JP6255969B2 - 液体噴射装置及びメンテナンス方法 - Google Patents

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本発明は、例えば、インクジェット式プリンターなどの液体噴射装置及び同液体噴射装置のメンテナンス方法に関する。
従来から、液体噴射装置の一種として、液体噴射ヘッドに形成されたノズルから用紙などの媒体にインクを噴射することで印刷を行うインクジェット式のプリンターが知られている。こうしたプリンターでは、液体噴射ヘッドのインク噴射特性を良好に維持するために、液体噴射ヘッド内で増粘したインクや同液体噴射ヘッド内に混入した気泡などをノズルから排出させるメンテナンスを行うメンテナンス装置を備えるものがある(例えば、特許文献1)。
こうしたメンテナンス装置は、液体噴射ヘッドのノズル形成面に接触することで閉空間を形成するキャップと、その閉空間に負圧を発生させるポンプとを備えている。そして、メンテナンス装置は、ノズル形成面にキャップを接触させた後にポンプを駆動し、閉空間に負圧を付与することで液体噴射ヘッドのノズルから増粘したインク及び気泡をインクとともに排出させる。続いて、メンテナンス装置は、ポンプを停止させ、ノズル形成面からキャップを離間させることで、閉空間に付与されている負圧を解除する。
なお、上記メンテナンスにおいて、キャップをノズル形成面から離間させる際に、閉空間に負圧が生じている場合には、ノズル形成面とキャップの間に形成される隙間から、閉空間の負圧の大きさに応じた流量の空気が流入する。このとき、ノズル形成面とキャップの隙間から流入する空気やノズルから排出されたインクが、ノズルを介して液体噴射ヘッドの内部に流入するおそれがある。そこで、上記のメンテナンス装置では、ポンプを停止してから所定期間待機することで、閉空間の負圧がポンプを停止した直後の負圧よりも小さくなった後に、ノズル形成面からキャップを離間するようにしている。ここで、所定期間待機することで、閉空間の負圧が小さくなるのは、ポンプを停止した後もなお、閉空間に生じている負圧によって液体噴射ヘッドのノズルからインクが排出され続けるためである。
特開2004−314622号公報
ところで、上記のようなプリンターには、通常、液体噴射ヘッド内に、ノズルに供給するインクを貯留するインク室が設けられている。ここで、インク室の圧力は、液体噴射ヘッドがインクを噴射しない場合に、インクがノズルから漏れ出ないように、大気圧未満の保持圧に設定されている。
したがって、ポンプの停止後、ノズルからインクが吸引され続けるのは、閉空間の圧力が保持圧未満となっているためであり、閉空間の圧力が保持圧以上である場合には、ノズルからインクが排出されなくなる。そのため、ポンプを停止してからキャップをノズル形成面から離間させるまでの所定期間を長くしたとしても、閉空間の圧力が保持圧となった時点でノズルからインクが排出されなくなるため、閉空間の圧力は保持圧よりも大きくなりにくい。したがって、上記のようなプリンターにあっては、閉空間の負圧が保持圧又は保持圧に略等しい圧力となっている状態で閉空間の負圧が解除されることになるため、依然として、インクや空気がノズルから液体噴射ヘッドの内部に流入するという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。その目的は、液体噴射ヘッドのノズルから液体を排出させるメンテナンスを行う場合に、液体や空気がノズルを介して液体噴射ヘッドの内部に流入することを抑制することのできる液体噴射装置及びメンテナンス方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体制動装置は、複数のノズルと、前記複数のノズルに液体を供給する液体室と、前記液体室に供給される前記液体を前記ノズルから吐出させる吐出動作を行うアクチュエーターと、を有する液体噴射ヘッドと、
前記複数のノズルを含む空間に負圧を付与することにより前記ノズルから前記液体を排出させるメンテナンス機構と、を備え、前記アクチュエーターは、前記メンテナンス機構が前記空間に前記負圧の付与を停止する前に、前記液体室の容積が第1の容積となるように駆動され、前記メンテナンス機構が前記空間に対する前記負圧の付与を停止した後でかつ前記空間に付与した前記負圧を解除する前に、前記液体室の容積が前記第1の容積に維持された状態から該第1の容積よりも小さな第2の容積となるように駆動される
上記構成によれば、液体噴射ヘッドのノズルから液体を排出させるメンテナンスを行う場合、まず、メンテンナンス機構がノズルを含む空間に負圧を付与する。このとき、制御部がアクチュエーターの駆動を制御することで、液体室の容積は第1の容積とされる。そして、空間に負圧が付与されることで、ノズルから液体が排出される。続いて、制御部がアクチュエーターの駆動を制御することで、液体室の容積は第2の容積とされる。そして、液体室の容積が第2の容積となった状態で、メンテナンス機構が空間に付与した負圧を解除する。
ここで、上記構成によれば、空間に付与された負圧が解除される前に液体室の容積が第1の容積から第2の容積に変更される。すなわち、空間に付与されている負圧が解除されるときの液体室の容積(第2の容積)は、空間に負圧が付与されているときの液体室の容積(第1の容積)よりも小さくなる。したがって、上記構成によれば、空間に付与される負圧が解除される前に、液体室の容積を小さくするため、同液体室の容積を小さくしない場合に比較して、空間に付与された負圧が解除されるときの同空間の負圧が小さくなりやすい。
また、空間に付与されている負圧が大きい場合には、同負圧が小さい場合に比較して、その負圧を解除したときに、空間内に流れ込む空気の量が多くなりやすい。このため、空間に付与されている負圧が大きいほど、メンテナンスによって排出した液体や空間に流入する空気などが、負圧を解除するときに液体噴射ヘッドのノズルに入り込みやすい。
