この画像読取装置における自動媒体搬送装置において、ホッパに支持された媒体は給送ローラーにより前記ホッパから下流側に送り出され、前記媒体の搬送路に沿って搬送される。そして、前記媒体は搬送ローラーと、該搬送ローラーに当接する当接ローラーとにニップされて前記媒体を読み取る画像読み取り位置まで搬送され、前記スキャナーによって読み取られる。その後、前記媒体は前記搬送ローラー及び当接ローラーにより搬送路に沿って下流側に搬送され、前記媒体が排出ローラーに達すると前記排出ローラーにより排出トレイに排出される。
ところで、このような自動媒体搬送装置において、前記搬送ローラーに当接する前記当接ローラーは、樹脂製の媒体案内部材に付勢ばねで付勢された状態で取り付けられる場合がある(図11(A)及び図11(B)参照)。図11(A)に示すように樹脂製の媒体案内部材104に付勢ばね106を介して当接ローラー108が取り付けられている。そして、図11(B)に示すように付勢ばね106の付勢力を受けて媒体案内部材104の一部が前記媒体の搬送路に面する側と反対の側(図11(B)における+X軸方向)に撓むことがある。尚、図11(B)において+X軸方向に撓んだ状態における媒体案内部材を104´とする。
その結果、当接ローラー108が媒体案内部材104´に対して、媒体案内部材104が撓む前よりもより大きく突出した状態(図11(B)参照)となる。尚、図11(A)において、符号110は搬送ローラーを示し、符号112は媒体案内部材104における湾曲した媒体案内面を示し、符号114が付された二点鎖線の矢印は、媒体案内部材104が撓まない状態、すなわち本来の位置における媒体案内面112に沿って搬送される前記媒体の搬送経路を示す。また、図11(B)において、符号112´は撓んだ状態における媒体案内部材104´における湾曲した媒体案内面を示し、符号116が付された二点鎖線の矢印は、撓んだ状態の媒体案内部材104´における媒体案内面112´に沿って搬送される前記媒体の搬送経路を示す。
ここで、図11(A)に示すように媒体案内部材104が図11(A)における+X軸方向に撓まず、当接ローラー108に対して媒体案内部材104が本来の位置にある場合、当接ローラー108は、媒体案内部材104の媒体案内面112からわずかに突出した状態にある。
前記媒体が媒体案内部材104まで搬送されてくると、前記媒体の先端が湾曲した媒体案内面112に沿って搬送される。そして、媒体案内面112に沿って搬送される前記媒体の先端が当接ローラー108と当接する。この際、当接ローラー108の媒体案内面112からの突出量が小さいので、前記媒体の先端と当接ローラー108との当接角が小さくなり、前記媒体の先端が当接ローラー108に引っ掛かりにくくなり、円滑に搬送ローラー110と当接ローラー108との間に前記媒体の先端を導くことができる。その結果、前記媒体の搬送方向下流側への搬送を円滑なものとすることができる。
これに対し、媒体案内部材104´が前記媒体の搬送路に面する側と反対の側(図11(B)における+X軸方向)に撓み、媒体案内部材104´に対して当接ローラー108が撓む前の状態(図11(A)参照)よりもより大きく突出した場合において、前記媒体の先端が媒体案内面112´に沿って搬送される。そして、媒体案内面112´は媒体案内面112に対して前記媒体の搬送路に面する側と反対の側に撓んだ分だけ図11(B)における+X軸方向側にずれているので、前記媒体を本来の搬送経路からずれた経路に沿って案内する。
そして、媒体案内面112´は前記媒体を搬送ローラー110と当接ローラー108とのニップ点から当接ローラー108側にずれた位置に案内する。その結果、前記媒体の先端と当接ローラー108との当接角が大きくなり、前記媒体の先端が媒体案内部材104´から大きく突出した当接ローラー108に突き当たる虞がある(図11(B)参照)。その結果、前記媒体搬送経路において前記媒体の搬送不良や紙詰まりが生じる虞がある。また、前記媒体が、本来の搬送経路からずれた位置の経路を通るので前記媒体の搬送精度が低下する虞がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、媒体を搬送する媒体搬送経路の一部が撓みを低減し、紙詰まりや搬送不良の発生を低減するとともに媒体搬送経路における媒体の搬送精度を安定させることができる媒体搬送装置、画像読取装置及び記録装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の一つの態様に係る媒体搬送装置は、媒体を媒体搬送経路に沿って搬送する搬送ローラーと、前記搬送ローラーに対向して配置され、かつ前記搬送ローラーとともに前記媒体を前記媒体搬送経路に沿って搬送する搬送従動ローラーと、前記媒体搬送経路において前記媒体を案内する案内部材と、前記案内部材に揺動可能に保持され、かつ前記搬送従動ローラーを前記搬送ローラー側に露出させて回動自在に支持する案内補助部材と、前記案内補助部材を前記搬送ローラーに向けて付勢することで、前記搬送従動ローラーを前記搬送ローラーに向けて付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする。
また、本発明の第1の態様に係る媒体搬送装置は、媒体を媒体搬送経路に沿って搬送する搬送ローラーと、前記搬送ローラーに対向して配置され、かつ前記搬送ローラーとともに前記媒体を前記媒体搬送経路に沿って搬送する搬送従動ローラーと、前記媒体搬送経路において前記媒体を案内する案内部材と、前記案内部材に揺動可能に保持され、かつ前記搬送従動ローラーを前記搬送ローラー側に露出させて回動自在に支持する案内補助部材と、前記搬送従動ローラーを前記搬送ローラーに向けて付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記付勢部材により前記搬送ローラー側に付勢される前記搬送従動ローラーを回動自在に支持する前記案内補助部材を前記案内部材が揺動可能に保持する。即ち、付勢部材によって付勢される案内補助部材(前記搬送従動ローラーを支持する部材)と前記案内部材とが別体であることから、前記搬送従動ローラーを付勢する付勢力の影響が前記案内部材に及ばず、或いはその影響を小さくでき、前記案内部材の変形を抑制できる。したがって、前記案内部材に対して前記搬送従動ローラーが前記媒体搬送経路側に大きく突出することを低減できるので、前記媒体の紙詰まりや搬送不良の発生を低減することができる。
