JP6244218B2 - エンジンの動弁系駆動装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、エンジンをコンパクト化、軽量化及び単純化可能なエンジンの動弁系駆動装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、クランクケースの壁面に形成されるクランクケース側ボス部とケースカバーの内側に形成されるケースカバー側ボス部とでアイドルシャフトの一端及び他端を支持するとともに、アイドルシャフトの他端の継手部によってアイドルシャフトを回転不能にできるため、アイドルシャフトを支持する構造を簡単にできる。このため、エンジンをコンパクト化、軽量化及び単純化できる。また、アイドルシャフト内の油路を通るオイルの油圧に変動が生じた場合であっても、アイドルシャフトを弾性部材によって軸方向に支持でき、アイドルシャフトの振動に起因する音の発生を防止できる。
本発明によれば、ケースカバー側ボス部の当接面の外周側のオイル溜まりから軸受部材に油を供給でき、簡単な構造で軸受部材に給油できる。
本発明によれば、オイル溜まりのオイルを切欠部を介して軸受部材に十分に供給できる。
さらに、本発明は、前記オイル溜まり(124)の外周には第2の当接面(122)が設けられ、当該第2の当接面(122)は、前記当接面(123)よりも軸方向に突出していることを特徴とする。
本発明によれば、オイル溜まりの容量を大きくでき、軸受部材に効果的に給油できる。
本発明によれば、オイル溜まりからスラスト軸受に給油できる。
また、本発明は、前記第2の当接面(122)には、前記オイル溜まり(124)を、前記ケースカバー側ボス部(91,291)の外側の空間に連通させる第2の切欠部(126,226)が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、オイル溜まりへのオイルの供給が過剰になった場合に、オイルをケースカバー側ボス部の外側の空間に排出できる。
本発明によれば、オイル溜まりにオイルを満遍なく供給でき、オイル溜まりの容量を効率良く活用できる。
さらに、本発明は、前記切欠部(125)は、環状の前記当接面(123)上において径方向に互いに対向する配置で一対設けられ、前記第2の切欠部(126)は、環状の前記第2の当接面(122)上において互いに対向する配置で一対設けられ、一対の前記切欠部(125)を繋ぐ直線(L1)と、一対の前記第2の切欠部(126)を繋ぐ直線(L2)とは略直交することを特徴とする。
本発明によれば、オイル溜まりにオイルを満遍なく供給でき、オイル溜まりの容量を効率良く活用できる。
また、本発明は、クランクケース(11)内に設けられるクランクシャフト(10)、及び、動弁系(45f,45r)を有するエンジン(1)に設けられ、前記クランクシャフト(10)から受けた動力を前記動弁系(45f,45r)に伝達するアイドルギヤ(62)と、前記クランクシャフト(10)と平行に設けられ、前記アイドルギヤ(62)を回転自在に支持するアイドルシャフト(63)と、前記クランクケース(11)を側方から覆うケースカバー(39)とを備えたエンジンの動弁系駆動装置において、前記クランクケース(11)の壁面(20b)に形成され、前記アイドルシャフト(63)の一端(63b)を支持するクランクケース側ボス部(90)と、前記ケースカバー(39)の内側に形成され、前記アイドルシャフト(63)の他端(63c)を支持するケースカバー側ボス部(91,291)とを備え、前記ケースカバー側ボス部(91,291)及び前記アイドルシャフト(63)の前記他端(63c)には、互いに係合する継手部(128,111)が形成され、当該継手部(128,111)が互いに係合することで前記アイドルシャフト(63)が回転不能とされ、前記アイドルギヤ(62)は、軸受部材(92a,92b)を介して前記アイドルシャフト(63)に回転自在に支持され、前記アイドルシャフト(63)内には油路(112)が形成され、当該油路(112)は、前記クランクケースの前記壁面(20b)に形成された油路(58)と前記アイドルシャフト(63)の前記一端(63b)で接続され、前記ケースカバー側ボス部(91,291)は、前記軸受部材(92a)と軸方向に当接する当接面(123)を有し、当該当接面(123)の外周には、凹形状のオイル溜まり(124)が設けられることを特徴とする。