この点、上記構成によれば、空間に付与された負圧を解除する前に、アクチュエーターの駆動が制御されることで、液体室の容積が小さくされ、空間に付与される負圧が小さくなりやすい。このため、空間に付与されている負圧が解除されるときに、メンテナンスによって排出した液体や空間に流入する空気などが液体噴射ヘッドのノズルに入り込みにくくなる。したがって、液体噴射ヘッドのノズルから液体を排出するメンテナンスの実施に伴って、液体や空気が液体噴射ヘッドの内部に流入することを抑制することができる。
上記液体噴射装置において、前記液体室の圧力が大気圧以下でかつ前記ノズルにメニスカスが形成される圧力となるように前記第1の容積と前記第2の容積は設定されていることが望ましい。
上記液体噴射装置において、前記アクチュエーターは圧電素子であり、前記液体室の容積を前記第1の容積に変更する際の該アクチュエーターの駆動電圧の変更速度は、前記液体を前記ノズルから吐出させる吐出動作を行う際の該アクチュエーターの駆動電圧の変更速度より遅いことが望ましい。
上記構成によれば、液体室の容積の変化によってノズルから空気や一度排出した液体を供給流路内に引きこむことを抑制することができる。
上記液体噴射装置において、前記アクチュエーターは圧電素子であり、前記液体室の容積を前記第1の容積から前記第2の容積に変更する際の該アクチュエーターの駆動電圧の変更速度は、前記液体を前記ノズルから吐出させる吐出動作を行う際の該アクチュエーターの駆動電圧の変更速度より遅いことが望ましい。
上記構成によれば、液体室の容積が減少することにより、ノズルから液体が吐出されることを抑制することができる。
上記液体噴射装置は、前記液体室に前記液体を供給可能に接続される液体供給部をさらに備え、前記液体供給部は、同液体供給部の下流側の圧力が大気圧よりも低い保持圧未満になると開弁して上流側からの前記液体の供給を許容し、同圧力が前記保持圧以上になると閉弁して上流側からの前記液体の供給を規制する圧力調整弁を有し、前記制御部は、前記圧力調整弁が閉弁した後に、前記液体室の容積が前記第2の容積となるように、前記アクチュエーターの駆動を制御することが望ましい。
上記構成によれば、メンテナンス機構が空間に負圧を付与する場合、同空間の圧力が保持圧未満になることで、液体室の圧力が保持圧未満になり圧力調整弁が開弁される。そして、圧力調整弁が開弁されることで、液体供給部から供給される液体が液体噴射ヘッドのノズルから排出される。一方、メンテナンス機構が空間に対する負圧の付与を停止した場合、停止した時点の空間の圧力は保持圧未満であることから、空間とノズルを介して連通する液体室の圧力もまた保持圧未満となる。このため、メンテナンス機構が空間に対する負圧の付与を停止した後も、圧力調整弁が開弁した状態が継続され、液体噴射ヘッドのノズルから液体が排出され続ける。そして、液体噴射ヘッドのノズルから液体が排出されることに伴い、空間及び液体室の負圧が次第に小さくなることで、空間及び液体室の圧力が保持圧と等しくなる。すると、大気開放弁が閉弁され、液体噴射ヘッドのノズルから液体が排出されなくなる。
また、メンテナンス機構が空間に対する負圧の付与を停止した直後の液体室の圧力は、圧力調整弁が閉弁した後の液体室の圧力よりも低い。したがって、圧力調整弁が開弁した状態で液体室の容積を第2の容積とする場合よりも、圧力調整弁が閉弁した状態で液体室の容積を第2の容積とする場合の方が、空間に生じている負圧がより小さくなりやすい。したがって、メンテナンス機構が空間に対する負圧を解除するときに、空間に生じている負圧がより小さくなることで、液体噴射ヘッドのノズルに液体及び空気が流入することをさらに抑制することができる。
上記液体噴射装置において、前記制御部は、前記メンテナンス機構が前記空間に前記負圧を付与し始めた後に、前記液体室の容積が前記第1の容積となるように、前記アクチュエーターの駆動を制御することが望ましい。
メンテナンス機構が空間に負圧を付与する前に液体室を第1の容積とする場合、大気圧下で液体室の容積が増大することから、アクチュエーターの駆動速度によっては、ノズルから空気などを液体室に引き込むおそれがある。これに対し、上記構成によれば、空間に負圧が付与し始めた後に液体室を第1の容積とするため、空間に負圧が付与されている状態で液体室の容積が増大することになる。このため、液体室の容積が増大するときにノズルから空気などを液体室に引き込みにくくなる。こうして、メンテナンスを行うにあたり液体室を第1の容積とする際に、液体噴射ヘッドのノズルに空気が流入することを抑制することができる。
上記課題を解決する液体噴射装置のメンテナンス方法は、複数のノズルと、前記複数のノズルに液体を供給する液体室と、前記液体室に供給される前記液体を前記ノズルから吐出させる吐出動作を行うアクチュエーターと、を有する液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置のメンテナンス方法であって、前記複数のノズルを含む空間に負圧を付与する負圧付与ステップと、前記空間に前記負圧の付与を停止する前に、前記アクチュエーターを駆動して前記液体室の容積を第1の容積とする第1容積変更ステップと、前記空間に付与される前記負圧を解除する負圧解除ステップと、前記負圧付与ステップの実行した後でかつ前記負圧解除ステップを実行する前に、前記アクチュエーターを駆動して前記液体室の容積を前記第1の容積に維持された状態から該第1の容積よりも小さな第2の容積とする第2容積変更ステップと、を備える。
上記メンテナンス方法によれば、上述した液体噴射装置が奏する効果と同様の効果を得ることができる。
液体噴射装置の概略構成を示す断面図。 液体噴射装置の電気的構成を示すブロック図。 アクチュエーターの駆動電圧と液体室の容積の関係を示すグラフ。 液体噴射ヘッドのメンテナンスを実施するときの液体噴射装置の概略構成を示す断面図。 液体噴射ヘッドのメンテナンスを実施するときに実行される処理ルーチンを示すフローチャート。 液体噴射ヘッドのメンテナンスを実施する際のタイミングチャートであって、(a)は液体室の圧力の推移を示し、(b)減圧機構の駆動状態を示し、(c)は圧力調整弁の開閉状態を示し、(d)はキャップの状態を示し、(e)は液体室の容積の推移を示す。 液体噴射ヘッドのメンテナンスを実施する際における他の実施形態のアクチュエーターの駆動電圧の推移を示すタイミングチャート。 他の別の実施形態のアクチュエーターの駆動電圧と液体室の容積の関係を示すグラフ。