本発明の第2の態様の媒体搬送装置は、第1の態様において、前記案内補助部材は当該案内補助部材における前記媒体の搬送方向下流側に揺動軸を備え、前記案内補助部材において前記揺動軸が設けられた位置から前記媒体の搬送方向上流側の位置で前記付勢部材に付勢されていることを特徴とする。
本態様によれば、前記案内補助部材において前記媒体の搬送方向下流側に前記案内部材に取り付けられる前記揺動軸が設けられているので、前記案内補助部材において前記搬送方向上流側では前記案内部材に対する変位量が大きく、前記搬送方向下流側では前記案内部材に対する変位量が小さくなる。したがって、前記案内補助部材における前記媒体の媒体搬送経路において搬送方向上流側から下流側に向かって前記案内部材に対する変位量が小さくなるので、前記媒体の搬送経路を前記搬送経路下流側に向かうにつれて安定させることができ、前記案内部材の下流側における前記媒体の搬送精度を向上させることができる。
本発明の第3の態様の媒体搬送装置は、第2の態様において、前記案内部材は前記揺動軸を保持する軸受け部を備え、前記軸受け部は、前記案内部材において前記媒体搬送経路側と反対の側に設けられたリブに形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、前記案内部材において前記媒体搬送経路側と反対の側にリブが設けられている。前記案内部材においてリブを設けることにより前記案内部材を補強することができ、撓み難くすることができる。さらに前記軸受け部が前記媒体搬送経路側と反対の側に設けられたリブに形成されている。前記軸受け部に保持される前記揺動軸に付勢部材からの付勢力が作用した際、前記軸受け部を介して前記リブが前記揺動軸を確実に支えることができる。
本発明の第4の態様の媒体搬送装置は、第3の態様において、前記案内部材における前記媒体の搬送経路の側と反対の側において前記案内部材を補強する補強板を備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記案内部材における前記媒体の搬送経路の側と反対の側において前記案内部材を補強する補強板が設けられているので、前記補強板が前記案内部材ひいては前記案内補助部材及び前記搬送従動ローラーを支えることができる。したがって、前記媒体搬送経路の搬送路の形状の撓みを抑制することができる。その結果、前記媒体搬送経路において前記媒体の搬送不良や紙詰まりを抑制することができる。
本発明の第5の態様の媒体搬送装置は、第4の態様において、前記補強板は前記媒体の搬送方向における前記軸受け部が形成された位置に対応する位置で前記案内部材を支えていることを特徴とする。
本態様によれば、前記補強板は前記媒体の搬送方向における前記軸受け部が形成された位置に対応する位置で前記案内部材を支えているので、前記揺動軸に作用する力をより近くで支えることができ、前記媒体搬送経路の搬送路の形状の撓みをより確実に抑制することができる。その結果、前記媒体搬送経路において前記媒体の搬送不良や紙詰まりを抑制することができる。
本発明の第6の態様の媒体搬送装置は、第4または第5の態様において、前記補強板は前記軸受け部に対向する位置に屈曲部が形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、前記補強板において前記軸受け部に対向する位置に屈曲部が形成されているので、より確実に前記軸受け部ひいては前記案内補助部材の前記揺動軸を支えることができる。
本発明の第7の態様の媒体搬送装置は、第4から第6のいずれか一の態様において、前記補強板は、前記案内補助部材を付勢する付勢部材において前記媒体搬送経路と反対の側を支えていることを特徴とする。
本態様によれば、前記補強板は、前記案内補助部材を付勢する付勢部材において前記搬送経路と反対の側を支えている。前記補強板により支えられている前記付勢部材は、前記搬送従動ローラー及び前記案内補助部材を前記搬送ローラーに向けてより確実に付勢することができる。したがって、前記搬送ローラーに対する前記搬送従動ローラーの付勢状態を確実に維持することができ、前記搬送ローラー及び前記搬送従動ローラーにおいて前記媒体がニップされた際、前記媒体の搬送力を生じさせることができる。
本発明の第8の態様の媒体搬送装置は、第1から第7のいずれか一の態様において、前記案内補助部材は、前記媒体搬送経路の側において前記媒体の搬送方向と交差する方向における前記搬送従動ローラーの両側に前記媒体搬送経路側に突出した突出部を備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記搬送従動ローラーの両側に前記媒体搬送経路側に突出した突出部を備えるので、前記媒体が前記搬送ローラーと前記搬送従動ローラーとによりニップされて搬送させる際、前記媒体に摩擦力を与えることができる。これにより、前記媒体の後端が前記搬送ローラーと前記搬送従動ローラーとの間を通過する際、前記搬送ローラーと前記搬送従動ローラーとの間に生じるニップ力及び回転力により前記媒体の後端が前記媒体の搬送方向下流側に勢いを付けて押し出されること、いわゆる蹴飛ばし現象を抑制することができる。
本発明の第9の態様の媒体搬送装置は、第1から第8のいずれか一の態様において、前記案内補助部材の前記搬送方向上流側に位置する側の前記媒体の搬送方向と交差する方向における幅は、前記搬送方向下流側に位置する側の前記交差する方向における幅よりも狭いことを特徴とする。
本態様によれば、前記案内補助部材の前記搬送方向上流側に位置する側の前記媒体の搬送方向と交差する方向における幅は、前記搬送方向下流側に位置する側の前記交差する方向における幅よりも狭く設定されている。
