JP6235297B2 - 液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents
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Description
引用文献3では、有機ベントナイトを用いて上記課題の解決を図っている。この方法は、液晶の差込に対して、一定の成果は有するものの、十分であるとは言いがたい。
引用文献4では、ヒュームドシリカ、ポリチオールを用いた液晶シール剤を用い、液晶シール剤のBステージ化処理を行う方法が記載されている。しかし、この方法では、工程が長くなってしまうことと、その工程のための装置が必要となってしまうという欠点がある。
引用文献5では、熱ラジカル重合開始剤を用いて、硬化速度を上げることにより差込を防止する液晶滴下工法用液晶シール剤が開示されている。しかし、この方法は、液晶シール剤の保存安定性を著しく低下するという欠点を有する。
引用文献6では、一次平均粒径が比較的大きいシリコーンゴムパウダーが、液晶の差込耐性を向上する旨の記載がある。しかし、この方法は、該シリコーンゴムの添加量を多くしなければ十分な効果が得られず、結果として液晶シール剤のチクソ比が高くなってしまい、ディスペンスやスクリーン印刷といった塗布作業性を低下させてしまう。
本願発明は、上記差込耐性と塗布作業性という、実質的に相反する性質を両立した液晶滴下工法用液晶シール剤を実現したものである。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」を意味する。また、「液晶滴下工法用液晶シール剤」を単に「液晶シール剤」と記載する場合もある。
1)
有機フィラー(a)と硬化性化合物(b)を含有する液晶シール剤であって、前記(a)有機フィラーの総量中、10%Dが液晶表示セルのセルギャップの幅(μm)以上である液晶滴下工法用液晶シール剤、
2)
上記(a)有機フィラーの総量中、10%Dが5μm以上である上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
3)
上記(a)有機フィラーの総量中、0%Dが3μm以上である上記1)又は2)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
4)
上記(a)有機フィラーの総量中、90%Dが15μm以下である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
5)
E型粘度計を用いて測定した25℃、1rpmにおける粘度と10rpmにおける粘度の比(チクソ比)が1.40以下である上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
6)
上記(a)有機フィラーが、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴム、及びシリコーンゴムからなる群より選択される1又は2以上のゴム微粒子である上記1)乃至5)のいずれか一項に記載の晶滴下工法用液晶シール剤、
7)
液晶シール剤の総量を100質量部としたときの(a)有機フィラーの含有量が10質量部以上40質量部未満である上記1)乃至6)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
8)
硬化性化合物(b)が(メタ)アクリル化エポキシ樹脂であり、更に熱硬化剤(c)を含有する上記1)乃至7)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
9)
上記硬化性化合物(b)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物である上記8)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
10)
上記熱硬化剤(c)が多価ヒドラジド化合物である上記8)又は9)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
11)
更に熱ラジカル重合開始剤(d)を含有する上記1)乃至10)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
12)
更にシランカップリング剤(e)を含有する、上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
13)
更にエポキシ樹脂(f)を含有する、上記1)乃至12)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
14)
上記(a)有機フィラーを分級によって、微細粒子を除去することを特徴とする上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の製造方法、
15)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後紫外線及び又は熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法、
16)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、又は上記14)記載の製造方法で得られる液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法、
17)
上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、又は上記14)記載の製造方法で得られる液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル、
に関する。
ここで、有機フィラーの粒度分布は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)等により測定することができる。この粒度分布は、フィラーの体積基準のデータが得られ、「10%D」という表現を用いる。10%Dとは、粒度分布を測定し、横軸に粒子径、縦軸に体積分布の累積(%)をとったときに、体積分布の累積が10%に相当するときの粒子径をいい、同様に例えば50%D、90%Dはそれぞれ体積分布の累積が50%、90%に相当するときの粒子径を表し、粒度分布の指標となる。
従って、本願発明の、「(a)有機フィラーの総量中、10%Dが液晶表示セルのセルギャップの幅(μm)以上である」を言い換えるとセルギャップの幅よりも小さい粒径をもつ粒子が、(a)有機フィラーの総量中10%未満であることを意味する。
また、本明細書において、セルギャップとは上下基板間の液晶シール剤の厚み(シールギャップ)と定義する。
液晶差込への耐性は、液晶表示セルのセルギャップに対して、一定の粒度を有する有機フィラーによって発現される。そして該一定の粒度とは、液晶表示セルのセルギャップよりも大きいものである。これは、上下基板の圧力によって圧縮された有機フィラーが堰として作用して、液晶が膨張する圧力に対抗するためであると考えられる。従って、セルギャップ以下の粒子径を有する有機フィラーは、差込耐性に貢献するものではない。
このことから、本願発明は、不要な有機フィラーを含有しないことによって、差込耐性を保持したまま、有機フィラーの含有量を下げられ、すなわちチクソ比を下げることができ、その結果塗布作業性を併せもたせることができるものである。
分級操作は例えばジェットミル粉砕機JM−0202(株式会社セイシン企業製)にて解砕後、気流式分級機クラッシールN05(株式会社セイシン企業製)を用いて行うことができる。なお、より効率的にこの操作を行う為に、分散剤等を使用しても良い。
