JP6253235B2 - 神経突起伸長誘導剤およびその用途 - Google Patents

神経突起伸長誘導剤およびその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP6253235B2
JP6253235B2 JP2013023669A JP2013023669A JP6253235B2 JP 6253235 B2 JP6253235 B2 JP 6253235B2 JP 2013023669 A JP2013023669 A JP 2013023669A JP 2013023669 A JP2013023669 A JP 2013023669A JP 6253235 B2 JP6253235 B2 JP 6253235B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
food
neurite outgrowth
present
formula
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013023669A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014152141A (ja
Inventor
昌弘 岩山
昌弘 岩山
博宣 村瀬
博宣 村瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shishiai KK
Original Assignee
Shishiai KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shishiai KK filed Critical Shishiai KK
Priority to JP2013023669A priority Critical patent/JP6253235B2/ja
Publication of JP2014152141A publication Critical patent/JP2014152141A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6253235B2 publication Critical patent/JP6253235B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Description

本発明は、神経突起伸長誘導剤およびその用途に関する。
神経細胞は、生体においてほとんど***能を持たないため、成熟した脳や脊髄等の中枢神経系では再生能がなく、一度障害を受けると長期にわたってその障害が持続するものと考えられている。そのため、脊髄損傷等の外因性傷害、並びにアルツハイマー病又はパーキンソン病、痴呆等の神経変性疾患に対する有効な治療方法は未だ存在しない。
人口に対する高齢者の比率が上昇するに従って、老年型痴呆症が増加する傾向にあり、社会問題となっている。老年型痴呆症の原因となる疾患は、脳器質性障害による痴呆、脳以外の臓器疾患に付随した痴呆およびストレスによる身体疾患に起因する痴呆に大別される。特に、その原因の大半を占める脳器質性障害による痴呆は、原因の違いにより脳血管性痴呆症およびアルツハイマー型痴呆症に分類される。前者の脳血管性痴呆症に対しては、脳血管拡張薬などがある程度の効果を示すことが知られている。しかし、後者のアルツハイマー型痴呆症に対しては、その発症原因が今なお不明であり、発症を含めその進行を阻止するのに適切な薬物療法も治療法も知られていない。
近年、神経細胞から分泌される神経成長因子(NGF;nerve growth factor(以下、「NGF」とも称する)が、神経軸索の伸長および神経伝達物質の合成促進、神経細胞の維持、細胞損傷時の修復、脳神経の機能回復を促し老化を防止する作用等を持ち合わせた重要なタンパク質であって、神経変性疾患に対して優れた効果を示すことが見出された。NGFは神経組織の成長および機能維持にとって重要かつ必要な因子である。NGFは、末梢神経における知覚および交感神経、並びに中枢神経における大細胞性コリン作動性ニューロンの成熟、分化および生命維持に不可欠であり、脳損傷時の神経細胞の変性を防ぐという作用を示す。さらに、NGFは、パーキンソン病やハンチントン病等の神経変性疾患に対しても有効であることが示唆されている。生体内においてNGFが受容体であるTrKAに結合するとGrb2が活性化され、Ras等の下流のシグナルが活性化されることで神経分化が誘導され、アルツハイマー型痴呆症、脳血管性痴呆症、パーキンソン病、ハンチントン病のような中枢機能障害、脊髄損傷、末梢神経損傷、糖尿病性神経障害、並びに筋萎縮性側索硬化症のような末梢機能障害の治療にも有用であると考えられている。
NGFは、モノマーでは13000、ダイマーでは26000もの分子量を有するタンパク質であり、血管脳関門を通過することができない。そのため、例えば、中枢機能障害の治療を目的とした場合には、脳室内投与が必要となる。さらに、NGFの大量調製も困難である。このようにNGF自体の使用には多くの問題がある。結果として、一般に、NGF自体を臨床で用いることは非常に困難であると考えられる。
一方、上記のような神経障害を伴う疾患の治療剤の開発において、神経細胞の伸長に着目したものがある。例えば、特許文献1には、メタリジュウム属に属するオバリシンおよびクロバリシンを生産する能力を有する微生物を培養し、培養液中に生理活性物質オバリシン、クロバリシンを得て、これを新規神経分化促進剤として用いることや当該剤の製造方法が開示されている。
特許文献2には、安全性が高く、かつ神経細胞に対して神経突起を伸長しうる神経突起伸長剤として、ローズマリーおよびセージからなる群より選択される少なくとも1種の植物由来の抽出物(例えば、カルノシン酸を含有するもの)を有効成分として含有する神経突起伸長剤に係る発明が開示されている。そして、この神経突起伸長剤は、老年型痴呆症等の原因の一つとして考えられている神経変性疾患の予防および/または治療に利用しうるものであるとされている。
また、特許文献3には、ローズマリー抽出物を有効成分とし、高い神経保護活性を有するとともに安全性に優れる新規な神経細胞保護剤が開示されている。そして、この神経細胞保護剤は、神経細胞に対する細胞突起伸長作用およびアセチルコリン放出促進作用を有し、加えて高い安全性を発揮しうるものであるとされている。
