JP3917204B2 - 歯科用複合修復材料の選択方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は歯科の分野において、齲蝕等による歯牙欠損部を治療するための直接充填用の歯科用複合修復材料および歯冠形成用の歯科用複合修復材料の選択方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯科用複合修復材料が登場する以前は、充填治療にはアマルガムが、歯冠形成には金合金等が使われていた。これらに対し、複合修復材料は、安価でかつ天然歯に近い色調が比較的容易に達成できることから急速に普及し、現在では、前歯の治療では大部分が複合修復材料により行われている。これまで複合修復材料の外観を天然歯に近づけるためには、色そのものを顔料添加量により調整して天然歯に近づけることと、材料の半透明性を天然歯に近づけることが行われていた。しかしながら、これらの特性を天然歯に近づけたとしても、臨床においては種々の問題点が残っていた。例えば、前歯の治療において、窩洞が浅く、後ろにエナメル質や象牙質があるような場合には比較的色や半透明性がよく合っていた材料を、齲触が大きくて窩洞が舌側に突き抜けたような所の治療に使うと、色が暗くなって、全く天然の歯とは異質な感じを与えてしまうことがよくある。同じようなことは、前歯の先端のようなエナメル質のみから成る部分を修復したときにも度々経験することである。逆に、上述のような治療で適当な半透明性を持つように調節した場合に、背景として歯質が存在する窩洞の治療を行うと、今度は不透明すぎて異物感が非常に強くなってしまうことも多々発生していた。また、上記と同様の問題は、充填修復物を種々の角度から観察し、その方向によって背景の材質や状態が変わるような時にも発生する。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
上述のような問題点は、従来使われてきた色調と半透明性だけでは、歯科用複合修復材料の本質的な光学的材料特性を把握できないことを意味しているものと思われる。本発明は、このような問題のない、本質的に天然歯に近い光学特性を持つ複合修復材料の選択方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を克服すべく鋭意検討を重ねたところ、複合修復材料の光透過性の調整が非常に重要な意味を持つことを見いだした。ここで言う光透過性は、前述の半透明性の調整とは全く別個のものであり、この点を十分に区別しておく必要があるので以下で詳細に説明を行う。
従来このような材料の特性評価に用いられてきた半透明性は、次のような方法で定義されている。すなわち、一定厚みの試料板を照明したときの明るさを標準の白色背景と黒色背景のそれぞれに接触させた状態で測定する。この内の黒色背景については、暗箱のようなものを用い透過光を全て吸収する条件で測定しても良い。この時明るさとしては、JIS Z8701に規定されるXYZ表色系の三刺激値のうち明るさに関するYの値を用いるのがふつうである。白色背景の時の明るさをYw、黒色背景の時の明るさをYbとすると、半透明性の尺度であるコントラスト比(D)はYb/Yw(式(2))で求められる。Cの値が1に近いほど不透明な材料で、0に近いほど透明な材料である。
【0005】
コントラスト比は、上述のように背景に試料が接触した状態で測定した光学特性値から求めたもので、実際の現象としては次のような場合とよく合致する。新聞や雑誌のような印刷物の上に複合修復材硬化物板を置いたときに、コントラスト比が小さい材料の場合は、印刷の状態が鮮明に読みとれ、コントラスト比が大きくなると不鮮明となる。このような現象との対応で、これまではコントラスト比が半透明性の尺度として用いられてきた。ところが、このような硬化物を通して、天井の蛍光灯のような離れたところにある光源を見た場合、コントラスト比が同じ材料であっても、材料によって光源の見え方が大きく異なり、一方は光源が明瞭に見えるのに対し、他方はぼやけてしまい、ただ明るい部分がわかるだけということが存在する。本発明者らは、この現象が前述の本発明で解決すべき問題と関連しているものと考え、検討を進めた。
【0006】
材料の光透過性を測定するための手法には、複数のものがある。例を挙げると、紫外可視分光光度計、色差計、ヘイズメーター等であるが、本発明者らが検討したところこれらの装置では、ここで目的とするような光透過特性を明確に検出することはできない。この理由は装置の構造にあり、これらの装置の検出器の視野角がかなり広く設定されているために、厳密な正透過光の測定ができていないことによるものと考えている。本発明の目的とする光透過特性を検出するには、変角光度計あるいはゴニオフォトメーターと呼ばれる装置の使用が必要である。このような装置によれば、ごく狭い視野角での光度(光の強さ)を測定できるため、ここで必要とする材料の光透過性の違いを高感度に検出することができる。また、このような装置によれば、材料の正透過に関わる光透過性と、正透過以外の部分の拡散透過光に関わる光透過性とを同時に高感度に区別して検出することが可能である。
