JP6243946B2 - 非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
セルロースナノファイバー及び/又は非晶質球状カーボン、並びに水を混合して、スラリーBを得る工程(II)、
少なくとも噴射口を二つ以上備えるスプレードライヤーを用い、工程(I)で得られたスラリーA及び工程(II)で得られたスラリーBを各々異なる噴射口から同時に噴霧乾燥して、スラリーAから形成される造粒体Cと、スラリーBから形成される造粒体Dとが混在する乾燥混合物Eを得る工程(III)、並びに
工程(III)で得られた乾燥混合物Eを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程(IV)
を備える、上記非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物の製造方法を提供するものである。
本発明の非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物は、水不溶性導電性炭素材料及び水溶性炭素材料由来の炭素の少なくとも一方が担持してなる電極活物質粒子(X)と、セルロースナノファイバー由来の炭素及び非晶質球状カーボン由来の炭素の少なくとも一方からなる導電助剤粒子(Y)とが、互いに独立した粒子として混在してなる。かかる電極活物質粒子(X)と導電助剤粒子(Y)とが、各々充分に乾燥した状態で、一方の粒子が他方の粒子に担持されることなく均一に混合されてなり、不要な水分も残存することなく、そのまま電池材料として活用することのできる有用な混合物である。
かかる遷移金属複合酸化物は、二次電池の正極活物質として用いられる酸化物、又は二次電池の負極活物質として用いられる酸化物のどちらでもよく、特に制限されないが、具体的には例えば、正極活物質用酸化物としては、LiFe0.3Mn0.7PO4、Li2Fe0.28Mn0.66Zr0.03SiO4、NaFe0.3Mn0.7PO4が挙げられ、負極活物質用酸化物としては、Li4Ti5O12、TiNb2O7、Ti2Nb10O29が挙げられる。
リチウム化合物としては、水酸化物、炭酸化物、硫酸化物、酢酸化物が挙げられる。なかでも、水酸化物が好ましい。また、リン酸化合物としては、オルトリン酸(H3PO4、リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。なかでもリン酸を用いるのが好ましく、70〜90質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましい。また、鉄化合物としては、酢酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸鉄が好ましい。さらに、マンガン化合物としては、酢酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マンガンが好ましい。
より具体的な製造方法としては、水に、リチウム化合物として水酸化リチウム、リン酸化合物としてリン酸を添加した混合液に、鉄化合物として硫酸鉄、マンガン化合物として硫酸マンガンを添加して懸濁液を調製し、水熱反応を介して得られた固形分を固液分離し、焼成する製造方法が好ましい。なお、上記混合液中におけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5〜50質量部であり、より好ましくは10〜45質量部である。
リチウム化合物としては、水酸化物、炭酸化物、硫酸化物、酢酸化物が挙げられる。なかでも、水酸化物が好ましい。また、ケイ酸化合物としては、反応性のあるシリカ化合物であれば特に限定されず、非晶質シリカ、ナトリウム塩(例えばメタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)、Na4SiO4・H2O)等が挙げられる。また、鉄化合物としては、酢酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸鉄が好ましい。また、マンガン化合物としては、酢酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マンガンが好ましい。さらに、ジルコニウム化合物としては、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。なかでも、電池物性を高める観点から、硫酸ジルコニウムが好ましい。
より具体的な製造方法としては、水に、リチウム化合物として水酸化リチウム、ケイ酸化合物としてメタケイ酸ナトリウムを添加した混合液に、鉄化合物として硫酸鉄、マンガン化合物として硫酸マンガン、ジルコニウム化合物として硫酸ジルコニウムを添加して懸濁液を調製し、水熱反応を介して得られた固形分を固液分離し、焼成する製造方法が好ましい。なお、上記混合液中におけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5〜40質量部であり、より好ましくは7〜35質量部である。