さらに、特許文献4には、スギナ末、パフィアエキス、セイヨウエビラハギエキス、メグスリノキ抽出液、ラカンカエキス、センシンレンエキス、コショウソウエキス、ミカニア・グロメラータエキス、レッドビートエキス、マムシ抽出液の少なくとも1種のエキスを含有する神経突起伸長剤が開示されている。そして、当該神経突起伸長剤もまた、神経変性疾患の予防/治療や、アルツハイマー病・痴呆症の予防/治療に用いられうるものであるとされている。
特開2000−125894号公報 特開2007−230945号公報 特開2008−162927号公報 特開2011−207814号公報
本発明は、従来公知の神経突起伸長誘導剤に代替しうる新規な神経突起伸長誘導剤、およびその用途を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述したような従来技術の現状に鑑み、鋭意検討を行なった。その過程で、驚くべきことに、いくつかのリノール酸誘導体が神経突起の伸長を誘導する作用を有することを見出した。そしてこの知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態によれば、下記の化学式1〜4:
式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する神経突起伸長誘導剤が提供される。
本発明の他の形態によれば、上記神経突起伸長誘導剤を含有する神経疾患の予防・治療剤が提供される。当該神経疾患予防・治療剤は、好ましくは脳腫瘍、神経変性疾患、痴呆症、脳虚血障害、脊髄損傷、てんかん、または精神系疾患の予防および/または治療に使用される。
本発明のさらに他の形態によれば、上記神経突起伸長誘導剤を含有する学習および/または記憶能力の向上および/または改善剤もまた、提供される。
本発明のさらに他の形態によれば、上記神経突起伸長誘導剤を含有する飲食品もまた、提供される。
本発明のさらに他の形態によれば、上記神経突起伸長誘導剤を有効量含有する飲食品であって、脳腫瘍、神経変性疾患、痴呆症、脳虚血障害、脊髄損傷、てんかん、または精神系疾患を予防および/または治療する機能、並びに/あるいは、学習および/または記憶能力を向上および/または改善する機能を有し、その機能表示が付された飲食品もまた、提供される。当該飲食品は、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示が付された食品、または病者用食品であることが好ましい。
本発明によれば、従来公知の神経突起伸長誘導剤に代替しうる新規な神経突起伸長誘導剤、およびその用途が提供される。
実施例において、HPLC条件1により化合物を単離した際に得られたクロマトグラムである。 実施例において、HPLC条件2により化合物を単離した際に得られたクロマトグラムである。 実施例において、神経突起伸長誘導活性を評価した際の、対照群(DMSO)を観察した顕微鏡写真である。 実施例において、神経突起伸長誘導活性を評価した際の、化合物1処理群を観察した顕微鏡写真である。 実施例において、神経突起伸長誘導活性を評価した際の、化合物2処理群を観察した顕微鏡写真である。 実施例において、神経突起伸長誘導活性を評価した際の、化合物3処理群を観察した顕微鏡写真である。 実施例において、神経突起伸長誘導活性を評価した際の、化合物4処理群を観察した顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための具体的な形態について詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の具体的な形態のみに限定されるわけではない。
本発明の一形態は、下記の化学式1〜4:
式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する、神経突起伸長誘導剤である。
化学式1〜4において、R〜Rはそれぞれ、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられるが、なかでも、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基または2−エチルヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソブチル基または2−エチルヘキシル基がより好ましく、メチル基またはエチル基がさらに好ましい。ただし、R〜Rとしては、それぞれ、水素原子であることが最も好ましい。
本形態に係る神経突起伸長誘導剤の有効成分である化学式1〜4で表される化合物については、市販品が存在する場合には当該市販品を入手したものを用いてもよいし、自ら合成したものを用いてもよい。また、場合によっては、天然物から抽出・精製したものを用いてもよい。後述する実施例に記載のように、本発明者らは、キク科チョウセンアザミ属の多年草であるアーティチョーク(Cynara scolymus)の可食部から、上記化学式1〜4のそれぞれにおけるR〜Rが水素原子である化合物(化合物1〜4)を抽出した。したがって、後述する実施例に記載の手法を用いて、またはこれを一部改変した手法を用いて、上記化学式1〜4で表される化合物を得ることも可能である。
上述した化学式1〜4で表される化合物は、化合物自体であってもよいし、適用可能である限り、当該化合物の製薬上許容されうる塩、プロドラッグおよび溶媒和物を含む。例えば、カチオンと、上記化合物上の負荷電基との間で塩が形成されうる。適当なカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオン等のアンモニウムカチオンが挙げられる。本化合物には、第4級窒素原子を含むこれらの塩もまた含まれる。プロドラッグの例としては、エステルや他の製薬上許容されうる誘導体が挙げられ、これらは対象への投与によって活性な化合物を提供することができる。溶媒和物とは、活性化合物と製薬上許容されうる溶媒との間で形成される複合体を意味する。製薬上許容されうる溶媒としては、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸およびエタノールアミンが挙げられる。
上述したように、本発明の一形態によれば神経突起伸長誘導剤が提供されるが、「神経突起伸長誘導剤」とは、神経細胞からの突起の伸長を誘導することができる剤である。