ここで、前記案内部材は、当該案内部材により案内する前記媒体を前記案内補助部材に引渡し、前記案内補助部材により搬送方向下流側に案内させるように構成されている。そして、前記案内部材から前記案内補助部材に前記媒体の案内を引き渡す位置で前記媒体の先端が前記案内補助部材に引っ掛からないようにするために、前記案内補助部材における前記搬送方向上流側部分は、前記案内部材の媒体搬送経路と面する側よりも反対の側に向かってくぼむように構成される場合がある。
従って、前記媒体搬送経路に沿って前記媒体の先端が前記案内部材から前記案内補助部材に到達する際、前記媒体の先端が前記くぼみに入り込んで前記媒体の搬送方向と交差する方向において波打つ状態(コックリング)となるおそれがある。
本態様において、前記案内補助部材の前記搬送方向上流側に位置する側の前記媒体の搬送方向と交差する方向における幅が前記搬送方向下流側に位置する側の幅よりも狭いので、前記くぼみの幅を小さくできる。その結果、前記媒体の先端が前記案内部材の前記媒体搬送経路の側の面に形成される前記くぼみに入り込み難くなり、前記媒体において前記交差する方向における波打つ状態(コックリング)を生じさせる虞を抑制することができる。
本発明の第10の態様の画像読取装置は、画像読取部と、前記画像読取部に前記媒体を搬送する、第1から第9のいずれか一の態様における媒体搬送装置とを備えることを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様から第9の態様のいずれかの作用効果を得ることができる。
本発明の第11の態様の画像読取装置は、第10の態様において、画像読取部は、前記媒体搬送装置によって搬送された原稿の少なくとも一部が対向する画像読取面と、該画像読取面に対向する原稿を読み取る画像読取機構と、を備え、前記媒体搬送経路における前記媒体の搬送方向において、前記案内補助部材の下流側近傍に前記画像読取面が位置していることを特徴とする。
本態様によれば、前記案内補助部材の下流側近傍に前記画像読取面が位置している。前記案内部材及び前記案内補助部材により、前記媒体搬送経路において前記案内補助部材の搬送方向下流側の搬送経路に前記媒体を安定して搬送させることができるので、前記媒体の搬送精度を向上させ、前記画像読取面における前記媒体の読取精度を向上させることができる。
本発明の第12の態様の記録装置は、記録媒体に記録を実行する記録部と、第10または第11の態様における画像読取装置とを備えることを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様から第11の態様のいずれかの作用効果を得ることができる記録装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。
図1は本発明に係るプリンター複合機の外観を示す斜視図であり、図2はカバーが開かれた状態の媒体搬送装置を示す斜視図であり、図3は媒体搬送装置における媒体搬送経路の断面図であり、図4(A)は案内部材及び案内補助部材を搬送経路側から見た斜視図であり、図4(B)は案内部材及び案内補助部材を搬送経路側と反対の側から見た斜視図であり、図5(A)は案内補助部材及び搬送従動ローラーを搬送経路側から見た斜視図であり、図5(B)は案内補助部材及び搬送従動ローラーを搬送経路側と反対の側から見た斜視図である。
図6は案内補助部材を搬送経路側と反対の側から見た斜視図であり、図7(A)は補強板が取り付けられた状態の案内部材を搬送経路側と反対の側から見た斜視図であり、図7(B)は案内部材における軸受け部周辺の拡大図であり、図8は案内部材と補強板との関係を説明する説明図であり、図9は媒体搬送経路における搬送ローラーと搬送従動ローラーとの当接部周辺の断面図であり、図10(A)は、搬送ローラーに対向する案内補助部材を示す側面図であり、図10(B)は搬送ローラーに対向する案内補助部材を示す平面図であり、図11(A)は従来技術における媒体搬送経路の概要図であり、図11(B)は従来技術において媒体案内部材に撓みが生じた際の撓媒体搬送経路の概要図である。
また、各図において示すX−Y−Z座標系はX方向が記録ヘッドの走査方向、Y方向が記録装置の奥行き方向、Z方向が記録ヘッドと媒体との間の距離(ギャップ)の変化する方向すなわち装置高さ方向を示している。尚、各図において−Y方向を装置前面側とし、+Y方向側を装置背面側とする。
■■■プリンターの概要■■■■■■■
図1を参照するに、本発明に係るプリンター複合機10が示されている。プリンター複合機10は、複合機本体12と、複合機本体12の上部に当該複合機本体12に対して回動可能に設けられた画像読取装置14とを備えている。画像読取装置14は複合機本体12の背面側(図1における+Y軸方向側)を回動軸の支点として複合機本体12の上部に対して開閉可能に構成されている。
複合機本体12は、複合機本体12の前面(図1における−Y軸方向)に設けられた操作部16と、複合機本体12の前面側(図1における−Y軸方向)に形成された開口部18とを備えている。また、操作部16は、プリンター複合機10を操作するための電源ボタンや印刷設定ボタン、表示パネル等を備えて構成されている。
また、複合機本体12の前面側における開口部18には、複合機本体12内から記録処理が実行された、記録用紙の排出部20と、該記録用紙を複合機本体12の前面側から複合機本体12内に供給する前面手差し部22とが設けられている。また、複合機本体12の背面側(図1における+Y軸方向側)の上部には、記録用紙を複合機本体内に給送する背面給送部24が設けられている。
また、複合機本体12において前面手差し部22のZ軸方向下方側に媒体収容部26が設けられている。媒体収容部26は、図示しないがその内部に複数の記録用紙を収納可能であり、複合機本体12の前面側(図1における−Y軸方向)から複合機本体12に対して装着及び取り外し可能に構成されている。
前面手差し部22、背面給送部24及び媒体収容部26から複合機本体12内に供給された記録用紙は、記録用紙搬送経路(図示せず)に沿って搬送され、前記記録用紙に記録を実行する記録ヘッド(図示せず)と対向する位置において記録が実行され、そして前記記録ヘッドと対向する位置から排出部20へ排出される。したがって、複合機本体12は、記録用紙に記録を実行する記録部として構成されている。
■■■画像読取装置の概要■■■■■■■