以下、液体噴射装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
液体噴射装置11は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射することによって印刷を行うインクジェット式のプリンターである。
図1に示すように、液体噴射装置11は、液体を噴射可能なノズル12が設けられた液体噴射ヘッド13と、液体噴射ヘッド13に液体を供給するための供給流路14と、供給流路14内の液体を加圧する加圧機構15と、液体噴射ヘッド13をメンテナンスするメンテナンス機構16とを備えている。なお、本実施形態において、ノズル12は、例えば図1において紙面と直交する方向に並ぶように、液体噴射ヘッド13に複数設けられている。そして、これら複数のノズル12は、液体噴射ヘッド13のノズル形成面18に開口している。また、以降の説明では、液体噴射装置11における液体の流れに従って、「上流側」及び「下流側」をいうものとする。すなわち、液体噴射装置11において、供給流路14側が上流側とされ、ノズル12側が下流側とされる。
まず、液体噴射ヘッド13及び供給流路14の構成について詳述する。
液体噴射ヘッド13の上流側に設けられる供給流路14の上流端は、液体を収容した液体供給源19に接続されている。液体供給源19は、液体噴射装置11に着脱可能に装着されるカートリッジであってもよいし、液体噴射装置11に設けられた液体収容タンクであってもよい。あるいは、液体供給源19が液体噴射装置11の外部に別体として設けられた液体収容容器であって、液体供給チューブ等を介して供給流路14に接続されるものであってもよい。
液体噴射ヘッド13及び供給流路14において、加圧機構15とノズル12との間には、上流から下流に向かって、液体噴射ヘッド13内の液体の圧力(液圧)を調整する圧力調整機構21、並びにノズル12に供給する液体を貯留するリザーバー22及び液体室23が設けられている。ここで、圧力調整機構21とリザーバー22とは液体が流動可能な流路24で接続されている。また、リザーバー22と液体室23とは、振動板31によって区画されているとともに、振動板31に形成された供給口32を通じて連通している。
振動板31から見て、液体室23とは反対側には、収容室33に収容されたアクチュエーター34が設けられている。アクチュエーター34は、電圧が印加された場合に収縮する圧電素子であり、その収縮に応じて振動板31を変位させることを可能としている。このため、アクチュエーター34は、駆動電圧の変更に応じて、図1に二点鎖線で示すように振動板31を振動させることで、液体室に供給される液体をノズル12から吐出させる吐出動作を行う。なお、本実施形態では、ノズル12、液体室23、振動板31、及びアクチュエーター34を含んで液体噴射ヘッド13が構成されている。
また、液体室23、供給口32、及びアクチュエーター34はノズル12に個別に対応するように複数設けられる一方、リザーバー22は複数の液体室23に供給口32を介して連通している。すなわち、供給流路14及び液体供給源19から供給された液体はリザーバー22に一時貯留された後、リザーバー22から供給口32を通じて液体室23に供給される。こうした点で、本実施形態では、供給流路14が「液体供給部」の一例に相当する。
次に、圧力調整機構21の構成について説明する。
圧力調整機構21は、供給流路14において流路断面積が拡大する拡幅部である弁室41及び圧力室42を有している。弁室41は挿通孔43を介して圧力室42と連通し、圧力室42は流路24を介してリザーバー22と連通している。そして、液体供給源19に収容された液体は、加圧機構15の駆動に伴って加圧され、弁室41及び圧力室42に流入する。一例として、重力方向における圧力室42の中心は、重力方向において液体噴射ヘッド13のノズル形成面18の約50mm上方(圧力換算で0.5kPa)に配置されている。
また、圧力調整機構21は、挿通孔43を開閉可能な圧力調整弁44と、弁室41内に収容されて圧力調整弁44を付勢するコイルばね45とを備えている。コイルばね45は、挿通孔43を開放する開弁位置から、挿通孔43を閉塞する閉弁位置に向けて、圧力調整弁44を付勢している。ここで、圧力調整弁44が開弁位置に位置することを「圧力調整弁44が開弁する」ともいい、圧力調整弁44が閉弁位置に位置することを「圧力調整弁44が閉弁する」ともいう。
圧力室42において、同圧力室42と大気とを区画する壁面の一部(図1では左側壁)は、可撓性を有するフィルム47によって構成されている。ここで、ノズル12からの液体の噴射等によって圧力室42の液体が減少すると、圧力室42の圧力が低下することで、圧力室42内の圧力と大気圧との差圧が大きくなる。すると、フィルム47が圧力室42の容積を減少させる方向に撓むことで、同フィルム47が圧力調整弁44を押圧する。そして、フィルム47が圧力調整弁44を押す力がコイルばね45の付勢力より大きくなると、圧力調整弁44が閉弁位置から開弁位置に移動する。
また、コイルばね45の付勢力は、圧力室42内の圧力が約−1.0〜−1.5kPaより小さくなった場合に開弁するように調整されている。すなわち、圧力調整機構21は、挿通孔43よりも下流側の供給流路14をノズル12内に形成されるメニスカスの位置において−0.5〜−1.0kPa程度の負圧に保持する圧力調整機能を備えている。この負圧は、ノズル12から液体が漏れ出ることを防止するとともに、負圧の絶対値をノズル12内に形成されるメニスカスの耐圧より小さく設定することにより、複数のノズル12内に均等にメニスカスを形成して、噴射動作を安定させるためのものである。また、以降の説明では、圧力調整弁44が開弁するときの圧力室42の圧力(約−1.0〜−1.5kPa)を「保持圧HP」ともいう。こうして、圧力調整弁44は、圧力室42の圧力が保持圧HP未満になると開弁して、同圧力室42よりも上流側からの液体の供給を許容する一方、同圧力室42の圧力が保持圧HP以上になると閉弁して、同圧力室42よりも上流側からの液体の供給を規制する。
