とエナメル質修復材用重合性組成物は色調適合性を考慮し、CIELab表色系において測色した時に、a*は−5.0〜3.0の範囲内、より好適には−4.0〜2.0の範囲内で設けられる。他方、b*は−10〜20の範囲内、より好適には−9〜19の範囲内で設けられる。また、両重合性組成物のa*又はb*に差がある場合は、a*の差の絶対値は0.1〜4、好ましくは0.3〜2の範囲であり、b*の差の絶対値は0.1〜30、好ましくは0.3〜15の範囲である。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する象牙質修復材用重合性組成物の明度L*は、50〜75の範囲内、より好適には51〜74から選ばれる。一方、エナメル質修復材用重合性組成物は、L*が40〜55の範囲内、より好適には41〜54から選ばれる。両重合性組成物のL*が異なる場合は、両重合性組成物のL*の差(象牙質修復材用重合性組成物の明度L*−エナメル質修復材用重合性組成物の明度L*)が1〜30の範囲、好ましくは3〜20の範囲である。
また、象牙質修復材用重合性組成物の1mm硬化体(1mm硬化体とは重合性組成物を硬化させた厚み1mmの硬化物を意味する)の黒背景条件下における色調が、CIELab表色系において測色した時に、コントラスト比が0.55〜0.75の範囲から選ばれるのが好ましい。より好ましくは、0.57〜0.70が好ましい。さらに、エナメル質修復材用重合性組成物は、前記コントラスト比が0.30〜0.54の範囲から選ばれるのが好ましく、より好適には、0.35〜0.52の範囲が好ましい。象牙質修復材用重合性組成物とエナメル質修復材用重合性組成物は、異なる透明性であることが好ましく、具体的には、両重合性組成物のコントラスト比の差(象牙質修復材用重合性組成物のコントラスト比−エナメル質修復材用重合性組成物のコントラスト比)が0.05〜0.40の範囲が好ましく、さらに0.10〜0.30の範囲が好ましい。コントラスト比が、この範囲にあることにより、天然歯のエナメル質及び象牙質の透明性と良く適合したものになる。このようにコントラスト比を制御した場合に、以下に説明する効果が顕著に発揮される。すなわち、一般に、コントラスト比を上記の如く制御した場合には、天然歯との色調適合性が良好なものの、エナメル質修復部分が暗く見えたり、また象牙質の特徴的構造が確認できなくなるなどの審美性を低下させる傾向がある。しかし、本実施形態の歯科用充填修復材料キットのように象牙質修復材用重合性組成物、及びエナメル質修復材用重合性組成物を構成するそれぞれの重合性単量体のポリマーの屈折率を特定範囲に調整することで、上記審美性低下の問題が解消される。具体的には、コントラスト比が大きい象牙質修復材は、高い明度を有するため、象牙質修復材とエナメル質修復材との界面での光の反射量が大きくなる。さらに、象牙質修復材の上に積層されるエナメル質修復材は、コントラスト比が小さいことにより界面で反射した光が透過しやすくなるため、より効果的にマメロンを表現することができる。
歯科用充填修復材料キットには、本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する(A)象牙質修復材用重合性組成物と(B)エナメル質修復材用重合性組成物の他、修復対象となる人歯と修復材との色調をより良く適合させるために、特殊な色調の重合性組成物を含んでも良い。具体的には、ブリーチング処理した後の不透明で白い歯牙に適した明度が高く(L*が75より大きい)、白い色の重合性組成物や、透明性の高い歯牙に適したコントラスト比が0.3未満の透明な色の重合性組成物などが挙げられる。
このような色調を備えた歯科用充填修復材料キットは、一般的な歯科用修復材料から採択され、重合性単量体、重合開始剤、充填材、及び着色剤からなるコンポジットレジンが使用される。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットの最大の特徴は、(A)象牙質修復材用重合性組成物及び(B)エナメル質修復材用重合性組成物を構成する各重合性単量体のポリマーの屈折率が異なるところにある。具体的には、(A)象牙質修復材用重合性組成物中の(a)重合性単量体のポリマーの屈折率n と(B)エナメル質修復材用重合性組成物中の(b)重合性単量体のポリマーの屈折率n との差(n −n )が0.005以上であることにある。このように屈折率を制御することにより、審美性の良好な修復が可能となる。特に、切端部のような象牙質修復材用重合性組成物が薄く充填され、それに比してエナメル質修復材用重合性組成物が厚く積層されるような修復箇所、すなわち、エナメル質修復材が口腔内の背景色の影響を受けやすい部位での修復においても、象牙質の特徴的な構造(マメロン)を再現でき、審美性が良好な修復が可能である。上記屈折率の差が0.005より小さい場合には、エナメル質修復材が暗い修復物となる傾向にあり、象牙質修復材で形成した象牙質の特徴的構造も視認し難くなり、審美性に劣ってしまう。