次いで、図2及び図3を参照して画像読取装置14について説明する。画像読取装置14は、オートシートフィーダーと呼ばれる媒体搬送装置28と、複合機本体12の上部において、複合機本体12に対して閉じた状態にある媒体搬送装置28と対向する位置に設けられた画像読取部30(図3参照)とを備えている。尚、本実施例における「媒体」は、写真や文書等の原稿を一例とする。以下、画像読取装置14で読取動作を受ける「媒体」を原稿と呼ぶ。
まず、画像読取部30について説明する。画像読取部30は、図3に示すように複合機本体12の上部に設けられている。画像読取部30は、画像読取機構32と、第1の画像読取面34と、第2の画像読取面36とを備えている。画像読取機構32は図示しない駆動機構によりX軸方向に移動可能に構成されている。また、画像読取機構32は図3におけるY軸方向に延びる、画像読み取りのための光学検出器(図示せず)を備えている。
また、図示しないが複合機本体12に対して媒体搬送装置28が開いた状態にある際、複合機本体12の上面には第1の画像読取面34(図3参照)と、第2の画像読取面36(図3参照)とが並列に配置されている。複合機本体12の上面において、第1の画像読取面34及び第2の画像読取面36は平坦かつ透明なガラス板で構成されている。
また、第1の画像読取面34は、複合機本体12に対して媒体搬送装置28が閉じた状態にある際、後述する媒体搬送経路38(図3一点鎖線参照)の一部と対向するように設けられている。第1の画像読取面34の図3におけるY軸方向の長さは、媒体搬送経路38において搬送される原稿の搬送される方向と交差する方向すなわち原稿の幅方向に併せて設定されている。
一方で、第1の画像読取面34の図3におけるX軸方向の長さは、媒体搬送経路38に沿って搬送されてきた原稿の一部が第1の画像読取面34に接した際、画像読取機構32が第1の画像読取面34に接した原稿の一部を読み取ることができればよいので、原稿の搬送方向における長さ及び第2の画像読取面36よりも短く設定されている。画像読取機構32は、原稿が第1の画像読取面34に接した際、第1の画像読取面34を介して原稿を読み取ることが可能である。
また、第2の画像読取面36において図3におけるX軸方向及びY軸方向における大きさは、複合機本体12で読取動作可能な原稿の最大サイズに併せて設定されている。第2の画像読取面36での原稿の読取動作は、原稿を第2の画像読取面36にセットした状態で行う。具体的には、複合機本体12に対して媒体搬送装置28が開いた状態において、原稿を第2の画像読取面36にセットし、原稿のセット後、再度媒体搬送装置28を複合機本体12に対して閉じた状態とする。その後画像読取機構32をX軸方向に移動させながら第2の画像読取面36にセットされた原稿を読み取る。
■■■媒体搬送装置の概要■■■■■■■
次いで、図1ないし図3を参照して、第1の画像読取面34に原稿を搬送して原稿を画像読取機構32に読み取らせる媒体搬送装置28について説明する。
媒体搬送装置28は、媒体搬送装置本体40と、カバー42とを備えている。カバー42は媒体搬送装置本体40に対して回動可能に構成され、媒体搬送装置本体40において媒体搬送経路38の一部を覆う状態(図1参照)と媒体搬送経路38の一部を開放する状態(図示せず)とを取り得る。尚、本実施例では、カバー42は媒体搬送装置本体40の+X軸方向側の端部に設けられた図示しない回動軸を支点に回動可能である。
媒体搬送装置本体40は、媒体搬送経路38(図3参照)と、媒体載置面44と、媒体排出面46とを備えている。媒体搬送装置本体40は、媒体載置面44に載置された原稿は、媒体搬送経路38に沿って湾曲反転させられて搬送され、媒体排出面46に排出されるように構成されている。尚、図2は、説明のためにカバー42を取り外した状態を示している。
次いで、図2及び図3を参照し、媒体搬送装置28における媒体載置面44から媒体排出面46までの媒体搬送経路38(図3一点鎖線参照)について説明する。媒体搬送経路38は、媒体搬送経路38に沿って配置された複数のローラーと複数の案内部材とを備え、原稿を媒体載置面44から媒体排出面46へ搬送可能である。図3において媒体載置面44の+X軸方向側には、図示しない駆動源によって回転駆動させられる給送ローラー47(図3参照)が設けられている。給送ローラー47は、媒体載置面44に載置された複数の原稿において最上位の原稿に当接した際、前記最上位の原稿を媒体搬送経路38の下流側に給送する。
媒体搬送経路38において給送ローラー47の下流側には、図示しない駆動源によって回転駆動させられる分離ローラー48と案内部材49とが設けられている。分離ローラー48及び案内部材49は、給送ローラー47により送られた原稿が複数枚重なっている際、最上位の原稿を媒体搬送経路38の下流側に給送する。次いで、媒体搬送経路38において分離ローラー48の下流側には、第1搬送補助ローラー50が設けられている。更に、媒体搬送経路において第1搬送補助ローラー50の下流側には、図示しない駆動源によって回転駆動させられる第1搬送ローラー52と、第1搬送ローラー52に当接する第1搬送従動ローラー54とが設けられている。
ここで、第1搬送補助ローラー50は、搬送される原稿を媒体搬送経路38に沿って撓ませるので、媒体搬送経路38に沿って搬送される原稿の搬送負荷を低減することができ、原稿の搬送精度の向上を図ることができる。また、第1搬送補助ローラー50が原稿を図3における−Z軸方向すなわち媒体搬送経路38の湾曲部分における内周方向が内側となるように撓ませることにより、第1搬送ローラー52及び第1搬送従動ローラー54においても前記内周方向に撓ませることが容易となり、原稿の撓み方向を安定化させることができる。
また、媒体搬送経路38において第1搬送ローラー52及び第1搬送従動ローラー54の下流側には、第2搬送補助ローラー56が設けられている。また、第2搬送補助ローラー56は、第1搬送ローラー52及び第1搬送従動ローラー54から搬送される原稿を媒体搬送経路38に沿って撓ませるので、媒体搬送経路38に沿って搬送される原稿の搬送負荷を低減することができ、原稿の搬送精度の向上を図ることができる。