また、簡単な構造で軸受部材に給油できる。
また、オイル溜まりのオイルを切欠部を介して軸受部材に十分に供給できる。
さらに、オイル溜まりの容量を大きくでき、軸受部材に効果的に給油できる。
また、オイル溜まりからスラスト軸受に給油できる。
また、オイル溜まりへのオイルの供給が過剰になった場合に、オイルをケースカバー側ボス部の外側の空間に排出できる。
また、オイル溜まりにオイルを満遍なく供給でき、オイル溜まりの容量を効率良く活用できる。
また、アイドルシャフトの振動に起因する音の発生を防止できる。
図1は、本発明の動弁系駆動装置を備えたエンジン1の側面図である。図1では、エンジン1の一部が断面で示されている。
図1に示すように、エンジン1は自動二輪車(不図示)に搭載されるV型4気筒エンジンである。エンジン1は、クランクシャフト10が収納されるクランクケース11と、クランクケース11の上部から前傾して前上方に延びる第1バンク12fと、クランクケース11の上部から後傾して後上方に延びる第2バンク12rとを備える。第1バンク12f及び第2バンク12rは、シリンダブロック13f,13rと、シリンダブロック13f,13rの上面に連結されるシリンダヘッド14f,14rと、シリンダヘッド14f,14rの上面を塞ぐヘッドカバー15f,15Rとをそれぞれ備える。
下部ケース11bの下面には、オイルを貯留するオイルパン40が設けられている。下部ケース11bの前面には、オイルを冷却するオイルクーラ41が設けられている。
エンジン1は、クランクシャフト10が車幅方向を指向する向き、且つ、オイルクーラ41がエンジン1の前面に位置する向きで自動二輪車に搭載される。
図1及び図2に示すように、クランクシャフト10は、クランクケース11の前部のクランク室16に収納され、クランク室16の上方のシリンダブロック13f,13rには、一対のシリンダボア17,17がそれぞれ設けられる。シリンダボア17,17には、ピストン18,18が設けられ、ピストン18,18はコンロッド19,19を介してクランクシャフト10に連結される。
クランクシャフト10は、左側(一側)の側壁20aから外側に突出する突出部23を一端に有し、突出部23には、発電機24が設けられる。発電機24は、側壁20aに取り付けられる発電機カバー25によって覆われる。
クランクシャフト10は、右側(他側)の側壁20b(クランクケースの壁面)から外側に突出する突出部26を他端に有し、突出部26には、プライマリドライブギヤ27が設けられる。
歯車変速機29は、クランクシャフト10に平行に設けられるメイン軸31と、メイン軸31に平行に設けられるカウンタ軸32と、メイン軸31及びカウンタ軸32に設けられる歯車列群33とを備える。カウンタ軸32は、側壁20aから外側に突出する端部を有し、この端部には、後輪のドリブンスプロケットをチェーンを介して駆動するドライブスプロケット34が設けられる。
クラッチ装置36及びプライマリドライブギヤ27は、クランクケース11の側面に取り付けられるクラッチカバー39(ケースカバー)によって覆われる。
プライマリドライブギヤ27の上方には、側壁20bに沿ってヘッドカバー15f,15r側までエンジン1内を上下に延びる一対のカムチェーン室43f,43rがそれぞれ形成されている。カムチェーン室43f,43rは下部で合流し、突出部26の近傍では一つの室となっている。
動弁機構45fは、吸気弁46及び排気弁47と、吸気弁46及び排気弁47を閉弁方向に付勢するバルブスプリング48と、吸気弁46及び排気弁47を開弁方向に押圧するバルブリフタ51と、吸気側に設けられる吸気カムシャフト49と、排気側に設けられる排気カムシャフト50とを備える。吸気弁46及び排気弁47は、各気筒に対し、それぞれ一対設けられる。