次に、メンテナンス機構16の構成について説明する。
メンテナンス機構16は、液体噴射ヘッド13のノズル形成面18に対して上下動可能なキャップ51と、ノズル12から排出された液体を廃液として収容する廃液収容部52と、キャップ51及び廃液収容部52を接続する廃液流路53と、廃液流路53に設けられた減圧機構54と、キャップ51に付属する大気開放弁55とを備えている。
キャップ51は、複数のノズル12が開口する領域を囲うように液体噴射ヘッド13に接触することにより、ノズル12の開口が連通する空間Ro(図4参照)を囲むことを可能としている。なお、本実施形態において、キャップ51がこのようにノズル12が連通する空間Roを囲むことを「キャッピングする」ともいい、反対に、キャップ51が空間Roを囲む状態を解消することを「キャッピングを解除する」ともいう。また、キャップ51は、図1に示すような開口部を有する有底箱状のものに限らず、例えばノズル形成面18にノズル12が開口する領域を囲む環状の弾性部材を配置しておき、この弾性部材に接触することによって空間Roを囲む板状の部材をキャップ51としてもよい。
減圧機構54は、例えばチューブポンプなどであり、空間Roを吸引し同空間Roに対して負圧を付与することを可能としている。なお、減圧機構54が空間Roに付与する負圧の大きさは、例えば、−数十kPa〜−百kPa程度である。すなわち、減圧機構54が空間Roに付与する負圧は、保持圧HPに相当する負圧に比較して大きくなっている。また、大気開放弁55は、キャップ51内の空間Roを大気と連通状態とする開弁状態と、大気と非連通状態とする閉弁状態とを切り替え可能としている。ここで、大気開放弁55が開弁状態となることを「大気開放弁55が開弁する」ともいい、大気開放弁55が閉弁状態になることを「大気開放弁55が閉弁する」ともいう。
次に、液体噴射装置11の電気的構成について説明する。
図2に示すように、液体噴射装置11は、装置全体を統括制御する制御部60を備えている。制御部60の出力側インターフェースには、加圧機構15、アクチュエーター34、キャップ51、減圧機構54、及び大気開放弁55が接続されている。そして、制御部60は、アクチュエーター34の駆動電圧、キャップ51による液体噴射ヘッド13のキャッピング状態、加圧機構15の駆動状態、減圧機構54の駆動状態、大気開放弁55の開閉状態を制御可能としている。
ここで、図3を参照して、制御部60によるアクチュエーター34の制御態様と液体室23の容積の関係について説明する。上述したように、制御部60は、アクチュエーター34の駆動電圧EVを変更することで、振動板31を変位させて液体室23の容積を変更可能としている。ここで、本実施形態では、図3に示すように、アクチュエーター34の駆動電圧EVが大きい場合には、同駆動電圧EVが小さい場合よりも、液体室23の容積VLが大きくなる。すなわち、アクチュエーター34の駆動電圧EVを第1の電圧EV1とした場合の液体室23の容積VL(第1の容積VL1)は、同駆動電圧EVを第1の電圧EV1よりも小さい第2の電圧EV2とした場合の液体室23の容積VL(第2の容積VL2)よりも大きくなる。こうして、制御部60は、液体室23の容積VLを第2の容積VL2から第1の容積VL1とすることで、液体室23にリザーバー22から液体を流入させたり、液体室23の容積VLを第1の容積VL1から第2の容積VL2とすることで、液体室23からノズル12を介して液体を噴射させたりする。
次に、図4を参照して、液体噴射装置11のメンテナンスについて説明する。
液体噴射装置11において、例えばあるノズル12に連通する液体室23において液体が増粘したり、同液体室23において気泡Buが発生した場合(図1参照)には、同ノズル12の液体噴射性能が低下したり、複数のノズル12間で液体噴射性能に差が生じることとなる。このため、そうしたノズル12から増粘した液体や気泡Buを排出させるメンテナンスが実施される。
図4に示すように、メンテナンスを行う場合、まず、キャップ51を液体噴射ヘッド13に向かって上昇させて、液体噴射ヘッド13をキャッピングする。続いて、大気開放弁55を閉弁状態とすることで、空間Roをほぼ密閉された空間Roとする。そして、減圧機構54を駆動して、空間Roに負圧を付与する。
ここで、減圧機構54の駆動によって空間Ro内に負圧が付与されると、空間Roと連通する圧力室42、リザーバー22、及び液体室23に対しても同等の負圧が発生する。このため、空間Roに付与された負圧と同等の負圧が圧力室42に付与され、同圧力室42の圧力が保持圧HP未満となることで圧力調整弁44が開弁される。こうして、図4に実線矢印で示すように、液体供給源19及び供給流路14内の液体が液体噴射ヘッド13のノズル12から継続的に排出され、同液体とともに上述した増粘した液体や気泡Buが液体噴射ヘッド13から排出される。なお、液体噴射ヘッド13のノズル12から排出された液体は、キャップ51及び廃液流路53を通じて廃液収容部52に収容される。そして、ノズル12からメンテナンスのための所定期間が経過すると、減圧機構54の駆動が停止され、大気開放弁55が開弁されることで空間Roが大気開放される。続いて、キャップ51を液体噴射ヘッド13から離間させることで一連のメンテナンス動作が終了する。
ところで、大気開放弁55を開弁することで空間Roを大気開放する際に、同空間Roに負圧が生じていると、同大気開放弁55を開弁することで空気が空間Roに流入することとなる。これは、大気開放弁55を設けずに、液体噴射ヘッド13からキャップ51を離間させることで空間Roを大気開放する場合でも同様である。これらの場合、空間Roの負圧の大きさに応じた流量・流速の空気が、同空間Roに流入することによって、ノズル12を介して液体噴射ヘッド13内に空気が流入したり、一度排出した液体がノズル12を介して液体噴射ヘッド13内に流入したりするおそれがある。