ここで、未分化の神経細胞の分化においては、まず、神経突起の伸長が起こり、次いで、伸長した神経突起のうちの1本が急速に伸長して、軸索の性質を示すようになり、さらに残りの神経突起が樹状突起としての性質を獲得する。こうして生成した細胞の軸索と樹状突起とが他の細胞との間でシナプスを形成して神経回路が構築されるというプロセスが進行する。本発明に係る神経突起伸長誘導剤は、上述したように未分化の神経細胞の分化の過程において、神経突起の伸長を誘導することができる。したがって、本発明に係る神経突起伸長誘導剤によれば、神経突起の伸長が望まれる部位等、例えば、神経損傷部位、神経変性が認められる部位等において、高い神経突起の伸長誘導効果を得ることができ、神経突起を効率よく伸長させることができる。その結果、本発明に係る神経突起伸長誘導剤により伸長が誘導された神経突起から軸索または樹状突起が生成し、新たな神経ネットワークの形成が促されるという優れた効果がもたらされる。また、本発明に係る神経突起伸長誘導剤によれば、神経突起の伸長を誘導することにより、神経細胞の再生、神経変性疾患等の神経疾患の治療、予防等が可能になるという効果も奏される。
本発明に係る神経突起伸長誘導剤による神経突起伸長の誘導効果は、例えば、神経系細胞、好ましくは、例えば、神経芽細胞腫細胞、クロム親和性細胞腫細胞、グリア細胞腫細胞等を、被験対象となる試料の存在下に培養し、得られた細胞を観察することにより評価され、ここで、神経突起を持つ細胞が存在する場合、該試料が、神経突起伸長誘導効果を有することの指標となる。また、同様の手法により、細胞伸展における作用を評価することもできる。
前記神経系細胞としては、具体的には、例えば、マウス神経芽細胞腫細胞株であるNeuro−2a細胞(ATCC CCL−131)等、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSK−N−SH細胞(ATCC HTB−11)、SH−SY5Y細胞、ラットクロム親和性細胞腫細胞株であるPC12細胞(ATCC CRL1721)等、ラットアストログリア細胞腫細胞株であるC6細胞(ATCC CCL−107)等が挙げられる。
前記神経細胞の培養条件としては、特に限定されないが、10重量%馬血清と5重量%FCSとを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、0.01重量%ポリ−L−リジンコート培養ディッシュに1×10個/ディッシュとなるように接種し、5容積%CO存在下、37℃で培養する条件等が挙げられる。また、培地中における被験対象の試料の濃度は、適宜設定されうる。細胞における神経突起の形成は、例えば、位相差顕微鏡等により観察されうる。
本発明に係る神経突起伸長誘導剤は、神経疾患の治療に有効な治療剤または予防剤並びに学習および/または記憶能力の向上剤および/または改善剤として使用することができる。前記神経疾患は、神経変性を伴う疾患を意味し、例えば、脳腫瘍(例えば、神経損傷、神経機能の低下を伴う脳腫瘍);アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、クロイツフェルトヤコブ病、筋萎縮性側索硬化症等の神経変性疾患;痴呆症;脳虚血障害;脊髄損傷;てんかん;精神系疾患(例えば、精神***病、うつ病など)等の疾患等が例示される。
本発明の一形態による神経突起伸長誘導剤は、上述した化学式1〜4で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含む。これらの双方を有効成分として含んでももちろんよい。ただし、R〜Rが同一の場合で比較すると、化学式1で表される化合物>化学式2で表される化合物≒化学式3で表される化合物>化学式4で表される化合物の順で強い神経突起伸長誘導作用を示すことから、本発明に係る神経突起伸長誘導剤は、化学式1〜3で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含むことが好ましく、化学式1で表される化合物を有効成分として含むことがより好ましい。ここで、「有効成分として含む」とは、本発明に係る神経突起伸長誘導剤が、所望の神経突起伸長誘導作用を発揮するのに充分な量(すなわち、有効量)で、化学式1〜4で表される化合物の少なくとも1種を含有することを意味する。
したがって、化学式1〜4で表される化合物の少なくとも1種を、そのまま神経突起伸長誘導剤として用いてもよいが、このような有効量で有効成分を含み、かつ神経突起伸長誘導作用を損なわない限りにおいて、本発明に係る神経突起伸長誘導剤は、所望の製品形態に応じた製薬上許容されうる担体や、他の添加剤などとともに組成物を構成してもよい。また、本発明に係る神経突起伸長誘導剤は、賦形剤などの添加剤と混合して非経口投与、経口投与または外部投与に適した、医薬品、医薬部外品などの薬剤組成物のほか、飲食品などの形で使用することができる。
本発明に係る神経突起伸長誘導剤を医薬品(例えば、上述した種々の疾患に対する予防・治療剤)として利用する場合の投与量は、患者の年齢、症状等により大きく変動するが、一般には、経口投与の場合、乾燥重量として1〜2000mg/日の範囲であることが望ましい。また、飲食品に配合する場合は、その効果や添加した際の香り、色調の点から考え、0.01〜50質量%の濃度範囲とすることが好ましい。
医薬品に使用する場合、治療的有効量の上記化合物(化学式1〜4で表される化合物の少なくとも1種)が、1つまたは複数の製薬上許容されうる担体(添加剤)および/または希釈剤とともに処方される。以下で詳細に説明するように、本発明に係る薬剤組成物は固体または液体での投与のために具体的に処方することができる。経口投与として、例えば、水薬(水溶液もしくは非水溶液または懸濁液)、錠剤、巨丸剤、粉末薬、顆粒剤、舌に塗布するためのペーストが例示される。非経口投与としては、例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液として例えば皮下、筋内もしくは静脈内注射のための製剤、あるいは、局所用として、または、膣内または直腸内へ投与するための剤形へと製剤化されうる。