排気カムシャフト50は、所定の高さ及び位相で設けられたカム山(不図示)を有し、排気カムシャフト50の回転に伴ってカム山がバルブリフタ51を介して排気弁47を押圧することで、排気弁47が移動し、シリンダヘッド14f,14rの排気ポート56が開閉される。
図1〜図3を参照し、吸気カムシャフト49及び排気カムシャフト50は、クランクシャフト10に平行に設けられている。
第1バンク12fでは、吸気カムシャフト49は、カムチェーン室43f内に突出した部分に、吸気側従動スプロケット52を備える。排気カムシャフト50は、カムチェーン室43f内に突出した部分に、排気側従動スプロケット53を備える。
また、第2バンク12rでは、吸気カムシャフト49は、カムチェーン室43r内に突出した部分に、吸気側従動スプロケット52を備える。排気カムシャフト50は、カムチェーン室43r内に突出した部分に、排気側従動スプロケット53を備える。
動弁系駆動装置60は、クランクシャフト10の突出部26に設けられるアイドラドライブギヤ61と、アイドラドライブギヤ61に噛み合うアイドルギヤ62と、アイドルギヤ62を回転自在に支持するアイドルシャフト63と、アイドルギヤ62の回転を第1バンク12fの吸気側従動スプロケット52及び排気側従動スプロケット53に伝達する第1バンク側カムチェーン64fと、アイドルギヤ62の回転を第2バンク12rの吸気側従動スプロケット52及び排気側従動スプロケット53に伝達する第2バンク側カムチェーン64rとを備える。
第1バンク12fと第2バンク12rとは、クランクシャフト10の軸方向に互いにオフセットして配置されており、これに対応して、第1バンク側カムチェーン64fと第2バンク側カムチェーン64rとも、車幅方向に互いにオフセットして配置されている。
アイドルギヤ62は、アイドラドライブギヤ61を介して図3の回転方向Rの方向に回転させられる。
カムチェーン室43fには、第1バンク側カムチェーン64fの緊張側の外周に接するチェーンガイド65fと、第1バンク側カムチェーン64fの弛緩側の外周に接するチェーンテンショナ66fとが設けられる。
カムチェーン室43rには、第2バンク側カムチェーン64rの緊張側の外周に接するチェーンガイド65rと、第2バンク側カムチェーン64rの弛緩側の外周に接するチェーンテンショナ66rとが設けられる。
また、カムチェーン室43fには、チェーンテンショナ66fを第1バンク側カムチェーン64f側に付勢するテンショナリフタ67fが設けられ、カムチェーン室43rには、チェーンテンショナ66rを第2バンク側カムチェーン64r側に付勢するテンショナリフタ67rが設けられる。
オイルポンプ70から吐出されたオイルは、クランクケース11の前部のオイル通路71を通ってオイルフィルタ72に達し、オイルフィルタ72を通過して浄化された後、オイルクーラ41に流入して冷却される。オイルクーラ41を通過したオイルは、クランクシャフト10の下方でクランクシャフト10と略平行に延びるメインギャラリ73に流れ、メインギャラリ73から各潤滑箇所に分岐して流れる。
図2、図4及び図5に示すように、クラッチカバー39は、クランクシャフト10の突出部26及びアイドラドライブギヤ61等を外側方から覆う略平板状の側面カバー部81と、側面カバー部81の後方でクラッチ装置36を外側から覆うクラッチカバー部82とを一体に備える。
側面カバー部81は、シリンダブロック13f,13r近傍のクランクケース11の上部からクランクケース11の下部までを覆う。クラッチカバー部82は、クラッチ装置36に沿う有底円筒状に形成されており、側面カバー部81よりも外側方に膨出している。
クラッチカバー39は、周縁部に固定孔部39aを複数備え、固定孔部39aに挿通されるカバー固定ボルト(不図示)によってクランクケース11の側面に固定される。クランクケース11の側面には、上記カバー固定ボルトが締結される固定穴部11cが複数設けられている。
図2、図3、及び図6〜図8を参照し、アイドルシャフト63は、クランクケース11の側壁20bに設けられるクランクケース側ボス部90と、クラッチカバー39に設けられるケースカバー側ボス部91とによって両端を支持されている。