なお、減圧機構54の駆動を停止してから所定期間経過した後に大気開放弁55を開弁することで、大気開放弁55を開弁するときの空間Roの負圧を減圧機構54の駆動停止直後の負圧よりも小さくすることが可能である。ここで、空間Roの負圧を小さくすることが可能なのは、減圧機構54の駆動を停止してから所定期間待機することで、液体噴射ヘッド13のノズル12から液体の吸引が継続され、次第に負圧が小さくなるためである。ただし、液体噴射ヘッド13のノズル12から液体の吸引が継続されるためには、圧力室42の圧力が保持圧HP未満とされ圧力調整弁44が開弁している必要がある。このため、液体噴射ヘッド13のノズル12から液体の吸引が継続され、圧力室42の圧力が保持圧HPと略等圧になった場合、圧力調整弁44が閉弁するため、それ以上液体がノズル12から吸引(排出)されなくなる。こうして、減圧機構54の駆動を停止してから所定期間待機したとしても、空間Roの負圧は、保持圧HPに相当する負圧よりも小さくなりにくい。したがって、大気開放弁55を開弁するときに、依然として、空気や液体がノズル12を介して液体室23に流入したりするおそれがある。
そこで、本実施形態では、メンテナンスを行うにあたり、アクチュエーター34の駆動を制御することで、大気開放弁55を開放するときに、供給流路14(圧力室42、流路24、及びリザーバー22)内及び液体室23内の圧力を保持圧HPよりも大きくできるようにした。詳しくは、アクチュエーター34の駆動を制御することで、減圧機構54の駆動を停止する前までに液体室23の容積VLを大きくし、大気開放弁55を開弁する前に液体室23の容積VLを小さくするようにした。
次に、図5に示すフローチャートを参照して、制御部60が液体噴射ヘッド13のメンテナンスをするときに実行する処理ルーチンを説明する。
図5に示すように、制御部60は、キャップ51を上昇させて、同キャップ51を液体噴射ヘッド13にキャッピングさせる(ステップS11)。続いて、制御部60は、アクチュエーター34の駆動電圧EVを第1の電圧EV1とし(ステップS12)、振動板31を液体室23の容積VLを大きくする方向に変位させることで、液体室23の容積VLを第1の容積VL1とする。また、本ステップS12において、アクチュエーター34の駆動電圧EVを第1の電圧EV1に変更する場合、駆動電圧EVの変更速度が、液体噴射ヘッド13から液体を噴射させる場合における駆動電圧EVの変更速度と等速又は低速とされることが望ましい。これは、液体室23の容積VLの変化によってノズル12から空気や一度排出した液体を供給流路14内に引きこむことを抑制するためである。
そして、制御部60は、減圧機構54を駆動し(ステップS13)、空間Roに負圧を付与させる。なお、ステップS13を実行する際に大気開放弁55が開弁されている場合には、同ステップS13を実行する前に、制御部60は大気開放弁55を閉弁させる。続いて、制御部60は、第1の所定期間TM1待機する(ステップS14)。第1の所定期間TM1とは、メンテナンスを行うにあたって、増粘した液体や気泡を液体噴射ヘッド13から排出するために必要とされる期間である。したがって、この第1の所定期間TM1は、予め実験などで求めておいてもよいし、液体噴射装置11のユーザーが任意に設定してもよい。
そして、制御部60は、減圧機構54の駆動を停止する(ステップS15)。ここで、本実施形態では、減圧機構54の駆動を停止することが「空間Roに対する負圧の付与を停止すること」に相当する。続いて、制御部60は、第2の所定期間TM2待機する(ステップS16)。第2の所定期間TM2とは、メンテナンスを行うにあたって、減圧機構54の駆動が停止してから圧力調整機構21の圧力調整弁44が閉弁するまでに必要とされる期間である。このため、同第2の所定期間TM2の終期は、液体噴射ヘッド13のノズル12から液体の排出が停止したときということもできるし、空間Roの圧力が保持圧HPと略等圧となったときということもできる。したがって、第2の所定期間TM2は予め実験で求めておいてもよいし、メンテナンスを実行するときの状態に応じて制御部60が演算してもよい。後者の場合において、例えば、メンテナンス機構16において空間Roの圧力を検出可能な圧力検出センサー、廃液流路53の流量を検出可能な流量検出センサー、又は圧力調整弁44の位置を検出可能な変位検出センサーを備えている場合は、そうしたセンサー値の変化に基づいて第2の所定期間TM2を演算してもよい。
そして、制御部60は、アクチュエーター34の駆動電圧EVを第2の電圧EV2とし(ステップS17)、振動板31を液体室23の容積VLを小さくする方向に変位させることで、液体室23の容積VLを第2の容積VL2とする。また、同ステップS17では、ステップS12と同様に、アクチュエーター34の駆動電圧EVの変更速度は、液体室23内の液体がノズル12から排出されないように、液体噴射ヘッド13から液体を噴射させる場合における駆動電圧EVの変更速度よりも等速又は低速とされる。
続いて、制御部60は、大気開放弁55を開弁し(ステップS18)、空間Roを大気開放することで、空間Roに生じている負圧を解除する。そして、制御部60は、キャップ51を液体噴射ヘッド13のノズル形成面18から下降させて(ステップS19)、その処理を一旦終了する。
なお、上記処理ルーチンでは、ステップS12が「第1容積変更ステップ」の一例に相当し、ステップS13が「負圧付与ステップ」の一例に相当し、ステップS17が「第2容積変更ステップ」の一例に相当し、ステップS18が「負圧解除ステップ」の一例に相当する。
次に、図6に示すタイミングチャートを参照して、メンテナンスが実施される際の作用について説明する。なお、図6(a)は、液体室23の圧力(液圧)の推移を示しているが、圧力室42、リザーバー22、及び液体室23の圧力(液圧)、並びに空間Roの圧力は略等圧となるため、これらの何れかの圧力の推移を示しているとみなすこともできる。また、図6(e)は液体室23の容積VLの推移を示しているが、圧力室42、リザーバー22、液体室23、及び空間Roの各容積の和の変動タイミングを示しているとみなすこともできる。