屈折率の差(n −n )は、好ましくは、0.007以上、より好ましくは0.009以上である。一方、歯科で使用される重合性単量体は、安全性の観点から限られており、一般的に歯科で用いられる重合性単量体で構成できる、上記屈折率の差は0.15がほぼ上限である。また、屈折率差が大きすぎると界面での光の反射も大きくなり、象牙質の特徴的な構造(マメロン)が際立ってしまい、修復歯牙周辺との調和がとれなくなることがある。したがって、屈折率の差(n −n )は0.15以下が好ましく、0.065以下がより好ましく、0.05以下がさらに好ましく、0.03以下が特に好ましい。それぞれの重合性組成物に好適な重合性単量体ポリマーの屈折率は、上記の屈折率の差を満たす限り適宜選択したものを用いることができるが、具体的には、象牙質修復材用重合性組成物に用いる重合性単量体のポリマーの屈折率は、1.53〜1.60が好ましく、より好適には、1.54〜1.58から選ばれる。一方、エナメル質修復材用重合性組成物に用いる重合性単量体のポリマーの屈折率は、1.45〜1.57が好ましく、より好適には、1.50〜1.56から選ばれる。
なお、本実施形態の歯科用充填修復材料キットにおける屈折率は25℃雰囲気下においてアッベ屈折率計にて測定した値を指す。
ここで、(A)象牙質修復材用重合性組成物中の(a)重合性単量体のポリマーの屈折率n が(B)エナメル質修復材用重合性組成物中の(b)重合性単量体のポリマーの屈折率n より大きいことが極めて重要である。天然歯の象牙質の屈折率(1.55程度)は、天然歯のエナメル質の屈折率(1.63程度)より低い。すなわち、本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する2種類の重合性組成物は、天然歯の象牙質、及びエナメル質の屈折率との大小関係が逆であるため、本実施形態の歯科用充填修復材料キットは単に天然歯の特性を模倣したものではない。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットにおいて、上記各々の重合性組成物(A)(B)は、それぞれに含まれる重合性単量体のポリマーの屈折率が各特定の範囲であるものであれば特に制限されず、従来の歯科用修復材料から採択して用いればよい。前記したように、一般的な歯科用修復材料としては、重合性単量体、重合開始剤、充填材、及び着色剤からなるコンポジットレジンが使用される。
重合性単量体としては、歯科分野において、コンポジットレジンの同成分として使用されるようなものが制限なく使用できる。(メタ)アクリレート系の重合性単量体が好ましく、硬化速度や硬化体の機械的物性、耐水性、耐着色性等の観点から、これらは多官能のものがより好ましい。
当該多官能性の(メタ)アクリレート系重合性単量体として、好適に使用できるものを例示すれば、下記(I)〜(III)に示されるものが挙げられる。
(I)二官能重合性単量体
i)芳香族化合物系のもの
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン(以下、bis−GMAと略記する)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(以下、D2.6Eと略記する)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
ii)脂肪族化合物系のもの
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(以下、3Gと略記する)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加体から得られるジアダクト、例えば、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン(以下、「UDMA」と略す。);無水アクリル酸、無水メタクリル酸、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート等。
(II)三官能重合性単量体
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレート及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
(III)四官能重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加体から得られるジアダクト等。
これらの多官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体は、硬化体の屈折率(25℃)は通常、1.45〜1.60の範囲にある。本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する2種類の重合性組成物に各々用いられる重合性単量体は、(メタ)アクリレート系に限定されているわけではないが、例えば上記示した重合性単量体の中から屈折率を考慮しながら適宜選択すればよい。一般に、芳香系重合性単量体(例えば、D2.6EやbisGMA等)のポリマーは高屈折率を示し、脂肪族系重合性単量体(例えば、3GやUDMA等)のポリマーは低屈折率を示す傾向にあり、屈折率の調整はこれら重合性単量体を単独、あるいは2種以上を組み合わせて適宜行えばよい。