【0007】
本発明者らは、種々の複合修復材料を作製し、その硬化物に対して垂直に入射した光が材料を透過した時に、透過光の光度が入射方向からの角度によりどのように変化するかを測定すると同時に、これらの組成物を抜去歯牙の種々の部位の修復に使用して、様々な角度から観察しその光学的な材質感の天然歯への適合性を評価した。その結果、透過光の光度分布を極座標で表示したときのグラフの形態と、臨床的な見え方との間に強い相関があることを見いだした。すなわち、正透過性が強く、拡散反射成分がほとんどないほぼ針状の分布をなす場合には、それが極端すぎると歯科用の複合修復材料としては使えないが、ある範囲以下になると、エナメル質のみの部分の修復や形成には使用できること、また、正透過性が弱くなり、拡散性が強くなって、グラフの形が円形に近づくと象牙質のみから成る部分の修復や形成に適していること、さらに、両者の中間で、グラフの形としては楕円に近い形状の場合には、エナメル質や象牙質を同時に含むようないわゆる充填修復の窩洞を修復する場合に適していることを見いだしたのである。
【0008】
このような、臨床的に好ましい材料の光学的材質感を与えるグラフの形態を言葉だけで表現していては、材料特性を評価する上での尺度として不十分である。そこで、これらの形態を端的に表す数値尺度として式(3)に示すような拡散度(D)に着目した。
D = ( I20 / cos 20 + I70 / cos 70 ) ・ cos 5/ ( 2 ・ I5 ) (3)
(Iは試料を透過した光の光度を表し、I5、I20およびI70は試料板に垂直な方向(光の入射方向)からそれぞれ、5度、20度、70度傾いた方向の透過光の光度(光の強さ)を表す。三角関数の角度も、同様である。)
【0009】
この式において、各光度の値をその角度の余弦で除しているのは、人間の目で感じることのできる尺度に対応した形にするためである。すなわち、人間の目が感じる光の強さが照度であるので、実際の測定結果である光度を照度に換算した後に透過光の分布形状を評価する必要があるためである。つまり、照度の定義から光度をその測定角度の余弦で除することで照度への換算ができるのである。この式の目的とするところは、20度方向の照度と70度方向の照度との平均を5度方向の照度で割ることによって、透過光分布の形状を定義しようとすることにある。したがって、Dの値が1に近づくほど分布形状は円に近づき、拡散性が強くなることを表している。この式は、蛍光灯などの照明器具のカバーや、プロジェクタースクリーンのような光拡散性を要求される材料の光学特性の評価に用いられていたもので、式自体は特に新しいものではない。
【0010】
本発明者らも、この式によって歯科用複合修復材料の光学特性を定義できるのではないかと考えたが、現実にはこの式のままでは不十分で前述のような適用部位ごとの違いをうまく区別できなかった。これは、従来の拡散度の式が、最も正透過に近い部分の値として5度方向の値を使用していることによるものと考えた。つまり、歯科用として使用できる材料は、元々この式が対象としていた光拡散性材料よりもグラフの形状としては楕円に近いものであるので、5度方向を使用したのでは、他の方向との差が非常に小さくなり、その違いがわかりにくくなるものと思われる。そこで、上記(3)式の変形を種々試みたところ、分母側に正透過光の照度を用い、20度方向の照度と70度方向の照度の平均を零度方向(正透過光)の照度で除したものを拡散度としてとることで、前述の歯科用複合修復材料としての適正を十分に区別し、表現できることがわかった。
【0011】
すなわち本発明は、
(1)以下の式(1)で定義される透過光の拡散度(D)が、0.002から0.01の範囲にある修復材料を、エナメル質修復用あるいはエナメル質から成る歯冠部形成用として選択する、歯科用複合修復材料の選択方法、
D=(I 20 cos 20 +I 70 cos 70 )/(2・I ) (1)
(但し、Iは試料を透過した光の光度を表し、I 、I 20 およびI 70 は試料板に垂直な方向(光の入射方向)からそれぞれ、零度、 20 度、 70 度傾いた方向の透過光の光度(光の強さ)を表す。三角関数の角度も、同様である。)
(2)前記の式(1)で定義される透過光の拡散度(D)が、0.01から0.3の範囲にある修復材料を、象牙質および歯根部修復用あるいは象牙質から成る歯冠部形成用として選択する、歯科用複合修復材料の選択方法、及び
(3)前記の式(1)で定義される透過光の拡散度(D)が、0.007から0.3の範囲にある修復材料を、エナメル質と象牙質あるいはセメント質に渡って存在する窩洞の充填修復用として選択する、歯科用複合修復材料の選択方法、