図6(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、第1のタイミングt1では、キャップ51が上昇して、液体噴射ヘッド13のノズル形成面18に接触することで、同液体噴射ヘッド13がキャッピングされる。すなわち、第1のタイミングt1において、空間Roはノズル形成面18とキャップ51によって閉じた空間Roとなる。
続いて、第2のタイミングt2では、アクチュエーター34の駆動電圧EVが第1の電圧EV1に変更され始める。すなわち、第2のタイミングt2から次の第3のタイミングt3までの期間において、アクチュエーター34の駆動電圧EVが第1の電圧EV1及び第2の電圧EV2の中間電圧から第1の電圧EV1に変更される。これにより、同期間において、液体室23の容積VLが第1の容積VL1及び第2の容積VL2の中間の容積から、第1の容積VL1まで大きくなる。ここで、アクチュエーター34の駆動電圧EVの変更速度は、液体噴射ヘッド13から液体を噴射するときの駆動電圧EVの変更速度よりも低速とされる。また、第2のタイミングt2から第3のタイミングt3までの期間では、液体室23の容積VLが大きくなることにより、同液体室23の圧力が僅かに低下する。
そして、第4のタイミングt4では、減圧機構54の駆動が開始されることで、空間Roに負圧が付与され始め、同第4のタイミングt4以降では、液体室23の圧力が次第に小さくなる。また、第4のタイミングt4以降では、減圧機構54の駆動により、液体室23の圧力が低下することとなるが、アクチュエーター34の駆動によって第1の容積VL1とされた液体室23の容積VLは略変化しない。すなわち、アクチュエーター34が一定の駆動電圧EVで駆動されている状態では、減圧機構54の駆動によって、液体室23に負圧が付与されたとしても振動板31は略変位しない。
続いて、第5のタイミングt5では、液体室23の圧力が保持圧HP未満になることで、同液体室23と連通する圧力室42の圧力も保持圧HP未満となる。このため、同第5のタイミングt5では、圧力調整弁44が開弁して、液体室23が、弁室41、圧力室42、及びリザーバー22を介して液体供給源19と連通する状態となる。こうして、第5のタイミングt5以降では、液体室23(圧力室42)の圧力が保持圧HP未満である状態が継続する限り、液体噴射ヘッド13のノズル12から液体が排出され続ける。
そして、第6のタイミングt6では、減圧機構54の駆動が開始された第4のタイミングt4から第1の所定期間TM1が経過することで、同減圧機構54の駆動が停止される。すなわち、第6のタイミングt6では、液体噴射ヘッド13のノズル12から、気泡や増粘した液体などを排除し得る量の液体を排出したとして、減圧機構54の駆動が停止される。また、第6のタイミングt6から次の第7のタイミングt7までの期間では、減圧機構54の駆動を停止しても、依然として、液体室23(圧力室42)の圧力は保持圧HP未満の圧力であるため、圧力調整弁44は開弁された状態となる。すなわち、第6のタイミングt6から次の第7のタイミングt7までの期間では、減圧機構54の駆動が停止された状態で、液体噴射ヘッド13のノズル12から液体が排出される。また、同期間では、減圧機構54の駆動が停止された状態で、液体噴射ヘッド13から液体が排出されることで、液体室23の圧力が次第に大きくなる。すなわち、負圧が小さくなる。
そして、第7のタイミングt7では、液体室23の圧力が保持圧HPと略等圧となることで、圧力調整弁44が閉弁し、液体噴射ヘッド13のノズル12から液体の排出が停止する。続いて、第8のタイミングt8では、減圧機構54の駆動を停止した第6のタイミングt6から第2の所定期間TM2が経過したとして、アクチュエーター34の駆動電圧EVが第2の電圧EV2に変更され始める。すなわち、第8のタイミングt8から第9のタイミングt9までの期間において、液体室23の容積VLが第1の容積VL1から第2の容積VL2まで小さくなる。また、同期間において、液体室23の容積VLが減少することによって、同液体室23の圧力が大きくなる。
なお、第8のタイミングt8から第9のタイミングt9までの期間におけるアクチュエーター34の駆動電圧EVの変更速度は、第2のタイミングt2から第3のタイミングt3までの期間と同様に、液体噴射ヘッド13から液体を噴射するときの駆動電圧EVの変更速度よりも低速とされる。このため、同期間において、液体室23の容積VLが減少することにより、液体噴射ヘッド13のノズル12から液体が吐出されることが抑制される。
そして、第9のタイミングt9では、液体室23の圧力が、保持圧HPよりも大きな圧力となる。このとき、液体室23の圧力は、液体噴射ヘッド13のノズル12において適切なメニスカスを形成するために、大気圧以下であることが好ましい。このため、液体室23の圧力が保持圧HPよりも大きく大気圧以下の圧力になるように、アクチュエーター34の駆動電圧EVの変化量(第2の電圧EV2と第1の電圧EV1の差)が設定されることが好ましい。
続いて、第10のタイミングt10において、大気開放弁55を開弁して空間Roを大気開放する。ここで、例えば、第8のタイミングt8において、アクチュエーター34の駆動電圧EVを変更しない場合、第10のタイミングt10において、大気圧と保持圧HPの差圧に相当する負圧が大気開放によって解除されることとなる。これに対し、本実施形態では、第10のタイミングt10において、大気圧と保持圧HPの差圧に相当する負圧よりも小さい負圧が大気開放によって解除されることとなる。この点で、本実施形態では、空間Roを大気開放する際に、空間Roに流入する空気の流速及び流量が低減され、空気や液体が液体噴射ヘッド13の内部(例えば、液体室23)に流入することが抑制される。