有機フィラーとして特に好ましいものの具体例としては、KMP−594、KMP−597、KMP−598(信越化学工業製)、JB−800T、HB−800BK(根上工業株式会社)、ゼフィアックRTMF−351(アイカ工業株式会社)である。
この硬化性化合物(b)は、光又は熱によって重合反応するものであれば特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物である場合が特に好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、例えば(メタ)アクリルエステル、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリルエステルとしては、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フロログリシノールトリアクリレート等が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、レゾルシン骨格を有するエポキシ樹脂が好ましく、例えばレゾルシンジグリシジルエーテル等である。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性及び液晶汚染性の観点から適切に選択される。
したがって、好ましい(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有し、さらにレゾルシン骨格を有する硬化性化合物であり、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテルのアクリル酸エステルやレゾルシンジグリシジルエーテルのメタクリル酸エステルである。
また、硬化性化合物(b)の液晶滴下工法用液晶シール剤中に占める含有率としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、30〜90質量部の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは40〜80質量部程度である。
一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物としては、KAYARADRTMPET−30、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DPEA−12、GPO−303、TMPTA、THE-330、TPA−320、TPA−330、D−310,D−330、RP−1040、UX−5000、DPHA−40H(以上、日本化薬株式会社製)、NKエステルRTMA−9300、A−9300−1CL、A−GLY−9E、A−GLY−20E、A−TMM−3、A−TMM−3LM−N、A−TMPT、AD−TMP、ATM−35E、A−TMMT、A−9550、A−DPH(以上、新中村化学工業株式会社)、SR295、SR350、SR355、SR399、SR494、CD501、SR502、CD9021、SR9035、SR9041(以上、サートマー社製)等を挙げることができる。これらのうち、モル平均分子量が800以上である場合が好ましく、例えばKAYARADRTMDPCA−20、DPCA−30、DPEA−12が好ましい。また、分子内にC1−C4アルキレンオキサイド(−O−R−O−)を含有する硬化性化合物である場合が好ましく、KAYARADRTMDPEA−12が特に好ましい。
この熱硬化剤は特に限定されるものではなく、多価アミン類、多価フェノール類、ヒドラジド化合物等を挙げることができるが、固形の有機酸ヒドラジドが特に好適に用いられる。例えば、芳香族ヒドラジドであるサリチル酸ヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、1−ナフトエ酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等をあげることが出来る。また、脂肪族ヒドラジド化合物であれば、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等をあげることができる。この熱硬化剤は、単独で用いても2種以上混合しても良い。硬化反応性と潜在性とのバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはマロン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドである。かかる熱硬化剤を使用する場合の含有量としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、1〜30質量部程度である。
上記(d)熱ラジカル重合開始剤として、好ましいのは、分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発するため、液晶シール剤中に気泡を残した状態で硬化し、接着強度等の特性を低下させる虞がある。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1, 2−ジメトキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジエトキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジフェノキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジメトキシ−1,1, 2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1, 2−ジフェノキシ−1,1, 2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンである。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジン等の塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)等が挙げられる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物の水酸基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリル基を有するものを使用する事が好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。
光重合開始剤を用いる場合の液晶シール剤総量中の含有率は、通常0.001〜3質量%、好ましくは0.002〜2質量%である。
ラジカル重合防止剤は、成分(b)を合成する際に添加する方法や、液晶シール剤の製造時において成分(b)に溶解させる方法があるが、より有効な効果を得る為には液晶シール剤の製造時において成分(b)に溶解させるほうが好ましい。
ラジカル重合防止剤の含有量としては本発明の液晶シール剤総量中、0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2
,4−ジアミノ−6(2 ’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4− ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1 ’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