「治療的有効量」とは、いずれの医療にも適用可能な妥当な便益/リスク比で、何らかの所望の治療効果を生じるために有効な作用物質または組成物の量を意味する。例えば、本発明に係る神経突起伸長誘導剤の投与量は、対象疾患、投与対象、投与経路などにより差異はあるが、用量は対象となる者の体重等の条件によって容易に変動しうるため、当業者によって適宜選択されうる。
「製薬上許容されうる」とは、正しい医学的判断の範囲内で、妥当な便益/リスク比に見合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応等の問題や合併症なしに、ヒトおよび動物の組織に接触しての使用に好適な、化合物、材料、組成物、および/または投薬形態を指すために使用される。
「製薬上許容されうる担体」とは、体の一器官または一部から体の別の器官または一部へ本発明に係る神経突起伸長誘導剤を運搬または輸送することに関与する液体または固体の充填剤、希釈剤、補形薬、溶剤またはカプセル化材料のような、製薬上許容されうる材料、組成物または賦形剤を意味する。各担体は、剤形の他の成分と適合し、患者に有害でないという意味で「許容されうる」ものでなければならない。製薬上許容されうる担体として機能しうる材料のいくつかを以下に例示すると、ラクトース、グルコースおよびスクロースのような糖;トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプンのようなデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのようなセルロースおよびその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐薬ワックスのような補形薬;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油のような油脂;プロピレングリコールのようなグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールのようなポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩液;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;ならびに薬物処方で使用される他の非毒性の適合物質を含む。いくつかの実施形態では、薬物製剤は非発熱性である。すなわち、患者の体温を上昇させないものが好ましい。
その他、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのような湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、被覆剤、甘味料、香味剤および香料、保存料および酸化防止剤もまた組成物中に存在してもよい。
製薬上許容されうる酸化防止剤の例には以下のものがある:アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等のような水溶性酸化防止剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロール等のような油溶性酸化防止剤;ならびにクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等のような金属キレート剤も必要に応じて含有させることができる。
経口投与に好適な本発明の剤形は、カプセル、カシェ、丸薬、錠剤、ロゼンジ(味付けされた主薬、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント、を用いる)、粉末、顆粒、の形態でもよく、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油もしくは油中水液体乳剤として、またはエリキシルもしくはシロップとして、または香錠(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムのような不活性基剤を用いる)および/または含嗽剤等としてでもよく、それぞれ活性成分として所定量の本発明の化合物を含む。本発明の作用物質は、巨丸剤、舐剤、またはペーストとして投与されてもよい。
経口投与のための本発明の固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末薬、顆粒剤等)では、活性成分は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムのような1つまたは複数の製薬上許容されうる担体、および/または以下のもののいずれかと混合される:デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸のような充填剤または増量剤;例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアラビアゴムのような粘結剤;グリセロールのような保湿剤;寒天、炭酸カルシウム、バレイショまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤;パラフィンのような溶解遅延剤;4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤;カオリンおよびベントナイト粘土のような吸収剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物のような潤滑剤;ならびに着色剤。カプセル、錠剤および丸薬の場合、薬物組成物は緩衝剤を含んでもよい。同様の種類の固体組成物が、ラクトースまたは乳糖のような補形薬と、高分子量ポリエチレングリコール等とを用いたソフトおよびハード充填ゼラチンカプセル内の充填剤としても使用可能である。
錠剤は、圧縮または成形によって、随意に1つまたは複数の副成分とともに、作製されうる。圧縮された錠剤は、粘結剤(例えば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプンもしくは架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製されうる。成形タブレットは、不活性液体希釈剤で湿潤化された粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製されうる。
糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒剤のような、本発明に係る薬剤組成物の錠剤等の固体投薬形態は、随意に、刻み目を付けられ、または薬物調剤分野において周知の腸溶性被膜等の被膜および殻を用いて調製されてもよい。それらは、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための種々の比率でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて、内部の活性成分の緩徐なまたは制御された放出を提供するように調剤されてもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、または使用直前に滅菌水等の滅菌注射可能媒質に溶解することができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌してもよい。これらの組成物は、随意に乳白剤を含んでもよく、胃腸管のある特定の部分のみで、またはそこで優先的に、随意に遅延したやり方で、1つまたは複数の活性成分を放出する組成であってもよい。使用可能な埋込み組成物の例として、ポリマー物質およびワックスがある。活性成分は、適当であれば1つまたは複数の上記の補形薬とともに、マイクロカプセル化された形態であってもよい。
本発明の化合物の経口投与のための液体投薬形態としては、製薬上許容されうる乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルがある。液体投薬形態は、活性成分に加えて、例えば水や他の溶媒のような当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1、3−ブタジエングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルのような可溶化剤および乳化剤、およびそれらの混合物を含んでもよい。
不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味剤、着色剤、香料および保存剤のような補助薬を含んでもよい。
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物のような懸濁剤を含んでもよい。
直腸または膣投与のための本発明の薬物組成物の剤形は、坐薬として提示されうる。この坐薬は、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐薬ワックスまたはサリチル酸塩を含む1つまたは複数の好適な非刺激性補形薬または担体と、本発明の1つまたは複数の作用物質を混合することによって調製することが可能であり、室温で固体であるが、体温では液体であるため、直腸または膣腔で融解し、活性化合物を放出することになる。
膣投与に好適な本発明の剤形はまた、当技術分野で適当であることが知られているような担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡またはスプレー剤形も含む。
本発明の1つまたは複数の神経突起伸長誘導剤を局所的または経皮的投与するための投薬形態は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入薬を含む。活性作用物質は、薬学的に許容し得る基材と、および必要であれば保存料、緩衝液、または推進剤と、滅菌条件下で混合してもよい。
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の化合物に加えて、動物脂または植物脂、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物のような補形薬を含んでもよい。
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような補形薬を含んでもよい。スプレーは、塩化フッ化炭化水素や、ブタンおよびプロパンのような揮発性非置換炭化水素のような通例の高圧ガスをさらに含んでもよい。
経皮的パッチは、本発明の神経突起伸長誘導剤を、体に制御して配送するという更なる利点を有する。このような投薬形態は、適当な媒質に本発明の神経突起伸長誘導剤を溶解または分散させることによってなされうる。吸収増進剤を用いて、皮膚を横切る本発明の神経突起伸長誘導剤を含有する物質のフラックスを上昇させることも可能である。このようなフラックスの速さは、速さ制御膜を設けるか、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に化合物を分散させるかのいずれかによって制御することができる。
非経口投与に好適な本発明に係る神経突起伸長誘導剤を含有する薬剤組成物は、本発明の1つまたは複数の活性化合物とともに、1つまたは複数の製薬上許容されうる滅菌等張水溶液または非水溶液、分散剤、懸濁液もしくは乳剤、または使用直前に滅菌注射可能溶液または分散剤中で戻すことが可能な滅菌粉末を含み、これは酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、調剤を目的レシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは濃縮剤を含みうる。
本発明に係る神経突起伸長誘導剤を有する薬剤組成物において使用可能な好適な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの好適な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注射可能有機エステルがある。固有の流動性は、例えば、レシチンのような被覆材料の使用によって、分散剤の場合には必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。
これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような補助薬を含んでもよい。微生物の活動の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノール等の種々の抗菌剤および抗真菌剤の含有によって確保し得る。糖、塩化ナトリウム等の等張剤を組成物に含めると好ましい。さらに、注射可能薬物形態の持続性吸収が、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延させる作用物質の含有により引き起こされうる。