また、第2搬送補助ローラー56が原稿を図3における−X軸方向すなわち媒体搬送経路38の湾曲部分における内周方向が内側となるように撓ませることにより、第2搬送ローラー58及び第2搬送従動ローラー60においても前記内周方向に撓ませることが容易となり、原稿の撓み方向を安定化させることができる。
次いで、媒体搬送経路38において第2搬送補助ローラー56の下流側には、図示しない駆動源によって回転駆動させられる、「搬送ローラー」としての第2搬送ローラー58と、「搬送従動ローラー」としての第2搬送ローラー58に向けて付勢されている第2搬送従動ローラー60とが設けられている。尚、第2搬送従動ローラー60は、後述する搬送従動ローラー支持構造体62に支持されている。
更に、媒体搬送経路38において第2搬送ローラー58及び第2搬送従動ローラー60の下流側には、第1の画像読取面34が設けられている。第1の画像読取面34に搬送されてきた原稿は、第1の画像読取面34を介して対向する位置に設けられた画像読取機構32により読み取られる。
また、媒体搬送経路38において第1の画像読取面34の下流側には、図示しない駆動源によって回転駆動させられる第3搬送ローラー66と、第3搬送ローラー66と当接する第3搬送従動ローラー68とが設けられている。さらに、媒体搬送経路38において第3搬送ローラー66及び第3搬送従動ローラー68の下流側には、図示しない駆動源によって回転駆動させられる排出ローラー70と、排出ローラー70と当接する排出従動ローラー72とが設けられている。
したがって、第1の画像読取面34において読み取りを終えた原稿は、第3搬送ローラー66と第3搬送従動ローラー68とにニップされて搬送方向下流側に位置する排出ローラー70及び排出従動ローラー72に向けて搬送される。排出ローラー70及び排出従動ローラー72は原稿を媒体排出面46に向けて排出する。以上が媒体搬送経路38の概要である。
■■■搬送従動ローラー支持構造体について■■■■■■■
次いで、図4(A)ないし図10を参照して、媒体搬送装置28における搬送従動ローラー支持構造体62について説明する。図4(A)、図4(B)及び図7(A)は、媒体搬送経路38において第2搬送ローラー58と対向する位置に設けられ、媒体搬送経路38の一部を構成する搬送従動ローラー支持構造体62を示している。
搬送従動ローラー支持構造体62は、案内部材74と、案内補助部材76と、第2搬送従動ローラー60と、補強板78とを備えている。補強板78(図7(A)参照)については、案内部材74及び案内補助部材76の説明後に説明する。
案内部材74は、図4(A)においてY軸方向に延びるとともに、−X軸方向側において緩やかに湾曲する案内面74aを形成している。また、Y軸方向側の端部74bには突出ピン80、80が形成されている。案内部材74は突出ピン80、80を介して媒体搬送装置本体40に取り付けられ、案内面74aが媒体搬送経路38において原稿を案内するように構成されている。尚、案内面74aにおいて図4(A)における+Z軸方向側が媒体搬送経路38における搬送方向上流側であり、−Z軸方向側が媒体搬送経路38における搬送方向下流側である。
また、案内部材74の案内面74aにおいて、Y軸方向に間隔をおいて複数の凹部74cが形成されている。また、凹部74cが形成された部分と反対の側には、互いに対向し、案内面74aから案内面74aと反対の側に延びる複数対のリブ82(図4(B)参照)が立設されている。各リブ82は、図4(B)における−Z軸方向側すなわち搬送方向下流側において軸受け部84が形成されている。また、リブ82は、案内補助部材76において図4(B)におけるZ軸方向に延びる、案内補助部材76の側面と対向するように形成されている。
また、各凹部74cには、案内補助部材76が案内部材74に対して揺動可能に取り付けられている。また、各案内補助部材76には第2搬送従動ローラー60が回動自在に取り付けられている。尚、本実施例において凹部74cの形状は、凹部74cに受け入れる案内補助部材76の外形に対応した形状に形成されている。
次いで、図5(A)ないし図6を参照して、案内補助部材76について説明する。案内補助部材76は、補助部材本体86と、揺動軸88と、突出部90と、穴部92とを備えている。補助部材本体86は、図5(A)及び図5(B)におけるZ軸方向に延びている。さらに補助部材本体86は、図5(A)における−X軸方向側の面が緩やかに湾曲する案内面86aとなるように構成されている。案内面86aは、媒体搬送経路38において原稿を第2搬送ローラー58に向けて案内する。
また、補助部材本体86は、図5(A)及び図5(B)におけるZ軸方向において−Z軸方向側に位置するローラー保持部86bと、案内部86cとを備えている。案内部86cは、図5(A)及び図5(B)におけるY軸方向における長さ、つまり案内部86cの媒体搬送経路38の搬送方向と交差する方向における長さが、ローラー保持部86bよりも短く設定されている。つまり、媒体搬送経路38の搬送方向と交差する方向において、案内部86cは、案内部86cの幅がローラー保持部86bの幅よりも狭くなるように構成されている。
ローラー保持部86bの−Z軸方向側の端部には一対の揺動軸88が設けられている。各揺動軸88は、ローラー保持部86bから図5(A)及び図5(B)におけるY軸方向、すなわち媒体搬送経路38の搬送方向と交差する方向に突出している。各揺動軸88は、案内部材74の軸受け部84にそれぞれ取り付けられている。したがって、案内補助部材76は、軸受け部84に取り付けられた揺動軸88を支点に案内部材74に対して揺動可能である。
また、ローラー保持部86bの+Z軸方向側の端部には一対の穴部92(図6参照)が設けられている。2つの穴部92の少なくとも一方には掛止部位94が設けられている。ローラー保持部86bの一対の穴部92には搬送従動ローラー軸96が取り付けられている。一対の穴部92は、搬送従動ローラー軸96の両端部を支持している。
また、掛止部位94は搬送従動ローラー軸96の端部に形成された係合面(図示せず)と係合し、ローラー保持部86bに対する搬送従動ローラー軸96の回転を規制する。つまり、搬送従動ローラー軸96は補助部材本体86に回転しないように取り付けられている。