さらに、必要に応じて、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート、及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等の単官能の(メタ)アクリレート系単量体や、上記(メタ)アクリレート系単量体以外の重合性単量体を用いても良い。
重合開始剤としては、上記重合性単量体を重合、硬化させることができるものであれば、公知のものが何ら制限なく使用できる。通常は、光重合開始剤が使用されることが多いが、化学重合開始剤(常温レドックス開始剤)や熱重合開始剤等であっても使用可能である。重合開始剤は、単独で使用する他に、2種以上を併用して用いてもよい。
光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類、ベンゾフェノン、アントラキノン、チオキサントン等のジアリールケトン類、ジアセチル、ベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナントラキノン等のα−ジケトン類、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイドなどのビスアシルホスフィンオキサイド類等が使用できる。
上記光重合開始剤は、還元性化合物と組合せて用いるのが好ましい。還元性化合物としては、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどの第3級アミン類、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸などの含イオウ化合物、N−フェニルアラニンなどを挙げることができる。
また、前記の光重合開始剤の活性をより高めるために、光酸発生剤を加えるのも好ましい態様である。光酸発生剤としては、ジアリールヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、スルホン酸エステル化合物、およびハロメチル置換−S−トリアジン導体、ピリジニウム塩系化合物等が挙げられる。光酸発生剤を用いる場合、光重合開始剤としてはカンファーキノン等のα−ジケトン類が好ましく、4−ジメチルアミノ安息香酸等の還元性化合物を併用することがさらに好ましい。
一方、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物を挙げることができる。
また、化学重合開始剤としては、例えば、上記の熱重合開始剤で使用される過酸化物と、光重合開始剤において還元性化合物として例示した第3級アミン類とを組み合わせた系等が挙げられる。
重合性組成物において、重合開始剤の配合量は、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部であり、より好ましくは0.1〜5質量部である。この範囲内で、且つ所望する重合性組成物の色調が実現可能な量で使用される。
さらに、充填材としては、歯科分野において、コンポジットレジンの同成分として使用されるようなものが制限なく使用できるが、具体的には、非晶質シリカ、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、石英、アルミナ、バリウムガラス、ジルコニア、チタニア、ランタノイド、コロイダルシリカ等の無機粉体が挙げられる。これらの無機粉体は、シランカップリング剤等による表面処理物であっても良い。さらに、有機粉体や有機無機複合粉体も使用できる。本実施形態の歯科用充填修復材料キットにおいて、特に、好適に使用される充填材は、特開昭58−110414号公報、特開昭58−156524号公報等に記載の方法で製造されるような、球状複合酸化物粒子である。
重合性組成物において、充填材の配合量は、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは200〜1900質量部であり、より好ましくは300〜900質量部である。この範囲内で、且つ所望する重合性組成物の色調が実現可能な量で使用される。