本発明によれば、上述した神経突起伸長誘導剤を含有する飲食品もまた、提供される。ここで、当該飲食品は、神経突起伸長誘導剤の有効成分を有効量含むように、当該神経突起伸長誘導剤を適切な量で含むことが好ましい。ここで「有効成分を有効量含む」とは、個々の飲食品を通常喫食される量摂取した結果、有効成分としての効果を発揮しうるような量で有効成分を含有することを意味する。本発明に係る飲食品には、本発明に係る有効成分をそのまま、または上述したような神経突起伸長誘導剤の形態で、飲食品に配合してもよい。また、本発明に係る飲食品は、本発明に係る有効成分に安定剤等の慣用の添加成分を加えて飲食品として調製したもの、各種タンパク質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類等を、それらにさらに配合して調製したもの、液状、半液体状もしくは固体状にしたもの、ペースト状にしたもの、または、一般の飲食品へ有効成分を添加したものであってもよい。
本発明において、「飲食品」は、医薬以外のものであって、哺乳動物が経口摂取可能な形態のものであれば特に制限はなく、その形態も液状物(溶液、懸濁液、乳濁液など)、半液体状物、粉末、または固体成形物のいずれのものであってもよい。このため飲食品は、例えば飲料の形態であってもよく、また、サプリメントのような栄養補助食品の錠剤形態であってもよい。
飲食品として具体的には、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品などの即席食品類;清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料などの飲料類;パン、パスタ、麺、ケーキミックス、唐揚げ粉、パン粉などの小麦粉製品;飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子などの菓子類;ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素類などの調味料;加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズなどの油脂類;乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類などの乳製品;魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品などの水産加工品;畜肉ハム・ソーセージなどの畜産加工品;農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアルなどの農産加工品;冷凍食品;栄養食品などが挙げられる。
本発明に係る飲食品は、上述したような脳腫瘍、神経変性疾患、痴呆症、脳虚血障害、脊髄損傷、てんかん、または精神系疾患などの神経疾患の予防/治療を欲している者や、学習および/または記憶能力の向上および/または改善を欲している者に対して好適に使用することができる。
本発明において「飲食品」には、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示が付された食品、または、病者用食品のような分類のものも包含される。さらに「飲食品」という用語は、ヒト以外の哺乳動物を対象として使用される場合には、飼料を含む意味で用いられうる。ここでいう特定保健用食品とは、所望の効果の発現を目的として食品の製造または販売等を行う場合に、保健上の観点から、各国(例えば我が国)において法上の何らかの制限を受けることがある食品をいう。このような食品は、食品が疾病リスクを低減する可能性があること表示した食品、すなわち、疾病リスク低減表示を付した食品であってもよい。ここで、疾病リスク低減表示とは、疾病リスクを低減する可能性のある食品の表示であって、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の定める規格に基づいて、またはその規格を参考にして、定められた表示または認められた表示でありうる。
本発明の飲食品においては、上述した有効成分に加えて、他の機能を有する成分をさらに添加してもよい。また例えば、日常生活で摂取する食品、健康食品、機能性食品、サプリメント(例えば、カルシウム、マグネシウム等のミネラル類、ビタミンK等のビタミン類を1種以上含有する食品)に本発明の有効成分を配合することにより、本発明による効果に加えて、他の成分に基づく機能を併せ持つ飲食品を提供することができる。
本発明の他の形態によれば、上述した神経突起伸長誘導剤を含有する飲食品であって、脳腫瘍、神経変性疾患、痴呆症、脳虚血障害、脊髄損傷、てんかん、または精神系疾患を予防および/または治療する機能、並びに/あるいは、学習および/または記憶能力を向上および/または改善する機能を有し、その機能表示が付された飲食品が提供される。ここで飲食品に付される機能表示は、例えば、製品の本体、容器、包装、説明書、添付文書、または宣伝物のいずれかに付することができる。
本発明による飲食品の製造にあたっては、通常の飲食品の処方設計に用いられている糖類、香料、果汁、食品添加剤、安定剤などを適宜添加することができる。飲食品の製造は、当該技術分野に公知の製造技術を参照して実施することができる。本発明に係る飲食品は様々な形態を取ることができ、公知の医薬品の製造技術に準じて本発明に係る飲食品を製造してもよい。その場合には、本発明に係る神経突起伸長誘導剤や薬剤組成物の製造の項目において述べたような担体や添加剤を用いて製造することができる。また、製造段階において、本発明における機能以外の機能を発揮する他の成分または他の機能性食品と組み合わせることによって、多機能性の飲食品としてもよい。
本発明に係る薬剤組成物および飲食品を投与または摂取する場合、本発明に係る有効成分の投与量または摂取量は、受容者、受容者の年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせ等に依存して決定されうる。本発明においては、少なくとも神経突起伸長誘導効果を得るために必要な1日あたりの有効成分の量を投与または摂取できるように、1日あたりの組成物または飲食品の投与量または摂取量を考慮し、組成物または飲食品中の含有量を適宜設定することが好ましい。なお、本発明による薬剤組成物または飲食品は、好ましくは、有効成分である化学式1〜4で表される化合物の少なくとも1種を、当該有効成分換算で成人一人に1日あたり好ましくは30〜6000mg、より好ましくは50〜2000mg、さらに好ましくは100〜1000mgの範囲で提供される量含む。