搬送従動ローラー軸96には、第2搬送従動ローラー60が搬送従動ローラー軸96に対して回動自在に取り付けられている。第2搬送従動ローラー60は、ローラー保持部86bに取り付けられた状態で、図5(A)における−X軸方向側、すなわち案内面86a側において媒体搬送経路38に対してその一部が露出している。
ここで、第2搬送従動ローラー60は、図4(A)においてY軸方向に間隔をおいて複数設けられている。例えば、搬送従動ローラー軸96及び第2搬送従動ローラー60がそれぞれ回動可能な構成である場合、搬送従動ローラー軸96の一つが補助部材本体86に対して回動不良が生じると、第2搬送従動ローラー60に回動の負荷変動が発生する。
そして、回動不良が生じた搬送従動ローラー軸96に対応する第2搬送従動ローラー60と、その他の回動不良が生じていない搬送従動ローラー軸96に対応する第2搬送従動ローラー60との間に回動の負荷の差が生じるので、第2搬送従動ローラー60における原稿の搬送力に差が生じる。その結果、原稿が媒体搬送経路38内においてスキューを生じさせる虞がある。
本実施例では、搬送従動ローラー軸96が補助部材本体86に固定され、第2搬送従動ローラー60が搬送従動ローラー軸96に対して回動可能な構成とされているので、第2搬送従動ローラー60において生じる回動の負荷変動を低減することができる。その結果、媒体搬送経路38内において原稿がスキューを起こす虞を低減することができる。
また、本実施例において、第2搬送従動ローラー60は案内面86a側において媒体搬送経路38に対してその一部が突出するように構成されている。第2搬送従動ローラー60における案内面86aからの突出量は、案内面86aに沿って搬送されてきた原稿の先端が第2搬送従動ローラー60に当接する際の当接角が小さくなるように設定されている。これにより、案内面86aに沿って搬送されてきた原稿は、円滑に第2搬送ローラー58と第2搬送従動ローラー60との間に導かれることとなる。その結果、原稿が第2搬送従動ローラー60に突き当たることにより紙詰まりや搬送不良が発生することを低減することができる。
また、図5(A)に示すようにローラー保持部86bの案内面86aにおいて、Y軸方向、すなわち媒体搬送経路38の搬送方向と交差する方向における両端部には、案内面86aから突出する突出部90が設けられている。突出部90は、ローラー保持部86bの案内面86aにおいて媒体搬送経路38の搬送方向に沿って形成されている。
また、案内部86cの案内面86aと反対の側には付勢部材係合部98(図6参照)が設けられている。付勢部材係合部98には、付勢部材100の一端部(図示せず)が掛止されている。尚、本実施例において付勢部材100は、ばね部材として構成されている。
次いで図7(A)及び図7(B)を参照して、補強板78について説明する。補強板78は案内補助部材76が案内部材74に対して揺動可能に案内部材74に取り付けられた状態において、案内部材74において媒体搬送経路38に面する側と反対の側、すなわち図7(A)における+X方向側に取り付けられている。
補強板78が案内部材74に取り付けられた状態において、補強板78は、付勢部材100の他端部100aを、図7(A)における+X軸方向側、つまり媒体搬送経路38と面する側の反対側から支えている。また、補強板78には、図7(B)におけるZ軸方向において軸受け部84に対応する位置に屈曲部102が形成されている。屈曲部102は、Z軸方向に延びる補強板78から図7(B)における−X軸方向側、つまり媒体搬送経路38と面する側に向けて延びている。
屈曲部102は、図7におけるZ軸方向において、案内部材74のリブ82の軸受け部84が設けられた位置でリブ82と当接する。したがって、屈曲部102ひいては補強板78は、図7におけるZ軸方向において、案内部材74のリブ82の軸受け部84が設けられた位置でリブ82ひいては案内部材74を支える。したがって、補強板78は、付勢部材100が案内補助部材76ひいては揺動軸88に作用させる付勢力を図7(B)におけるZ軸方向において軸受け部84と同じ位置で、図7(B)における−X軸方向側、つまり媒体搬送経路38と面する側と反対側から支えている。
したがって、案内部材74における媒体搬送経路38の側と反対の側において案内部材74の媒体搬送経路38と反対側の面に補強板78が設けられているので、補強板78は案内部材74ひいては案内補助部材76及び第2搬送従動ローラー60を支えることができる。その結果、補強板78は媒体搬送経路38の搬送路の形状の撓みを抑制することができる。その結果、媒体搬送経路38において原稿の搬送不良や紙詰まりを抑制することができる。
さらに、補強板78は、図7(B)のZ軸方向において軸受け部84が形成された位置の近傍で、案内面74aと軸受け部84とを結ぶ方向、すなわち、本実施例では図7(B)におけるX軸方向に沿って+X軸方向側から案内部材74を支えているので、案内補助部材76の揺動軸88に作用する力をより近くで支えることができ、媒体搬送経路38の搬送路の形状の撓みをより確実に抑制することができる。その結果、前記媒体搬送経路38において前記媒体の搬送不良や紙詰まりを抑制することができる。また、補強板78には、軸受け部84に対向する位置に屈曲部102が形成されているので、より確実に軸受け部84ひいては案内補助部材76の揺動軸88を支えることができる。
また、補強板78は、案内補助部材76を付勢する付勢部材100において媒体搬送経路38と反対の側を支えている。補強板78により支えられている付勢部材100は、第2搬送従動ローラー60及び案内補助部材76を第2搬送ローラー58に向けてより確実に付勢することができる。したがって、第2搬送ローラー58に対する第2搬送従動ローラー60の付勢状態を確実に維持することができ、第2搬送ローラー58及び第2搬送従動ローラー60において原稿がニップされた際、原稿の搬送力を生じさせることができる。
また、本実施例では、案内部材74において媒体搬送経路38の側と反対の側にリブ82が設けられている。案内部材74においてリブ82を設けることにより案内部材74を補強することができ、撓み難くすることができる。さらに軸受け部84が媒体搬送経路38の側と反対の側に設けられたリブ82に形成されている。軸受け部84に保持される揺動軸88に付勢部材100からの付勢力が作用した際、軸受け部84を介してリブ82が揺動軸88を確実に支えることができる。