ナトリウム化合物としては、水酸化物、炭酸化物、硫酸化物、酢酸化物が挙げられる。なかでも、水酸化物が好ましい。また、リン酸化合物としては、オルトリン酸(H3PO4、リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。なかでもリン酸を用いるのが好ましく、70〜90質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましい。また、鉄化合物としては、酢酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸鉄が好ましい。さらに、マンガン化合物としては、酢酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マンガンが好ましい。
より具体的な製造方法としては、水に、ナトリウム化合物として水酸化ナトリウム、リン酸化合物としてリン酸を添加した混合液に、鉄化合物として硫酸鉄、マンガン化合物として硫酸マンガンを添加して懸濁液を調製し、水熱反応を介して得られた固形分を固液分離し、焼成する製造方法が好ましい。なお、上記混合液中におけるナトリウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5〜50質量部であり、より好ましくは10〜45質量部である。
これらチタン化合物及びリチウム化合物の所定量を混合・粉砕した後、温度700〜900℃で8〜24時間焼成し、次いで得られた焼成物を粉砕することにより、Li4Ti5O12を得ることができる。
これらチタン化合物及びニオブ化合物の所定量を混合・粉砕した後、温度1200〜1400℃で4〜24時間焼成し、次いで得られた焼成物を粉砕することにより、TiNb2O7を得ることができる。
ニオブ化合物としては、水酸化ニオブ等を用いることができ、チタン化合物としては、硫酸チタニルや硫酸チタン等の硫酸塩、硝酸塩、塩化物、又は有機酸等を用いることができる。かかるチタン化合物には、不可避的に混入する場合も含め、その一部にチタン及びニオブ以外の異種金属M(MはSn、Zr、Fe、Bi、Cr、Mo、Na、Mg、Al及びSiからなる群より選ばれる少なくとも一種を示す。)を含んでいてもよく、異種金属(M)の含有量は、より良好な電池物性を確保する観点から、チタン化合物中に、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。
より具体的な製造方法としては、ニオブ化合物として水酸化ニオブ、チタン源としてアナターゼ型TiO2を用い、過酸化水素及び水とともに懸濁液を調製し、水熱反応を介して得られた固形分を固液分離し、焼成する製造方法が好ましい。なお、上記懸濁液中におけるニオブとチタンのモル比(Nb/Ti)は、好ましくは4.0〜6.0であり、より好ましくは4.5〜5.5である。
セルロースナノファイバーとは、全ての植物細胞壁の約5割を占める骨格成分であって、かかる細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得ることができる軽量高強度繊維であり、セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖は、炭素による周期的構造で形成されている。かかるセルロースナノファイバーは、繊維径が1〜500nm、繊維長が1〜500μmであり、水への良好な分散性も有している。また、セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖では、炭素による周期的構造が形成されていることから、セルロースナノファイバーが炭化されると、優れた導電性を発現することができる。したがって、炭素源としてセルロースナノファイバーのみを用いれば、スプレードライヤーによる噴霧乾燥工程を経た後、還元雰囲気又は不活性雰囲気中での焼成工程を経ることによって、不要な水分を除去しつつ、かかるセルロースナノファイバー由来の炭素のみからなる、優れた導電性を有する導電助材粒子(Y)が得られる。
なお、セルロースナノファイバーと非晶質球状カーボンの双方を炭素源として用いてもよく、この場合には、スプレードライヤーによる噴霧乾燥工程を経た後、還元雰囲気又は不活性雰囲気中での焼成工程を経ることによって、不要な水分を除去しつつ、セルロースナノファイバー由来の炭素と非晶質球状カーボン由来の炭素の双方が混在した、炭素のみからなる導電助剤粒子(Y)が得られる。
セルロースナノファイバー及び/又は非晶質球状カーボン、並びに水を混合して、スラリーBを得る工程(II)、
少なくとも噴射口を二つ以上備えるスプレードライヤーを用い、工程(I)で得られたスラリーA及び工程(II)で得られたスラリーBを各々異なる噴射口から同時に噴霧乾燥して、スラリーAから形成される造粒体Cと、スラリーBから形成される造粒体Dとが混在する乾燥混合物Eを得る工程(III)、並びに
工程(III)で得られた乾燥混合物Eを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程(IV)
を備える。
<CNFからなる導電助剤粒子を用いた製造>
[実施例1]
LiOH・H2O 1272g、及び水 4000mLを混合してスラリー水を得た。次いで、得られたスラリー水を25℃の温度に保持しながら攪拌翼の回転速度400rpmにて3分間撹拌しつつ、85%のリン酸水溶液 1153gを35mL/分で滴下し、その後、攪拌翼の回転速度400rpmで12時間撹拌することにより、Li3PO4を含有するスラリーaを得た。かかるスラリーaは、リン1モルに対し、2.97モルのリチウムを含有していた。