[レゾルシンジグリシジルエーテルの全アクリル化物の合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル181.2g(EX−201:ナガセケムテックス株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート293gを得た。得られたエポキシアクリレートの反応性基当量は理論値で183である。
[1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンの合成]
市販ベンゾピナコール(東京化成製)100部(0.28モル)をジメチルホルムアルデヒド350部に溶解させた。これに塩基触媒としてピリジン32部(0.4モル)、シリル化剤としてBSTFA(信越化学工業製)150部(0.58モル)を加え70℃まで昇温し、2時間攪拌した。得られた反応液を冷却し、攪拌しながら、水200部を入れ、生成物を沈殿させると共に未反応シリル化剤を失活させた。沈殿した生成物をろ別分離した後十分に水洗した。次いで得られた生成物をアセトンに溶解し、水を加えて再結晶させ、精製した。目的の1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンを105.6部(収率88.3%)得た。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析した結果、純度は99.0%(面積百分率)であった。
下記表1に示す量の成分、(a)、(b)等を用い、液晶シール剤の製造を行った。製造方法は以下に示す通りである。
まず、成分(b)に成分(f)を加熱溶解混合し、室温まで冷却後、成分(e)を添加し攪拌した。その後成分(a)、(c)及び(d)を順次添加し、3本ロールにより均一に混合し、金属メッシュ(635メッシュ)にて濾過した。
なお、成分(a)−1〜3は、KMP−598(シリコーンゴム粉末;信越化学工業株式会社製:一次平均粒子13μm)を分級し、所望の粒度分布を有するものにしたものである。分級操作はジェットミル粉砕機JM−0202(株式会社セイシン企業製)にて解砕後、気流式分級機クラッシールN05(株式会社セイシン企業製)を用いて行った。
実施例、比較例で製造された液晶シール剤を用いて、セルギャップ5μmの液晶表示セルを作成し、差し込み性について観察した。試験方法を以下に示す。
液晶シール剤各100gにスペーサーとして直径5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌脱泡を行い、シリンジに充填する。ITO透明電極付きガラス基板に先にシリンジに充填した液晶シール剤をディスペンサー(SHOTMASTER300:武蔵エンジニアリング株式会社製)を使って、シールパターン及びダミーシールパターンの塗布を行い、次いで液晶(MLC−3007;メルク株式会社製)の微小滴をシールパターンの枠内に滴下した。更にもう一枚のラビング処理済みガラス基板に面内スペーサ(ナトコスペーサKSEB−525F;ナトコ株式会社製;貼り合せ後のギャップ幅5μm)を散布、熱固着し、貼り合せ装置を用いて真空中で先の液晶滴下済み基板と貼り合せた。大気開放してギャップ形成した後、10分間放置した後、120℃オーブンに投入して1時間加熱硬化させたあとに偏光顕微鏡にてシールと液晶の界面を観察し、以下の基準に従って評価を行った。結果を表2に示す。
○:シール剤に液晶の差込が観察されない。
△:シール剤に液晶の差込がわずかに観察さる。
×:シール剤に液晶の差込が観察される。
シリンジに充填した液晶シール剤をディスペンサー(SHOTMASTER300:武蔵エンジニアリング株式会社製)を使って、塗出圧400kPa、塗布速度20mm/sec、クリアランス50μm、ノズル径200μmで直線塗布したときのシール形状において、最も線幅の狭いところの線幅と最も太いところの線幅の比をばらつきとする(例えば細いところが、400μm、最も太いところが420μmなら、ばらつきは5%)。そして、その比を以下基準で評価した。結果を表2に示す。
○:シール幅のばらつきが5%未満
△:シール幅のばらつきが10%未満
×:シール幅のばらつきが10%以上
Claims (14)
- 有機フィラー(a)と硬化性化合物(b)、更に分子内に酸素−酸素結合又は窒素−窒素結合を有さない熱ラジカル重合開始剤(d)を含有する液晶シール剤であって、前記(a)有機フィラーの総量中、10%Dが5μm以上であり、0%Dが3μm以上である液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記(a)有機フィラーの総量中、90%Dが15μm以下である請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- E型粘度計を用いて測定した25℃、1rpmにおける粘度と10rpmにおける粘度の比(チクソ比)が1.40以下である請求項1又は2に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記(a)有機フィラーが、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴム、及びシリコーンゴムからなる群より選択される1又は2以上のゴム微粒子である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の晶滴下工法用液晶シール剤。
- 液晶シール剤の総量を100質量部としたときの(a)有機フィラーの含有量が10質量部以上40質量部未満である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 硬化性化合物(b)が(メタ)アクリル化エポキシ樹脂であり、更に熱硬化剤(c)を含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記硬化性化合物(b)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物である請求項6に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記熱硬化剤(c)が多価ヒドラジド化合物である請求項6又は7に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更にシランカップリング剤(e)を含有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更にエポキシ樹脂(f)を含有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記(a)有機フィラーを分級によって、微細粒子を除去することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の製造方法。
- 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後紫外線及び又は熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
- 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、又は請求項11記載の製造方法で得られる液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
- 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、又は請求項11記載の製造方法で得られる液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
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