上記重合性単量体、重合開始剤、及び充填材を含む重合性組成物は、着色剤の配合により、所望の色調に調整される。使用される着色剤としては、顔料であっても良く、染料であっても良い。顔料であれば、白色顔料としては酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の白色顔料;べんがら、モリブデンレッド、クロモフタールレッド等の赤色顔料;黄酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、クロモフタールイエロー等の黄色顔料;コバルトブルー、群青、紺青、クロモフタールブルー、フタロシアニンブルー等の青色顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック等の黒色顔料を挙げることができる。他方、染料としては、KAYASET RED G(日本化薬)、KAYASET RED B(日本化薬)の赤色染料;KAYASET Yellow 2G、KAYASET Yellow GN等の黄色染料;KAYASET Blue N、KAYASET Blue G、KAYASET Blue B等の染料等を挙げることができる。口腔内での色調安定性を考慮すると、水溶性の染料よりも不水溶性の顔料を使用することが好ましい。
一般に着色剤として顔料を使用する場合、顔料の平均粒度は、通常、約1μm以下である。必要であれば、市販の顔料を微粉砕により小さい粒径にすることができる。また、歯科用充填修復材料の他の成分との混合を容易にするため、顔料を分散体の形態で配合物に加えることができる。例えば、顔料を反応性希釈剤のような低粘性液体に分散させたり、無機粒子のような粉体に分散させたりしたマスターバッチとして用いることができる。
これらの着色剤の複数を組み合わせて、各重合性組成物を、修復歯牙周辺に適合させるために求められる、a*が−5.0〜3.0の範囲であり、b*が−10〜20の範囲であり、象牙質修復材用重合性組成物のL*が50〜75、エナメル質修復材用重合性組成物のL*が40〜55であるものに調整できる。また、コントラスト比の調整も着色剤により行うことが出来るが、白色顔料によって調整を行うのが好ましい。
一般に、着色剤として顔料を使用する場合、その総配合量は、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.0005〜0.5質量部になり、より好ましくは0.001〜0.3質量部になる。
また、本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する重合性組成物には、必要に応じて公知の他の添加剤を配合することができる。具体的には、重合禁止剤、紫外線吸収剤、水、有機溶媒や増粘剤等が挙げられる。本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する重合性組成物は、組成的には、i)充填修復材(コンポジットレジン)と、ii)前処理材(プライマー)あるいは接着材(ボンディング材)とを組み合わせた光重合型歯科用充填修復材料キットに用いられるコンポジットレジンと類似の材料である。また、本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する重合性組成物は、材料の主たる機能・役割および水、有機溶媒の含有の有無という点において、コンポジットレジンと歯質表面との接着性向上という主たる機能・役割を持つと共に水、有機溶媒を多量に含むプライマーおよびボンディング材とは根本的に異なる材料である。すなわち、本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する重合性組成物は、上述したコンポジットレジンと同様に、水および有機溶媒の含有量は、通常、0質量部であればよい(すなわち、水および有機溶媒を含まない)。但し、本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する重合性組成物には、必要であれば微量の水および/または有機溶媒が含まれていてもよい。この場合の水および/または有機溶媒の含有量は、たとえば、重合性単量体成分100質量部あたり0質量部〜1質量部の範囲が好ましく、0質量部〜0.5質量部の範囲がより好ましい。
次に、本実施形態の歯科用充填修復材料キットの使用方法を説明する。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットは、如何なる歯牙の修復にも使用することが可能であり、一般的な充填用コンポジットレジンの使用方法に従って使用される。具体的には、修復すべき歯牙の窩洞を適切な前処理材や接着材で処理した後に、本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する重合性組成物を直接充填し、歯牙の形に形成した後に専用の光照射器にて強力な光を照射して重合硬化させる方法等があげられる。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットは、象牙質修復材用重合性組成物の上、あるいは象牙質修復材用重合性組成物を硬化させた象牙質修復材の上にエナメル質修復材用重合性組成物が積層される態様で使用されればよい。また、形態形成の容易さを目的として、舌側に薄くエナメル質修復材用重合性組成物を充填、硬化させたエナメル質修復材の上に象牙質修復材用重合性組成物が積層され、さらにエナメル質修復材用重合性組成物が積層されることもなんら問題はない。