に関する。
【0012】
この拡散度を前述の試作した複合修復材料に当てはめると、エナメル質部分の修復や形成に適している場合は、材料が0.002〜0.01の間のDを、象牙質あるいはセメント質部分の修復や形成に適しているものは0.01〜0.3のDを、そして複数の材質から成る部分の修復には、0.007〜0.3の間のDを持つことが望ましいことがわかった。この時、複数の材質から成る部分の修復に適する材料のDがかなりの部分象牙質あるいはセメント質に適する材料と重複している理由は、歯冠を解剖学的に見た場合に、厚みとしては象牙質の占める割合が高く、歯の光学的材質感に対する影響度が象牙質の方が大きいためではないかと考えている。ただし、歯冠のかなり先端に近い部分の修復においてはエナメル質の影響を無視できなくなるため、低めのD値を持つ材料も必要になる。
【0013】
歯科用複合修復材料として適当な材料の透過光分布を検索していく過程において、材料の光透過性を調整するには以下のような構成が有効であることが判明した。すなわち、複合修復材料が重合性単量体と硬化後の重合性単量体の屈折率との差が0.06以下であるような屈折率を持つ第1のフィラーと、硬化後の重合性単量体の屈折率との差が0.06よりも大きい屈折率を持ち、平均粒子径が1μm以上の第2のフィラーとから少なくとも構成されていることが必要である。このほかマトリックス層を強化するための、平均粒子径0.1μm以下のマイクロフィラーや、着色のための顔料を含むことにはなんら問題はない。
【0014】
第1のフィラーの種類は上述の条件を満たしている限り特に限定されるものではなく、これまで一般に用いられている、石英、水晶、バリウムボロアルミノシリケートガラス(バリウムガラスと称されることが多い)、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス(ストロンチウムガラスと称されることが多い)、ランタンボロアルミノシリケートガラス(ランタンガラスと称されることが多い)、リチウムアルミノシリケートガラス等のものが本発明において好適に使用できる。特に、近年のように複合修復材料の高い研磨面光沢性が要求される場合には、1μm以下の平均粒子径にまで粉砕されたものや、ゾルゲル法で合成された球状の単分散サブミクロンフィラー等が適している。
【0015】
これらの構成成分の中で、光透過性の調整に有効なのは、第2のフィラーである。この第2のフィラーは、レジン中に含まれるひと固まりの平均粒子径が1μmを越えていればよく、構成単位としての1μm以下の粒子が凝集して平均粒子径1μm以上の粒子を形作ったものであっても目的を達成しうる。もし、第2のフィラーの粒子径が1μmよりも小さい場合には、透過光の調整機能が大きく低下してしまう。また、上限は特に制限されないが、複合修復材の研磨性を損なわない範囲で、常識的に規定されるべきである。第2のフィラーの添加量は、重合性単量体と2種類のフィラーの組み合わせによって決まるものであり、一概に規定することはできない。予備試験によって適切な範囲の含有量を設定することが必要である。これは、重合性単量体と第1のフィラーとの組み合わせによって、複合修復材の光透過性が大きく変化するためである。
【0016】
第2のフィラーの材質としては、第1のフィラーで例示したものも、屈折率と粒子径の関係さえ満足していれば、使用することが可能であるし、あるいは噴霧熱分解法のシリカ(デグサ社のアエロジルOX-50など)や、湿式法のシリカゾル、ゾルゲル法による単分散サブミクロンフィラー等も使用できる。これらの粒子径が1μmよりも小さい場合には、前述のように何らかの手法(例えば、熱風乾燥から粉砕、あるいはスプレー乾燥)でこれらを凝集させたものでも良い。また、この凝集粒子をさらに焼成し、ゆるやかに融着させたものも適当である。
【0017】
屈折率が異なる2種のフィラーを使用するのは、従来から用いられてきた半透明性の尺度(例えばコントラスト比)を適切な領域に調節すると共に、両者の組み合わせで光透過性も同時に調節しなければならないためである。第2のフィラーだけを用いたのでは、屈折率の差が大きすぎて複合修復材料硬化物の半透明性が低くなりすぎてしまう。つまり、少なくとも2種類のフィラーを組み合わせることで、初めてこれらの調節が可能になるのである。
またコントラスト比等の、従来公知の半透明性については、上記のフィラーの選択と同時に顔料の量(主として酸化チタン)で調節することが可能である。顔料は多くても数百ppm程度の添加であり、従来の半透明性の調整には有効であるが、D値を変化させるほどの効果はない。従って、顔料を調整することで、光透過性を調整することは難しい。
【0018】