以下、実施例を用いて本発明の好適な実施形態についてより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲が下記の実施例のみに限定して解釈されるべきではない。
≪アーティチョークからの化合物1〜4の抽出・精製≫
乾燥させたアーティチョークの可食部600gに酢酸エチル2300mLを加え、80℃にて2時間抽出した。抽出液をろ過した後、溶媒を減圧除去し、アーティチョークの酢酸エチル抽出物17.5gを得た。同様の抽出を再度行い、合計32.3gの抽出物を得た。得られた抽出物32.3gを酢酸エチル10mLに溶解後、シルカゲル30gを加え、エバポレーターで減圧乾燥し、試料層を調製した。シリカゲル700gをクロマト管に詰め、先に調製した試料層を積層し、乾式カラムクロマトを作製した。ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(混合比率、2:3)で溶出を開始し、1画分当たり1400mLずつ溶出液を捕集し、4個の画分に分離した。続いて2番目の画分を乾式カラムクロマトにて、ヘキサン:酢酸エチル:酢酸混合溶媒(混合比率、80:20:1)、ヘキサン:アセトン:メタノール(混合比率、40:8:1)で順次分画し、粗分画物300mgを得た。続いて、得られた粗分画物約300mgをジクロロメタン2.0mLに溶解し、次いでアセトニトリル2.0mLを加えた。溶液を0.45μmメンブランフィルターにてろ過し、以下のHPLCによる分離操作に付した。
(HPLC条件1)
カラム:Capcell Pak C18カラム(UG80, 250×10mm i.d., 株式会社資生堂)
溶媒:アセトニトリル−0.1%ギ酸 70:30
流速:4.0mL/min
温度:40℃
検出波長:254nm
負荷量:0.4mg
本条件で得られたクロマトグラムを図1に示す。図1に示すように、粗分画物には主要ピークが3本観察された。以下、これらをそれぞれピーク1(Rt 10.9)、ピーク2(Rt 11.8)およびピーク3(Rt 12.5)と称する。
続いて、上記の3本の主要ピークについて分取操作を行った結果、各ピークの精製に至った(ピーク1 45 mg;ピーク2 22.9 mg;ピーク3 22.1 mg)。
さらに、上記で得られたピーク1を、以下のHPLCによる分離操作に付すことにより精製した。
(HPLC条件2)
カラム:Cosmosil cholester(250 × 10 mm i.d., ナカライテスク株式会社)
溶媒:メタノール−アセトニトリル−0.1%ギ酸 65:12:23
流速:3.5mL/min
温度:40℃
検出波長:254nm
負荷量:1.0mg
本条件で得られたクロマトグラムを図2に示す。図2から明らかなように、ピーク1は混合物であることが判明し、主要ピークが2本観察された。以下、これらをそれぞれピーク1−1(Rt 19.8)およびピーク1−2(Rt 22.1)と称する。
続いて、上記のピーク1−1およびピーク1−2について分取操作を行った結果、各ピークの精製に至った(ピーク1−1 19.5 mg;ピーク1−2 17.2 mg)。
≪単離化合物の神経突起伸長誘導活性≫
5%牛胎児血清および10%馬血清添加DMEM培地を用いて培養したラット褐色細胞腫株PC12細胞を6ウェル培養プレート(Nunc社製、ポリD−リジンコーティング)に播種した。24時間培養後、細胞培養培地を0.5%牛胎児血清および1%馬血清添加DMEM培地に交換し、上記で単離されたピーク1−1の化合物(本明細書において、「化合物1」とも称する)、ピーク1−2の化合物(本明細書において、「化合物2」とも称する)、ピーク2の化合物(本明細書において、「化合物3」とも称する)、ピーク3の化合物(本明細書において、「化合物4」とも称する)のそれぞれを終濃度50μMで添加した。対照としては溶媒のジメチルスルホキシド(DMSO)を用いた。72時間後、神経突起の伸長を顕微鏡で確認した。
結果を図3〜図7に示す。図3〜図7はそれぞれ、対照群(DMSO)、化合物1処理群、化合物2処理群、化合物3処理群、および化合物4処理群を観察した顕微鏡写真である。図3〜図7に示す結果から明らかなように、ピーク1−1の化合物(化合物1)は明らかな神経突起伸長誘導作用を示し、ピーク1−2の化合物(化合物2)およびピーク2の化合物(化合物3)も神経突起伸長誘導作用を示した。また、ピーク3の化合物(化合物4)もわずかながら神経突起伸長誘導作用を示した。
≪機器分析による化合物の同定≫
上記で神経突起伸長誘導作用を示した化合物(化合物1〜4)を、以下のとおり機器分析により同定した。
以上のことから、本発明に係る神経突起伸長誘導剤は、化合物1〜4の少なくとも1種を有効成分として含有することで、優れた神経突起伸長誘導作用を示すことが立証された。そして、この本発明に係る神経突起伸長誘導剤は、神経変性疾患、痴呆症または脳腫瘍といった神経疾患の予防・治療や学習および/または記憶能力の向上および/または改善といった用途に用いられうる、非常に優位性の高いものである。

Claims (3)

  1. 下記の化学式1〜4:
    式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
    式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
    式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
    式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
    で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する、神経変性疾患の予防および/または治療剤。
  2. 請求項1に記載の化学式1〜4で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有神経変性疾患を予防および/または治療する機能を有し、その機能表示が付された、神経突起伸長誘導用飲食品組成物。