また、本実施形態の歯科用充填修復材料キットは実際の切端部から歯頸部にかけての広範囲にわたる修復においては、修復対象の人歯と修復材との色調を適合させるためにおいて、象牙質修復材用重合性組成物の上にエナメル質修復材用重合性組成物が部分的に積層されていなくてもよい。例えば、エナメル質が多い切端部の修復においては、象牙質修復材用重合性組成物の上に厚くエナメル質修復材用重合性組成物を積層してもよい。一方、エナメル質が薄く象牙質が厚い歯頚部の修復においては、象牙質修復材用重合性組成物(又は象牙質修復材)がエナメル質修復材用重合性組成物(又はエナメル質修復材)で被覆されていない部分があっても良く、象牙質修復材用重合性組成物(又は象牙質修復材)が部分的に表層にあっても良い。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットにおいて使用する象牙質修復材用重合性組成物及びエナメル質修復材用重合性組成物は、人歯のエナメル質及び象牙質と良く適合したものになるように、該修復対象の部位間および個人差による変動も考慮して、準備することが望ましい。このためには、象牙質修復材用重合性組成物及びエナメル質修復材用重合性組成物のそれぞれに対し、異なる色調を有するものを2〜20種程度準備しておき、使用時にはこれらの中から、互いの色調が異なりかつ屈折率差(n −n )が0.005以上である関係を満たす少なくとも1種類の象牙質修復材用重合性組成物と少なくとも1種類のエナメル質修復材用重合性組成物を選択し、使用すればよい。一般のシェードガイド(「VITAPANClassical」が最も汎用的)で設けられているA系統(赤茶色)、B系統(赤黄色)、C系統(灰色)、D系統(赤灰色)の中から、必要種が適宜に採択される。具体的には、人歯と色相が良く適合するように、重合性組成物の1mm硬化体の黒背景条件下における色調が、CIELab表色系において測色した時に、a*は−5.0〜3.0の範囲内、より好適には−4.0〜2.0の範囲内で設けられている。他方、b*は−10〜20の範囲内、より好適には−9〜19の範囲内で設けられている。
本実施形態の歯科用充填修復材料キットを構成する象牙質修復材用重合性組成物、及びエナメル質修復材用重合性組成物を充填する厚さは修復部位によって適宜調整すればよい。通常は象牙質修復材用重合性組成物を3mm以下、エナメル質修復材用重合性組成物を2mm以下の厚さで充填修復する。本実施形態の歯科用充填修復材料キットは、特に象牙質修復材用重合性組成物を薄く充填するIV級窩洞のような切端部を含む修復に適している。すなわち、切端部は通常、象牙質修復材用重合性組成物を1mm以下、より好ましくは0.5mm以下の厚さで充填されるのに対して、エナメル質修復材用重合性組成物は1mm〜2mm程度の厚さで充填される。このように、象牙質修復材用重合性組成物を薄く、それに比して、エナメル質修復材用重合性組成物を厚く充填した場合、一般的に修復物が暗くなり、象牙質の特徴的構造(マメロン)が見えにくく、審美性が低下してしまう。しかし、本実施形態の歯科用充填修復材料キットを用いれば、エナメル質修復部分を積層することよる明度の低下の問題は改善され、象牙質の特徴的形態を再現し、かつ、天然歯との色調適合性が良い修復を達成することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた化合物を以下に示す。
(1)重合性単量体
・M−1:D2.6E(80)/3G(20)
ポリマーの屈折率:1.556
・M−2:bis−GMA(60)/3G(40)
ポリマーの屈折率:1.546
・M−3:UDMA(45)/D2.6E(35)/3G(20)
ポリマーの屈折率:1.530
・M−4:UDMA(60)/3G(40)
ポリマーの屈折率:1.509
・M−5:D2.6E(100)
ポリマーの屈折率:1.567
上記括弧内は質量部を示しており、ポリマーの屈折率は複数の重合性単量体(例えばM−1ではD2.6Eと3G)を混合し重合させ生成したポリマーの屈折率を示す。
(2)光重合開始剤
・カンファーキノン(CQ)
・N,N−ジメチルp−安息香酸エチル(DMBE)
(3)重合禁止剤
・ハイドロキノンモノメチルエーテル(HQME)
(4)充填材
・F−1:球状シリカジルコニアフィラー(平均粒子径;0.4μm)60質量部、微粒子シリカチタニア(平均粒子径;0.07μm)40質量部を混合、解砕したものを、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面処理を行ったもの。屈折率:1.52
・F−2:不定形シリカジルコニア(平均粒子径;1.2μm)をγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面処理を行ったもの。屈折率:1.53
・F−3:球状シリカジルコニア(平均粒子径;0.2μm)をγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面処理を行ったもの。屈折率:1.52