続いて、得られたスラリーaに窒素をパージして、スラリーaでの反応を完了させた(溶存酸素濃度0.5mg/L)。次に、得られたスラリーa全量に対し、MnSO4・5H2O 1688g、FeSO4・7H2O 834gを添加して、混合液aを得た。このとき、添加したMnとFeのモル比(MnSO4・H2O:FeSO4・7H2O)は、70:30であった。次いで、得られた混合液aを蒸気加熱式オートクレーブ内に設置した合成容器に投入した。投入後、隔膜分離装置により水(溶存酸素濃度0.5mg/L未満)を加熱して得た飽和蒸気を用いて、170℃で1時間攪拌しながら加熱した。オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。生成した結晶をろ過し、結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶163gをグルコース(日本食品化工製無水結晶ぶどう糖)15.7g(活物質中における炭素原子換算量で4質量%に相当)とリパルプして、351gのスラリーA1(含水量49質量%)を得た。
得られた乾燥混合物E1を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、グルコース由来の炭素が担持してなるリン酸マンガン鉄リチウム正極活物質粒子X1(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=4質量%)と、セルロースナノファイバーが炭化してなる炭素からなる導電助剤粒子Y1との粒子混合物Z1(粒子X1=96.2質量%、粒子Y1=3.8質量%)を得た。
得られた粒子混合物Z1のSEM像を図1に示す。
[実施例2]
水 331mLにグルコース19.6gを混合して溶液を得た後、得られた溶液を蒸気加熱式オートクレーブに投入し、170℃で3時間水熱反応を行って非晶質球状カーボンを含む351gのスラリーB2を得た(100質量部のスラリーB2当たり、非晶質球状カーボンの含有量は2.5質量部に相当)。
[比較例1]
噴霧乾燥時にスラリーB1を添加しなかった以外、実施例1と同様にして、グルコース由来の炭素が担持してなるリン酸マンガン鉄リチウム正極活物質(LiMn0.7Fe0.3PO4/C、炭素の量=4質量%)を得た。
得られたリン酸マンガン鉄リチウム正極活物質100質量部に対して、導電助剤としてケッチェンブラック(KB)5質量部を、ヘンシェルミキサー(FM10C/I、日本コークス工業株式会社製)で3分間混合して、グルコース由来の炭素が担持してなるリン酸マンガン鉄リチウム正極活物質粒子X3(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=4質量%)と、ケッチェンブラック粒子Y3との粒子混合物Z3(粒子X3=95.2質量%、粒子Y3=4.8質量%)を得た。
<CNF及びACSからなる導電助剤粒子を用いた製造>
[実施例3]
LiOH・H2O 856g、Na4SiO4・nH2O 2794g及び水 750mLを混合してスラリーcを得た。次いで、このスラリーcに、MnSO4・5H2O 1586g、FeSO4・7H2O 784g、及びZr(SO4)2・4H2O 106gを添加して混合液bを得た。混合液b中の、Mn、Fe及びZrのモル比(MnSO4・H2O:FeSO4・7H2O:Zr(SO4)2・4H2O)は、66:28:3であった。
次いで、得られた混合液bを蒸気加熱式オートクレーブ内に設置した合成容器に投入した。投入後、隔膜分離装置により水(溶存酸素濃度0.5mg/L未満)を加熱して得た飽和蒸気を用いて、150℃で12時間攪拌しながら加熱した。オートクレーブの圧力は0.4MPaであった。生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を−50℃で12時間凍結乾燥して複合体bを得た。得られた複合体bをグルコース32.2g(活物質中における炭素原子換算量で8質量%に相当)とリパルプして、351gのスラリーA4(含水量45wt%)を得た。
スラリーA1の代わりにスラリーA4を、スラリーB1の代わりにスラリーB4を用いた以外、実施例1と同様にして、グルコース由来の炭素が担持してなるZrをドープしたケイ酸マンガン鉄リチウム正極活物質粒子X4(Li2Fe0.28Mn0.66Zr0.03SiO4、炭素の量=8質量%)と、セルロースナノファイバーが炭化してなる炭素と非晶質球状カーボンが焼成してなる炭素が質量比1:1で混在する炭素からなる導電助剤粒子Y4との粒子混合物Z4(粒子X4=95.2質量%、粒子Y4=4.8質量%)を得た。
[実施例4]
スラリーB4の代わりに実施例2で得られたスラリーB2を用いた以外、実施例3と同様にして、グルコース由来の炭素が担持してなるZrをドープしたケイ酸マンガン鉄リチウム正極活物質粒子X5(Li2Fe0.28Mn0.66Zr0.03SiO4、炭素の量=8質量%)と、非晶質球状カーボンが焼成してなる炭素からなる導電助剤粒子Y5との粒子混合物Z5(粒子X5=95.2質量%、粒子Y5=4.8質量%)を得た。
[比較例2]
噴霧乾燥時にスラリーB4を添加しなかった以外、実施例3と同様にして、グルコース由来の炭素が担持してなるZrをドープしたケイ酸マンガン鉄リチウム正極活物質(LiMn0.7Fe0.3PO4/C、炭素の量=8質量%)を得た。