コントラスト比等の従来公知の半透明性の調整については、治療の際に歯質等が背景として存在するときの光学的材質感を合わせるために重要で、エナメル質から成る部分には、0.45〜0.52のコントラスト比を持つものを、象牙質やセメント質から成る部分には0.57〜0.65の間のコントラスト比を持つものを、複数の材質から成る部分には、0.51〜0.59の範囲のコントラスト比を持つものを使用することが好ましい。
【0019】
複合修復材料の製造に当たり各フィラーは、重合性単量体成分と混合されるに先立ち、その表面を通常使用されるシランカップリング剤、例えば、ω−メタクリロキシアルキルトリメトキシシラン(メタクリロキシ基と珪素原子との間の炭素数:3〜12)、ω−メタクリロキシアルキルトリエトキシシラン(メタクリロキシ基と珪素原子との間の炭素数:3〜12)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等の有機珪素化合物で処理される。この処理により、重合性単量体成分とより強固に結合することが可能となる。処理剤の種類、処理方法等は特に限定されるものではなく一般に公知の手法を使用できる。
【0020】
本発明の複合修復材料の重合性単量体としては、一般的に歯科用複合修復材料に用いられるものを好適に使用することができる。また、これら重合性単量体は、その中に重合開始剤、着色顔料、重合禁止剤、紫外線吸収剤、変色防止剤、抗菌剤、その他従来公知の各種添加剤を配合する事が出来る。より具体的に重合性単量体の例を示すと、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜10)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(炭素数2〜20)、エチレングリコールオリゴマージ(メタ)アクリレート(2〜10量体)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2.2−ビス[p−(γ−メタクリロキシ−β−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ジ(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(1分子中にエトキシ基2〜10個)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の1官能性、多官能性の(メタ)アクリル酸エステル類や、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート2モルとジイソシアネート1モルとの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリル酸エステル類である。これらの単量体は単独で用いることもあるが、2種類以上の単量体を混合して使用することが好ましい。単量体は重合性樹脂組成物中に10〜50重量%の割合で使用する。
【0021】
また、本発明の組成物に使用することの出来る重合触媒としては、例えば、有機過酸化物と芳香族第3級アミンの組み合わせが挙げられる。これらは、一方のペースト中には有機過酸化物、他方のペーストには芳香族第3級アミンを配合するようにして使用する。過酸化物としては、芳香族基を有するジアシルパーオキサイド類や過安息香酸のエステルとみなされるようなパーオキシエステル類が好ましく、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ[(o−ベンゾイル)ベンゾイルパーオキシ]ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ[(o−ベンゾイル)ベンゾイルパーオキシ]ヘキシン−3、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が効果的であり、第3級アミンとしては、芳香族基に直接窒素原始の置換した第3級アミンが好ましく、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシプロピル)アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が効果的である。
【0022】
また、場合によってはこの組成物に光重合機能を付与することも可能で、その場合には、例えば、カンファーキノンとアミン、カンファーキノンと有機過酸化物およびアミン、カンファーキノンとN,N−ジメチル安息香酸アルキルエステル、カンファーキノンとアルデヒドおよび有機過酸化物、カンファーキノンとメルカプタン、カンファーキノンとアゾ化合物等に記載されている従来公知の可視光線を利用する光重合型開始剤の使用ができる。しかし、上記の有機過酸化物と光重合用のアミン系促進剤とを同一のペースト内に同時に配合する事はない。これらの触媒は重合性単量体に対し0.1〜5重量%の範囲で使用される。