アイドルギヤ62は、アイドルシャフト63の外周63aに嵌合する一対のベアリング92a,92b(軸受部材)を介してアイドルシャフト63に回転自在に軸支されている。
ここで、ベアリング92a,92bは、例えば、円筒状のケースと、このケースの外周部に保持される複数のローラーとを備えたローラーベアリングである。
第1バンク側カムチェーン64fは、第1バンク側駆動スプロケット98f、第1バンク12fの吸気側従動スプロケット52及び排気側従動スプロケット53に掛け渡される。第2バンク側カムチェーン64rは、第2バンク側駆動スプロケット98r、第2バンク12rの吸気側従動スプロケット52及び排気側従動スプロケット53に掛け渡される。すなわち、動弁機構45f,45rは、クランクシャフト10の上方に設けられる一つのアイドルギヤ62に駆動される第1バンク側カムチェーン64f及び第2バンク側カムチェーン64rによって駆動される。このように、クランクシャフト10の上方のアイドルギヤ62で動弁機構45f,45rを駆動することで、第1バンク側カムチェーン64f及び第2バンク側カムチェーン64rを短くして軽量化できる。
軸部96の内周面にはベアリング92a,92bが嵌合するベアリング嵌合部96aが設けられ、軸部96の一端の内周面には、ベアリング92a,92bの位置を軸方向に規制する凸部96bが設けられている。凸部96bによって位置決めされると、外側のベアリング92aの端面の位置は、凸部96bの反対側の軸部96の端面に略一致する。
図6及び図9に示すように、クランクケース側ボス部90は、カムチェーン室43f,43rの下部においてアイドラドライブギヤ61の上方に設けられている。クランクケース側ボス部90は、クランクシャフト10と平行に側壁20bからクラッチカバー39側へ突出する円筒状に形成されている。
側壁20bには、メインギャラリ73から分岐して側壁20b内を上下に延びるケース側油路58(クランクケースの壁面に形成された油路)が設けられている。クランクケース側ボス部90の内周部は、ケース側油路58に連通するオイル通路105となっている。
クランクケース側ボス部90の先端部の内周面には、オイル通路105の奥側よりも大径に形成されたシャフト嵌合部108が設けられており、アイドルシャフト63の一端63bはシャフト嵌合部108に嵌合する。また、シャフト嵌合部108は、アイドルシャフト63の一端63bが突き当てられる段部108aを底部に有する。
図6及び図10に示すように、アイドルシャフト63は、クランクシャフト10に対し平行に延びる断面円形の軸本体部110と、軸本体部110から軸方向に突出するシャフト側継手部111(継手部)とを備える。
軸本体部110は、その軸線の位置に略一致して軸方向に延びる軸内油路112(油路)を有する。軸内油路112は、一端63bでオイル通路105に連通する。また、軸内油路112は、シャフト側継手部111の近傍まで延びて止まっており、アイドルシャフト63の他端63cでは軸方向に貫通していない。アイドルシャフト63は、軸内油路112の内径がオイル通路105の内径よりも小さくされることで厚肉に形成されており、強度及び剛性が確保されている。
他端63c側の軸本体部110の先端部には、略平坦な端面114が設けられ、シャフト側継手部111は、端面114の中央から軸方向に突出している。シャフト側継手部111は、軸方向視では略長方形の矩形状に形成されている。
図5、図6及び図11に示すように、ケースカバー側ボス部91は、クラッチカバー39の側面カバー部81の内面に設けられ、オイル室78の上方に位置している。ケースカバー側ボス部91は、クランクシャフト10と平行に側面カバー部81から側壁20b側へ突出する円筒状に形成されている。
ケースカバー側ボス部91は、アイドルシャフト63よりも大径な円筒部120と、円筒部120の中央に設けられる嵌合穴部121とを備える。
図4及び図5に示すように、管状部84内の油路85は、ケースカバー側ボス部91に重なるように設けられているが、油路85は嵌合穴部121に連通していない。
また、外側当接面122と内側当接面123との間には、内側当接面123よりも軸方向に窪んだ平面視で円環状のオイル溜まり124が形成されている。