  3. 健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示が付された食品、または病者用食品である、請求項に記載の飲食品組成物。
JP2013023669A 2013-02-08 2013-02-08 神経突起伸長誘導剤およびその用途 Active JP6253235B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013023669A JP6253235B2 (ja) 2013-02-08 2013-02-08 神経突起伸長誘導剤およびその用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013023669A JP6253235B2 (ja) 2013-02-08 2013-02-08 神経突起伸長誘導剤およびその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014152141A JP2014152141A (ja) 2014-08-25
JP6253235B2 true JP6253235B2 (ja) 2017-12-27

Family

ID=51574358

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013023669A Active JP6253235B2 (ja) 2013-02-08 2013-02-08 神経突起伸長誘導剤およびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6253235B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107210639A (zh) * 2015-01-13 2017-09-26 三菱电机株式会社 电动机的定子以及电动机

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003073329A (ja) * 2001-09-04 2003-03-12 Kagome Co Ltd アルデヒドデヒドロゲナーゼ阻害剤
JP5728726B2 (ja) * 2010-03-11 2015-06-03 国立大学法人京都大学 トマト抽出物を含有する生活習慣病改善剤
JP2011207815A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Cci Corp 抗酸化ストレス剤
US20130274333A1 (en) * 2012-04-11 2013-10-17 Versitech Limited Coriolus versicolor extracts, methods of isolating biologically-active compounds, and uses thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014152141A (ja) 2014-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5686496B2 (ja) メタボリックシンドローム改善・予防組成物
UA108856C2 (uk) Пунікалін (punicalin) та пунікалагін (punicalagin) для захисту здоров'я головного мозку при нейродегенеративних розладах
JP2007126455A (ja) 脳機能障害の改善剤
JP4852683B2 (ja) 大麦を発酵に付したものを有効成分とする血管新生阻害の作用を有する組成物
JPH10155459A (ja) アスタキサンチン含有飲食物
JP2012051940A (ja) ビワ葉抽出物を含有する飲食品及び医薬品
JP2022116116A (ja) 飲食品組成物
JP2016008180A (ja) 筋肉持久力向上剤
JP2021175747A (ja) 脳機能改善用組成物
EP3432878A1 (de) Homovanillinsäure-ester zum reduzieren oder inhibieren der fettsäureaufnahme im dünndarm
TWI308152B (ja)
JP2013194007A (ja) 抗酸化ストレス剤およびその用途
JP6253235B2 (ja) 神経突起伸長誘導剤およびその用途
CA2983091A1 (en) Composition for facilitating production of brain-derived neurotrophic factor
JP6456032B2 (ja) Sirt1活性化剤および当該Sirt1活性化剤の利用
JP2008031076A (ja) アディポネクチン産生促進剤
JP2009073761A (ja) レプチン産生促進剤
JP2009504725A (ja) オレイン酸含有組成物及びその使用
JP2011207814A (ja) 神経突起伸長剤
JP6792753B2 (ja) フェルラ酸誘導体含有組成物及びその製造方法
JP6091067B2 (ja) 細胞賦活剤およびその用途
JP2007099671A (ja) 抗酸化組成物
JP2014185099A (ja) 細胞増殖抑制剤およびがんの予防・治療剤
JP2012180340A (ja) 脳機能低下抑制剤
JP6883845B2 (ja) アストロサイト分化促進用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170314

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20170515

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170713

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6253235

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250