【0023】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例に示した複合修復材料の物性測定は、以下の方法にしたがった。
(1)拡散度
製造した複合修復材料をテフロン製の金型(直径30mmx厚さ0.3mm)に充填した。上下面をスライドガラスで圧接し、両面から各1分間光照射して硬化させた。硬化物を金型から取り出したのち、三次元変角光度計(村上色彩技術研究所製GP−200)を用いて、透過光の光度分布を測定した。拡散度は、前述の式(1)に従って計算した。
【0024】
(2)コントラスト比
厚さ1mmの金型を用い、製造した複合修復材料を充填し、上下面からスライドガラスで圧接し、両面からそれぞれ1分間ずつ光照射して硬化させた。この試料について、標準白色板を背後に密着させた状態と暗箱によって透過光を全て吸収した状態でY値を測定した。この結果に基づき、式(2)に従ってコントラスト比を測定した。
【0025】
実施例1
2,2−ビス[p−(γ−メタクリロキシ−βヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(以降Bis−GMAと称する)70重量部とトリエチレングリコールジメタクリレート(以降TEGDMAと称する)30重量部を混合し重合性単量体混合物を作製した。この単量体混合物100重量部中にカンファーキノン1重量部およびジメチルアミノエチルメタクリレート(以降DMAEMAと称す)1重量部を添加して光による硬化を可能とした。以降この重合性単量体混合物をモノマー1とする。この重合性単量体混合物を硬化させた後の屈折率は、1.555であった。バリウムボロアルミノシリケートガラス(ショット社8235、平均粒子径0.7μm、屈折率1.55)を粉末100重量部に対し、5重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以降γ−MPSと称す)で、表面処理した。表面処理は、蒸留水中に酢酸と所定量のγ−MPSを投入後撹拌加水分解し、さらに粉末を加えて1時間撹拌した。加熱乾燥して水分を除去した後、さらに100℃で3時間熱処理して行った。このようにして作製したフィラーをフィラー1と称す。
平均粒子径4μmの溶融石英(屈折率1.46)の粉末100重量部に対し、2重量部のγ−MPSを用いて、フィラー1と同じ手順で表面処理した。以降このフィラーをフィラー2とする。
モノマー1の100重量部に対し、フィラー1を240重量部、フィラー2を20重量部混合して、複合修復材料を作製した。この複合修復材料硬化物の拡散度は0.005であった。これに適当量の顔料を添加し、天然歯に類似の色調とすると同時にコントラスト比を0.55に調整した。
【0026】
抜去した上顎中切歯切端近くの浅いエナメル質から大部分がなるI級窩洞、隣接面の大きな打ち抜きのIII級窩洞、および歯根部と歯冠部の境界付近のV級窩洞を形成し、上記の複合修復材料を用いて一括充填した。このとき、歯科用の接着剤(クラレ社製クリアフィルライナーボンドII)を併用した。複合修復材を硬化後、松風社製ダイヤモンドポイントスーパーファインにより、形態修正した後、松風社製シリコンポイントハード(赤)を用いて研磨した。研磨終了後の色調適合性を3人の歯科医により評価したところ、いずれの歯科医とも材料の光学的材質感が天然歯に非常によく合っているとの判断であった。とくに、I級窩洞における適合が良かった。
【0027】
実施例2
モノマー1の100重量部に対し、フィラー1を240重量部、フィラー2を60重量部混合して、複合修復材料を作製した。この複合修復材料硬化物の拡散度は0.07であった。これに適当量の顔料を添加し、天然歯に類似の色調とすると同時にコントラスト比を0.55に調整した。
実施例1と同様の評価を行ったところ、いずれの歯科医とも材料の光学的材質感が天然歯に非常によく合っているとの判断であった。とくに、III級窩洞における適合が優れていた。
【0028】
実施例3
モノマー1の100重量部に対し、フィラー1を240重量部、フィラー2を100重量部混合して、複合修復材料を作製した。この複合修復材料硬化物の拡散度は0.28であった。これに適当量の顔料を添加し、天然歯に類似の色調とすると同時にコントラスト比を0.60に調整した。
実施例1と同様の評価を行ったところ、いずれの歯科医とも材料の光学的材質感が天然歯に非常によく合っているとの判断であった。とくに、V級窩洞における適合が優れていた。
【0029】
実施例4
平均粒子径2ミクロンのパイレックスガラスの粉砕物(屈折率1.48)の100重量部に対し、2重量部のγ−MPSでフィラー1と同様に表面処理した。これをフィラー3と称する。
モノマー1の100重量部に対し、フィラー1を240重量部、フィラー3を80重量部混合して、複合修復材料を作製した。この複合修復材料硬化物の拡散度は0.07であった。これに適当量の顔料を添加し、天然歯に類似の色調とすると同時にコントラスト比を0.55に調整した。