外側当接面122は、オイル溜まり124をケースカバー側ボス部91の外側の空間に連通させる外側切欠部126,126(第2の切欠部)を備える。外側切欠部126,126は、軸方向視において互いに略対向する位置関係で外側当接面122の左右の側部に一対設けられている。一対の内側切欠部125,125を繋ぐ直線L1と、一対の外側切欠部126,126を繋ぐ直線L2とは略直交する。
嵌合穴部121は、その穴の底部127に、シャフト側継手部111が係合するカバー側継手部128(継手部)を有する。カバー側継手部128は、平面視で略円形の底部127の中心を通って上下に延びる略長方形状の溝であり、シャフト側継手部111がカバー側継手部128に嵌まることでアイドルシャフト63がケースカバー側ボス部91に結合される。カバー側継手部128は、直線L1に重なって上下に延びている。
スプリング95は、嵌合穴部121内でシャフト側継手部111の外周に嵌合して配置され、底部127とアイドルシャフト63の端面114との間で圧縮される。
次いで、クランクケース側ボス部90のシャフト嵌合部108にアイドルシャフト63の一端63bを嵌合させるとともに一端63bを段部108aに突き当てるようにして、上記小組体をクランクケース側ボス部90に仮組みする。これにより、アイドルシャフト63が段部108aに当接して軸方向に位置決めされるとともに、アイドラドリブンギヤ97及びサブギヤ99がアイドラドライブギヤ61に噛み合う。また、アイドルシャフト63の端面114及びシャフト側継手部111は、軸部96の外端よりも外側に突出している。さらに、第1バンク側駆動スプロケット98fには第1バンク側カムチェーン64fが巻き掛けられ、第2バンク側駆動スプロケット98rには第2バンク側カムチェーン64rが巻き掛けられる。
また、オイル流Fによってアイドルシャフト63がスプリング95に抗して軸方向に僅かに移動することで、クランクケース側ボス部90とアイドルシャフト63との隙間が大きくなる。これにより、上記隙間を通って先端切欠部107,107に流れるオイル量が増加するため、ケース側スラストベアリング93に効果的にオイルを供給できる。
アイドルギヤ62は、軸方向ではケース側スラストベアリング93及びカバー側スラストベアリング94によって支持され、径方向ではベアリング92a,92bによって支持されて、アイドルシャフト63上で回転する。
また、ワッシャー101は、カバー側スラストベアリング94を介してサブギヤ99に押し付けられている。
さらに、オイル溜まり124の外周には外側当接面122が設けられ、外側当接面122は、内側当接面123よりも軸方向に突出しているため、オイル溜まり124の容量を大きくでき、ベアリング92a,92bに効果的に給油できる。
また、外側当接面122には、オイル溜まり124を、ケースカバー側ボス部91の外側の空間に連通させる外側切欠部126,126が設けられているため、オイル溜まり124へのオイルの供給が過剰になった場合に、オイルを外側切欠部126,126からケースカバー側ボス部91の外側の空間に排出できる。
また、内側切欠部125,125と外側切欠部126,126とは、ケースカバー側ボス部91の周方向において互いに異なる位置に設けられている。このため、オイル溜まり124にオイルを満遍なく供給でき、オイル溜まり124の容量を効率良く活用できる。
また、アイドルシャフト63内には軸内油路112が形成され、軸内油路112は、クランクケース11の側壁20bに形成されたケース側油路58とアイドルシャフト63の一端63bで接続され、アイドルシャフト63の他端63cとケースカバー側ボス部91との間には、スプリング95が介装されている。このため、アイドルシャフト63内の軸内油路112を通るオイルの油圧に変動が生じた場合であっても、アイドルシャフト63をスプリング95によって軸方向に支持でき、アイドルシャフト63の振動に起因する音の発生を防止できる。
図12は、実施の形態の変形例におけるケースカバー側ボス部291の平面図である。
ケースカバー側ボス部291は、円筒部120、嵌合穴部121、外側当接面122、内側当接面123、オイル溜まり124、底部127、及び、カバー側継手部128を備える。