・F−4:有機無機複合充填材、bis−GMA 40質量部、3G 60質量部、アゾビスイソブチロニトリル 1質量部、F−3 300質量部を混合、脱気、熱重合した後に、粉砕、表面処理を行ったもの、平均粒子径30μm。屈折率:1.52
(5)着色剤
・白顔料(二酸化チタン)
・黄顔料(ピグメントイエロー)
・赤顔料(ピグメントレッド)
・青顔料(ピグメントブルー)
また、以下の実施例及び比較例で、測定している各種物性は、以下の方法により測定したものである。
(1)コントラスト比の測定
直径7mmの貫通孔を開けた厚さ1mmのポリアセタール製型に重合性組成物を填入し、ポリプロピレンフィルムで圧接して、歯科用光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマデンタル社製;光出力密度700mW/cm)で30秒光照射した。得られた硬化体について、標準光Cを照射した際の反射光における色調を、色差計(東京電色社製:TC−1800MKII)を用い、白背景と黒背景条件下で測定し、得られたそれぞれのY値から下記の式を用いて算出した。
C(コントラスト比)=Yb(黒背景でのY値)/Yw(白背景でのY値)
(2)色調測定
JIS Z8729に規定にしたがって測定した。具体的には、直径7mmの貫通孔を開けた厚さ1.0mmのポリアセタール製型に重合性組成物を填入し、ポリプロピレンフィルムで圧接して、歯科用光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマデンタル社製;光出力密度700mW/cm)で30秒光照射した。得られた硬化体について、標準光Cを照射した際の反射光における色調を、色差計(東京電色社製:TC−1800MKII)を用い、黒背景条件下で測定し、CIELab表色系で表される、明度L*、及び色度a*、b*を夫々得た。
(3)積層時の色調測定
JIS Z8729の規定にしたがって測定した。具体的には、直径7mmの貫通孔をあけた厚さ0.5mmのポリアセタール製型に(A)象牙質修復材用重合性組成物を填入し、ポリプロピレンフィルムで圧接して、歯科用光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマデンタル社製;光出力密度700mW/cm)で30秒光照射した。ポリプロピレンフィルムを剥がし、もう一枚の直径7mmの貫通孔をあけた厚さ0.5mmのポリアセタール製型を重ね、(B)エナメル質修復材用重合性組成物を填入し、ポリプロピレンフィルムで圧接して、歯科用光照射器で30秒光照射した。得られた硬化体の(B)エナメル質修復材用重合性組成物の面について、標準光Cを照射した際の反射光における色調を、色差計(東京電色社製:TC−1800MKII)を用いて、黒背景条件下で測定し、CIELab表色系で表される、明度L*、及び色度a*、b*を夫々得た。
(4)積層による色調変化
象牙質修復材用重合性組成物の硬化体(象牙質修復材)の色調の、エナメル質修復材用重合性組成物を積層、硬化することによる色調の変化を次の式で算出した。
ΔL*=L*−L*
ここで、L*は象牙質修復材用重合性組成物の硬化体(厚さ1mm)のL*、L*は象牙質修復材用重合性組成物の硬化体(厚さ0.5mm)の上にエナメル質修復材用重合性組成物を厚さ0.5mmとなるように積層した硬化体のL*を指す。ΔL*は、負に大きいほど積層により明度が低下していることを示し、エナメル質修復材用重合性組成物を積層することにより、象牙質修復材用重合性組成物の硬化体(象牙質修復材)の色調が遮蔽されることを示している。
(5)審美性評価
背景色の影響を受けにくい裏打ちのあるI級窩洞と背景色の影響を受けやすい裏打ちのないIV級窩洞に対して審美性を評価した。具体的には、I級窩洞として、エンデュラポステリオ(商品名 松風社製)のM32 A3の第1大臼歯を用いて、咬合面中央にBox状の窩洞(横約4mm、縦約3mm、深さ約2mm)を作製し、これに対して調整した象牙質修復材用重合性組成物を充填し、成形後、硬化し、その上にエナメル質修復材用重合性組成物を充填、硬化し、研磨を行った。
また、IV級窩洞として、VITAPAN classical(商品名 VITA社製)のA3を用い、近心にBox状の窩洞(横約3mm、縦約4mm)を作製し、これに対して調製した象牙質修復材用重合性組成物を充填し、マメロンの形状に成形後、硬化し、その上にエナメル質修復材用重合性組成物を充填、硬化し、研磨を行った。各修復部位の審美性を、I級窩洞については、修復歯牙の色調適合性について、IV級窩洞については、修復歯牙の色調適合性とマメロンの視認性について、それぞれ下記基準で評価を行った。
<修復歯牙との色調適合性>
A:修復材料の色調が周辺部位と良く適合している。
B:修復材料の色調が周辺部位と適合しているが、修復箇所が分かる。
C:修復材料の色調が周辺部位より明確に暗く適合していない。
<マメロンの視認性>
A:マメロンの形状が視認できる。また、下記評価Bと比べて、天然歯により近い修復物となっている。
B:マメロンの形状が視認できる。
C:マメロンの形状が視認できない。