実施例1と同様の評価を行ったところ、いずれの歯科医とも材料の光学的材質感が天然歯に非常によく合っているとの判断であった。とくに、III級窩洞における適合が優れていた。
【0030】
実施例5
平均粒子径0.2μmの球状シリカ(日本触媒製シーホスター、屈折率1.46)を粉末100重量部に対して2重量部のポリビニルアルコール(クラレ製PVA117)の存在下に、噴霧乾燥(大河原化工機L−8)により凝集化した。この凝集粉末は、平均粒子径20μm程度のほぼ球状の粒子であった。この凝集粉末を950℃で1時間焼成した後、さらに粉末100重量部に対して2重量部のγ−MPSで処理して粉末を疎水化した。これをフィラー4と称する。
モノマー1の100重量部に対し、フィラー1を250重量部、フィラー4を30重量部混合し、複合修復材料を作製した。このものの拡散度は0.07であった。これに適当料の顔料を添加して天然歯に類似の色調とすると同時にコントラスト比を0.55に調整した。
実施例1と同様の評価を行ったところ、いずれの歯科医とも材料の光学的材質感が天然歯に非常によく合っているとの判断であった。
【0031】
比較例1
モノマー1の100重量部に対し、フィラー1を300重量部混合し、さらに適量の顔料を添加して、天然歯に類似の色調を持つ複合修復材とした。この材料の拡散度は0.001、コントラスト比は0.55であった。これを、実施例1と同様に評価したところ、I級窩洞では何とか使用に耐えるものの、打ち抜きのIII級窩洞では、背景が強く反映され、異質な材料が存在することが明確に認識され、光学的材質感が悪いとの判断であった。
【0032】
比較例2
モノマー1の100重量部に対し、フィラー1を240重量部、フィラー2を150重量部添加し、さらに適量の顔料を添加して、天然歯類似の色調を持つ複合修復材とした。この材料の拡散度は0.35、コントラスト比は0.60であった。これを、実施例1と同様の評価にかけたところ、いずれの窩洞においても、材料の不透明感が強く感じられ、異質な材料が存在することが明確に認識された。したがって、この材料は、光学的材質感が悪いと判断された。
【0033】
比較例3
フィラー4に用いた平均粒子径0.2μmのシリカ粒子を凝集、熱処理することなく実施例5と同様に表面処理してフィラー5とした。モノマー1の100重量部に対し、フィラー1を240重量部、フィラー5を30重量部混合し、さらに適量の顔料を添加して、天然歯類似の色調を持つ複合修復材料とした。この材料の拡散度は0.001で、コントラスト比は0.55であり、第2のフィラーが小さすぎる場合には拡散度の調整が困難であった。
【0034】
【発明の効果】
従来使われてきた色調と半透明性だけでは、歯科用複合修復材料の光学的特性の調整は不十分であり、本発明によって、本質的に天然歯に近い光学的特性を持つ複合修復材料を提供することができる。

Claims (3)

  1. 以下の式(1)で定義される透過光の拡散度(D)が、0.002から0.01の範囲にある修復材料を、エナメル質修復用あるいはエナメル質から成る歯冠部形成用として選択する、歯科用複合修復材料の選択方法
    D=(I20/cos 20+I70/cos 70)/(2・I) (1)
    但し、Iは試料を透過した光の光度を表し、I、I20およびI70は試料板に垂直な方向(光の入射方向)からそれぞれ、零度、20度、70度傾いた方向の透過光の光度(光の強さ)を表す。三角関数の角度も、同様である。)
  2. 以下の式(1)で定義される透過光の拡散度(D)が、0.01から0.3の範囲にある修復材料を、象牙質および歯根部修復用あるいは象牙質から成る歯冠部形成用として選択する、歯科用複合修復材料の選択方法
    D=(I20/cos 20+I70/cos 70)/(2・I) (1)
    但し、Iは試料を透過した光の光度を表し、I、I20およびI70は試料板に垂直な方向(光の入射方向)からそれぞれ、零度、20度、70度傾いた方向の透過光の光度(光の強さ)を表す。三角関数の角度も、同様である。)
  3. 以下の式(1)で定義される透過光の拡散度(D)が、0.007から0.3の範囲にある修復材料を、エナメル質と象牙質あるいはセメント質に渡って存在する窩洞の充填修復用として選択する、歯科用複合修復材料の選択方法
    D=(I20/cos 20+I70/cos 70)/(2・I) (1)
    但し、Iは試料を透過した光の光度を表し、I、I20およびI70は試料板に垂直な方向(光の入射方向)からそれぞれ、零度、20度、70度傾いた方向の透過光の光度(光の強さ)を表す。三角関数の角度も、同様である。)
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