内側当接面123は、内側当接面123とオイル溜まり124とを連通させる内側切欠部225(切欠部)を備える。オイル溜まり124は、内側切欠部225を介して油路113aに連通する。内側切欠部225は、軸方向視において内側当接面123の左右方向の側部に設けられている。
外側当接面122は、オイル溜まり124をケースカバー側ボス部91の外側の空間に連通させる外側切欠部226(第2の切欠部)を備える。外側切欠部226は、軸方向視において、内側切欠部225とは周方向に略180°だけ位置が異なる外側当接面122の側部に設けられている。
上記実施の形態では、アイドルシャフト63を軸方向に付勢する弾性部材としてコイル状のスプリング95を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、ゴム等の弾性部材でアイドルシャフト63を軸方向に付勢しても良い。
また、上記実施の形態では、アイドルギヤ62をクランクケース11に組み付ける際には、小組体を形成するものとして説明したが、これに限らず、各部品を個別に組み付けても良い。
10 クランクシャフト
11 クランクケース
20b 側壁(クランクケースの壁面)
39 クラッチカバー(ケースカバー)
45f,45r 動弁機構(動弁系)
58 ケース側油路(クランクケースの壁面に形成された油路)
60 動弁系駆動装置
62 アイドルギヤ
63 アイドルシャフト
63b 一端
63c 他端
90 クランクケース側ボス部
91,291 ケースカバー側ボス部
92a,92b ベアリング(軸受部材)
94 カバー側スラストベアリング(スラスト軸受)
95 スプリング(弾性部材)
111 シャフト側継手部(継手部)
112 軸内油路(油路)
122 外側当接面(第2の当接面)
123 内側当接面(当接面)
124 オイル溜まり
125,225 内側切欠部(切欠部)
126,226 外側切欠部(第2の切欠部)
128 カバー側継手部(継手部)
L1 直線(一対の切欠部を繋ぐ直線)
L2 直線(一対の第2の切欠部を繋ぐ直線)
Claims (9)
- クランクケース(11)内に設けられるクランクシャフト(10)、及び、動弁系(45f,45r)を有するエンジン(1)に設けられ、前記クランクシャフト(10)から受けた動力を前記動弁系(45f,45r)に伝達するアイドルギヤ(62)と、前記クランクシャフト(10)と平行に設けられ、前記アイドルギヤ(62)を回転自在に支持するアイドルシャフト(63)と、前記クランクケース(11)を側方から覆うケースカバー(39)とを備えたエンジンの動弁系駆動装置において、
前記クランクケース(11)の壁面(20b)に形成され、前記アイドルシャフト(63)の一端(63b)を支持するクランクケース側ボス部(90)と、前記ケースカバー(39)の内側に形成され、前記アイドルシャフト(63)の他端(63c)を支持するケースカバー側ボス部(91,291)とを備え、
前記ケースカバー側ボス部(91,291)及び前記アイドルシャフト(63)の前記他端(63c)には、互いに係合する継手部(128,111)が形成され、当該継手部(128,111)が互いに係合することで前記アイドルシャフト(63)が回転不能とされ、
前記アイドルシャフト(63)内には油路(112)が形成され、当該油路(112)は、前記クランクケース(11)の壁面(20b)に形成された油路(58)と前記アイドルシャフト(63)の前記一端(63b)で接続され、前記アイドルシャフト(63)の前記他端(63c)と前記ケースカバー側ボス部(91,291)との間には、弾性部材(95)が介装されていることを特徴とするエンジンの動弁系駆動装置。 - 前記アイドルギヤ(62)は、軸受部材(92a,92b)を介して前記アイドルシャフト(63)に回転自在に支持され、前記アイドルシャフト(63)内には油路(112)が形成され、当該油路(112)は、前記クランクケースの前記壁面(20b)に形成された油路(58)と前記アイドルシャフト(63)の前記一端(63b)で接続され、