ここで、図8を参照して案内部材74に対する案内補助部材76の揺動について説明する。案内補助部材76は揺動軸88を支点として揺動することから、揺動軸88からの距離が離れるにつれ、揺動軸88周りの揺動角が大きくなる。したがって、案内補助部材76において揺動軸88を支点として揺動する際、ローラー保持部86bの変位に対して案内部86cの変位の方が大きくなる。すなわち、案内補助部材76において媒体搬送経路38の搬送方向下流側より搬送方向上流側の変位が大きくなる。
次いで、図9を参照して、搬送従動ローラー支持構造体62における原稿の搬送について説明する。原稿が媒体搬送経路38に沿って搬送従動ローラー支持構造体62に搬送されてきた際、原稿の先端はまず、案内部材74の湾曲した案内面74aと接触する。そして、原稿の先端は湾曲した案内面74aに沿って案内されて案内補助部材76における搬送方向上流側の案内部86cの案内面86aと接触する。
ここで、付勢部材100は、案内補助部材76を介して第2搬送従動ローラー60を第2搬送ローラー58に向けて付勢している。案内部材74には付勢部材100からの付勢力が直接作用しないので、案内部材74が図9における+X軸方向に撓みを低減することができる。その結果、案内部材74の案内面74aから第2搬送従動ローラー60が第2搬送ローラー58側に大きく突出することを防止できる。
そして、原稿の先端は、案内補助部材76の案内面86aに沿って搬送方向下流側に搬送されるので、第2搬送従動ローラー60と緩やかな角度で当接することとなる。つまり、案内面86aに案内される原稿の先端と第2搬送従動ローラー60との当接角は小さい。したがって、原稿の先端が第2搬送従動ローラー60に突き当たることを抑制することができ、原稿の先端が第2搬送従動ローラー60に引っ掛かりにくくなり、原稿を円滑に第2搬送ローラー58と第2搬送従動ローラー60との間に搬送することができる。
そして、第2搬送ローラー58と第2搬送従動ローラー60との間に搬送された原稿は、第2搬送ローラー58と第2搬送従動ローラー60とによりニップされ、第2搬送ローラー58及び第2搬送従動ローラー60により、搬送方向下流側に位置する第1の画像読取面34に向けて送られる。
また、案内補助部材76の下流側近傍に第1の画像読取面34が位置している。案内部材74及び案内補助部材76により、媒体搬送経路38において案内補助部材76の搬送方向下流側の搬送経路に原稿を安定して搬送させることができるので、原稿の搬送精度を向上させ、第1の画像読取面34における原稿の読取精度を向上させることができる。
以上の説明を纏めると、本実施例では、付勢部材100により第2搬送ローラー58側に付勢される第2搬送従動ローラー60を回動自在に支持する案内補助部材76を案内部材74が揺動可能に保持する。即ち、付勢部材100によって付勢される案内補助部材76(第2搬送従動ローラー60を支持する部材)と案内部材74とが別体であることから、第2搬送従動ローラー60を付勢する付勢力の影響が案内部材74に及ばず、或いはその影響を小さくでき、案内部材74の変形を抑制できる。したがって、案内部材74に対して第2搬送従動ローラー60が媒体搬送経路38の側に大きく突出することを防止できるので、原稿の紙詰まりや搬送不良の発生を低減することができる。
また、本実施例では、案内補助部材76において原稿の搬送方向下流側に案内部材74に取り付けられる揺動軸88が設けられているので、案内補助部材76において搬送方向上流側では案内部材74に対する変位量が大きく、搬送方向下流側では案内部材74に対する変位量が小さくなる。したがって、案内補助部材76における原稿の媒体搬送経路38において搬送方向上流側から下流側に向かって案内部材74に対する変位量が小さくなるので、原稿の搬送経路を媒体搬送経路38の下流側に向かうにつれて安定させることができ、案内部材74の下流側における原稿の搬送精度を向上させることができる。
また、再度図4(A)及び図5(A)を参照するに、案内部材74に対して揺動可能な案内補助部材76において媒体搬送経路38の搬送方向上流側に位置する案内部86cは搬送方向下流側に位置するローラー保持部86bよりも搬送方向と交差する方向、すなわち図4(A)及び図5(A)におけるY軸方向の幅が狭く設定されている。
図4(A)に示すように案内部材74は、案内部材74により案内する原稿を案内補助部材76に引渡し、案内補助部材76により搬送方向下流側に案内させるように構成されている。そして、案内部材74から案内補助部材76に原稿の案内を引き渡す位置、すなわち図8において案内部材74の案内面74aと案内補助部材76の案内面86aとが交わる位置で原稿の先端が案内補助部材76に引っ掛からないようにするために、案内補助部材76における搬送方向上流側部分、つまり案内部86cは、案内部材74の媒体搬送経路38と面する側、案内面74aよりも反対の側(図4(A)及び図8における+X軸方向)に向かってくぼむように構成されている(図4(A)符号75参照)。
したがって、案内部材74における原稿の案内を案内補助部材76に引き渡す位置(図8参照)において案内面74aには、くぼみ75が生じている。そして、媒体搬送経路38に沿って原稿の先端が案内部材74から案内部材74へ原稿の案内を引き渡す位置(図8参照)まで搬送された際、原稿の先端が前記くぼみに入り込んで原稿の搬送方向と交差する方向において波打つ状態(コックリング)となるおそれがある。
本実施例では、案内補助部材76の搬送方向上流側に位置する側(案内部86c)の原稿の搬送方向と交差する方向(図4(A)におけるY軸方向)における幅が搬送方向下流側に位置する側(ローラー保持部86b)の幅よりも狭く、即ちくぼみ75の幅が小さいので、原稿の先端が案内部材74の案内面74aに形成される前記くぼみに入り込み難くなり、原稿において図4(A)におけるY軸方向における波打つ状態(コックリング)を生じさせる虞を抑制することができる。また、第2搬送従動ローラー60のローラー長を維持しつつ(短くすることなく)くぼみ75の幅を小さくできるので、適切な用紙搬送と、コックリング抑制とを両立させることができる。