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)大気開放弁55を開弁する前に液体室23の容積VLを第1の容積VL1から第2の容積VL2に変更することで、大気開放弁55を開弁するときの液体室23の容積VLが、大気開放弁55を開弁する前の液体室23の容積VLよりも小さくなる。このため、大気開放弁55を開弁することで空間Roの負圧が解除される前に、液体室23の容積VLを小さくしない場合に比較して、空間Roが大気開放されるときの供給流路14内及び液体室23内の負圧を小さくすることができる。また、液体室23の容積VLを小さくしない場合に比較して、アクチュエーター34の変位に対応して、液体室23の液体の流れる方向と交差する方向の流路断面積が小さくなることにより液体室23の流路抵抗を大きくできる。このため、空間Roが大気開放されるときに、空間Roに流入する空気や一度排出した液体などが液体噴射ヘッド13のノズル12に入り込みにくくなる。したがって、液体噴射ヘッド13のノズル12から液体を排出するメンテナンスの実施に伴って、そうした空気や液体が液体噴射ヘッド13の内部に流入することを抑制することができる。
(2)減圧機構54の駆動が停止した後であって且つ大気開放弁55を開弁する前に、液体室23の容積VLが第2の容積VL2とされる。このため、大気開放弁55を開弁するときの空間Roの負圧がより小さくなりやすく、空間Roを大気開放するときに液体噴射ヘッド13のノズル12に空気や液体が流入することをより抑制することができる。
(3)圧力調整弁44が閉弁した後に液体室23の容積VLを第2の容積VL2とすることで、圧力調整弁44が閉弁する前に液体室23の容積VLを第2の容積VL2とする場合よりも、大気開放弁55を開放する直前における空間Roの負圧が小さくなりやすい。したがって、大気開放弁55を開放するときに、空間Roの負圧が小さくなることで、液体噴射ヘッド13のノズル12に液体及び空気が流入することをさらに抑制することができる。
なお、上記実施形態は、以下に示す他の実施形態に変更してもよい。
・減圧機構54の駆動が開始されてから同減圧機構54の駆動が停止されるまでの間に、アクチュエーター34の駆動電圧EVを第1の電圧EV1から第2の電圧EV2に変更してもよい。また、減圧機構54の駆動が停止されてから液体室23の圧力が保持圧HP未満である間に、アクチュエーター34の駆動電圧EVを第1の電圧EV1から第2の電圧EV2に変更してもよい。すなわち、制御部60は、メンテナンス機構16が空間Roに負圧を付与し始めた後に、液体室23を第1の容積VL1となるように、アクチュエーター34の駆動を制御してもよい。例えば、図6に示すタイミングチャートでいえば、第4のタイミングt4(好ましくは第5のタイミングt5)から第7のタイミングt7までの期間において、アクチュエーター34の駆動電圧EVを第1の電圧EV1から第2の電圧EV2に変更してもよい。
減圧機構54が空間Roに負圧を付与する前に液体室23を第1の容積VL1とする場合、大気圧下で液体室23の容積VLが増大することから、アクチュエーター34の駆動電圧EVの変更速度が速い場合には、ノズル12から空気などを液体室23に引き込むおそれがある。これに対し、空間Roに負圧が付与し始めた後に液体室23を第1の容積VL1とする場合には、空間Roに負圧が付与されている状態で液体室23の容積VLが増大することなるため、液体室23の容積VLが増大するときにノズル12から空気などを液体室23に引き込みにくくなる。こうして、メンテナンスを行うにあたり液体室23を第1の容積VL1とする際に、液体噴射ヘッド13のノズル12に空気が流入することを抑制することができる。言い換えれば、液体噴射ヘッド13のノズル12に空気が流入することを抑制しつつ、アクチュエーター34の駆動電圧EVを第1の電圧EV1に変更するときの変更速度を速くすることができる。
・制御部60は、ステップS17において、アクチュエーター34の駆動電圧EVとしての第2の電圧EV2を「0V(零ボルト)」、すなわちアクチュエーター34への駆動電圧EVの印加を停止することにより、振動板31を液体室23の容積VLを小さくする方向に変位させてもよい。
・図7に示すタイミングチャートは、液体噴射ヘッド13のメンテナンスを実施する場合のアクチュエーター34の駆動電圧EVの推移の一例を示している。上記実施形態では、第2のタイミングt12から第3のタイミングt13までの期間において、液体室23の容積VLを大きくするときに、一点鎖線で示すように駆動電圧EVを次第に大きくするようにしたが、実線及び破線で示すように駆動電圧EVを段階的に大きくしてもよい。また、上記実施形態では、第8のタイミングt18から第9のタイミングt19までの期間において、液体室23の容積VLを小さくするときに、一点鎖線で示すように駆動電圧EVを次第に小さくするようにしたが、実線及び破線で示すように駆動電圧EVを段階的に小さくしてもよい。さらに、図7に実線及び破線で示す駆動電圧EVの変化速度(勾配)は、液体噴射ヘッド13のノズル12から液体を噴射するときの駆動電圧EVの変化速度と同じ速度であってもよい。この場合においても、アクチュエーター34の駆動電圧EVが変化しない期間を設けることで、駆動電圧EVの変化に伴うノズル12における液体の吐出及び空気の吸引を抑制することができる。なお、駆動電圧EVを大きくする場合と小さくする場合とでは、駆動電圧EVの変化速度は同じでなくてもよいし、駆動電圧EVが変化しない期間の長さは同じでなくてもよい。
・アクチュエーター34は、図8に示すように、駆動電圧EVが小さい場合には、同駆動電圧EVが大きい場合よりも、液体室23の容積VLを大きくするアクチュエーターであってもよい。すなわち、このアクチュエーターによれば、駆動電圧EVを第1の電圧EV1とした場合には、液体室23の容積VLが第2の容積VL2とされる一方、同駆動電圧EVを第2の電圧EV2とした場合には、液体室23の容積VLが第1の容積VL1とされる。そして、制御部60は、こうしたアクチュエーターの駆動を制御することで、液体室23の容積VLを変更するようにしてもよい。
・圧力室42の容積を変更できる容積変更機構をさらに備えてもよいし、リザーバー22の容積を変更できる容積変更機構をさらに備えてもよいし、液体室23の容積を変更できる容積変更機構を更に備えてもよい。すなわち、こうした容積変更機構は、圧力室42、リザーバー22、液体室23、及び空間Roのうち少なくともひとつの容積を変更することができればよい。そして、制御部60は、こうした容積変更機構をアクチュエーター34と同様に駆動することが好ましい。