前記ケースカバー側ボス部(91,291)は、前記軸受部材(92a)と軸方向に当接する当接面(123)を有し、当該当接面(123)の外周には、凹形状のオイル溜まり(124)が設けられることを特徴とする請求項1記載のエンジンの動弁系駆動装置。 - 前記当接面(123)には、当該当接面(123)と前記オイル溜まり(124)とを連通させる切欠部(125,225)が設けられ、当該切欠部(125,225)によって、前記アイドルシャフト(63)内の前記油路(112)と前記オイル溜まり(124)とが連通することを特徴とする請求項2記載のエンジンの動弁系駆動装置。
- 前記オイル溜まり(124)の外周には第2の当接面(122)が設けられ、当該第2の当接面(122)は、前記当接面(123)よりも軸方向に突出していることを特徴とする請求項2または3に記載のエンジンの動弁系駆動装置。
- 前記第2の当接面(122)と前記アイドルギヤ(62)との間には、スラスト軸受(94)が介装されていることを特徴とする請求項4記載のエンジンの動弁系駆動装置。
- 前記第2の当接面(122)には、前記オイル溜まり(124)を、前記ケースカバー側ボス部(91,291)の外側の空間に連通させる第2の切欠部(126,226)が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載のエンジンの動弁系駆動装置。
- 前記当接面(123)には、当該当接面(123)と前記オイル溜まり(124)とを連通させる切欠部(125,225)が設けられ、前記切欠部(125,225)と前記第2の切欠部(126,226)とは、ケースカバー側ボス部(91,291)の周方向において互いに異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項6記載のエンジンの動弁系駆動装置。
- 前記切欠部(125)は、環状の前記当接面(123)上において径方向に互いに対向する配置で一対設けられ、前記第2の切欠部(126)は、環状の前記第2の当接面(122)上において互いに対向する配置で一対設けられ、 一対の前記切欠部(125)を繋ぐ直線(L1)と、一対の前記第2の切欠部(126)を繋ぐ直線(L2)とは略直交することを特徴とする請求項7記載のエンジンの動弁系駆動装置。
- クランクケース(11)内に設けられるクランクシャフト(10)、及び、動弁系(45f,45r)を有するエンジン(1)に設けられ、前記クランクシャフト(10)から受けた動力を前記動弁系(45f,45r)に伝達するアイドルギヤ(62)と、前記クランクシャフト(10)と平行に設けられ、前記アイドルギヤ(62)を回転自在に支持するアイドルシャフト(63)と、前記クランクケース(11)を側方から覆うケースカバー(39)とを備えたエンジンの動弁系駆動装置において、
前記クランクケース(11)の壁面(20b)に形成され、前記アイドルシャフト(63)の一端(63b)を支持するクランクケース側ボス部(90)と、前記ケースカバー(39)の内側に形成され、前記アイドルシャフト(63)の他端(63c)を支持するケースカバー側ボス部(91,291)とを備え、
前記ケースカバー側ボス部(91,291)及び前記アイドルシャフト(63)の前記他端(63c)には、互いに係合する継手部(128,111)が形成され、当該継手部(128,111)が互いに係合することで前記アイドルシャフト(63)が回転不能とされ、
前記アイドルギヤ(62)は、軸受部材(92a,92b)を介して前記アイドルシャフト(63)に回転自在に支持され、前記アイドルシャフト(63)内には油路(112)が形成され、当該油路(112)は、前記クランクケースの前記壁面(20b)に形成された油路(58)と前記アイドルシャフト(63)の前記一端(63b)で接続され、
前記ケースカバー側ボス部(91,291)は、前記軸受部材(92a)と軸方向に当接する当接面(123)を有し、当該当接面(123)の外周には、凹形状のオイル溜まり(124)が設けられることを特徴とするエンジンの動弁系駆動装置。
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