得られたグルコース由来の炭素が担持してなるZrをドープしたケイ酸マンガン鉄リチウム正極活物質100質量部に対して、導電助剤としてケッチェンブラック(KB)5質量部を、ヘンシェルミキサー(FM10C/I)で3分間混合して、グルコース由来の炭素が担持してなるZrをドープしたケイ酸マンガン鉄リチウム正極活物質粒子X6(LiMn0.7Fe0.3PO4/C、炭素の量=8質量%)と、ケッチェンブラック粒子Y6との粒子混合物Z6(粒子X6=95.2質量%、粒子Y6=4.8質量%)を得た。
<CNFからなる導電助剤粒子を用いた製造>
[実施例5]
NaOH 1200g、及び水 18000mLを混合してスラリー水を得た。次いで、得られたスラリー水を25℃の温度に保持しながら攪拌翼の回転速度400rpmにて5分間撹拌しつつ、85%のリン酸水溶液 1154gを35mL/分で滴下し、その後、攪拌翼の回転速度400rpmで12時間撹拌することにより、Na3PO4を含有するスラリーcを得た。かかるスラリーcは、リン1モルに対し、3.00モルのナトリウムを含有していた。
次に、得られたスラリーcに窒素をパージして、スラリーcでの反応を完了させた(溶存酸素濃度0.5mg/L)。次に、得られたスラリーc全量に対し、MnSO4・5H2O 1638g、FeSO4・7H2O 834gを添加して、混合液cを得た。このとき、添加したMnとFeのモル比(MnSO4・H2O:FeSO4・7H2O)は、70:30であった。次いで、得られた混合液cを、窒素ガスでパージした蒸気加熱式オートクレーブ内に設置した合成容器に投入した。投入後、隔膜分離装置により水(溶存酸素濃度0.5mg/L未満)を加熱して得た飽和蒸気を用いて、200℃で3時間攪拌しながら加熱した。オートクレーブ内の圧力は、1.4MPaであった。生成した結晶をろ過し、結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶172gをグルコース17.3g(活物質中における炭素原子換算量で4質量%に相当)とリパルプして、351gのスラリーA5(含水量46質量%)を得た。
[実施例6]
スラリーB1の代わりに実施例2で得られたスラリーB2を用いた以外、実施例5と同様にして、グルコース由来の炭素が担持してなるリン酸マンガン鉄ナトリウム正極活物質粒子X8(NaMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=4質量%)と、セルロースナノファイバーが炭化してなる炭素と非晶質球状カーボンが焼成してなる炭素が質量比1:1で混在する炭素からなる導電助剤粒子Y8との粒子混合物Z8(粒子X8=95.2質量%、粒子Y8=4.8質量%)を得た。
[比較例3]
噴霧乾燥時にスラリーB1を添加しなかった以外、実施例5と同様にして、グルコース由来の炭素が担持してなるリン酸マンガン鉄ナトリウム正極活物質(NaMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=4質量%)を得た。
得られたグルコース由来の炭素が担持してなるリン酸マンガン鉄ナトリウム正極活物質100質量部に対して、導電助剤としてケッチェンブラック(KB)5質量部を、ヘンシェルミキサー(FM10C/I)で3分間混合して、グルコース由来の炭素が担持してなるリン酸マンガン鉄ナトリウム正極活物質粒子X9(NaMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=4質量%)と、ケッチェンブラック粒子Y9との粒子混合物Z9(粒子X9=95.2質量%、粒子Y9=4.8質量%)を得た。
<CNFからなる導電助剤粒子を用いた製造>
[実施例7]
アナターゼ型TiO2(関東化学(株)製) 1.768kg、Li2CO3(関東化学(株)製) 0.654kg、及びエタノール(関東化学(株)製、粉砕助剤) 6gを混合し、ボールミルで4時間粉砕した後、大気雰囲気下、800℃で10時間焼成してLi4Ti5O12(平均粒子径100nm)を得た。得られたLi4Ti5O12を150g分取し、これに水186g及びグルコース15.0g(活物質中における炭素原子換算量で4質量%に相当)を添加し、リパルプして、351gのスラリーA6(含水量49質量%)を得た。
[実施例8]
スラリーB1の代わりに実施例2で得られたスラリーB2を用いた以外、実施例7と同様にして、グルコース由来の炭素が担持してなるチタン酸リチウム負極活物質粒子X11(Li4Ti5O12、炭素の量=4質量%)と、非晶質球状カーボンが焼成してなる炭素からなる導電助剤粒子Y11との粒子混合物Z11(粒子X11=95.2質量%、粒子Y11=4.8質量%)を得た。
[比較例4]
噴霧乾燥時にスラリーB1を添加しなかった以外、実施例7と同様にして、グルコース由来の炭素が担持してなるチタン酸リチウム負極活物質(Li4Ti5O12、炭素の量=4質量%)を得た。
得られたグルコース由来の炭素が担持してなるチタン酸リチウム負極活物質100質量部に対して、導電助剤としてケッチェンブラック(KB)5質量部を、ヘンシェルミキサー(FM10C/I)で3分間混合して、グルコース由来の炭素が担持してなるチタン酸リチウム負極活物質粒子X12(Li4Ti5O12、炭素の量=4質量%)と、ケッチェンブラック粒子Y12との粒子混合物Z112(粒子X12=95.2質量%、粒子Y12=4.8質量%)を得た。
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた粒子混合物Z1〜Z12を用い、リチウムイオン二次電池もしくはナトリウムイオン電池の正極または負極を作製した。具体的には、混合物とポリフッ化ビニリデンを質量比95:5の割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練して、正極用もしくは負極用スラリーを調製した。