次いで、図10(A)及び図10(B)を参照して案内補助部材76における突出部90について説明する。先に説明したように、突出部90は、案内補助部材76の案内面86aにおいて、媒体搬送経路38の搬送方向と交差する方向、すなわち図10(B)におけるY軸方向において第2搬送従動ローラー60の両側部に形成されている。突出部90は、図10(A)に示すように案内面86aから突出するように形成されている。さらに突出部90における案内面86aからの突出量は、第2搬送従動ローラー60における案内面86aからの突出量以上に設定されている。
また、突出部90は、図10(B)に示すようにY軸方向において第2搬送ローラー58の設けられた領域よりも外側に配置されている。つまり、突出部90は、第2搬送ローラー58とは接触しない。したがって、突出部90は、第2搬送ローラー58の回転には影響を与えない。
一方で、第2搬送ローラー58と第2搬送従動ローラー60とが当接し、原稿をニップして搬送方向下流側に搬送する際、原稿は、図10(B)におけるY軸方向において第2搬送ローラー58と第2搬送従動ローラー60とが接する部分の外側において突出部90と接している。その結果、突出部90は、原稿が第2搬送ローラー58及び第2搬送従動ローラー60により搬送方向下流側に搬送される際、原稿に摩擦力を与えることができる。
これにより、媒体搬送経路38に沿って搬送される原稿の後端が第2搬送ローラー58と第2搬送従動ローラー60との間を通過する際、第2搬送ローラー58と第2搬送従動ローラー60との間に生じるニップ力及び回転力により原稿の後端が原稿の搬送方向下流側に勢いを付けて押し出されること、いわゆる蹴飛ばし現象を抑制することができる。
<<<本発明における変更例>>>
(1)本実施例では、案内補助部材76の穴部92に掛止部位94を設けて搬送従動ローラー軸96を固定し、搬送従動ローラー軸96に対して第2搬送従動ローラー60が回動する構成としたが、穴部92に対して搬送従動ローラー軸96を回動自在とし、搬送従動ローラー軸96に対して第2搬送従動ローラー60を固定する構成としてもよく、あるいは、穴部92に対して搬送従動ローラー軸96を回動自在とし、搬送従動ローラー軸96に対して第2搬送従動ローラー60も回動自在とする構成としてもよい。
(2)突出部90は案内補助部材76と一体に形成されていてもよく、別体として構成してもよい。さらに突出部90を摩擦係数の高い材料で構成することにより原稿へ付加する摩擦力を大きくすることができる。また、突出部90に、摩擦係数の高い材料を貼り付ける構成としてもよい。
(3)本実施例では、補強板78に屈曲部102を設ける構成としたが、この構成に代えて、リブ82において図7(B)におけるZ軸方向において軸受け部84の設けられた位置を+X軸方向に突出させ、突出させた部分を補強板78に支えさせる構成としてもよい。
上記説明をまとめると、本実施形態の媒体搬送装置28は、原稿を媒体搬送経路38に沿って搬送する第2搬送ローラー58と、該第2搬送ローラー58に対向して配置され、かつ第2搬送ローラー58とともに原稿を媒体搬送経路38に沿って搬送する第2搬送従動ローラー60と、媒体搬送経路38において原稿を案内する案内部材74と、案内部材74に揺動可能に保持され、かつ第2搬送従動ローラー60を第2搬送ローラー58側に露出させて回動自在に支持する案内補助部材76と、第2搬送従動ローラー60を第2搬送ローラー58に向けて付勢する付勢部材100とを備えている。
案内補助部材76は、当該案内補助部材76における原稿の搬送方向下流側に揺動軸88を備えている。案内補助部材76において揺動軸88が設けられた位置から原稿の搬送方向上流側の位置で付勢部材100に付勢されている。
案内部材74は、揺動軸88を保持する軸受け部84を備えている。軸受け部84は、案内部材74において媒体搬送経路38の側と反対の側に設けられたリブ82に形成されている。
案内部材74における原稿の媒体搬送経路38の側と反対の側において案内部材74を補強する補強板78を備えている。補強板78は原稿の搬送方向における軸受け部84が形成された位置に対応する位置で案内部材74を支えている。補強板78は軸受け部84に対向する位置に屈曲部102が形成されている。補強板78は、案内補助部材76を付勢する付勢部材100において媒体搬送経路38と反対の側を支えている。
案内補助部材76は、媒体搬送経路38の側において原稿の搬送方向と交差する方向における第2搬送従動ローラー60の両側に媒体搬送経路38の側に突出した突出部90を備える。
案内補助部材76の搬送方向上流側に位置する側すなわち案内部86cの原稿の搬送方向と交差する方向における幅は、前記搬送方向下流側に位置する側すなわちローラー保持部86bの前記交差する方向における幅よりも狭い。
本実施形態の画像読取装置14は、画像読取部30と、該画像読取部30に原稿を搬送する媒体搬送装置28とを備えている。
本実施形態の画像読取装置14において、画像読取部30は、媒体搬送装置28によって搬送された原稿の少なくとも一部が対向する第1の画像読取面34と、該第1の画像読取面34に対向する原稿を読み取る画像読取機構32とを備えている。媒体搬送経路38における原稿の搬送方向において、案内補助部材76の下流側近傍に第1の画像読取面34が位置している。
本実施形態のプリンター複合機10は、記録用紙に記録を実行する複合機本体12と、画像読取装置14とを備えている。
また、本実施形態では本発明に係る媒体搬送装置28を記録装置の一例としてのインクジェットプリンターに適用したが、その他液体噴射装置一般に適用することも可能である。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンター、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含むものである。
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。