・大気開放弁55を備えなくてもよい。この場合、空間Roに付与された負圧の解除は、液体噴射ヘッド13からキャップ51を離間させることにより行われる。
・固定されたキャップ51に液体噴射ヘッド13を下降させて、同液体噴射ヘッド13をキャッピングするようにしてもよい。すなわち、液体噴射ヘッド13とキャップ51とを相対的に接近させることで、液体噴射ヘッド13をキャッピングできる構成であればよい。また、液体噴射ヘッド13とキャップ51との相対的な接近方向は、上下方向(鉛直方向)でなくてもよい。
・液体供給源19は、剛性を有するケースの中に収容された可撓性を有する袋であってもよい。そして、この構成を採用する場合には、ケース内において、袋の外側の空間Roを加圧したり、例えばばねなどの付勢部材によって袋を押しつぶしたりすることによって袋内の液体を加圧して、袋内の液体を供給流路14に流出させるようにしてもよい。
・液体噴射装置11は、印刷機能のみを備えるプリンターであってもよいし、ファクシミリ、複写装置、またはこれら装置を備える複合機に備えられるプリンターであってもよい。
・液体噴射ヘッド13が噴射する液体は、インク以外の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して噴射できる固体を含む)ものであってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する構成にしてもよい。
11…液体噴射装置、12…ノズル、13…液体噴射ヘッド、14…供給流路(液体供給部の一例)、16…メンテナンス機構、21…圧力調整機構、22…リザーバー、23…液体室、34…アクチュエーター、44…圧力調整弁、51…キャップ、54…減圧機構、55…大気開放弁、60…制御部、EV1…第1の電圧、EV2…第2の電圧、VL1…第1の容積、VL2…第2の容積、HP…保持圧、Ro…空間、S12…第1容積変更ステップ、S13…負圧付与ステップ、S17…第2容積変更ステップ、S18…負圧解除ステップ。

Claims (7)

  1. 複数のノズルと、前記複数のノズルに液体を供給する液体室と、前記液体室に供給される前記液体を前記ノズルから吐出させる吐出動作を行うアクチュエーターと、を有する液体噴射ヘッドと、
    前記複数のノズルを含む空間に負圧を付与することにより前記ノズルから前記液体を排出させるメンテナンス機構と、を備え、
    前記アクチュエーターは、
    前記メンテナンス機構が前記空間に前記負圧の付与を停止する前に、前記液体室の容積が第1の容積となるように駆動され
    前記メンテナンス機構が前記空間に対する前記負圧の付与を停止した後でかつ前記空間に付与した前記負圧を解除する前に、前記液体室の容積が前記第1の容積に維持された状態から該第1の容積よりも小さな第2の容積となるように駆動される
    ことを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記液体室の圧力が大気圧以下でかつ前記ノズルにメニスカスが形成される圧力となるように前記第1の容積と前記第2の容積は設定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記アクチュエーターは圧電素子であり、前記液体室の容積を前記第1の容積に変更する際の該アクチュエーターの駆動電圧の変更速度は、前記液体を前記ノズルから吐出させる吐出動作を行う際の該アクチュエーターの駆動電圧の変更速度より遅い
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記アクチュエーターは圧電素子であり、前記液体室の容積を前記第1の容積から前記第2の容積に変更する際の該アクチュエーターの駆動電圧の変更速度は、前記液体を前記ノズルから吐出させる吐出動作を行う際の該アクチュエーターの駆動電圧の変更速度より遅い
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  5. 前記液体室に前記液体を供給可能に接続される液体供給部をさらに備え、
    前記液体供給部は、同液体供給部の下流側の圧力が大気圧よりも低い保持圧未満になると開弁して上流側からの前記液体の供給を許容し、同圧力が前記保持圧以上になると閉弁して上流側からの前記液体の供給を規制する圧力調整弁を有し、
    前記制御部は、前記圧力調整弁が閉弁した後に、前記液体室の容積が前記第2の容積となるように、前記アクチュエーターの駆動を制御する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  6. 前記制御部は、前記メンテナンス機構が前記空間に前記負圧を付与し始めた後に、前記液体室の容積が前記第1の容積となるように、前記アクチュエーターの駆動を制御する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  7. 複数のノズルと、前記複数のノズルに液体を供給する液体室と、前記液体室に供給される前記液体を前記ノズルから吐出させる吐出動作を行うアクチュエーターと、を有する液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置のメンテナンス方法であって、
    前記複数のノズルを含む空間に負圧を付与する負圧付与ステップと、
    前記空間に前記負圧の付与を停止する前に、前記アクチュエーターを駆動して前記液体室の容積を第1の容積とする第1容積変更ステップと、
    前記空間に付与される前記負圧を解除する負圧解除ステップと、
    前記負圧付与ステップの実行した後でかつ前記負圧解除ステップを実行する前に、前記アクチュエーターを駆動して前記液体室の容積を前記第1の容積に維持された状態から該第1の容積よりも小さな第2の容積とする第2容積変更ステップと、を備える
    ことを特徴とするメンテナンス方法。
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