次いで、正極を製造する場合は、上記正極用スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布した後、80℃で12時間の真空乾燥を行った。負極を製造する場合は、上記負極用スラリーを厚さ10μmの銅箔への塗工を行った。それら電極材料が塗工された金属箔を、φ14mmの円盤状に打ち抜き、ハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスした。
次いで、コイン型二次電池を構築した。上記の正極を用いる場合は、対極(負極)にφ15mmに打ち抜いたリチウム箔(リチウムイオン二次電池の場合)もしくはナトリウム箔(ナトリウムイオン二次電池の場合)を用いた。また、上記の負極を用いる場合は、対極(正極)にφ15mmに打ち抜いたリチウム箔(リチウムイオン二次電池の場合)もしくはナトリウム箔(ナトリウムイオン二次電池の場合)を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6(リチウムイオン二次電池の場合)もしくはNaPF6(ナトリウムイオン二次電池の場合)を1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンなどの高分子多孔フィルムなど、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型二次電池(CR−2032)を製造した。
ナトリウムイオン二次電池の場合、充電条件を電流0.1CA(15.4mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件を3CA(462mA/g)、終止電圧2.0Vの定電流放電として、3CAにおける放電容量を求めた。
結果を表1〜4に示す。
Claims (9)
- 遷移金属複合酸化物の粒子表面に、水不溶性導電性炭素材料及び水溶性炭素材料由来の炭素の少なくとも一方が担持してなる電極活物質粒子(X)と、セルロースナノファイバー由来の炭素及び非晶質球状カーボン由来の炭素の少なくとも一方からなる導電助剤粒子(Y)とが、互いに独立した粒子として混在してなる非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物。
- 電極活物質粒子(X)中における水不溶性導電性炭素材料及び水溶性炭素材料の炭素原子換算量が、合計で1.0〜20.0質量%である請求項1に記載の非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物。
- 導電助剤粒子(Y)の含有量が、1.0〜25.0質量%である請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物。
- 遷移金属複合酸化物の平均粒径が、20〜400nmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物。
- 遷移金属複合酸化物の粒子に、水不溶性導電性炭素材料及び/又は水溶性炭素材料、並びに水を添加して、スラリーAを得る工程(I)、
セルロースナノファイバー及び/又は非晶質球状カーボン、並びに水を混合して、スラリーBを得る工程(II)、
少なくとも噴射口を二つ以上備えるスプレードライヤーを用い、工程(I)で得られたスラリーA及び工程(II)で得られたスラリーBを各々異なる噴射口から同時に噴霧乾燥して、スラリーAから形成される造粒体Cと、スラリーBから形成される造粒体Dとが混在する乾燥混合物Eを得る工程(III)、並びに
工程(III)で得られた乾燥混合物Eを還元雰囲気又は不活性雰囲気中において焼成する工程(IV)
を備える、請求項1に記載の非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物の製造方法。 - スラリーA中における遷移金属複合酸化物の含有量が、水100質量部に対して10〜400質量部である請求項5に記載の非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物の製造方法。
- スラリーB中におけるセルロースナノファイバー及び非晶質球状カーボンの合計含有量が、水100質量部に対して1〜50質量部である請求項5又は6に記載の非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物の製造方法。
- 工程(III)における噴霧乾燥の温度が、150〜320℃である請求項5〜7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物の製造方法。
- 造粒物C及び造粒物Dの粒径が、粒度分布測定におけるD50値で1〜20μmである請求項5〜8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016063106A JP6243946B2 (ja) | 2016-03-28 | 2016-03-28 | 非水電解質二次電池用活物質含有粒子混合物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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