(実施例1)
暗所にて、CQを0.2質量部、DMBEを0.5質量部、HQMEを0.15質量部溶解させた重合性単量体M−1 100質量部と充填材F−1 400質量部を混合練和し、重合性組成物を調製した。この重合性組成物に、表1に示すコントラスト比C及び色調L*、a*、b*を有するように、適量の顔料を添加し、十分に混合練和し、脱泡したものを重合性組成物P1とした。また、使用した重合性単量体および充填材の種類・配合量を表1に示す条件に変更した以外は、重合性組成物P1と同様にして調製したものを重合性組成物P2とした。いずれの重合性組成物もペースト状であった。重合性組成物P1を象牙質修復材用重合性組成物(A)、重合性組成物P2をエナメル質修復材用重合性組成物(B)として使用し、前記した方法によって各種評価を行った。結果を表2に示した。
(実施例2〜9、11〜15、比較例1〜3)
使用した重合性単量体および充填材の種類・配合量を表1に示す条件に変更した以外は、重合性組成物P1と同様にして重合性組成物P3〜P17を調製した。いずれの重合性組成物もペースト状であった。次に、象牙質修復材用重合性組成物(A)として用いた重合性組成物とエナメル質修復材用重合性組成物(B)として用いた重合性組成物とを、表2に示すように組み合わせて、各種評価を実施した。評価結果を表2に示した。
(実施例10、比較例4)
使用した重合性単量体および充填材の種類・配合量を表1に示す条件に変更した以外は、重合性組成物P1と同様にして重合性組成物P1’、P2、P4、P10’を調整した。いずれの重合性組成物もペースト状であった。次に、これらの重合性組成物を表2に示すように組み合わせて各種評価を行った。なお、表2に示す積層時の色調の評価に際しては、象牙質修復材用重合性組成物を厚さ0.5mm、エナメル質修復材用重合性組成物を厚さ1.0mmに変更した以外は、既述した(3)積層時の色調測定の測定手順に従って評価した結果を表2に示した。また、ΔL*に関しては、L*の値を求めるのに用いた象牙質修復材用重合性組成物の硬化体(すなわち、実施例10で用いた重合性組成物P1’および比較例4で用いた重合性組成物P10’)の厚さを1.5mmに変更した以外は、既述した(4)積層による色調変化の評価手順に従って算出した。結果を表2に示した。
Figure 0006258919
Figure 0006258919
表2に示した実施例1〜9、11〜15の結果から理解されるように、(A)象牙質修復材用重合性組成物に含まれる重合性単量体のポリマーの屈折率n より(B)エナメル質修復材用重合性組成物に含まれる重合性単量体のポリマーの屈折率n が小さく、その屈折率差(n −n )が0.005以上であると、エナメル質修復材が積層されても象牙質修復材の明度の低下が少なく、裏打ちのないIV級窩洞修復においても背景色の影響を受けることなく審美性が高い修復ができた。
一方、表2に示した比較例1〜3の結果から理解されるように、(A)象牙質修復材用重合性組成物に含まれる重合性単量体のポリマーの屈折率n と(B)エナメル質修復材用重合性組成物に含まれる重合性単量体のポリマーの屈折率n との屈折率差(n −n )が0.005未満であると、エナメル質部分修復材が積層されることにより象牙質部分修復材の明度が低下し、IV級窩洞を修復した際に背景色の影響を受けて暗い修復物となった。このため、マメロンの視認性が低かった。
表2に示した実施例10の結果から理解されるように、屈折率差(n −n )が0.005以上であれば、象牙質修復材の上に、エナメル質修復材が厚く充填されても、明度の低下が少なく、切端部におけるマメロンの視認性が高い。
一方、表2に示した比較例4の結果から理解されるように、屈折率差(n −n )が0.005未満の場合、象牙質修復材の上に、エナメル質修復材が厚く充填されると、より明度の低下が大きく、切端部におけるマメロンの視認性が低い。

Claims (3)

  1. (A)象牙質部分を修復するための象牙質修復材用重合性組成物と、(B)象牙質修復材の上に積層されるエナメル質修復材用重合性組成物とを含み、
    (A)象牙質修復材用重合性組成物と(B)エナメル質修復材用重合性組成物との色調が異なり、かつ、(A)象牙質修復材用重合性組成物中の(a)重合性単量体のポリマーの屈折率n と(B)エナメル質修復材用重合性組成物中の(b)重合性単量体のポリマーの屈折率n との差(n −n )が0.005以上であることを特徴とする歯科用充填修復材料キット。
  2. (A)象牙質修復材用重合性組成物と(B)エナメル質修復材用重合性組成物とからなることを特徴とする請求項1に記載の歯科用充填修復材料キット。
  3. (A)象牙質修復材用重合性組成物の1mm硬化体のコントラスト比が0.55〜0.75であり、(B)エナメル質修復材用重合性組成物の1mm硬化体のコントラスト比が0.30〜0.54である請求項1または2に記載の歯科用充填修復材料キット。
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